我輩はサイクリスト
遠出に挑戦!


ボルダーで練習していたときも、暇をみつけては自転車に乗っていた。 高橋尚子

目次

1 我輩、映画を見に松戸まで 2 我輩、手賀沼を2周せり!
3 我輩、牛伏古墳に登れり! 4 我輩、ひたち海浜公園を走りまくる
5 我輩、モーテルに泊まれリ! 6 我輩、大洗海岸を快走せり!
7 我輩、冬支度に入る 8 我輩、関宿城へ快走せり!
9 我輩、手賀沼に憩う 10 我輩、布施弁天へ新ルート
11 我輩、新駅へのルートを模索せり 12 我輩、紅葉の世界へ
13 我輩、おばさんパワーに圧倒される 14 我輩、釜無川を走る
15 我輩、寒風の野辺山高原を走る 16 我輩、朝練後に帰路につく
17 我輩、FDBに恋せり 18 我輩、ちょいと市川まで、その1
19 我輩、ちょいと市川まで、その2 20 我輩、皇居を一周せり、その1
21 我輩、皇居を一周せり、その2 22 我輩、自転車絵画を鑑賞せり
23 我輩、金メダルロードへ 24 我輩、うなぎを食べに遠出せり!その1
25 我輩、うなぎを食べに遠出せり!その2


1 我輩、映画を見に松戸まで

オトーサン、 「いまにも雨が降りそうだなぁ」 このところ、天気予報は外れっ放し。 このため、サイクリングのプランが狂い放しです。 前日から楽しみにしていると、予報に反して雨。 昼前には雨が上がるという予報で待機していると、 終日、雨が降り続いたりして。 「少しは、お侘びしろよ」 当たると、自分の手柄。 外れると、天気のせい。 お天気キャスター、いいご身分です。 「こんなんでメシ食っていけるの?  ま、エコノミストも同じだけどなぁ」 「えー、9時20分、スタートします。 松戸まで遠征して、映画を見に行こうと思います」 国道6号線、混んでいるので、松戸は遠くに感じます。 「えー、9時35分、3.79km、北部市場に来ました」 ここは、北小金の日本一のパン屋さんの近くですから、 まぁ、ご近所感覚で来られました。 オトーサン、 「へぇ、コールマンがあるんだ」 先日、自転車散歩をしていて、アウトレットを発見しました。 その昔、アウトドアに夢中になった時期があって、 コールマン製品には、随分、お世話になりました。 コールマンの製品といえば、今も昔も、アウトドアマンの憧れ。 マグカップ、ガスといった手頃なものにはじまって、 ランタン、クーラーボックス、キャプテン・チェア、 さらに、スリーピングバックやグリル・スタンドなど値の張るものまで、 随分と買い揃えたものです。 その昔、トヨタ在社時代、新規事業を担当していた頃、 ある仲介業者が声をかけてきました。 「トヨタさん、コールマンを買収しませんか?」 「えっ?」 「日本法人が経営不振なものですから」 「とんでもない、コールマンを買収するなんて。  そんな大それたことを。バチがあたるよ」 申しいれを即座に独断でお断わりしました。 こんなエピソードもあったのです。 「寄っていくか、ま、やめとこう」 いまも、何か買おうかと思ったのですが、 先日立ち寄ったら、めぼしいものは何もありませんでした。 「ショップといっても、コンテナがお店じゃね」 もうちょっと、力を入れてほしいものです。 オトーサン、 「えー、9時43分、4.42km、国道6号線に出ました。  ティーダを買った日産の営業所のそばです」 ここから、馬橋駅までは歩いたことがあるので、不安なし。 しばらく我慢して国道6号沿いに走ってから、 横断して、北上し、それから常磐線沿いに走ればよいのです。 時々、走れなくなりますが、また舞い戻ればいいのです。 順調に馬橋駅を通過しました。 「大きな自転車屋さんだ!」 吸い寄せられるように寄っていきました。

店先はともかく、内部に入って仰天! 「すごいね。何台あるの?」 「今日は900台くらいですね。多いときは1000台ありますよ」 「へぇ」 店員さん、ひっきりなしに来るお客の応対でいそがしそうです。 ロードレーサーは置いていませんし、ウェアも取り寄せとか。 あくまでも、廉価で買いたいひとを対象にした店のようです。 「自転車屋さんで、株式上場とはすごいなぁ」 ビジネスの鉄則、「選択と集中」を地で行っています。 「オレがもっと若かったら、  ロードレーサーの大規模専門店をつくるんだけどな」 そういう野望をもった若いひとが出てきてほしいものです。 ○サイクルベース あさひ  本社所在地:大阪市都島区大東町2-3-20  電話:06-6923-2611  設立:1975年 株式上場:2004年 ジャスダック 従業員数: 318名 都市近郊ロードサイドにチェーン展開。 150坪以上の売場と800〜1,000台の豊富な品揃え、 全国に100店舗 「組立整備士」「安全整備士」の専門資格を持つスタッフ在駐。 ○北松戸店  住所:千葉県松戸市新作100-19  電話:047-331-8830  営業時間:10:00〜20:00 オトーサン、 「えー、 10時05分、7.41km、北松戸駅に出ました」 初めてなので、見て回りましたが、どうってことない駅でした。 「えー、歩道橋を渡りまーす」 ひっきりなしに常磐線が通過しsています。 「もう松戸はすぐだなぁ」 伊勢丹の回転展望レストランがもう見えてきました。

オトーサン、 「えー、10時25分、10.23km、松戸駅前に来ました。 家を出てから、約1時間、思ったよりもすっと早く着きました。 映画のはじまるのは、12時10分から。 あと、1時間30分以上あります。 「さて、どうやって時間つぶしをしたものか」 でも、時間つぶしは、得意なんです。 まず、古本屋を探して、文庫本を1冊買いました。 ・群ようこ「本は鞄をとびだして」新潮文庫 1995年 伊勢丹まで自転車を押して歩きました。 繁華街で乗るのは、危険です。 「もうクリスマスの準備か。  早いもんだ。もう年の瀬が近づいてきたのか」 駅の方に数十歩戻ると、スターバックスがあります。 歩道に置かれた席で本を読んでいると、プチ渋谷気分。 東急本店前のスタバにいるような気がしないでもありません。 「そうか、  群ようこさんは、半径500mのことにしか関心がないのか。  こういう生き方も、あっていいよなぁ」 日常生活を何よりも優先する。 オトーサンと同類のようです。 毎日、サイクリング記録を丹念につける。 簡単なようですが、なかなか難しいものなのです。 身の丈の視点で、 古今東西の古典を読み解くのですから、 愉快なこと、この上もありません。 例えば、ガルシア・マルケスの名著「百年の孤独」は、 「宗教、ワカリマセン」でバッサリ。 アーヴィングの傑作「ガーブの世界」も、 「他人の不幸は笑える」で片づけられてしまいます。 オトーサン、 大戸屋で「かきフライ定食」(756円、856kal) 「この店は、美味いなぁ」 その後、映画館へ。 「へぇ、5列しかないんだ」 横に12席、全部で60席しかないミニシアターでした。 1時15分「ドミノ」を見終えて、帰路へ。 「えー、3時15分、帰宅しました。  往復、たったの20.42km!  案外、松戸って近いんだなぁ、道も走りやすかったし、  これからは、松戸へは自転車で行こう」 平均速度は13.5km、最高速度は32.6kmでした。 このスピードは、北部市場へ下る坂で記録したようです。 「今日は、雨に降られないでよかったなぁ」 半径10km以内でも、プチ幸わせ気分を味わえるのです。


2 我輩、手賀沼を2周せり!

オトーサン、 「えー、今日はいい天気ですねぇ。  雲ひとつない天気とは、まさにこのこと、  1年に何日とないでしょう。  いま、手賀沼の親水広場にきています。  今日は、手賀沼を時計回りに2周してみようと思います」 「えー、9時35分スタートします」 「せっかく気持ちよく走りだしたのに、作業車が邪魔しています。  10km/hの低速で、のろのろ走っています」 この我孫子側の遊歩道、ちょうど軽トラがやっと走れる幅。 散歩しているひとも、迷惑そうです。 「もっと先の車道から、遊歩道に入ればいいのに」 オトーサン、 ようやく作業車が止まってくれたので、追い抜きました。 「我孫子側はやや向かい風ですね」 「えー、沼南側にやってきました。  先日、濃霧の写真を撮った同じ場所で、写真を撮ってみましょう」 後で比べてみたら、やはり、ちょっと違っていました。 自転車の置き方が同じだったら、同じような写真になったかも。

オトーサン、 気持ちよく飛ばしました。 「30kmは、出ているぞ!」 でも、強くこぎ続けたら、腰が痛くなりました。 息も上ってきました。 手賀沼の雄大な景色のなかを至福の時が流れていきます。

「えー、10時10分、9.02km、手賀大橋の下を通過しました」 「えー、10時20分、13.74km、北柏橋を渡りました」 「えー、10時42分、19.42km、親水広場に着きました」 計画通リ、もう一周することにしました。 「えー、11時25分、32.96km、また北柏橋を渡りました」 「えー、11時41分、36.46km、手賀沼公園脇のファミリーマートに立ち寄ります」 今日は、いい天気なので、屋外で食べたほうが気持ちいいでしょう。 そう思って、おにぎり2ケとファミマ名物のフライドチキンを買いました。 オトーサン、 「えー、11時52分、38.87km、親水広場に戻ってきました」 手賀大橋を渡らずに走ると、一周は20kmに届かないようです。 かかった時間は、1周目が1時間07分、2周目は 1時間10分でした。 平均時速18.3km、最高速度39.14kmでした。 「どこで食べようかなぁ」 親水広場の手賀沼に面する噴水脇の芝生に座りました。 「美味いなぁ」 粗末な食事ですが、お天気の野外で運動した後に食べると 一味も二味もちがいます。

オトーサン、 この後、沼南老人福祉センターのお風呂へ。 このお風呂、60歳以上は無料。 しかも、北海道の有名な秘湯、二股温泉のお湯と成分が同じ。 汗を流して、サッパリしました。 この日、費ったお金は、402円ですみました。 「今日は、お天気に恵まれたし、リッチな一日だったなぁ」 若い読者のみなさん、 老後の生活を心配する必要なんかないですよ。 自転車に乗って健康に過ごせば、楽しく過ごせます。


3 我輩、牛伏古墳に登れリ!

オトーサン、 房総風土記の丘の古墳に感動しました。 「他にないかなぁ」 すると、水戸に牛伏古墳群がありました。 ネットで予習しました。 ○牛伏古墳群  丘陵のうえ、東西300m南北200mの狭い範囲に 前方後円墳6、帆立貝式1、円墳9基がある。  いづれも、6世紀後半のもの。  これだけ古墳が密集しているのは、わが国に例をみない、  4号墳は、前方後円墳で、ここだけ復元埴輪が並べられている。  全長52m、後円部径30m、高さ6.8m。  中央広場に埴輪を模した展望塔があり、  ここから前方後円墳17号(お富士様古墳)、  全長60m、高さ5.4mを見下ろせる。 オトーサン、 「行くべし」 思い立ったら吉日。 身の軽いのが身上です。 「えー、9時15分、家をスタートします」 「えー、柏IC、無事ETCゲートを通過しました」 シトロエンC4に取り付け直したパナソニクのナビ、 ちゃんと作動します。 C4のほうも、何のトラブルもなく、快適なドライブを楽しみました。 「常磐道は路面がいいなぁ」 C4のすばらしいサスもあって、夢のような乗り心地。 「えー、水戸ICに着きました。燃費は14.6km。 流れに乗って、時速110kmで巡航してきたにしては、 まあまあの燃費でしょう。  さて、これから、どう行ったものか」 ご安心下さい。 ナビもあるし、出掛けに地図をチェックしました。 55号線を笠間方向に2km、内原跨線橋北を右折。 (ジャスコが左手にあるので、分かりやすい交差点でした) 52号線を道なりにしばらく走ると、すぐ左手の丘にありました。 「えー、10時45分、牛伏古墳に着きました。 家から、1時間30分ですね。案外近かったですね」 30台分の広い駐車場があるのも、うれしいことです。 「こりゃ、いい眺めだ」 台地の上にあるので、遥か向こうまで見渡せます。 オトーサン、 「ふーん、くれふしの里古墳公園って言うのか」 公園の案内板を前に、ふつふつと疑問が湧いてきました。 通りかかった若い奥さんに聞いてみました。 「"牛伏"をなぜ”くれふし”と呼ぶのですか?」 「さぁ、分かりません。  考えたこともなかったわ。えらいわね」 「えらいと言われても...」 しばらく褒められたことがなかったので、照れました。 前方後円墳を横から見ると、伏せた牛に似ているから、 牛伏というのかも知れません。 後で、調べてすこし分かりました。 「分かったけど、分からんなぁ」   ○「くれふしの里」の名称は、一般から公募されたもの。  「常陸国風土記」にある神婚説話に由来。  ヌカビコの妹ヌカビメが、名も知らぬ男と夫婦になる。  小蛇を産み、小蛇は急速に成長する。  ヌカビメは「汝は神の子ゆえ、父の所へ行け」と言う。  蛇は怒り、伯父にあたるヌカビコを雷撃して殺し、天に昇ろうとする。  しかし、ヌカビメが瓮(ひらか=平らな土器)を投げつけたため、  蛇は昇天できず、哺時臥山(くれふしやま)の峰に留まった。 オトーサン、 まず、人声のする方向へ。 「なーんだ、子供の遊び場になっているんだ」 道理で、若い奥さんと子供連れが多いのか分かりました。 でも、よく考えてみると、古墳といえば、お墓。 お墓のそばに、遊具公園があるというのも変ですよね。 「おいおい、この4号古墳、登っていいのか?」 ちゃんと階段がついていて、登れといわんばかり。 子供たちが頂上にいるので、登ってみました。 「なんか、こそばゆいなぁ」 古代のひとびとが股下を見上げているような気もします。

オトーサン、 「この公園、奥に何があるのかなぁ」 「おお、巨大な埴輪だ!」 内原町が補助金を貰って、 1998年に町起こしの一環として建造したようです。 「はに丸タワーか。これも登ってみるか」 カタカタ、カタカタ、非常階段のように鉄板の音がします。 「何段あるんだ?」 次第に息が切れてきました。 下りるときに数えたら、93段ありました。 5階建ての建物を屋上まで登っていくようなもの。 「こりゃ、何だ?」 飽きさせないようにでしょうか、 4階の踊り場に、 「希望の埴輪」像がありました。 口の中に手を入れると、突如、眼が輝きはじめるのです。 「へぇ、古代からのメッセージをしゃべるのか。  ...何もしゃべらんなぁ」 禁を犯して、古墳に登ったので怒っているのかも知れません。 時を駆ける旅人を目指すものとしては、 古代人の声を聞けなかったのは、非常に残念でした。

オトーサン、 タワーの上から、 最大の古墳、お富士様古墳を見下ろしました。 「あーぁ、また子供たちが登っている!  あの若い親、注意しないのか?  不敬罪なんて知らんのだろうなぁ」 展望塔を降りて、古墳をみると、 芝生がよく手入れされているので、2段グリーンのように見えました。 注)後円部の頂上が異常に平らなのは、   かつて神社の境内として削られてしまったため。 30分ほどで、見学を終えました。 「なかなかいい公園だった。  この公園、誰がつくったのかなぁ」 水呑場のデザインなども、お洒落でした。 ○くれふしの里古墳公園  住所:茨城県東茨城郡内原町牛伏201番地の2外  電話:029-259-6411  (内原町教育委員会生涯学習課)   ・はに丸タワー   開園時間:    4月1日-9月30日:900-1700    10月1日-3月31日 900-1630   定休日:1/1〜1/3   入園料:無料


4 我輩、ひたち海浜公園を走りまくる

オトーサン、 「次は、ひたち海浜公園だ」 ナビに入力しました。 「39.2km、到着予定時刻1200。 40分後? おいおい、そんなにかかるのよ」 でも、ナビの言う通りに走りました。 「おいおい、東京方向に戻るのかよ」 常磐道・水戸ICから友部JCへ、 そこから北関東自動車道で水戸大洗ICへ、 さらに、東水戸道路で、ひたち海浜公園ICへ。 「へぇ、すごいや」 いつのまにか、新しい高速道路が2つも出来ていました。 新しいせいでしょう、舗装もよく、最高です。 「東京から1時間半もあれば、大洗海岸にこられるんだ!」 「大きな川だなぁ、このすばらしい橋、何っていうのかなぁ」 (後で分かりました。那珂川と新那珂川大橋) 「こんなにクルマが少なきゃ、赤字路線だろうな」 オトーサン、 「えー、11時57分、ひたち海浜公園に着きました。  この駐車場、広いなぁ。  さすが国土交通省、お金持ちはやることが違うな」 その昔、建設省「オートキャンプ場整備管理運営計画委員会」委員として 「滝野すずらん丘陵公園」(北海道・札幌市郊外)内につくる オートキャンプ場についてアドバイスしたことがあります。 その縁で、トヨタのデーラーに運営委託されることになり、 当時経団連会長だった豊田章一郎さんにも見学にきてもらいました。 以来、国営公園なるものに興味を持っているのです。 ○国営公園  国立公園が環境庁の主管なのに対して、国土交通省の主管。  ・滝野すずらん丘陵公園(開園:1983/7)  ・みちのく杜の湖畔公園(1989/8)  ・ひたち海浜公園(1991/10)  ・越後丘陵公園(1998/10)  ・アルプスあづみの公園(2004/7)  ・木曽三川公園(1987/10)  ・淀川河川公園(1977/3)  ・明石海峡公園(2002/3)  ・備北丘陵公園(1995/4)  ・讃岐まんのう公園(1998/4)  ・海の中道海浜公園(1981/10)  ・武蔵丘陵森林公園(1974/7)  ・昭和記念公園(1983/10)  ・飛鳥歴史公園(1974/7)  ・吉野ヶ里歴史公園(2001/4) オトーサン、 「えっ、お金取るの?510円も?」 駐車料金、無料か、時間制にしてほしいもの。 でも、入園料が400円だったので、やや怒りがおさまりました。 「自転車、持ち込みたいのだけど、いいですか?」 「どうぞ、どうぞ」 若い女性係員は、お役所風ではありませんでした。 この広大な公園、移動するには、徒歩ではムり。 普通は、シーサイド・トレインで巡回するのです。 あとは、レンタサイクル。 3時間で310円。 シーサイドトレインの1日500円よりは安いですが、 ママチャリでは、面白くありませんよね。 持ち込みが可能なので、そこに眼をつけたのです。 下図のように、全長9kmのサイクリングコースを走ってみようというわけ。 シトロエンC4に、ロードレーサーを積んできました。 マウンテンバイク派には、全日本BMX連盟公認コースもあります。 ○BMX(バイシクルモトクロス)  クロスカントリー・レースが語源。  未舗装の道なき道を20〜30分で走り終えるスプリント・レース。

オトーサン、 「腹減ったなぁ」 まずは、中央口そばのガーデンレストランで昼飯。 ぶりかま定食(880円)を注文しました。 お味は? あまり期待もしませんでしたが、 食事は、国営公園の弱点ですね。 「えー、12時45分スタートします」 どこに何があるか分からないので、適当に走り出しました。 まずやってきたのは、みはらしの丘。 「自転車は置いて、歩いていかなきゃならのか」 数人の家族連れと散歩気分を丘を登って行きました。 「おお、海が見える、池もみえる」 標高44m。 建設残土を積みあげて、丘にしたそうです。 9月から10月は、500万本のコスモスで埋め尽くされますが、 いまは11月、見ごろを過ぎています。 その代わり、赤いホウキ草の植栽が見事です。 この後、海が見えるという砂丘エリアへ。 「うーん、ここ最高だ!」 海をみながらのサイクリングは、爽快です。 1時40分、ぐるぐる回って、レイクサイド・カフェへ。 「なーんだ。ただの売店じゃん」 ソフトクリ−ムを食べました。

オトーサン、 「どの位の距離を走ったのかな?ありゃ!」 サイクルコンピュータが作動してないじゃないですか。 車輪に取りつけたセンサーの位置が、またもづれていました。 「こりゃ、ダメだ。もう我慢できん。こいつ捨てよう」 それでも、気を取り直して、装着しなおして、 海の見える砂丘エリアへ再度行ってみました。 「あーぁ、たったの4.70kmか」 10km以上走ったのが、記録されていませんてした。 平均速度は13.8km、最高速度は38.1km! 「このコース、馬鹿にしていたけど、結構、スピード出せるな」 坂もあるし、急カーブもあるのです。 「競輪のプロにでも、知恵を出してもらったのかも」 でも、子供も走っているので、要注意です。 オトーサン、 「えー、午後2時、公園を出ます。  何だ、この駐車場、大迂回させやがって」 平日でがら空きなのですから、ちょっと配慮すればいいのに、 ここでも、お役所仕事ぶりが露見しています。 「小泉さん、ここも、民営化してよ」 ○ひたち海浜公園 わが国最大の国営公園。   計画面積350ha、3割がいま開園している。   住所:茨城県ひたちなか市   電話:029-265-9001   開園時間:9:30〜16:30(冬季)   休園日:月曜   入場料:400円   駐車場:一日520円 オトーサン、 「海岸に出たいなぁ」 ナビ画面をみると、近くに阿字ケ浦があります。 「あー、海はいいなあ」 残念だったのは、オフシーズンゆえ、店はすべてクローズドでした。

オトーサン、 「宿へ行くか」 時計をみると、チェックインの3時より前でした。 「どこかで、時間をつぶさなければ...  汗かいているな。  日帰り入浴できるところ、どこかにないかな?」 「この先、潮騒の湯」なる大看板を発見。 ナビの指示が曖昧で迷いましたが、 3時20分、ようやく到着しました。 「うん、ここ海岸じゃん。 こんなところで、お湯が出るのかなぁ?」 湯質はともかく、景色は最高でした。 ここで、小1時間、のんびり過ごしました。 「お寿司、持ち帰りできる?」 「はい」 「じゃ、サバとマグロ」 「4貫ずつで、いいですか?」 「ああ」 実は、今夜の宿は、素泊まりなのです。 名物のあんこう鍋でも、食べたいところですが、 暗くなってから、外食に出るのはやはり面倒だし、 知らない場所をウロウロするのは、危険です。 ○潮騒の湯  住所:茨城県東茨城郡大洗町大貫256-25  電話:029-267-0316  営業時間:10:00〜21:00  休業日:無休  入浴料:1000円  駐車場:180台


5 我輩、モーテルに泊まれリ!

オトーサン、 潮騒の湯を出て、今夜の宿に向かいます。 右手にみえた大洗の海が遠ざかっていきます。 「磯節」が聞こえてきます。 ♪ハーサイショネ  磯で名所は 大洗様よ   ハーサイショネ  松が見えます ほのぼのと   松がネ  見えますイソ ほのぼのと 読者のみなさん、 もうちょっとつきあってくださいね。 大洗って、ただの海水浴場ではないのです。 イキな風情の港町だったのです。 ♪三十五反の 帆を捲き上げて 行くよ仙台 石巻  行くよネ  仙台イソ 石巻  船はちゃんころでも 炭薪ゃ積まぬ 積んだ荷物は 米と酒  積んだネ  荷物はイソ 米と酒  葵の御紋に 輝朝日かげ 薫も床しい 梅の花   薫もネ  床しいイソ 梅の花  あれは大洗 大洗松よ 鹿島立ちして 見る姿   鹿島ネ  立ちしてイソ 見る姿  朝日昇るよ 神磯上へ 降りて鎮まる 大洗   降りてネ  鎮まるイソ 大洗 オトーサン、 意気洋々と今夜の宿に到着しました。 読者のみなさん、 「ついにモーテルにしけこむのか?」 「まあまあ、そう鼻息を荒くしないで、話は最後まで聞いてください」 (今も昔も、若い人は、気短でいかんな。  昔のことを知らなきゃ、明日ことも分らんだろうに) 高齢化社会を迎えて、 いま、一人旅が流行しています。 大きな旅館やホテルも対応しはじめていますが、 まだまだ徹底していないので、 おひとり様は肩身の狭い思いがします。 夜遅くまで宴会騒ぎ...最低! 豪華な夕食....そんなもの不要! 過剰な接客...わずらわしい! 安く快適に、一晩ぐっすり眠れるなら、それで充分。 海外には、そうした宿があります。 英国ではB&B、アメリカではモーテル、欧州ではプチホテル。 海外には家族が安心して宿泊できる場所が多いというのに、 日本では、妙な事態になっています。 モーテルが、ラブホテルを指すようになってしまったのです。 オトーサン、 1967年、渡米しました。 目的は、アメリカのモーテル・チェーン 「ホリデイ・イン」の視察です。 その業容に感激して、 日本でもやろうと役員会に提案しました。 事業成功の鍵は集客とみて、 JTBも巻き込み、数社に呼びかけて、 1968年6月14日、日本モビレージ協会を設立しました。 でも、この事業、石油危機であえなく頓挫してしまいました。 一緒にやっていたJTBの担当者は社内で非難の的。 彼は理想に燃えた気骨のある人物で、 会社をスパっとやめて、その後数年間、欧州を放浪しました。 そこで、欧州の宿泊施設に感じるところがあって、 帰国して、日本ペンション協会を興したのです。 このペンション、なかなか軌道に乗りませんでした。 やがて、女性誌で旅行ブームが起きて、 新しい宿としてペンションを紹介するようになりました。 旅館、ホテル、民宿にあきたらない若い女性を中心に流行しはじめて、 やがて、家族連れも殺到するようになりました。 日本中にペンションが雨後の筍のように誕生していったのです。 「...その後、ペンションは堕落したなぁ」 協会が、初期の志を失い、儲け主義に堕落したのです。 「シンプル・イズ・ベスト」なのに、 夕食を出して稼ぎ、オーナーの趣味で客を引き、 かえって客に気まずい思いを抱かせることになっていくのです。 オーナー夫妻も、頑張りすぎて、疲れるわ、病気になるわ。 もう年をとったので、引退したいと思っても、 肝心のペンションが売却しようにも、まったく売れない始末。.. いまや、どうしようもない状況になっているのです。 オトーサン、 大洗の宿をネットで検索中に、 ファミリーロッジ旅籠屋・水戸大洗店を発見。 半神半疑で、内容をチェック。 「ホームページ、よくできているなぁ」 内容が分かりやすく、社長の奮闘記もあります。 「創業10余年のベンチャー企業なのだ!」 アメリカのモーテルを全身全霊をかけて、 日本で実現しようとしていることが分かってきました。 「おお、ついに現れたか!」 前に躓いたものとしては、感慨ひとしおです。 そこで、早速、電話しました。 落ち着いた感じのいい男性が電話口に出ました。 事情を話します。 「あのー、平日は1泊 5250円なのですが、  明日は、休前日なので、8400円になりますが、  それでも、よろしいでしょうか?」 「いいとも!」 てなことで、泊まってみることにしたのです。 オトーサン、 「この宿、駐車しやすくていいなぁ」 宿の初老のご主人に挨拶します。 百年の知己のような気がします。 「そうそう、この感じだ」 草創期のペンションのオーナーがこんな感じでした。 いわく言い難い雰囲気ですが、「大志」を感じるのです。 「え、前払いになっていますが」 「いいアイディアだね。接客の手間が省けるよね」 「ええ」 住所氏名を書き、 木製の軽くて小さいルームキーをもらうと手続き完了。 あとは、ひとりで部屋に行くだけ。 「この部屋、広いな。清潔だ!」 キングサイスのベッドが、どーんと2つ。 ビジネスホテルのせせこましさとは別世界です。 「こりゃ、快適だ!」 ベッドの上で、寿司を食べ、缶ビールを飲み干すと、 もう睡魔が襲ってきました。

○ファミリーロッジ旅籠屋水戸大洗店 住所:茨城県水戸市島田町勝見田3404   電話:.029-264-6600  日本初、アメリカンタイプの健全なモーテル・チェーン   鬼怒川/那須/秋田六郷/山中湖/沼田/北上/仙台亘理/小淵沢/前橋南 客室広さ 25平方m 素泊まり(朝食無料)   チェックイン:1500/チェックアウト:1100 料金:1名 5250円/2名 8400円/4名 10500円 www.hatagoya.co.jp


6 我輩、大洗海岸を快走せり!

オトーサン、 「よく寝たなぁ」 いつものように午前6時に起床。 隣室の迷惑にならぬように音を小さくして、しばらくTVを見ます。 「そうだ、散歩しよう!」 宿から数十メートルのところに、セブン-イレブンがあります。 スポーツ紙とヨーグルトを買って、部屋に戻りました。 「7時だ」 ロビーへ。 焼きたてのパンのいい匂いがします。 宿の新聞を読みながら、コーヒーとクロワッサンの朝食。 朝は、奥さんが仕切っているようです。 この奥さん、話し好きです。 「誰かに似ているなぁ、そうそう、福島瑞穂さんだ」 社民党の党首ですよね。 オトーサン、 「えー、7時30分、スタートします」 奥さんにもらった手書きの地図を参考にしながら、 目印にした大洗駅をまず目指しました。 「分からんなぁ」 犬と散歩中の女性に聞いて、 7時48分、2.33kmで、大洗駅に到着。 簡素な駅舎でした。 駅から、適当に坂を下っていくと、 やけに高い塔の下に出ました。 「えー、8時00分、3.70km。  ここが、マリンタワーなのか」 テントがたくさん張られています。 今日は、11月3日、文化の日。 幟には、”商工会感謝祭”とあります。 この後、何かの市が開かれるのでしょう。

オトーサン、 海岸線を走ります。 「ここか、フェリー乗り場は」 誰もいませんが、案内所まで行ってみました。 「苫小牧まで片道クルマを積んでいくと、2万4000円。  出航は午後6時30分、翌日の13時15分に着くんだ。  フェリーの旅も案外いいかも」 わが家から1時間強で大洗に着くのですから、 羽田に出るより近いかも知れません。 C4で北海道の大地を走り回ったら、さぞ気分いいでしょう。 オトーサン、 この後、海岸線サイクリングを堪能しました。 魚港の海山直売センターでは、 さざえの串焼き(250円)を食べてみました。 「どこから来たんだ?」 「千葉県の柏から」 「えらいもんだ」 「いや、クルマできたんですよ」 「そうだろうな」 「ありゃ、小銭がないな。おじさん、千円札でいい?」 「小銭は、いくらあるんだ」 「150円しかないんですが」 「それでいいよ」 港町のひとは、言葉遣いは乱暴ですが、人情家です。 オトーサン、 この後、茨交大洗ホテルや大洗海岸公園を経て、 アクアワールド(水族館)に到着しました。 その前は、那珂川の河口。 「えー、9時05分、9.40km、河口に出ました。 那珂川って、大きな川ですねぇ」 赤い海門橋をいれて、雄大な風景を撮りました。 大洗の海岸線、 快適にサイクリングできるか心配していましたが、 歩道が整備されていたので楽しめました。

オトーサン、 「ありゃ、行きどまりだ!」 那珂川を遡り、涸沼川に出て、 川沿いに宿に戻ろうとしたのですが、 1kmも走らないうちに、行きどまり。 どのホテルの敷地なのでしょうか? 階段を登って、さらに長い坂を登っていくと、 何という名前か分かりませんが、 大きな公園沿いの歩道に出ました。 「うん、ここから海へ降りよう」 長い坂を猛スピードで降り下りました。 突き当たりは、さきほど通過した茨交大洗ホテル。 このホテルのそばの海岸に神磯鳥居があります。 ♪朝日昇るよ 神磯上へ 降りて鎮まる 大洗   降りてネ  鎮まるイソ 大洗 「マリンタワーは、すぐそばだ」 青い海をみながらの海岸線サイクリングを楽しみました。

オトーサン、 「ありゃ!パンクだ」 見事に後輪の空気が抜けています。 走り出してから13.92km地点でした。 「弱ったなぁ」 すぐ先にガソリンスタンドがあったので、 若いお兄さんに、タクシーを呼んでもらいました。 「電話代ですか。そんなものいいですよ」 「キミ、いい奴だなぁ。あとでガゾリン入れにくるからね。  自転車、預っといてね」 宿までのタクシー代は、1000円ですみました。 「お客さん、釣りにきたのかね」 「サイクリングですよ」 「....」 ここ大洗では、サイクリングは、 スポーツとしての市民権を得ていないようです。 オトーサン、 10時チェツクアウトしました。 話し好きの奥さんと、しばらくおしゃべりしました。 「夕食の支度がいらないといっても、  部屋の掃除とか、大変じゃないですか?」 「ウチは、12部屋ですから、楽ですよ。  ベッドメイキングなんか、素人でもできるし」 「そうですか」 「そうなのよ」 「あの、.そのぬいぐるみ、売って下さい」 「どれにします?ほら表情がいろいろあるでしょ」 「どれがいいかなぁ、選んでください」 「じゃ、これ、どうですか?」 「眠たそうな顔していて、可愛いねぇ」 「これが、一番、評判がいいみたい」 「いくらですか?」 「1000円です」 「ほんとに、これ可愛いねぇ。娘が喜ぶかも」 「この本、お持ち帰りください」 「いいの?1500円もするよ」 「社長さんが何冊か置いていかれたので、いいですよ」 ・東京中日スポーツ編「起業前夜 夢を追え、ベンチャー11人の挑戦」  東京新聞出版局 2005年 1500円 オトーサン、 「えー、10時30分、マリンタワーに戻ってきました。  おお、すごい人出です、駐車場は満車状態!」 ここでは、あんこう汁(200円)を注文しました。 おみやげに、あんこう(2000円を買いました。 あんこうの肝は、海のフォワグラ。 今夜のお鍋が楽しみです。

11時00分、ガソリンスタンドへ戻って満タン給油。 11時27分、水戸大洗IC。 12時14分、柏IC。 12時43分、帰宅。 サイクルコンピュータの総走行距離をチェックしました。 ロードレーサーを買ったのは、 7月10日で、今日は11月3日。 おおよそ110日で、1596kmを走っていました。 「結構、走ったなぁ」 ちなみに、東京から主要都市への距離は、以下の通リです。 ・東京-熱海 100km ・東京-静岡 200km ・東京-名古屋 400km ・東京-大阪 600km ・東京-福岡 1250km


7 我輩、冬支度に入る

オトーサン、 「えー、今日もいい天気ですね、9時36分スタートします」 増尾駅から輪行で、運河駅まで。 早い時間ですが、この先、店がないので、 駅前のオーブン・フレッシュ・キッチンで、パンとアイスコーヒー。 「お元気ですね」 なじみの女店員さんに、声をかけられました。 10時45分、いよいよサイクリング開始。 準ホームコースの利根運河も、久しぶり。 この「時を超える旅人」には、初登場なので、 「なこうどばし」の上から写真を撮りました。

オトーサン、 「えー、11時11分、8.04km、常磐道の下を通過しました」 江戸川の河原は、ススキの白い穂の世界。 ここのサイクリングコースは、走りやすいので、つい飛ばしてしまいます。

「えー、いま、速度、34.04kmです」 「えー、11時22分、11.81km、流山橋を通過しました」 その手前のイトーヨーカー堂で、冬物のウェアでも買おうと このコースを選んだのですが、スピードの誘惑に負けました。 飛ばしていると、なかなか停車しにくいものです。 「まあ、いいや、松戸で買えばいいや」 オトーサン、 その後も飛ばして、 11時45分、19.55km、もう松戸へ。 ランドマークの伊勢丹が大きく見えます。、

適当に江戸川の堤防を降りると、赤い橋が。 坂川にかかる最後の橋、赤杁橋です。 「紅葉も、もう終りだなぁ」 今年も、京都の紅葉を見損ないそうです。

伊勢丹に入ろうかと思いましたが、 「この格好ではなぁ」 思いとどまって、Dマートへ。 ハイソックスを買いました。 半スボンでは、昼間はともかく、朝晩は肌寒く感じます。 オトーサン、 帰路につきます。 ここから自宅までは、前回、開拓済みなので気楽心です。 線路沿いを走って、国道6号へ出ました。 「スポーツ・オーソリエィがある、覗いてみるか」 時計をみると、まだ12時54分、26.17km、 自転車用品でも見て行くことにしました。 この松戸店、トイザラスなどの影にかくれて目立たぬ存在です。 でも、中に入ると、NYのお店と雰囲気はそう変わりません。 「規模は小さいなぁ」 その昔、NYで入って、その広さと品揃えに感動しました。 「日本にも、こんな店できるといいなぁ」 そう思ったもの。 「おー、バイク用のタイツがある!」 流石、スポーツ・オーソリエィ、ちゃんと置いてあります。 しかも、お値段は、3999円! この業界の大手パールイズミの半額以下じゃないですか。 「これ、Sサイズだ。Lサイス、ないかね?」 「すみません、品切れで」 「がっかりだなぁ」 未練がましく、ラックを探していると、Lがあるじゃないですか。 「ここに、あったよ」 みると、ハンガーには、Sと書いてあります。 作業ミスのようです。 こんな調子では、遅かれ早かれ、日本市場から撤退するのでは? 「お宅、いま日本に何店舗あるの?」 「60店舗です。今年で10周年になりました」 「へぇ、頑張ってるんだ」 でも、後で調べたら、株の大半をイオンに売却していました。 ○(株)メガスポーツ   設立:1995年8月       株主:イオン80.1%、米スポーツオーソリティ社19.9%    住所:東京都中央区日本橋牡蠣殻町1-36-5    電話:03-5644-3666 スポーツ用品チェーン店    (ゴルフ、スキー、スノーボード、テニス、ランニング、靴、   野球、サッカー、バスケットボール、フィットネス、   自転車、サプリメント、サーフィン、キャンプ、トレッキングほか) オトーサン、 その後、気をよくして、国道6号線の歩道を走りました。 武蔵野線の鉄橋下あたりから、下り坂になります。 「狭いけど、飛ばしてみよう」 途中、路面が荒れていて、ガツンと手に響きましたが、 気持ちよく走り終えました。 北部市場交差点。 ここで右折して、小金原団地ヘ向かいます、 「ありゃ、サイクルコンピュータがない!」 飛ばしたせいで、どこかに落としてきたようです。 「戻って、探し歩くか、面倒だな」 何しろ、捜索範囲は、優に1kmに及ぶかも。 「あれっ?」 何かがぶら下っています。 「あった!そうだ、取替えたんだ」 ワイヤレスセンサーは、 車輪の回転信号を無線で送受信するハイテク製品。 思い切って買ってみたのですが、 取り付け部がすぐにゆるんでしまうので、 頭にきて、ついに先日、旧式のケーブル式に交換したのです。 だから、メーターが衝撃で外れても、 ワイヤーの先にちゃんとぶら下っていたのです。 「旧式のほうがいいよな」 「えー、帰宅しました。1時36分、31.35kmでした。 平均速度?最高速度?」 表示されません。 そうでした。 走行速度、走行距離、積算距離、カロリーは表示されるのですが、 平均速度と最高速度が省かれていたのです。 オトーサン、 「こりゃ、あかん」 そこで、CATEYEのホームペ−ジを探し当てました。  ・www.cateye.co.jp/cateye 「そうか、こんなにいいものがあるんだ!」 こちらは、自転車に装着するのでなく、腕時計型になっています。 ○キャットアイ:MSC-3Dx(ケイデンス機能付き)   希望小売価格:3万1290円   心拍計とサイクロコンピュータを融合させたモデル。   腕時計型のボディはあらゆるスポーツで使用でき、   使いやすさを特徴としています。   心拍数・走行速度・走行時間を42時間記憶可能。 このデータは、パソコンにダウンロードし分析することもできます   心拍目標ゾーンは、アラーム音とともに4つまで設定が可能で、   トレーニングの幅が広がります。 防水性能をアップしているので、水泳にも使用可能です。  送信距離を延ばし(約80cm)、より広いエリアをカバー。 「いいないいな、高いけど買うべし!」. 「あっ!」 よく読むと、生産中止品とあるではありませんか。


8 我輩、関宿城へ快走せり!

オトーサン、 「えー、9時02分。  秋晴れのいい天気ですね。  いま、野田市スポーツ公園にいます。  C4からロードレーサーを積み下ろしたところです」 今日は 久しぶりに利根川べりを関宿城まで往復するつもり。 往復すると、42km、マラソンの距離になります。 サイクリングを始めた頃、走り切って、大喜びしたものです。 もう楽勝だろう。 重いクロスバイクから軽いロードレーサーに変えたことだし。 オトーサン、 「気持ちいいですねぇ。ちょっともやっていますが。  つい、スピードを出してしまいますね」 スピードメーターをチラッと見ると、31kmを超えています。 「えー、9時15分、4.43km、芽吹大橋にきました」 赤い橋が、空間を切り裂いています。

「えー、9時39分、12.44km、下総利根大橋にきました」 橋下の日陰に腰を下ろして、お茶をごくごく。 アンパンを1ケ食べました。 「そういえば、夏は、この日陰がうれしかったなぁ」 「そうそう、関宿城へ行った帰り、ここで足が吊ったっけ」 スポーツ・オーソリティで買ったタイツも、通気性がよく、 快適なサイクリングをサポートしてくれます。 オトーサン、 「ちょっと、スピード落とすか」 それでも、快適なので、すぐに高速ツーリングへ。 「小砂利が気になるなぁ」 タイヤに充分空気を入れてきたので、跳ね飛ばしますが、 それでも、出来るだけよけて走ります。 この前、大洗でパンクしたので、用心用心! 「えー、10時15分、21.79km、関宿城にきました。 おー、1時間ちょっとで着いたなぁ」 ここへくるといつも立ち寄るけやき茶屋へ。 「あれ、まだ開店してないや」 開店時間まで、待つことに。 汗をかいたTシャツを自転車にかけて干します。 上半身裸でも、寒くありません。 まさに、小春日和。 「えー、10時55分、スタートします」 お店でうな丼(750円)を注文。 はじめて、お店のおじいさんに出会いました。 83歳とか。実に、おだやかなお顔でした。

オトーサン、 利根川を戻る予定でしたが、まだ時間も早いので、 気が変わって、江戸川を走って帰ることに。 「えー、江戸川は、やはりサイクリストが多いですねぇ」 利根川では、たったひとりしか出会いませんでしたが、 ここでは、ひっきなしにすれ違います。 「えー、11時20分、30.54km、宝殊花橋にきました」  ここから、右岸に渡ります」 「えー、11時32分、37.45km、野田線の鉄橋下を通過しました」 堤防の上に戻って、休憩することにしました。 また、上半身裸で、Tシャツを乾かしました。 電車が通過したところを撮影しました。 「おっ、サイクリストだ!」 なかなか撮る機会がないので、撮ってみました。

「えー、12時07分、43.10km、野田橋を通過しました」 「えー、12時17分、46.32km、玉葉橋を渡って左岸に出ましょう」 橋の上から江戸川を撮影しました。

オトーサン、 「えー、12時29分、48.48km、利根運河の河口公園に着きました」 ここまでくれば、着いたも同然。 お茶を飲み、アンパンを1ケ食べました。 こうやって、適度に甘いものを取るといいようです。 「えー、利根運河ももう終り、利根川の水門が見えます」 利根川を上流へ3kmほど遡ると、スタート地点のスポーツ公園。 でも、残念ながら、未舗装なので、迂回します。 「えー、1時18分、59.90km、スポーツ公園に着きました」 あと100m、走れば、60kmとキリがいいのですが、 もう距離にしばられる必要もないでしょう。 公園のトイレを使った後、 輝くような緑の芝生に寝そべって、またアンパン1ケを食べました。

読者のみなさん、 このサイクリング・コース、おすすめですよ。


9 我輩、手賀沼に憩う

オトーサン、 「今日もいい天気だなぁ」 でも、今日は、完全休養日。 昨日、関宿まで遠乗りしたのですから、休まなくては。 「サイクリングしないかも知れないけれど、 一応、C4に自転車を積んでおくか」 柏市図書館しょうなん分館へ本を返却にいくことに。 その後、道の駅の野菜直売所へ。 「なーんだ、今日は休みか」 その後、手賀沼湖畔の養鶏場へ。 ここの卵の直売は新鮮だし、巨大卵を選べたりできるのです。 黄味が2つ入っていたりして。. オトーサン、 「腹減ったなぁ」 こういう陽気の日に、店で食べることはありません。 「そうだ、お弁当を買おう」 運動した後は、コンビニのおにぎりで大満足なのですが、 今日は、ちょっと趣向を変えてみました。 地元高級スーパーのKEIHOKUで、ぴり辛鶏丼を発見。 「さて、どこで食べるか」 いわゆる公園では、落ち着きません。 やはり、景色がよく、人気の少ない場所で食べたいもの。 湖畔の遊歩道をサイクリングしはじめました。 オトーサン、 「えー、いま、11時44分、3.51km地点。  五本松広場にきました。   うん、ここだ。ここがいい!」 眼の前は、手賀沼の輝き。 背中にには、高台にある五本松公園の森。 芝生に寝そべって、 頭は木陰、足は日向と場所も厳選しました。 寝っころがって、片肘ついた姿勢をとります。 そのままの姿勢で、ご飯を一口、 「うん、鶏の味がよくしみている」 「このネギがうまいなぁ」。 誰も見ていないから可能な食事のポーズです。 お茶のときだけは、流石にその姿勢ではムリなので、 起き上がります。

オトーサン、 めずらしく長時間かけての昼食でした。 と言っても、30分くらい。 食後、自転車を眺めたり、いじったりして。 「えー、12時15分スタートします。 今日は、走る予定ではなかったのですが、 手賀沼を一周だけしてみましょう」 フィッシングセンターを通過して、沼南側に出ます。 先日開通した高速走行可能な自転車専用道路に入ります。 「やはり、飛ばすか」 「どのくらいのスピードが出ているかな?」 「ありゃ、ゼロだ」 「このサイクルコンピュータ、もう壊れたのか」 「そうか、そうなんだ」 ハタと原因に思い当たりました。 先程、食後の休憩時間中に、 ホイールについていた部品を外したのです。 というのも、前のやつの部品が残っていると勘違いしたのです。 「巧くいかんなぁ」 「留め金、どこに落ちたんだ?」 黒いアスファルトの路面と同色のごく小さい部品なので どこにあるのか、さっぱり見分けがつきません。 「おーい、留め金くん、早く出ておいで」 結局、20分後に、何とか作動するようになりました。 高速ツーリングの出鼻をくじかれました。 「ま、今日は、いいか、 スローサイクリングで行こう!」 てなことで、ときどき立ち止まって景色を撮影しました。 いままで気づかない風景が撮影できました。

オトーサン、 この後、順調に沼南側を走り終えて、 ふと、その気になって、我孫子側の手賀沼公園へ。 「へぇ、お絵書きか」 絵画教室の野外講座でしょう。 エプロン姿のおばさんのキャンパスを覗きこみました。 「お上手ですね、いい色が出ている」 「ありがと。あなたも、おやりになったら?  メンバー募集中よ」 「親戚のおじさんが日展に出してたなぁ」 「そうですか」

読者のみなさん、 写生対象の風景も撮影したので、比較観賞してください。 ま、こんないい加減なサイクリングもあってよいのでは。 距離や時間を競わない、自転車散歩。 いろいろな出会いに恵まれたりして、なかなか魅力的です。


10 我輩、布施弁天へ新ルート

オトーサン、 「おお、今日もいい天気だ」 秋晴れの小春日和。 1年に滅多にない雲ひとつない快晴。 「えー、9時20分、スタートしました」 「えー、10時02分、7.47km、途中自転車屋さんに寄ったので、  少し遅くなりましたが、手賀沼にきました」 最近は、パンクが怖いので、こまめに空気を入れるようにしています。 自分でも入れられますが、プロに頼んだほうが安心。 「えー、10時10分、9.68km、北柏橋へきました」 大分前、ここから大堀川沿いに北上し、布施弁天を目指しました。 取手方向へ国道6号線の歩道を走り、濡れた鉄板上で転倒。 左折して、国道7号線の狭い歩道を北上中に、またもや転倒。 フロントバッグが壊れました。 そんな苦い体験があります。 このとき、2つの教訓を得ました。 「交通量の多い幹線道路沿いは走るな」 「雨の日の鉄板は、必ず滑る」、 オトーサン、 雌伏数ケ月、布施弁天へのよいルートがないか、 ずっと、頭のどこかで考えていたようです。 先日、野田市スポーツ公園へC4で行ったとき、 ぬけ道を駆使していて、新ルートを思いついたのです。 「なーんだ」 瓢箪から駒、棚からボタモチ、コロンブスの卵、 なぜ、こんな簡単なルートを思いつかなかったのか、 自分でも、不思議です。 下の地図をご覧下さい。 赤いのが新ルート、黒いのが転倒ルート。 ほんとうに簡単でしょう。

オトーサン、 街路樹が色づいててきた広い歩道を走りました。 「えー、10時20分、10.87km、ヤナセに出ました。  ここを右折します」 「この道も、いいじゃん!」 アサヒ飲料と伊藤ハム、 柏市きっての多額納税企業の前だからでしょうか。 歩道が実によく整備されていて、段差もなし。 「えー、10時30分、11.80km、 国道7号線にぶつかりました」 根戸の交差点です。 すぐそばに、自転車屋オッテイモさんがあります。 「ありゃ、今日は、お休みか」 直進すると、大利根有料道路へ出るのですが、 平行して走る旧道を行くことに。 その昔、布施弁天への参拝客で賑わった街道だったせいでしょう。 ゆるやかな美しいカーブもあり、風格がある家並みが続きます。 サイクリストには、夢のような道です。 オトーサン、 「何だ、こりゃ?」 突然、天空に巨大恐竜の看板が現れました。 「オリエント企画?」 作業場に近寄って、取材しました。 「ウチの看板のPRだよ」 「お宅の技術力を示しているわけ?」 「そう」 やっと笑ってくれました。 でも、なぜ、赤い恐竜なのか、理解に苦しみます。 そんな疑問を抱きつつ、走り続けます。 「えー、10時45分、14.05km、布施弁天へ着きました」 いつものように弁天茶屋の前に自転車をとめます。 「ん?霊園募集中。  あの赤い恐竜とこの紅龍、関係があるのかも」

オトーサン、 布施弁天の急な階段を登っていきます。 本堂の裏手に出ると、突如、眺望が開けます。 「お−、さすが大利根、壮大な河原だなぁ」 この後、帰宅して調べたら、紅龍の由来が判明しました。 ○紅龍山東海寺   利根川を見下す高台にあり、   本堂、客殿、三重塔、総門が立ち並ぶ。   嵯峨天皇の勅願により、弘法大師が開基した。 807年、天地が振動して、夜な夜な不思議な光が射した。   7月7日の朝 湖上に赤い龍が現れ、島を造った。  紅龍が作った島で御像を村人が発見し、藁葺きの祠を建てる。  祭られている布施弁天は、江ノ島、上野不忍池と並ぶ関東三弁天の一つ。   なお、現在の本堂は総朱塗りで、三方破風入母屋造り。   1717年に造られたもの。 オトーサン、 「そうか、あの赤い恐竜は、 湖上に現れた赤い龍に因んだものだったんだ」 こんな新発見、スローサイクリングならではのものでしょう。


11 我輩、新駅へのルートを模索せり!

オトーサン、 布施弁天から「あけぼの山農業公園」へ。 「おー、やってるなぁ」 またもや、お絵書きグループに遭遇しました。 数人のおばさんたちの絵を見て回りました。 「うーん」 言っちゃ何ですが、小学生のほうがマシ。 「もう一人いるな」 若い女性がグループと離れてキャンパスに向かっているので、 やや期待して近寄ってみました。 「うーん」 こちらは、幼稚園並み。 子供でも、輪郭くらい木炭で書くじゃないですか。 それを省いて、最初から絵の具を塗りたくっています。 「お上手ですね」 「ありがとう」 「お若い方が、油絵とは珍しい」 「ウチにいても、ムシャクシャするから、絵を描きにきたのよ」 「あなたみたいな美人でも、ムシャクシャすることなんかあるの?」 「ウチのダンナの言い草がいちいち気に食わないのよ」 夫婦喧嘩は犬も食わないとか。 ノーコメントで立ち去ることにしました。 「あのさ、うちの絵画教室、定員に空きがあるのよ。 入会しない?」 「おれ、日展に入選したひとだから」 「....」 ウソも方便で、逃げ出しました。 オトーサン、 「そういや、あの絵、どこに行ったのかなぁ?」 日展という言葉で、思い出しました。 親戚の日本画家からもらった絵のことです。 このおじさん、日展の審査員もやっていたとか、 画家としては、いい線を行っていたようですが、 おばさん泣かせのひとでした。 昔の画家はみなそうだったのでしょうか。 いい画材を求めて各地を放浪。 長逗留している間に、あちこちで女をつくる始末。 たまたま世田谷の自宅に戻っているときに訪問したら、 ご機嫌がよかったとみえて、小品をもらいました。 利根川に小舟を漕ぐひとりの漁師の図。 「天地、我ひとり」の寂寞たる心境を描いたのでしょうか? オトーサン、 いつもは、堤防を横切る舗装路を走るのですが、 風狂の霊に誘われたのか、堤防を上り下りしました。 息がはずみます。 利根川の河川敷きの広いこと。 外堤防があって、田畑があり、 内堤防があって、河原の先にようやく川の流れ。 数キロメートルはあるでしょう。 「えー、11時20分、16.94km、  ようやく大利根有料道路の橋に出ました」 ここまで、利根川の堤防上の砂利道を自転車を押しながら、 1kmほどてくてく歩きました。 ♪利根の川風、まともに受けて 歌の文句そのものの強風。 自転車ごと持っていかれるような風でした。 すっかり汗が引いいていきました。 オトーサン、 この後、橋を渡ったところにあるジャスコで昼食。 「今日のは、格別うまいなぁ」 シェフを呼んで、ほめたいほどの出来栄えです。 といっても、特製やきそば(480円)でしたが。、 昼食後、スタート。 橋を戻って、利根川CRを利根運河に向かいます。 7kmほどあるいつものコースです。 「えー、12時25分、25.28km、つくばエキスプレスの鉄橋下にきました」 いつも、この日陰で休憩するのです。 でも、今日は、なぜか放浪気分。 そのまま、利根運河に行く気になれません。 「この新線沿いに、駅まで行ってみるか」 守谷駅の次は、柏たなか駅。 この駅、国道7号線沿いにあるのは、知っていますが、 また行ったことはありません。 オトーサン、 「あかん、行きどまりだ」 「あかん、砂利道だ」 「あかん、また行き止まりだ」 ようやく、細い舗装路をみつけて、河原から脱出しました。 長い坂を登り終えて、しばらく走ると、国道7号線へ。 「ありゃ」 柏たなか駅から遠ざかっていました。 「やーめた」 思い直して、利根運河へ出ることに。 でも、交通量の多い国道7号線を走りたくはありません。 道路に沿いながら、田舎道を走ります。 畑の中で、行き止まり。 農家の庭に入っていき、犬に吼えられたり、 お墓にぶつかったり、 未知の場所を走ると、いつも、こんな風になります。 オトーサン、 「えー、12時56分、30.21km、ようやく利根運河にでました」 「えー、1時25分、30.21km、運河駅へ到着しました。  今日は、これで打ち止めにしましょう」

いつものオーブン・フレッシュ・キッチンで、 アンパンとアイスコーヒーを頼みました。 この後、自転車を輪行袋に5分!で収納し終えました。 船橋行きの電車に乗れました。 「これなら、柏駅で乗り換えなし、シメシメ」 そう思っていると、何と柏駅で10分待ち。 「これだから困るよなぁ。いまだに単線なんて」 そんなことがあって、また気が変わって、 ひとつ手前の新柏駅で下車しました。 走行距離を2kmくらい増やせるでしょう。 「えー、2時34分、22.81km、自宅に着きました。  あれ?変だな?距離が減っている。  33kmは走っているハズなのに」 どこかで、サイクルコノピュータをリセットしてしまったようです。 積算距離をチェックすると、128.9km。 きちんと計算しなおせば、正確な距離が分かるでしょう。


12 我輩、紅葉の世界へ

オトーサン、 「中央道、集中工事中だけどなぁ」 「でも、年に1回の大会だから」 「混むなぁ」 「遠回りすればいいでしょう」 「そうだなぁ」 てなことで、早朝6時45分に柏ICに入りました。 「加平で渋滞10kmか、こりゃあかん」 三郷から外環へ、大泉から関越へ、鶴が島から圏央道へ。 東京郊外を大回りして八王子ICへ向かいます。 「青梅か」 秩父の山々がみえて、秋色深しの感あり。 「この辺りの感じが昔の武蔵野かなぁ」 あきる野IC1で出ました。 地図では、たったの4kmですが、想像以上の渋滞でした。 ナビの抜け道を駆使して、どうやら八王子ICへ。 「たった4kmなんだから、住民が反対するなら、 大深度地下道にしてしまえばいいのに」 「お金がかかるわよ」 八王子ICへ入ってしまえば、こっちのもの。 あとは、スイスイ走れました。 「いつもより空いてるなぁ」 オトーサン、 お昼過ぎ、山荘へ登る道へ。 「紅葉がきれいねぇ」 「ああ、カラマツの落葉がすごいね」 道の両脇を埋め尽くしています。 風が吹くと、黄色い吹雪のようです、 わが山荘の駐車場も、カラマツの落葉が降り積もっています。

オトーサン、 「この道、走ったら気持ちいいだろうなぁ」 身体がカラマツの黄色に染まりそうです。、 でも、流石に長時間のドライブで疲れたので、 サイクリングは断念しました。 翌朝、坂を3kmほど下って、ローソンまで新聞を買いに。 迂回して、湧き水へ。 この辺は、八ヶ岳と南アルプスの両方が見えるのです。 「雪が降ったみたいだな」 放射冷却というそうですが、一気に気温が下って、 この辺は、零下になったようです。 一面の霜柱。野菜が気の毒です。 「お、ここ凍っている」 

オトーサン、 「少し、気温が上がってからにしよう」 山荘の周辺での早朝練習は中止しました。 「えー、10時20分、もう待ちきれません。  散歩がてら一走りしてみましょう。  いい天気ですねぇ、雲ひとつない快晴になりました」 編笠山に向かってゆっくりと登っていきます。 登りきって、木陰に入るとカラマツの落葉が敷きつめられて、 贅沢な絨毯の上を走っているようです。 滑らないように、スピードは控えめにしました。 「えー、10時30分、2.35km、一回りしました。  やはり、あの坂はきついですね。  ハーハー、ゼイゼイです」

オトーサン、 2周目に挑戦。 暑くなってきたので、手袋を外し、パ−カーも脱ぎました。 防寒用のハイソックスもめくり下げました。 紅葉の世界へと漕ぎだします。 「いいねぇ。夢の中を走っているようだ」 「おっと、スピード出しすぎだぞ」 「コンニチワ」 「お元気ですね」 ご近所さんと挨拶を交わします。 10時55分、7.95kmを走り終えました。 手がかじかんでいますが、汗びっしょり。 半袖のTシャツ姿になりました。 散歩中の厚着した若いひとたちが目を丸くしていました。


13 我輩、おばさんパワーに圧倒される

オトーサン、 「じゃ、急いで出かけよう」 奥方を待たせていたくせに、急がせます。 「ほんとに行くの?」 「タダ食いできそうだからな」 「そうねぇ」 男性読者のみなさん、 女性は、損得勘定なるものに、 異常な情熱を燃やす存在であることをお忘れなく。 公費のムダ遣いをチェックする会計検査院など、 全員、女性で固めたらどうかと思うほどです。 オトーサン、 富士見町役場へ下っていく途中で、 「この橋、いつになったら、通れるようになるのかなぁ?」 「中止でし」 「田中知事が待ったをかけたのは、知っているけど、  ほとんど完成しているのに、勿体ないよ」 「だって、取付け道路の整備にも、お金がかかるでしょう」 「そりゃ、そうだけど」、 奥方を会計検査院に送りこめば、 お役人の予算獲得の常套句、「継続中の事業」なるものも、 バッサバッサと切り捨てることができるかも知れません。

オトーサン、 「おお、駐車場、満車じゃん」 「出遅れたかもね」 「うまいものは、みんな無くなっているかも」 「...」 「まず、千人鍋へ行こう」 「すいとんでしょ、すいとんじゃ」 「すいとんか。なつかしなぁ、いいじゃないか」 終戦後の食糧難の頃、すいとんをよく食べさせられました。 飢餓も体験しました。 骨と皮だけになったもの。 食べられさえすれば、何でもOKでした。 すいとんなんか、ご馳走の部類に入ります。 奥方とは、4つ違いですが、 彼女は、ポストすいとん世代なのでしょう。 おばさんたちが、 せっせと大きな釜からカップに入れてくれます。 「どうぞ」 「ありがとう、2つ下さい」 奥方、 「味はおいしいわね、温まるし」 11月中旬、風が強いので体感温度は摂氏5度くらい。 暖かい汁ものは、何よりのご馳走です。 「もっと、早い時期にやればいいのになぁ」 「でも、農作業が一段落しなきゃ」 「そうか、準備もあるしな」 そう思うと、農家のおばさんたちの手つくりの食物を タダで次々と試食するのは、申しわけない気もします。 「何が一番おいしかった?」 「おれは、あぶらえのおはぎだなぁ、  あとは、いももちかな」 「あたしは、花豆のはちみつ煮かな」 「食ったなぁ」 「あたし、お腹いっぱい。お昼は、いらないわね」 オトーサン、 適当にアンケートを書いて、箱に入れます。 千人鍋のおばさんのひとりに、感謝の意を表しました。 「おいしかったですよ、来年もやってください」 「あんた、どこから来たの?」 「富士見高原スキー場のそば。別荘がある」 「別荘族なの?どこに住んでるの?」 「東京」 「....」 田舎のひとは、どうも素性を知りたがるようです。 おばさんパワーに圧倒されて、早々に退散しました。

○女性が元気!「ふじみ高原地元食材フェスティバル」  テーマ:女性が心をこめて作った食材が       女性の知恵で優しい料理となる  イベント内容:   ・あったか鍋サービス「地粉すいとん千人鍋」   ・地元食材を使った料理の試食「食の市」   ・地元食材を使った料理の競演「ふじみ料理グランプリ」                 開催日:11月12日(土曜日)  開催時間:1000 - 1300 開催場所:富士見グリーンカルチャーセンター  主催:富士見町 / 企画・運営・料理協力:女性19団体 オトーサン、 この後、茅野へ出て、タイヤ館へ。 奥方のMOVE用の冬タイヤを購入しました。 支払いは、当然、奥方。 その場で履きかえて、走り出しました。 「タイヤを変えると、随分、乗り心地がちがうのね」 「なにか、ドッシリした感じがするな」  C4も変えなきゃなぁ」 「高かったわよ、1本2万5000円以上してたわよ」 「そこへ行くと、軽は安いな、1本8000円だもの」 「軽は、何でも、安く上るのよ。  税金も、安いし。でも、燃費は期待外れね」 「でも、最近の軽は、燃費がよくなったようだよ。  MOVEでも、リッター19.4Km出るらしいよ」 「最近の軽は、そんなに燃費がいいいの?」 「ああ」 どうも、余計なことを言ってしまったようです。 奥方、買い替えモードに入ったようです。 いくらか負担せよと言うに決まっています。 「オレ、いま金欠病なんだけどなぁ」 実は、もう1台、シティ・ウォッチング用に 折りたたみ自転車を買おうかと思っているのです。 オトーサン、 八ゲ岳農業大学ルートで、帰路につきました。 「蓼科山がきれいねぇ。もう雪をかぶっているわ」 「ああ、この辺は、見晴らしがいいなあ」 「家の1軒もなくて、360度見渡せるのよねぇ」 「ああ」 景色の話しをしている分には、お金はかかりません。 景色のいいルートを選んで正解でした。


14 我輩、釜無川を走る

オトーサン、 「えっ、今日は帰ってこないの?」 「あら、言ってなかった?」 「ああ」 「じゃ、聞いてなかったのね」 「....」 とにかく、今夜はテニスの合宿で、奥方はいないのです。 「そうか、それじゃぁ...」 おかげで、ずっと気になっていた釜無川サイクリングコースを 走る機会が訪れました。 ○パパステニスクラブ若神子  住所:山梨県北杜市須玉町若神子2852-7  電話:0551-42-5501  クレイコート18面/インドアコート3面  宿泊施設:ツインルーム25室、トリプルルーム4室 ショップ、ミーティングルーム、ラウンジ、レストラン  www.papas-tc.com/wakamiko/ オトーサン、 正午、須玉ICから5分のテニスクラブに奥方を送り届けます。 「じゃ、明日のお昼に迎えにきてね」 「ああ」 早速、国道20号線へ向かいました。 「確か、この辺だよなぁ」 韮崎ICで降りて、国道20号線を北上していくと、 穴山橋を渡ったところに、サイクリングロードの標識が出ています。 「あった、ここだ」 幸い、橋のたもとに10台分の駐車場があります。 いそいそとC4から自転車を下ろし、身支度を整えます。

オトーサン、 「すごい名前だなぁ、この川」 急流なので、水の溜まるところ(釜)が無い そういうことから付けられた名称とか。 この釜無川に沿って、 30kmものサイクリングロードがあるというのですから、 胸の鼓動が高まります。 「往復で60km。  でも、この時間からじゃキツイな。  どこか途中で引き返すか」 ○釜無川  南アルプス北部、山梨県と長野県の県境に位置する鋸岳に源を発し、  上流部では小淵沢町まで長野・山梨両県の県境を成す。  小淵沢町から山梨県域に入って甲府盆地を南流。  この辺りでは釜無川と称される。  市川三郷町で笛吹川と合流、ここから富士川の名で呼ばれる。  さらにそのまま南流し、途中早川、芝川などの支流を合わせ、  静岡県の雁堤のある富士市で駿河湾に注ぐ。 オトーサン、 標識の通り、サイクリングロードに入ります。 「いいねえ、ここの景色!」 七里が岩の断崖を背景に、 公園の紅葉と釜無川の渓流にかかる赤い橋、 そのコントラストが実に鮮やかです。 ○七里が岩  太古に八ヶ岳が噴火し、流れ出た溶岩が  釜無川の流れで削られて断崖を形成している。  甲府盆地まで七里(28km)も続いている。  いまでは、想像もできぬすごい火砕流だった。

オトーサン、 「えー、1時00分、スタートします。わくわくしますねぇ」 公園からスタートというのも、いいじゃないですか。 「ありゃ、凸凹だ」 樹木の根っこが舗装を押しあげたのでしょうか、 すごいショックで、パンクしないか心配しました。 「ありゃりゃ、行き止まりだ」 どうも、この公園がスタート地点ではなかったようです。 「不親切な標識だな」 穴山橋を渡った先からスタートし、 釜無川の左岸を下流に向かって走っていくのです。 その先にも同じ標識があるのですから、 国交省よ、1つ目の標識はムダ遣いですよ。 この標識に限りませんが、 会計検査院は、同省の標識を総点検すべきでしょう。 大きいのが多いし、不必要なものも多いのです。 オトーサン、 「いい場所に作ったもんだなぁ」 左手は、七里が岩。 右手は、南アルプス連峰。 その間を釜無川が流れているのです。 「フランク・パターソンの絵のようだ」 南アの先端が甲府盆地へとなだらかに落ちていきます。

読者のみなさん、 フランク・パターソンをご存知ですか? 英国の有名なサイクリング・アーチストです。 谷垣財務大臣は、大のサイクリング好き。 日光いろは坂も登り切ったとか。 その彼が好きな画家が、このひとなのです。 ○FRANK PATTERSON (1871-1952)  サイクリング・アーチストのフランク・パターソンは、  ヴィクトリア女王時代の英国のポーツマスに生まれた。  当時、自転車は、交通手段としてポピュラーになりつつあった。 万人に田園地帯の旅行をもたらしたのである。 パターソンもそのひとりで、サイクリング・アートは、  生涯の情熱の対象となっていった。 自転車雑誌“C.T.C. Gazette”や数多くの出版物に 59年間にわたって数千点の絵を描き、  自転車の黄金時代を記録したのだった。  スタジオは、サセックスのカントリーにある  彼の愛する Pear Tree 農場にあって、 そこで、作業し、家族を育て、楽しみ、  そして、まったくのカントリー・ジェントルマンになった。  彼は、サイクリングのストーリーを  その卓越した線、空間、細部を優れた観察力と独特のムードで記録し、  伝説的存在となり、また世界的な巨匠と認められるようになった。 ・www.wallbike.com/holidaygifts/pattersonprints.html  オトーサン、 「こりゃ、ひでえなぁ」 まるで、手入れというものがなされていません。 雑草が行く手を塞ぎ、道幅ゼロの部分もあるほど。 「えー、1時11分、2.68km、入戸野橋にきました」 「ひどいねえ、こんなところを走るのか」 砕石場の裏手、安アパートの裏手、パチンコ屋の裏手... ゴミの山、ひしゃげた物置を覆う青いビニールシート、 見境なく吼える犬どもは、雑種でしょう。 「このCR、山梨県の恥部をPRしてるようなもんだなぁ」 国道20号線を走っていると、気づなかい恥部のオンパレード。 「こんなのCRじゃないよ。もう走るのやめよう」 腹の底から怒りが湧いてきました。 「ありゃ、ここで終りか?」 1時30分、8.35km地点で、橋にぶつかって、終り。 「確か、30kmあるはずなのになぁ」 自転車をかかえて、階段を上りました。 オトーサン、 「でも、この橋、何という名前かな?」 ”たけだばし”と書いてあります。 「ふーん、たけだばしねぇ」 ここから、あのCRを引き返す気にはなれません。 自分が惨めになってきます。 とりあえず、橋から上流方向の風景を撮影しました。 「大自然はきれいなのになぁ」

オトーサン、 橋の中程で、 自転車に乗っている中学生に出会いました。 「すいません。あちら側、走れるかなぁ?」 「ええ、農道があります」 「そう、ありがとう」 釜無川の右岸を上流に向かいます。 「いい道だなぁ、空いてるなぁ」 まったくクルマが走っていません。 人影もなし。 遠方に家がちらほら。 その昔、農林省が建設省に対抗して、 「農道」という名目で立派な道路をつくりまくりました。 「農道空港」なるものまでつくってしまったのですから、 高度成長時代の無駄遣いの最たるもの。 でも、おかげで、 こうして気持ちよく走っていけるのです。 「いっそのこと、第一級自転車道路に指定するか」 「さっきのCR、あれは何のために作ったんだ?」 時々、長い坂があって、 そういうところでは、息が切れますが、 適度に坂やカーブもあって、変化に富んでいます。 視線の先に八ゲ岳連峰を見ながら走るなんて、 最高のサイクリングロードです。 「えー、1時56分、16.10km、梨北農協円野共選所にきました」 はじめて出あった大きな建物です。 ここで、休憩することにしました。 「あれ、何だ?」 畑の中に、妙な像が。 戦国武者のようですが。

オトーサン、 「えー、2時03分、16.71km、穴山橋に戻ってきました」 山荘に戻って、地図で確認してみました。

「そうか、あの戦国武者は、武田信玄なんだ!  たけだばしは、武田橋なんだ!  あの橋のすぐそばに、武田八幡宮があったんだ。  しまった、寄ればよかった」 ○武田八幡宮   822年創立、甲斐漏氏の守護神であり、  武田家初代・信義がこの地を台めるための氏神だった。  本殿は1541年に信玄が再建したもの。  国の重要文化財となっている。  住所:山梨県韮崎市神山町北宮地


15 我輩、寒風の野辺山高原を走る

オトーサン、 ホームページの原稿が一段落して 「さて、この後、どうしょようかなぁ?」 お昼には、テニスクラブに 奥方を迎えに行かなければなりません。 それまでの数時間、ヒマ。 「そうだ、野辺山高原をサイクリングしてみよう」 先日、買った本が面白かったのです。 ・白鳥和也「スローサイクリング」平凡社新書 2005年 この本の副題は、「自転車散歩と小さな旅のおすすめ」 まさに、オトーサンの同志です。 「文章のうまいひとだなぁ」 例えば、野辺山高原についての記述。  私は、そのような、神的な空虚に浸透された風景の中に  間違いなく自分がかつて立っていたという確信のような感覚に襲われた。  それはめまいのようであり、幻惑のようなものでもあったけれど... そのうち、後席のかみさんが静かになった。  別の時代に迷いこんでしまったかのような、  この土地のあまりの静寂ぶりに、涙を滲ませていたらしい。  ...かみさんには、この高原が初めての「涙がこぼれるほどの風景」だったのだ。 オトーサン、 「えー、9時47分スタートします、野辺山駅へ向かいます」 山荘から八ケ岳高原ラインはすぐ。 小渕沢から山梨県県営八ケ岳牧場、まきば公園、 そして、あの清泉寮入り口をへて、学校寮入り口へ。 そこから141号線に出るのです。 カーブに次ぐカ−ブ、適度な起伏。 昨年までは、日本カーオブサイヤーの審査が、 小渕沢のリゾナーレで行われていたので、 審査員である自動車評論家の先生方が、 この高原ラインを走って、クルマの性能を確認していたのです。 「このC4、ほんとうに、いいクルマだなぁ」 制限速度40kmですから、無茶走りはできませんが、 時速50kmから60kmでカーブを楽々と抜けていく快感がたまりません。 「今日みたいに空いていれば、自転車で走ったら、楽しいかも」 標高1300mで空気が薄く、かなりキツイはずですが... オトーサン、 「えー、9時47分、山荘から26km、  小海線の野辺山駅に着きました」 気温は、摂氏10度、 オフ・シーズンで、夏の賑わいがウソのようです。 おかげで、駅前に駐車できました。 これは、うれしいことです。 自転車をC4から下ろしました、 手袋は、フリースの指先まであるものを持ってきました。 「風が強いな」 その分、かなり寒く感じます。 「一応、この標識の写真を撮っておこう」 ・国鉄最高地点野辺山駅1345m67。

オトーサン、 「さて、どっちへ行こうか」 白鳥さんの本には、ルート図が載っていないので、 とりあえす、土地勘のある滝沢牧場をめざすことにしました。 すぐに、国道141号線に出ました。 こんなところにも、セブン-イレブンがあります。 「そうだ、お茶を買っておこう」 薄皮アンパンも買いました。 八ケ岳山麓の人里離れた場所を走るのですから、 食料と水は、必需品です。 「ここ、かなりの坂なんだなぁ」 それでも、走り出したばかりですから、まだ元気。 「えー、10時45分、2.09km、滝沢牧場に着きました。  ありゃ、今日は休みですね」 暖かいミルクでも、飲もうかと思っていたのですが。

オトーサン、 滝沢牧場の前を通過し、しばらく平坦路を走ってから、 八ケ岳に向かって走りはじめます。 雄大な八ケ岳連峰へ向かっての畑のなかの一本道。 「平坦にみえますが、かなりの坂ですね」 「長いなぁ。まるで進んでいない」 「風がアゲインストだ。きついなぁ」 「休もう、いや、もう少し頑張ろう」 最も軽いギアにしているのに、それが重く感じられるのです。 「ハーッ、ハーッ、ハーッ、ハーッ、ハーッ、ハーッ」 あえぎながら粘りに粘って走り続けました。 スキー場とおなじで、 我慢して登った分だけ、滑降が楽しめるはず。 「休もう」 途中で、一休み。 「ハーハー、ハーハー、ゼイゼイ」 荒い息がやや収まったところで、お茶を飲みました。 アンパンも1ケ食べました。 前方を見やります。 「あれが、主峰赤岳だな」 標高2899m、もう冠雪しています。 これまで走ってきた道を振り返ります。 「うーん、こちらは、ニセ八か、似てるなぁ」 主峰は、金峰山、標高2595mです。. ぐるりと見回しても、家の1軒も見当たりません。 ここでは、地球が丸いことを実感できます。

オトーサン、 「もうひと頑張りするか」 前方に、何かの石碑がみえます。 「ハーッ、ハーッ、ハーッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」 「もうダメ、体力の限界!」 石碑のある広場に倒れこみました。

「痛い、お腹が痛い」 アンパンを食べてすぐきつい運動をしたせいでしょうか。 上り坂では、大腿四頭筋だけでなく、腹筋も使うので、そちらかも。 時計をみると、10時58分、走行距離は、4.3km。 「たったの4.3kmか」 この広大な大地のなかでは、虫が這っているようなもの。 「冒険家の植村さんは、こんななかを這っていくのが、  好きだったんだろうな」 でも、オトーサンは、俗人。 汗ばんだ身体が、寒風で冷えてきました。 オトーサン、 これ以上、登っても面白くなさそうなので、 下ることにしました。 一気に下るのも、惜しい気がするので、 開拓記念碑から、平行して走る道へ行ってみることに。 「おー、走る、走る!」 見た目よりも急坂のようです。 それも長い坂ですから、スピードが上っていきます。 「時速35kmです」 さらに、スピードが増しますが、 サイクル・コンピュータを見たりすると転倒しそう。 「リラックス、リラックス」 恐怖で腕が硬ばりますが、却って危険なので、 あえて、ゆったりとハンドルを握ります。 ツール・ド・フランスの選手は、 ダウンヒルで、時速120kmは出すとか。 考えるだに、恐ろしいことです。 オトーサン、 「えー、11時15分、7.77km、野辺山駅に戻りました。 下りで、冷えきりました。 ちょっと距離が少ないですが、 今日は、これでやめましょう」 C4に自転車を収納して、着替えもして、 ジャンパー姿に戻りました。 駅のそばにある軽食喫茶「ピクニック」へ。 「昼メシでも食おうや」 古びた店に入ります。 先客は、1人。 「すいません、何が食べるものありますか?」 「そうね、定食とスパゲティくらいだね」 「スパゲティ・ミートソース、ありますか?」 「あー」 おばさん、無愛想を絵に書いたようです。 オトーサン、 そこで、一計を案じました。 「あのさ、この本を読んで、お宅へ来たんだ」 「じゃ、サイクリストなの?」 「そう」 「白鳥さん、来てその本を置いていったのよ」 おばさん、急に機嫌がよくなりました。 「お宅の紹介の仕方、最高だよ」 「寒かったでしょう」 「そう、風も強かったし」 「昨夜は、零下7度だったのよ」 「冬の野辺山は寒いよねぇ」 「零下20度なんて、しょっちゅうだからね」 「そんなに寒いの?」 「そうよ」

オトーサン、 食後、141号線を下って、須玉へ。 奥方を拾って、お気に入りの明野のケーキ屋へ。 「えー、1時25分、山荘から60km、ドゥ・ミールを出ます」 「おいしかったわ」 「日本一だよ。あそこは」 「ゆづを貰っちゃった」 「へぇ」 この後、道の駅はくしゅうに寄ったこともあって、 山荘着は、午後3時でした。


16 我輩、朝練後に帰路につく

オトーサン、 「今日は、帰らなきゃ」 いつもは、6時起きですが、5時起き。 薪ストーブを燃やしたり、ホームページをUPしたり、 朝食の支度をしたり、やることが山のようにあります。 奥方は、7時に起きます。 朝食後は、彼女は、山荘の掃除など多忙になります。 「じゃ、一っ走りしてくるよ」 「はい、どうぞ」 身支度して、山荘から走りだします。 「今日は、1.4kmコースを逆回りしてみよう」 脇道に入ったりして、距離をかせぎます。 「今度は、2kmコースを逆走しよう」 いつもは、長い登りでハーハー言うのですが、 下りになるので、気持ちのいいこと、 ....というより寒いこと寒いこと。 やはり、気温10度では、すこし登って身体を温めておかなくては。 でも、下り坂を飛ばす快感には勝てません。 坂の上から、甲斐駒が見えました。

オトーサン、 「よーし、このまま、下ってやろう」 「後が大変だぞ」 「かまわん、かまわん」 てなことで、鉢巻道路まで下り、道が空いていたので、 大平の交差点まで下ってしまいました。 さらに、小渕沢ICまで、3kmの下り坂がありますが、 流石に、後のことを考えて、遠慮しました。 オトーサン、 「さて、戻るか」 まさに、行きはよいよい帰りがこわい。 鉢巻の登りは、まあまあだったのですが、 右折してからの長い急坂を一息に登るのは、ムリでした。 「まだまだ、力がついとらんなぁ」 途中、1回休んで息を整えました。 「しまった、お茶を忘れた」 山荘の周辺をウロウロするつもりが、 調子に乗って、ここまで下ってきたのが、悪かったのです。 しかし、いまさら、泣き言を言っても仕方ありません。 編笠山をめざして、登り続けます。 「ハーハー、ハーハー」 「ハーハー、ハーハー、ハッ、ハッ、ハッ」

直登はキツイので、ジグザクで登りました。 それでも、段々、坂が急になっていくのです。 その昔、ソアラに乗っていた頃、 この坂を下ってきたら、ちょうどこの辺りで、スリップ。 ブレーキをかけても、止まらず、冷や汗をかいたことがあります。 「ハーハー、ここが、頑張り、どころだ」 ようやく、直登し終えて、右手にカーブしながら登っていきます。 「限界!」 ついに、どこかの会社の保養所の駐車場に倒れこみました。 上向きに寝ころんで、紅葉の枝越しに青空をあおぎました。 「なかなかオツなもんだ」 人がいないからいいようなものですが、 都会だったら、「行き倒れだ」と思われて、 救急車が駆けつけてくるかも。

オトーサン、 ようやく山荘に戻ると、 奥方がクルマのそばで待っています。 「どこへ行ったのよ?」 「下まで走ってきた」 サイクルコンピュータの数字は、10km超。 「掃除、終わったかい?」 「水道の栓も閉めたし、電気も消してきたわよ」 「ゴミは?」 「あそこに置いてあるわよ」 あたふたと、自分の荷物を運び出します。 リアシートを倒して、まず、自転車を載せ、 その隙間にたくさんの荷物を積みこむのです。 「出発!」 中央道は集中工事中なので、 帰路には時間がかかりそうです。 ゴミ・ステーションで、一旦停車しました。 C4の写真を撮りました。 C4と紅葉はよく似合います。

オトーサン、 「燃費を記録しとかなきゃ」 今回は、流れに乗って走ったケースでの 燃費を計測しましょう。 ・小淵沢IC    13.6km/L ・須玉IC    17.5km/L ・団子坂SA    14.9km/L ・八王子IC    14.9km/L ・圏中道青梅IC 17.5km/L ・自宅       13.5km/L 奥方、 「集中工事で遠回りした割には、早く着いたわね」 団子坂SAには、こんな看板が立っていました。

交通情報は、こんな風でした。 「...次に渋滞の情報です。  80km先の三鷹料金所を頭に集中工事により渋滞9km。   渋滞通過に90分ほどかかります」 「これじゃ、いつウチに着くか分からないわね」 てなことで、八王子ICで降りて、 圏中道のあひる野ICに向かったのですが、 ナビが青梅ICを指示するので、その通リ走りました。 八王子ICから、青梅ICまでは、40分かかりました。 その後、関越道、外環と迂回したのですが、渋滞なし、 三郷ICで下車して、あとは一般道を利用。 その割には、随分、早く着いたものです。 オトーサン、 「疲れんなぁ」 きつい朝錬の後、4時間運転してきたというのに、 疲労感がないのは、われながら不思議です。 サイクリングのおかげで健康になったのか、 あるいは、C4のドライブは疲れ知らずなのか。


17 我輩、FDBに恋せり

オトーサン、 白鳥さんの本を読んでから、 折りたたみ自転車のことが頭から離れなくなってきました。 このフォールディングバイク(FDB)、 最近流行のようで、あちこちで見かけます。 「あんなもん、自転車じゃないよ」 その昔、宮田の折りたたみ自転車を買って、 クルマのトランクに収納し、箱根で走ってみてガックリ。 まったく、坂を登れないのです。 以後、見向きもしませんでした。 でも、最近はいいものが出てきたようです。 オトーサン、 先日、柏駅東口まで自転車で行きました。 10時10分にスタートして、着いたのは10時40分。 距離は、6.08kmでした。 「やはり、30分で着くんだ」 息子にあげた電動アシスト自転車と同じ所要時間。 「ロードレーサーがあれば、電動自転車は不要だなぁ」 この辺の坂なら、軽々と登っていってしまうからです。 映画を見た後、ビックカメラへ。 ここにも、折りたたみ自転車が並んでいます。 「安いなぁ、1万円で買えるのか」 売れ筋で、2万円足らず。 「こりゃダメだな」 (1)シングルギアでは、坂は登れません。 (2)重量が14.3kgもあっては、持ち運びに向いていません。   せいぜい、10kgが限度。 

●岩井商会 PFT-161K  16インチホイール  1段ギア  リヤキャリア付き   重量:14.3kg 価格:9980円(税込) オトーサン、 「やっぱり、安物は、いかんな」 大事な安全性や耐久性などに問題があるようです。 「高級品をみてみるか」 ネットで”おおやまサイクル”をクリックしました。 「重量 6.5kg!こりゃ、軽くていいなぁ」 「でも、シングルギアじゃ、話しにならん」

●パナソニック・トレンクル6500 14インホイール  重量:世界最軽量の6.5kg  折りたたみサイズ:長さ55cmX高さ33cmX幅58cm 400円のコインロッカーに入る。 チタンや軽量パーツを多用。 価格:14万9100円(税込) オトーサン、 次に、注目したのは、ブロンプトン。 「英国製か、かっこいいなぁ」 「ギアも6段あるし」 「折りたたむと小さくなるなぁ」 「でも、サイトが不親切、売る気あるのか?」 なんでも、ブレーキの効きが悪いとか。

●BROMPTON T6  最高級ツーリングモデル  6段変速 16 インチホイール  泥よけ、リアキャリア付き カラー:ブリティッシュ・グリーン  重量:12.4kg 折りたたみサイズ:長さ60cmX高さ30cmX幅58cm  価格:13万8600円(税込) オトーサン、 「やはり、実物を見ないことには」 そこで、サイクルベース あさひの北松戸店へ。 ここは、以前、1度来たことがある量販店です。 (参照:1 我輩、映画を見に松戸まで) 「この店、高い自転車なんかあるのかなぁ?」 ちょっと馬鹿にしていましたが、 「おお、プジョー・パシフィックがある!」 「この本皮のサドル、かっこいいなぁ」 プジョーのライオンがエンボス加工してあるのです。 「この店、安い!買うべし。  でも、BD-1をみてからにしよう」 ネットでユーザーの声を調べてみると、 この本皮のサドル、固くて、とてもじゃないけど使えないとか。

●プジョー・パシフィック18  ドイツのr&m社の「BD-1」のOEM。  8段変速  18インチホイール  前後サスペンション機能付き  サイドスタンドと本皮製シート付き 重量 10.9kg 折りたたみサイズ:長さ72cmX高さ39cmX幅60cm  価格:9万4290円 オトーサン、 サイクルショップおおやまへ。 ここは、BD-1に力を入れているのです。 ○ライズ&ミューラー BD-1   8段変速  18インチホイール 前後サスペンション機能付き  重量 10.9kg  折りたたみサイズ:長さ72cmX高さ39cmX幅60cm 価格:9万8000円 「バーディは、2006年モデルもありますよ」 「ばーでぃ?」 「ええ、愛称です」 「11万8000円か、高いなぁ。どこが変わったの?」 「折りたたみが壊れにくくなりました。  塗装も傷がつきにくい高級なものです」 「悪いけど、折りたたんでくれる?」 若い店員さん、あっという間に、折りたたみました。 「へぇ...オレにもやらせて」 「予習してきてください」 「そう」 読者のみなさんも、 面白半分で予習してみてください。 「よく考えたもんだなぁ」

「このバーディ向けの輪行袋ないの?」 「置いてません」 「これで、代用できます」 「でもなぁ、じゃ、また来るよ」 オトーサン、 新松戸のセオ・サイクルへ。 ・www.seocycle.co.jp 新松戸駅、はじめて行きましたが、 10時50分に出て、11時25分につきました。 距離は、6.59kmと、柏駅へ行くのと同じくらい。 自転車パーツを多種揃えているのに感動しました。 DEROSAとか、CORNAGOのマシーンも置いてあります。 何でも、千葉県を中心に南関東に81店舗もあるとか。 「ブロンプトン、置いてない?」 「ええ、いま切らしています」 「BD-1専用の輪行袋ないかな?」 「ないですね」 でも、いろいろな輪行袋があって、参考になりました。 選ぶポイントは、袋のサイズと重さ。 それに、10kg以上の重量物を運ぶのですから。 肩かけベルトの幅や厚みも要チェック。 オトーサン、 帰宅してから、ネットでサーチ。 「おお、これ、よさそうじゃん!」 楽天で、専用3wayバッグを発見しました。 「背負えるのが、いいね」

○BD-1専用輪行バッグ  商品番号:RM04-3WAYBAG  輪行しない時は、バックパックや手提げバッグになる  サイズ:畳むと:48cm x 36cm /広げると:100cm x 85cm  価格 1万3702円 (税込) 送料別途  www.rakuten.co.jp/ride-on/484795/484840/484843 オトーサン、 奥方の反対が予想されるので、 いまだに購入に踏み切っていませんが、 気分は、すでに、シティボーイ。 外人さんにまじって、六本木ヒルズあたりを散歩。 「時速30kmは出るらしい。  取り回しもいいらしいし、長距離も苦にならないらしい。  下り坂だけは、気をつけろとか」 これまでの長いショッピング経験からすると、 買う前にアレコレ夢想している時が、一番楽しいようです。


18 我輩、ちょいと市川まで

オトーサン、 「えー、9時45分、スタートします。  今日も、お天気がいいですね」 「えー、10時05分、4.44km、北部市場を通過します」 コールマンのアウトレットでチェアのバーゲンをやっていました。 「ログの椅子が4500円か。安いなぁ」 自転車では、残念ながら持ち運べません。 「えー、10時48分、11.14km、松戸伊勢丹を通過します」 「えー、10時58分、11.46km、江戸川の土手へ出ました。  伊勢丹から、ここまでわずか300mなんですねえ」 身体が温まってきたの1枚脱いで、お茶を飲みました。 「えー、11時15分、15.62km、砂利道になってしまいました。  変ですね。この辺り、砂利道だったっけ?」 江戸川の左岸、確か、以前、走ったはずですが、 記憶にありません。

オトーサン、 500mほど、自転車を押して歩きました。 最近は、枯れた心境になってきたのか、 この押して歩く時間も、いとおしい時間になってきました。 「たまには、歩かなきゃなー」 江戸川の川幅が急に広くなって、迫ってきます。 「ここ、いい景色だなぁ」 確か、千葉商科大学のそばのはずです。

「ここも、いい景色だなぁ」 確か、じゅんさい公園です。 川面が間近かというのも、いいものですね。 岸辺に押し寄せる波の音が聞こえます。 大雨のあとは、沈没するのでしょうか?

オトーサン。 気持ちよく左岸を走り続けます。 「市川橋で堤防を降りて、左へ行かなきゃ」 散歩中のお年寄り、数人に道を尋ねましたが、 いずれも、答えは曖昧模糊なものでした。 「まあいいや、間違っていたら、戻ればいいんだ」 こんな心境になれるのも、枯れたため? この辺りの景色が実によく、路面状態がいいからでしょう。 お天気もいいし、 いつまでも、どこまでも、 走っていきたい気分です。 「海まで11kmか、いっそ海まで行ってみるか?」 特に用事があるわけではありません。 いつもクルマ行く市川コルトンプラザの映画館へ 自転車で行ってみたいと思っただけのこと。 間にあえば、映画を見て帰ろうと思っていますが、 別に、見なくても、構わないのです。 宮仕えの身ではないのですから、 どう過ごそうと、自分勝手でいいのです。 風の吹くまま、気の向くまま。 自由って、いいですねぇ。 オトーサン、 「えー、11時50分、22.00km、行き止まり!」 意を決して、土手下の修理工場へ。 「すいません。あの橋、何という名前ですか?」 「京葉道路だよ」 「そうなんですか。  あのー、本八幡の駅へ行きたいんですが」 彼、30台後半でしょうか、 作業用の眼鏡を外した目が柔和なので、安心しました。 親切、かつ的確に道を教えてくれました。 江戸川の土手から降りて、 しばらく走ると、賑やかな町並みになりました。 繁華街をクルマやママチャリを縫うように走りぬけていきます。 12時05分、24.53km、市川コルトンプラザに出ました。

オトーサン、 「ブラザーズ・グリム」の上映開始時間、 12時10分にぎりぎり間にあったのですが、 急に見る気が失せました。 「なにか美味しいものでも食べてから、帰ろう」 この市川コルトンプラザ、 繊維会社の跡地を再開発したもの。 ”ダイエー”や”といザらず”をはじめとするショップのほかに、 いろいろなレストランが入っています。 でも、いつも、映画をみたあと、 駐車料金が気になって、どこにも寄らずに帰っているのです。 あくせく生きてきたクセが、いまになったも抜けないのです。 「生き方、変えなきゃ。  さて、どこで食うかなぁ?何を食うかなぁ?」 駐輪場所を探しながら、あたりを見回しました。


19 我輩、ちょいと市川まで、その2

オトーサン、 「ステーキか、いいねぇ」 たまには、分厚い肉にかぶりつき、 その肉汁をたっぷり味わってみたいもの。 でも、このお店、開店時間が夕方5時から。 「なーんだ、がっかり」 食べられないと分かると、妙なもの。 不意に、ダラスの有名店のステーキを思い出しました。 「食べきれなかったなぁ」 分厚いワラジみたいでした。 400g!

●アウトバックステーキハウス 電話:047-393-6571  営業時間:17:00〜22:00  米国最大のステーキハウス・チェーン  「ここにしょう。  三笠会館なら間違いないだろう」 でも、このお店、超満員で、待ちびと多し。 「待って食べることないや」 毒づいて、店の外へ。

●アジオ 三笠会館  電話: 047-379-3371  営業時間;11:30〜22:30 南ヨーロッパの市場をイメージしたレストラン 「おっ、つきじ植むらがある。  お値段はどうかな?高いかも。  ほんとか?ランチが1000円?」 思い切って入店しました。 自転車姿では、恥ずかしい料亭風。 和服の仲居さんも美女ばかり。 天丼とおそばのセットを注文しました。 「この味、この内容で、税込み950円。  安いなぁ、また、こよう」 帰りがけに、千葉県では、どこにあるか聞いてみました。 「柏にあります」 「えっ、柏にあるの?柏のどこに?」 「高島屋ステーションモールです」 「へぇ」 「松戸にもありますよ」 「どこに?」 「伊勢丹さんです」 「へぇ」 ここまで遠征しなくても、ご近所にあったのです。

○つきじ植むら 電話:047-370-5522   営業時間:11:00〜14:30 /17:00〜21:30  オトーサン、 12時45分につきじ植むらを出ました。 満腹で、気分もいいので、元気回復。 「よーし、難路に挑戦しよう」 いつもクルマで使うルートを走ってみようと思ったのです。 わざわざ、松戸に出て迂回しなくても、 県道51号、市川・柏線があります。 これが、最短ルート。 「危ないけどなぁ。イザとなったら、押して歩くか」 何度も走っているので、 歩道がない場所が続くことは知っています。 「本八幡の交差点は、避けよう」 市川市役所の先を路地に入り、線路を渡ってから、 閑静な住宅街をぬけていきます。 「さて、ここからだ、問題は」 県道51号市川・柏線に出ました。 もはや抜け道はなさそうです。 オトーサン、 この後の走行については、 思い出すのも、イヤです。 「じじい、死ね」 数百台ものクルマに追いぬかれました。 そのなかで、案外、性質が悪いのは、軽自動車。 いつも普通車に馬鹿にされているからか、自転車をいじめるのです。 「なんだ、いつまでも、並走するなよ」 ようやく追い越してくれたので確認すると、大型バス。 これは、悪気はなく、もう道幅一杯の車幅なのです。 同じ大型車でも、ダンプの場合は、エンジン音がでかいので、 近づいてくるのが分かり、よけようがあります。 でも、整備不良車も多いようです。 排気ガスを思い切り、浴びまてしまいます。 そうそう、ミニバンにも性質の悪いヤツがいました。 「お前、勘違いしているんじゃないのか。  高いクルマだからと言って、威張るな」 胸ぐらをつかんで、怒鳴りつけたい輩もいます。 わざと、すれすれに走ってくるのです。 「えー、1時15分、30.92km、高塚交差点を通過しました」 「えー、1時20分、31.78km、東松戸にきました」 ようやく、歩道完備の道にきたので、 ICレコーダーに吹き込む心の余裕が出てきました。 オトーサン、 「気味悪いから、八柱霊園ルートは、やめよう」 クルマに轢かれて、すぐ火葬。 関係者は、便利でしょうが、 当の本人としては、 あとしばらくは、生きていたいのです。 遠回りを覚悟で稔台ルートへ。 稔台から、八柱へ線路沿いに走りました。 幹線道路はいやなので、わき道へ。 「おかしいなぁ」 迷いに迷って、ようやく見たことのある場所へ。 「えー、2時、39.91km、公園につきました」 ここは、松戸市が誇る広大な公園、 昨冬、バード・ウォッチングによくきた場所です。 自転車できたのは、今回がはじめて。 この公園の周回ルートが最高なのを発見しました。 「今度、走りにこよう」 ○21世紀の森と広場  松戸市の中心にある自然豊かな公園。  千駄堀池を囲んで、広場、散策路、自然観察舎、  森の工芸館やパークセンター、さらにレストランやお茶屋がある。 道路を挟んで、東側に、森のホール21、松戸市立博物館がある。  住所:松戸市千駄堀269   電話:047-345-8900 開園時間:900-1630 入園料:無料  駐車場:多数(東・西・南・臨時)

オトーサン、 これから先は、小金原。 家の裏庭みたいなものなので、 あちこち寄り道してみました。 「えー、2時20分、40.73km、北部市場へ出ました」 走行距離40kmを超えたのを確認。 急に、甘いものを食べたくなりました。 いちょう並木の坂を上ったところのCOCOSへ。 「キャーツ。うはは、うっそー」 店内は、女性で超満員。 女3人寄るとうるさいことから、 「姦しい」と書く意味がはじめて分かりました。 このファミレスの状態は、それ以上。 長いこと生きてきましたが、こんなことははじめて。 こんな字もあっていいのでは。    姦    姦姦   姦姦姦  姦姦姦姦姦 オトーサン、 「えー、10分足らずで退散しました」 帰宅したのは、午後3時ちょうど、 走行距離は44.89kmに達していました。 「ちょっと市川のはずが、よく走ったなぁ」 走行ルートは、下図の通り。


20 我輩、皇居を一周せり、その1

オトーサン、 「えー、6時50分、スタートします」 日曜日の都心は空いているし、 秋晴れの一日、皇居一周サイクリングは、 さぞかし気持ちのいいことでしょう。 最初、輪行を考えましたが、 行きはともかく、帰りの電車は混むので、 大荷物の自転車は、さぞかしはた迷惑でしょう。 「クルマも、帰りは、混むだろうけどなぁ」 でも、やはり、C4に自転車を載せていくことにしたのです。 「えー、ここまでスイスイきました。  7時10分、江戸川を渡ります。  おっ、何事だ?」 警官の数が半端じゃありません。 1ケ中隊25人出動。 交通取締まりではなく、検問でした。 「そうか、ロシアのプーチン大統領が来日するんだ」 まさに、犬も歩けば、棒に当たる。 外に出ると、思いかけないことに出会います。 「えー、7時15分、16km、白鳥交差点にきました」 ここからシトロエン城東は間近です。 たった25分できたとは。 渋滞したときは、1時間半もかかりましたっけ。 「えー、7時26分、23km、浅草の雷門を通過します。  ここまで、36分か、早いなぁ」 オトーサン、 この後、神田美土代町のデニースで朝食。 「えー、8時25分、30km、北の丸公園に着きました」 幸い駐車場は、ガラガラ。 ここの駐車場料金は、格安なのです。 都心では、1時間300円が相場なのに、1時間100円。 そこで、ここに駐車して、サイクリングがてら、 映画を見にいくことにしたのです。

○北の丸公園  住所: 東京都千代田区   旧江戸城北の丸。江戸時代中期から御三卿の田安家、清水家の屋敷。   明治維新後、近衛師団司令部が置かれた。 1963年に建設省が公園として整備し、19694年に完成。   森に囲まれた広い芝生、武道館や科学技術館もある。 駐車場営業時間:830-1630 最初の3時間まで400円、以後1時間毎に100円 オトーサン、 「えー、8時32分、サイクリングを開始します」 右手に近代美術館、左手に皇居。 やや上り坂ですが、ロードレーサーでは平坦地。 「そういえば、この上り坂、きつかったなぁ」 その昔、一度だけ、皇居一周のジョギングをしたことがぁります。 名古屋勤務時代でした。 たまたま東京へ宿泊出張の機会がありました。 「よーし、皇居を走ろう」 思い立って、三越でシューズを買い、 早朝、ホテルからタクシ−で、桜田門へ。 そこから皇居1周5kmをジョギングしました。 20年後、その同じ坂を今度は自転車で走っています。 やはり、反時計回り。 オトーサン、 千鳥が淵の交差点を難なく通過し、 右手に英国大使館、左手に皇居のお堀を見ながら 下り坂にさしかかりました。 右手は、国立劇場、最高裁判所、警視庁と続きます。 遊歩道は、左カーブし、 皇居のお堀の眺望は、都内屈指です。

「えー、8時53分、3.39km、二重橋前にきました」 3kmなんて、自転車では、「あっ」という間。 ジョギングの初心者でスピードは、時速10km。 中級者で15km、マラソン・ランナーで20km。 このロードレーサーなら時速20kmは、軽々。 下り坂なら、すぐ30kmは出ます。 早朝なので、ジョガーは多くありませんが、 遠慮して15km程度のボタリングにとどめました。 そのせいか、まったく身体が温まりません。 「ここ、ひさしぶりだなぁ」 お上りさん気分で、二重橋の写真を撮りました。

オトーサン、 「さて、日比谷の映画街へ出るとするか」 お目当ての映画、「灯台守の恋」の上映時間は、 シャンテシネで、初回が9時40分から。 「まだ時間があるな。  ひさしぶりに、日比谷公園でも散歩するか」 自転車で、公園のなかを乗り回しました。 見覚えのある大噴水の広場へ出ました。 「野外音楽堂か、なつかしいなぁ」 松濤中学の3年生のとき、 新しい音楽の先生が着任し、最初の授業でテストがありました。 ドレミファソラシドレミ...と、どのくらいの音域があるか、 全員発声させられました。 ただそれだけのテストでした。 通信簿の評価は、いつも2だったのに、 このテストのおかげで、評価は、4に急上昇。 驚くべきことに、30名ほどの学校代表に選ばれて、 この野外音楽堂で、コーラスしました。 曲目は、「ここに泉あり」 「音痴」で鳴るオトーサン、 その生涯唯一の音楽シーンでした。

○日比谷公園   住所:千代田区日比谷公園 幕末までは松平肥前守、長州藩毛利家などの屋敷地、 明治中期までは、近衛師団錬兵場。   1903年日本初の「ドイツ式洋風近代公園」として開園。  園内には、市政会館、日比谷公会堂、野外音楽堂、   日比谷図書館、テニスコート、松本楼などがある。   また、大小の花壇があり、四季折々の花が咲いている。   オペラ歌手の藤原義江は日比谷公園を NYのセントラルパークになぞらえ、愛した。 オトーサン、 「もう、時間だな」 日比谷公園のなかには、駐輪できないので、 帝国ホテルに面した公園側の歩道の手すりに わが愛車を厳重に結びつけました。 あとは、200mも歩けば、もう日比谷シャンテ。 でも、やばいシーンがありました。 宝塚歌劇団を見るために大勢集まっている おばさんたちの熱い?視線を浴びたのです。 「東京って、面白いわねぇ。  あんな変な格好のひともいるのねぇ」


21 我輩、皇居を一周せり、その2

オトーサン、 「ああ、よかった!」 11時37分、映画を見終わって、 自転車のところに戻ってきました。 目立つ場所なので、盗難を心配しました。 いつも厳重な施錠をしています。 前輪、後輪、フレームにワイヤーを回し、 鉄柵やポールなどに結びつけるのです。 「12時には間があるな」 日曜日は、12時から、 皇居周辺が自転車専用道になるはず。 日比谷公園で時間つぶし。 東京都観光菊花大会が開催されていました。 「松本楼で昼飯でも食うか」 残念ながら、並んで待っているひとたち。 ここの10円カレーの日は、有名ですよね。 今年は、9月25日でした。 オトーサン、 12時を過ぎたので、二重橋前へ。 「変だなぁ」 いつものように内堀通りをクルマが走っています。 警備員が2人いたので、聞いてみました。 「パレスサイクリング、今日はやっていないのですか?」 「私ら、マラソンの係員なので、知らんなぁ」 「東京国際女子マラソンがあるから、お休みじゃないの?」 「がっかりだな、せっかく楽しみにしてきたのに」 ○パレスサイクリング   コース:内堀通りの祝田橋〜平川門間(往復約3km)   毎週日曜日(雨天中止)   時間 1000〜1500 利用料金 無料 無料貸自転車300台   (MTB/ ロードレーサー/軽快車/ ミニサイクル/子供車/ タンデム車)  問い合わせ先:03-5572-6412 オトーサン、 係員が持っていたパンフレットに目をとめました。 「それ何ですか?」 「これ?これは、交通規制の知らせだよ」 「ちょっと見せてもらえる?」 「いいよ、あげるよ」 「ありがとう」 係員からもらった地図をみると、 この皇居前は、マラソンがスタートしてから10km地点。 通過時間は、12時41分〜1時03分と記してあります。 「そうか、今日は、尚子ちゃんが走るんだ。  40分ほど待てば、見られるんだ」 思わぬ大発見でした。 サイクリングや映画のことで夢中で、 すっかり大事なことを忘れていたのです。 「よーし、応援するぞ!」 でも、その前に、昼飯を食べなくては。 「この辺に食事できるところありますか?」 「あそこにあるよ」 「?」 「楠公像がみえるでしょ」 「なんこう?」 「楠木正成ですよ」 なぜ、皇居前に戦国の武将像があるのか、 理解できませんが、堂々たる銅像でした。 高村光雲作とか。

オトーサン、 銅像前の「楠公レストラン」へ。 「広いレストランだなぁ」 はとバスがとまっていたので、瞬時に了解しました。 皇居見物の団体客用のレストランだったのです。 でも、いまは、ガラガラ。 サイクリストのたまり場になっているようです。 「安いなぁ、これで1000円?」 注文したのは、坂下門セット。 和風スパゲティ、ベジタブル・バイキング、ドリンクバーで お腹が一杯になりました。 オトーサン、 「さて、行かなきゃ」 100mほど歩いて、内堀通りへ。 「おっ、すごい人出だ!」 ビデオカメラを振りかざして、 ようやく車道の最前列に出させてもらいました。 車道に一歩足を踏み出すと、すぐ係員が制止します。 待つことしばし。 「あっ、来た!あーあ、行っちゃった」 まさに、風のように通過していきました。 でも、先頭集団のなかに、 はっきりと高橋尚子ちゃんの姿を確認できました。 ゼッケン番号31。 黒髪、黒いサングラス。 顔色は青ざめて、不安そうな表情でした。 応援のひとたちの声。 「尚子ちゃん、頑張って」 「脚を傷めているそうじゃないか」 「今日は、途中で、棄権するかもな」

オトーサン、 尚子ちゃんをみられたので、一応満足して サイクリングを再開しました。 といっても、残りは、2kmほど。 あっという間に、北の丸公園に到着しました。、

帰路につこうとして、 「そうだ、科学技術館に行かなきゃ」 ここで、フランク・パターソンの作品展やっているのです。 でも、話の都合で、この件は、次回にまわしましょう。 「えー、1時50分、駐車場を出ました」 駐車料金は、700円でした。 「ほんとうに安いなぁ」 C4に乗って、皇居前から毎日新聞前を抜けていきます。 「そうそう、ここだった」 後楽園にある会社の帰りに この交差点で追突されたのです。 トヨタ・クレスタは大破、ムチ打ちで入院。 加害者は、東京トヨペットのひと。 元上司が社長。 そのめぐりあわせで、 中古ですが、上物のソアラを世話してもらいました。 こんな風に、都心には思い出がつまっています。 オトーサン、 浅草を抜けていて、ふと気づきました。 「このクルマのナビ、走行中も見られるんだっけ」 純正はダメですが、後付けならOKなのです。 「危ないけどな」 つけたら、ちょうど、37km地点。 2年前に尚子ちゃんが突然失速した「悪夢の上り坂」の手前。 「おー、スパートした!」 解説の増田明美さん、 「すごい勢いですよ」 39km地点でレポートの千葉真子ちゃん、 「風のように行ってしまいました」 オトーサン、 そのあと、マラソンの実況中継に夢中で、 どこをどう抜けていったのか、覚えていません。 でも、渋滞なしに帰宅できました。 読者のみなさん、 そのさわりを聞いてください。

女子アナ(甲高い声で) 「高橋尚子選手が、先頭で、笑顔で戻ってくれました。  お帰りなさい!そして、おめでとうございます」 「どうも、ありがとうございました」 「2年前、ここ東京で止まってしまった時間が再び動きだしました。  いかがですか、お気持ちは」 「ほんとうに、2年間走ることができなかったのですけれど、  これだけ多くのみなさんに支えられて、  ほんとに、ここに帰ってこられました」 (大歓声で、聞き取れない) 「このスタジアムの、また沿道の切れることのないみなさんの  応援が私の背中を押してくれました」 (大歓声) 「2年ぶりのフルマラソン、楽しんで走ることができましたか?」 「はい、もう一度は辞めようと思ったのに、この結果。  ほんとうに帰ってきてよかったなと、  心から思えるほど楽しい42kmでした」 (大歓声) オトーサン、 思わず涙がにじんできて、 その後のインタビューを聞きもらしました。 後日、図書館に行って、彼女の本を借りてきました。 ・高橋尚子「風になった日」幻冬舎 2001年 いまこの瞬間の、気持ちよさを大切にして走りたい。 そう思いながら、走りつづけることだろう。  私は、今日も、これから走りに出て行く。 今日の風は、いったいどんな風だろう? そう、サイクリストは、みんな同じ気持ちなのです。


22 我輩、自転車絵画を鑑賞せり

オトーサン、 「科学技術館に行かなきゃ」 さて、話は、北の丸公園に戻ってきたところから。 読者のみなさん、 前にちょっと触れましたが、 フランク・パターソンをご存知ですか? 英国の有名なサイクリング・アーチストです。 その展覧会が科学技術館で開催中なのです。 ○FRANK PATTERSON (1871-1952)  サイクリング・アーチストのフランク・パターソンは、  ヴィクトリア女王時代の英国のポーツマスに生まれた。  当時、自転車は、交通手段としてポピュラーになりつつあった。 万人に田園地帯の旅行をもたらしたのである。 パターソンもそのひとりで、サイクリング・アートは、  生涯の情熱の対象となっていった。 自転車雑誌“C.T.C. Gazette”や数多くの出版物に 59年間にわたって数千点の絵を描き、  自転車の黄金時代を記録したのだった。  スタジオは、サセックスのカントリーにある  彼の愛する Pear Tree 農場にあって、 そこで、作業し、家族を育て、楽しみ、  そして、まったくのカントリー・ジェントルマンになった。  彼は、サイクリングのストーリーを  その卓越した線、空間、細部を優れた観察力と独特のムードで記録し、  伝説的存在となり、また世界的な巨匠と認められるようになった。 ・www.wallbike.com/holidaygifts/pattersonprints.html  オトーサン、 入場料600円を払って、入館しました。 受付嬢に聞きました。 「フランク・パターソンの展覧会、どこでやってますか?」 「フランク・パターソンですか?さあ?ちょっとお待ちください」 どこかへ電話して、ようやく2階へどうぞ。 「何か、さびしいなぁ」 2階のサイエンスライブラリーへ。 「ああ、ここだ」 ・F.パターソンが描く20世紀初頭のイギリス−自転車スケッチ紀行」展 「すいません、これで、全部ですか?」 初老のおじさん 「ええ、すみません」 「写真撮っていいですか」 「どうぞ」 話の分かるひとのようです。 30枚ほど撮ったでしょうか。 以下、そこから適宜選んだものをご紹介しましょう。 オトーサン、 「そうか、こんなひとだったんだ」 まさに、朴訥な田舎のおじさんですね。

「ほとんどが素描だな」

「そうか、彩色したのもあるんだ」

「マンガチックなのもあるなぁ」

オトーサン、 あっと言う間に見終りました。 初老のおじさんに聞きました。 「前に、赤坂にあった自転車文化センターのほうが大きかったですね」 「そうですね」 あっさり、肯定されました。 でも、自転車に関する書物が沢山ありました。 女子大生が、卒論のテーマなのか、勉強中でした。 ・www.cycle-info.bpaj.or.jp/japanese/bcc.html オトーサン、 北の丸サイクリングなる部屋へ。 「へえ、古い自転車が展示してある!」 自転車のルーツといわれるドライジーネ。 営林署長だったドライス男爵が考案したもの、 領地を見回るのに使ったとか。 下り坂を足で蹴って走ったのです。 まだ、変速機も、ペダルも、タイヤもなし。 ハンドルはありますが、ブレーキはなさそうです。 読者のみなさん、 「上り坂はどうしたんだ?」 おそらく従者に坂の上まで運ばせたのでしょうね。 まぁ、ミニバンにMTBを積んで、山の上に行き、 そこからダウンヒルコースへというのと同じようなもの。

読者のみなさん、 展示の詳細については、下記のサイトをご覧ください。 ・自転車の歴史(1)自転車の誕生 ...  www.h4.dion.ne.jp/~bikemuse/JitennsyadeIkou /Nakamura%20NewCycling%202.html オトーサン、 「へぇ、折りたたみ電動自転車も展示されている!」 「重量 17.6kg。これじゃ、重すぎるよー」 「でも、これから、改良されていくんだろうな」 来世紀には、クルマの代わりに、 環境に優しい電動折りたたみ自転車の時代がくるかも。

●Panasonic OFF TIME  7段変速  前輪18インチ、後輪20インチホイール 重量 17.6kg  折りたたみサイズ:長さ69cmX高さ86cmX幅38cm 充電時間 約2.6時間 走行距離 38km(標準モード) 価格:9万1000円


23 我輩、金メダルロードへ

オトーサン、 まだ、高橋尚子さん優勝の余韻に浸っています。 「私は、今日も、これから走りに出て行く。 今日の風は、いったいどんな風だろう?」 なーんちゃって。 今日も、いい天気ですね。 最高気温15度、無風、理想的なコンデイション。 「えー、10時32分、いま道の駅やちよ。  これから、C4から自転車を下ろします」 今日は、高橋尚子さんが、小出監督と練習していた 印旛沼の金メダルジョギングコースを走ってみましょう。 このコース、まずは、東京湾に注ぐ新川沿いに走るのです。 道の駅を出てすぐに国道16号線の八千代橋があります。 「今日は、のんびり走ろう」 早速、最初の橋の上から新川を撮影しました。

この後、逆水橋、平戸橋、神尾橋を次々と通過します。 路面状態があまりよくないので、のんびり走ります。 「えー、10時52分、4.20km、松保橋の手前です。  まだ橋梁工事が終わっていないようですね」 自転車を押して砂利道を歩きました。 「そういえば、この前、ここでリカベントに出会ったなぁ」 「えー、11時15分、9.20km、阿宗橋にきました」 印旛沼サイクリングロードの起点。 ここからは、路面状態がよく、風のように走れます。 オトーサン、 「えー、11時30分、15.92km、飯野休憩所に着きました。  ここで、昼めしにしましょう」 途中、若いサイクリストに抜かれました。 いつもの悪い癖が出て、追いつき追い越しました。 息がきれました。 昼食は、パン2ケとコーヒー。 食後、建物の外のベンチでのんびり。 以前、パンクしたサイクリストとおしゃべりした場所です。 係のおじさんとおしゃべりしました。 「そうなの。あの子たち、チューリップの球根を植えているの」 「そう。佐倉市の小学校23校の4年生と5年生全員が、 課外授業ということにして、ひとり60ケずつ植えるのです」 「へぇ、全部で、何個くらい?」 「1万7000個です」 「すごいもんだねぇ」 いまは、茶色い地面が広がっているだけですが、 春には、オランダ風車と見渡す限りのチューリップ畑になるのです。 「子供たち、見にくるだろうね」 「ええ、孫の名札があるので、  おじいちゃん、おばあさんも見にきますよ」 「いいアイディアだねぇ」 「あなた、どこから来たの?」 「柏から」 「すごいね」 「いや、道の駅やちよまで、クルマできたんですよ。  今日は、Qちゃんが優勝したので、その記念で」 「ああ、あの金メダルロードね、 昔は、高橋さん、よく見かけたもんだよ」 「そうなんですか」

オトーサン、 おじさんが、小学生の世話に行ってしまったので、 荷物の整理を開始しました。 「このサドルバッグ、買ってよかったな」 先日、北松戸のセオサイクルで入手したもの。 容量が大きく、輪行袋、着替え、それにカメラも入ります。 ウエストバッグが不要になったので、爽快に走れます。 デザインもいいし、着脱もワンタッチなのです。

○RIXEN CONTOUR  ロードバイクやフラットロードモデルにも似合うスマートなデザイン  サイズ:26×14×12cm  価格:7,350円(税込) オトーサン、 「えー、12時00分、スタートします。  さっきは、頑張りすぎたので、  今度は、ニコニコ・ペースで行きましょう」 早速、印旛沼(西沼)を撮影しました。 シロサギがいましたが、遠すぎて、 いい写真にはなりませんでした。

「えー、1枚脱いで、腕まくりしましたが、涼しいですね」 秋も深まってきたので、ゆっくり走ると、流石に冷えてきます。 「おっ、通り過ぎた!」 戻って、今日の目的の金メダルロードの写真を撮りました。 有森裕子さんも、同じコースを走っていたようです。 高橋尚子さんの本には、こんな一節があります。  自転車があれば、行動半径が広がって、楽しみもぐんと増すのだ。  いまも、合宿所のある千葉の佐倉で、あちらこちらの道を走り回っている。  大きな道だけでなく、細い路地なども走るので、  「佐倉の道なら、高橋に訊けば、どんな道でも分るよ」  と言われている。

オトーサン、 「えー、12時28分、17.68km、山田休憩所に着きました」 ここでも、また悪い癖が出て、追いつき追い越し。 風のように走ってしまいました。 おかげで、Tシャツは汗まみれ。 お茶を飲み、先程買ったチョコレートをかじりました。 「チョコを食べるのも、久しぶりだなぁ」 のんびりしていると、 ミニバンのかげで休憩しているサイクリストたちをみかけました。 「どこのサイクリング・クラブかな?」 行動を見守っていると、 オートバイがやってきて、 その後をついてサイクリストが走り出します。 「変な方向に行くなぁ」

オトーサン、 興味深々。 「よーし、後をついて走ってみよう」 サイクリングコースから外れて、農道を走っていくのです。 直線道路が畑の中を地平線まで伸びています。 「ここ、気持ちいいなぁ」 1kmほど走ると、 ガードレールが急に絞られて、道幅2.2m。 「引き返すか」 山田休憩所に戻ってきました。 「すみません。  そのオートバイ、なんで自転車の前を走るの?」 「風圧を避けるためですよ」 「へぇ、どのくらいのスピードで走るの?」 「60kmから70kmですね」 「ひえーっ」 彼らの正体が分かりました。 何と、競輪選手たちだったのです。 この直線路を練習コースにしていたのです。

オトーサン、 「えー、2時15分、39.43km、道の駅に戻ってきました」 でも、高橋尚子ちゃん記念なので、 42.195kmは走っておかないと、気分がよくありません。 新川を下流に向かい、城橋から引き返しました。 「えー、2時27分、43.04km、道の駅に戻ってきました。  今日は、これで終りにしましょう」 道の駅の野菜直売所で、新鮮野菜を何点か買いました。 C4で来たので、ダイコンなんかも積み込めるのです。 積載能力は、やはりクルマが上手です。


24 我輩、うなぎを食べに遠出せり!その1

オトーサン、 映画「うなぎ」を見ました。 「そうか、竹筒のなかにうなぎが入るのか」 昔は、そんな風にして、近所の川でうなぎが獲れたもの。 昨今は、養殖技術が発達して、養殖うなぎばかり。 さらに、中国産のうなぎが格安で入ってきます。 「天然うなぎを食いたいなぁ」 そう思っても、いまは、もうムリというもの。 99%は、養殖ものとか。 ところが、先日、下総松崎で会ったサイクリストから、 安食に美味い天然うなぎの店があると教えてもらいました。 「土日は、混んでいて、長いこと待たされるよ」 そこで、平日に行くことにしました。 オトーサン、 「えー、今日もいい天気ですね。  今日は、安食まで遠出します」 9時35分にスタートしました。 安食駅は、JR成田線の終点である成田の2つ手前の駅。 わが家からは、かなりの距離があります。 「行けるところまで行って、あとは輪行にしよう」 そんなプランで、スタートしました。 ・10時05分、7.05km、手賀沼に着き、新CR快走 ・10時24分、14.50km、手賀沼フッシングセンター通過 ・10時40分、17.80km、JR成田線・湖北駅を通過 ・10時58分、21.10km、我孫子市民体育館から利根川CRへ オトーサン、 陽気がいいので、上着は2枚。 サイクルウエアの下のTシャツは、すでに汗まみれ。 「えー、11時12分、25.12km、栄橋の手前にきました。  あ、砂利道だ!」 平行する356号線が100mほど渋滞しています。 トラックの脇を抜けて走るのはいやなので、河原に下りました。 幸い、コンクリートの部分があるので、 そこをゆっくり走って、橋の下をぬけました。 「えー、400mほどで堤防に復帰しました」 ちょっとの距離ですから、国土交通省、何とかしてほしいものです。

オトーサン、 「えー、11時42分、32.69km、第2栄橋にやってきました」 ここも、まだ工事中で、迂回せねばなりません。

「えー、11時50分、33.85km、ようやく、堤防に復帰しました」 もう30km以上走ったのに、安食はまだまだ先のようです。 「あー、腹減ったなぁ。 木下駅あたりで、電車に乗ればよかったかなぁ」 でも、引き返すのも、しゃくです。


25 我輩、うなぎを食べに遠出せり!その2

オトーサン、 「えー、11時55分、35.72km、印旛水門が見えてきました」 ここまで来れば、もう安食に着いたようなもの。 公園で、ひと休みして、お茶とアンパン1ケ。 Tシャツ1枚で日向ぼっこ、汗を乾かします。

「えー、12時15分、37.14km、うなぎのさかたに着きました。  ここ、いい店ですねぇ」 うなぎの美味いのは、評判通リ。 気に入ったのは、お姐さんたちの細やかな心遣い。 柏から遠路はるばる来たと聞くと、 奥座敷に通してくれました。 うなぎの並を注文すると、 「量が少ないだけですよ」と明るくカバー。 待っているあいだ退屈だろうと、 スポーツ報知を持ってきてくれました。 「また、きますね」 次回は、奥方や友人を誘いましょう。 繁盛店というのは、このように言いたくなるお店です。 一見さんを大事にする姿勢が、リピーターをつくるのです。

○うなぎ さかた  電話:0476-95-0154  住所:印旛郡栄町安食3795-58  営業時間:11:00〜20:30  定休日:無休  利根川で捕れた天然うなぎは、江戸前の蒸しと関西の焼きをミックス  タレも砂糖を使用していないので、あっさりと後味もよい。   ・うな重<特> 2520円(きも吸い、お新香つき)  ・うな重<上> 1995円(同上)  ・うな重<並> 1680円(同上) オトーサン、 「えー、1時01分、40.02km、第2栄橋に戻ってきました」 この後、お腹もこなれてきたので、走りに走りました。 取り替えたサイクルメーター、 最高速度を記録できないタイプなので、残念です。 おそらく、時速30kmは出ていたでしょう。 ・1時26分、48.27km、栄橋を通過 ・1時42分、52.66km、我孫子市民体育館を通過 ・1時50分、54.63km、古利根沼で休憩 ・2時05分、56.99km、湖北駅前、洋菓子メヌエット着 このお店、先客は、おばさん5人。 話しに夢中で、高笑いの連続でした。    姦    姦姦 状態なので、早々に退散しました。 オトーサン、 市街地に入って、 「そうだ、ハイテク・リフレクターを点灯しよう」 後部リフレクターの装着は法律で義務づけられています。 ただのリフレクターでは、効き目がないので、 ハイテク製品を購入しました。 このリフレクター、ライトが点滅できるのです。

○キャットアイ モデル:TL-LD250-R  軽量・コンパクトボディ。  LEDを3個使用した高出力、低電力消費デュアルモードライト。  点滅モードで100時間、点灯モードで50時間使用可能 点灯・点滅はボタン一つでカンタン切り替え。  サイズ 55.5X47X27mm  ウエイト 42g (ブラケット・電池別)  光源 LED X3  使用電池 単5型アルカリ乾電池X2本  価格:2079円 (税込) このハイテク・リフレクター、 近所の自転車屋さんが、苦労して取り付けてくれました。 というのも、通常の取り付け位置はシートポストなのですが、 バッグで隠れてしまうので、チェーン・ステーに付けることに。 取り付けバンドの直径が大きすぎるのです。 オトーサン、 一休みして、元気回復しました。 この時間帯になると、西日が強烈に目を射ます。 「前方が、全然、見えんなぁ」 用心しながら、走りました。 ・2時34分、60.15km、手賀沼フッシングセンター通過 ・3時00分、69.26km、柏ふるさと大橋を通過 オトーサン、 3時38分、76.04km、帰宅。 「やー、今日は、走ったなぁ」 余力が残っているので、あと10kmは走れそうです。 「まぁ、新記録は、次回に残しておこう」 身体のケアが必要と判断して、近所のお風呂へ。 風呂へ入ってノンビリしていると、冬の日は釣瓶落とし。 もうあたりは、暗くなっています。 「危ないなぁ」 ライトをつけないで、走っているママチャリの多いこと。 事故が起きるまで、気づかないのでしょうか? 「自転車にも、トワイライト・オン運動が必要だぞ、  免許制度を導入すべきかも」 ○トワイライト・オン運動  自動車の前照灯を日没時より早めに点灯し、  歩行者、自転車利用者、他のドライバーの注意を喚起して、  一日のうちで最も周囲が見えにくく、  多発する「夕暮れ時」の交通事故を防止しようとする運動。


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