古都、金沢&京都の旅
2007年の秋になって... 奥方いわく、 「たまには、金沢もいいわね」 「おれは、京都で美味いもの食いたいな」 「そう?」 そのまま、半月が経過しました。 膠着状態を打開すべく、妥協案を提出。 「じゃ、金沢2泊、京都1泊では?」 「いいわよ」 以下は、胸の内です。 「...また、お金がかかるなぁ」 では、早速、旅行日記へ。
金沢 ひがし茶屋街目次:
1 金沢 近江町市場 |
2 金沢 古民芸会館 |
3 金沢 長町武家屋敷・湯涌温泉 |
4 金沢 ひがし茶屋街 |
5 京都 三十三間堂・清水寺 |
6 京都 醍醐寺 |
10月18日 晴れ。 4時半起床。 早い朝食。 7時54分、上野発。 上越新幹線で、越後湯沢へ。 9時13分、北陸本線に乗り換える。 眠った。 目覚めると、黒部の手前。 車内アナウンス。 日本海の向こうに、能登半島が、ご覧になれます。 12時00分金沢着。 ホテル兼六荘へ。 閑静な場所にある。
ただちに、近江町市場へ。 甘エビ、マツタケ...大賑わいだ。 どこで食べようか。
"廻る近江町市場寿し"へ。 のどぐろ、甘えび、銀むつ...みんな旨い。 食後も食べ歩き。 大福もち、帆立て、金魚焼を買い食する。 2時15分、チェックイン。 いい部屋だ。 窓に面して金沢城公園の森。 猛烈に眠い。 4時散歩に出る。 お目当ての喫茶・東出コーヒー店は、お休み。 香林坊界隈を歩く。 尾山神社あたりは、風情がある。
近江町市場そばの喫茶店"hide and seek"でコーヒー。 ウマイ。 7時から、つば甚直営の"尾山甚平"で懐石料理。 旨いなんてもんじゃない。 日本酒を飲む。何年ぶりだろう。 アートだ。 お腹いっぱいだ。 8時半就床。
10月19日 6時起床。 シャワーを浴び、ロビーヘ。 インターネットで、天気予報をチェック。 雨雲が近づいている。 コンビニで、傘を買う。 近江町市場へ。 鮮魚を運び込むトラックが通路をふさいでいる。 氷ですべりそうになる。 ここも、再開発が進んで、 マンションが増え、古い建物が消えてゆく。 路地へクルマが入り込んでくる。 この辺りは、面規制しなくては。 写真を撮って歩く。 ホテルへもどる。 近江町市場からわずか300歩だった。 もうポツポツと雨が降ってきた。 8時、朝粥を食べる。 9時、タクシーを呼んで、西金沢の"金沢古民芸会館"へ。 ・住所:金沢市西泉3-95 ・電話:076-244-4202 小学校の講堂を移築した広い店内には、古道具がずらり。 箪笥、漆器、茶道具、皿、茶碗、屏風、掛け軸、着物... 駕籠やミシンを改造したテーブルもある。 店主は、趣味が嵩じて、この商売をはじめたとか。 つれあいは、九谷焼の皿を買う。 有名作家のものだとか。 「"何でも鑑定団"に出品すれば、いい値がつくかも」 「ほかの店で売れば、旅費が出ますよ」 駄洒落を飛ばしあっていると、 ちょっといいお茶碗が目につく。 「これ、いいね」 「えっ、これ娘さんの作品なの?」 ○松本いずみ 1964年 石川県金沢市に生れる 1987年 31回陶磁器コンペティション入賞 石川県九谷焼技術研修所卒業 1997年 金沢市湯涌温泉に陶壁製作 2002年 サッポロビアマグランカイ入選 石川県デザイン展入選 2003年 長崎陶磁展入選 2005年 金沢わん・ONE大賞入選 2006年 めし碗グランプリ審査員特別賞 「これ、将来いい値がつくかも」 彼女が製作したコーヒー茶碗を買う。
10月19日 ホテルに一旦戻ってから、"東出コーヒー店"へ。 ブルーマウンテン、チーズケーキとも美味。 雨が本降りになってきた。 でも、香林坊界隈は、アーケードがある。 犀川大橋を渡って、すぐの"寺喜屋"へ。 お惣菜の大皿が並ぶ。 はたはたの煮物が美味だった。
次は、長町武家屋敷へ。 武家屋敷が連なる。 大野庄用水のたたずまいもいい。
お菓子の買い食い。 栗まんじゅう。 鞍月用水へ。 "カフェ・ド・フロール"で、コーヒー。 帰路、尾山神社の境内に続く細い路地を、 "金沢の味・風土菓 板屋"へ。 名菓、"香林”、"こもかぶり"を買う。 3時、ホテルにもどる。 4時、湯涌温泉へ。 ホテルの車で、30分。 山のなかにある。 金沢湯涌夢二館は、総湯のとなり。 展示も充実しているし、建物もおしゃれ。 きれいなひとねぇ。 つれあいは、竹久夢二よりも、 交際のあった女性にみとれている。 さっとみて、総湯(白鷺の湯)へ。
共同浴場を今風に建てかえたもの。 こじんまりしている。 体重69.5kg。 増えたな、食べ続けだもんな。 帰路、山間の風情が箱根のようだった。 金沢の夜景も見事。 ホテルに入らず、すぐ主計町へ。 浅野川でタクシーを拾い、路地裏を味わう。 京都の先斗町みたいだ。 7時から、尾山甚平で懐石料理。 鯛の刺身、ぶりかま、めじまぐろの美味で、過去最高。 素材からしてちがうのだろう。 また、日本酒を飲む。 教は、"加賀鶯"の冷や。 8時半就床。
10月20日。 6時に起床し、ロビーヘ。 インターネットで、天気予報をチェック。 雨雲が離れていく。 朝食は、7時半から。 団体客がかしましい。 昨日、充分見られなかった主計町へ。 映画「舞妓 Haaaan!!!」のロケ地になった。 あれっ、兼六園、こんなに近かったのか。 大手堀をぬけて、路地裏へ。 "佃の佃煮"で、"極上ごりの佃煮"を買う。 暗闇坂を降りて、浅野川河畔に出る。 東茶屋の"志摩"へ。 急な階段を上ると、別世界。 ほの暗い明かりのなかで遊興の世界に浸る。 床の間に背を向け、きょうそくに肘をのせてしばし、 正面の控えの間の襖が開くと、舞妓さんがお辞儀。 歌舞音曲が鳴り出す。 入館料400円は、安いなぁ。 そろそろ帰らなくては。
近江町市場へ戻って、 また"hide and seek"で、コーヒー。 雨が本降りになってきた。 ホテルまで駆ける。 近いと助かる。 タクシーを呼び、金沢駅へ。 駅の正面をドームが覆い、近未来の世界が出現している。 10時52分発、特急サンダーバードに乗る。 ホームや車内は、昭和枯れすすきの世界だ。 芦原温泉、福井、武生....、敦賀を過ぎると、 車窓に青い日本海、そして琵琶湖の湖面。 昼食は、コンビニのおむすび2ケ、 金沢名物のかぶら寿司、扶饅頭は、うまい。
10月20日 1時09分、京都駅着。 新阪急ホテルは、駅の眼の前。 京都タワーの並び。 早目だが、部屋に入れてくれる。 2時、スタート。 清水寺へ行きましょ。 ああ。 バスが満員だったので、 手前の三十三間堂で下りる。 おお、修学旅行生たちだ。 中学生のとき、修学旅行で来て以来だから、 もう半世紀前になる。 ふーむ、すごい寺院なんだ。
千体の千手観音像が並ぶのは覚えていたが、 彫像(等身大)が30体も並んでいて、 いずれも鎌倉彫刻の傑作で、国宝だったとは。 ・四天王 ・那羅延堅固(仁王) ・大弁功徳天(吉祥天) ・神母天王(鬼子母神) ・毘楼博叉 ・帝釈天 ・金那羅王 ・大弁功徳天 ・婆藪仙人 ・摩和羅女ほか やはり風神像、雷神像は圧巻だ。
英語、フランス語、ドイツ語が飛び交う。 外人の団体さんだ。 国際的な観光コースに入っているのだろう。 清水寺、歩いて行く? ああ。 清水坂は、両側に並ぶお店をみながら登る。 満員列車なみの混雑だ。 途中、局屋で、一休み。 栗を栗餡で包んだ和菓子が美味だった。 ようやく清水寺へ着く。 階段を登って清水の舞台に行くべきだが、パス。 入場料を払わず、舞台下まで順路を逆に歩く。 下からの写真を撮って引き返す。
市街を見下ろす景色はいいな。
三年坂、二年坂(二寧坂)をそそろ歩く。 途中で、はも味噌を買う。 外人さんが舞妓さんと歩いている。 みんなに撮影されて、舞い上っている。
高台寺から、祇園へ。 歩け歩けだ。 新京極から錦市場へ。 腹減ったな、疲れたな。 回転すしで、夕食にする。 ここのは、ネタがいいなぁ。 あなごは、最高だった。 あなた、600円もするのよ。 ああ。 茶碗蒸しも美味だった。 地下鉄で2駅、京都駅へ。 地下道を上れば、ホテル。 疲れていると、ロケーションのよさで救われる。 入浴する元気もないので、身体を拭くだけ。 ベッドで、巨人VS中日戦を少しみる。 8時就寝。
10月21日 起床6時半。 シャワーを浴びて、外出。 ホテルから30歩のコンビニでスポーツ紙、 隣のヴェローチェで、アメリカン。 両脇は、外人カップル。 京都しているなぁ。 ふーん、巨人は戦わずして敗退か。 8時20分、四条のイノダ・コーヒーへ。 10分ほど順番待ちの後、モーニングを頼む。 京都へ来ると、ここと錦市場へ行かないと落ち着かない。 「ハムも、クロワッサンも、美味しいわね」 鴨川の川辺を歩く。 「水が澄んでいるなぁ」 「石原都知事は、無為無策ね」 つれあいは、白鷺、鴨、川魚を撮っている。
こちらは、デジカメのバッテリーが切れて、カメラなし。 10時10分、地下鉄東西線・三条京阪駅へ。 醍醐寺に行くことにしたのだ。 ○醍醐寺 世界遺産。 真言宗醍醐派総本山。 創立は空海の孫弟子である理源大師。 上醍醐と下醍醐に伽藍が分かれる。 主な国宝として ・金堂 ・五重塔 ・三宝院唐門 ・三宝院表書院 ・薬師如来と両脇侍像(日光/月光) つれあいは、ほとんどのお寺をみているようだが、 ここは、はじめてらしい。 「いままで不便だったからね。 地下鉄ができて、近くなったようね」 「...行き先に事欠いて、場末のお寺かよ」 内心毒づいていたが、これが大外れ。 まず、遠方かと思っていたら、 たったの18分で醍醐駅に着いた。 次に、駅前からお寺までの遊歩道の気持ちいいこと。 「こりゃ、スゲエや」 「200万坪だって。一山押さえたのよ」 「これ、唐門だって」 「葵の御紋かい?」
「この五重塔、いいねえ」 「京都で最古のものらしいわよ」
「みてみて、この枝垂れ桜の見事なこと」 「今度は、春に来てみたいな」 「11月下旬なら、紅葉がいいのにねぇ」 さらに奥に行き、総門を入る。 「このお寺、広いなぁ」
大伽藍を撮りながら、上へと向かう。 「このお堂、きれいだな」 「女人堂っていうらしいわ」
ここから先は、登山道になる。 修験者姿の白衣と杖の男女が目立つ。
上醍醐まで2.6km、険しい山道を徒歩1時間余。 国宝の薬師堂や拝殿、清瀧権現などがあるらしい。 「せめて、1.1km先"不動の滝"まで登ろうよ」 水音が聞こえた場所で、つれあいは白旗。 「あたし、ここで待ってるわ」 急な階段状の山道を駆け登って、 滝の写真を撮って、10分後に戻る。 「何これ、これが滝なの? ホースから出ている水じゃないの」
山道を下る途中、平坦になり、立て札がある。 「"槍山"? あの有名な花見の場所か」 雲かとまごう全山を覆う桜、眼下の大伽藍と桜。 その"醍醐の花見"の模様はといえば... 1596年9月5日、震度7の直下型大地震が起きた。 伏見城は倒壊、城内だけで600人が死んだ。 いわば、阪神大震災。 この1年後、老いの衰えを感じた秀吉は、 長年連れそってきた北政所をはじめ、女房衆を慰めようと、 桜の名所、醍醐寺での花見を計画する。 下見には、家康を伴って、山頂まで登った。 派手好きの太閤秀吉、やることが桁外れだった。 地震や戦乱で荒廃した伽藍を再建し、 槍山までの登山道に700本の桜を移植し、8ケ所の茶屋を設けた。 1300人もの女性衆のために、着替えも含め3着の花見衣装を用意した。 命じられたのは、島津藩で、朝鮮征伐に非協力的だったことへの懲罰だった。 花見の宴は、言葉に書き表せないほどのものだったらしい。 歌会の歌が醍醐寺に残っている。 重文「醍醐花見短冊」から2首。 まずは、秀吉。
・恋々て 今日しぞ みゆき花盛り 眺めにあかし 幾年の春 (注:みゆきは深い雪。桜のこと。行幸にかけている) そして、北政所。 ・ともなひて 眺めにあかし 深雪山 帰るさ惜しき 花のおも影 下醍醐に下って、霊宝館の秋季特別公開を参観。 「なぬ、国宝が4万点以上ある?」 さらに、三宝院庭園を拝観。 「こりゃ、京都で最高級の庭園だ」 「秀吉がデザインしたんだって。 あの藤戸石、数奇な運命をたどったみたいね」 もともとは、源平藤戸合戦で漁師の死体が発見された浅瀬にあった。 名石とされ、細川家の屋敷へ。 織田信長が二条城に移し、飾り立てた。 死後、秀吉が聚楽第に移し、最後にここへ持ってきたそうだ。 出典:楠戸義昭「醍醐寺の謎」祥伝社黄金文庫
腹減ったな。 参拝&登山を終えて、"しも村"へ。 にしんそばと湯葉そばを頼む。 お味は...醍醐味にはほど遠かった。 山科駅までバスに乗り、地下鉄で四条へ出る。 また錦市場へ行き、夕食材料を買う。 4時半ホテルに戻っる。 パンフレットに気づく。 「あれ?レンタサイクルあるんだ。 次は、京都をマウンテンバイクで走ろう!」 CANNONDALE F400を借りると1日2000円だとか。 ・京都サイクリングツアープロジェクト http://www.kctp.net/jp/index.html 5時15分発のぞみに乗る。 うたたねをしていたら、もう東京駅だった。 就床10時。 (完)