オトーサン、 65歳にして、弱気になりかけました。 自分では、若いつもりですが、 かつての上司や友人が、どんどん亡くなっています。 「もう年寄りなんだ。 介護保険料を払えと国が言ってくるんだから。 ...でもなあ、昔風の年寄りには、なりたくないなあ」 ゲートボール、俳句、病院通い...おお、いやだ!」 ある日、開眼しました。 「この歳になっても、若返りは可能なんだ!」 一目惚れしたのです。それもお相手は、女性ではなく、クルマでした。 白昼、目の前にアルファ・ロメオ156があらわれたのです。 あまたのクルマに乗ってきたというのに、40年後にもなって... たかが1台のクルマ、されど、その1台が老後に彩りを加えてくれるかも。 「よーし、人生、最後の勝負をするぞ!」 では、その出会いから物語をはじめましょう。
目次
オトーサン、
環八沿いの輸入中古車販売店グートの顧客です。
「私が愛する老婆」を読み終えた方なら、
このお店が、トヨタが運営する
全国で唯一の輸入中古車販売店であること、
店長が、成田さんであること、
3年前に、ここで、老婆を衝動買してしまったこと、
買ったばかりなのに、オーバーヒートをしたり、
90Kmを超えると、よろよろ走ったりしたこと、
八ケ岳の山荘から、東京まで積載車で修理に運ばれたこと、
とにかく、おそろしいほど故障続きだったこと、
そして、3年後に、査定をしたら、
買ったときの110万円が10万円になってしまったことなど、
すべてご存知でしょう。
オトーサン、
久しぶりにグートに寄りました。
「へえ、成田さん、また偉くなったの?」
「いえいえ、名前だけです」
「だって、総店長って書いてあるよ」
「ここ、東京トヨタ、東京カローラからもひとが来ているのですが、
一応、私が、東京トヨペット出身なので、総店長になっているだけで」
成田さん、あくまでも謙虚です。
この方と話をしていると、
成田山に参拝したときのような清らかな気持ちになります。
そして、人間偉くなると、顔つやがよくなります。
いまや、後光が射しているようです。
「こんなに在庫が多くては、大変だねえ。
これ、みんな売らなきゃならないとなると、
気が狂いそうになるでしょう」
年末在庫が敷地一杯に溢れて、歩くところもないほどです。
「そうなんです」
「じゃ、1台でも、減らすのに協力しなければ」
「お願いします!」
「そう、あのクルマに興味あるんだけど」
「どれですか?」
そんなことで、気になっていたアルファ・ロメオのそばに行きます。
「へえ、263万円もするの?」
「....」
「でも、走行キロは、1万3000Kmか」
「車検は、来年の10月になります」
「2年物というわけ」
「ええ」
「ワン・オーナーとあるけれど、神戸のひとなんだって?」
「へえ、そうですか」
成田さん、びっくりして車検証をチェック。
「そうですねえ、よくご存知で...」
「この前、来たとき調べたんだ。
どうでもいいけど、ネットに掲載されている写真、
下手な撮り方してるね。
あれじゃ、誰も、買う気になれないよ」
「スミマセン、考えます」
オトーサン、
つい、成田さんに先輩面をしてしまいます。
1年後輩が、トヨタ自動車副社長の岩月一詞さん。
「へえ、禿げたねえ」
整備士国家試験問題漏洩事件で、深々と頭を下げているのが、
テレビで放映されているので、分かったことです。
「偉くなっても、何もいいことないなあ。
あなたも、これ以上、エラクならないほうがいいよ」
OBって、こういうところが、よくないのです。
分かっていて、口に出してしまうのは、
まだまだ、未熟なのでしょう。
オトーサン、
明日、奥方と見に行く前に、
アルファ・ロメオ156について猛勉強しなければなりません。
まずは、本棚の奥から、いつも頼りにしている
徳大寺有恒さんの「間違えだらけのクルマ選び」(98年版)
を探し出してきて、そのスコアをみます。
設計ポリシー 9
キャラクター 9
先進性 7
スタイル 8
インテリア・センス 8
基本性能 9
運転の快楽度 9
スペ−スユーティリティ 7
燃費 7
ヴァリュー・フォー・マネー -
魅力度 9
総合評価 9
オトーサン、
「へえ、9点とは、スゴイじゃん」
徳大寺さん、滅多なことでは、9点をつけません。
それなのに、設計ポリシー、キャラクター、
基本性能、運転の快楽度、魅力度で9がついています。
「5項目も9だぜ」
7点がついたのは、先進性、スペ−スユーティリティと燃費。
「スペース・ユーティリティも、7のはずはないだろう。
だって、オレの買いたいのは、ワゴンだもの。
なお、まあ、問題は、燃費だな」
ヴァリュー・フォー・マネーのスコアが未記入なのは、
98年発売で、執筆時点で分からなかったからでしょう。
オトーサン、
ネットに「アルファ・ロメオ156 スポーツワゴン」と入力します。
「おお、あるある!」
「へえ、98年の欧州カーオブザイヤーを取ったのか」
「スポーツワゴンの日本導入は、2000年8月か」
そして、概要紹介もありました。
ミドルクラスのスポーツワゴン。
ワゴンとしての実用性はイマイチだが、
その走りはドライバーを熱くさせる。
決して完成度が高くないのに、
楽しみだけは存分に引き出されているのだ。
丸みを帯びたダイナミックなスタイルを採用し、
50年代のモチーフを用いた個性的なデザインのフロントマスクが
他のモデルにはない魅力。
日本仕様に搭載されるエンジンは2Lツインスパークと2.5LV6。
ツインスパークには、5MTとセレスピードが、
V6には6MTと4AT・Qシステムが組み合わされる。
正式名に156の名前は付かないが
リアエンドにちゃんと156と記されている。
オトーサン、
「ふむふむ。オレを熱くさせてくれるのか。
買おうとしているのは、
2リッターのツインスパークのセレスピードだけど、
ツインスパークって、何だ? セレスピードって何だ?」
また、徳大寺有恒さん本を読みます。
「ツインパークスは、1気筒にプラグを2つ与え、
点火効率を高めるという、アルファが昔から使っているもの」
「セレスピードは、普通の5速マニュアルボックスを
電子制御でクラッチワークするクラッチレスである。
フルオートマチックでも走れるが、
シフターのプラスマイナスで任意のギアを選べるというところが、
ミソ....
このシフトは、正確で、人間技でマニュアルのシフトダウンよりは、
すっと素早い」
オトーサン、
「こりゃ、うれしいなあ。この歳になって、
ボーイズ・レーサーを尻目に、箱根の坂道でブッチギリとは」
オトーサン、
アルファのことをもっと知りたいのに、資料がなくて困っています。
早い話、中古車で不便なのは、カタログがもらえないこと。
そんなとき、「カービュー」にカタログ・データがあったので、
むさぼり読みはじめます。
カタログ・データ
オトーサン、
「やあ、データが並んでいるなあ」
まずは、スリーサイズを中心に
アルファロメオの購入比較対象である
BMW318、レガシー・ツーリングワゴンと比べてみましょう。
アルファロメオ BMW レガシー
全長 (mm) 4400 4470 4680
全幅 (mm) 1755 1740 1730
全高 (mm) 1415 1415 1470
ホイールベース (mm) 2700 2725 2670
車両重量 (kg) 1400 1360 1350
オトーサン、
「ふーん、BMWとは、ほとんど一緒なんだ。
レガシーは、やや大きいなあ」
やはり、アルファがBMWを意識して開発されたことが分かります。
「でも、いまいち、ピンとこないなあ」
そこで、いま乗っている老婆と比較してみました。
2.0JTSセレスピード RHD(AT 2.0) (参考)老婆
新車価格 ¥3,960,000 \1,999,000
中古車価格 2,650,000 1.100,000
オトーサン、
「新車価格も中古車価格も老婆の2倍か。高級車だ。
これだけ払えれば、国産は勿論、ベンツもBMWも買えるなあ」
乗車定員(人) 5 5
ドア数 5 5
全長 (mm) 4440 3975
全幅 (mm) 1755 1695
全高 (mm) 1415 1420
オトーサン、
「老婆より、65cmも長いのか。
幅は、6cm増しか。まあ、立体駐車場に入るだろう。
高さは、1415mm! 低いなあ」
ホイールベース (mm) 2595 2500
トレッド前 (mm) 1510 1480
トレッド後 (mm) 1500 1460
車両重量(kg) 1400 1070
最小回転半径(m) - 5.0
オトーサン、
「あれっ、最小回転半径の数字が出ていない。さては...」
調べたら、5.8mでした。
「こりゃ、車庫入れが大変だ!」
トランスミッション 5AT CVT
サスペンション前 ダブルウィッシュボーン ストラット
サスペンション後 ストラット トレーリングアーム
ブレーキ前 ベンチレーテッドディスク ベンチレーテッドディスク
ブレーキ後 ディスク ディスク
オトーサン、
「うれしいなあ。ダブルウィッシュボーンを奢っているなんて」
その昔、ソアラで、そのしなやかな乗り心地に酔いましたっけ。
タイヤサイズ 205/55R16 175/65HR14
アロイホイール アルミ -
オトーサン、
「ひょっとして、アウディと同じサイズかも。
すると、山荘の物置に置いているスタッドレスが使えるかも」
エンジン 直列4 DOHC 直列4 DOHC
最高出力ps/rpm 166 / 6400 111 / 6000
最大トルクkgm/rpm 21.0 / 3250 14.8 / 3000
オトーサン、
「166馬力か、大したもんだ」
10・15モード燃費(km/L) - 10.2
使用燃料 無鉛プレミア 無鉛プレミア
燃料タンク容量 (L) 63 50
オトーサン、
「ありゃ、燃費も出ていない、さては、あまり期待できないな。
今度も、ハイオクだ。まあ、いいや、安く買えるスタンド知ってるから」
ガソリンタンクの容量が大きいのは、長距離では安心です。
「それに、安いスタンドでたくさん仕入れておけるからなあ」
安全装備
運転席エアバッグ ○ ○
助手席エアバッグ ○ ○
サイドエアバッグ 運転席/助手席 -
ABS EBD付 4輪
トラクションコントロール ○ -
前席プリテンショナーシートベルト ○ ○
ハイマウントストップランプ ○ ○
オトーサン、
「安全装備は、問題ないなあ」
視界・外装
ヘッドライト プロジェクタ・タイプ ハロゲン
フロントフォグランプ -
ドアミラー 電動調整 可倒式ドアミラー
リアワイパー ○ ○
リアスポイラー - ○
オトーサン、
「ヘッドライト、プロジェクタ・タイプって、どうなのかな」
内装・室内装備
ステアリング素材 革巻き ウレタン
パワーステアリング ○ ○
チルトステアリング ○ ○
パワーウィンドウ ○ ○
集中ドアロック ○ ○
ワイヤレスドアロック ○ ○
クルーズコントロール ○ -
前席パワーシート ○ -
前席シートヒーター ○ -
リアシートアームレスト センター -
分割可倒式リアシート ○ -
オトーサン、
「おお、クルーズコントロールと前席シートヒーターは、いいぞ。
リアシートも分割可倒式だから、荷室が広くなる」
快適装備
エアコン デュアル ○
ラジオ AM・FM AM・FM
カセットプレーヤー - ○
CDプレヤー チェンジャー -
スピーカー数 8 6
ダイバシティアンテナ - -
ナビゲーションシステム - -
オトーサン、
「カセットが使えないのか。その代わり、CDが使える。
まあ、今時、カセットでもないか。そういう時代になったんだ。
ナビも後付けか。また、お金が飛んでいくなあ」
クルマを買うと、後付けの部品・用品類の値段が馬鹿になりません。
「ETCは、老婆のを再利用できるだろう」
オトーサン、
サイト探索を続行します。
「おお、ユーザーレポートもある。
セダンで65人、ワゴンで11人か。
カービューって、なかなか充実しているな」
最初に目に飛び込んできたのが、
「50才にしてアルフィスタ」さんの評価
2003/12/07
所有年数: 1年
総合評価 8.8
エクステリア 10
インテリア 9
装備 9
走行性能 8
おすすめ度 8
オトーサン、
「高いスコアだなあ、
ところで、アルフィスタって、何だろう?」
いろいろ調べてみると、どうやら、
その独創的なスタイリングと官能的なエンジンフィールに
熱狂するマニアのことを、アルフィスタと呼ぶようです。
「すると、オレも近々アルフィスタになれるの?」
「50才にしてアルフィスタ」さんの満足している点
エクステリア、インテリア共に
さすがデザインの本場イタリアといったところでしょうか。
走らなくとも所有する満足感が得られる稀有なクルマです。
そしてエンジン、低速域でのバラツキはあるものの、
3000回転からのフィーリングは
「イタリア人はエンジン作りの天才」と本当に思います。
国産エンジンを2000回転で回しているのと
アルファのエンジンを4000回転で回しているのと同じ感覚です、
それほど良く回る。
ピックアップも良くスペック以上のものを感じます。
最後は希少性、
皆にイタ車の良さをもっと知って欲しいけど、
いくら良い車でも街にあれほど溢れると。
平日はアルファに1度逢うか逢わないか、
ベンツやBMWでは味わえない満足感が味わえます。
オトーサン、
「そうか、アルファの売りは、デザインとエンジンか」
「50才にしてアルフィスタ」さんの不満な点
購入前には故障を覚悟してと思いましたが、
残念ながら(?)これと言った故障がない為
不満も特にここがというものがありません。
強いて言うなら、2.0JTSセレはローダウンサスが標準ですが
街中では少し硬いですね。居住性を求める人には勧められません。
オトーサン、
「へえ、案外、故障しないんだ」
98年の発売以来、50万台も売れたのですから、
量産車として品質もある程度、安定してきたのでしょうか。
「50才にしてアルフィスタ」さんの総評
ほぼ1年、12000km走った感想ですが、
一言で言うと「無理して買って良かった」ということでしょうか。
10台目にして初めての輸入車を購入すると決めて以来、
BMW、プジョー、シトロエン、ボルボ、アウディ
そしてアルファを比較検討しました。
メカ好きクルマ好きの私が最後に迷ったのがBMWとアルファ。
両車(BMは320i)を何度も試乗しましたが、
走りそのものはBMWに軍配が上がったものの、
ステアリングを握った瞬間のあの「あぁスポーツカーだ」という感覚と、
クルマを「ドライブしている、操ってる」という感覚、
これはアルファにしかありませんでした。
そして、街中いたるところに溢れている
「すばらしい機械、BMW」より、
めったにお眼にかかれない「すばらしいクルマ、アルファ」
これで決まりでした。
聞いていたような故障はないし、標準装備は必要かつ十分だし、
すべてにこだわりをもってつくったクルマで、非常に満足しています。
でも、クルマが本当に好きという人以外にはやはり勧めません。
アルファの良さが分かる人に乗ってもらいたい、
とにかくカッコいいクルマに乗りたい、
そんな人には乗って欲しくないなぁ(失礼)
というのが正直な気持ちです。
156からはボディー剛性も格段に良くなり、
内外装の質感も問題ありません。
ただ、メンテナンス・コストは、やはり高いです。
平均燃費:
8 Km/l
オトーサン、
「維持費がかかるのと、燃費8Kmしか出ないのは痛いなあ。
でも、街で滅多にお目にかかれないというのは、気持ちがいいよなぁ」
平凡な人間ほど、クルマで個性を出そうとしがちです。
そう分かってはてますが、日本中を探しても、
アルファ・ロメオ156が数千台しかなく、
しかも、スポーツワゴンとなると、800台もないのは魅力です。
オトーサン、
うれしくなって、ユーザーレポートをみな読んでしまいました。
オトーサン、
「おお、同じ色のひとがいた!」
もう1人だけ、ご紹介しましょう。
ノルバさんの評価
2003/08/14
所有年数: 1年未満
満足している点
ヌボラブルーという伊太利人が見た青雲色の変化の美しさ。
駐車場で車を降りた後、思わず振り返ってしまう美しいデザイン。
独車に近くなった剛性感。
オーバースピードでカーブに入ってヒヤッとしても
何事も無かったようにハンドルの向かう方向に導いてくれる懐の深さ。
そして、ここぞという時に踏み込んだアクセルに応えてくれる
V6の生き物の様な咆哮(アクセルから足が離せなくなってしまう)。
不思議なことに何時間運転していても疲れない、
むしろ元気をくれる車内に漂う不思議なオーラ。
人を威嚇しない品の良い車体の大きさ。
最後に…アルファ用に特別に作られたほのかに甘いフレグランスが、
車を降りた後のスーツに染み込む快感。
伊達だねえ。
不満な点
慣らし運転中にも関わらず悪い燃費。
法外な車両保険ランク(フェラーリと同等って知ってました?)。
サイドミラーの斜め後ろが死角になり、
狭い駐車場でもほとんど倒れない事。
少々固めすぎの足回り。
HDDナビが装着できないもどかしさ。
総評:
もっと早くアルファに乗るべきだったと後悔させる魔力。
今まで5台の国産車を乗り継いだが
これだけ満足度が高いことは無かった。
ベンツ、BMWが平凡に見えてしまう伊太利車の美学が心地よい。
細かい点に不満は出るがもっと大きな感性の美しさに
共鳴させられてしまう。
156が発売されてから6年が経ち、
決して「新車」とは言えないが、
毎年行われるMCがこの車をリフレッシュしている。
例え、来月「157(?)」なる後継車が発表になっても
後悔させないこの高いデザイン完成度が他の車にある?
タイミングもあるでしょうが、実際に乗れば分かる、
惚れてしまう車なんでしょうね。
平均燃費:
6.5 Km/l
オトーサン、
読んでいて、次第に気分が高揚してきました。
「アルファは、とにかく、いいんだ!」
「でも、燃費が6.5 Km/l か。参ったなあ。
年金も減らされるという時代。
塩ジイなんか、年金生活者への支給額は
生活保護世帯並みでいいなんて
放言していたからなあ」
でも、損得勘定はやめましょう。
そんなことばかりしているから、みんな暗くなるのです。
「いつ死ぬか分からぬ身だもんな。
明日なき老人は、今日を楽しまねば。
えーい、行くとこまで行こうぜ!」
イタリアの赤い血に酔い、ラテンの熱さに身を委ねましょう。
オトーサン、
「カタログ・データだけじゃなあ」
お見合いで、経歴とスリーサイズを確認しただけでは、
お嫁さん、お婿さんの出来・不出来など、分かりません。
そんな表面的なデータで、高額な支出をしてはいけません。
そこで、大きな本屋に行って、
アルファ・ロメオの記事が出ている雑誌立ち読みしました。
「記事の量が少ないなあ」
それでも、少しは分かりました。
でも、一番役に立ったのは、やはり、ネットのサイト。
やはり、カービューのユーザーレポートが一番だと分かりました。
76人の書き込みから分かった長所と短所をまとめてみましょう。
長所
・デザインのよさ
バンパーに食い込む盾型のグリル
アルファロメオの由緒あるエンブレム
2ドアクーペに見えるようなサイド
ワゴンの重たさを感じせない伸びやかなルーフライン
あも言われぬアルファ・カラー(真紅)
・ツインパークス・エンジンの官能的な吹き上がり
・セレスピードが面白い
初心者にも、マニアにも、喜ばれるシフト形式
・ハンドリングのよさ
・包み込むようなシート
シートヒーターと電動リクライニングは、女性に好評
・ドライバーを興奮させる砲弾型の計器類
とくに、夜間照明は、真紅でエモーショナル
・エンジンルームが美しい
短所
・燃費があまりよくない
・エンジン音のよさは、言われるほどではない
・セレスピード 変速のさいのタイムラグ(特に、1速から2速)
・ブレーキのタッチが、スポンジー
・回転半径が大きすぎる
・車高が低いので、駐車場などで擦る
・死角がある(リアビュー、サイドビュー)
・ヘッドライトが暗い
内側に水滴が入り、曇る
・内装の質感が悪い
・カップフォルダーがない
・収納が少ない
・エアコンの効きが悪い
・オーディオの音質が悪い
・3ナンバーなので、税金が高い
・保険代が高い
・マイナー故障が多いので、維持費がかかる
・タイミングベルトは、2万から3万で交換せねばならない
・電気系統が弱い
・電動ウインドウの動作不良
・オイル漏れ(エンジン、ミッション、ブレーキ、パワステ)
・燃料ホースバンドの劣化・破損
・パワステのパワーシリンダーをエキゾースト・パイプの
熱から守る遮熱板の破損
・塗装が弱い
・キシミ音がする
オトーサン、
「こりゃ、プラス、マイナスを勘案すると、マイナスだ」
老婆並みか、それ以上の苦労を覚悟しておいたほうがよさそうです。
わざわざ、苦労を背負うなんて、難儀なことです。
でも、この苦労がいつの日か楽しい思い出に変わるのです。
まったく壊れない冷蔵庫のような国産車では、
苦労しない分だけ、先々、楽しみがないのです。
「オレの言い分って、変かなあ?」
オトーサン、
日曜日の朝、6時に起床。
「おお、いい天気だ!」
冬の東京は、雲ひとつない晴天が多いのです。
「ディーゼル規制で、少しは空気がキレイになったか。
でも、都心は、高層ビルの建設ラッシュ。
ひとが増えれば、空気も汚れる」
「行くぞ!」
奥方に声をかけます。
「どこへ?」
「駒沢公園に、このお店がある」
地図をみせます。
「へえ、あそこに永谷園があるの?」
お茶漬けで有名な永谷園、
その昔、社長さんとハワイでご一緒したことがあります。
ここが経営しているレストラン、朝食がおいしいのです。
「こんなに品数が多くて、ダイジョウブなのかしら?」
奥方が経営を心配するくらいですから、
損得抜きで、顧客サービスの一環でやっているのでしょう。
オトーサン、
クルマを走らせます。
「銀座界隈は、がらがら」
「何だ、ここETCないのか」(銀座の高速入口)
「さんちゃ(三軒茶屋)に降り口あったかなあ」
「早いなあ。20分で着いた」
「あれ、ないなあ、場所間違ったかなあ」
「ここ、駒沢大学よ、あの子が受験したところね」
「落ちたんだよなあ」
「1年浪人したのよ。そして、早稲田に受かったのよ」
「予備校に行ったんだっけ」
「そう、駿台、駿台さまさまよ」
結局、つぶれたのか、駒沢店は見つからじまいでした。
多摩川沿いのサンマルクまで走らせて、豪華な朝食。
「この道、あの娘によく送らされたわ。
起きてくるなり、遅刻するから、送ってだもんね」
「成城大学だったなあ」
オトーサン、
「せっかく、ここまで来たんだから、
成田さんの顔を拝んでいくか」
「やっぱり...」
そうなのです。
アルファを見てもらうために、朝メシを奢ったのです。
グートに駐車します。
150台もの外車のなかに置くと、老婆は見劣りします。
成田さんが出てこられます。
「いらっしゃい!」
「ちょっと、アルファを見にきました」
「どうぞ、どうぞこちらへ。おひさしぶりですね」
成田さん、奥方にきちんと挨拶されます。
さすがに、プロ。
誰が決定権をもっているか、お見通しです。
オトーサン、
「なあ、リアのドア開けてごらん」
「これ、2ドアでしょ? どこにも把手ないわよ」
「...それが、ちがうんだなぁ」
リア・ガラスのサポート部分が把手になっているのです。
「へえ、しゃれてるわね。色もいいわね。赤じゃないけど」
何色でしょうか、淡いグリーンです。
「この歳になると、赤は派手すぎるよ」
「そうかもね」
「座ってごらん」
奥方のクルマ選びの重要なポイントは、椅子の座り心地。
「この椅子いいわね、大きくて包みこまれるよう」
どうやら、気に入ってもらえたようです。
「トランク開けてもらえますか?」
「はい」
キーのボタンを押すと、自動的にオープン。
「まあまあね、この広さなら」
ゴルフをやるひとは、
ゴルフバッグが3つしか入らないと問題視しているようですが、
奥方の場合は、山荘付近で拾った薪が、ある程度入るかどうか。
「リアシート、倒れますか?」
「はい」
成田さん、さっと対応しようとします。
「いや、いいよ。いま、やらなくても」
奥方が、ぐるっとひと回りして、スタイルを見ています。
「随分、大きいわねえ。駐車に入るかしら?」
「老婆より幅が6cm広いだけだから」
「そう」
背の低いのが、気に行ったようです。
奥方、背高クルマは、大キライなのです。
「貧乏たらしいわね」
成田さん、
「試乗されますか?」
「これ、動かせるの?」
展示車両の目玉には、装飾用のアーチが置かれています。
前後左右、ギッシリとクルマが囲んでいます。
ところが、成田さん、さっさとアーチを動かしはじめます。
スタッフが駆けよってきて、展示車の大移動。
奥方が囁きます。
「...買わなきゃいけないみたいね」
「まあな...(しめしめ)」
オトーサン、
アルファのエンジン音の異常に気づきます。
「このクルマ、おかしいんじゃない? 老婆の二の舞は、いやだよ」
「そうですね。ちょっと調べさせましょう」
メカニックが出てきて、
「パワステのオイルが抜けているようですね。
温まってくると、音がしなくなります」
しばらくすると、音が消えました。
「ちゃんと直してよ」
「はい」
「それじゃ、試乗しようかな」
「ガソリンを入れないと...。お待ちいただけますか」
「構わないけど、一緒に乗っていくよ。
奥方にいいます。
「助手席に乗ったら?」
「いいわよ、あなたが、乗って」
奥方は、辞退して、リア・シートへ。
まだ、その気になっていないようです。
さあ、成否は、試乗如何にかかってきました。
日曜日で環八が空いているので、試乗が楽しみです。
運転は、成田さん。
オトーサン、
ガソリン・スタンドで給油が終わって、
ふと、気づきました。
「ここ、第三京浜の入口のそばだよね」
「ええ」
「第三京浜で、オレが運転していいかなあ」
「いいですよ」
おそるおそる言ってみたのですが、簡単にOKが出ました。
アルファの性能を環八で試すのでは、
いくらに日曜の朝とはいえ、限界があります。
やはり、高速道路に持ち込まないと。
さらに贅沢をいえば、箱根のターンパイクか、
最近カーオブザイヤーの審査会が開かれる
八ケ岳のワインディング・ロードに。
ここ、オトーサンの山荘のすぐそばなのです。
奥方、
聞きとがめて、
「第三京浜に行くの?飛ばさないでね」
「ああ」
生返事をします。
オトーサン、
試乗から帰宅して、
ユーザー・レポートをみていて、
「最近のアルファは、ミーハーが乗るようになって、つまらない」
というコメントがあるのを確認しました。
それまで、アルファ・ロメオは、希少車だったのが、
156以来、日本でもブレークして、台数が増えてきました。
面白く思わないユーザーもいるようです。
「よーし、調べてやろう」
日本輸入車販売組合のデータをみました。
「車名別輸入車新規登録台数」。
2002年が最新データのようなので、販売台数順に並べ変えました。
まず、ベスト10。
「アルファ、入っているかなあ?」
ワーゲン、ベンツ、BMWが、やはり御三家です。
準御三家が、ボルボ、プジョー、アウディ。
欲しかったプジョーは5位、乗っていたアウディは6位。
「アルファは、あるかな? おお、10位に食い込んでいる!」
1 VW 59,882
2 Mercedes-Benz 47,983
3 BMW 35,728
4 Volvo 15,531
5 Peugeot 15,162
6 Audi 11,747
7 BMW MINI 10,024
8 Honda 9,841
9 Opel 7,846
10 Alfa Romeo 7,426
オトーサン、
「ところで、老婆は、どこにある?」
11 Chrysler 6,796
12 Chevrolet 6,159
13 Ford 5,860
14 Toyota 5,292
15 Jaguar 5,238
16 Subaru 5,007
17 Land Rover 2,580
18 Hyundai 2,423
19 Renault 2,412
20 smart 2,222
「老婆、ないなあ」
21 Fiat 2,199
22 Porsche 2,044
23 Isuzu 1,332
24 Citroen 1,202
25 Saab 1,149
26 Cadillac 1,130
27 Ferrari 410
28 GMC 410
29 DAEWOO 298
30 Lotus 272
「おお、あった。31位だ。老婆は、希少車だったんだ」
31 Rover 250
31 BMW Alpina 196
33 Maserati 183
34 Lamborghini 66
35 Lancia 63
36 Bentley 61
37 Mini 51
38 Aston Martin 37
39 Nissan 30
40 Rolls Royce 27
41 Buick 25
42 Ssangyong 25
43 Morgan 17
44 Pontiac 16
45 Autobianchi 9
45 Saturn 9
47 Unimog 6
48 Detomaso 4
49 Kia 1
49 Mitsubishi 1
Others 383
合 計 277,065
オトーサン、
「こうしてみると、アルファ・ロメオは、もうレア車じゃないんだ。
安心といえば、安心。さびしいといえば、さびしいなあ」
なお、雑誌に、2003年の月毎の販売台数が出ていました。
台数 輸入車中の順位
1月 239 13
2 525 9
3 922 8
4 362 8
5 314 11
6 826 8
7 345 12
8 402 8
9 846 8
10 305 11
11 405 10
合計 5491
(前年比 82.0%)
出所:Alfista vol.11 ネコ・パブリッシング 2003.12.26
オトーサン、
「アルファ・ロメオって、どういう会社なんだ」
やぱり、惚れた彼女のルーツを知りたいのと同様、
惚れたクルマのルーツだって、知りたいじゃないですか。
以下の歴史は、
「ワールド・カー・ガイド9 アルファロメオ」をベースに
いろいろなサイトや雑誌をみて、質問形式で纏めたもの。
オトーサン、
「アルファ・ロメオのルーツは?」
1905年、フランス人、アレクサンドル・ダラックが、
ナポリにイタリアーナ・ダラック社を設立したのが、ルーツである。
同社は、単気筒と2気筒の廉価な乗用車を販売した。
同年末には、ミラノ郊外に工場を建設したものの、
景気後退で経営不振となり、
地元の実業家たちが、ミラノ農業銀行から融資を受けて、
会社を買収し、
ロンバルダ自動車製造株式会社(Societa Anonima Lombarda Fabrica Automobili)
を設立した。アルファとは、この会社の頭文字をとったもの。
1910年の設立当初は、従業員100名、管理職20名の小さな会社だった。
「アルファの紋章の由来を知りたい」
設立時に招聘されたのが、設計技師ジュゼペ・メロージで、
4気筒エンジンのクルマ24HPを開発する。
その際、紋章もつくられた。
紋章(Serpent and Cross)にある左の十字架は、
ミラノ人で十字軍の英雄 Giovanni da Rho に因んだもの。
彼は、聖地回復においてエルサレムの城壁に最初に十字架を置いた兵士。
右の蛇はミラノの名門Visconti家の創始者であるOttoの家紋。
元々は十字軍の時に、
Ottoの犠牲となった者の盾についていた紋章を取ったもの。
この組合せがミラノ市の紋章になり、
アルファはそれを紋章としたのである。
また、紋章の周囲にある月桂冠は、
1925年に、最初に世界チャンピオンを獲得した時に加えられたものであり、
エンブレムにあった Milanoの文字は、
1972年にナポリに、Alfasudを創立したときに落とされている。
「ロメオは素敵な名前だけれど、その由来は?」
これは、1915年に経営権を手に入れたニコラ・ロメオの名前をとったもの。
かれは、鉱業プラントの会社を経営していたが、
軍需景気で巨額の財産を築き、
その余勢を駆って、アルファを買収した。
レースの宣伝効果を熟知していたので、
アルファ・ロメオは、以後、レース活動に力を入れる社風となった。
「第一次大戦後、買収されたって?」
1933年、アルファロメオは、経営難から、
IRI(産業復興公社)に買収され、国有化される。
長らく、6気筒、2500ccの高級車6C2500を作り続けたが、
1931年にレースを意識して、8気筒の8C2300を投入する。
DOHCエンジンは、当時、最新のテクノロジーだった。
「第2次世界大戦で、イタリアも敗戦国になったよね」
"日独伊三国同盟"を結んで、"鬼畜英米"に対抗したのです。
そのため、国営企業であるアルファ・ロメオの工場に対する
連合軍の攻撃は、すさまじいものがあり、
3度にわたる爆撃で、まったくの廃墟に。
戦後の1948年、社名をアルファ・ロメオspaとし、
工場再建に努め、ようやく乗用車生産を再開するが、
このとき、スポーツカーから大衆車の量産メーカーへと
方針を大きく転換する。
1950年に発売されたのが、4気筒4人乗りの大衆車1900で、
アルファとしては、はじめてモノコック・ボディを採用する。
1953年には、車名変更を行い、1900スーパー、1900T.L.スーパー
1900SS(スーパー・スプリント)となった。
1958年には2000シリーズ、1962年には2600シリーズが登場する。
「昔のモデルに、ジュリアとか、ジュリエッタがあるけれど、
これって、"ロミオとジュリエット"と関係あるの?」
ほんとにそうなのだから、面白いですねえ。
1954年のトリノ・ショーで、ニコラ・ロメオの名前にちなんで、
"ロミオとジュリエット"から命名された
1300ccの小型クーペ、ジュリエッタ・スプリントが登場する。
以後、セダンが追加され、シリーズが完成。
1958年後期モデルから、ティーポ101と名前が変わって、
フェイスリフトがなされるが、これを担当したのが、
当時ベルトーネにいた若きジョルジエット・ジウジアーロ。
1962年、このジュリエットの姉貴分として、1600ccのジュリアが登場。
このモデルはボクシーだったので、「醜いジュリア」と呼ばれたが、
石油危機まで、アルファ・ロメオの主力車種になった。
「アルファスッドって、いうのは?
スッドって、確か、南部のことだったよね」
先に触れたように、IRI(産業復興公社)傘下の国営企業だったので、
当然、国策に協力させられる運命にあった。
当時、国家的な問題になっていたのは、貧しい南部の雇用対策。
その一環として、アルファ・ロメオに白羽の矢が立ち、
ナポリにスッド工場を建設させられることになる。
1971年のトリノ・ショーに登場したのが、
2BOXのFF小型車アルファ・スッド。
エンジンは、水平対抗4気筒、縦置きで、
4輪ディスクブレージが奢られていた。
このスペース効率に優れた小型車のデザインを担当したのが、
イタル・デザインを設立していたジウジアーロだった。
初期品質不良、労働争議、石油危機、生産性の低さが命とりになって、
シリーズ・トータルで100万台を売ったものの、
1984年に打ち切られた。
「アルフェッタって、先進的なクルマだったんだって?」
そのアルフェッタの開発にあたったのが、オラッィオ・サッタ・プリーガ。
かれは、まったく革新的な夢のようなクルマを開発した。
フライホイール/クラッチ、5段マニュアル・ギアボックス、
ファイナル・ディファレンシャル・ギアを一体にして、
軽合金ケースに収納したトランス・アクスル・ユニットを開発し、
それをリアのアンダーフロアに固定することで、フロント荷重を軽くした。
これによって、操舵力に優れたラック・ピニオン式ステアリングが
取付可能になった。
また、リアには、ドディオン・アクスルが導入され、
高度な乗り心地が与えられた。
アルフェッタのデビュー2年後、
1974年に、ジウジアーロがデザインしたクーペ、
アルフェッタGTが発売された。
1800cc、ホイールベースは、2400mmに短縮され、
スタイリッシュになった。
回転計だけがドライバーの前にあって、
他の計器類はセンターに集中された。
「いまのアルファが出てきたのは、いつだったの?」
1979年にアルフェッタの上級モデルとして、アルファ6が登場する。
ホイールベースは、2600mmと90mm延長。
オートマティック・トランスミッションを搭載した。
特筆すべきは、新開発のV型6気筒2492ccエンジンで、
キャブレターを各気筒毎に当てがうことで、中速トルクの厚みを増した。
1984年、アルフェッタの後継車として、アルファ90、
1985年には、ジュリエッタの後継車として、アルファ75が登場。
アルファ90は、90年代のフラッグシップカーということでの、
アルファ75は、創立75周年を記念しての命名である。
1987年、このアルファ75モデルの末期に、
2Lのツインスパークスが与えられた。
「フィアットに買収された理由は?」
アルファ・ロメオは、80年代後半になっても、
依然として、経営難だった。
それに加え、IRI(産業復興公社)解体論が起きて、
売却が決まった。
有力候補は、フィアットであったが、
難色を示し、話が進まなかったが、
フォードが触手を伸ばしてきたので、ついにフィアットも折れ、
1986年11月、ランチアとともに買収されることになった。
買収から1年たった1988年、アルファ164が満を持して登場。
164という記号名が商品名になったのは、ある意味では味気ない。
なぜ、そうなったかというと、
フィアットの傘下になったためである。
フィアットは、サーブと共同開発を進めていたが、
ランチアとアルファロメオを傘下におさめたので、
フィアット・ティーポ、サーブ9000に加え、ランチャ・デドラ、
そして、アルファ・ロメオ164の4車種について車台共通化を図った。
社内呼称164が、外に漏れたので使用したというのが真相。
「フィアットのなかで、いまは、どういう位置づけなの?」
フィアットの高級車部門を受け持っている。
商品ラインは、145/146をボトムに、155、最上級が164、
そして、スポーツカーのスパイダーという構成になっている。
155の後継モデルが156である。
フィアットの意向で、それまでのFRをFFに、
アルミエンジンを鋳鉄製エンジンに変更させられるが、
ツイン・スパークスやセレスピードなどの工夫でスポーツ性を堅持。
よく考えれたデザインと性能・品質によって
1998年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、
以後5年間で50万台を売る大ヒット商品となった。
依然として、経営は苦しいが、レースには積極的に参戦し続けている。
1988年には、アルファ156で、
ETCC(ヨーロッパ・ツーリングカー選手権)に出場し、
以後、圧倒的な強さを誇っている。
2002年には、アルファ156GTAスーパー2000で総合優勝している。
この勢いを駆って、スポーティ路線を一層強化しようとしている。
親会社のフィアットが危ないとか
フィアットは、欧州の競合メーカーのなかで出遅れ、業績悪化。
2000年には、GMの20%出資を仰いで、とりあえず危機を脱出。
2001年には、ついに赤字に転落。2002年は、さらに赤字が拡大。
2003年1月には、ジョバンニ・アニエリ名誉会長が死去。
売却話も出たが、後任のウンベルト・アニエリ会長は、
その噂を否定し、GMにさらに出資を仰ぎ、経営再建すると断言。
2006年までに総額3300億円を投じ、22の新モデルを投入する。
そのなかには、当然、アルファ・ロメオの新車も含まれる。
オトーサン、
長い歴史をたどって、一安心。
アルファ・ロメオは、もともとレース志向の会社でした。
そんな出自のせいで、量産車メーカーになったいまでも、
スポーツカーの血が脈々と流れているのです。
徳大寺さんの「間違いだらけのクルマ選び」には、
1938年のドイツ・グランプリのエピソードが出ていました。
当時は、ナチス・ヒットラーの全盛時代。
優勝を争ったのは、ドイツのメルツェデスとアウトユニオン。
ところが、予想に反して、優勝したのは、
世紀の天才ドライバー、タツィオ・ヌボォラーリが操る
真っ赤なアルファ・ロメオだった。
いざ、表彰式で国旗掲揚という段になって、主催者は大慌て。
イタリア国旗を用意していなかったのだ。
すると、ヌボォラーリは、
「なんだ、ドイツにはイタリア国旗がないのか」
と主催者を怒鳴りつけたという。
その紋章には、20世紀のイタリア人の夢と誇りが
重ね合わされているのだ。
オトーサン、
「いい話だなあ。
l938年といえば、オレの生まれた年。これも何かの因縁かも」
すでに、アルフィスタ症候群の様相を呈しています。
まさに、血湧き、肉躍る状態になってきました。
オトーサン、
雑念を振り払うために、また、カービューをみます。
アルファ156スポーツワゴンは、
当初ベースとなる156のワゴンモデルとして開発され、
車名も「アルファ156ステーションワゴン」と呼ばれる予定だった。
ところが出来あがったそのクルマは別の名で呼ばれることとなった。
オリジナルセダンと変わらない全長を保ちつつ、
新たに備えられたテールゲート。
そのラインは躍動感を出しつつ、
ワゴンにありがちなリヤの重々しさを感じさせない
バランスの良い仕立てとなっている。
走りに関してもワゴンという用途を果たしつつ、
セダンと変わらぬ走りを約束するため、
ボーゲ社製のハイドロニューマチックダンパーを装備。
いかなる積載状態でも
アルファ独特のドライブフィールを実感させてくれる。
単に実用性を拡大するためのワゴンではなく、
スポーツモデルとして開発した車のスタイルが、
たまたまワゴンスタイルだった。
アルファスポーツワゴンは、そんなクルマといえるのではないだろうか。
オトーサン、
「ステーションワゴンか、懐かしい言葉だなあ」
その昔、関東自動車工業に菅原留意さんという強者がおられました。
1955年に発売されたクラウンの保険として開発された
マスターの設計者で、後に開発担当の専務にまで出世されました。
お宅に伺うと、家中に棚があって、そのなかに設計図がびっしり。
それも、クルマだけでなく、ヨット・クルーザーや飛行機のものも。
息を呑んで、見入っていると、
「会社から家まで15分、もて余した時間をつぎ込んだだけ」
「へえ、通勤時間が少ないと、こんなにやれるんですか?」
留意さんの生き方は、オトーサンの手本になりました。
まさに「継続は力なり」
オトーサン、
そんな留意さんに惚れて、
豪華本をつくる費用を宣伝費から捻出しました。
留意さんにしてみれば、
「ステーションワゴンの世界」という本を出して、
トヨタからワゴンの製作委託を貰いたかったのでしょう。
この豪華本の内容は、
ステーションワゴンを買うと、こんなに様々な世界が開けるというもの。
多くのイラストを描いてくれたのは、日本デザインセンターの俊英たち。
ありふれたカタログではなく、斬新なものをつくろう。
上司にお伺いを立てずに勝手につくってしまったものですから、
関自のお偉いさんが、会社にお礼にこられて、あえなく露見。
上司、
「やってしまったか?」
オトーサン、
「はい」
それだけですみました。
一切、お咎めなし。いい上司、いい時代でした。
オトーサン、
その後、40年近い年月を経て、
ゆくりなくも「ステーションワゴン」を買うことになったのです。
なお、その本、業界で評判になりました。
「トヨタがやるなら、わが社も」ということで、
日本中に、ワゴンが増えるきっかけをつくったのです。
いまも、その本は、神田の古本屋街で高値がついているとか...。
念願成就、めでたし、めでたし。
「ところで、あの本、どこに置いてあるかなあ?」
40年という歳月は、転勤・引越しで、本の所在も危うくするのです。
もし見つかったら、
留意さんのおすすめ利用法をひとつ検証してみようかと思います。
オトーサン、
「いつ納車になるのかなあ」
いざ買うのを決めると、待ち遠しいものです。
車庫申請に1週間くらいかかります。
それに、試乗時にオイル漏れが見つかりました。
「しっかり直して下さいよ。老婆でコリゴリしたから」
「はあ、申しわけありません。今度は、しっかりやります!」
成田さんからは、フィアットの専門工場に入れたので、
その分、時間がかかるという連絡がありました。
「年内納車と言っていたけど、どうなることやら」
オトーサン、
「気になるなあ」
アルファ・ロメオ156スポーツワゴンを買うことになると、
にわかに、街で走っているほかのワゴンが気になり出しました。
「あっ、あれ、何だろう?」
後ろにつけて、お尻をみると、ACCORDという文字。
「そうか、あれがアコードのワゴンか。いまいちだなあ」
「ああ、レガシー・ツーリング・ワゴンだ」
こちらは、数が多いので、すぐに分かります。
いかにも、アウトアドアしてますという感じ。
ほかの国産ワゴンは、みんな貧乏たらしいのです。
デザインがいいいとは、お世辞にもいえません。
「たくさんお荷物が積みこめますよ」とアピールしているのでしょうが、
「お前、アート引越しセンターかよ」と言いたくなります。
オトーサン、
「あっ、新型だ」
レガシーの新型は、ややマシになりました。
そのほか、国産車で、マシなのは、プリメーラくらい。
そこへいくと、外車のワゴンは、みな格好いいのです。
バカンスで長距離旅行に行くために開発されたのがワゴン。
セダンよりも、高級感があるのです。
ワーゲンのワゴン、アウディのワゴン、プジョー307のワゴン、
BMWのワゴンなど、色気があります。
新発売のベンツEのステーション・ワゴンも、華があります。
ボルボなんかは、大型犬が似合っています。
「でも、新型は、やけに丸くて、もうボルボじゃないなあ」
オトーサン、
「あのクルマ、何だろう?、これは何かな?」
走行中も、バスに乗っているときも、
街を歩いていても、駐車中のワゴンが気になります。
車名確認作業の忙しいこと。
「でも、やっぱり、アルファ・ロメオのワゴンが一番だ」
そんな風に、1週間ほど、ワゴンのデザイン比較に熱中していて、
奥方に怒られてしまいました。
「あなたって、クルマの話しか出来ないの?」
オトーサン、
「ヒマだなあ」
ワゴンの比較研究が終わると、ほかにやることがありません。
「オートウエーブの新しい店に行ってみるか」
自動車雑誌の記事を見かけました。
やり手の平岡社長が、今度は横浜に、
自動車用品の店舗・新山下店をオープンしたとか。
「一度、見に行ってみるか」
日経の記者の取材に同行して、
3時間ほど、お話したことがあります。
オートバックスの常務にまでなられて、
上場で得た報酬を元手に、新会社を発足したのです。
「オートバックスを見返してやろう!」と意気軒昂でした。
「...おれ、オートバックスのフアンなんだけどなあ」
ライバルの住野社長とは、
何度もオートキャンプをご一緒した仲。
無類のクラシック音楽好き。
巨大自動車用品店、スーパー・オートバックスの新展開、
我来也というスポーツカーの開発販売など、
事業意欲も盛んです。
オトーサン、
「アルファ・ロメオ用のカップ・フォルダー、ないかなあ」
店員さんに聞きましたが、そんなもの、あるハズありません。
「しょうがないなあ。じゃ、ポリマー加工は?」
クルマのボディをピカピカにする新しい塗装方法です。
アルファ・ロメオの塗装が弱そうなので、これは必需品かも。
「いくらぐらいするの?」
「あのぅ、おクルマの名前は?」
可愛い女店員さんに聞かれました。
「...アルファ・ロメオ156だけど」
名乗るとき、ドキドキしました。
彼女、分厚い書類を開いて、
「あのぅ、3種類のどれにしますか?」
「3種類って?」
「1年、3年、10年とあります」
塗装の耐用年数で、お値段がちがうのです。
10年だと、10万円を超えています。
「おれ、3年でいいや。4万円ちょっとか」
オトーサンの寿命同様、
アルファ・ロメオが、10年もつはずありません。
「作業にどのくらい時間がかかるの?」
「そうですねえ、6時間くらい」
「6時間も?とても待ってられないねえ。
ありがとう、また、来るから」
オトーサン、
「あとは、ナビだなあ」
アルファ・ロメオの正規代理店、チェッカーモータズの
ホームページを見ると、ナビの広告が載っていました。
アルファ・ロメオ用にソニーと共同開発したとあります。
「へえ、いいじゃん」
取り付け位置がピタっと決まっています。
お値段をみて、びっくり。
「31万円。それに取付費が5万円!
いくら何でも、5万円は、法外だろうが」
そんなことで、オートウエーブで見てみようと思ったのです。
「誰か相談するひといないかなあ」
でも、採算を考えてか、この新店舗、店員が少ないのです。
「まあ、いいや、納車された後で、じっくり考えよう」
そんな風にして、納車待ちの日々が過ぎて行きました。
オトーサン、
「納車は、いつになるのかなあ」
注も書には、12月25日と書いてあります。
22日の夕方、帰宅すると留守電。
折り返し電話すると、成田さんが出ました。
「何ですか?」
「あのぅ、納車日の件ですが、来年になりそうですが」
「どうして?」
「修理の方が、手間取って...」
「重大欠陥が見つかったの?」
「いえ、そんなことではないのですが...」
「来年でもいいけれど、5日の朝には使いたいのだけど」
「...そうですか。...じゃ、調整してみます」
オトーサン、
「納車が遅れるとさ」
「また、トラブルがはじまったわね」
「そうだなあ。どうも、あの店はいかん。
入庫したら、きちんと修理して、
店頭に並べるようにしなくては」
「そうよね、壊れた後で、無償修理しますといわれてもね」
「まあ、今度は、厳しく言っておいたから、
ダイジョウブだろうけれど」
そんなことを奥方と言い合っていると、
成田さんから電話。
「あの、年内納車できるようにしました」
「そう、ありがとう。いつになる?」
「28、29、30日あたりになると思います。
それから...ETC車載器の乗せ替えの件ですが...」
「老婆を持っていくから、その時、すぐできるのじゃないの?」
「それが、道路公団に届け出なければならないので、
それに1週間くらいかかるので、年内にはとてもムリです」
「残念だなあ。じゃ、ETCの作業は、来年回しにするか」
「そうですね。それでは、また、ご連絡します」
オトーサン、
「変だなあ? 車載器を移しかえれば、それでいいはずだけど」
「そうよ、変だわ。東京トヨペットの晴海店で聞いてみたら?」
「そうしよう。絶対変だし、困るよ」
アルファ・ロメオが納車されたら、即、箱根でテスト・ドライブ。
ETCゲートをスイスイ通過するのも、予定に入っています。
前払い料金の残高も、10万円くらいあるハズ。
オトーサン、
ネットで、道路公団のページをクリック。
http://www.etc-plaza.jp/faq_henkou.html
「FAQ」を読みます。
・車両を入れ替え、車載器を前車から移しかえた場合の手続きは?
まず、車載器を異なる車両に移設した場合は、
車載器の再セットアップを行っていただく必要があります。
(再セットアップについては、
カーディーラー、カーショップ等の
セットアップ店にお問合せください。)
そのうえで、ETC前払割引について、
登録情報の変更(車両番号の変更)手続きを行っていただきます。
車両番号の変更は、住所変更などと同様に、
インターネットホームページ(http://www.etc-plaza.jp/)から、
登録情報変更画面に進んでください。
書面による場合については、ETCプラザあてお問合せください。
オトーサン、
登録情報変更画面をチェック。
「ほれみろ、グートの作業は、
車載器を交換し、車載器番号を入力するだけでいいはず。
あとは、オレが、ネットの画面で、車両番号を変更すれば終了。
実に簡単。1週間もかかるハズない」
成田さん、どうも、書面による変更を想定しているようです。
そのため、1週間もかかると言っているのではないでしょうか。
オトーサン、
東京トヨペットの晴海店に、聞きに行きました。
「あの、お宅で車載器を取りつけてもらったものですが、
取り外し、取り付けに、どのくらい時間がかかりますか?
それから、費用は?」
「そうですね...、時間は1時間くらい、費用は1万2000円です」
「そうですか。やっぱりね。
それから、年内いつまで営業していますか?」
「31日までやっています」
「年始は?」
「2日からの営業になります」
「そりゃ、大変だね」
オトーサン、
早速、成田さんに電話。
「成田ですか? いま、出かけています」
「あのー、アルファ・ロメオを買ったものですが、
車載器の交換に1週間くらいかかると聞いたけれど、
東京トヨペットの晴海店で聞いたら、1時間でできるし、
費用も1万2000円と言われました。
だから、晴海店で作業をやってもらうことにして、
費用は、そちらで負担してほしいんだけれど...。
それにしても、なぜ、お宅だと1週間もかかるの?」
「晴海店は、車載器の取扱い店だから、システムがあるのです」
「なーんだ、そういうことだったのか」
「晴海店は、私どもと、同じ東京トヨペットなので、
費用の相殺も出来ると思います」
「そりゃ、有難い。じゃ、そのむね、成田さんに伝えといてね」
「はい、了解しました」
オトーサン、
「すぐ、車載器を取り外してもらわなければ」
「何も、そう急ぐ必要ないでしょう。
納車日にやればいいじゃない」
「だって...、善は急げというじゃないか」
頭の中では、
もうアルファ・ロメオに乗って、
箱根あたりを走っているのです。
オトーサン、
どうやら何とか、暮れに納車されそうなので、
早目に、交通安全のお守りを買いに行きました。
行き先は、浅草の浅草寺。
(これって、妙な表現ですね)
参道は、大変な賑わいでした。
参拝をすませると、「おみくじ」に気づきました。
「運勢でも占うか。でも、新年のほうがいいかも」
ふと、気づいて、奥方に、
「考えてみれば、おみくじって、変な言葉だなあ」
籤(くじ)に敬語をつけて、「御籤(みくじ)」
それに、さらに「御」をつけたのが、「おみくじ」
「朝の朝刊」というようなもの。
オトーサン、
「どのお守りにするかなあ」
500円、700円、1000円の3種類があります。
「高いほうが、霊験あらたかかも」
でも、デザインがいまいちなので、
木製のシンプルなものにしました。
「700円か、まあ、事故が起きなければ、安いもんだ」
つい先程、交差点の角に大型バスが停まって、
パトカーがウヨウヨしているのを目撃したばかり。
「あらっ、人が倒れているわ」
「どれどれ?」
黒い服が見えました。
「バイクかなあ、自転車かなあ?...おお怖わ」
交通事故って、一瞬です。
そんなことで、お守りを買う気になったのです。
オトーサン、
宮司さんに聞きました。
「妙な質問で、申しわけありませんが、
暮れに買っても、来年いっぱい効能がありますか?」
「そうですね、効き目は、1年から1年半といわれています」
「???」
1年というのは分かりますが、
1年半はどういう根拠なのでしょうか?
統計でも取ったのでしょうか。
オトーサン、
納車待ちの間に、あちこちの本屋回り。
アルファ・ロメオの本なんて、まず置いてないのです。
「あった!」
六本木のTSUTAYAです。
「この店、自動車の本、たくさんあるなあ」
CG(カー・グラフィック)の別冊「Solo Alfa」には、
ジウジアーロのインタビュー記事が載っていました。
「うれしいなあ」
早速、食い入るように読みました。
「へえ、オレと同い年なんだ」
オトーサン、
「これ、どうだ? いいだろう」
奥方、
「素敵ねえ。発売されたら、買い替えたいわね」
オトーサン、
「家でも売らんと買えないかなあ」
話題の主は、
2002年のジュネーブ・ショーで発表されたコンセプトカー、
アルファ・ロメオ・ブレラです。
ジウジアーロの100%オリジナルで、
自分でつくりたいものをつくったとか。
のびやかでエレガントなラインが魅惑的です。
「神の手」でつくられたといっても過言でないほど。
このブレラ、2005年半ばに発売予定とか。
エンジンは、V6、2000cc、270馬力のNAと350馬力のターボの2種類。
パワー・トレインには、新開発のフルタイム4駆が用意されるそうです。
なお、ジウジアーロ・デザインについて、
詳しくお知りになりたい方は、下記の同社のHPをご参照ください。
http://www.giugiarodesign.com/home%5Beng%5D.htm
オトーサン、
「まだ、外は真暗だなあ」
この日、いつもように早起きしました。
ちがっているのは、胸がドキドキすること。
「小学校に入るとき以来だ」
奥方も、いつになく早起き。
「あたし、60万円くらいなら、援助するわ」
奥方も、胸がドキドキしているのでしょう。
昨日まで引いていた風邪が、すっかり直っています。
「あの娘にもらったアメリカの薬が効いたわ」
そう言っていますが、ほんとうかどうか。
ドキドキで、体温が上昇したのが、
風邪に効いたのではないでしょうか。
奥方、
「お金は、持ったわね!」
いざ、出かける時に、チェックしてきます。
100万円の手の切れるような札束が2つ。
そして銀行から下ろしてきたヨレヨレの1万円札が80枚。
オトーサン、
昨夜、馬鹿なことを言いました。
「枕にするには、低いなあ」
でも、こんな大金、現金で見たことはありません。
これまでは、月賦か銀行振り込みだったからです。
「この厚みが、アルファ・ロメオに化けるのか」
札束よりも、重たくなるのが、せめてもの救いです。
100万円札の重さが100g。しめて280g。
それが、1400kgになるのですから、およそ500倍になります。
非常にトクしたような気もしないでもありません。
「3年も経てば、タダ同然。やっぱり、貯金のほうがトクか」
金利ゼロとしても、3年後にも、280gあるのですから。
オトーサン、
いよいよ、グートへ。
成田さんが、笑顔いっぱいで迎えてくれます。
「おクルマ、磨いておきましたよ」
「ありがとう」
「ポリマー加工しておきました」
「そうなの?」
奥方が、喜んでいます。
「これで、ン万円儲かったわね」
口に出していませんが、そんな表情が見えます。
オトーサン、
トイレから戻って、応接セットに座ります。
「じゃ、いよいよですね」
「はい」
成田さんが笑いをかみ殺しています。
「お前、何か余計なこと言ったな」
「ええ、出掛けに、お金もってくるの忘れたこと」
そうなのです。
たったの280gだものですから、すっかり忘れてしまったのです。
「はい、これが、お金」
成田さんが、お金を数えて、領収書をもってきます。
「それから、任意保険の電話しておきましょう。
何かあったら、大変ですから」
この作業も数分ですみました。
オトーサン、
「ワイパー・スイッチはどこですか?」
「ヘッドライトは?」
「椅子の高さ調整は、どうやるの?」
「ラジオの電源はどこ?」
「エアコンは?」
矢継ぎ早やに質問します。
成田さん、テキパキと答えます。
「で、シートヒーターは?」
「ついていません?」
「あれ?確か標準装備だったはずだけど」
そういえば、BOSEのスピーカーもついていないようです。
奥方、
「トランク、どうやって開けるの?」
「はい、こうやって、このキーのボタンを押して」
「簡単に開くのね」
「こうやって、カバーを引き出すと、荷物が隠れます」
「へえ、いいわねえ」
「このトランク、私でも閉められるかしら?」
「はい、このように途中で、好きな位置で止められます」
「こりゃ、いいわねえ」
背が低いので、これまでトランクは使えなかったのです。
「ふーん、よく考えてあるなあ」
オトーサン、
いざスタートの段になって、
ラスト・クエスチョン。
「ところで、このクルマの色、何という名前ですか?」
「...うーん、何という色でしたっけ。調べておきます」
流石の成田さんでも、知らないことがあるようです。
オトーサン、
納車日の翌朝は、5時起き。
「ツタヤに行かなくては」
借りたDVDの返却に行こうというのです。
返却期限が12月31日ですから、あと残り2日もあります。
今日の昼に返したって、別に構わないのです。
明日の朝だって、いいのです。
最後のチャンスとしては、あさって元旦の朝10時までに、
返却ボックスに入れたっていいのです。
それなのに、
「TSUTAYAに行かなくては」
懸命な読者の方は、もうお分かりでしょう。
要するに、買ったばかりのアルファに乗りたいのです。
昨日、納車後、横浜まで飛ばして、
銀座の大通りのブランド店の前において、
しげしげと眺めたりして、
一応、テスト・ドライブを完了しているはずですが、
まだまだ物足りないのです。
オトーサン、
地下1階にある立体駐車場へ。
人っ子、ひとりいません。
心なしか、照明が暗いような気がします。
5人で共有する立体駐車場の1台ですから、
上に格納されていたり、下にあったり
運がいいときは、路面に置いてあって、喜びます。
今日は、上。
左手に、アウディA4。
「これよりは、いいクルマかな」
これまで引け目を感じていました。
オトーサン、
「えーと、カギはどこにしまったっけ」
アルファ・ロメオのカギは、キーレス・エントリー。
ドアとトランクの2つのボタンがあります。
訂正。
もうひとつ、小さなボタンがあります。
ボタンを押すと、収納されているキーが、
180度飛び出してくるのです。
「おしゃれだなあ」
オトーサン、
アルファに乗り込んで、キョロキョロ。
車内が真暗で、どこをどうすれば始動するのか、
皆目分かりません。
「そうだった!」
キーを差し込んだあと、
ブレーキを踏まないとエンジンが始動しないのでした。
「やあ、勉強しといてよかったなあ」
「嘆きのアルフィスタ“蛇の穴”」を読んでおいてよかった。
http://www.rmc.ne.jp/nishiyan/15601.htm
スタートしました。
思ったより、小回りは効きます。
回転半径が大きいので、
駐車場の出し入れが難しいかと思ったのですが、
さほど問題はありませんでした。
オトーサン、
「やあ、暮れの築地は、賑わってるなあ」
勝どき橋の両側は無法地帯。市場がちかづくと2列駐車。
通りぬけすら困難です。
新橋駅前をぬけて、細い道をぬけて、TSUTAYAに到着。
降りる段になって気づきました。
「しまった、サイドミラー畳んだままだった」
事故がよく起きなかったものです。
シフトに集中していたので、すっかり忘れていました。
「やはり、変速ショックが気になるなあ」
混んでいる道路では、非常に気になりますが、
空いている道路でも、同じ。
「やだなあ。こんなかつたるい変速にずっとつきあうなんて」
カーブを曲がるときの、クイック過ぎるハンドリングにも
違和感を覚えます。
そして、ブレーキ。
とくに低速のときの効きの悪さには、恐怖すら覚えます。
さらに坂道発進の難しさ。
ブレーキペダルが重いので、踏んでいると、疲れます。
最後が、ペダルの位置。
やや右よりなので、下手をすると、
左足がブレーキの下になることがあります。
オトーサン、
幸せ一杯の朝を期待していただけに、ガックリ。
「失敗したかなあ。クルマ選び」
その後、帰宅して、先ほどご紹介した
「嘆きのアルフィスタ」さんの辛口批評を読むと、
さらに、その感が強くなりました。
・フロントに比較して、リアのデザインが悪い
・サイドビューがのっぺりしている。
・Aピラーが太い
・セレスピードのシフトアップはトロい。
・エンジン音、色気なし
・脚廻りは、ふにゃふにゃ。
コーナリング中に左右で位相差のあるギャップを
乗り越えた際にお尻が左右にブレる
・ハンドリングは、ダイレクト感に乏しい。
・ブレーキの踏み込み始めが曖昧。
踏み込んでからの微妙なコントロールができない。
かなりのノーズダイブと揺り戻しのスナッチがある。
・ステリング位置がしっくりこない
・パワー・ウインドウ・スイッチの逆の動作
・ウィンカーやハザードを点灯させると
速度計とレヴカウンタの裏辺りからする
「カッチ,カッチ」というリレーの動作音が気分悪い。
・カップホルダーがない
オトーサン、
「出かけるぞ!」
「いいわよ!」
奥方が珍しく2つ返事。
そうなのです。
まる1日、アルファに乗れなかったのです。
東京トヨペットの晴海店に、ETCの装着を頼んだのですが、
1時間ほどでできるはずが、出来上がったのは、夕方。
「どうも難しくて」
「だって、成田さんのところから、図面が送られてきたでしょう」
「いや、それが、簡単なメモだけなので...」
銀座にでも繰りだすつもりが、ダメになりました。
「しょうがないなあ。明日、横浜にでも行こうや」
そんなことで、納車2日目がむなしく過ぎていったのです。
オトーサン、
「うーん、やはり、カッコいいなあ」
駐車場から外に出て、まぶしい冬の朝の太陽の下で
記念写真でも撮ろうと、クルマをとめました。
嘆きのアルフィスタさんによれば、
・フォロントに比較して、リアのデザインが悪い
・サイドビューがのっぺりしている。
・Aピラーが太い
ということでしたが、いくら見ても、そうは見えません。
リアは、すっきりまとまっているし、
サイドビューも、おおらかで、伸びやかです。
「いいわねえ」
奥方が、感に堪えたような声を出しています。
「セダンだからだろう、デザインが悪いというのは」
「何か言った?」
「いや」
奥方は、このホームページを読んでいないので、
説明すると長くなります。
オトーサン、
晴海トリトンから、湾岸道路をお台場方面に走り出します。
休日の午前中とあって、道はガラガラ。
「あれっ、何だ、ゾロゾロひとが歩いている」
「コミック本の展示会があるみたい」
「へえ、そんなにマンガがいいか、
あんなものばかり読んでいるから、運動不足になるんだ」
若者たち、顔色が悪く、お腹の出ているひとも多いのです。
オトーサン、
羽田空港の脇を走り抜けます。
少し、運転に余裕が出てきました。
「そうか、コツがあるんだ」
嘆きのアルフィスタさんによれば、
・セレスピードのシフトアップはトロい。
ということですが、
セレスピードの変速ショックは、運転法を変えれば、
やわらげられるのです。
つまり、マニュアルシフトのように、
心持ちアクセルを戻してから、アクセルを踏み込むと、
変速ショックは少なくてすむのです。
「...いままでの運転が乱暴だったのだ」
女性を優しく扱うのと同じ。
2500回転くらいで、ちょっとアクセルを戻すのがコツ。
かなり高度なドライビング・テクニックを要します。
その後、2速以上のシフトは、問題ありません。
これは、ギア比をみれば、一目瞭然。
1速 3.909
2速 2.238
3速 1.520
4速 1.156
5速 0.946
1速と2速の数字の差は、大きいのですが、
2速以上は、クロス・レショーになっています。
いったん、2速にしてしまえば、胸のすくような加速を味わえます。
ですから、やはり問題は、1速から2速への変速ショックを
いかにして、やわらげるかにありそうです。
「走りこんでアクセルワークをマスターすることだな」
「オートマのように見えるけど、実際は、MTを使いこなせないと
ダメなわけだ」
オトーサン、
「このクルマの音、静かでいいなあ」
アウディA3で、気になっていた騒音はありませんし、
トヨタ車の不気味な静けさもありません。
官能的とまでは言いませんが、乾いた心地よいエンジン音です。
嘆きのアルフィスタさんは、
・エンジン音、色気なし
と書いておられますが、
きっと爆音系のくるまに乗っておられたのでしょう。
同じく、
・脚廻りは、ふにゃふにゃ。
コーナリング中に左右で位相差のあるギャップを乗り越えた際に
お尻が左右にブレる」
・ブレーキの踏み込み始めが曖昧。
踏み込んでからの微妙なコントロールができない。
かなりのノーズダイブと揺り戻しのスナッチがある。
と書いておられますが、さほど気になりません。
ドラムにはないディスク・ブレーキの特性が、
よく出ているように思えます。
要は、急ブレーキを踏むクセをなくせばいいこと。
これも、女性をいたわるのとおなじ。
「やさしく、やさしく」
オトーサン、
時速100kmで、ハンドルから手を放して運転してみました。
「やあ、直進性バツグンだ」
次に、カーブに高速で突きこんでみました。
思い切ったレーンチェンジもしてみました。
「私が乗っているときに、テストなんかしないでよ」
早速、奥方から、クレームが出ました。
嘆きのアルフィスタさんは、
・ハンドリングは、ダイレクト感に乏しい。
と言っておられますが、シャープで切れ味のよいこと。
これは、前後の重量比をみると明瞭になります。
FR車であるBMW318ihの場合は、49.9/50.1なのですが、
アルファは、FF車というだけでなく、63.6/36.4と
前方重量比が極端に大きくなっているのです。
これは、ブレーキング、加速にも大きく影響しますが、
とくに、ステアリングのシャープさに寄与しています。
「F1レーサーになったような気がするなあ。
スロット・コントロールがすべて」
オトーサン、
「ハ、ハ、ハ。
横浜の中華街まできて、
モーニングを食べただけで帰るひとって、いるかなあ。
オレたちだけじゃないか」
人気のお店で肉まんや焼豚を入手すべく
行列しているひとたちを尻目に、
たったの30分で横浜を後にしました。
「家に帰らない? 暮れだから、いろいろやることあるのよ」
奥方、現実的な指摘をします。
「せっかくだから、橋を3つとも味わおう」
とにかく運転していて、楽しいのです。
いつまでも、運転しつづけていたいし、
どこまでも、運転していきたい気持ち。
オトーサン、
鶴見のつばさ橋、横浜のベイブリッジ、
そして、お台場のレインボウ・ブリッジへ。
「...海がきれいねえ。
あら、あそこに晴海トリトンが見えるわ」
そう言われても、ハイスピードでカーブを回っているので、
脇見運転など、できません。
渋滞を心配していた首都高速もがらがらで、
あっという間に高木町へ。
降りたら、もう青山。
「おお、ここ空いてる!」
急遽、骨董品通りに駐車し、紀伊国屋へ。
「何でも高いのね。ここは」
「ほかのスーパーの2倍くらいか?」
「3倍よ!」
「暮れでぼったくりか」
それでも、ベンツやBMWで来店したお金持ちにまじって
アルファで乗りつけた気分を味わいます。
「牛肉が100gで5000円だぜ」
「このワイン、5万円もする」
そんなことで、買ったのは、お値下げ品だけでした。
オトーサン、
その後、表参道に停車して、撮影。
向かいの同潤会ビルが、ついに取り壊されています。
「安藤忠雄さんの設計する低層の建物が建つんだ」
「....」
「こっちは、黒川紀章さんのだ、奥さん、誰だったっけ?」
「若尾あやこ」
「思い出すなあ...」
「何を?」
「アルファ買ったひとの記事をネットで読んだのだけれど、
納車記念日に、吉野家で牛丼大盛りとみそ汁を食べたんだってさ」
「...」
「イタリア料理店で食べたいところだろうに。
わかるような気がするなあ...」
そうなのです。
アルファを買ったら、スッテンテン。
食費、通信費、光熱代など、
これからは、万事節約に努めねばなりません。
(参考)有不和路迷男物語
http://www.geocities.jp/hittonflhr/INDEX/index181.html
オトーサン、
「おれは、蛇使いなんだ!」
アルファのエンムレムには、大蛇がとぐろを巻いています。
年末に納車され、夢中で運転してきましたが、
それも一段落すると、細かいことが気になり出します。
鵜の目、鷹の目どころか、蛇の目で、チェックを開始します。
思いついた順なので、わからないことも多く、
蛇の目傘のように、整然としていないのをお許しください。
以下は、Q(クエスチョン)A(アンサー)方式です。
Q1.シートヒーターや電動式リクライニングは、ついているか?
A.残念ながら、ついていなかった。
Q2.BOSEのオーディオは、ついているか?
残念ながら、ついていなかった。
2002年7月のマイナーチェンジから、装着された。
Q3.オーディオの音質はどうか?
A. かなりいい音がするので満足している。
Q4.異音はないか?
A.スイッチ類を操作すると、かすかにピ、ピ、ピという音がする。
バックに入れている間中も、この音がする。
ムーブのように、外部への警告音になってはいない。
Q5.タイヤサイズは、果たして、205か?
A. イタリアでは、185だが、日本仕様は、奢っていて、
205/55R16 91Wとなっている。実際にタイヤを見たので、
間違いない。
なお、ホイールの中央にエンブレムがついているのは、
なかなか格好いい。
Q6.キーレスエントリーは、何メートルくらい離れた位置で
ロックできるか?
A.数センチ。老婆は、5mでもOKだったので、非常に不便。
Q7.ポリマー加工は、なされていたか?
A.オートウエーブ晴海店で確認してもらったが、
なされている。ただし、もっとキレイに仕上がるとのこと。
Q8.ボンネットの中は、どうなっているのか?
A.写真のようになっていて、割合、きれいだった。
ボンネットを開けると盾形グリルも一緒に開くので驚く。
また、ナンバ−プレートは右下についている。
Q9.アンテナは、どこについているのか?
A.フィルム・アンテナがリア・ウィンドウの内側に貼ってある。
受信感度もまあまあ。
Q10.トランクルームの中は、どうなっているのか?
A.開けてみて、うれしかった。
散らかった荷物を隠すこともできる引き出し式のカバーがある。
また荷室の奥に、ネットがあったので、カサを入れてみた。
このネット、可動式の優れものなので、荷室の横に取り付けたり、
床に置いた荷物をカバーし、固定することもできる。
また、フロアマットは、裏返すと防水になるすぐれもの。
Q11.アルファにつけられるドリンク・フォルダーはあるか?
A.フラットアウト(03-5752-0080)で、
専用設計のものを売っている。
シフトレバーの脇に取り付けるもので、6200円。
もっとも、オートウェーブ晴海店では、ドアの隙間に引っかけたり、
エアコンのダクトに装着するなど、いずれも1000円以下。
Q12.エアコンの効きが悪いというのは、本当か?
A.冬なので、まだわからない。
リアにも吹きし口(2つ)があったのには、感心した。
Q13.リアシートは、倒れるか?
A.ダブル・フォールディング式になっていて、操作はしやすい。
真ん中に、ひじかけがある。
しゃれているのは、その裏が抜けていて、トランクとつながる。
スキー板や釣道具といった長尺物を収納できる。
Q14.ヘッドランプの照度は、暗くないか?
キセノンに変えると、いくらするか?
A. さほど暗いとは思わない。
オートウエーブ晴海店で聞いたところ、
キセノンへの交換は、工賃込みで10万8000円だった。
Q15.ヘッドランプ・ウォッシャーはついているか?
A. ついている。点灯時に1回だけ洗う。
Q16.燃費は、いくらか?
A.わからない。走行距離210kmで、燃料計のゲージが
3分の1減っていることから推定すると、10km/Lかも。
なお、給油口を開けてみたが、蓋の開け方がわからなかった。
オートウェーブで教わったが、時計の針と反対に強く回せば開く。
Q17.お台場のアレーゼは、どこにあるのか?
A.海浜公園駅と首都高お台場出口そば。
住所:江東区有明1-5-24 電話:03-3529-0555
Q18.車体色の名前は?
A.成田さんと連絡がとれない。
お台場のアレーゼで、ついでに聞いてみるつもり。
取扱説明書では、トランク・リッドに貼ってあると書いてあったが、
発見できなかった。ヌボラブルーだと思う。
Q19.0-100Km加速には、何秒かかるか?
A.交差点でスタートして、バックミラーを見ると、
大概のクルマは、あっという間に、はるか後方に。
なお、他のクルマの数値を調べてみた。
・Alfaromeo156 9.9
・Prius 10.4
・Peugeot 406 2.0 11.2
・BMW318i 11.9
・Merccedes Benz C180 13.0
ただし、BMWの5シリーズには、負ける。
なぜか、アルファを目の敵にしているような気がする。
そこで、早いクルマを調べてみた。
・Jaguar X type 6.6
・BMW 525i 7.9
・Porche Cayenne Turbo 5.6 (SUV世界最速)
・Mercedes Benz E55 AMG 4.7 (V8 5437cc)
Q20.各ギアで、何キロまで引っ張れるか?
A. 5速 202.1 km
4速 193
3速 148
2速 101
1速 60
流石アルファ。2速で100Kmというのは、スゴイ。
オトーサン、
「初詣でしなくては」
そう思っていましたが、奥方と娘は、銀座のデパートへ。
こちらは、福袋を求める長い行列。
つきあいきれずに、別行動することに。
「急にヒマになったなあ。どうしょうか?
そうだ、オートウェーブに寄ってみよう!」
そんなことで、自宅そばの晴海店へ。
「この辺だったよなあ。なつかしいなあ」
その昔、モーターショーは、晴海が会場でした。
宣伝部の課長になりたてで、張りきって、準備しました。
第20回モーターショーで、トヨタの展示を仕切ったのです。
「もう何年になるかなあ?」
2003年が第37回ですから、17年前になりましょうか。
オトーサン、
「何だ、なんだ?正月早々」
クルマが続々と吸い込まれていく先は、オートウエーブ。
晴海埠頭の景色をじっくり鑑賞しようかと思いましたが、
何だか先着順のイベントがありそうな予感がして、
レインボウ・ブリッジ、帆船、海の輝きを見るだけで
晴海店の広大な構内へ。
日産の中古車センター"車楽"もあります。
1000台以上駐車できるのではないでしょうか。
「やあ、朝から満車状態だ、静岡ナンバーもある!」
昔、平岡社長にお会いしたとき、おかげさまで、
遠くからも常連がやってくると伺ったことを思い出しました。
このお店、訪れたのは、確か4度目。
「何でもあるなあ。カーライフのデパートだ」
クルマ好きのハシクレとして、素直に感動してしまいます。
自動車用品+サービス一式がそろっています。
営業は、年中無休、夜12時まで。
順不同ですが、営業品目をあげてみましょう。
・洗車、塗装、塗装修理、ポリマー加工、
カーフィルム、ウインドウ・リペア、
タイヤ、アルミホイール、オイル、バッテリ−、
カー小物用品、カーナビ、カーオーディオ
モータースポーツ用品
オトーサン、
「汚い店だなあ。でも、やる気が伝わってくる」
看板には、大きな字が踊っています。
感心したので、すべてのメッセージを再現しましょう。
・有名チェーンのように建物や設備は豪華ではありませんが、
お客様に尽くす気持ちはどこにも負けません。
・オートウエーブは、お客様の感動に投資します。
お客様のために尽くしていれば、
利益は後からついてくると信じています。
親切行為が先、商い行為は後。
・お客様が最大の師なり。
一番真剣勝負なのは、お客様だから、どうぞ教えてください。
・儲からない、面倒な作業でもよろこんで承わります。
ボディのすりキズ、ヘコミ、5cm以内 7800円〜
・タイヤ安売り日本一宣言、価格に絶対の自信あります。
・例えば、プジョー、ルノー、アルファロメオと言っただけで
作業を断わられたこと、ありませんか?
そんな時は、輸入車大優先のオートウェーブへ。
・えっ、今日取り付けできるの?
カーナビ、コンポ。即日取り付けは勿論、
スピード取付に挑戦中です。
・ナビゲーション、オーディオの下取りやっています。
「いいこと書いてあるなあ。
文体が古いところをみると、社長自身の言葉だろう」
オトーサン、
「ナビか、ちょっと見ていくか。
買う気はないけど、アルファ・ロメオに装着できるものがあるかも」
ナビとオーディオ専門館に入っていきました。
1 OB
2 一夜漬けの猛勉
3 猛勉その2
4 アルフィスタ?
5 +アルファ
6 奥方を口説く
7 贅沢な試乗
早速、アルファ・ロメオの運転席に座って、計器盤をみつめます。
目の前に、2連式の砲弾型のメーター。
「格好いいなあ」
シフト・レバーを見ます。
「これも、格好いいなあ」
普通なら、「R、1、2、3、4」とか、
「R、2、D」となっているのですが、+−の記号です。
なにやら、はじめてみる記号。
「このセレスピードって、どういう風に操作するの?
確か、オートマ・モードでも運転できたよね?」
「ええ、ここを押すのです」
成田さんが、ハンドルの左右にあるボタンのひとつを押すと、
計器盤にデジタル文字で「CITY」と出ました。
「これで、もうオートマです」
オトーサン、
「ふーん、簡単なものだね」
「そうなんですよ。
オートマと5速ミッションとの両方が楽しめます」
「へえ」
助手席に座った奥方が、計器盤をしきりに覗きこんでいます。
「こちらからは、全然、見えないじゃないの」
「...」
男2人、奥方の意見は無視します。
「このシフトレバーの+を押すと、
1速から2速へシフトアップします。
−を押すと、シフトダウンになります。
横に押すと、停止になります」
「ふーん、じゃ走っていいね」
心は、はや、高速道路へ。もう説明など耳に入りません。
オトーサン、
第三京浜に乗り入れます。
ちょっとアクセルを踏むと、もう80Km。
「いいね、このクルマ。どこまで走っていいですか?」
横浜の中華街に行くときの定番ですから、勝手知ったる道。
「2つ先の都築ICまでで、お願いします」
「どうして?」
「料金所を出ると、すぐUターンできるのです」
「へえ、そうなの」
やはり、蛇の道はヘビです。
「お宅は、いいねえ。専用のテストコースがあって。
おかげで、贅沢な試乗が出来る」
「そうなんですよ」
「恵まれているねえ、これで売らなきゃ、罰が当たる」
「は、は」
また、OBの悪い癖が出ました。
奥方、
「あなた、いま、いくら出ている?」
計器盤をみると、120km。
「120Kmだよ」
「へえ、80Kmくらいかと思った。いいわね、このクルマ」
「じゃ、ちょっと飛ばしてみようか」
追い越し車線に出ようと、アクセルを踏みこみます。
「あれっ、ちょっともたつくね。これ、怖いね」
「ええ、1速から2速のシフトにタイムラグがあります」
「直せないの?」
「...」
しばらく、無言で、走りを楽しみます。
今日は、まだ第三京浜空いています。
みな、100kmは出しているようです。
奥方、
「ねえ、いま、いくら出ている?」
「130Kmでも静かだなあ、3000回転だ」
ツインスパーク・エンジンの有名な咆哮は、
5000回転以上でないと聞こえないと書いてありました。
そこで、またアクセルを踏み込みます。
「ねえ、いまいくら出ている?」
「140km」
本当は、150kmですが、奥方には、過小申告します。
「あまりスピード感じないけど、ここの制限速度知ってるわね」
「80Kmだろ」
軽くブレーキを踏んでみました。
「ブレーキの効きも、いいなあ」
低速では、スポンジ・ブレージだと書いてありましたが、
高速では、実にスムースに制動がかかります。
しばらく、120kmで走り続けます。
「実に快適だなあ」
「乗り心地がいいわね。シートがいいわ」
奥方の声も弾んでいます。
オトーサン、
都築ICからの帰路は、120Kmをキープ。
「成田さん、もう暴走しないから安心してください」
「はい」
言っているそばから、急なレーン・チェンジをしてみます。
ハンドリングは、実に、スム−スです。
思った方向にすっと切れるのです。
でも、難をいえば、サイドミラーが楕円形なので、
後方視界が、その分、見えにくいのが問題です。
オトーサン、
無事試乗を終えて、
成田さんに話しかけます。
「いいクルマだね。でも、収納がいまいちだね」
「よく言われます、カップ・フォルダーないのかって」
「そんなもの要らないわ」
「でも、あると便利だよ」
奥方が擁護に回るので、気に入ってくれたようです。
オトーサン、
クルマの周囲を回りながら、
「いいデザインだなあ。ジウジアーロの傑作だなあ」
「....」
この98年モデルの156、
実は、イタリアのイタル・デザインを率いる巨匠、
ジョルジェット・ジウジアーロが、
親会社のフィアットに隠れてデザインしたのです。
自動車評論家でも、その事実を知らないひとがいるようで、
2003年9月のマイナーチェンジの際の記事のなかには、
「156といえば、
ダシルバ率いるアレーゼのチェントロ・スティーレが
生み出した傑作サルーン。
このたび、ジウジアーロの手でリファインされた」
なんてバカなことを書いているひともいます。
本当は、ジュウジアーロがデザインしたものを、
ダシルバがフロントマスクとテールライトを手直しして世に問うたもの。
今回のマイナーで、ジウジアーロは、その部分を手直ししたので、
100%のジウジアーロになったというのが、真実なのです。
でも、今度のマイナー、疑問です。
アルファ・ロメオの特徴である盾のグリルは、
マイナーで大きくなり過ぎて、気品を失っているように思えます。
98年モデルのほうが、ずっと完成されたデザインではないでしょうか。
オトーサン、
「なぁ、ビーエムよりは、いいだろう?」
「そうね。ビーエムより、ずっといいわね」
奥方の顔が紅潮しています。
これでアルファ・ロメオに決まりのようです。
8 アルファ・ロメオは希少車か?
9 アルファ・ロメオの歴史
10 明日は明日の風が吹く
オトーサン、
「先立つものがなあ」
アルフィスタ症候群冷水をあびせるのが、お金。
注文書をじっと見ます。
「働けど働けど、わが暮らし、楽にならざり、じっと手をみる」
石川啄木の歌だったと思いますが、同じ心境です。
成田さんが、精一杯、勉強してくれた結果が、以下の明細表。
車両本体価格 2,630,000
値引き 57,671
合計 2,572.369
自動車税 9,800
取得税 55,600
自賠責保険料 16,560
合計 81,960
販売諸費用 16,710
中古車保証料 44,000
検査登録 500
車庫証明 2,500
下取車 350
合計 3,350
消費税 131,651
支払い金額合計 2,800,000
オトーサン、
「税金が高いなあ...」
中古車を買うと、重量税こそ取られませんが、
それでも、取得税、消費税などで20万円超の税金がかかるのです。
「それに、老婆の下取りが、たったの10万円なんて...」
注文書を見ていると、次第に腹が立ってきます。
アルフィストどころか、ペシミストになってきます。
「...280万円か、そんなお金どこにあるんだ?」
小泉さんなら、ボーナスでポンと払ってもお釣りがくるでしょうが、
そんなに出るはずもないし...となると、
結局は、老後に備えた貯金の取り崩し。
幸い、病気や不意の出費に備えた郵便貯金があります。
それを使うしかないでしょう。
オトーサン、
数年ぶりに預金通帳を取り出します。
定額・変額預金、これは郵政公社のヒット商品。
通帳をみると、預金利率0.3%とあります。
「変だなあ」
最近見た新聞記事では、0.02%とあって、
少額に分割して端数切り上げで、0.2%になるとありました。
「銀行よりずっと有利ね。勿体ないわよ、解約するのは」
「だって、しょうがないだろう。あれっ?」
「どうしたの?」
「印鑑がない!」
通帳に押してある印影に見覚えがありません。
もう何年も前の通帳なので、印鑑はどこへやら。
「下りるかなぁ?国庫に自動的に入るんじゃないだろううな」
「ダイジョウブよ、本人確認ができれば。
印鑑の変更届けを出せばいいのよ」
「面倒な手続きで、年末に間に合わないかも、心配だなあ」
郵便局に問いあわせると、意外に簡単でした。
免許証をみせ、簡単な書類を書き、新しい印鑑を通帳に押すだけ。
あとは、預金を下ろすだけです。
オトーサン、
「まあいいか、明日は明日の風が吹く、
お金に困ったら、クルマを売ればいいや」
先のことを考え過ぎて、病気にでもなったら元も子もありません。
「今日を精一杯楽しもうや」
早い話、先の先まで考えてつくられているのが、日本車。
壊れないけれども、面白くも何ともありません。
それに対して、壊れたら直せばいい、
エンジン・フルスロットルで、今日を楽しもうが、アルフィスタ精神。
「いいじゃないの、幸せなれらば。
どうせ先は暗い。どんどん暗くなるんだから。
いまのうち、楽しまなきゃ...」
オトーサン、
どうやら、筋金入りのアルフィスタになってきました。
11 ステーションワゴンの世界
12 納車待ちの日々
13 納車遅れ
14 おみくじ
15 ジウジアーロの研究
以下に、その経歴をまとめました。
Giorgetto Giugiaro
ジョルジェット・ジウジアーロ
1938年、イタリア生まれ。
ミケランジェロに触発されて、画家を志し、美術高校に入る。
美大に入りたかったが、諦めて、17歳でフィアットに入社。
スタイリングセンターでの仕事ぶりに注目した
ヌッチオ・べルトーネに引きぬかれ、
21歳でベルトーネのスタイリストに。
1960年、トリノ近郊で兵役中にスプリントGTをデザイン。
1963年のトリノ・ショーで発表され、人気を博す。
1964年のパリサロンで、コンセプトカー、カングーロを発表。
1965年、ベルトーネを辞め、ギアのチーフ・デザイナーになる。
1968年、日本人デザイナー宮川秀之、
技術者アルド・マントヴァーニトと共同で、
イタル・デザインを設立し、30歳にして社長になる。
モーター出品用のプロトタイプ製作と
メーカーの依頼による量産車のデザイン開発を行う。
イタル・デザイン社が手がけたクルマには、
フォルクスワーゲン(初代ゴルフ)、
フィアット(パンダ、ウーノ)、
ランチア、マセラーティなどのイタリア車のほか、
アウディ、ロータス、セアト、サーブといった欧州車、
そして、いすずの(117クーペ)やヒュンダイもある。
アルファ・ロメオをたくさん手がけている。
アルファスッド(1971)、アルフェッタGT(1974)、
アルファスッド・シャルディネタ(1975)、
アルファスッド・スプリント(1976)。
1981年ジウジアーロ・デザイン社を設立。
世界屈指のインダストリアルデザイナーとして、
時計、家具など幅広い分野で数多くの作品を生み出している。
16 280g
17 アン・ハッピー・モーニング
18 いいクルマだなあ
19 蛇の目
20 オートウエーブ詣で
21 カーナビ騒動
オトーサン、 「おお、元旦セール実施中か。それで、混んでいるんだ」 店員たちにも、熱気があります。 入場すると、すぐ、オミクジを引かされます。 小吉、中吉、大吉に分かれていて、割引があるようです。 でも、面倒なので、パス。 まっすぐに、ナビのコーナーへ。 「ナビ、欲しいけれど、どれがいいか分からないなあ。 勉強していないから」 自動車雑誌には、ナビの比較記事が載っていますが、目を通す程度。 「楽ナビって、いいみたいだけど」 その程度の知識です。 オトーサン、 掲示板に気づきました。 この店での売れ筋が載っています。 1位 KENWOOD HDZ2570iTS 148,000円(定価240,000) 2位 CARROZZERIA AVIC-H9 319.000円( 336,000) 3位 CARROZZERIA ZH9MD 236,250円( 315,000) 4位 PANASONIC CN-DV1500 135,000円( 180,000) 5位 ADZEST MAX730HD 218,000円( 293,000) 「ADZESTは、5位か。ブランドを統一したいけどなあ」 アルファに載っている純正のオーディオが、ADZEST。 「楽ナビは、2位と3位か。でも、高いなあ」 そんなことを考えて、商品の前に立ち尽くしていると、 店員が声をかけてきました。 「どの機種がいいか、迷ってるんだ、どれがおすすめかね?」 店員は、ためらいなく1位のケンウッドをすすめます。 「14万円で、1位なら、まあいいけど。 でも、これ、オレのクルマに付けられるかなあ?」 「おクルマは、何ですか?」 「アルファ・ロメオなんだけど」 「...そうですか」 「あの、外にもってきているから、見てくれる? どの位置ならば、取りつけられるか?」 オトーサン、 店員の困ったような表情をみて、ニヤニヤ。 「正規代理店のチェッカー・モータスが、ソニーと組んで開発した 専用のナビがあるんだけど、31万円で、取付工賃が5万円。 馬鹿ばかしくて、手が出ないよ」 「ウチは、お安いですから。 そうですね、どこにつけたらいいでしょうねえ。 そうだ、現物を持ってきていいですか?」 「いいとも」 この辺の身軽さが、オートウエーブの店員のいいところです。 宮川くん、早速、ナビを持ってきます。 「そうですねえ。まあ、ここでしょうねえ」 ダッシュボードの上にナビを置いています。 「でも、そこカーブになってるだろう」 「そうですねえ、弱りましたね」 「ここはダメなの? シガレット・ボックスなんか使わないから」 「ちょっと、サイズが...」 「ここに収まると、すっきりするんだけどなあ」 オトーサン、 「すると、やはり、ダッシュボードの上しかないか」 「貼りつけられるといいんですが。落ちるかも」 「困ったねえ」 「穴を開けていいなら、大丈夫ですが」 「そうかぁ。弱ったなあ。 安売りは、今日だけだろう、2万円安いのは。 穴開けちゃおうか。それしかないなら。 でも...、やっぱり、家内に相談しなくては。 また、出直すからね」 後ろ髪を引かれる思いで帰宅しました。 オトーサン、 帰宅して、奥方に、 「あの...、ナビ買おうと思うんだけど...」 「あなた、最近、変じゃない?お金ばかり費いたがって」 「...」 そう言われると、一言もありません。 半年後に地震やガンで死ぬとわかっていたら、 やりたいことは、いまのうちにとなるのですが、 まあ、そんな気配もありません。\ 「生き急ぎかな」 ちょっと反省します。 「ダッシュボードに穴開けるらしい」 「馬鹿ねえ、売れなくなるでしょうに」 「....」 奥方、すべてお見通しです。 オトーサン、 翌2日、奥方と娘につきあって銀座へ。 デパートの初売りで、福袋をゲットしようというわけ。 同じことを考えたひとが多いらしく、 開店前というのに、もう長蛇の列で、駐車場もないほど。 「じゃ、またね」 奥方と娘、送ってもらえば用は済んだというのでしょうか。 バイバイと手を振って、店の中へ。 「何だよ、今日も、ひとりぽっちか。弱ったなあ」 急にヒマになると、やることが思い浮かびません。 「しょうがないなあ。また、オートウエーブに行くか」 そんなことで、また晴海店へ。 相変わらずの人出です。 オトーサン、 「何だ。今日も安売りしてるじゃないか」 宮川くん、安売りは、昨日だけと言っていました。 店内で、また、掲示板をみます。 1位 KENWOOD HDZ2570iTS 148,000円(定価240,000) 2位 CARROZZERIA AVIC-H9 319.000円( 336,000) 3位 CARROZZERIA ZH9MD 236,250円( 315,000) 4位 PANASONIC CN-DV1500 135,000円( 180,000) 5位 ADZEST MAX730HD 218,000円( 293,000) 「昨日、宮川くんが、もってきたのは、これか」 1位の、ケンウッド(14万8000円)がそれです。 「これ、安いし、人気もあるから、これがいいかも」 別の店員が寄ってきました。 「何か、お探しですか?」 「うん、迷ってるんだ。ナビで、DVDとHDDの2つあるけど、 どっちがいいの?」 「そりゃ、問題なく、HDDですよ。 大容量で、スピードが違います。再探索のスピードがちがいます」 「再探索って?」 そう聞こうと思いましたが、馬鹿にされそうだったので、 その質問は、口に飲み込みました。 「ダッシュボードにつけたいけど、穴開けなきゃといわれたので、 迷ってるんだ?」 「おクルマは?」 「...アルファ・ロメオだけど」 口にするのが、ちょっと気恥ずかしい気がします。 「この葵のご紋が目に入らぬか」 という感じ。 「そうですか、おクルマ、近くにありますか? ちょっと確かめてみましょう」 あっという間に、元旦の状況が再現されました。 その彼、いわく。 「こうすれば、穴開けなくてすみますよ」 「へえ、昨日の宮川くんは、ダメといっていたけど。 おお、キミのほうが、優秀だなあ」 「...、彼もよくやってますよ」 オトーサン、 「こいつ、いいやつだなあ」 同僚をかばうあたり感動しました。 「このひとからなら、買ってもいいか」 5分後には、カードで買ってしまいました。 本体価格 148,000 プリントアンテナ代 18,800 カロッツエリア RD-ANIO アンテナ変換 950 工賃 38,000 消費税 10,288 合計 216,038 「おっ、20万円を超えてしまった」 奥方の顔がちらっと浮かびましたが、もう手遅れ。
オトーサン、 1月3日の朝のこと。 「朝メシ、食べにいくか」 「うん、いいわ」 おせちもなくなっていたので、奥方は快諾。 「これだよ、買ったの」 おずおずとナビを示しました。 「ふーん」 これ、嵐の前の静けさかも。 アルファ、快調に走って、春海橋のたもとにきました。 いつもなら、佃島方面の高層ビル群をみているのですが、 奥方、ナビ画面に写し出すされた地図がぐんぐん変わるのを 興味深くみつめ続けています。 「へえ、うちのそばに修道院があったのね」 新しい発見に興奮しております。 「ここの修道士、夜遊びするのかなあ。銀座も近いし」 「まさか、築地に買出しに行くのかしら?」 そんなことで、まだ、雷は落ちていません。 オトーサン、 「ありゃ、まだやっていない!」 お目当ての珈琲館、おじさんが店の前を掃除中。 「どうしょうようか。そうだ、ジャスコへ行こう。 あそこ、24時間営業だから」 「正月3日にもやってるかしら」 「ダイジョウブ」 そんなことで、店内の東雲食堂で、 玉子焼き、納豆、味噌汁、ごはん。 奥方は、おろし大根、納豆、味噌汁、ごはん。 「ここ、ひょっとして、中国人の経営かも」 「どうして?」 「ほら、天井から下っている飾り、春慶節のみたいだよ」 「そうね、あの娘も、中国人かしら?」 「あの発音はそうだよ」 幸い、嵐はオトーサンを避けて通りすぎたようです。 オトーサン、 「やはり、来たか」 というのも、奥方と娘に、こう宣言されたのです。 「ふたりで、映画を見に行くわ」 評判の高い「ラスト・サムライ」を見に行くようです。 オトーサンは、初日に見ていますから、いまさら。 これで、正月3ケ日は、単独行動と相なります。 「まあ、いいか、この程度の嵐ですんだのなら」 そこで、またまた、オートウエーブへ。 「何で、また?3回目でしょうに?」 「いやいや、実は、4回目」 オトーサン、 ナビを買ったとき、抽選券をもらったのです。 ルイ・ヴィトンのバッグを当てるゲーム大会をやるのでどうぞ。 「いつ?」 「今夜の9時からです」 「夜?オレ、もう寝る時間だよ」 その夜になって帰宅した娘に聞きます。 「行くかい?券あるけど」 「今夜は、ロクな番組ないわねえ」 そこで、奥方と娘と3人で出かけました。 「メーター、きれいだなあ」
オトーサン、 「すごい台数だなあ」 立体駐車場の奥しか空いていませんでした。 「こんな世界ってあるのね、若いひとたちの」 ゲーム大会には、30人くらい集まっています。 「さあ、はじまり、はじまり」 ドンドンと太鼓を鳴らして、 正面の台にルイ・ヴィトンのバッグが鎮座しました。 O×式クイズ、開始。 「お待たせいたしました。 それでは、第1問。 オートウェーブカードの年会費は、500円です。 正しい思うひとは、右側へ。 間違っていると思うひとは、左側に並んでください」 オトーサン、 即座に、○のほうへ。 それに釣られて、ほとんどのひとが、○のほうへ。 ×は、3人だけ。 「バカだなあ」 ところが、正解は、×でした。 年会費は、ゼロ。 「あんなバッグほしくないからいいけど、 パパ、どうして間違ったの?」 「入会金を500円払ったものだから」 「...」 奥方、 「それにしても、お粗末なゲーム大会だったわね」 オトーサン、 気を取り直して、ひとりでオートウエーブへ。 「今日は、ドリンク・ホルダーを探そう」 売り場には、多くの種類があって、お値段も1000円前後。 そのほとんどは、エアコンのダクトに引っかけるタイプ。 「無神経だなあ、衝突したら、突き刺さるじゃないか」 窓枠に引っかけるタイプを買いました。 早速、アルファロメオに取り付けようとしましたが、 窓枠が丸いので、ダメ。 仕方なく、ハンドル横のエアコンのダクトに。 「キーにぶつかるなあ」 結局、300円が無駄になりました。
オトーサン、 「夕方まで、まだ間がある。どうしようかなあ。 そうだ、イタリア自動車雑貨店に行ってみよう。 ナビをつけたから、場所もわかるだろう」 検索画面で、目的地の住所を入力。 タッチパネルですから、リモコン操作より楽ですが、 お目当ての住所である新宿区四谷2-12-5 第6富沢ビルを し-ん-じ-ゅ-くというように、いちいち入力するのです。 でも、入力作業は、「新宿区四谷2-12」までで終わり。 「慣れれば、案外、簡単かも」 オトーサン、 「お正月は、どこも道路は、空いてるなあ。 おっ、真っ赤なアルファだ!」 1日に1台お目にかかればいいほう。 それが、5台も背ぞろいしているのです。 お店の前の道路は、アルファ・ロメオばかりで、 駐車スペースなどありません。 仕方がないので、道路の反対側に駐車しました。 「停める場所があるだけ、まあいいか」 普段なら、もうこの新宿通りは、大混雑です。 オトーサン、 「へえ、おしゃれな店だなあ」 オーナーがイタリアきちがい。 イタリアに惚れこんではじめた店ですから、 趣味の雰囲気が充満しております。 レーシング・ウエア、書籍雑誌に原書も。 装身具、時計、テーブルウェアなど。 メーカーごとのキーホルダーもそろっています。 オトーサン、 30分ほどかけて、数十種類もあるなかから アルファ・ロメオの紋章入りのものを選びました。 アルファ・ロメオ156の特集がある雑誌も購入。 「あのー、アルファ・ロメオの香水ありますか?」 アルファ・ロメオの新車を買うと、 シートから香水の甘美な匂いが漂ってくるそうです。 中古車なので、もう匂いが消えています。 それを再現しようというわけ。 「すみません。品切れで、1月下旬入荷なんですよ」 オーナーが恐縮して、答えました。 「このお店、いいお店ですねえ。 ところで、あそこのスタンドでコーヒー1杯50円。 ドトールより安いね。 ほんとうに、そんなに安くていいのですか? 何も買わなくても、50円でいいのですか?」 「いいですよ、サービスでやってますから」 オトーサン、 その夜、帰宅した奥方に、 「あのな、今日、いい店見つけたぞ。 コーヒー1杯50円で飲めるんだ」 「なんていうお店?」 「イタリア自動車雑貨店!」 「へえ、パパ、その店に行ったの?」 娘が口をはさんできます。 「お前、どうして知ってるんだ?」 「ヒ、ミ、ツ」 後で奥方に聞くと、職場の同僚の旦那がアルファきちがい。 何でも、真っ赤なアルファ166GTVを乗り回し、 その店に入り浸っているそうです。 「そうか、あの店、アルフィストの行きつけの店なんだ」 イタリア自動車雑貨店のご案内。 住所:新宿区四谷2-12-5 第6富沢ビル 電話:03-3355-7529 URL:http://www.itariazakka.co.jp
オトーサン、 実は、大のナビぎらいでした。 ナビで懲りたことがあるのです。 それも、大昔、ナビの実験が渋谷ではじまったばかりの頃、 実験車両を借りて、元旦に渋谷を走り回ったのです。 渋谷といえば、幼い頃から住んでいる街。 渋滞だって、へっちゃら。 誰も知らない抜け道を知っているからです。 「このナビ、どのくらい勉強しているか、験してみよう」 意地悪にも、抜け道づくしを敢行。 「あはは、分かっとらんなあ」 「ここも、ダメか」 「このナビの設計者、田舎者だなあ」 そんな風に、小1時間ほど遊んだ後、表参道へ。 「この先、明治神宮だよな。 参拝客で大混雑だろうから、明治通りの裏手へ逃げるか」 スイスイと裏道へ。 ところが、ふっとナビの画面に変調。 何も映らなくなったのです。 「しまった!」 実験段階ですから、明治神宮は,エリア外。 データがまったく入っていないのです。 そんなことで、1時間ほど、渋滞にはまってしまいました。 「ナビなんか、役立たずだなあ」 その頃の測位精度なんてヒドイものでした。 自車マークが、道路上にあれば、奇跡。 オトーサン、 そんなことで、ナビ不信で、通してきました。 ひとに聞かれると、 「やめといたほうが、いいよ。あんな高いもの」 「日進月歩だから、買うのは、もう少し待ったら?」 「あんなもの見てたら、事故起こすよ」 「地図があるでしょ、地図が」 パイオニアやパナソニックのひとが聞いたら、 怒り出しそうなことを平気で言いふらしていました。 オトーサン、 君子豹変しかけました。 「最近のナビは、使いやすくなった」 その技術進歩に感心いたします。 例えば、 ・液晶パネルにタッチしただけで、操作ができる ・行き先が名前、住所、施設などから簡単に検索できる ・交差点の手前700m、300mと親切に教えてくれる ・前方のカ−ブも案内してくれる ・右折・左折のレーン表示もする ・交差点まで、あと何100メートルか表示される ・VICS情報では、渋滞を告知し、何メートルか分かる ・間違えると、すぐ再検索してくれる オトーサン、 「こりゃ、ナビは、すごいや」 ナビのおかげで、これまで道が分からず、 行く気になれなかった場所に簡単に行けるようになりました。 「何かと出不精になる年寄りには、最高だなあ」 講演を依頼された場所に、遅刻もせずに到着したので、 ナビへの信頼感を強めました。 「こりゃ、いいわい。 定年になったら、ナビを駆使して日本縦断するか」 道に迷ってウロウロすることは、もうないでしょう。 クルマから降りて、いちいち道を聞く必要もないのです。 「それに、退屈しのぎにもなる」 渋滞で、身動きできないときなど、 TVに切り替え、大相撲中継を見ることもできます。 「こりゃ便利だ。もっと早く買えばよかった」 オトーサン、 しばらくすると、天邪鬼が目を覚ましました。 ナビが、指示した道順を誤まると、 「再探索します」 という女性の声が聞こえてきます。 「いちいち、こうるさいなぁ。 どこを走ろうと、オレの勝手だろうが...」 冷静に考えれば、案内を依頼しておいて、 そういう言い方は、ないのでしょうが、 そこは、それ、相手が機械となれば、やりたい邦題。 「よーし、右折しろ?じゃ、左折してみよう」 「左折しろ?右折してみたら、どう言うかなあ」 そうすると、ナビの女性は、 必ず「再検索します」と冷静に言うのです。 「彼女、慌てることないのかなあ?」 だんだん面白くなってきて、 5分間に何回、「再探索します」 と言わせるかの競争を開始。 勝手知ったる近所の路地裏をぐるぐる回ってみました。 「再探索します」 「再探索します」 「再探索します」 「再探索します」 「何回、言わせたら、怒り出すのかなあ?」 そんな興味が湧いてきました。 オトーサン、 名古屋高速に乗ってみました。 山手通りの四谷入口から乗って、長島温泉へ。 「へえ、アウトレットも出来たんだ」 この長島温泉、勢いよく温泉が吹き上げ、 開園した直後、独身寮の連中と繰り出しました。 「混浴だってさ」 「行こう、行こう!」 「行くまいか」 入口こそ、男女別ですが、 ドアを一歩入れば、混浴のめくるめく世界。 「しめた!若い女性の裸が拝める」 すでに、立つべきものは、立っております。 ところが、案に相違して、女性はおばあさんばかり。 裸をジロジロみつめられて、早々に退散しました。 ムスコも、ションボリ。 オトーサン、 「最近は、どんな風になったのかなあ?」 入ろうと思って、入場料を見ると、2100円。 「えっ、高いなあ、やーめた」 そんなことで、早々に帰途につくことにしました。 ナビの言うとおり、四谷出口をめざしました。 「あっ、通り過ぎた!何だ、こりゃ?」 追い越し車線から出るなんて、 そおそも危険な設計じゃありませんか。 「あれっ?変ねえ」 奥方が、奇声をあげます。 「再探索します」 「再探索します」 「再探索します」 ・・・・・・・ ナビの女性が、 「再探索します」 を繰り返すのです。 「..このナビ、一般道に出たと思ってるのね」 そうなのです。 高速道路が、一般道の地下や側道を走っているので、 誤認識しやすくなっているのです。 ナビのほうは、帰路である左折の指示に従わずに、 一般道の交差点を直進していると認識しているのです。 ところが、高速で走っていますから、 交差点が次々と現れて、再探索が追いつかないのです。 オトーサン、 「こりゃ、面白いや。 とことん、イジメてやれ!」 四谷の次の高針で出ても、 ナビの指示とは反対の行動を取り続けました。 すると、ついに、ナビの女性は沈黙 液晶画面には、 「再探索できませんでした」 と表示されたのです。 「やったぁ。大成功!」 「ついに、やったわね」 奥方も、無邪気に喜んでいます ナビの若い女性にライバル意識があったのかも。
オトーサン、 ナビの女性の 「その先、カーブです」 という案内に、だんだん腹が立ってきました。 「前方見て運転してりゃ、分かることだろうが... 下らんこと、ゴチャゴチャ言うな。 すこしぐらい、黙っておられんかい」 そう毒づいたりしました。 でも、長島温泉行き以降、 ナビ画面になっているのに、 女性の声がまったく聞こえなくなってしまったのです。 「彼女、オレに愛想をつかしたのかなあ? ちょっと、イジメ過ぎたかも...」 幸い、この音信不通は、何かの拍子で直リましたが。 オトーサン、 この殊勝な気持ちも束の間でした。 千葉県の柏に行ったときのことです。 柏には、サラリーマンのジンクスで、 建てたばかりで、転勤になってしまい、 20年間も、借し続けた一軒家があるのです。 管理は、奥方任せ。 家賃不払いで2年も居座われる騒ぎもありました。 ある朝、奥方、ポツリ。 「どうなってるか、気になるのよ。 いま、空き家になってるけれど...」 「じゃ、天気もいいから、いまから行こうか」 「そう?」 「何だい?」 「今日じゃなくても、いいでしょ」 「でも、あさっては、名古屋に行くから、 連日の運転はつらいものがある」 「アルファに乗りたいんでしょ」 「ああ」 「ほんとうは、ナビ・イジメをしたいんでしょ」 「実走行テストって、言ってほしいねえ」 「同じことよね」 オトーサン、 柏にいくときは、 首都高から常磐道へ。 柏ICで環状16号線に降りて、 6号線(水戸街道)と交差する呼塚交差点なる 交通難所を抜ける必要があります。 下手すると、ここで渋滞30分とあいなります。 料金は、首都高700円+常磐道500円。 「1時間半もあれば、着くだろう」 「そうね」 首都高は、ナビの言う通りに、箱崎ICから入りました。 左手に、墨田川。 右手に、黄色いウンコビル。 (アサヒビールさん、ゴメンナサイ) 「この辺、まだ高層ビルが少ないわね」 「地権者が多すぎるんだろう」 「あらっ、あのマンション、川に向いていないわね。 「やっぱり、南向きがいいんだろう、日本人は」 そんな会話をしながら、快調に飛ばします。 「あのトラック、危ないわね、過積載よ」 「あのトラックもヒドイなあ」 土砂や廃材などが、いまにも落ちそうです。 落ちたら、まず、死傷事故確実。 「後ろにつけるのやめましょうね」 「ああ」 オトーサン、 「変だなあ?加平で降りろとよ」 「降りれば?」 「だって、まだ首都高に乗ったばかりだぜ。 三郷まで半分も来ていない」 「でも、ナビの言うとおりにしたら」 「こんなバカ・ナビの言うこと、いちいち聞いておられるか」 「...また、ナビいじめがはじまった」 「だって、オレ、この道、何遍も通っているんだぜ」 「すこしは、ナビの言う通りにしないと、後で仕返しされるわよ」 「そんなこと言たって、ナビが間違うことだってあるだろう。 相手は、機械だぜ」 「...」 奥方、 16号の大渋滞なかで、 「ほら、見なさいよ。 やっぱり、ナビのいう通りにすればよかったのよ」 「16号の抜け道ないのかなぁ」 「ないから、混むのよ」 「...」 そんなことで、何とか1時間半で、柏の家に到着。 奥方は、植木の生育状態をチェック。 「日当たりが悪くなたせいかしら...」 オトーサンは、アルファ156が 車庫に入るかどうかをチェック。 「この家、まあまあの状態だったな」 「そうね、思ったよりも、いい状態だったわ。 でも、住むんだったら、洗面台は取替えなきゃ。 1階の和室も、床のぬけているところがあったわ。 ほんとうは、広すぎるから、建て代えたいんだけれど」 「オフクロが残していった渋谷の家のこともあるから、 まだ決めなくてもいいだろう」 「そうね」 オトーサン、 「じゃ、帰りは、何があろうと、ナビの言う通りにしよう」 「そうね、そうしましょ」
オトーサン、 「へえ、こんなルートがあったんだ」 常盤平をぬけて、松戸の手前から 6号に出て、四つ木から首都高へ。 「このルートなら、常磐道の500円が節約できるし、 小1時間で晴海に帰れるなら、御の字だ」 抜け道なので、狭いのですが、 渋滞なしに、スイスイ通過して、6号へ。 「6号も、この辺、すいているなあ」 「お昼時だからかもね」 「夕方になると、また、混むかも知れんなあ。 安いガソリン・スタンドもあったし、 最高だなあ」 ハイオクが、セルフですが、たったの100円。 全国で一番安いのではないでしょうか。 奥方、 「へえ、ここが亀有交番なのね」 漫画で一躍有名になりました。 「柴又も近いらしい」 寅さんが活躍した柴又帝釈天とその参道がにぎやかです。 「ナビのおかげで、東京見物か」 「そろそろ、四つ木よ」 「どこが入り口かなあ」 「ナビには、700メートル先と出たわよ」 「ふーん」 この生返事がいけなかったのです。 オトーサン、 「しまった、つかまった!」 四つ木入り口への側道を発見して、 左手に急遽レーンチェンジしたのが、悪かったのです。 でも、直進すれば、また戻ってこなければ。 巡査が2人、笛を吹いて、とまれの合図。 「バカな! こんなことろで、手入れなんかするなよ」 四つ木の入口の表示が見えづらく、 分かったときには、黄色いレーンになっていて、 針路変更禁止違反になったのです。 「ケシカランなあ。取り締まるよりも、 見えにくい標識を直すほうが筋だろうが」 「点数かせぎよねえ」 でも、現場の警官には、通用しません。 結局、取調べで、30分を空費し、 反則金も6000円也。 「シャクだなあ。 ...まあ、駐車違反より安いけどなあ」 オトーサン、 「それにしても、このナビ、いい加減だなあ」 こんなに間違えやすい場所なら、 もっと早めに、 左手のレーンをお進みくださいというべきなのです。 「このナビ、どうも側道に弱いなあ」 「名古屋でもそうね」 「そうだよ、高速と側道を間違えてるんだもの。 このナビのおかげで、6000円損した」 「あなたが、あんまり、いじめるからよ」 「そうかもなあ」 ナビの陰湿な仕返しにあったのかも。
オトーサン、 「おお、これ買おう」 たまたま寄った本屋に「カーナビの達人」を発見。 パラパラとめくると、各社のカーナビの比較がされています。 別冊CG、創刊10号とあります。 「2玄社の雑誌なら、間違いないだろう」 2時間ほど夢中になって、記事を読みました。 「こりゃ、いいわ!」 単なるPR記事ではなく、 きちんと実車で走行テストしているのが素敵です。 オトーサン、 面白くなって、 「カーナビの達人」から 8社の最新モデルの性能比較表をまとめてみました。 CA:カロッツエリア AVIC-H9 EC:イクリプス AVN9903HD PA:パナソニック HD9000 KE:ケンウッド HDX-710 AL:アルパイン HDD555S MI:三菱 CU-H8000VP-2 XA:ザナヴィ AFX-D8300 AZ:アゼスト MAX35HD 11項目にわたる詳細なものです。 機種名 CA EC PA KE AL MI XA AZ 機能 1 地図:100mスケールで見やすいか、情報量は適当か 3位 1位 1位 5位 8位 6位 3位 7位 2 検索:探し出すポイントは正確か。独自のコンテンツがあるか 1 5 6 4 1 8 1 7 3 ルート探索:どういうルートを引くか、目的地設定はしやすいか 4 1 4 2 3 6 8 7 4 交差点案内:複雑な交差点でも分かりやすいか 4 2 1 5 3 5 7 8 5 首都高速の案内:連続する分岐をどう案内するか 2 3 4 4 6 6 6 1 6 リルート性能:早いタイミングで引き直すか、新しいルートは適切か 1 4 2 4 4 7 8 3 7 上下道・平行道判断:高架の道、平行する道を区別できるか 1 4 2 8 5 5 3 5 8 細街路指導:細街路での探索内容、案内を外れたときの対応は? 1 2 4 7 2 5 8 5 9 リモコン&スクロール:すばやく移動させても、地図は確認しやすいか 3 2 4 1 7 5 7 6 10 VICS受信と指示:渋滞情報を分かリやすく伝えられるか 1 3 4 4 8 2 4 7 11 市街地図とモニター:きれいに細かい地図表示ができているか 3 1 1 7 8 4 5 6 合計 25 28 33 51 57 59 60 62 オトーサン、 「総合順位だと、ケンウッドは、何位かな?」 この点数は、低いほうがいいのです。 総合1位CA:カロッツエリア AVIC-H9 25点 2 EC:イクリプス AVN9903HD 28 3 PA:パナソニック HD9000 33 4 KE:ケンウッド HDX-710 51 5 AL:アルパイン HDD555S 57 6 MI:三菱 CU-H8000VP-2 59 7 XA:ザナヴィ AFX-D8300 60 8 AZ:アゼスト MAX35HD 62 オトーサン、 「あーあ、変な機種を買ってしまった...」 マーケティング用語でいうと、認知的不協和。 平たく言うと、「買ったあと、激しく後悔する」 この表では、 買ってしまったケンウッドは、総合4位。 どうもぱっとしません。 「上下道・平行道判断は、 8位か。ビリだ。道理でよく間違える。 あーあ、カロッツエリアを買えばよかった」 「...細街路指導も、7位か」 そういえば、細い道に入ると、もうメチャメチャ。 {再探索します」のオンパレードです。 オトーサン、 「でも、リモコン&スクロールは、1位だし、 ルート探索も2位だ。まあ、我慢するか」 ケンウッドのカーナビ、 いろいろケチをつけてきましたが、 使いやすいのは、 機械オンチにとっては、ありがたいことです。 おかげで、いろんな場所に気軽に行けるようになりました。 老後のボケ予防には、最高です。
オトーサン、 年末ぎりぎりに納車されたアルファ、 ほぼ1ケ月が経過しました。 走行距離は、1500kmほどになるでしょうか。 面白いもので、1ケ月経過すると、 クルマに対する印象が少しずつ変わってきます。 「嘆きのアルフィスタ」さんの辛口批評を 再度読みかえしてみます。、 (辛口批評) ・フォロントに比較して、リアのデザインが悪い ・サイドビューがのっぺりしている。 ・Aピラーが太い (1ケ月後の印象) ・そうは思わない。 「世界一美しいデザイン」というひともあるが、 まさにその通リだと思う。 毎日、ほれぼれして見ている。 なお、色は、アースティック・グリーン・メタリックだった。 淡い緑色で、晴れた日は、宝石のように見える。 (辛口批評) ・セレスピードのシフトアップはトロい。 (1ケ月後の印象) ・確かに、変速ショックは、気になる。 (辛口批評) ・エンジン音、色気なし (1ケ月後の印象) ・実にいい音である。 (辛口批評) ・脚廻りは、ふにゃふにゃ。 コーナリング中に左右で位相差のあるギャップを 乗り越えた際にお尻が左右にブレる (1ケ月後の印象) ・確かに、気になるときがある。 (辛口批評) ・ハンドリングは、ダイレクト感に乏しい。 (1ケ月後の印象) ・実にシャープで、いい感じ。 (辛口批評) ・ブレーキの踏み込み始めが曖昧。 踏み込んでからの微妙なコントロールができない。 かなりのノーズダイブと揺り戻しのスナッチがある。 (1ケ月後の印象) ・最初は、効きが悪いと思ったが、まったく気にならなくなった。 (辛口批評) ・ステリング位置がしっくりこない (1ケ月後の印象) ・長距離をやると、肩がこる。 チルトステアリングなので、位置調整が必要かも。 (辛口批評) ・パワー・ウインドウ・スイッチの逆の動作 ・ウィンカーやハザードを点灯させると 速度計とレヴカウンタの裏辺りからする 「カッチ,カッチ」というリレーの動作音が気分悪い。 (1ケ月後の印象) ・まったく、気にならない (辛口批評) ・カップホルダーがない (1ケ月後の印象) ・その通りで、オートウエーブで買ったのも、 いまは、使っていない。 専用のを買う必要があるのかも。 オトーサン、 「そのほかに、気づいたことがいくつかあるぞ」 (1ケ月後の印象) ・坂道発進は、辛いものがある。 (1ケ月後の印象) ・リッター6Kmというひともいたので、心配したが、 燃費は、高速中心ということもあって、思ったよりもよかった。 3回、計測しただけだが、10〜12Kmだった。 なお、すべて、CITYモード。 1月5日 走行距離 647Km ガソリン消費量 66.5L 燃費 10.2km/L 走行条件:市街地走行200Km。急加速テストを含む。 1月20日 走行距離 401Km ガソリン消費量 33.0L 燃費 12.1km/L 走行条件:高速道路 1月22日 走行距離 415Km ガソリン消費量 40.0L 燃費 11.1km/L 走行条件:高速道路、引越し荷物満載 気になるハイオクのお値段は、103円が最安値と思っていたが、 100円のガソリンスタンドを発見したので、一安心。 (1ケ月後の印象) ・欧州車の弱点といわれるエアコンの効き、ヘッドライトの暗さ、 ワイパーの作動、いずれも、問題なし。 ・心配された初期故障もなかった。 助手席側のオーディオのスピーカー・カバーが脱落した。 ・オーディオの受信状態も問題なし。 オトーサン、 「まあまあだな、このクルマ」 奥方、 「老婆はひどかったもんね。 冬にオーバーヒートしたし...。 でも、まだまだ油断したらダメよ」
オトーサン、 ビートルズの「Yesterday」が好きです。 時々、上機嫌なときに、口づさみます。 ♪Yesterday... all my troubles seemed so far away! Now it looks as though they're here to stay, Oh, I believe in yesterday ポールが、ソロで歌っているステキな歌、 普段は、意味など考えないで口ずさむじゃないですか。 ♪昨日まで遠くにみえたトラブルが、 今は、僕を悩ませる。 今は、トラブルがいつまでも留まっているようだ。 ああ、今が昨日だったらいいのに。 オトーサン、 「あーあ、今日は6000円も払いに行くのか」 朝からトラブルの後始末を控え、ユーウツです。 先日の四つ木入口手前での 針路変更禁止違反の反則金の支払期限が近づいてきました。 「6000円もあればなあ、 映画が6本も見られるのに。 DVDだったら、レンタル1本300円として20本分。 吉野家の牛丼なら20食以上。 悔しいなあ。罠にはまって。そもそも、標識が不備なんだ」 オトーサン、 その朝、新聞を開いて、 「おお、磯村さんが、亡くなられたのか...」 トヨタ自動車の副会長ですから、当然、新聞各紙に出ます。 かつての上司でした。 温厚な人柄で、笑みを絶やさぬひとでした。 「引退されたら、どうされます?」 そう伺ったら、 「おれは、職場で戦死するほうがいいよ」 「仕事が生きがいの古いタイプの人だなあ」 そう思ったものです。 昨年秋に体調を崩されて、 トヨタ記念病院で治療のところ、 1月20日、心不全で死去、享年71歳。 ♪昨日まで遠くにみえた死神が、 今日は、僕を悩ませる 今は、死神がいつまでも留まっているようだ。 ああ、今が昨日だったらいいのに。 オトーサン、 「しまった!」 気がついたときは、もう手遅れ。 地下の立体駐車場から出るときに、ボディを擦ってしまいました。 反則金の支払い、元上司の死...、 この世のよしなしごとが、頭を占めていたためでしょう。 つい、乗りなれた小型車の老婆の感じで、 ハンドルを切ってしまったのです。 「まあ、たいしたことなさそうだ」 壁のかどが親切にラバーで保護されているので、 被害は、軽微ですみそうです。 奥方、 「でも、凹んでるわよ」 何か、うれしそうな口調に聞こえます。 オトーサン、 明るい戸外に出て、確認。 拭くと、汚れのほうは、すぐにとれました。 リアのタイヤハウスが、わずかに凹んでいます。 「...叩きだせば、すぐ直るだろう、その程度の凹みだよ」 「そう?輸入車の修理は高いわよ」 「でも、最近は、カーコンビニもあって、安くなったよ」 「そう?」 「後で、オートウエーブにでも行ってみるよ」 オトーサン、 反則金の支払いを終えてから、 オートウエーブへ。 カー用品のほうは、まだ開店していませんでしたが、 修理のほうは、すでに開いています。 店員がきびきびしていて、気持ちのいい店です。 「そうですねえ。これは、難物ですよ。 場合によっては、リアのドア全部、塗り変えないと?」 「えっ?じゃ、いくらかかるの?」 「そうですねえ、最低で3万円。 専門業者に出したほうがいいと思いますよ。 その場合だと、10万円は、見ておかないと。 2日ほどかかります」 「....」 ♪昨日まで遠くにみえたトラブルが、 今は、僕を悩ませる トラブルがいつまでも留まっているようだ。 ああ、今が昨日だったらいいのに。
オトーサン、 「いよいよ、引越しだ!」 電気、ガス、水道、電話会社、郵便局...退職手続き、 そして、最大の難関が、ご存知のお引越し作業。 「単身赴任だったから、そう荷物はないでしょう?」 「そうなんだけど...」 奥方、 「そんなもの、みんな捨ててきなさいよ!」 「冷たいなあ。8年も過ごせば、大事なものもあるんだ」 「そう?」 つれないお返事です。 でも、一度、掃除に来てくれたら、君子?豹変。 「これ、もってこうかしら、これも...」 てなことで、段々増えてきました。 ビデオ付きテレビ、FAX付き電話機、 旅行用大型鞄、柄杓、小さいフライパンetc... 「そんなもの捨てろといわれてもなあ」、 料理の腕をふるってきた中華鍋、 それに大事に集めてきた映画のパンフレット。 これが、4年分ですが、かなりの重量になります。 「寝具は、全部捨てていいわよ」 「だって、数回しか使ってないんだぜ」 奥方が、来たときの客用布団です。 「だって、ウチにあるんだもの」 「そりゃ、そうだろうけど」 オトーサン、 「0120-758-530か、こりゃ覚えやすいや」 名古屋市の粗大ゴミ収集センターの電話番号です。 引き取りの1週間前までに電話せよとのことで、 言いつけを守って電話しました。 いきなり陰気で高飛車な女性の声。 我慢して、聞いていましたが、 指定日に指定場所に出せは当然として、 そのほか、アーセイ、コーセイとまるで罪人扱い。 「...ほかに自分で持ちこめる場所ありませんか?」 ようやく、お教えいただきました。 奥方に、話すと、 「相手は、お役所だもの」 松原市長、'哀痴'万博でご多忙でしょうが、 足元の環境行政がメチャメチャですぞ。 オトーサン、 千種環境事務所に電話。 こちらの女性は、明るく庶民的でした。 相手の立場になって、話を聞いてくれます。 朝8時からやっているというのも、好感がもてます。 ナビで順調に探し出しました。 「こういうときは、ナビは便利だなあ」 川のほとりに、ゴミ焼却場とその温熱利用のプール。 男性係員がみな親切で、 「ごみ等搬入承認書」への記入を手伝ってくれました。 住所・氏名・電話番号とごみの品名、数量、 それに車番を記入。 まだアルファのは覚えていないので、 「あそこのナンバー・プレートを書けばいの?」 「はい。...いいクルマですね」 アルファが、朝の光のなかで、一際、輝いています。 「搬入先ですが、大江破砕工場になります」 「あれっ?愛岐処分場でなかったの?」 愛知県が、多治見まで捨てにくるので、 岐阜県がごねているいわくつきのゴミ処分場です。 (これも、'環境'万博よりも、優先課題だったはず) いちど視察しておきたいと思っていたのですが、 今回は、縁がなかったようです。 「まあ、いいか、大江でも。 あそこ、たしか三菱の自動車工場があったよなあ」 オトーサン、 早速、大江破砕工場の電話番号を入力しました。 入力すると、目的地が出るのです。 「こりゃ、便利な機能だ」 ナビの言うとおりに走って、近くまできました。 「へぇ、大同工業大学は、ここにあるのか」 役員会でお話させていただいた大同特殊鋼の工場もありました。 「一度、工場をご案内します」と言われたのですが、 バタバタしているときなので、お断わりしました。 「それが、ここにあるとは、妙な縁だ。 ...おい、おい、どうなってるんだ? このバカナビ」 ナビが案内した場所には、運河があって渡れません。 その後、小1時間、大江破砕工場を探し回りました。 「'カーナビの達人'の言う通りだ」 ご記憶でしょうか。 ・細街路指導: 細街路での探索内容、案内を外れたときの対応は? この評価で、ケンウッドは、8位(ビリ)でしたよね。 オトーサン、 「ああ、やっと着いた!」 3回も聞いて回って、ようやくたどり着きました。 千種環境事務所でもらった地図も役立たず。 「字も読めないような地図で行けたら、奇跡だ。 松原さん、一度、自分で運転して行ってみたら?」 ど派手なイベント志向は困ったものです。 そのため、足元がおろそかになります。 '市民'搬入センターの名前が泣きます。 「市民なんてどうでもいいんだろう。 大企業が、わが物顔で振舞っている県だからなあ」 オトーサン 「おお、巨大なビルだ」 まず、計量ゲートなるところへ。 係員に千種環境事業所でもらった「ごみ等搬入承認書」を提示。 黄色い電磁カードをもらいました。 「失さない様に」 「これ、何のため?」 「....」 このおじいさん、不親切なかたで、 工場内での走り方の説明を続けています。 「その先を2階まで上って、ゴミの処分が終わったら、 黄色い線に沿って、この計量ゲートへ戻ってくるように」 「黄色い線?まあいいか」 200mにも感じるスロープを上っていくと、 倉庫のような入り口。 「あれ、閉まっている」 すると、スルスルと音もなく、巨大なドアが開きます。 暗い場内は、サッカー場くらいの広さ。 いくつものごみ処分用の堀が並んでいます。 係員の腕の方向に、後ろ向きに駐車。 また、さきほどの「ごみ等搬入承認書」を提示。 「それでは、これはここに捨ててください」 オトーサン、 小型掃除機、アイロン、 無印良品で買った組み立て式本棚をばらしたもの 食器類をクルマからおろします。 「深い堀だなあ」 3メートルはあるでしょうか。 落とすと、即座に、壊れてしまいそうです。 ゆっくりと、小型掃除機、アイロンを落とします。 次に、本棚のパーツを勢いよく。 「まあ、当座しのぎに買ったものばかりだ」 アイロンは、米兵で中古で買い、8年間で8回使っただけ、 小型掃除機は、その後倒産したマツヤデンキで買ったもの。 コードレスですが、性能が悪くて閉口しました。 「この大皿なあ」 ミスタードーナツの景品で、未使用品。 「割れるとなあ」 かがんで、手を伸ばして、割れないようにそっと下します。 でも、割れそうで、ふと躊躇。 係員の声、 「どうせ、割るんだから」 そうでした。 ここは、破砕工場でした。 オトーサン、 そのとき、不意に内藤やす子さんの歌の文句が浮かびました。 ♪思い出ぼろぼろ、 ゴミを処分するということは、それだけのことではないのです。 思い出を捨て去り、 思い出を引き裂き、 思い出を踏みにじり、 思い出でボロボロにすることなのでした。 オトーサン、 ゴミ処分を終わって、 係員の指示通り、黄色い線をたどって、先の計量ゲートへ。 係員が黄色い磁気カードを挿入して、 機械から出てきた小さい紙を眺めて、 「えー、500円です」 搬入時に車重を計量し、 退出時にもこうやって車重を計量し、 その差の重量に応じて料金を徴収するのです。 アルファロメオ156の車両重量は1360kgと出ています。 持ち込んで処分したごみの重量は、50kgでした。 1kgあたり50円なので、50Kgだと、500円というわけ。 オトーサン、 「あー、名古屋暮らしも、これで終わりだなあ。 たったの500円で、イヤな思い出を捨てられるなら、安いもんだ」 市民のみなさん、ぜひ、大江破砕工場へ。 非日常の空間が体験できます。 しかも、ここの場内係員は、とても親切でした。 だって、アルファをほめてくれたのです。 「いやあ、キレイなクルマだなあ」 「ほんとに、キレイだなあ。はじめてみたよ、おれ」 オトーサン、 有頂天になって、奥方に報告すると、 「そんな高級車でゴミを捨てに行くひとなんか、いないのよ、あんた」 「...あんた? あなたでなく、あんた?」 もしかして、捨てるものを間違えたかもしれません。 ここで、クイズ: 捨てるものを間違えたという上記の文章で、 著者がほんとうに言いたかった捨てるものとは、何を指すのか? 以下のイ)からチ)のなかから、1つだけ選択せよ。 イ)ミスタードーナツの大皿 ロ)中古アイロン ハ)愛知万博 ニ)アルファ156 ホ)教員職 ヘ)悪い思い出 ト)不運な人生 チ)奥方 リ)悪い性格
オトーサン、 いよいよ名古屋を引き払う日がやってきました。 トヨタ自販に入社して4年、 会社が合併で、トヨタ自動車に変わって15年、 大学に転じて8年、 通算27年にも及んだ名古屋暮らし。 仕事一途のためか、馴染めなかった街でしたが、 アルファ156に荷物を載せ、 部屋の拭き掃除をし、 家主さんにカギとお礼の品を手渡して、 「イザ、出発!」となると、 多少の感慨、なきにしもあらず。 「...名古屋に長居しすぎたなあ」 オトーサン、 2004年1月28日朝10時30分 東京に帰るべく、名古屋ICに入ります。 「おっと、忘れるところだった」 名古屋の街の風景を心に刻んでいて、 危うくETCカードの挿入を忘れるところでした。 オトーサン、 10分も走ると、豊田IC。 トヨタへの通勤ルートでした。 「相変わらず、クルマが多いなあ」 AIRIKUと車体に書いたトラックが ノロノロとい走っていて、スムースに走れません。 「80km走行が燃費節減に最も効果的だと言ってたっけ。 でも、自分勝手だよなあ」 トヨタの指導もあるのでしょうか? 愛知陸運さん、流れにのって走ってほしいものです。 「おお、第2東名の工事だ。スゲエ、ムダ遣い!」 豊川を過ぎたあたりから、ノンビリした風景へ。 クルマの数も次第に減ってきます。 30分もすると、浜名湖SAへ。 湖面の青いきらめきを目に収めながら通過。 「今日はパスしよう」 走り続けて、静岡まで一気に行くつもりです。 オトーサン、 ナビ画面にも、景色にも飽きてきて、 「このクルマ、荷物を積んだほいうが、感じがいいなあ」 FF車なので、前後の加重分布が、60:40。 引越し荷物を積んだおかげで、50:50と理想的な状態になりました。 「100km/hで、3000回転か。120kmなら、いくらだろう?」 ちょっと速度をあげてみました。 「ふーん、3500回転だ、あれっ?」 後ろに、シルバーのクルマがピタッとつけてきます。 そこのけ、そこのけ、おバカが通る。 「危ないじゃないか」 ブレーキを軽く踏んで警告、 ハザードをつけて警告しても、効果なし。 前車との距離を少しあけると、 左車線から猛烈に追い越して、直前に突っこんできます。 時速160kmは、出ています。 「ジャガーか。この野郎、いい気になりやがって」 頭に来たので、車番が目に焼きつきました。 「名 332 ひ ○6○か、 あんなに急ぐのは、 オフクロの死に目に会うためだろう」 そう思うことで、辛うじて怒りを抑えました。 オトーサン、 「ザマーミロ!」 袋井のあたりで、渋滞5kmになったのです。 「ハハ、追い越し車線のほうが、ノロイや」 そんなことで、追いつき、追い越してしまいました。 並んだとき、チラッとみると、 スモーク・ガラスの人影は、若者に見えました。 「もしかしたら、ヤクザなのかも。 なまじ正義感を出すと、たたりがある。 イヤな社会になったなあ」 オトーサン、 渋滞から開放されて、 晴れた空の下、茶畑のなかをノンビリと走っています。 「おっ、富士山だ! ...越すに越されぬ大井川か」 前方に純白の富士山、そして純白の日新食品の工場。 大井川は、水量がめっきり減って、濡れずに徒歩で渡れそう。 「日本人は、川をもっと大事にしろよなあ」 焼津が近づくと、一旦富士山は、手前の山影に隠れ、 静岡が近づくと、また、その雄姿を現わします。 ナビの女性、 「左ルートをお進みください」 オトーサン、 「なんで、左なんだ?勝手に決めるなよ」 あえて、右ルートを走行します。 間もなく、予定していた日本平SAへ到着。 12時半でした。 ここまでの走行距離は、181.5kmでした。 オトーサン、 富士山の見える2階のレストランで、 かつ丼を食べ終えました。 「午後1時過ぎか」 食後は、安全運転です。 前のトラックの後をゆっくり走ります。 「ふーん、時速8kmだと、2500回転か。 狭い日本、のんびり走ろう、由比が浜」 正解でした。 前方に、大きく富士山と大海原。 東名高速有数の景色ではないでしょうか。 「景色のいいSAでもつくれば、 みんなゆっくり休憩するだろうに、儲かるだろうに」 スペースがないという理由なのでしょうが、 ドイツでは、アウトバーン上にレストランがありました。 オトーサン、 80km走行も、束の間、 やはり、次々と追い抜かれるのには、耐えられません。 遅いのは、タンクローリーと積載車です。 富士から裾野の上りでは、70kmにまで速度が落ちます。 「こりゃ、付き合えないよ」 スピードアップして、 裾野の関東自動車工場前を、時速110kmで通過。 「ここICができるので、敷地が削られたんだよなあ」 関連会社監査に立会ったとき、そんな説明を受けました。 でも、トヨタの東富士研究所にとっては、朗報でした。 「もう、御殿場か」 いろいろな思い出がよこぎります。 いちいち書ききれないほど。 「おお、足柄SAだ。左レーンだ」 オトーサン、 運転疲れをとるために金時湯へ。 「630円いただきます」 公団のファミリー企業の女性が言います。 「お風呂、先客いるかなあ?」 「いえ、お客様だけです」 3メートル四方の浴槽とサウナがあるだけ。 窓が締め切ってあって、富士山も見えません。 隣接する宿泊棟が邪魔しているのです。 シングルで6000円、ツインで12000円と割高。 「これじゃ、流行らんはず」 でも、ひとり占めは豪勢です。 上り場を洗濯機と乾燥機が狭くしています。 「ドライヤーは、タダか。 ヒマになったら、公営温泉教授とでも名乗ろうか」 500円程度で入れる 各地の公営・民営温泉を視察して回ると面白いでしょう。 スローガン倒れのコイズミ改革をチェックできるかも。 オトーサン、 30分後、足柄SAを出て、山下り。 大井松田までは、トンネル、カーブ、下りが続きます。 3車線に拡幅したので、走りやすくなりました。 3つのレーンの平均速度が、80km、100km、120kmと キレイに分けられます。 「おっ、危ない!」 100kmのレーンを気持ちよく走行していると、 前方のトラックが急に割り込んでくるではありまでんか。 思わず、急ハンドル。 車体がグラリ。 ヒヤリハット体験です。 「ベンツのA160なら、横転していたかもなあ」 エルクテストで、横転して、一気に評価が下ったのは、 有名なお話です。 「エルクテストって?」 エルクは、鹿。 鹿が急に飛び出してきて、それをよけるために、 急ハンドルを切って車体の安定性をみるテストです。 「アルファ165は、合格だ。 それにしても、無茶な運転するなあ、あの野郎」 おそらく、後方を全然見ていないのです。 「高速道路って、こわいなあ」 いつ何時、死神が顔を出すか知れません。 オトーサン、 「厚木ICか」 「川崎ICか」 もう家に帰ったような気がします。 かつて神奈川県の生田の社宅にいて、ここを出入りしてました。 「生田で息子が生まれたんだっけ」 「オレも、長期入院したことがあったなあ」 あの時、リンパ腺がんだったら、死んでました。 幸い、リンパ腺結核だったので、生き延びました。 「あれから、人生観が変わったのかも。 おっと、考え事をしての運転は危ないぞ!」 オトーサン、 幸い首都高が空いていて、霞ヶ関で降りました。 「ナビが怒っておる」 ナビの女性が、最探索をしますを連呼しています。 皇居前から銀座へ。 「その先、300m以上の渋滞です」 「渋滞でも、構わないの! 銀座のひとごみをみながら、ゆっくり走りたいの」 ソニービル。 「なんで、トヨタは退去したんだ?」 いまは、BMWのショールームになってしまっています。 ずいぶん、ここで風変わりな展示をしました。 カローラの左右のドアを取り去って、 赤い緋毛氈を敷き詰めた和風空間をつくったり、 KLMオランダ航空と提携して、チャーリップ畑にしたり、 「銀座のホコテンを掃除するイベントもやったなあ」 「そうそう、鬼頭さんに叱られたなあ」 宣伝部時代のことでした。 トヨタ・プリティ2期生の鬼頭さんに、ねじこまれました。 「キミたち、銀座勤めで、いいなあ」 「カチョー、馬鹿なこと言わないでください。 銀座は、昼食代が高いんですよ!」 当時は、ライバルの日産のミスフェレデイのほうが、 美人ぞろいで、給料もよかったのです。 オトーサン、 「おお、三越だ!」 マクドナルド1号店開店のとき、 おとなりのスペースを借りて、 新発売のスターレットの短期展示をしました。 「藤田さんも来ておられたなあ。もう引退されたけど」 時代は、動いているのです。 ふと、中島みゆきさんの歌が口を突いて出てきました。 ♪まわる、まわるよ、時代はまわる そんな時代もあったねと いつか話せる日がくるわ あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ だから 今日はくよくよしないで 今日の風に吹かれましょう まわるまわるよ 時代はまわる 別れと出会いをくり返し 今日は倒れた旅人たちも 生まれ変わって歩き出すよ オトーサン 「ああ、やっと着いた」 自宅のある晴海トリトンは、もう目と鼻の先。 全行程355km、所要時間5時間30分 オトーサンの長い旅も、終わりが近づいているようです。
オトーサン、 教え子のYくんから、メールをもらいました。 「アルファロメオは調子がいいですか?」 「...そういえば、長いことアルファのこと書いてないなあ。 まずいなあ、ますかったかなあ」 オトーサン、 前章「♪まわる、まわるよ、時代はまわる」は、 1月末の名古屋から東京へのお引越しを書いたもの。 今は、もう6月中旬。 あれから、もう半年近くも過ぎてしまったわけです。 アルファの走行距離は、2万2千キロを越えました。 買ったときが、1万3000キロでしたから、 1万キロ弱走ったことになります。 「書くのをサボったわけじゃないんだ。 老婆とちがって、故障も事故も何も起きなかったんだもの...」 以下は、言い訳になりますが、 少し書こうと思い立つと、 決まって予期せぬ出来事が起きるのです。 講演やら原稿依頼やら。 「引退したんだから、仕事なんか、一切引き受けんぞ!」 そう堅く誓ったのですが、誘惑に弱いタチ。 つい引き受けてしまいます。 奥方には、前から言われています。 「仕事やめたら、ヒマもてあますわよ」 ところが、とんでもない。 映画を1本見て、映画批評を書いて、 再開した水泳に通って、 図書館や本屋に顔を出したりしていると、 すぐ一日が終わってしまうのです。 まれに、映画批評がはかどった時には、 2本見るようにしています。 「忙しい日に備えて、書き溜めしておこう...」 オトーサン、 「やりたいこと多いんだがなあ、体はひとつしかないし」 若い頃やっていた社交ダンスも再開したいし、 たまには温泉旅行もしたいし、 旧交も暖めたいし... ああ、それに山荘での畑仕事が待っています。 昨年の今頃は、もう第1回の収穫を終えていました。 ところが、今年は、まだ、畑を耕してさえいないのです。 古くなってきた土留工事を自分でやったら、 えらいこと時間がかかったのです。 それに、柏市にある持ち家のリフォーム、 おふくろが長らく住んでいた渋谷の家をどうするかなど、 平穏無事な生活を脅かすことが、次々と追いかけてくるのです。 オトーサン、 「それにしても、税金高いな、ひどいなあ。 貰っている年金じゃ、暮らしていけないなあ」 奥方 「そうでしょ、言った通りでしょう。 仕事をやめた翌年は、退職金が吹き飛んでいくって。 だから、みんな会社を辞めないで、 監査役になって補填して貰っているのよ」 「そうだなあ。背に腹変えられすに宮仕えか。 そんな人生、イヤだと思ったけど、そういうわけだったんだ。 ...それにしても、こんなに税金が多いとは思わなかった」 ・都民税・区民税 ・固定資産税、 ・私学共済掛金 さらに、新たに介護保険料の徴収が開始されたのです。 山荘のある富士見町からは、固定資産税のほかに、 新たに個人町県民税を徴収するという通知がきました。 NHKも、セコイというか。 山荘のTV視聴料をおまけして2ケ月分でいいから払えといってくるのです。 「バカもん。TVなんか置いてないぞ!」 しかも、年金は物価スライドということで減額通知がやってきました。 年金を上回るほどの税金が押し寄せてきているというのに。 「未納野郎! とくに、コイズミは悪質だ。 人生いろいろなんて、戯言を言いやがって。首相だろうが」 いまは、デフレだから、まだいいのですが、 インフレになったら、老人はみんな生活保護世帯に転落するでしょう。 オトーサン、 「引越しに備えて、荷物の整理もせにゃ」 夏には、柏かどこかへ引っ越さねばなりません。 月々20万円もするマンションに、 そんなにいつまでも住み続けるわけにはいきません。 「何とか、税金を減らす方法がないかなあ」 そこで、どの地方自治体に住むと節税できるか検討してみました。 昨年の所得申告書を用意して、あちこちに電話で問いあわせたのです。 「これじゃ、大して変わらんなあ。 やっぱり、日本脱出しかないかー」 タイのチュンマイあたりで暮らすと、 年金から貯金も出来る余裕のある暮らしができるとか。 そんな本を読みふけります。 それで、また忙しくなっていくのです。 アルファについて書いてなんかおれない理由が ゴマンと出てきているのです。 オトーサン、 それでも、万難を拝して アルファについて書こうとしました。 すると、今度は、マンションのファンが故障したのです。 音が急に大きくなって、おちおち寝ていられません。 三菱電機の製品です。 「三菱かぁ」 明日にならなきゃ修理にこないという相手を怒鳴りつけて、 今日来てもらうようにするのに、午前中いっぱいかかリました。 三菱電機も、リコール隠しの三菱自動車と同じスリーダイヤ。 「上から下まで、ぶったるんでるんじゃないの?」 「そう、いじめないでくださいよ。...ほんと、もう大変なんですから」 ようやく来て直してくれた 若いサービスマンに質問しました。 「お子さんいるの?」 「ええ、2歳になります」 「そう...(その子は、もう年金なんか貰えないなあ)」 そう言いたくなるのを喉元で呑み込んで、 「これ、お子さんに持っていってね」 奥方がとみると、お茶を出した後、 モナコで買ったチョコレ−トと 次女が北海道に出張して買ってきた「白い恋人」を包んでいます。 「...こんなものまで交際費で落とす奴がいるはず。 そいつらから、もっと税金取り立てろよ」 オトーサン、 肝心のアルファロメオの話でなく、 プラスアルファのほうに力が入ってしまいした。 次回は、真面目にアルファのことを書きましょう。
オトーサン、 距離計をみます。 「2万5258Kmか」 いまは、もう8月下旬。買ってからほぼ8ケ月。 本当は、半年後の印象を書くつもりでしたが、 忙しさにとりまぎれて、2ケ月ほど、ご報告が遅れました。 「あちこち行ったなあ」 といっても、東京晴海と八ケ岳の山荘との往復がメイン。 あとは、箱根の温泉、山荘から足を伸ばして松本、 映画を見に岡谷へ何度か行った程度。 「ああ、そうそう、新潟県の長岡まで行ったっけ」 時事通信に依頼されて、スーパーの取材旅行に行きました。 はじめて、長野道を北上して日本海に出ました。 「開通していたんだ!」 高速道路が長野道から北陸道につながっているのです。 長野道の先のほうは、トンネルが多くて、 ところどころ対抗2車線に規格がダウンするので、走りにくいこと。 それでも、アフラロメオとナビの名ガイドのおかげで 迷わずにすみ、疲れ知らずでした。 1泊2日で魚市場で有名な寺泊にも寄ってきましたよ。 ここで、購入8ケ月後の印象をまとめておきましょう。 「17 アン・ハッピー・モーニング」で ご紹介した「嘆きのアルフィスタ」さんの辛口批評では、 以下のような問題点が書かれています。、 1)フロントに比較して、リアのデザインが悪い 2)サイドビューがのっぺりしている。 3)Aピラーが太い 4)セレスピードのシフトアップはトロい。 5)エンジン音、色気なし 6)脚廻りは、ふにゃふにゃ 7)コーナリング中に左右で位相差のあるギャップを 8)乗り越えた際にお尻が左右にブレる 9)ハンドリングは、ダイレクト感に乏しい 10)ブレーキの踏み込み始めが曖昧 11)踏み込んでからの微妙なコントロールができない 12)かなりのノーズダイブと揺り戻しのスナッチがある 13)ステリング位置がしっくりこない 14)パワー・ウインドウ・スイッチの逆の動作 15)ウィンカーやハザードを点灯させると 16)速度計とレヴカウンタの裏辺りからする 「カッチ,カッチ」というリレーの動作音が気分悪い。 17)カップホルダーがない クルマの印象は、以下の3点で大きく変わってきます。 1)どの程度乗ってきたか 2)どのクルマと比較するか 3)どのような使い方をしているか オトーサン、 前の"老婆"が故障しまくったので、 「嘆きのアルフィスタさんほど、気にはならないなぁ」 これまでさしたる故障も起きないアルファは、大いに気にいっています。 ですから、17項目のうち、気になっているのは、 4)セレスピードのシフトアップはトロい 8)乗り越えた際にお尻が左右にブレる くらいなものでしょうか。 乗り始めた頃に気になっていた 10)ブレーキの踏み込み始めが曖昧 というのは、3ケ月程度で気にならなくなりました。 慣れてきたのでしょう。 また、 13)ステリング位置がしっくりこない というのも、乗りはじめて6ケ月後に、 ふと気づいて、チルトの位置を変え、椅子の傾きを調節したら、 あっけなく解消しました。 それまでは、 「このクルマ、やけに右腕が疲れるなぁ。 ステアリングの握りが太いせいか、 それとも、運転慣れしていないから、 緊張してステアリングを強く握りすぎているせいかなぁ」 なーんて思っていたのです。 オトーサン、 「このクルマ、急坂路に弱いなぁ」 山荘は、標高1300mに位置しているので、 山荘に行くには、ジクザクのカーブを いくつか超えていく必要があります。 そこで、気になってくるのが、 4)セレスピードのシフトアップはトロい という項目です。 「ムーブのほうがいいわね」 奥方も、勝ち誇ったように、おっしゃります。 彼女のムーブは、車体が軽いし、ターボつきなので、 Dレンジにしておくだけで、難なく急坂をぐいぐい登っていくのですが、 それに対して、アルファのセレスピードときたら、 「...トロイなあ」 急坂路にきたら2速にシフトダウンすべきなのですが、 それがワンテンポ遅れるので、モタツキを感じさせられます。 そして、平坦路になると、シフトアップするのですが、 「...これが、また、トロイんだなあ」 ワンテンポ遅れるのです。 オトーサン、 6月後のある日、突然、ヒラメキました。 「そうだ、このクルマ、MTも使えるんだ」 オ−トマのほうが楽チンなので、 マニュアル・トランスミッションのシフトレバーを それまで一度も使っていませんでした。 そこで、シフトレバーを操作しようとして、 またまた思いつきました。 「そうか、ステアリング・スイッチもついていたんだ!」 ハンドルの左右のスポーク部分にボタンがついていて、 右は+(シフトアップ)、左は−(シフトダウン)の記号があります。 「面白そうだ、試しに使ってみようっと」 急坂路のカーブの手前で、シフトダウンし、2速に落としてみました。 「やあ、気持ちよく登るなあ」 平坦路になると、今度は、シフトアップし、3速へ。 「こりゃ、面白いわ」 購入後、半年も経過して、別の面を味わえるなんて最高です。 「やはり、アルファは、運転を楽しむクルマなんだ」 オト−サン、 それに気づかなかったのですから、 まさに、"猫に小判"状態だったのです。 「スタイルは何度見てもウレシイし、 3000回転を超えたあたりからの乾いたエンジン音もステキだし、 故障もしないし、燃費もまあまあだし、このクルマいいわー」 燃費は、リッターあたり、7〜12Kmといったところでしょう。 都心の渋滞にはまると、7km。 高速をスムースに走り続けると、12Km。 まあ、平均して10kmといったところです。 すると、残る問題点は、 8)乗り越えた際にお尻が左右にブレる というあたりになります。 これって、気になりだすと、キリがありません。 というのは、道路の路面の舗装状態が千差万別だからです。 最新の舗装路は、まるで流れるようですが、 大型トラックに長年痛めつけられた道路は、 凹凸や段差も気になります。 それに、補修の良否もあります。 「何で、こんな補修をするんだ」 一般道では、業者名を公表したいくらいヒドイ舗装があります。 それらすべてを勘案しての印象となると、 嘆きのアルフィストさんのいうように、 8)乗り越えた際にお尻が左右にブレる とは言い切れないのではないでしょうか。 オトーサン、 「もういいや、気にしだしたら切りがない」 そんな風に思い出した頃、松本からの帰路、段差の連続を体験しました。 スピードダウンを狙ってのものか、スリップ防止の老婆心からか、 数100mに渡って、凹凸をつけている箇所って、ありますよね。 最近、とみに増えてきました。 思わず、ボヤキます。 「このクルマ、やけに段差を拾うなあ。 それにしても、ケシカランなぁ。 つまらん工事で、税金をムダ使いしよって」 そのとき、 美味しいものを食べてきて、 コキゲンな助手席の奥方が、つぶやきました。 「そろそろ夏の甲子園ねえ」 「何で、急に?」 「だって、いまの三々七拍子みたいだったわ」 奥方には、段差の連続が三々七拍子のように感じられたのでした。 そこから応援団が活躍する甲子園の高校野球を連想したわけ。 オトーサン、 「クルマの世界って、奥が深いなあ」 奥方 「えっ?」 面倒になるので、奥方には解説しませんでしたが、 先にのべたように、クルマの印象は、 1)どの程度乗ってきたか(どのくらい長く生きてきたか) 2)どのクルマと比較するか(人生の良否、誰と比較するか) 3)どのような使い方をしているか(どんな生き方をしているか) によって変わりますが、それに加えて、 いま奥方の言葉で気づきましたが、 4)その日、その時の気分 によっても、大きく変わってくるのではないでしょうか。 オトーサン、 「(クルマの世界って、奥が深いなあ)まるで人生みたいだ」 人生の印象をクルマの印象になぞられえるならば、 1)どのくらい長く生きてきたか 2)(人生の良否)誰と比較するか 3)どのような生き方をしているのか 4)その日、その時の気分 によって左右されることになります。 オトーサン、 ひとり、うなずきます。 「毎秒毎秒、前向きでいこうや。もう後がないんだから...」
オトーサン、 取扱説明書なんか読まないひとです。 その昔、一度だけ、仕事の関係で、 トリセツのチェックをやらされたことがありますが、 「つまらん内容、つまらん文章だなぁ」 大体、サービス部のひとたちは、文才とは無縁。 後でクレームがこないように、用心第一。 注意書きを精一杯書きこんでおこうという姿勢に徹しています。 トリセツで芥川賞を取ろうなんて、 これっぽっちも考えたことなんかないでしょう だから、ユーザーもトリセツを読むのを楽しもう そう考えたことはないにちがいありません。、 読むのは、買ったときくらいでしょう。 セ−ルスマンに一通り説明を受けたものの、 オニューのクルマがうれしくて、上の空。 細かい説明は聞き逃してしまいます。 「えーと、ウィンドウォッシャー液だけど、 どうやったら出てくるんだったのかなぁ? そうか、トリセツがあったっけ。 どこに書いてあるんだろう? 面倒だなぁ」 一時が万事、そんな調子ではないでしょうか。 このアルファロメオのトリセツは、分厚いものです。 「何ページ、あるのかなぁ?」 9章と索引からなっていて、各章毎にページがふってあるので、 全体に何ページあるのか分からなくなっています。 この文章を書くために、電卓片手に勘定してみました。 何と472ページもありました。 オトーサン、 やおら、その「6章 スポーツワゴン」を開きます。 スポーツワゴンだけの説明がなされていて、 28ページしかありません。 さっと目次に目を通します。 ・リアシート ・後席シートベルト ・リアワイパー、リアウィンドウォッシャー ・テールゲート ・ラゲッジルーム ・ラゲッジルームの拡張 ・給油リッドの手動操作 ・ルーフレール(装備車) (以下省略) 「そうか、ここだ!」 オトーサン、 買ったばかりの時に一度だけトリセツを見ようとしました。 「リアシート、どうやって倒すのかなぁ?」 でも、クルマをみると、64分割可倒式になっていて、 シート上のロックレバーを引くだけでした。 「簡単、簡単、トリセツなんか見ないでもいいや」 そんなことで、見ずじまい。 オトーサン、 ある日、本屋でアルファロメオの雑誌を立ち読みしていて、 「インテリジェント・ラゲージルームなるものが、ご自慢」 そういう記述を発見しました。 「何だって?どこが賢いんだ?」 昨今は、インテリジェント・キーなるものが流行しています。 キーのボタンを押すと、自動的にドアが開閉するというのは、 何かと便利なものです。 そこで、ある日、ヒマだったので、 トランク(ラゲッジルームのこと)を開けて、 どんな風になっているか、調べてみました。 「へぇ、この黒いビニール・カバーを引き出すと、荷物を隠せるんだ」 それで、大満足して、しばらくその状態で使っていました。 オトーサン、 また、別のある日、犬を乗せたボルボとすれ違いました。 ボルボに、大型犬はつきもの。 でも、インテリジェント・ラゲージルームという言葉が 頭に残っていたので、疑問を抱きました。 「あのカーゴネット、かっこいいなぁ。 オレのクルマにも、ついているといいんだけれど」 素朴な疑問を抱いて、トノカバーの周辺を調べて見ました。 「おお、ボルボと同じやつだ!」 トノカバーの下のベロを引きだすと、カーゴネットが出現。 感動ものです。 奥方にも好評でした。 「かっこいいわねぇ」 でも、後方視界が遮られるので、トノカバーに逆戻り。 たまに、気が向いたときに使うだけ。 オトーサン、 定年でヒマが出来たので、山荘に長期滞在。 「あちこちだいぶ痛んできたなぁ、もう10年か」 差し当たり気になるのが、屋外ベランダに張てある床板。 歩くと、沈んで、いまにも折れそうです。 「自分で張り替えてみるか」 ホームセンターで、板を買ってきて、防腐剤を塗り、 いままでの板を引きはがし、新しい板を張ればいいだけ。 ところが、コトは、そう簡単ではありません。 同じようなサイズに板を売っていないのです。 ようやくみつけたら、次は、どうやって持ち帰るかです。 スキー板より寸法が長いのです。 ルーフレールがあれば、そこに縛りつければいいのでしょうが、 「あんなもの」と軽蔑しています。 「...弱ったなぁ」 買ってしまった後なので、何とか運ばねばなりません。 とりあえず、リアシートを倒しました。 「これ、何だ?」 リアシート中央に、引き出し式のアームレストがあって、 それを倒すと、フタのようなものが出現しました。 「おお、穴が開くんだ」 後で分かったのですが、これがスキーポケットなるものでした。 板が3本、見事にその穴を貫通しました。 オトーサン、 これで味をしめて、 「もしかしたら、このアルファ、もっと賢いのかも。 トリセツ、読んでみるか」 ようやく、本格的に取扱説明書を開くことになりました。 「えーと、どこに仕舞ったのかなぁ」 グローブ・ボックスにも、フロントのサイド・ポケットにも、 トランクにも置いてありません。 ようやく、フロントシートの助手席側のバックレスト背面部に 隠れているのを発見しました。 オトーサン、 「えっ?フロアマットがリバーシブル?」 一度だけ、殊勝にもフロアマットを掃除したとき、 絨毯部分にカラマツの落葉がくっついて、取り除くのに苦労しました。 「日産のXトレ−ルみたいに、防水仕様だったらいいのに...」 そう思ったことがあります。 ところが、裏返すと、 「おお、防水になっている!」 しかも、中央部分の底が少し低くなっていて、 少しくらいなら、水が溜まっても、床に流れないようになっています。 これなら、濡れたスキー靴を置いても、安心です。 オトーサン、 買ったときに感心したのは、左右のサイド・シェルフボックスでした。 右側に工具箱、左側に雑巾を入れてあります。 でも、トリセツのおかげで新発見。 「こりゃ、スゴイや!」 マルチポジションネットなるものがあるのは知っていました。 細長い小ぶりのネットが2つあって、 サイドを仕切って、小物類を仕舞ってきました。 ところが、トリセツを読むと、 この取り付け器具がもうひとつあって、 サイドだけでなく、前後も仕切れるようになっているのです。 「おお、おお、こんなものもあるんだ」 驚いたのは、トランクのフロアマットを裏返したとき、 スペアタイアの横にもうひとつカーゴネットが仕舞ってあったのです。 おそらく前のオーナーがどこかで、別途買ったものでしょう。 トランクの床に置いた物が動かないように平行に張るのです。 「こりゃ、便利だ」 以後、スーパーで買ったものなど散らばらすにすんで重宝しています。 オトーサン、 「こりゃ、賢い賢い、実に賢いや」 極めつきは、柏への引越しのときに、発見しました。 何と、カートリッジが取り外しできるのです。 晴海トリトンの高層マンションのベランダに展開した 奥方が買い込んだ植木類を運搬する羽目になりました。 引越し業者も植木はキライなようです。 積み重ねて運搬できないので、非効率なのでしょう。 「4トン・トラック1台では足りなくなりますよ」 奥方は、そう警告されて、 「ねえ、運んでくれる?」 2度ほど、植木類だけのために、柏と晴海を往復しました。 最後に残ったのが、3つの大きな植木鉢。 直径50cm、高さ1m50cmくらいあります。 「ムリでしょうねえ。いくら何でも運ぶのは」 「何とかなるだろう。やってみよう」 オトーサン、 駐車場まで、ウンウン言いながら運んでいって、 リアシートを倒して、 それから、トリセツを取り出しました。 「トリセツを最初に見ておくべきだったか」 後悔先に立たず。 でも、限界状況に身を置くと、分かることもあります。 「おお!」 ・カートリッジの取り外し ・カートリッジの取り付け よく読むと、そういう項目があるではありませんか。 カートリッジといえば、もっと小さなものを思い浮かべていたので、 読み過ごしていました。 でも、トノカバーとラゲッジネットを引っ張り出せる 大きなアタッチメントをカートリッジと呼んでいるようです。 「おお、外れる!」 床からワゴンの天井まで広がる大空間が突如出現しました。 「こうして横に置こうや、そうすれば3鉢並べられる」 「まあ、運べるのねえ」 大きなゴミ袋で植木鉢を覆い、土がこぼれないようにしました。 これは、奥方のアイディアです。 オトーサン、 「電源ソケットもあった!」 左側のサイドシェルフポックスの横に小さな丸い黒いカバーがありました。 それを開くと、15A(180ワット、12V)の電源ソケットが出現。 「おお、おお、パソコンやれるじゃん」 でも、残念ながら、そのままではダメで、 純正アクセサリーを購入する必要があるようです。 「まあ、いいか」 いずれにせよ、みなさまも愛車のトリセツを もう一度読みかえしてみてください。 意外な新発見があるかも...。 一度も使わないで下取りに出すのは、勿体ないですよ。
オトーサン、 三菱のリコール隠しに呆れています。 「よくまあ、次から次へと」 2000年、クレーム隠しが発覚。 2002年、大型車のクラッチ系統の欠陥が原因で運転手が死亡。 旧運輸省に、またも虚偽報告でリコール逃れをする悪どさ。 業務上過失致死容疑で、河添克彦元社長(67)ら元役員6人が逮捕。 「ほかのメーカーもやってるんじゃないの? トヨタとかホンダとか日産とか、マツダとか...」 三菱は、たまたま国土交通省の逆鱗に触れたからで、 ある意味では、被害者なのかも。 オトーサン、 ある日、ネットを見ていて、 「えっ、アルファ・ロメオも?お前もか!」 リコール隠しは国産車だけと思いこんでいたので、ギクッ。 記事全文は、以下のようなものでした。 リコールの届出について フィアットオートジャパン株式会社から、 平成16年7月15日国土交通大臣に対して、 下記車両についてリコールの届出がありましたので、お知らせします。 記 ・車名 アルファロメオ ・通称名 アルファ 147 3.2 GTA, アルファ 156 2.5 V6, アルファ 156 2.5 V6 スポーツ・ワゴン, アルファ 156 3.2 GTA, アルファ 156 スポーツ・ワゴン GTA SELESPEED 5車種 ・型式 GH−937AXL GH−932AC, GH−932BW, GH−932AXB, GH−932BXB 5型式 ・製作期間 平成15年8月7日〜平成16年4月27日 ・対象台数 898台 ・不具合の部位 燃料装置 ・不具合の状況 燃料パイプとデリバリーパイプを接続している コネクターの組付けが不適切なものがあり、 また、当該コネクターに抜け防止のクリップが取付けられていないため、 エンジンの振動等により、燃料パイプが抜けるものがある。 そのため、そのまま使用を続けると、 燃料パイプから燃料が漏れ、燃料が供給されなくなり、 エンストして再始動できなくなるおそれがある。 ・改善の内容 全車両、コネクターの組付け部を点検し、コネクターを確実に組付ける。 また、本来取付けられていなければならない抜け防止のクリップを取付ける。 ・クレーム件数 国内: 8件 ・事故件数 国内: 0件 ・発見の動機 国内の市場情報による。 オトーサン、 「オレのクルマ、ダイジョウブかなあ?」 早速、車検証を取りだして、チェックします。 「えーと、どこに収納したっけ?」 順当に、グローブ・ボックスに置いてありました。 「型式は、どこに書いてある? ああ、ここだ。GF−932B2。 ちがう!ああ、よかった」 冷静になって考えてみれば、車検証まで持ち出すことはなかったのです。 ・製作期間 平成15年8月7日〜平成16年4月27日 とありますから、最近発売されたクルマ。 オトーサンのクルマは、平成13年11月に登録されていますから、 はるか昔のこと、無関係もいいところです。 でも、人間、いったん、疑心暗鬼になると、 「昔の不具合は、頬かむりしたのでは?」 「オレのクルマの不具合も、ほんとうは、リコールの対象では?」 「パワー・ステアリング・オイルがあんなに減るなんておかしいよなぁ」 そんな風に、次から次へと頭が回っていきます。 オトーサン、 「このクルマ、出来がいいなあ。故障しない」 そう誇ってきましたが、夏になって、始動すると異音がしました。 いったん、収まりましたが、 カーブでハンドルを切ると、急坂でガリガリという音。 そもそも、最初に出会ったグートの展示場でも、ガリガリ。 パワーステ・オイル不足のせいとすぐに思いあたりました。 最寄りのガソリン・スタンドに行って、補充してもらいました。 気味がわるいので、石山自動車へ。 ちょっと調べてもらいましたが、原因不明。 「何日か預けてくださいよ」 「でも、このところ、毎日使っているんだ...」 そうやって、精密検査を延期しました。 車検の期限が11月7日ですので、 その時一緒に、検査修理してもらうことにしたのですが、 その後は、もうオイル漏れはまったくありませんでした。 オトーサン、 「不思議だなぁ。なんで、こうなの?」 聞くところによると、原因不明の故障が一番厄介。 いつ爆発するか分からない火山のようなものだそうです。
オトーサン、 千葉県の柏に引越しました。 娘が叫びます。 「ちば?千葉かよ。かっこ悪い!」 そうなのです。 東京人は、条件反射的に、そう思うのです。 東京ディスニーランドの所在地、ご存知ですか? 千葉県浦安市。 東京国際空港の所在地、ご存知ですか? 千葉県成田市。 かくのごとく、千葉県なのに、千葉とはいわずに、 東京と言いたがるのです。 オトーサン、 「あのな、柏は、東の吉祥寺といわれてるんだぜ」 「よく言うよ」 娘に一笑されます。 柏駅に行ってごらんなさい。 高島屋はあるし、そごうも、丸井も、 イトーヨーカ堂も、ダイエーも、長崎屋だってあるのです。、 「何だって、こんなところに家建てちゃったんだよ」 「それはなぁ」 話せば、長くなります。 そのうち、お話しすることにして、 今回のテーマは、クルマのナンバープレート。 いまは、品川ナンバー。 泣く子も黙る憧れのナンバーです。 都心を走っていて、練馬、多摩、横浜、湘南はまだしも、 埼玉や習志野ナンバーなんてみたら、「オエーッ」 休日になると出現し、野蛮な走りで顰蹙を買っているのです。 娘は、通勤時間が一挙に増えたので、御機嫌ナナメ。 「こんな不便なところやめて、早く都心に戻ろうよ」 「だって、郊外はいいよ。 緑は残っているし、静かだし、物価も安いし、それに...」 口には出しませんでしたが、 大地震が起きたら、東京は、皆殺し状態になるでしょう。 なだめすかして、娘に同居してもらっている関係で、 最寄の南柏の駅まで、毎朝クルマで送っています。 バスだと15分以上。 クルマなら待ち時間なしで10分以下、それに座っていけます。 娘、前を走っているクルマのお尻をみて、 「ねえ、もしかしたら、このあたり野田ナンバー?」 「そうらしいね」 「アルファ・ロメオに野田ナンバーはないでしょう」 「野田は、キッコ−マンの本社工場があるんだぜ」 「それがどうだっていうのよ。イメージダウンもいいところよ」 「...」 「ナンバーの数字が選べるなら、地名も選べるといいのに。 「いっそのこと、ミラノとか、ローマとか...」 お金を少し余計に払ってもいいので、そうしてほしいものです。 財源難の国も儲かるのですから、国交省の石原大臣、考えてみてください。 オトーサン、 引越し後、1週間後、柏警察署へ。 免許証の住所変更をしました。 顔写真1枚がいります。 ついでに、係員に聞きます。 「ナンバー変更って、しなければなりませんか?」 「そりゃ、そうですよ」 「でも、車庫証明の書類を書いて、1週間後に調べにきてもらって、 それから野田の陸運事務所まで行かなきゃならないのでしょ?」 「...」 「面倒な手続きをやって、お金払って、品川ナンバーを野田にするなんてなぁ」 「...」 「車検が10月なのだけど、それまで放っておくと何か問題ある? 」 「...」 お返事がないところを見ると、お咎めはなさそうです。 オトーサン、 日課となっている庭の手入れと落ち葉のそうじを終え、 娘を駅に送り届け終えてから、自宅周辺をクルマ散歩。 「おお、TSUTATAがある。 デニーズも、ガストも、ユニクロも、石丸電気まである!」 ホームセンターも、スーパーも、スーパー銭湯も、回転寿司も、 夢庵なるファミレスも、スイミング・クラブも、歩いて数分以内。 コンビニ、郵便局、朝日新聞販売店、電気屋は、お隣り。 増尾駅の東急ストアはつぶれて、大きな葬祭センターに変わっています。 「やあ、便利になったもんだ」 1978年、東急不動産の分譲地に家を建てた頃は、 ほんとうに何もありませんでした。 柏から1駅、東武線・増尾の駅前に東急ストアがあるだけ。 15分くらい歩いて、買い物に行ったもの。 バスも1時間に1本あるかどうか。 でも、自然が豊かで、小学生だった子供たち3人は、のびのびと育ちました。 それが、30年近くたつと、典型的な郊外住宅地へ変貌。 大規模マンションだって、出来ているのです。 オトーサン、 「エアコン買わなければ...こう暑くては」 流石に、9月に入ると、朝晩は涼しくなりましたが、 日中は、蒸し暑くって部屋で昼寝もできません。 石丸電気へ行ってみました。 10畳用となると、10万円は覚悟しなければならないようです。 それに、プラスして取付工事費。 価格コムを見たら、「今年のシャープはいい」とあったので、 AYR28SCに狙いを定めました。 9万9800円、ポイント10%還元ですが、 取付工事費1万6000円が、別途かかります。 「もっと安くならんかなあ」 店員もあまり熱心でないので、 業界ナンバーワンのヤマダ電機をあたることにしました。 ところが、国道16号、呼塚交差点付近は、名だたる交通難所。 せっかく付近まできたのに、ナビのデータが古いのか見あたりません。 柏には、もう1軒あると表示されていたので、 「変だなあ」と思いながら、ナビの言うとおり走っていきました。 自宅近くの山田電気に到着。 「あーあ、ヤマダちがいだった」 オトーサン、 翌日、気を取り直して再挑戦。 今度は、「安さ世界一に挑戦!」のコジマを目ざしました。 渋滞のなか、柏店を目指したのですが、またもや、ナビ不調。 あきらめて、国道6号線沿いに松戸のコジマへ。 お目当てのAYR28SCは、11万8000円。 ただし、取付工事費は、無料。10%の還元なし。 暗算では、「石丸より高いや」 係員に石丸電気のお値段を言って、 それより安くしてくれるなら、すぐに、この場で買うと言いましたが、 「ウチは、ポイント還元でなく、長期保証で勝負している」 というわけの分からぬ主張を繰り返すのみ。 結局、まったく値引きしてくれませんでした。 「馬鹿にしやがって、何が、安さ世界一だ!」 猛暑で、今年の店員は高飛車のようです。 ムシャクシャしてきました。 オトーサン、 帰る途中、源泉かけ流しの温泉を発見。 その名も、長寿の湯。 巨大マンションを売リ切るために、温泉を掘ったようです。 露天風呂に寝っ転がって、空をみていたら、冷静になってきました。 「エアコンを買うのはやめようっと...」 また、野田ナンバーへの切り替えもやるまいと決心しました。 「誰が、野田くんだりまで行くもんか」 お金を払って面倒な手続きをするうえに、 交通難所を通過するなど、イヤな思いをしなければなりません。 せっかくの長寿の湯の効能が消えてしまいます。
オトーサン、 引越して、付近を探検しています。 その一環で国道6号線(水戸街道)を流しています。 「何か、いい店ないかなぁ?」 柏駅のそばに、大阪からきた100円寿司を発見。 南柏駅のそばに、地元スーパーkEIHOKUの新店が出来たと 増尾駅前の食堂のおばさんに教わって、行ってみました。 「へぇ、柏にもオシャレな店があるのねぇ。 いいお値段してるけど」 奥方のコメントです。 東京でいえば、青山の紀伊国屋、目黒のシェルガーデン、 伊勢丹クイーンズなどにあたる高級スーパーです。 「あたしの同級生なのよ」とおばさん。 「えっ?」 「働き者でねぇ。割高にみえるけど、新鮮なのが一番よ」 何でも、2代目の社長が研究熱心だそうです。 経済産業省が支援している老朽化し、債務超過のダイエーなど、 足元にも及ばない食品スーパーです。 「机に座っていないで、視察にきたら考えも変わるかもね」 薬品のマツモトキヨシが多く目につきます。 この辺りでは、食品スーパーやホームセンターもあるのです。 マツモトキヨシという店名、いまでは全国区になりましたが、 その由来は、我孫子生まれで、北小金に第1号店を開いた 松本清さんのお名前からきているのです。 オトーサン、 「おお!アルファロメオのお店がある!」 東京でも、ディーラーが近くに見つからなかったというのに、 引っ越して、早々に出会えたのは、ラッキーです。 「ちょっと狭いなぁ。でも、入ろうっと」 小粋なつなぎをきた初老のメカニックが近寄ってきます。 「あの、柏に引越してきたんだけど... ここ、松戸でしょ? 柏にアルファロメオのディーラー、ありますか?」 「いや」 口数の少ないひとです。 でも、メカニックは、こういうひとのほうが、信頼できるのです。 「実は、11月が車検なんだけど、 東京の石山自動車が親切なので、そこで受けるつもりだったんだけど、 遠いし、困っていたんだ」 「ああ、石山自動車ね」 「知っているの?」 「はい」 「そんなに有名なの?」 「...」 「アルファ、リコールあったでしょう。 このクルマ、すこしおかしいので、見てもらえますか? リコ−ル対象かと思ったけど、年式が違っていて。 あれは、コネクターの組み付け不良でしょ。 このクルマ、パワステ・オイルが減るんですよ」 「それじゃ、ちょっと見てみましょう」 「お願いします」 メカニックは、こういう機敏さが何より大事です。 オトーサン、 パワステ・オイルが減っていなかったので、一安心。 しかも、見れもらったのに無料だったので気分をよくします。 「お宅に車検、頼もうかなぁ。石山自動車には悪いけど」 「ウチに、石山から来ているひとがいますよ」 「そうなの? 世の中、狭いねぇ」 若いひとが出てきて、名刺をくれました。 ALFA ROMEO MATSUDO フィアット オート ジャパン正規ディーラー アルファロメオ松戸 リンカーンモータース株式会社 店長 平出洋一 「へぇ、石山さんにいたの? 何で、また、ここへ?」 余計なお世話ですが、持ち前の好奇心を押えきれませんでした。 「輸入車をやりたくて」 「そう、分かるなぁ。その気持ち」 トヨタで1年後輩だった鈴木くんが、 一時期、日本フォードの社長をやっていましたっけ。 トヨタからは、かなりのひとが輸入車業界に入っています。 オトーサン、 すっかり気を許して、 「それじゃ、石山さんには、あなたの方から断ってもらうとして、 車検、お願いしますよ」 「じゃ、車検証、コピーさせてください」 名刺をいただいたので、お名前がわかりましたが、 サービス部の相川充正さんが、事務所に消えていきます。 その間、ヒマなので、展示車をみます。 アルファ147、プント、そしてパンダ。 「そうか、これが新しいパンダか」 地味な外観ですが、走りがいいので、 2003年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得。 「どんな走りをするのかなぁ?」 買う気もないのに、試乗だけとは、厚かましいでしょう。、
オトーサン、 帰宅して、早速、ネットでパンダをチェック。 「ふむふむ、やはり走りがいいんだ」 枕元に置いてある徳大寺有恒さんの本を手にします。 何度も書いていますが、 「この間違いだらけのクルマ選び」、 オトーサンにとっては、バイブルのようなもの。 「パンダは載ってないなあ」 乗りたいクルマとして、イプシロンとメガーヌをあげています。 「ランチャ・イプシロン、フィアットか」 パリでみかけて写真をとりましたが、外観デザインが地味でした。 「内装はオシャレでイタリア貴族の日常の足なのか」 でも、日本の代理店は、ガレージ伊太利屋。 アフターサービスが心配です。 オトーサン、 次に、ルノー・メガーヌをネットでチェック。 「そうか、走りは、ドイツ車みたいに硬くなったのか。 でも、高速ではやわらかな乗り心地になる。 ふむふむ、フランス車の味が保たれているのか。いいぞ」 でも、屋根をスパっと切り落とし、 その下に丸いお尻があるデザインがイマイチ。 それでも、死ぬまでに一度フランス車に乗ってみたい気もします。 「気になるお値段は?231−392万円か。 アルファロメオを売れば、買えない値段じゃないなあ」 でも、アルファを買ってから、まだ9ケ月未満。 「アルファは、車検を受けるとして、 日常の足として、もう1台あればいいんだけれど...」 オトーサンが、アルファで、山荘に行ってしまうと、 送迎の足がなくなる娘が、気の毒です。 オトーサン、 ふっと思い立って、巻尺を持って、車庫へ。 「2台置けるかなぁ?」 8m90cmありました。 その昔、大きめに作っておいたのがよかったのです。
「えーと、8900mm-4400mm=4500mmか」 計算上は、いまのアルファロメオが2台置けますが、 ぶつからないように500mm余裕をみて、4000mm。 全長4mまでのクルマが車庫に置ける限度でしょう。 徳大寺さんの本と首っぴきで、気になるクルマの全長を調べます。 (国産車) ワゴンR/ムーブ 3395mm コペン 3395 パッソ/ブーン 3595 ヴィッツ 3640 マーチ 3695 キューブ 3730 フィット 3890 マツダ・ロードスター 3955 (輸入車) VWルポ 3525 フィアット・パンダ 3535 ミニクーパー 3625 ランチャ・イプシロン 3780 フィアット・プント 3835 プジョー206 4030 VWニュービートル 4090 オトーサン、 家計を預る奥方や デザインで一家言ありそうな娘の意向を推測したりして、 その夜は、なかなかな寝つけなくなりました。 「うーん、どれがいいか。悩ましいところだなぁ」 購入希望車は、 1位 ミニクーパー 2位 パンダ 3位 コペン 「それから、次期ヴィッツも捨て難いなあ」 来年早々満を持して登場してくるハズです。 でも、問題は、オ、カ、ネ。 しがない年金生活者の身分で、 クルマを3台持つなんて、いかがなものでしょう。 でも、夢を捨てないで、願い続けると、 いつか必ず実現するというではありませんか。
オトーサン、 例によって、都心に通う娘を送ります。 今朝は、都心に用ができた奥方も一緒。 2人を送ってしまうと、ヒマ。 「さて、今日は、どうするかなぁ。 ジョナサンで、原稿を書くか、それとも...」 定年になると、ヒマかと思っていましたが、 柏への引越し騒ぎで、目が回るほどの忙しさ。 それでも、20日も経つと、引越し騒ぎも一段落。 少しノンビリできるようになりました。 現役のときを振りかえれば、 「今日は、どうするか」なんて、ゼイタクです。 いつも仕事に追われていましたっけ。 オトーサン、 帰宅して、車庫を見ます。 「この笹、邪魔だなぁ」 車庫のそばの花壇、笹の藪になっていました。 奥方が、イヤがって、昨日、だいぶ刈り取ったのですが、 いずれ、また藪に戻るのは必定。 「根っ子がすごいのよ。 底の石まで突き破って生えてくるのよ」 奥方が、目の敵にしています。 「女房孝行するか、ヒマつぶしに」 荒れ放題だった庭の手入れが終わったので、 笹薮を退治して、かつての花壇を復元したくなりました。 オトーサン、 「もう12時か」 3時間近くも、笹の根っこと 炎天下で格闘したことになります。 ゴミ袋3杯分もある毛細官のような根と ひと抱えもある太い根っこの束が出現し、 根っこをとるために掘り出した土でピラミッドができました。 「20年分の根っこか。暑い、暑い。たまらん」 シャツもパンツも汗びっしょり。 シャワーを浴びようかと思いましたが、 喉の渇きも相当なので、お隣りの健美の湯に行くことに。 「ひと風呂浴びて、ビールでも飲もう」 昼間から、温泉気分とは、ちょっとゼイタクかも。 これまで、そんなルーズなことはするまいと誓ってきたのですが、 今日だけは例外にしましょう。 「...こんなに働いたんだからな」 オトーサン、 入浴後、空いている大広間で、まず、ビール。 「ウメェ...」 昼食を適当にとって、畳にゴロン。 適度に冷房がきいていて、気持ちのいいこと。 眠りほうけてしまいそうになります。 「家で昼寝しようや」 鬼の居ぬ間の洗濯ではないですが、 コウルサイ奥方がいないので、冷房つけ放題も可能。 「ガンガンつけようっと」 オトーサン、 外に出ると、真昼の熱気が戻ってきます。 酔いが回ってきたせいか、気分が高揚しています。 「そうだ、ホンダに寄ってみるか」 ホンダのプリモ店が、健美の湯の目の前です。 頭の隅に、8900mm問題が引っかかっていました。 「軽自動車って、どのくらいの大きさかな?」 机上計算で、置けるの置けないを判断するのは、危ないでしょう。 デーラーですから、いろんなクルマがあります。 現物の確認作業が存分にできるハズ。 前回調べた軽自動車の全長は、 ・ワゴンR/ムーブ 3395mm 「軽自動車、ワゴンRとムーブ以外の クルマを省いたけど、まあいいか」 ホンダ・ライフ、スバル・R2、三菱ekワゴン、 そして日産モコなど多種多様ですが、 「まあ、どれも似たり寄ったり、みんな貧乏くさいや」 徳大寺さんの本に影響されて、そう思っていたのですが、 きちんと見もしないで言い切るのも、アンフェアでしょう。 「ライフのカタログ、置いていないかな?」 カタログを探しでウロウロしましたが、 オデッセイやフィット、新車エデイオンは並んでいるのに、 ライフのカタログはみつかりません。 ショールームには、商談中の若いセールスマンが1人いるだけ。 振り向きもしないし、声かけもなし。 見込み客が、5分もウロウロしているというのに。 「こんな調子だから、ホンダの国内販売は、ダメなんだ」 元自動車メーカー勤務の悪いクセが出てきます。 オトーサン、 「...帰るか」 憮然として、帰りかけると、 店の横にレモン・イエローのライフが置いてありました。 「へぇ、この把手、しゃれているじゃん」 後で分かったのですが、 マルチアングル・アウター・ドアハンドルというそうです。 丸い形をしていて、どんな角度でもドアを開けられます。 「こんなドアハンドル、はじめてだ」 中をのぞくと、白い丸型メーターがオシャレ。 そこへ、中年のメカニックが登場。 クルマをいたづらしていると思われそうなので、 すばやく一言。 「ライフのカタログがほしいんだけど」 「はい」 きびきびと探してくれますが、見当たりません。 「担当のセールスを呼んでまいります」 ようやく、セールスマンが現れました。 「ご用は、何でしょうか?」 じろっとTシャツ、サンダル履きの客を値踏みします。 オトーサン、 「近所に引っ越してきたんだ。 アルファロメオに乗っているんだけれど、 女房が足がないと不便だというものだから、 ライフを見にきたんだ」 「そうですか!」 態度が急変しました。 アルファロメオの名前を出すと、 「この葵の御紋が見えぬか?」効果があるのでしょうか。 あるいは、近所に引っ越してきたというのが効いたのでしょうか。 それとも、奥方が使うというので、脈ありとみたのでしょうか。 「カタログがほしいんだけど、それから価格表も」 セールスマン、いったん奥に引っ込んで、 カタログをもってきます。 「あの外に置いてあったライフ、いくらするの?」 「...ライフは、いま販売が絶好調でして。 軽自動車ナンバーワンをめざしているんですよ」 「ワゴンRやムーブに勝とうというの? そりゃ、ムリじゃない。 で、いくら値引きするの? 精一杯値引いて?」 あまりに単刀直入なので、驚いた様子です。 セールスマン、また奥に引っこんで、 しばらくして注文書をもって戻ってきました。 「あのライフは、タイプFですね。 本体価格で105万円になります」 「消費税込みだと、110万2500円か。 結構いいお値段だね。 車庫申請は、自分でやるから費用は省いてね」 「結構ですよ」 「値引きはいくらなの?」 「オプション、どうなさいますか? スマートカードキーやディスチャージド・ヘッドライトもありますが」 「そんなのいらないよ、足だから。フロアマットもいらないよ。 それとも、いろいろつけると、値引き幅が大きくなるの?」 「いえ、そんなことはありません」 オトーサン、 「おれ、長いこと、自動車メーカーにいたんだ。 お互い、下手な駆け引きはやめようよ。ズバリいくら引くの?」 セールスマン、ふたたび奥に引っこみます。 戻ってきましたが、注文書にはタイプFの価格を記入しただけ。 肝心の値引きは、未記入。 「いくらなの?書いてないじゃないの?」 「いま、計算しますから。 えーと、諸費用すべてコミで、110万円ではいかがですか?」 ホ体価格の105万円に税金・保険料など諸費用の5万円強を加えて、 総額120万円強。 「値引き10万円か。まあ、いいところか。 あとひとつ、ムリなお願いがあるんだけれど」 「はい、何でしょうか?」 セールスマン、 不安そうな顔色になります。 「車庫に2台入るか、現車確認をしたいんだけど..」 「いいですよ」 「いますぐでも、いいですか?」 「構いませんとも」 セールスマン、元気を回復してまいりました。 オトーサン、 「早かったね」 健美の湯からアルファロメオを運転して戻ってくると、 もう黄色いライフが家の横にとまっています。 「オーライ、オーライ」 案内してもらって、 アルファロメオを車庫の奥にピッタリつけました。 「こりゃ、クルマ止めがいるなあ」 セールスマン、 要領よく、ライフをバックで車庫に入れます。 降りてきて、 「門塀は閉めなくてもいいのですね」 「ああ」 1台収容を前提に、その昔つけた門塀です。 「それならまったく問題ないですよ」 喜色満面になっています。 オトーサン、 ところが、がっかりしています。 内心つぶやきます。 「置けるのは、軽自動車が限度かぁ」 軽自動車の全長は、法律で決まっていて、すべて3395mm。 車庫の長さが、8900mmあるといっても、 軽自動車を置くと、いっぱいっぱいの感じです。 これ以上、大きなクルマなら、 車間距離が少なくて、奥方や娘がアルアァにぶつけかねません。 オトーサン、 「それに...思ったより背が高いなぁ」 ライフを前に置くと、後ろにあるアルファロメオが、 まったく目立たなくなることに気づきました。 「こりゃ問題だ。 何で、ライフは、こんなに背が高いの? ライフはやめて、ダイハツのコペンにするか。 コペンなら、アルファロメオも引き立つし...」 (参考)全高:アルファロメオ 1415mm ライフ 1580mm コペン 1245mm そんな謀反が起きているとは露知らず、 すっかり、ご機嫌になったセールスマンが 提案してきます。 「奥さんがいらしたら、呼んでいただけますか?」 オトーサン、 彼の顔をじっとみつめます。 「悪いねぇ...今日は、生憎、出かけてるんだ。 いずれ、また連絡するよ」 これ以上、奥方に内緒で商談を勝手に進めても問題ですし、 他社と比較しないと、後で後悔しかねません。 軽といえども、100万円以上の買い物。 じっくりネットで検討しましょう。 そんなことで、 ホンダのセールスマンには、 ご苦労なことでしたが、すぐお引き取りいらだきました。 「終わったなぁ。もう1杯飲むか」 悩ましい問題だった車庫の長さ8900mmの 現車確認作業は、無事終了したのです。
オトーサン、 徳大寺さんの本を取りだして読んでいます。 「そうそう、徳さん、大の軽ギライだった」 大体、国が悪いんだと、徳大寺さんは力説しています。 いまだに、全長3395mm、排気量660ccなる規格があって、 軽だけに特典を与えています。 小型 軽 取得税 5% 3% 重量税(年間) 1万9500円 4400円。 自賠責保険(3年間)3万7650円 2万7050円。 仮に、100万円のクルマを買ったとして、 3年間の差額は、約12万円。 だから庶民は、軽を買う。 規格がきまっているから、どの軽も似たりよったり。 しかも、お値段の高いこと。 下手をすると、リッターカーよりも高いくらい。 燃費がいいかというと、小排気量でムリして走らせるから、 リッターカーよりも悪い。 おまけに、センスの悪い黄色いナンバープレート。 「抜いてくれ、割り込んでくれ」といわんばかり。 オトーサン、 「でも、最近の軽自動車は、よくなったなあ」 排気量も550ccから650ccにアップしましたし、 安全性も向上したので、 それまでの高速道路での速度制限も撤廃されました。 そして、苦し紛れに、法の抜け穴を探して発明した 背高クルマが馬鹿売れ。 その代表格のワゴンRやムーブは、 時々、カローラやフィットより売れる月があります。 オトーサン、 1997年に買った ダイハツのムーブ(ターボつき)に乗っていますが、 いまだに故障はしないし、 アルファロメオよりも坂道を軽快に上りますし、 小回りが利くので、ゲタとしては最高です。 オトーサン、 ひさしぶりにみる軽自動車のカタログをみましたが、 ライフのをみて、感心しきり。 「ずいぶん、よくなったもんだ」 外観もまあまあですし、 インテリア・デザインのセンスのいいこと。 「2003年のGOOD DESIGN AWARDを受賞しているのか」 カラーもいいセンスで豊富です。 我慢クルマだった商用車系の色が消えています。 ウォークスルーもできるし、 前席のチルトアップで乗り降りもしやすそうです。 「しかも、瞬間燃費計まであるんだ!」 オトーサン、 ネットで、試乗記も読みまくりました。 Dタイプ ターボの記事がその代表例。 http://motor.days.co.jp/ncarimp/lifedtypeturbo20031115/ 「走り出した瞬間、 軽自動車に乗っていることを忘れるほど、 走りの質感は高い。 しっかりしたボディ、重厚な足まわり、自然なパワー感のエンジン…」 「静粛性は高く、1.5リッタークラスのようだ」 「高速道路でも余裕だ。100km/h巡航は約3500回転ほど。 どっしりした乗り味と静かなエンジンもあって、 まったくもってリラックスして運転できる」 「フィットを越えちゃったほどのクラスレスな出来の良さ。 軽自動車としては完璧、もはや小型車と言っても問題なし」 「そうか、そんなによくなったのか」 いまのムーブは、気に入っているのですが、いかにも、 ペラペラに鉄板に乗っているようなカンジが不満です。 オトーサン、 「他社の新しい軽はどうかな?」 ガリバーのサイトに http://221616.com/controller/report/car 「ライバル対決」というコーナーがあって、 軽自動車の価格、値引額(万円)、燃費(km/L)がでていました。 三菱のekワゴン、スバル・プレオ、日産モコ、 マツダAZワゴンも載っていましたが、煩雑になるので、 売れ筋上位の3車を比較してみましょう。 価格 値引額 ユーザー平均燃費 ワゴンR 69.8-156.3 4.8-9.6 12.0 ムーブ 79.8-199.9 4.0-10.8 12.1 ライフ 85.8-140.0 4.8-13.2 12.1 フアン投票もやっていて、どっちを選らぶかというもの。 「ふーん、ライフのほうが、人気あるんだ」 ワゴンR 1031票< ライフ 1434 ムーブ 1350 < ライフ 1420 ムーブ 1320 < ワゴンR 1350 さらに採点簿も出ていました。 ワゴンR ムーブ ライフ スタイル、 7.7 7.6 8.2 インテリア 6.7 7.1 6.8 走行性能 6.8 6.6 7.0 使い勝手 8.0 8.2 8.3 コストパフォーマンス 7.3 7.6 7.7 総合評価 7.3 7.4 7.6 オトーサン、 新発見をしました。 「軽を買うなら、ワゴンRやムーブでなくて、ライフ。 ライフの時代になっているんだ。ライフという選択があるんだ」
オトーサン、 「ほんとに、Fタイプでよかったのかなぁ」 後悔しないグレードは、上から2番目というのが常識。 最上級のグレードは、ぼったくり価格になっていますし、 かといって、廉価なグレードを選ぶと、満足感が得られません。 買うときは、先のことまで考えが及ばないものですが、 2年後、3年後下取りに出すときを考えて、 売れ筋グレードを選んでおかないと、必ず後悔します。 オトーサン、 ライフには、上からDタイプ、Fタイプ、Cタイプと 3つのクレードがあるので、 真ん中のFタイプを選んだのは正解だと思います。 でも、それぞれのタイプにターボが設定されています。 すでにFタイプで見積書をもらっているものの、 迷いが生じてきました。 山荘で使っているムーブは、ターボ車。 おかげで、坂道もスイスイ。 高速道路も、まあまあ。、 ターボ車でなかったら、いろいろな面で非力さを感じて、 後悔することになったでしょう。 オトーサン、 「へぇ、価格comには、クルマも載っているのか」 パソコンやエアコン、iPODなどで価格をチェックしてきました。 愛用のポータブルDVDプレイヤーを買ったときなどは、 価格comの値段を言ったおかげで、 名古屋のエイデンで大幅値引きをゲットしました。 オトーサン、 掲示板をみて、 「初心者が多いみたいだな」 値引き額がいくらだったとか、いくらまで値引いてくれるだろうか そういった書き込みが大半です。 また、秋にマイナーチェンジがあるといった耳寄りのニュースとか、 あとは、iPODがクルマで使えるかどうかといった話題。 肝心のターボの是非についての書き込みがみつかりません。 「おお、あった!このひと、いいこと言ってる」 http://kakaku.com/bbs/Main.asp?ItemCD=701002&MakerCD=7002&Product=%83%89%83C%83t&CategoryCD=7010 いしがめ2004さん 2004年8月29日 ライフのターボはそんなに高くないし、 他社の軽ターボより出来が良いと思います。 Cタイプからなら112万円から選べますし、 諸経費込み込みでも値引きしだいでは110万円を切るぐらいにはなります。 もし、FやDのNAをお考えなら グレードを1つ落としてターボにした方が私は良いと思います。 900kgの車体を660ccのNAで走らすのはかなり厳しいです。 確かに、街乗りするだけなら良いのですが、 坂道やエアコンONで大人4人が乗ったら結構つらいと思います。 悩んでおられるのなら、ターボにした方が良いと思います。 私も試乗車がNAだったのでこれでのいいかと一旦は思いましたが、 今はターボを買って大正解だったと思います。 はっきり言って、乗っていて楽しいです。 加速が良く、エンジン音も不快ではなく、 アクセルを踏み込んだ分加速がのり、 遊園地のゴーカードのように楽しいドライブができます。 (そんなに飛ばしませんが・・・) 私はべつに走り屋でもなんでもありませんが、ターボをお奨めします。 私が見た限りではターボにして後悔している方のコメントは 見たことがありません。 逆にNAにして後悔されている方は結構おられるようです。 私は、この価格差でライフターボが買えたのはラッキーだと思っております。 オトーサン、 「やっぱり、ターボにしよう」 熱くなると、高いほうに傾きがちですが、致しかたありません。 その足で、プリモ店に行きました。 先日のセールスマンは、商談中でしたが、 しばらくすると、相手をしてくれました。 「ターボにしたいんだけど、いくらになるのかなあ」 「そうですね、ターボのほうが値引きできますよ」 「そりゃいいね」 Fタイプのターボ車は、定価121万8000円、 ノンターボ車は、110万2500円で、11万5500円高。 「で、いくらにしてくれる?」 前回、諸費用すべてコミで、110万円。 値引額は、10万円でした。 「いまは、9月の決算期前でしょう。 思い切った値引きしてよ」 「そうですね...」 オトーサン、 すぐに結論が出ると期待します。 でも、セールスマン、 電卓でも分かるハズなのに、 やおら商談机のパソコンに向かいます。 おまけに、パスワードを間違ったりして手間どっています。 「あのぉ...ご希望の色ですが、もう在庫がありません」 「えっ、抹茶色がないの?」 「ええ」 「じゃ、このカラメルクレムという色は?」 「それもありません。 10月にマイナーチェンジがあるので、 それを控えて、生産打ち切りなのです」 「じゃ、どの色ならあるの?」 「シルバーとアイスブルーならあります」 シルバーは、山荘に置いてあるムーブと同色、 汚れが目立たないのがいいのですが、もう飽きました。 「アイスブルーって、どんな色なの? カタログでは分からないから。実車ない?」 「いや、実車はありません」 「じゃ、色見本でも」 幸い、ショウル−ムの隅に模型がありました。 「フーン、こんな色なんだ」 その昔、プジョー206の澄んだブルーに憧れたことがあります。 「まだ、あのバックと靴あるかな?」 奥方が、香港で、そのブルーにあわせようと 同色のバックと靴を特注したのです。 オトーサン、 「じゃ、一応、アイスブルーということにして、 総額で、いくらにしてくれます?」 「決算期なので、思い切って、値引きします。 119万円で、いかがですか?」 「119万円か...」 注文書の総額は、131万8670円。 すばやく暗算。 すると、値引額は、12万8670円。 価格comでみかけた最高値引き額は、確か13万円。 オトーサン、 気をよくします。 「じゃ、奥さんと相談してくる」 「あの...できれば、明日までに答えをください。 締めの関係がありますので...」 「ああ、いいですよ」 3台目がくれば、奥方もさぞかし便利でしょう。 郊外住宅地では、クルマのありなしで、 生活の充実度が、ケタ違いになります。 娘も、たまには、乗り回すかも。
オトーサン、 カラーについては、一家言がありました。 若いみなさんからみれば、大昔のことですが、 「何で、クルマの色って、黒なんだ」 黒は、格調高く、何となくミステリアス。 エライひとに似合います。 そんな当時、黒を廃止せよなんて言おうものなら、 喪服の色をカラー化せよと言うくらい物議をかもしたものです。 それでも、自家用車時代がくると、 黒以外のカラーへの関心が高まってきました。 その象徴が「白いクラウン」キャンペーン。 販売拡張部の同僚、鈴木弘然くんが、 クラウンには、白が似合うと提案したのですが、 大きな反響を呼びました。 その後、トヨタの高級車は、白づくめ。 業界全体がそれにならって、バブルの頃には、 ボディカラーに占める白の比率が、なんと7割にも達しました。 オトーサン、 当時、鈴木くん(後に日本フォード社長)と張り合っていたので、 負けじと、1968年に、 IIFC(Inter Industotry Fashon Conference)を結成しました。 ファッション化してきた社会に対応する方策を探ろうという趣旨で、 異業種交流会を立ちあげたのです。 座長には、若手のファッション・リーダーだった浜野安宏さん。 ソニー、東レ、JAL、伊勢丹、アシックス、釣具のダイワなど そうそうたる企業が集まりました。、 このIIFC、結局、若手の勉強会に終わりましたが、 副産物には大きなものがありました。 メンバーのひとりだった東レの松田さんというカラーの専門家が、 あの伝説の名車2000GT111のデザイナー、野崎諭さんと意気投合して、 トヨタ自動車デザイン部のカラー・アドバイザーになりました。 その結果、遥かに先行していた東レのカラー・センスが トヨタ車のカラー選定に反映されるようになったのです。 オトーサン、 「そうそう、アース・カラーなんていうのがあったっけ」 地球環境問題への対処として、 地球に優しい色をクルマにつける必要があるのではないか。 どぎつい色は避けよう。 ダーク・グリーンとか、オーシャンブルとか、浅葱色など 地球と共生できるカラーをクルマに採用しよう。 幸い、この主張は、トヨタだけでなく、自動車業界全体に広がりました。 いまでも、こうしたカラーのクルマをよくみかけます。 「でも、大分、このところ変わっていたなぁ」 トヨタのヴィッッのピンクがいい例ですが、 若い女性オーナーが増加するにつれて、 中高年男性からみれば、ハシタナイというような色が出てきました。 そして、いまは、パステル・カラー全盛時代。 軽自動車や小型車を中心に、 クレージュの衣服の色を思わせる カラーのクルマが街中に溢れています。 オトーサン、 ライフのカタログを前につぶやきます。 「いろんな色が選べるようになったもんだ」 12色もあります。 白、シルバー、赤、黒といった定番カラーに加えて、 ピンク、ブル−、クリーム、カラメル、抹茶などの パステルカラーが加わっています。 そうした多彩なカラーを採用するきっかけになったのは、 ホンダのフィットあたりからでしょう。 「あの提案が効いたのかなぁ?」 大学に勤務していた頃、マーケティング授業の一環として、 学生たちにフィット増販策の企画書を作成してもらいました。 数あるなかで、文字通り、出色だったのが、 「カラー50色」という提案でした。 ユニクロのフリースが50色から選べるというのにヒントを得て、 CGを駆使して、それはそれは見事な色見本を作成したのです。、 早速、青山のホンダ本社に持ち込みました。 「へえ、こりゃ、いいですね」 担当の製品企画室の方は、感動していました。 そのあと、同社の内部でどうなったのかは知りませんが、 「あの提案のおかげけで、フィットが馬鹿売れしたんだ」 密かに、そう信じております。
オトーサン、 そんなことで、ホンダ・プリモ店を後にして、自宅まで戻ります。 徒歩で2分もかからない距離。 「新しく出来たんだ」 オトーサンの家の端向かいに立派な家が出来ました。 日当たりが悪くなるかと思いましたが、そんなこともありません。 近所に引越しの挨拶をして回りましたが、 まだ、この家のひととは、顔をあわせていません。 「ふーん、クルマが2台置けるように工夫している。 あれっ?これ、ライフじゃないか?」 近寄って確かめると、LIFEという文字が見えます。 「この色、アイスブルーじゃないのか?」 デーラーでは模型でしか色を見られなかったアイスブルーが、 目の前にあるじゃないですか。 秋の太陽に照らされて、青が輝いています。、 「えっ?こんなに青が濃かったか?」 アイスブル−というネーミングから、 アラスカでみた何ともいえない氷山の青色をイメージしていましたが、 目の前にあるのは、ただの濃い青色。 「全然、合わないじゃないか」 ボディーカラーの青色が、ナンバープレートの黄色とケンカしています。 「...こんな色じゃなぁ」 気に入った色は、もう売り切れて手に入らず、 まあまあかと思ったアイスブルーが、こんなのでは、がっかりです。 「大枚をはたいて、気に入らない色のクルマに乗るのもなぁ」 オトーサン、 その日、一日を、 デニースやスーパーの駐車場に たくさん駐車している軽自動車めぐりに費やしました。 テーマは、単純にして明快。 「ナンバープレートの黄色に似合うのは、どんなボディーカラーなのか?」 イロイロな色を見ているうちに、 その昔、学校で習った色の3原色(赤、青、黄)を思い出しました。 それから、色相と彩度と明度というのも、思いだしました。 式相は、 赤・黄・緑・青・紫といった色合い。 彩度は、 色の鮮やかさの度合い。 明度は、 色の明暗。 そういえば、色相環なんていうのも習いましたよね。
その先は、まったく忘れてしまったので、 カラーコーディネートの基本について、本屋で立ち読みしました。 @色相環で近くの色同士を組み合わせるとなじみやすい、 反対色の近くの色と組み合わせるとコントラストが強くなる。 A彩度は同じものを組み合わせると落ち着く。 逆にグレーイッシュな色と鮮やかな色を隣り合わせると、 ぱっとしない組み合わせになる。 B明度では、明るい色同士、濃い色同士の組み合わせは難しい。 片方を明度の低い、濃い色にすると落ち着く。 オトーサン、 「何だか、よくわからないなぁ」 ともかく、観測結果の一端をご紹介しましょう。 軽自動車の色相で一番多いのは、シルバー系でした。 このシルバーやホワイト系の色と黄色いナンバープレートとは、 色の組み合わせとしては、彩度は同じでOKですが、 明度はちがってNOなのですが、 街でよく見かけているせいか、気になりません。 よく似合うのは、赤や黒のボディカラー。 彩度も明度も、ナンバープレートの黄色と赤や黒が いいコントラストをなしています。 「まあ、軽だと触れ回っているようなもんだけどな」 明るい黄色やゴールド系も、よく似合います。 色相環で同系統なので、 ナンバープレートの明るい黄色が邪魔にならず、 かえってちょっとしたアクセントになっています。 緑もまあまあ。色相が近いからでしょう。 オトーサン、 「おっ、いいじゃん!」 バーミヤンでお茶して帰ろうとすると 1台の緑色の軽自動車が入ってきました。 「なんていうクルマだろう?日産マークだ。 ...そうか、これが日産初の軽自動車モコなんだ」 ナンバープレートの黄色とボディカラーのモスグリーンが 実に、何ともいえないいい組み合わせになっています。 ネットで調べると、 「モコグリーン」というカラー名でした。 ナンバープレートに合うような色を選んだと書いてあります。 「へぇ、大したもんだ。流石デザインの新生ニッサン、 いっそのこと、これにするかぁ」 でも、発売が02年4月とお古でしたし、 おまけに、ススキのMRワゴンのOEMでした。 まあ、言ってみれば、弟分のお下がり。 それに、手を加えたのは、色とインテリアだけというのも、 手抜きです。 お値段のほうも、カルロス・ゴーンさんの方針で高いのです。、 「買うの、やーめた」 オトーサン、 観察を続けます。 まったく似合わないのが、青や紫色系。 目障りというか、吐き気をもよおすというか。 色相で反対色、おまけに彩度も明度もちがいます。 「色のことなど、まったく考えていないんだなあ」 さて、 問題のアイスブルー、 新発見がありました。 日陰で見ると、そんなに濃い青色には見えないのです。 光の加減で、彩度も明度もちがってくるのです。 「...まあ、ナンバープレートの色なんか、 そんなに気にしなければ、いいんだよなぁ。 問題は、維持費、性能、使い勝手。 それに、色については奥方や娘の意見もあるだろうし...」 オトーサン、 その日の夕食時に切り出します。 「あのなぁ、クルマ買おうと思うんだけど」 奥方、 「もう、アルファに飽きたの?」 「いや。もう1台、軽自動車でも買おうかと思って」 「クルマが3台になるの?冗談じゃないわよ !!」 奥方、憤怒の形相です。 「だって、オレがアルファで山荘に行っているあいだ、 クルマなしじゃ、キミたち、何かと困るだろう」 娘、 「あたしは、いいわよ、バスで通うから」 「だって、バス通勤はイヤだって言ってただろう」 「構わないわよ」 引っ越し直後、 娘は、花壇の縁に腰を下ろして、空をみつめていました。 ロダンの彫像「考える人」に脱力感を与えたようなポーズです。 「何で、こんな不便なところに引越したのよー。 バスで南柏の駅まで30分もかかるなんて」 そのときのイメージがしっかりと頭に残っていたので、 この返事は、意外や意外でした。 でも、娘にしてみると、 思ったよりも時間がかからないし、 座っていけるし、それに慣れたということもあるのでしょうか。 奥方、 「アルファを売るなら、買ってもいいわよ」 オトーサン、 「...そんなぁ」 アルファのある暮らしから、軽しかない暮らしへ。 とんでもない。 そんなこと、とても考えられません。 気に入ったクルマとともに過ごす人生は、 いい伴侶や愛犬・愛猫がいるようなものです。 まして、オトーサンの生涯は、クルマとともにあったのです。 クルマのおかげで、+アルファの人生を歩めたのです。 こうして、せっかく盛り上がってきたカラー騒ぎは、 家族の強い抵抗を前に、どうやら、 空(カラー)騒ぎに終わってしまったようです。
オトーサン、 奥方のゼロ回答に、一時、めげましたが、 立ち直りも早いほうです。 「ま、ライフが地球上で一番いいクルマというわけでもないし... 迷った時は、原点に戻ろう!」 オトーサン、 思い出しました。 郊外生活を快適に送るのに、 欠かせないのは、クルマ。 柏に引っ越してきた以上、、 奥方や娘も使うことを考慮した最適のクルマにすればいいのです。 アルファ・ロメオは大きすぎて使いにくいという以上、 小型車、それもオシャレな小型車がいいのです。 そういう観点からすると、 購入希望車は、 1位 ミニクーパー 2位 パンダ 3位 コペン このいずれかにしようと、 熟考の末、決めたはずではありませんか。 ところが、たまたま、車庫の寸法を図るために、 ホンダの軽自動車ライフで現車確認をしたため、 売り込みにあって、とんだ道草を食ってしまったのです。 オトーサン、 「アルファを売って、ミニクーパーか」 「アルファを売って、パンダか」 「アルファを売って、コペンか」 3択問題を検討してみました。 「3人で乗ることもあるからなあ」 そうなると、2人乗りのコペンは、対象外となります。 でも、オープンカーには魅力があります。 「わが家のファースト・カーとなるとなぁ...」 イタリアではゲタに過ぎないパンダは、 どうも、ふさわしくないような気がします。 「ミニは、奥方もいいわね、と言ってたなぁ」 ミニには、小さいクルマですが、 街中でも、高速道路で出会っても、ある種の存在感があります。 オトーサン、 また、徳大寺さんの本を手にとります。 「そうか、ミニを持ってるんだ」 ミニには、ミニワンとミニクーパーとミニクーパーSがあるが、 ミニクーパーのCVTが一番使い勝手がいいと書いてあります。 「そうか、やっぱり、クーパーか」 サイトを読むと、走り屋の自動車評論家は、 やはり、上級グレードのクーパーSのフアンのようです。 「ポテンシャルの高さでは、 当然ながらクーパーSが最高峰だ。 足もグッと締め上げられているし、 エンジンパワーもよりダイナミックである」 なーんて、そそられることが書いてあります。 「163馬力もあるのか、スゴイなあ。 ...ありゃ、マニュアル(6速)しかないのか」 マニュアルでは、奥方も娘の運転したがらないでしょう。 渋滞では、足が疲れてしまいます。 「すると、やはり、ミニワンかクーパーかだな」 クーパーは、販売の6割を占める人気モデルだそうです。 「山荘まで遠出をすることもあるからな」 ミニワンも結構走りそうですが、90馬力。 やはり、116馬力あるミニクーパーのほうが上でしょう。 気になるお値段は、 ミニワンCVTが、205万円、 クーパーCVTが、235万円、 そしてクーパーSが、260万円でした。 オトーサン、 「アルファを売れば、どれでも買えそうだ」 何やら、元気になってきました。
オトーサン、 早速、ミニのディーラー探しにかかります。 給油のとき、旧ミニに乗っていたオジサンに聞きました。 「さあねぇ...、どこなかなぁ。16号沿いにあるかも」 そうなのです。オーナーなのに、不確かなのは、 BMWは冷たくて、買収したローバーの面倒など見ないからなのです。 オトーサンも、ローバー200で、つれない仕打ちを受けました。 「金輪際、BMWなんか買わないぞ!」 一事は、怒り心頭に発したものです。 オトーサン、 それでも、新しいミニへの未練が捨てきれず BMWのディーラー探しに。 「あった!やっぱり、16号沿いだ」 6号と16号が交わる呼塚交差点から沼南方面へ約1km。 陸橋のたもとに、大きなBMWの看板をみつけました。 「貧乏人、近寄るなかれ」という雰囲気が漂っています。 でも、今回は、アルファのオーナーですから、 心持ち堂々と乗りつけます。 駐車場には、ミニがズラリ。 展示車か、在庫車か、ユーザーの車か判然としませんが、 「おお、クーパーがある、売るほどある!」 ミニは、どのグレードでも、 見ているだけで、ウキウキする雰囲気があります。 4つのタイヤがボディの4隅にデーンと張り出しています。 ちっちゃいくせに、全身で地面に足を踏ん張っている感じ。 ちょっと、ダックスフンドに似ているかも。 オトーサン、 「おっ、ツートンか。 そうそう、クーパーの特徴だった」 ツートーンカラーは、やはり華やかです。 ボディカラーが青で、ルーフカラーが白、 ボディカラーが赤で、ルーフカラーが白、 ボディカラーが緑で、ルーフカラーが白。 ボディカラーが白で、ルーフカラーが黒。 ボディカラーがシルバーで、ルーフカラーが黒など。 実に、カラフルです。 オトーサン、 駐車場を歩き回ります。 「クーパーSは、Sマークが入っているんだ」 インディケーターは、サイドミラーの下にあって、 そこに、赤いSマーク。 いかにも、スポーティな感じです。 このクーパーSは、走り屋向き。 ミッションは、6速マニュアル・トランスミッションのみ。 「6速か、気持ちよく走るだろう」 とはいえ、マニュアルでは、奥方や娘がイヤがるでしょう。 残念ながら対象外になります。 さっと見ただけにとどめました。 「インテリアは、どうなってるんだ?」 本命のクーパーのほうに戻って、 ダッシュボードを覗き込みます。 「おお、こりゃド派手だ!」 そう思ったのは、ハンドル正面にある丸いタコメーター、 ダッシュボードの中央に置かれた丸いスピードメーター。 いずれも純白の文字盤で、光沢仕上げになっています。 「徳さんの言う通りだなぁ」 こんなことを言っています。 「タコメーターを巨大にして ドーンとドライバーの目の前に置くという演出は、 このクルマを楽しく、若々しく見せようとしたのだろうが、 ちょっと子供っぽい」 徳大寺さん、 オトーサンと同年代ですから、やはり感覚的に共通するものがあります。 でも、若いひとには、抵抗感はなく、"オシャレー"なんて思うかも。 オトーサン、 カタログを貰って帰ろうと思いましたが、 「セールスマン、来ないなぁ」 ホンダもそうでした。 どうも、なまじクルマに自信があると、 売るより売れるという企業風土になるのかも。 「気に入ったら買ってください」 そんな感じです。 しょうがないので、ショールームへ。 置いてあるのは、ミニが1台だけ。 社員がみなてんでに仕事をしていて、 振り向きもしません。 ひとりをつかまえて、 「あのー、カタログを欲しいんだけど」 「ショールームは2階になります」 「ああ、そうなの」 じゃ、あんたたちは、何のためにいるの? 客商売じゃないの? そう聞きたいところですが、 そこはグッとガマンして、2階へ。 「なーんだ。2台しか置いてないや」 さっき在庫置き場で見た数のほうが多いのです。 オトーサン、 ここには、受付嬢が2人 階段を上ったところのカウンターにいました。 こちらをみても、やはり知らん顔。 「じゃ、あんたたちは、何のためにいるの?」 またも、同じことを聞きたくなりました。 ミニが3台置いてあります。 色は、すでにさっき見たのと同じ。 気を取り直して、 ミニのドアを開けてみました。 「おお、ズシンとくる!」 アウディのドアも重たかったですが、 これも負けずに重厚なカンジ。 ドイツらしい機械物という印象が伝わってきます。 「しびれるなあ」 小さなクルマですが、 いかにも立派なものを所有していると感じさせます。 ダッシュボードは、既にチェック済み。 運転席に座ってみます。 低い着座姿勢。 スポーツカーの雰囲気です。 「ちょっと、低いかも」 奥方や娘には、抵抗があるかも。 オトーサン、 「カタログ、持ってこんなあ」 相変わらず受付嬢が知らん顔なので、 誰かセールスマンがいないかと、見回します。 視線の先は、同じフロアにある屋上駐車場へ。 そこに見たことのないミニが見えます。 「おっ、いいじゃん」 ショールームのガラスのドアを開けて、 そのクルマに向かいます。
オトーサン、 クルマの傍に立ち尽くします。 「ほんとに、いい色だなぁ」 オレンジ色ですが、渋い色。 なまじ下手な言葉で説明するよりは、写真なら一目瞭然。
オトーサン、 「ミニにオープンカー出たのか」 「いいなあ、欲しいなあ」 そう思いながら、見ていると、 メカニックがクルマを運んでいってしまいます。 「冷めたいなあ」 身なりから、冷やかし客と思ったのかも。 しょうがないので、先ほどのショールームに戻ります。 「カタログが欲しいんですが」 「セールスマンを呼びますので、少々お待ちください」 受付嬢、はじめて客と認識してくれたようです。 「外に出て行かれたので、関係者かと思いました」 侘びを入れてくれたので、すこし機嫌が直りました。 「お待たせしました」 30代のセールスマンが登場。 名刺には、セールスマネージャー、小林圭介とあります。 「実は、ちょっと寄ってみたんだけど、 あのクルマ、なかなかいいねえ」 「そうでしょう。出たばかりなんですよ」 そういいながら、手渡してくれたのは、 分厚いミニのカタログ1冊、 コンバーチブルの専用カタログ1冊、 ミニとコンバーチブルの価格仕様表 3年間のサービスパックのリーフレット、 そして、分厚いCDつきのおしゃれな雑誌。 ずしりと重さが手に響きます。、 オトーサン、 「いいカタログだね」 表紙に、MINI CONVERTIBLEとあるほうのカタログを手にとります。 サイズは、420mm×420mm、極上の紙を使用。 デザイン・センスは、抜群。 感動ものです。 これと比べると、日本車カタログの貧相なこと。 サイズはA4版と大判ですが、 写真はオザナリ、コピーもおざなりです。 大体、宣伝部では、ベテランがTV・CFや新聞広告を担当し、 カタログ製作は、新人に担当させるからです。 オトーサン、 「ふーん、そうなの」 このコンバーチブル、小さいのに4人乗り。 ソフトトップの開閉が電動式で、わずか15秒。 さらに、途中で止めてサンルーフにも出来ると書いてありました。 「いいねえ。いくらくらいするの?」 「コンバーチブルは、300万円くらいですね」 どうせ買えないだろうという響きを感じたので、 自己紹介をします。 山荘のお隣さんが、BMWの関西地区の総責任者だとか、 長いことトヨタに勤めていたとか。 つい、話が長くなります。 小林さん、 「私、東京カローラにいました」 「そうなの。社長だった西村晃さん、知ってる?上司だったんだ」 「そうですか」 急に打ち解けてきて、 見ず知らすのひとから、勝手知ったる同業者になりました。、 ガラス越しに、下に停めたグリーンのアルファロメオを指します。 「あれに乗っているんだけど、 車検時期が近づいてきたので、買い替えようかと思って」 「アルファロメオじゃないですか」 セールスマン、急に商売人の目つきになってきました。 「変ななことを聞くけど、 あのクルマ、お宅で査定するのと、ガリバーで査定するのと、 どちらが高く取ってくれるかなぁ」 「実は、私、ここに来る前に、ガリバーに居たんです」 「へえ、そうなの」 「その経験から言うと、無料査定をすると、 その後、ウルサクつきまとわれるから、やめたほうがいいですよ」 「そうなの?」 その昔、アウディA3を 買い取り専門店のガリバーで査定してもらったことがあります。 つきまとわれることは、ありませんでした。 そのガリバー、つぶれてアップルになってしまいましたが。 きっと、商売不熱心だったのでしょう。 オトーサン、 その後、国道6号沿いのスシローという回転すしへ。 休みの日ということで、待たされました。 その間、誘惑に負けて、 もらったばかりのミニとコンバ−チブルの価格表を取り出しました。 MINI One(CVT) 2060000円 MINI Cooper (CVT) 2488500 MINI CooperS(M/T) 2793000 Convertible Cooper(CVT) 2929500 Convertible CooperS (M.T) 3234000 「高いなあ。300万円もするのか」 それでも、コンバーチブルの誘惑にはグラリときます。 オトーサン、 今度は、コンバーチブルのカタログを取り出します。 「しゃれてるなあ」 袋閉じになっています。 「週刊現代やポストみたいだなぁ」 袋綴じのヌード写真が売りでした。 これって、人前で開けるのって、勇気がいりますよね。 それに、この回転寿司のスシロー、 大阪から東京に進出してきた関係か、 たったの100円であぶり寿司まで提供する大衆店なので、 子供連れで大繁盛なのです。 そんななかで、袋綴じを開けるのって、勇気がいります。 とても恥ずかしいことをしているようです。 オトーサン、 それでも、オレンジ色の誘惑には勝てませんでした。 「ひょとしたら、金髪美人のヌードでも...」 紙が破れないように、 周囲の奥さん方にバレないように、 周囲を窺いながら、そっと切り離しました。 「おっ...」 こんな文章が目に飛び込んできました。 「心までオープンに。 カタログのページを切り離して、 内容を確認中のあなた。 みたところ、あなたはオープンな人ですね。 未知の分野も恐れずに探求する人。 自分の感性を大切にする人。 そんな人にMINI Convertibleはぴったりです」 オトーサン、 「すっげえ、皮肉!」 品性下劣な人間とからかわれているように感じました。 冷水を浴びて、ソフトトップの問題点を思い出しました。 ・いたづらされて、幌に煙草の火でも押しつけられたら、それまで。 ・屋根つき駐車場でないと、幌が著しく劣化する。 ・雨の日の多い日本では、オープンを楽しめる機会は少ない。 ・日焼けしたり、風にあおられたり、バイクと同じ。 ・街中では、排気ガスを吸い込むだけ。 ・セカンドカーにはいいが、ファーストカーとしては不便。 オトーサン、 「残念だけど、コンバーチブルはやめとくか。 夢は夢として大事にしておこう...」
オトーサン、 アルファロメオと別れることにしました。 人生って、いろいろな別れがありますよね。 破局、破談、離婚といった男と女の別れ、 長年住み慣れたところとの別れ、 そして、肉親・友人知人との永遠のお別れ。 別れる。 痴話喧嘩もなく、痛みもなく、涙ひとつなく、爽やかに別れる。 からっとした秋晴れの朝などに、 「お互い、明るく別れようぜ」 それが理想なのでしょうが、実際には難しいようです。 涙や長く残る心の痛みは、別れには、つきもののようです。 「車検を取って、乗り続けるべきだったかも...」 たったの10ケ月とはいえ、アルファと暮らした至福の歳月。 いいクルマでした。 ほんとうにいいクルマでした。 運転という極上の快楽を教えてくれました。 できるものなら、もう一度、やりなおしたいところです。 アルファとの別れ... それは、ちょっとした2つの出来事のためでした。 @タイヤのパンク Aナンバープレートのリム破損 いずれも、些細なよくある出来事です。 順番に、話を進めていきましょう。 オトーサン、 「いい天気だなぁ」 今年は台風の当たり年でした。 久しぶりに、天気になったので、ドライブすることにしました。 目的地は、千葉ニュータウン。 引っ越して、ジョイフル本田が近くなりました。 以前、東京から遠出して、見学に行って、驚きました。 その広大なこと、デパート以上の広さでしょう。 デパートは、上に積み重なっていますが、 ここは、田舎ですら、平面で展開しているのです。 400mもある動く歩道もあるほど。 なかでも驚いたのは、直営のガソリン・スタンド。 いくらだったか正確な値段は、忘れましたが、 周辺よりも、ガソリンが10円は安かったように記憶しています。 「ハイオク、いくらかなあ?」 手賀沼沿いの田舎道をぬけて、千葉ニュータウンへ。 およそ30分の気持ちいいドライブでした。 「おお、ハイオクが109円だ!」 わが家の周辺で一番安いのが、125円。 ここよりも安いのは、どこにもないだろうと信じていたのですが、 トンデモナイ。6円も安いのです。 山荘のある長野県では、132円ですから、23円安。 レギュラーよりも安いのです。 オトーサン、 気をよくして、昼食を取りました。 年金生活になってから、食事は地味になっています。 吉野家の角煮きのこ丼、お新香も奢リます。 それで、しめて525円。 「今日は、トクしたなぁ」 ますます、いい気分になりました。 ガーデンセンターなども見て、駐車場へ。 「いつみても、綺麗なクルマだなあ。 ...ありゃ、パンクしている!」 リアのタイヤが凹んでいます。 目の錯覚かと思いましたが、触ってみると、ぶかぶか。 「何で、こんなところに釘が?」 平坦な広大な舗装された駐車場です。 隣にクルマがあるわけでもなく、 誰かが怒って釘を刺したくなるような変な置き方でもありません。 「変だなあ。JAFを呼ぼう」 30分後に、JAFがきて、すぐにタイヤ交換が完了。 「おっ、おニューのスペア・タイヤですね」 一回り小さなスペア・タイヤをつけて、 「70km以上、出さないでください。 どこかで早めにパンクを修理してくださいね」 「沼南のオートウェーブでいいでしょ」、 「ええ」 「おいくらですか?」 「無料です」 「無料?」 「長い間、会員になっていただいて、有難うございます」 「うれしいなあ」 オトーサン、 オートウェーブに行って、30分待ちで修理完了。 代金は、1575円でした。 ガソリン代、儲けたと思ったのですが、 パンクしたので、損になってしまいました。 「ジョイフルまで、行かなきゃよかった。 それにしても、何で釘が刺さっていたんだろう? 誰かが、やったのかも...」 後味の悪いことです。 オトーサン、 3連休の月曜日、 朝7時に娘をアルファロメオに乗せます。 いつもなら、8時半のスタートなのに、 今朝は、1時間半も早い送迎なのです。 数日前に、娘から、 「スイスに出張するの。成田空港まで送って」 と命じられていたためです。 同じ千葉県、それもお近く。 成田まで電車で行けば近そうですが、実に不便なのです。 増尾駅まで10分ほど歩いて、柏駅へ、 常磐線で、我孫子で乗り換えて、成田へ、 さらに、成田で乗り換えて、成田空港駅へ。 重い荷物をもっての移動など、とても考えられません。 オトーサン、 昨夜、娘に報告しました。 「おい、柏駅から直行バスがあるぞ!」 「知ってるよ」 実は、予約が必要なので、もう間にあわないのですが。 娘 「バスでも2時間かかるのでしょう。 箱崎からなら、1時間なのに。 晴海に居たころのほうが早いなんてねぇ」 もともと都心から郊外への引越しに不満たらたらなのです。 オトーサン、 「クルマでも、同じくらいかかるかも。 2時間は、みておいたほうがいいよ」 国道16号を北千葉ICへ。 あと、東関東自動車道道路で空港へ。 実に簡単な経路なのですが、問題は16号。 慢性的な渋滞で、北千葉ICまで1時間は覚悟せねばなりません。 東関東道も、雨なので、事故があるかも知れませんし、 このご時世ですから、検問に手間取るかも知れません。 オトーサン、 16号を快適に走っています。 「おい、順調だぜ」 娘に声をかけましたが、返事がありません。 ちらっと後席を振り向くと、寝ています。 強行軍に備えて、寝ダメしているのでしょう。 「うん、順調だ。この分なら、1時間で着くかも」 ひとりで、満足しつつ、東関東道へ入ります。 高速道路は、久しぶりです。 雨なのに、130kmで飛ばしていくクルマがあります。 しばらくして、スピードに慣れたので、 こちらも負けずに飛ばします。 「いいクルマだなあ」 あらためて、わがアルファロメオに惚れ直します。 官能的なエンジン音、 しなやかな足回り、 身体を包むシート、 本皮のステアリングの握り心地のよさ。 「言うことないなぁ」 問題があるとすれば、高速を走る機会が減ったこと。 柏に引っ越してみて、 都心を抜けて、中央道を八ケ岳まで走るのは、 苦痛以外の何者でもないことがわかってきました。 慢性的な都心の渋滞や事故。 とくに、この10月は、中央道の集中工事で、連日大渋滞。 まったく使えません。 電車でノンビリ行ったほうが楽チンです。 したがって、アルファロメオで、家の近所をウロウロ。 軽自動車でもすむような使い方しかできません。 いわば、宝のもちぐされ。 オトーサン、 「着いたぞ、どうだ早かったろう」 娘、 「...」 グッスリ寝ていたためか、無言です。 ここは、せめて感謝の一言が欲しいところです。 「...まあ、いいか」 コイズミさんやナベツネには厳しいのですが、 娘には、甘いのです。 「気をつけてな」 荷物を下ろしてやると、やっと感謝の微笑み。 それだけで、もう娘を許してしまいます。 オトーサン、 娘の笑顔と1時間で着いたことに 大いに気をよくして、トンボ帰りしました。 本当は、成田山新勝寺におまいりでもと思ったのですが、 雨が降っているので、面倒です。 帰りも順調で、1時間足らずで家に着きました。 体調不良と称して、 見送りをサボッた奥方が駐車場まで出迎えて、 「早かったわね。あれっ?」 かがんで、駐車場に落ちていたものを拾い上げます。 「これ、何かしら」 みると、リアのナンバープレートの枠(リム)です。 大きく割れ落ちていました。 「変だなぁ」 成田空港へのノンストップでの行き帰りでしたから、 壊れたとすれば、家の駐車場に置いてあった時のはず。 出かけるときには、まったく気づきませんでした。 「誰かイタヅラしたのよ、悪質ねえ」 「ソアラと同じだ」 ソアラのときは、エンブレムを取られました。 この日本には、 高級車に乗っているひとを憎むひとがいるのです。 オトーサン、 「アルファ、やめよう」 国産車ばかりの郊外住宅で 派手なクルマをもっていると、ロクなことはありません。 パンクさせられたり、リムを壊されたり... 次は、何をされるか分かりません。 奥方、 「また、泥棒に入られるかもね...」 その昔、泥棒に入られたことを思い出しました。 「そうだったなぁ」 新築2年後でした。 旅行から帰ってみると、ドアを破られ、室内が荒されていました。 引き出しという引き出しから、内容物がぶちまけられています。 「ない!」 預金通帳を取られ、蒼くなったことがあります。 幸い、横浜のほうで、つかまって、事なきをえましたが... 奥方、 「一軒屋は危ないのよ、晴海とちがって」 晴海の高層マンションは、住民しか入れない仕組みでした。 駐車場も、住民だけしか入れません。 高い家賃を払えるひとたちだけあって、外車ばかり。 そんななかで、アルファロメオに買い換えたのです。 オトーサン、 「ここは、晴海じゃないんだ」 東急不動産の分譲地で、 そう治安の悪い場所はないのですが、 ゲートがあるわけじゃなし、安全は保証されていません。 「アルファ、やめよう。車検前に売ろう」 近年の日本、治安がますます悪くなってきました。 自分だけはダイジョウブという甘えはもはや許されないのです。 泥棒ならまだしも、殺人事件にでも巻きこまれたら、大変。 自分に身は自分で守らねば。 そんな事情で、 急転直下、アルファロメオとの別れがやってきたのです。 オトーサン、 一旦、部屋に入ってから、 また、アルファロメオの見納めに、駐車場へ。 ジウジアーロの手になる芸術作品。 何度見ても、ほれぼれします。 「...別れたくないなぁ」 家が広ければ、ホールに展示しておきたいくらいです。 「でも、もっといい人に乗ってもらったほうが、 このクルマにとってみれば、幸せかも。 でも、なあ...別れたくないなあ」 夜来の雨は、昼近くなっても降り続いています。 生垣のキンチョウゲの枝からのしずくが、ぽつん。 オトーサン、 「...オレの涙雨かも」 長らくご愛読いただきました 「+アルファ、人生に乾杯!」は、 これをもって終わりとさせていただきます。