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オトーサン、 長らく、日産のライバル会社に勤めていました。 入社した1961年頃は、ブルーバードの全盛時代。 コロナなんか、雨漏りがすると馬鹿にされていました。 当時の日産は、日本一の自動車会社でした。 それが逆転します。 1961年4月に発売されたサニー(1000cc)を追って カローラ(1100cc)が、10月に発売されたからです。 翌1967年の販売台数は、 サニーの6万5314台に対して、カローラは13万9175万台。 サニーの負けが、日産の足を引っぱったのです。 オトーサン、 当時、宣伝部にいて、 打倒サニーのために、巨費を投じました。 広告投入量の差の蓄積が、広告効果である そういう最新の理論に基づいて一大キャンペーンを展開したのです。 「カローラは豹 +100ccの余裕」 このキャッチ・フレーズも評判になって、 カロ−ラは、ベストセラー街道をまっしぐら。 これに対抗して、日産は1970年1月2代目サニーを投入。 1200ccエンジンを搭載して、 「隣のクルマは小さく見えます」と頑張りました。 でも、健闘したのは、3代目あたりまで。 以後、モデルチェンジを重ねるたびに、勢いがなくなっていきました。 「いらんなぁ、サニー。いらんなぁ、日産」 赤字続きの日産は、つぶれそうになりました。 その日産に救いの手を差しのべたのが、フランスのルノー。 コスト・カッターといわれたカルロス・ゴーン氏が 日産の社長に就任して、大鉈をふるって奇跡の復活を遂げました。 そんななかにあって、 1998年に投入された9代目サニーは、落ちこぼれ。 2003年の販売台数を見れば、歴然です。 サニー、4万4416台。 対してカローラは、19万0248台とおよそ5倍。 直近の2004年1-8月でみると、 サニー2万6063台に対して、カローラ11万9656台。 オトーサン、 「マスコミは、もてはやすけど、 日産、売れてるクルマなんかないじゃん。 フェレディZも、スカイラインも、イマイチだし。 マーチやキューブが売れていると言ったって、所詮ガマン車。 せっかくルノー傘下に入ったのだから、 ルノーの味を生かしたクルマを作ってみせろよ」 日産は、北米こそ好調ですが、国内販売は不調。 誰が名づけたのか、 販売会社の名前が、レッド・ステージとブルーステージ。 赤字や青息吐息を連想させる名前じゃないですか。 でも、その日産が、ようやく本領を発揮しはじめたようなのです。 オトーサン、 「たまには、日産車に乗ってみようか」 先輩・同僚・後輩・友人・知人のブーイングを覚悟して、 ティーダを買ってしまいました。 ティーダとティータイム。 晩年を茶飲み友達としてつきあうようになったのです。
このティーダ(TIIDA)、前世の名前は、あのサニー。、 オトーサンが、コテンパンにやっつけた奴だったのです。 「これも、何かの因縁かも...」
オトーサン、 今度のティーダ購入までの道筋は、 まるで、「アイドマの法則」を地でいくようでした。 広告関係者には、常識ですし、 マーケティングの授業を受けた方は、覚えているでしょうが、 もう一度、説明しておきましょう、 アイドマ(AIDMA)の法則とは、 ・Attention(注目) ・Interest (興味) ・Desire (欲求) ・Memory (記憶) ・Action (行動) 以上の5つの用語の頭文字をとったもので、 購買過程を示したものなのです。 オトーサン、 「諸君も何か品物を買うときは、 意識しようと、意識しまいと、 必ず、この「アイドマの法則」を地で行っている」 なーんて、偉そうに授業で解説してきましたが、 実際には、そうと決まったものではありません。 「例外なき法則はなし」というじゃないですか。 オトーサン、 ローバー200を買ったときは、即断即決。 アルファロメオのスポーツワゴンのときも、一目惚れ。 「アイドマの法則」どころか、「アアの法則」状態。 ・Attention(注目) ・Action (行動) 「気に入った。これ買おう!」 それで終わりでした。 以下の3つを省いてしまったのです。 ・Interest(興味) ・Desire (欲求) ・Memory (記憶) つまり、充分な下調べをしないで買ったのです。 ですから、後になって、 「後悔先立たず」をイヤというほど味わいました。 オトーサン、 ローバー200については、 「私が愛する老婆」で詳しく述べたので、 ここでは、失敗談をひとつだけ披露するにとどめますが、 何と、真冬にオーバーヒートしたのです。 事前に、ネットでオーナーの記録を読んでおけば、 覚悟も対策も出来たのに、そうしなかったので、 JAFがくるまで、それはそれは、寒い思いをしました。 アルファロメオだって、大同小異。 中古車展示場にあったのを見て、飛びついたのですから、 一目惚れで買ってしまった後で、 ・アルファロメオとは、どういう会社なのか? ・アルファロメオは、売れているのか? ・アルファロメオの長所と短所は? などを買ってしまってから、はじめて勉強したのです。 もっとよく下調べをしておけば、 あるいは、違ったクルマを選んだかもしれません。
オトーサン、 ティーダとの出会いは、 週刊新潮を買ったためでした。 普段は、まず、買わない中高年向け雑誌なのですが、 この10月7日号の新聞広告の見出しが、何しろすごかった。 ・まさかの結末 「楽天」も「ライブドア」も 審査で「両者失格」になる! 立ち読みで、すまそうと思ったのですが、 たまたま、特急あずさの2時間をつぶすための 本を持ってくるのを忘れたので、 エイヤーとキオスクで買ってしまいました。、 オトーサン、 「そうか、両社とも収支見込がスザンなのか」 たったの3ページなので、すぐに読み終えました。 新宿を出て、まだ立川あたり。 次に、読んだのが、 ・新聞が書けない「内閣改造」の大暗闘 これは、特集記事で、11ページ。 20分もあれば読み終える分量でした。 笹子トンネル手前の大月あたりで、 記事のほとんどを読み終えてしまいました。 オトーサン、 「ヒマだなぁ」 ひとり旅ですから、話相手もいないし、 山荘に通い続けてもう10年、車窓の景色も見慣れたもの。 紅葉の季節になっていないので、緑の連なりが続くだけ。 そのとき、黄色いクルマの広告に気づきました。 「ふーん、随分、出稿しているなあ」 表2、表3、表4を独占しています。 つまり、表紙の裏、裏表紙の裏表すべてが、ティーダの広告なのです。 「いや、まだまだ、あるぞ!」 ・カラー広告(4ページ) ・「世田谷迷路」なるティーダに因んだエッセイ(4ページ) ・ENGINE誌編集長と開発責任者との対談(8ページ) 「こりゃ、だいぶ、お金をがけたなぁ」 元宣伝部ですから、頭の中で、費用を概算します。 次に、目が行ったのは、小さなコピー。 ・日産ティーダは、今日発売です。 「今日っていうと、いつだ?」 「10月7日号だから、10月7日に決まってるだろう」 そんなことはありません。 週刊誌は、大体1、2週間のサバを読んでいるのです。 週刊新潮の場合は、サバは1週間。 ですから、9月30日発売ということでしょう。 オトーサン、 キャッチ・コピーに目をとめます。 ・コンパクトがはじめて出会う上質 「ピンとこんなぁ。 コンパクト・カーが上質?そんなハズないだろ!」 最近とみに「小さな高級車」という言葉が流行しています。 ヴィッツの「小さな高級車」が、イスト、 デミオの「小さな高級車」が、ベリーサ。 ちょっと手を加えて、そう名乗っています。 インチキとまでは言いませんが、かなり安易なクルマです。 オトーサン、 初代の「小さな高級車」に乗ったと自負しています。 それが、アウディA3。 フォルクスワーゲン・ゴルフの姉妹車で、 これが、「小さな高級車」のハシリでした。 スタイルは、3ドアだったので、 リアを絞ってきれいな線が出ていましたし、 メーターの赤いイルミネーションには、うっとりしました。 でも、性能は、ワーゲンとまったく同じ。 シートがゆったりして、長距離で疲れないのはいいのですが、 高速道路で100km出すと、3000回転なのですが、音のウルサイこと。 「小さい高級車というのは、高級車じゃないんだ」 ですから、その後、プジョー206など 輸入車を何台か試乗しても、同じ感想を抱きました。 ですから、誰が何と言おうと、 「小さな高級車? そんなもの、国産車にあるはずないだろう」 そういう信念をもっております。 オトーサン、 笹子トンネルをぬけて、 車内が明るくなったので、 ENGINE誌編集長の鈴木正文さんと 日産自動車商品企画本部商品企画室チーフ・プロダクト・スペシャリスト (舌を噛むほど長ったらしい肩書きだなぁ) 松本秀ニさんとの対談を読みはじめました。 ・新しい時代の上質、きゅっと締まった密度感をどう具体化するか、 それにこだわりましたし、悩みましたねえ。 ・外観サイズはコンパクトカーでも、中は広いし、 上質にできていて満足度満点。 「能書きばかり。一体、どこが上質なんだ?」 そんなことで、ティーダに注目(Attention)しましたが、 そこまでで終わりました。 「アの法則」 あるいは「アーの法則」 はたまた「アーアの法則」と呼ぶべきでしょうか。 この段階で終わってしまうクルマって、無数にありますよね。 ですから、いくら、日産が巨費を投じて、 オトーサンに対して、 「ティ一ダで、どうだ?」といわれても、 「どうだといわれてもなぁ...分からんなぁ」 そう答えるしかありません。 アーア。
オトーサン、 「新しい号が出てるかな?」 本屋に行くと、必ず自動車雑誌のコーナーに立ち寄ります。 マガジンXは、必ず買いますし、 CAR and DRIVERは、いい記事があったとき。 あとは、大体、立ち読みで、すませます。 「徳さんの本は、まだかなぁ」 カラー化された「間違いだらけのクルマ選び」夏号が もう半年近くなるのに、まだ書店に堂々と並んでいます。 冬号は、12月に入らないと、出ないのでしょうか。 最近、いろいろな新車が出ているので、 徳大寺さんがどう批評しているか、気になります。 「同工異曲、形変われど...」 最近のクルマ、とくに、トヨタ車ときたら、 スライドドア、7人乗り、3列シート、床下収納など、 パッケージングだけで、お茶を濁している。 ちと、ひどすぎませんか? なーんて、辛口批評をしていそうです。 オトーサン、 「同じ車台を使って、 いろんなクルマをつくるなんて、セコイよなあ。 あんなことしていれば、儲かるだろう」 エンジンをはじめ、 ほとんどの部品を流用とは、おそれいります。 パソコンでCADソフトを使って 数ケ月で、こちょこちょ。 簡単にいえば、でっちあげ。 どういう神経なのか疑います。 ヴィッツ・イストといえばいいのに、 堂々と新車面して、イストと名乗るので、騙されるのです。 新車というからには、 お金は、かかりますが、 ・新開発のエンジン、 ・新開発のプラットフォーム(車台)、 ・新開発のミッション、 せめて、その3点はクリアしてほしいもの。 基礎からつくり直したクルマでなければ、 「新しい時代の上質」なんて、成立するハズないのです。 オトーサン、 「ふーん、"ティーダのすべて"か」 モーターフアンの別冊で、 まるごと一冊、ニューモデルを紹介しています。 ティーダのすべては、その347号というわけ。 「どうしようかなあ」 立ち読みをすることに決めて、 手にとって、ぱらぱらページをめくります。 「サニーの後継車か。なーんだ。名前を変えただけか」 「なに、マ−チの車台を流用?セコイなぁ」 本棚に戻そうとしましたが、 「新開発エンジン」 という言葉が目に残りました。 その昔、販売のトヨタ、技術の日産といわれていました。 とりわけ、評判が高かったのが、日産のエンジン。 軽くて、丈夫で、力強いエンジンでした。 ところが、トヨタもDOHCエンジンで巻き返して、 最近は、エンジンの差はないという評論家も出てきました。 オトーサン、 「経営再建中の日産が? お金のいちばんかかるエンジンを新開発した? ルノーにも提供するって、本当かいな? ...よし、買おうっと」 結局、"ティーダのすべて"を買ってしまいました。 これで、AIDMAの第二ステージに突入したことになります。 @Attention(注目) AInterest (興味) BDesire (欲求) CMemory (記憶) DAction (行動) そう、Interest(興味)の段階に到達したのです。 でも、日産よ、喜ぶなかれ。 まだ、売れたわけではありません。 買うのを決めたわけではないのです。 あくまでも、「I(イー)のだろうか?」と興味をもった段階。 「どうだ、ティ一ダだ!」 そう他人様に吹聴するには、ほど遠い段階なのです。
オトーサン、 アイドマの法則の 第2段階 Interest(興味)に入っております。 興味・関心をもって、いろいろ調べはじめたのです。 「まずは、スリーサイズを比較しようっと」 スリーサイズというと、 普通は、身長、体重、胸囲ですが、 女性なら、バスト、ヒップ、ウエストを思い浮かべるかも。 クルマの場合は、全長、全幅、全高となります。 このスリーサイズ、 クルマづくり、クルマ選びの基本中の基本。 これを無視して、ティーダを 自分が乗っているワゴンRと比べたり、 憧れのポルシェと比べようが、 カラスの勝手でしょうが、 グレードも、開発の狙いも違うクルマを比べるのは、 やはり、疑問があるといわざるをえません。 では、以下の3点から、 ティーダの位置づけを吟味してみましょう。 @ 日産車のポジショニング A 国産ライバル車との比較 B 輸入小型車との比較 @日産車のポジショニング 日産の小型車群、 軽自動車モコから小型車ブルーバードまで、 そのなかで、ティーダは、どんな位置付けになるのでしょうか。 全長の短い順に並べてみました。 一番短いモコから長いブルーバードまで、 1100mm(1m10cm)もの差がありますよね。、 以下、( )内は、ティーダとの寸法差です。 全長mm 全幅mm 全高mm モコ 3395(-810) 1475(-220) 1590(+ 55) マーチ 3695(-510) 1660(- 35) 1535( - ) キューブ 3730(-475) 1670(- 25) 1650(+115) ・ティーダ 4205 1695 1535 サニー 4360(+155) 1695( - ) 1425(-110) ブルーバード 4495(+290) 1695( - ) 1445(- 90) オトーサン、 「そうか、ティーダは、サニーよりも短くしたんだ」 ティーダの全長4205mmは、サニーの4360mmよりも、155mmも短いのです。 モデルチェンジすると長くなるのが普通なのに、 ティーダの場合は、短くしているのです。 「でも、マーチやキューブよりも、随分長いぞ」 マーチよりは、510mm(51cm)も長いのです。 したがって、1クラス大きく見えるはずです。 ブルーバードより 290mm短いので、やや小さく見えるかも知れません。 「全幅は、 1695mmか。こりゃいいぞ。ジャストサイズだ!」 オトーサンの経験からしても、 日本の道路では、このくらいの幅が一番使いやすいのです。 幅の広いクルマは、狭い道でのすれ違いや駐車に気を使います。 オトーサン、 「全高を高くしたんだ」 ティーダの全高は、1535mm。 サニーより、155mmも高いのです。 でも、このくらいだと、立体駐車場に入りますし、 屋根を洗うのも、まあ楽です。 前席のシートを高くできるので、 気持ちのいい視界を確保することもできそうです。 サニーから乗り換えたひと、 あるいは、流行のミニバンから乗り換えたひとは、 最初は、とまどうかも知れませんが、すぐ慣れるでしょう。 A 国産ライバル車との比較 次に、国産ライバル車のなかで ティーダの位置づけを見てみましょう。 その前に、どのクルマが売れ筋かを確認しておきましょう。 以下は、昨2003年の販売台数ベスト10です。 ベスト10入りした小型車に*印をつけましたが、 ティーダにとって、強敵が勢ぞろいしていることが分かるでしょう。 *1 カローラ 198,904 *2 フィット 182,285 3 ウィッシュ 158,658 *4 キューブ 139,570 *5 マーチ 123,709 *6 イスト 103,946 *7 デミオ 88,170 8 ノア 86,922 9 アルファード 83,529 10エスティマ 74,940 ティーダの月販目標台数は、5000台、年間で6万台。 *印のクルマたちに勝てるかどうか、興味深いところです。 では、スリーサイズを見てみましょう。 全長mm 全幅mm 全高mm *フィット 3830(-375) 1675(-20) 1525(-10) *イスト 3885(-320) 1695( - ) 1530(- 5) *デミオ 3925(-280) 1680(-15) 1530(- 5) ベリーサ 3975(-230) 1695( - ) 1530(- 5) *ランクス 4175(- 30) 1695( - ) 1470(-65) ・ティーダ 4205 1695 1535 シビック 4285(+ 80) 1695( - ) 1495(-40) *カローラ 4365(+160) 1695( - ) 1470(-65) アクセラ 4405(+200) 1745(+50) 1465(-70) プリウス 4445(+240) 1725(+30) 1490(-45) オトーサン、 「ティーダの全長、案外長いほうだ」 売れ筋フィツトよりも 375mm、デミオより 280mmも長いのです。 カローラ・ランクスやイストとは、ほぼ同じ。 カローラには、200mm負けています。 「全幅は、まあ、各車同じようなものだ」 強いていえば、イストの幅が少ないようです。 オトーサン、 「全高は、ティーダがすべてに勝っているぞ」 ミニバン全盛時代にあっては、 これまでの乗用車の車高では、 見下されているようですし、視界もうっとおしいので、 ティーダように背を高く、着座位置を高くするのは、 ひとつのスタンドードになるかも知れません。 少なくとも、このサイズならば、 軽自動車やマーチのように、 ミニバンや大型車に意地悪されることはないでしょう。 こうしてみると、スリーサイズからみると、 ティーダには、充分勝算があるのではないでしょうか。 (なお、発売後2週間で、ティーダの受注台数は、 目標台数の2倍である1万台を超えたそうです) B 輸入小型車との比較 欧州では、小型車、それもハッチバックが主流です。 VW、ルノー、プジョー、フィアット、 GMのオペルやドイツ・フォードといった 世界のメーカーが激しい競争を展開しています。 最近は、BMWやベンツがこの市場に参入していますし、 日本勢の販売もようやく軌道に乗りはじめました。 日本国内でも、国産小型車に飽きたらず、 輸入小型車に乗り換えるひとが増えています。 小型車は、世界の自動車メーカーの主戦場になっているのです。 その欧州では、以下のように、乗用車を全長で分類しています。 Aセグメント 〜3500mm Bセグメント 3500mm〜3850mm Cセグメント 3850mm〜4300mm Dセグメント 4300mm〜4650mm Eセグメント 4650mm〜4900mm Fセグメント 4000mm〜 参照:吉田 信美「急成長を続けるスモールカー市場」 http://www.jama.or.jp/lib/jamagazine/200303/03.html では、小型車が属するA、B、Cのセグメントについて、 それぞれ、スリーサイズを比較してみましょう。 @ Aセグメント 全長mm 全幅mm 全高mm スマート 2540(-1665) 1535(-160) 1550(+15) ・モコ 3395(-810) 1475(-220) 1590(+55) トゥインゴ 3425(-780) 1630(-65) 1535( - ) ベンツAクラス 3575(-780) 1719(-780) 1578(+43) ・ティーダ 4205 1695 1535 このAセグメント、 スマートやベンツAクラスなどが出てきて、面白くなってきました。 都市コミュータとして、パリやロンドンなどでも、 よく目にするようになってきました。 日本でいえば、軽自動車に当ります。 欧州では売られていまんが、参考のために、 日産初の軽自動車モコを並べて比較してみました。 これを見ると、Aセグメントに属するクルマは、 空間の狭さを高さで補っているのが分かります。 モコの全幅が、異常に狭いことがお分かりでしょう。 これは、国が以下の規格を定めて、 税制面などで優遇するのと引き換えに、 全幅を規制しているからなのです。 徳大寺さんの言うように、 例えば、1000cc以下といった排気量規制だけにすべきでしょう。 そうすれば、欧州でも堂々と戦えます。 これは、役所の怠慢です。 全長mm 全幅mm 全高mm 排気量cc 1951 3000 1300 2000 360cc 1998 3400 1480 2000 660cc 参照:前掲 吉田論文 オトーサン、 「へえ、そうなんだ」 ティーダの全高が、ルノーのトゥインゴと まったく同じというのは、新発見でした。 マーチとも同じでしたね。 欧州カーオブザイヤーを取ったパンダも同じ。 A Bセグメント 全長mm 全幅mm 全高mm ルポ 3525(-680) 1640(- 55) 1475(- 60) パンダ 3535(-670) 1590(-105) 1535( - ) ミニ 3625(-580) 1690(- 5) 1415(-120) ・ヤリス 3640(-510) 1660(- 35) 1510( -25) ・マイクラ 3695(-510) 1660(- 35) 1535( - ) ヴィータ 3740(-465) 1610(- 85) 1440(- 95) プント 3760(-445) 1625(- 70) 1460(- 75) クリオ 3810(-395) 1670(- 25) 1440(- 95) プジョー206 3835(-370) 1670(- 25) 1440(- 95) ・ティーダ 4205 1695 1535 輸入小型車では、このあたりが入門車でしょう。 価格的に手頃なので、プジョー206、オペル・ヴィータなど よく街角で見かけるようになりました。 欧州では、プジョー206、ルノー・クリオ、 VWのルポあたりが、覇を競っています。 仏で現地生産開始を開始したトヨタのヤリス(日本名:ヴィッツ)、 英国で現地生産の日産のマイクラ(日本名;マーチ)、 いずれも、欧州で堅調に販売を伸ばしているようです。 こうしたなかで、日産がルノーの傘下になりました。 量産を実現し、価格競争力をつけるために、 両社の共同開発が行なわれ、マーチとクリオ(日本名:ルーテシア)を 同じプラットフォームとするのは、当然のことでしょう。 B Cセグメント 全長mm 全幅mm 全高mm ポロ 3890(-315) 1665(-30) 1480(- 55) **ローバー200 3975(-230) 1695( - ) 1420(-115) **アウディA3 4150(- 55) 1735(+40) 1420(-115) ・ティーダ 4205 1695 1535 ゴルフ 4205( - ) 1760(+65) 1485(- 50) メガーヌ 4215(+ 10) 1775(+80) 1460(- 75) アルファ147 4200(+ 95) 1765(+70) 1430(-105) BMW 1シリーズ 4240(+135) 1750(+55) 1430(-105) オトーサン、 「どうしてなんだろう?」 ティーダのベースになるプラットフォームは、 マーチ/クリオですから Bセグメントに属するはずなのですが、 ご覧のように、ティーダは、Cセグメントに登場します。 このCセグメントは、最激戦区なのです。 ベストセラーのVWゴルフが王座に君臨し、 ルノー・メガーヌが激しく追い上げています。 ですから、ここで、ルノー・日産勢が 量産して、価格競争力をつけようとすると、 Cセグメント用に、新たにプラットフォームを開発するよりも、 Bセグメント用のプラットフォームを延長したほうがいいと 判断したわけです。 (ティーダのホイールベースは、2600mm。 マーチの2430mmを170mmも延長している) オトーサン、 「それじゃ、帯に短し、襷に長し。 かえって、中途半端じゃないのか?」 でも、国内でも、カローラの売れ行きがダントツですから、 並みのやり方では、勝ち目がないので、 苦肉の策で、そういう意思決定がなされたのでしょう。 オトーサン、 このセグメントに属する**印をつけた ローバー200とアウディA3('97model)に乗っていました。 その体験からすると、日本の道で走る分には、 ローバー200のほうが、気楽でした。 アウディA3を買ったら、 「おっ、3ナンバーじゃん!」 5ナンバーよりも、エラクなったような気がしましたが、 路地を走りにくいこと。 全幅が1735mmと1700mmを上回ったからです。 「何で、こう幅を大きくするの? 走りにくいじゃん」 欧州では、道路もそう狭くないので、 側面衝突安全性を確保するために、全幅を拡大する傾向にあります。 ここで、日本の自動車規格に触れておくと、 全長mm 全幅mm 全高mm 排気量cc 1933 2800 1200 1800 - 現在 4700 1700 2000 2000 参照:前掲 吉田論文 上記の全長から排気量までのいずれかを超えると 5ナンバーから3バンバーになります。 ただ、自動車税は、排気量で変わるので、 全幅が 1700mm以上になろうと、 排気量が2000cc以下ならば、税金は増えません。 ティーダも、1700mm以上にしてもよかったのでしょうが、 1695mmとしたのは、日本の道路事情を最優先したのでしょう。 C Dセグメント 全長mm 全幅mm 全高mm ・ティーダ 4205 1695 1535 プジョー307 4310(+105) 1760(+ 65) 1530(- 5) ・アクセラ 4405(+200) 1745(+ 50) 1465(- 70) アルファ156 4430(+225) 1755(+ 60) 1415(-120) ・プリウス 4445(+240) 1725(+ 30) 1490(- 45) BMW3シリーズ 4471(+266) 1739(+ 44) 1415(-120) ベンツCクラス 4535(+230) 1730(+ 35) 1425(-110) アウディA4 4555(+250) 1765(+ 70) 1430(-105) ラグナ 4580(+375) 1790(+ 95) 1435(- 10) プジョー406 4600(+305) 1780(+ 85) 1430(-105) ベクトラ 4610(+405) 1800(+105) 1465(- 70) ・アベンシス 4630(+225) 1760(+ 65) 1480(- 55) ・アコード 4665(+460) 1760(+ 65) 1470(- 65) オトーサン、 BMW3シリーズ、ベンツCクラス、アウデイA4... 「やはり、ここに並べると、見劣りするなぁ」 やはり、テイーダは、Cセグメントのクルマなのです。 「変だなあ?」 そうなのです。 プジョー307は、ゴルフの対抗馬ですから、 Cセグメントに属するはずなのに、Dセグメントに顔を出しています。 上級車のプジョー406と一緒のハズはないのです。 このあたりにも、 セグメントの定義がやや崩れてきていることが窺われます。 フォード傘下となっているマツダの アクセラ・スポーツだって、実質的にはCセグメントでしょう。、 オトーサン、 「やはり、格落ちかぁ」 これまで乗っていたアルファ156は、Dセグメントなので、 Cセグメントのティーダへの乗り換えは、格落ちです、 でも、アルファ156のホイールベースは、2600mmと ティーダと同じなのです。 日産の技術陣の頑張りが窺えなくもありません。 オトーサン、 スリーサイズを長々と研究してきましたが、 こうしてみると、ティーダは、 本来は、BなのにCセグメント、 ある面ではDセグメントにも匹敵する。 クラスレスであるとも、言えるかも。 「素性はよさそうだ。出色のクルマかも。 実物をみたくなったなぁ。 できれば、一度、試乗してみたいなぁ」 オトーサン、 Interest(興味)が深まってきたようです。 あるいは、 アイドマの法則の第3段階:Desire(欲求)か。 その入口に差しかかってきているのかも知れません。 日産関係者は、乞う、ご期待!です。
オトーサン、 「ティーダのすべて」についていた 縮刷カタログをもとに吟味しました。 (4W車は除く) 型式名 ミッション 価格 15S 4AT 142万8000円 15M CVT 157万5000円 15G CVT 172万2000円 オトーサン、 「157万円の15Mは、お値打ちかも。 アルファロメオを下取りに出したら、お釣りがきそうだ。 その分で、オプションもつけられそうだ」 以下は、中間グレード15Mのデータです。 主要諸元表 コメント 全長 4205mm 全幅 1695 全高 1535 ホイールベース 2600 トレッド前 1480 トレッド後 1485 最低地上高 145 室内長 2035 大型車並みだ! 室内幅 1390 室内高 1240 車両重量 1140kg ちょっと重いな 最小回転半径 5.2m 5m以下でなくちゃ 10・15モード燃費 18.2km/L フィットは19.2 エンジン型式 直4DOHC 内径×行程 78.0mm ×78.4mm 排気量 1498cc 非力かなぁ? 圧縮比 10.5 高いぞ! 最高出力 109ps/6000rpm たったの109馬力? 最大トルク 15.1kgm//4400kgm 使用燃料 レギュラー こりゃウレシイ タンク容量 45L 少な過ぎない? ミッション CVT CVTか、いいなぁ ステアリング形式 ラック&ピニオン サスペンション前 ストラット サスペンション後 トーションビーム ダブル・ウィシュボーン ブレーキ 前 Vディスク じゃなかったか ブレーキ 後 リーディングトレーリング タイヤ 前後 185/65R15 15インチタイヤだ! オトーサン、 アイドマの法則の 第3段階 Desire(欲求)へと急速に向かっております。 「次は、オプションか」 オプションもメーカーとデーラーの2種類があります。 以下は、主要なものに限っています。 ・主要装備一覧(●=標準 △=オプション ) コメント グレード 15S 15M 15G ミッション 4AT CVT CVT 価格(万円) 142.8 157.5 172.2 (視界) ハロゲン・ヘッドランプ ● ● ● キセノン・ヘッドランプ △ △ △ これキライだ. フォグ・ランプ ● 欲しいけど... 自動消・点灯ライト ● ● こりゃ有難い! プライバシーガラス △ ● ● 電動格納式ドアミラー ● ● バックビューモニター △ △ 欲しいなぁ... サイドブラインドモニター △ △ 要るのかな ? 熱線リアウインドウ ● ● ● (運転席回り) 電動パワーステアリング ● ● ● 足踏式パーキングブレーキ ● ● ● これキライだ. タコメーター ● ● ● 液晶オド・ツイン・トリップメーター ● ● ● 瞬間燃費計 ? 本革巻ポークステアリング ● 欲しいけど... ステアリングスイッチ △ △ 要らないなぁ. 助手席バニティミラー ● ● 12V電源ソケット ● ● ● ディムランプ ● ● メタル調パネル ● ● 15Lグローブボックス ● ● ● こりゃ有難い! カップホルダー ● ● ● これ便利かも. リモートコントロールエントリーシステム ● ● ● インテリジェントキー △ △ △ 要るのかな ? エンジンイモビライザー △ △ △ 要るのかな ? (空調) エアコン・シャットダイアル● ● ● こりゃ有難い! オゾンセーフ・エアコン ● オゾンセーフ・オートエアコン(除菌機能付き) ● ● クリーンフィルター ● ● ● 花粉フィルター △ △ △ オプションか? (オーディオ) カーウイングス対応TV/DVDナビシステム △ △ ナビ持ってる! MD・CD一体AM/FM+6スピーカー △ △ ● 要らないなぁ. MD・CD一体AM/FM+4スピーカー ● ● ETCユニット △ △ △ 持ってるけど. 可倒式ルーフアンテナ ● ● ● こりゃ有難い! (シート・内装) 運転席シートリフター ● ● ● フロントセンターアームレスト △ ● ● リアセンターアームレスト ● ● リアシート・リクライニング ● ● こりゃ有難い! リアシートスライド ● ● こりゃ有難い! 助手席シートバックポケット ● ● リバーシル・フロアボード ● ● こりゃ有難い! トノカバー ● ● こりゃ有難い! リア可倒式64分割シート ● ● ● こりゃ有難い! ラゲッジフック(8ケ) ● ● ● こりゃ有難い! (外装/タイヤ) 電動ガラスサンルーフ △ △ △ 要らないなぁ. ルーフスポイラー △ △ △ 要らないなぁ. 15インチタイヤ ● ● ● こりゃ有難い! アルミホイール △ △ △ 要らないなぁ. (安全) 運転・助手席エアバッグ ● ● ● サイドドアビーム ● ● ● SRSカーテンエアバッグ △ △ △ 要るのかな ? 前席アクティブヘッドレスト● ● ● EBD+ABS+ブレーキアシスト ● ● ● こりゃ有難い! 運転席肩&腰プリテンショナー・シートベルト ● ● ● LED式ハイマウント・ストップランプ ● ● ● こりゃ有難い! 歩行者障害軽減ボディ ● ● ● こりゃ有難い! オトーサン、 「うん、やはり、中間グレードの15Mでいいや。 必要にして充分だもの」 だんだん興に乗ってきました。 縮刷カタログのデータをしっかり見終わると、 次は、新車紹介や試乗記へ。 気になるところに、アンダーラインを引きはじめました。 「赤ペン先生を思い出すなぁ、受験勉強、大変だった」 以下は、その赤線部分を整理したものです。 そうそう、「ニューモデル完全ガイド ティーダ」(アポロ出版) を見つけて、買いました。 また、「CAR and Driver」(11-10号)と ベストカー(11-10号)にも、 ティーダの記事が載っていたので、 買ってしまいました。 そんなことで、赤線を引いた数が多くなったので、 以下の4つに分類してみました。 @エンジン Aシャシー Bボディ C装備 オトーサン、 それぞれの項目について、 ◎○△×の4段階の採点をしてみました。 本を読んで受けた印象に基づいたものです。 まだクルマを見ていないし、試乗もしていない段階のものですが、 間違っていたら、ゴメンンナサイ。 @エンジン ◎ 中低速域トルク重視の新オールアルミ製エンジン (109馬力、トルク15.1kgm) △ 高回転域が苦手 ◎ 反応のいいCVTとの組み合わせ ◎ 低燃費(リッター18.2km) ◎ 静粛性&吸遮音性能 Aシャシー △ マーチやキューブと同じ車台 ○ どっしりした走りで直進安定性も高い △ ステアリングフィール ◎ 微弱振動を抑えるリップルコントロール ◎ 安定した乗り心地のリバウンドスプリング X 突起物を越えたときの突き上げ感 △ ブレーキのタッチ感がキツ目 X マーチと同じフットブレーキペダル △ 下り坂のエンジン・ブレーキの効き Bボディ ○ 空気抵抗係数 0.29 X 左右分割のフロント・マクス;鼻輪をつけた牛にみえる? ○ サイドのロアーボディー膨らみ ○ 立体感のあるリアビュー ○ ドーム状のルーフ ○ 塗装品質のよさ △ インテリア・デザインの上質感 ○ 大型セダン並みの有効室内長 ◎ ゆったりしたフロントシート ○ ハイト調整60mm ◎ 使い易い多くの小物入れ ◎ 後席、240mmのロングスライド ◎ 後席、10段で40度のリクライニング △ ラゲージルーム容量(269L〜463L) X ラゲッジルームの開口部の狭さ ○ リバーシブル・フロアボード C装備 ○ 室内パッドの優しいさわり心地 ○ 多様な小物入れ ○ 15インチタイヤ(185/65R15) X 後席中央のヘッドレストと3点式シートベルトなし ○ カーウイングス対応TV & ナビゲーション ◎ サイドブランインドモニター ◎ バックビューモニター ○ インテリジェント・キー オトーサン、 「ふーっ。疲れた」 装備品の複雑さには、正直、参りました。 「最近のクルマって、 ごちゃごちゃ、ごちゃごちゃ...」 いろんなものがついていれば、便利で快適ですが、 ちと、行き過ぎでは? もっとも、メーカーにしてみれば、 これでしっかり金儲けしようというのでしょうが... 「トヨタは、利益1兆円かぁ」 オトーサン、 でも、すでに、デザイア・モードになっています。 頭の中で、昔、流行った中森明菜のメロディが流れております。 ♪デザイア〜 ゲラ、ゲラ、ゲラ、ゲラ、バァーニハ〜〜〜〜ァ オトーサン、 また、冷静さを取り戻して、 「やはり、一度、現車を見ておかないことには...」 現車をみるのが吉と出るか凶と出るか。 買うのか、買わないのか。 話が、パーにならないのか。 ♪バァーニハ〜〜〜〜ァになるのではないか。 関係者は、さぞ気がもめることでしょう。
オトーサン、 10月7日の朝を迎えました。 「どこにあるのかなぁ?日産のディーラー」 16号線沿いの柏・呼塚交差点は、 渋滞名所なので、そこには近づきたくありません。 国道6号線を松戸方面へ走ってみます。 「あった!」 赤い看板ですから、レッドステージでしょう。 狭い入り口から、駐車場へ。 ここも修理待ちの車両などがギッシリ。 「どこに駐車しようか?」 迷っていると、すぐにメカニックが飛び出してきて、 誘導してくれました。 「フーン、いいディーラーだなぁ」 先日行ったホンダでも、BMWでも、 しばらく、無視されました。 「お客がやってきたら、出迎えろ。基本だろうが」 そんなことがあったので、好感を抱きました。 日産サティオ千葉北営業所です。 みなさん、覚えておいてください。 オトーサン、 早速、ショールームの前に展示されたティーダへ。 ボディーカラーはシルバー、内装色はブラック。 テーマカラーのハーベスト・イエロー、 そして、内装ベージュのクルマが置いてありません。 ゴーンさん、 「何やってるの?」 やってることがチグハグです。 客が見られないテーマ・カラーなんてねえ。 さて... ボディは、思ったよりも大きくみえます。 近寄ってきたセ−ルスマンに、言います。 「ちょっと、待ってね」 誰にもジャマされずに、 ティーダの気になっていた点をチェックしたいのです。 オトーサン、 まずは、スタイルをチェック。 「フーン、このフロント・マスク、 誰かが鼻輪をつけた牛にみえるといっていたけど」 それほどではありませんが、マーチと同じ3分割。 ちょっと安っぽく感じるのは、貧乏人のヒガミでしょうか? この3分割マスクは、欧州で日産車の顔だそうですが、 日産の上級車では、そんなもの採用していません。 それに比べて、リアは、大変、気に入りました。 大きなリアのコンビネーション・ランプ、 その伸びやかな線が印象的です。 結果、トランクの開口部が極端に狭くなっていますが、 こんなリアビュー、珍しいのでは。 オトーサン、 セールスマンが説明したがるのを制して、 「サイドはどうかな?」 室内空間を大きくとろうとすると、 勢い、サイドは、平板になってしまいがちですが、 ロアーボディが豊かにふくらんでいて、 なかなかいい感じです。 「なるほど、なるほど」 感心したのは、ルーフの形状。 運転席の真上にアーチのてっぺんがきて、リアに流れ、 そして、かなりの傾斜で終わっています。 これがストンと落ちたらお終い。 バンみたいな生活感に漂って、オトーサンの美学に反します。 全体の印象は、 「ちょぅと、おとなしいかなぁ。 フロントとリアの調和がイマイチだけれど、 背の高さをうまく処理して低くみせて、躍動感を出している。 まぁ、いいデザインだろう」 シルバーのボディカラーも影響しているかもしれませんが、 ちょっと地味なクルマという印象も受けますが、 街で走り出したら、すぐにティ−ダと識別できるかも。 このアイデンティティ、新しい日産車の特徴です。 オトーサン、 「次は、運転席だ」 ドアを開けます。 「ん?このドア、物足りない」 アウディ、そしてミニでも、ドッシリ重たい感じでした。 軽自動車ほど薄っぺらではありませんが、軽いのです。、 ドア・ノブの形状も、一工夫ほしいところ。 「計器盤は? イマイチだなぁ」 ハンドルの正面に丸い3連メーター。 中央が速度、左が回転計、右が距離計・燃費計。 カタログ写真の撮り方が下手で、 暗くてよく分からなかったのが、確認できました。 写真から受けたよりも好印象でしたが、 ここは、運転中に一番よく目に入る場所。 心躍るデザインや色使いがほしいところ。
オトーサン、 「これか、ラクビーボール型は」 ナビ、オーディオ、エアコンをまとめて、中央に配してします。 色目が暗いので、横方向の伸びやかなラインが断ち切れています。 ダイヤル式で操作しやすいのは、いいのですが、 そのダイヤルがマーチと同じ。 「まあ、予算の関係だろうが...」 オトーサン、 ティーダの運転席に乗り込みます。 ドアが思ったよりも大きく開くし、 着座位置も高いので、スムースに乗り込めました。 「このシート、いいじゃないか!」 シートは、日産が自慢するだけあって、 座面が大きく、奥行きもあって、腿にぴったり、背の高さも充分。 左右のサポートの張り出しが少ないのは、残念ですが、 これは、アルファロメオと比べてのもの。 「スポーティ・サルーンじゃないんだからなぁ」 ステアリングは、これも本革ではありませんが、 まあ握りやすいし、大きさも、デザインもまあまあ。 肘を置いた左右のアームレストの感触もソフト。 これは、日産苦心の作りこみの成果とか。 「へえ、ほんとだ!」 ゆったりしたシートにするために、 シート・アジャスターやハイト・アジャスターを 窓際でなく中央に持ってきています。 「逆転の発想。独創的だぞ!」 ここまで深く考えたのは、大したものです。 シート・アジャスターを操作します。 一番低い位置と、一番高い位置の視野を確認しました。 「スポーツカー気分にも、ミニバン気分にもなれるかも」 ラチェット式ですから、シートを倒すのも簡単です。 欧州車は、ダイヤル式なので面倒です。 「どこでも、気軽に昼寝できそうだ」 年をとると、こうした使いやすさがとても有難く感じられます。 オトーサン、 運転席回りに、ほぼ満足して、リアシートへ。 雑誌には、足がドアに引っかかると書いてありましたが、 そんなことはありません。 90度くらいの角度で開くのでは。 セールスマンに話しかけます、 「実は、ここが、ポイントなんだ」 毎朝、送らせる娘の悪口を言うチャンスです。 「ヤツは、リアシートで寝そべるんだ。 まあ、いいけどなぁ... 毎晩、疲れ切って、帰ってくるかならなあ」 セールスマン、 リアシートのスライド方法を教えてくれました。 「すごいね」 「こうすると、シーマ並みになるですよ」 「前方につめてくれる?」 フロントシートにピッタリつけたので、勿論、座れません。 「これも、セールスポイントなんだ。知ってる?」 「?」 「フロントシートに座ってみて」 「はい」 若いのに、とても素直なセールスマンです。 小柄で小太りで愛嬌のある顔は、昔の部下のひとりにそっくり。 何だか、昔にもどった気がしないでもありません、 「荷物、置きやすいだろう」 手を伸ばさなくても、スーパーで買った袋などを リアシートに簡単に置けるのです。 「なるほどねぇ」 「奥さん方をくどくとき、やって見せるといいよ」 彼、感激しています。 「スゴイですね。気がつかなかった」
オトーサン、 そんなお遊びにはすぐ飽きて、 本来の目的に立ちもどります。 娘のマネをして、リアシートにゴロンと寝転びます。 「落ち着かないなぁ」 リアシートの中央部分が心持ち盛り上がっているためです。 「じゃぁ、こうしてみるか」 リアセンターアームレストを引き出して、 枕代わりにしてみました。 「痛い!」 フロントセンターアームレストは、 パッド入りでやわらかいと大宣伝しているのに、 リアのほうは、プラスティック丸出し。 とても頭を乗せて寝られるものではありません。 「何よ、これ!」 娘に断固、ノーと言われそうです。 オトーサン、 「リクライニング・レバー、どこにある?」 「ここです」 「ああ、そうか」 一番後ろまで、倒してみました。 後席、10段で40度のリクライニングとありましたが、 こうやって実際にためしてみると、すぐ分かります。 「こりゃ、いいや」 リアシートを一番前に押し出して、 リクライニングを一番寝かせると、 航空機のファーストクラス並みのシートに早変わり。 これなら、娘も、大衆車ティーダを見直すかも。 オトーサン、 「いいね、いいね」 を繰り返して、再び、フロントシートへ。 今度は、助手席。 確かめたかったのは、グローブ・ボックスの容量。 これまで、いろんなクルマを乗り継いできましたが、 グローブ・ボックスだけは、不満足。 アルファロメオなど車検証入れを収納するのがやっと。 ところが、このティーダ。 CDを立てて、20枚は入りそうですし、 小型のティッシュ・ボックスだって入りそうです。 しかも、2段になっていて、下には、車検証が入ります。 蓋の開閉も、スーッと。 ダンパー付きなのでしょうか。 オトーサン、 「そうそう、トランクルームをチェックしなければ」 見たかったのは、狭い開口部で、 荷物の出し入れがダイジョウブかどうか。 「問題ないなあ。 悪いけど、リアシート倒してくれる? 荷室を広くしたカンジを掴みたいから」 セールスマンの彼、俊敏です。 イヤなお客と思っているのかも知れませんが、 気持ちよく、動いてくれます。 「そうか、段差が出来るのか。まあいいか」 平らになれば、見た目、いい気持になるだけ。 段差があろうとなかろうと構いません。 ゴルフバッグが2個とバッグ2個は入りそうです。 これだけ積めれば問題なし。 「それより、これ気がきいているなあ」 リバーシブル・フロアボードを採用したとは、最高です。 雨に塗れた傘や靴を置くことは、よくあるでしょう。 そんなとき、カーペットでは、汚れが気になります。 それが、裏返しにすれば、耐水ボードに早変わり。 これからのクルマは、こうした生活者の立場になった 親切設計が大事です。 馬力が、どうのこうのと言うのは、初心者。 ステアリング・フィールがどうのこうのと言うのは、 クルマ・オタクにとどまっている証拠。 オトーサン、 ふりむいて、言います。 「このクルマ、気に入った。 ざっと見積りしてくれる? それからアルファロメオの査定も」 セールマンの顔が光り輝きます。 「甘いな、こいつ」 見積もりや査定をしてもらったところで、 買うと決めたわけではありません。 クルマを買うのは、ダイコンを買うのとは違うのです。 いわば、生涯の伴侶を決めるようなもの。 最近の若いひとって、 つきあって、セックスして、しばらく同棲してみて それから決めるそうじゃありませんか。 (トンデモナイことですが...) それで相性が悪かったら別れたっていい、 そう割り切っているみたいです。 いい思い出か、悪い記憶になるかはともかく、 「思い出だけは、残るじゃん」 オトーサン、 そうなのです。 いよいよ、 アイドマの法則の第4段階に差し掛かってきたのです。 ご記憶でしょうか? @ Attention(注目) A Interest (興味) B Desire (欲求) C Memory (記憶) D Action (行動) 第4段階は、Memory(記憶)でしたよね。 オトーサン、鼻歌まじりに 「♪メモリー〜」 せっかくですので、 ここで歌詞を紹介しておきましょう、 ♪Memory All alone in the moonlight I can smile at the old days I was beautiful then I remember the time I knew what happiness was Let the memory live again これって、ミュージカル「キャッツ」の歌。 "Let the memory live again" (よき思い出、いまふたたび)
キャッツ、本場のブロードウェイで見ましたよー。 伸びのあるソプラノ。 哀切なメロディに、胸かき乱れる思いでした。 このメモリー、なぜ涙が溢れてくるのでしょうかねぇ。 オトーサン、 でも、「猫」のことなんか、 いまは、どうでもいいのです。 実は、セールスマンが査定に行っている間に、 昔の懐かしいクルマの思い出の数々を ティーダに重ねていたのです。 初めて買った1500ccのコロナ。 「対抗車だったブル−バード、何ccだったっけ」 あれは何年前のことだったのでしょう。 黒い試走車の時代でした。 オトーサンは、行きませんでしたが、 Aクンなんか、双眼鏡片手にとある丘の上へ。 「ブルーバードの次期モデルだ!」 どこだったと思いますか? 日産の追浜工場でした。 テストコースがあって、覆面車が走っているのです。 盗撮した写真をもとに、対策会議。 そんな時代もあったのです。 そして、いま、時代は流れて... ティーダが、その追浜工場で生産されているのです。 「ブル(ブル−バード)は、よかったなぁ。 敵ながらアッパレ。 よく走ったし、使いやすかったし、 華美でなくて、最小必要限の装備がついていて...」 オトーサン、 またもや、冷たく言い放ちます。 「大体、ティーダ、標準装備のつけすぎ。 それを省けば、100万ちょい超に収まるはず。 さて、いくら値引きするか、それが問題だ」 日産関係者の方々、 気をもたせてゴメンナサイ。 このお話し、条件次第では... ♪バァーニハ〜〜〜〜ァになるかもね。
オトーサン、 戻ってきたセールスマンから ティーダのカタログをもらいます。 ぺらぺらっとめくって、すぐに見終わりました。 セールスマンの彼、怪訝な顔をします。 「ティーダ姫の縮刷判を見たからね」 「?」 「ファイナルファンタジー、知らない? PS2の。 あの女主人公がティ−ダ姫だった」
セールスマン、 「そうですか。で、いかがですか?」 「何が?ああ、最低だね、このカタログ、サイ"ティーダ"」 セールスマン、 せっかく本題のクルマの話になったかと思ったのに、 今度は、カタログの話になってしまったので、 拍子抜けしたのでしょうか、 せっかくのオヤジ・ギャグが通じなかったようです。 オトーサン、 カタログが不出来の理由を説明しはじめます。 「このティーダのカタログ、A4版でしょ。 それを縦に使っているよね。おかしいと思わない?」 「?」 「クルマって、横長でしょ」 「はい」 「クルマを大写しして、見開きページに収めると、どうなる?」 「?」 論より証拠。 2〜3ページにある見開き写真をみせます。 「ほら、物の見事にボディが切断されている」 「なるほど」 「気持ち悪くない?」 「...」 「ほかにも、いろいろあるよ。 例えば、12〜13ページがそうだけど、 これって、おかしくない?」 「運転席と計器盤が写っていますね」 「そう、これは、助手席の窓の外から撮った写真だよね。 だから、一番大きく写るのは、手前にあるグローブ・ボックス。 どうして、そんなことをするのかね。 ステアリングの前にある3連メーターの文字、見える?」 「いや、黒くなっていて見えませんね」 「そう、スピードメーターとタコメーターと距離計だろうけれど、 これじゃぁ、その区別もつかないよねえ」 「そういえば、そうですね」 「どこか他のページに3連メーターがきちんと写ってないか 探してみたら、14〜17ページ、それに31ペ−ジにもある。 でも、肝心の3連メーター、すべて黒く塗りつぶされている」 「なるほど」 「計器盤の大事さがわかっていないんだろうね。 ほかにも数え切れないほど問題がある。 これって、"サイティーダ"のカタログだよ。 おそらく宣伝部の新人が広告代理店に丸投げしたんだと思うよ」 「?」 「ウチでも、そうだった。 宣伝部のベテランは、新聞広告やTVコマーシャルを担当して 地味なカタログは、クルマを知らない新人が担当するんだ。 だから、どうしても、こういうヒドイことになる」 「へぇ、そうなんですか」 「でも、先代のマーチのカタログは出色だったよ。 オシャレで、かゆいところまで行き届いていた。 まあ、10年もモデルチェンジしなかったから、 カタログで頑張るしかなかったんだろうけれど」 オトーサン、 これだけ言っても、 セールスマンが納得していない様子なので、 鞄から、たまたま持ち歩いていたMINIのカタログを取り出します。 版は小さいのですが、90ページもあります。 印刷インクの匂いが立ち上ります。 「ほら、表紙を比べてみて!」 「...」 「MINIのほうは、シズル感があるでしょ」 「シズル?」 「英語で、SIZZLE。ステーキなどのジュージューいう音のこと。 つまり、クルマ好きなら、よだれが出るような写真っていうこと」 「はあ、そういうことですか」 「ティーダのほうは、どう?」 「ピンときませんね。お尻だけ撮っている」 「表紙で、しょっぱなから、 お客に尻をみせるなんて、失礼だと思わないか?」 「...」 「このMINIの計器盤の写真、見て!」 「いいですねえ」 「でしょ、これ見ると、思わずドライブしたくなるでしょ。 つまり、ドライバー心理を知りぬいている。 そのうえで、シズル感を表現できる技術やスタジオがある」 「スタジオ?」 「そう、昔、宣伝部時代にスタジオを作ったことがある」 「?」 「このテイーダのカタログの写真、ロケで撮ったのは3点だけ。 あとは、みんなスタジオ撮影だと思うけれど、 その質がみんなヒドイ!ヒドスギル!!」 「これって、ベイ・ブリッジですよね」 「そう、この8〜9ページの写真はなかなかいいね。 11〜12ページのも、まあまあ。 欲をいえば、写りこみの処理が下手だけど。 36〜37ページのは、埠頭で撮ったんだろうけど、 まあ、いい感じにはなっている」 「ほかは、スタジオ撮影ですか?」 「そう、今度は、この2・3ページのタイヤの撮り方を見て。どう?」 「あっ、ショッパナからタイヤが切れてますね」 「だろ。面倒くさいから、もうイチイチ言わないけど、 ほかの写真をみると、タイヤがみんな黒く塗りつぶされている。 きちんと照明を当てていないんだ。 カローラ・ランクスのタイヤ、確か14インチしかなかったよね。、 ティーダは、15インチを奢ったんだよね。 これって、強力なセリング・ポイントでしょうが... それなのに、こういう撮り方をするというのは、 商品知識がないのか、 スタジオの照明設備が悪いのか、 工場の撮影車両の提供台数が少なく遅れたのか、 あるいは、ムラーノやフーガなどの撮影が立てこんで、 ティ−ダの撮影のほうは、やっつけ仕事になったのかも...」 オトーサン、 「それに、このテーマ・カラーの、 ハーベスト・イエロー、どうみえる?」 「どういうことですか?」 「黄色の発色が、みんなページ毎に違っている。 これなんか、スミが入りすぎて、薄汚れて見える」、 「そうですか?」 「分からないかなぁ。 じゃ、この雑誌広告の色と比べてみて」 「はぁ、そうですね」 「ハ−ベスト・イエローが純金・山吹き色に輝いているでしょうが。 これなら、シズル感がある」 「確かに、言われてみれば、そうですね」 オトーサン、 いずれにせよ、 このカタログの出来の悪さをみると、 日産本社では、 感性品質(Perceived Quality)などと カッコいいことを言っているのに、 肝心のユーザーとの接点では、感性どころか、未完成。 誰もカタログの感性品質のチェックなどしていないのでしょう。 「オレが担当だったら、 こんなカタログ、ゲラ段階でシュレッダーにかけるけどなぁ。 まあ、ある種の事情も分からんではないが...」 だって、日産の社員が買うのは、日産車だけ。 職位・階級で買うクルマが決まっているから、 カタログなんか必要ないのです。 「カタログ、要るの?」 そんな気風があるから、 どうしても、予算やお金の面で宣伝部にシワヨセがくるのでしょう。 でも、ユーサ−の身になってみてください。 カタログを抱いて寝て、 夜中に目が覚めてじっと読みふけって、 一語一語を暗記したりしているのです。 いわば、カーライフにあって、 カタログと向き会うときは、至福の時。 それが、"サイティ−ダ"では、買う気も失せるでしょう。 「ゴーンさん、 カタログなんかに目を通してないんだろうなぁ。 本社をミナト・ヨコハマに移すのに忙しくって...」 オトーサン、 すっかりティーダ姫への熱が冷めて、 「見積りは、後日、連絡して」と言い残して辞去しました。 家に向かって走っている途中、 細川たかしさんの唄が口をついて出てきました。 (心のこり 作詞:なかにし礼 作曲:中村泰士) ♪あなたバカよね、おバカさんよね うしろ指うしろ指 さされても... ウロ覚えですから、その後の歌詞が出てきません。 オトーサン、 「テイーダのカタログ、サイティーダだったなぁ」 あんないい加減なカタログしかつくれないなんて... 日産の国内販売の先行きは、暗いかも。 「誰だって、カタログをみたら、買う気が失せるぜ。 ...ゴーンさんが社長をやめて、 フランスに帰ってしまったら、即、ジ・エンドかも」
オトーサン、 帰宅するまでに、何とか歌詞を思い出しました。 確か、こんな風でしたよね。 ♪あなたバカよね、おバカさんよね うしろ指うしろ指 さされても あなたひとりに 命をかけて 耐えてきたのよ 今日まで 秋風が吹く 港の町を 船が出ていくように 私も旅に出るわ 明日の朝早く そう、ゴーンさんは、いずれ船出するひとなのです。 オトーサン、 来店し、見積もりや査定の依頼をし、 いよいよ、アイドマの法則の第5段階である Action(行動・購買)段階に差しかかったのに、 @ Attention(注目) A Interest (興味) B Desire (欲求) C Memory (記憶) D Action (行動) その心は、急激に秋冷え状態へ。 心のこりの歌詞、 三番のはじめの部分は、確かこんな風でした。 ♪あきらめが あきらめが 悪いのね 一度はなれた 心は二度と もどらないのよ もとには オトーサン、 一時は、夜も寝られないほど、 ティーダ姫を恋しはじめていたのに、 心変わりをしてしまいました。 「ヒドイって?」 そんなことはありません。 「男心と秋の空」というではありませんか。 ちがったっけ?、 いずれにせよ、AInterest(興味)すら失おうとしていたのです。 日産関係の方々、 もう期待しないでください。
オトーサン、 10月9日の朝は、5時起き。 NHKの天気予報を聞いてから窓を開けます。 庭の新鮮な空気が入ってきました。 柿の木の葉がさほど揺れていないのを確認します。 「この分じゃ、台風は、午前中には来そうもないな」 娘を駅まで送って、日産サティオ千葉北へ直行しました。 今日は、土曜日、ティーダの試乗会の日なのです。 ディーラーには、他のお客さんはまだ来ていません。 一番乗りです。 読者のみなさん、 「あれっ、ティーダ姫、やめたんじゃないの?」 「そりゃまあ、いろいろあったからねぇ」 実は、ティーダ姫が復活したのです。 一昨日のことでした。 奥方、 「日産のセールスマンがきてるわよ」 オトーサン、 昼寝をしていて、 「えっ?」 奥方、 「何でも、お届けものがあるって」 オトーサン、 「何しに来たんだろう?」 玄関から駐車場へ、渋々、出ていきます。 「何の用?」 「あのぉ。ミニのカタログ、お忘れになったので、 お届けに上がりました」 「そうか、忘れてきたか」 カタログを受け取って、 「...わざわざ、忙しいところ悪かったねぇ」 「いえ、どういたしまして。じゃ、これで失礼します」 セールスマン、頭を下げて帰っていきました。 オトーサン、 急に気持ちが軟化してしまいました。 「いい奴だなぁ。真面目な奴だなぁ」 いまどき、これだけ熱心なセールスマンは、 そういないのではないでしょうか。 その昔、全国優秀セールスマン表彰式を担当したとき、 彼らから、ナマの声を聞いたことがあります。 お客さんになかなか話を聞いてもらえないので、 クルマで一夜を明かしたセールスマンがいました。 早朝、自宅の前で彼を見かけたお客さんが根負けして、 「分かった。キミから買ってやろう」 そんな美談が、ゴマンとあったものです。 オトーサン、 久しぶりに感激しました。 「まだ、いいヤツがいたんだ」 こういうセ−ルスマンがいるディーラーは、 いいディーラーではないでしょうか。 こういう素晴らしいセールスマンがいる日産は、 そう捨てたもんじゃないのかも... オトーサン、 ここで、謹んで訂正いたします。 前回、引用した細川たかしさんの唄の歌詞、 よく調べたら間違っていました。 (誤) ♪あなたバカよね、おバカさんよね (正) ♪わたしバカよね、おバカさんよね そうなのです。 おバカさんは、日産ではありませんでした。 おバカさんは、オトーサンだったのです。 カタログが不出来だからといって、 ティーダ姫をソデにするのは、本末転倒もいいところ。 ティーダ姫は、 11月の新車販売ベスト10入りは勿論のこと、 ひょっとしたら、今年のカー・オブ・ザ・イヤー受賞だって ありうるかもしれない日産久々の名車。 そこらのお手軽クルマと比べるのもおこがましい。 「控えおろう、この紋所がみえぬか」 「へーっ」 ベリーサ、ランクス、イスト、フィットが、 地べたにひれ伏す入魂のクルマなのです。 「ちょっといれこみすぎかも...」 オトーサン、 いま、銀色に輝くティ−ダ姫の前に立っております。 近くでみると、カタログとは大違いの存在感。 ティ−ダ姫が囁きかけてまいります。 ♪目と目で通じ合う かすかに色っぽい 目と目で通じ合う そういう仲になりたいわ (MUGO・ん...色っぽいわ 作詞:中島みゆき 作曲:後藤次利) オトーサン、 このところ、若い女性には、とんと縁がないので、 ドキドキします。 そう、この唄、工藤静香さんの持ち歌です。 「工藤静香って、誰?」 まさか、そんなことを聞く人はいないと思いますが、 ハの字眉毛で困った表情の女性歌手。 おニャン子クラブ、会員番号38。 いまは、あのキムタクの奥さんに収まって、 心美(ここみ)ちゃんの子育て中。 趣味は絵を描くこと。
セールスマン、 「お待たせしました」 営業所長さんのほうが、早く出社してきましたが、 この際、それを指摘する必要はないでしょう。 「お早よう。先日は、わざわざ、ありがとう」 「どういたしまして、試乗されますか?」 「ああ」 「じゃ、クルマを出します。少々、お待ちください」 オトーサン、 「ちょっと待って、その前に」 オトーサン、 来店して、いままさに試乗をしようとしております。 ふたたび、アイドマの法則の第5段階である Action(行動・購買)段階に戻ってきたようなのです。 @ Attention(注目) A Interest (興味) B Desire (欲求) C Memory (記憶) D Action (行動) 日産関係の方々、 気をもたせて申しわけありません。 今度こそ期待していいかもよ。
オトーサン、 こうみえても、試乗の達人です。 といっても、自動車評論家のみなさんには、 到底、敵いませんが... だって、 新車が発売される毎に、 メーカーからタダでクルマを提供されて、 都心から箱根のターンパイクまで行って戻ってくる。 その間、都心の渋滞も味わえるし、 東名高速道路では、直進安定性や横風の影響、 さらに、急ハンドルや急ブレーキもテストできます。 箱根ターンパイクでは、ステアリング・フィールを確かめ、 カーブや坂道の上り下りを攻めることもできます。 希望すれば、サーキットやテストコースでも試乗できるし、 ムリを言えば、数日間、乗って見ることだって可能。 燃費計を積み込めば、市街地や高速の燃費も分かるし、 メーカーの技術者から直々にレクチャーも受けられます。 カー・オブ・ザ・イヤーの審査員にもなれば、 海外旅行や金銭授受の接待攻勢もあるとか。 われわれは、よだれを流しながら、 試乗記を読みたいために、自動車雑誌を買うのです。 オトーサン、 自動車会社にいた関係で、 自動車評論家やマスコミの方々とも、 おつきあいさせていらだきました。 みなさん、ナイス・ガイでした。 影響されて、 自動車評論家用に用意された 広報車両を借りまくった時期もありました。 それも、自社のだけではなく、 他社のクルマも借りよう、そう思いはじめました。 その第1号が、ホンダのアコード、 当時は、青山一丁目ではなく、原宿に本社がありました。 アコードで原宿の街を走りだして、 エンジンの吹き上がりのよさに感動しました。 目からウロコというのでしょうか。 「こんなすごいエンジンがあるんだ」 いまは、リコールで大変な三菱。 当時評判だったギャランを借りに、港区の本社にも行きました。 丁寧な応対に感激しました。 五反田まで行ったこともありました。 経営が傾いていたマツダは、 歓楽街の片隅の雑居ビルに事務所があって、 胸を突かれたことがあります。 借りたのは、コスモ。 「おお、ワープする!」 ロータリー・エンジンの加速には、心底感動したものです。 あっという間に、180kmの世界へ。 まあ、こんな風に、 自動車評論家のマネゴトをやっていたわけです。 それで、つくづく思ったのは、 「世の中には、いろんなクルマがあるなぁ。 自分の会社のクルマしか知らずに、死ぬのも何だなぁ」 その後、外車も何とか買える身分になって、 何台かのクルマを試乗したりしていくにつれて、 クルマの良し悪しを見分ける力がついてきました。 あるいは、そう思っているだけなのかも。 オトーサン、 「思い出すなぁ、クラウン・ディーゼル!」 欧州では、ディーゼル乗用車がもてはやされ、、 ガソリンよりも、軽油がずっと安いというのに、 日本では、普及しない理由が長いこと分かりませんでした。 いくら、自動車評論家の意見や、 技術部の論文を読んでも、ピンときませんでした。 でも、試乗したら、即座に分かりました。 だって、音がうるさくて、近所迷惑。 それに、ブルブルとエンジンが振動するのです。 エキゾースト・パイプからは、白煙が。 おまけに、伊豆下田の近くでエンコしてしまいました。 まさに、百聞は一見にしかず。 乗らなきゃ分からないこともあるのです。 もっとも、最近のディーゼル車は、 欧州車なみに、音振性能が改善されたそうです。 そして、日産を傘下に収めたルノ−は、 ディーゼル車をたくさん売っていますから、 ガソリン車でも、格段に音振性能がいいはずです。 「ティーダも、そうだといいんだが」 オトーサン、 愛車を決める際に、 試乗が非常に重要だというのに、 メーカーやディーラーが真面目にやろうとしない そうした現状を憂えました。 「こんなことやってると、クルマ離れが進みますよ」 そうトップに進言し、 サーキットをつくろうとか、 オフ・ロードコースをつくろうと社内で叫んだものです。 その甲斐あって、富士スピ−ドウェイも買収したし、 オフロードコースもできました。 ディーラーのなかには、 営業所に試乗コ−スを設置するところも出てきました。 でも、それでも、まだまだ不十分。 メーカーやディーラーが、 試乗をいやがる理由は、ゴマンとあります。 手間ヒマかかるのが、最大の理由でしょうが、 ここで、ちょっとセールスマンの身になってみてください。 試乗にきた中年のオバサン、怖いですね。 家で好き勝手言っているクセが、運転にも出て、 ゆずるべきところで、譲らなかったり...、 「シロウトの運転なんて、危なっかしくて」 とボヤキたくもなります。 飛ばし屋のオニーチャン、 こいつが一番こわいのです。 高速道路で試乗でもされたら、どうなります? だから一般道で、試乗してもらうと、 時速100km!を出すのですよ。 同乗している身になってください。 命の縮む思い。 「もう、こんな商売、二度とやりたくない。 じゃなかったら、危険手当を出してください」 そういう不満が噴出することになります。 現に、事故だって、数多く起きています。 ディーラーの多くが、 試乗会をやるにしても、 試乗車を少ししか用意しなかったり、 短いコースしか用意しないのは、このためなのです。 オトーサン、 昔から、 「レンタカーで、もっと貸し出せばいいのに」 そう主張してきました。 発売初期から、新型車をレンタカー会社に提供して、 購入希望者に割安で貸せば、いいのです。 そうすれば、われわれだって、 ディーラーがおざなりに設定した試乗コースを走るだけで 大金をはたいて、間違ったクルマ選びをせずにすむハズです。 でも、メーカ−は、まずは、ディーラーへの配車を優先しますから、 なかなか思うようにレンタカー会社には回ってきません。 旧型車はともかく、新型車は借りられないのが、普通です。 注)その後、日産レンタカーで、 ティーダを3時間3,150円で利用できるようになりました。 期間は、11月1日〜2005年1月31日 では、このような現状のなかで、 よき愛車を見分けるいい手は、何かないのでしょうか? オトーサン、 「やはり、試乗する前に、 自動車雑誌などの試乗記をよく読むことだろうなぁ」 でも、エライ自動車評論家の意見だからといって、 鵜呑みにしてはいけません。 ちよっと冷静になって 自動車評論家と自分たちとの相違点を考えてみましょう。 以下、12項目をあげてみました。 これから、試乗を計画されている方は、 チェックしてみてください。 @ 自腹を切ってるか? 自動車評論家は、自腹を切らないのです。 だから、性能も装備もいい高いクルマを薦めがちです。 でも、われわれは、お値段、税金、維持費を意識します。 何たって、自腹を切るのですから。 例えば、ティーダとゴルフを比較する評論は、無意味です。 ティーダは、ゴルフの半値ですよ。 A 日頃走る道路や交通シーンは? 狭い路地が多いか、渋滞が多いか、 坂道が多いか、交差点が多いか、 立体駐車場をよく利用するか、 わが家の車庫の広さや使い勝手はどうかなど、 人の話を鵜呑みにする前に、よーく考えてみましょう。 カー・オーディオを聴くのが好きなひとなら、 高いオーデイオを選んだり、改造を考える前に、 まず、うるさくないクルマを探し求めるべきです。 ライフスタイルがちがえば、クルマに期待するものが、 それぞれ違うのは、当然です。 "Quality of Life"、 自分の暮らしの質をあげられるクルマを選ぶ。 その原点に立ち戻るべきです。 B わが家の実情は? 子供が近々産まれるなど家族構成の変化もありますし、 定年を迎えるなどライフ・ステージの変化もあります。 夫婦の場合なら、誰がお金を払うのか、運転するのか。 夫と妻、それぞれ好みも使う用途も違うでしょう。 もめるのは、ミッションでしょう。 オ−トマ車しか運転できない妻、 マニュアル・ミッション車に乗りたくて仕方がない夫。 永遠の対立の構図でしたが、 最近は両方できるミッションも出てきました。 オトーサンが、買ったアルファロメオもそうでしたが、 でも、ラクなほうに流れて、オートマしか使いませんでした。 独身貴族なら、 「憧れのポルシェ、買いたいな」 でも、買ってみたものの、ローンの支払いに追われ、 ガソリン代にも事欠いて、車庫に置いたまま... これでは、猫に小判、宝のもちぐされ。 まさか、サラ金に走るなんていうことはないでしょうね。 C 地域、近隣、周囲の目は? 自動車評論家の棲息地は、東京です。 東京は、外車だらけ。 でも、軽自動車が多い地域だって、沢山あるのです。 買ったクルマが原因で近所との関係が悪くならぬように、 周りの目も念頭に置く必要があります。 とはいえ、好きなクルマを断念するのも、何ですが... 自他ともに何を買っても許される自動車評論家と われわれとでは、立場がちがうということも忘れずに。 D 飛ばし屋か? 自動車評論家は、ボーイズ・レーサー上がりが多いので、 エンジンをレッドソーンまで吹かしてみたり、 高速道路で堂々と違反したり、急ハンドルを切ったり、 とにかく限界まで試験する種族なのです。 若いひとは、どうしても、それに影響されます。 でも、技量もないのに、マネすると...地獄行きですよね。 それに、クルマの評価が高いとしても、要注意。 自動車評論家の批評が、無知なユーザーに影響するので、 それが怖いメーカーが貸し出す試乗車に特別に手を入れる場合も、 ままあるので、技量のあるひとも気をつけてください。 E 真実を書いているか? 自動車評論家も、売文業者の一種。 そのつねとして、曖昧な書き方をせざるをえない場合があります。 非難すると、そのメーカーに出入り禁止になるからです。 微妙な言い回しのある箇所は、要注意です。 例えば、こんな微妙な表現があります。 「ベリーサは、コンパクトなボディに1500ccとあって 俊敏な動力性能を連想するが、意外に大人しい。 もう少し実用トルクを高めて、1500ccらしい加速を実現してほしい」 これって、スバリ言えば、走らないということでしょう。 F 知りすぎるデメリット? 自動車評論家は、高級外車、スポーツカーと比較しがち。 大衆車とは分かっていても、ないものねだりをしがちです。 あるいは、自分の得意分野や関心のあることを書くので、 バランスに欠ける場合もあります。 例えば、松下宏さん。 トヨタのプリウスの環境性能に早くから着目したひと。 自腹を切って、プリウスを買い、普及運動もされました。 この方、トヨタのラウムを推薦しています。 ユニバーサル・デザインに 取り組んで姿勢がいいと言っておられます。 でも、あなたは身障者ですか、身内に該当するひとはおられますか? G 良い悪いと好きキライの区別は? 例えば、何かの原因で、某社がキライになったとか、 逆に、某社のたいこもちとして、業界で有名だとか。 自動車評論家だって、人の子。いろんなひとがいるのです。 でも、そのひとと、波長が合えば、それはそれでいいのでは。 お気にいりの自動車評論家を決めるといいかも。 オトーサンの場合は、徳大寺有恒さんです。 H 他の自動車評論家との関係は? 自動車雑誌といっても、限られています。 書ける機会が少ないですから、 勢い、他の自動車評論家との競争も激化しています。 某有名評論家にわざと異をとなえてみたり、 逆に記事の書き方を仲間内で談合することもあります。 テリー伊藤さんなんか、ユニークで、いいですよね。 みんなが乗りたがらないクルマに乗ってみせたり、 とんでもない使い方を提案したりして。 I 確認して書いているか? そのいい例が、衝突安全性。 これは、確かめようがありません。 メーカーのいうことを鵜呑みにせざるをえません。 ドイツなどの信頼できる機関のデータがあるのに、 語学力がないので、知らないなんていうことも。 J 間違えていないか? 例えば、オトーサンの尊敬する徳大寺さんも、 10年ほど、マークUを評価しませんでした。 「中流の家庭の幸せ」が、お好きでないのです。 いまでも、軽自動車というと、乗りもしないで、 馬鹿にするひとが、この業界には、大勢います。 K 余計なことまで書いていないか? 例えば、ティ−ダの評論で、驚きました。 大ベテランの星島浩さんが、 ティーダのテールゲ−トを上下させるグリップを 左右両方に設けよと書いておられました。 一体、何を考えておられるのでしょうね。 そこまで楽をしたいのでしょうか? こんなことにお金を使うくらいなら、 他にもっとやってほしいことがあるのでは? オトーサン、 以上、長々と述べてきましたが、 次回は、「試乗、その実践編」といきましょう。
オトーサン、 「入門:試乗の達人」なる前置きが長くなりました。 ここで、ようやく前々回の終わりに戻りましょう。 (最近の民放テレビ番組のように、 リピートで時間かせぎをするつもりはありません) セールスマン、 「お待たせしました」 営業所長さんのほうが、早く出社してきましたが、 この際、それを彼に指摘する必要はないでしょう。 「お早よう。先日は、わざわざ、ありがとう」 「どういたしまして、試乗されますか?」 「ああ」 「じゃ、クルマを出します。少々、お待ちください」 オトーサン、 「ちょっと待って、その前に... 試乗コースについて、ひとつ注文があるんだけど」 「はい、何ですか?」 「アルファロメオのときは、第三京浜のそばだったので、 高速走行が試せたけれど...どう?」 「それは、ちょっと...勘弁してください」 「そうか、やっぱり...」 後悔先に立たず。、 試乗で高速走行をさせてくれる 太っ腹の日産ディーラを、事前に調べておくべきでした。 オトーサン、 「じゃ、自宅まで行って帰るというコ−スでいいかね」 「結構です」 普通は、ウンと言ってもらえないと思いますが、 一昨日、彼はわが家に来ているので、 近いことを承知しているから、快諾したのでしょう。 オトーサン、 「もうひとつ、注文があるんだけど」 セールスマン、 「はい?」 いろいろ注文の多いお客だなあと内心思ってるのでしょうが、 その気配すらみせません。 まことに、気のいい若者です。 「このシルバーのボディカラー。 近くで見ると、なかなかいい色で、気に入ったけれど、 できれば、念のために、ハーベスト・イエローも見ておきたいんだ。 どこかに置いてあるディーラーは、ないかなぁ?」 築地の日産本社にいけば、全色が展示してあるそうです。 晴海に住んでいれば、歩いて気軽に見に行けたのでしょうが、 千葉県に引越したので、電車を乗り継いで行かなければなりません。 ちと面倒です。 セ−ルスマン、 「分かりました。どこにあるか調べてきます。 しばらくお待ちください」 身軽な動きで、とても好感がもてます。 オトーサン、 ティーダのボディカラー、 全8色を、すでに暗記しています。 暗記のキーワードは、銀、白黒映画、三原色。 評価 コメント ・銀(ダイヤモンドシルバ−) ◎ 流行色 (ウォームシルバー) ○ 流行色、上品 ・白(ホワイトパール) ◎ 特別色だが、流行遅れ? ・黒(サファイアブラックパール) △ 走り屋向き ・赤(ルミナスレッド) × パトカーの餌食- ・青(クリスタルブルー) × フィットで飽きた (ブルーイッシュグレー) × ピンとこない ・黄(ハーベストイエロー) ◎ テーマカラーで新色 オトーサン、 「ロクな色しかないなぁ」 もっと、いい色があるハズです。 モコなんか、いい色を選んでいます。 大体、色については、軽自動車のほうが進んでいるのです。 「ミニみたいに、2トーンも選べればいいのに」 でも、それは、ないものねだり。 いまは、限られた8色のなかから、選ばなければなりません。 さしあたり、気になる色は、3つあります。 強いて順位をつけると、 @テーマカラーのハーベストイエロー
A目の前にあるダイヤモンドシルバ−
B特別色と銘打ったホワイトパール
セールスマン、 「お待たせしました。 ありました! 近くのブルーステージに」 「じゃ、試乗がてら、行ってみよう」 「そうしましょう」 「悪いけど...」 「えっ?」 「いや、大したことじゃないんだ。 場所が分からんから、キミが運転してくれる?」 「はい、そのほうが間違いないですしね」 彼、簡単な注文なので、安心しています。 オトーサン、 「しめしめ」 作戦成功です。 さて、試乗の達人になるコツ、その実践編、 5点まとめて、ご紹介しましょう。 @ 試乗は、身内で。 できれば大勢でみれば、いろいろな点に気づきます。 オトーサンの場合、ひとりで来たので、 運転席、助手席、後部座席をそれぞれ試します。 その手はじめが、助手席というわけです。 「しめしめ」は、これが巧くいったからです。 A 試乗前の確認事項 ・保険がついているか:対人・対物それぞれいくらか? ・位置調整 シート、ミラー類、ステアリング ・操作法のチェック ウィンカー、ワイパー、ライト、シフトレバー、ブレーキ類 ・シートベルトの装着 B 試乗コースは、自分が日常走るコ−スにする。 これについては、前回、説明しました。 その際、それまで乗っていたクルマで、 気になっていた長所(+)と短所(-)をメモしておくのです。 例えば、オトーサンの場合、アルファロメオに乗っていたので 以下のようになります。 ・(-)セレスピードの変速ショック ・(-)坂道停車での後ずさり ・(-)ブレーキの効き具合 ・(-)小回り ・(-)段差ショック ・(+)エンジン音 ・(+)加速の爽快感 ・(+)注目度 C ティーダの長所(+)と短所(-)をチェックする。 カタログや自動車雑誌などに出ています。 「6 ♪デザイア〜」で、既に、メモしましたね。 ・(+)エンジン、中低速域トルクは? ・(+)反応のいいCVTとの組み合わせか? ・(+)静粛性&吸遮音性能は? ・(+)どっしりした走りか? ・(-)ステアリングフィールの違和感あるか? ・(+)リップルコントロールで微弱振動を抑えているか? ・(+)リバウンドスプリングで安定した乗り心地か? ・(-)突起物を越えたときの突き上げ感ありや? ・(-)ブレーキのタッチ感がキツ目か? ・(-)マーチと同じフットブレーキペダルのタッチは? D トイレに行く オトーサン、 「いま、笑った奴。前に出ろ」 色をなして怒ります。 安易な気持ちで試乗に臨んではいけません。 未体験ゾーンに突入する宇宙飛行士のように 心技体の充分な備えが必要なのです。 前日、夜更かししたなんてトンデモナイ。 いい加減な試乗は、事故に直結します。 たででさえ、安全運転に気をつけなければならないのに、 試乗では、慣れないクルマに乗るうえに、 全身をセンサーにして、情報を得ようとするのです。 ただ珍らしがったり、面白がって乗っていたのでは、 何の情報も得られずに終わってしまいます。 ン百万円もするものを買うのに、そんな態度でいいのでしょうか? オトーサン、 試乗を前にして、 ふーっと深呼吸をします。 リラックスして運転できるように、 工藤静香さんの"MUGO・ん...色っぽいわ"を口づさみます。 ♪言えないのよ 言えないのよ 言いたいことなら どれくらい あるかわからなく あふれてる 私 心はおしゃべりだわ 言いたいことなら あなたには あとからあとから あふれてる 山本さんも、 日産のBROGで、 http://blog.nissan.co.jp/TIIDA/ 同じことを言っておられます。 「試乗の際は、もちろん “レッツ・エンジョイ・セーフティードライビング!”でいきましょうね」 山本さんも、きっと言いたいことがたくさんあるのでしょう。
オトーサン、 助手席に座っています。 試乗車は、国道6号を軽快に松戸方向に走っています。 通勤ラッシュが過ぎたのか、道は混んでいません・ この辺りは、舗装もいいので、快適そのものです。 セールスマンの運転も慣れたもの。 全く不安感がありません。 下手なタクシー運転手よりも、ずっと上手です。 「座り心地もいいなぁ」 はじめは、ちょっとふわふわしているように感じましたが、 しばらくすると、お尻になじんできました。 セールスマン、 「着きました。 ご覧になっていてください。 一言、挨拶してきますから」 ここも、レッドステージですが、別会社なのでしょうか。 まことに、狭くて貧乏臭い営業所です。 その片隅の暗がりにティーダ姫。 いつの間にか、ハーベスト・イエローに着替えております。 長い避難所生活で疲れたのか、顔色がすぐれません。 黄色が黒ずんでおります。 「ティーダ姫、いかがなされた?」 「おお、助けにまいられたか。オトー殿。 何であたしゃ、こんな目に。助けてたもれ」 「はい、ただいま、すぐに」 そうしたいのは、やまやまでですが、 なにせ、ここは、豪腕をもって天下に聞こえる 藩主、刈ロス御恩の城下町。 老体ひとりで、姫を助け出すのは、ムリというもの。 「あまりの仕打ちじゃ、あんまりじゃ」 歌舞伎の一幕じゃありませんが、 あまりに気の毒な扱われように、 ティーダ姫から目をそむけ、あふれる涙をこらえつつ、 歯を食いしばって城を後に。 セールスマン、 急ぎ足で、戻ってきました。 試乗者の助手席に収まっているのをみて、 「えっ、もういいのですか?」 「ああ」 流石に、温厚な彼ですが、一瞬、 「せっかく来たのに」という表情が出ました。 「どうでした? イエロー?」 「イマイチだった」 オトーサン、 走りだしても、しばらくは、MUGO・ん。 「あのなぁ、 いくら日産ディーラーがビンボーでも、 かりにも、百ン10万円もするクルマだろうが、 しかも、嫁入り前の。 こんな扱い方しかできんのなら、販売権を取り上げるぞ」 心にある思いを口に出せば、 こんなムゴイ言い方になってしまいそうです。 モーターショウでの展示に腕をふるい、 大事なクルマをターンテーブルに乗せて、 きらびやかな照明を当てる角度まで指示したものとしては、 この状態にはとうてい耐えられません。 「ゴミ箱の上に、ジュエリーを展示するかよ」 オトーサン。 そんな悪態をつく代わりに、 「下取りの時に有利な色は何だろうね?」 「そうですね、やはりシルバーでしょうか」 「一番、無難な色かもなぁ。シルバーにするか」 「その方が、いいですよ」 「...」 でも、3年も経過すれば、街中、ティーダだらけ。 シルバーでは、面白くも何ともなくなっていそうです。 ハーベスト・イエロー、 ここでこそ、その色気が確認できませんでしたが、 いずれは、いい色と認められるかも。 「おお、フランス車だ!」なーんてね。 オトーサン、 国道6号を柏方向に戻ります。 右手にそれ、バス停で道路が広くなったところで、 クルマを停め、運転を代わりました。 さあ、いよいよ、試乗開始です。 さて、試乗前の確認です。 「保険、ついているだろうね」 「はい、ご心配なく」: 「あ、そう」 「対人・対物、それぞれいくら?」 そう聞こうと思いましたが、やめました。 シート、ミラー類、ステアリングの位置調整、 ウィンカー、ワイパー、ライト、シフトレバーなどの 操作法チェックに忙しかったからです。 シートベルトを装着して、 サイドブレーキを解除しようとして、 「あれっ、このクルマ、フット・ブレーキなんだ」 「はい」 足先に力を入れないと、解除できません。 これまで所有してきたクルマとは、ちがいます。 ついでに、ブレーキ・ペダルのほうも見ました。 形が小さく、デザインもいまいち。 「マーチと同じだねぇ。さては、ケチったな」 こういう足元のオシャレこそ、感性品質の出番。 いつも使うものだから、しょぅちゅう体感し、 オーナーの密かな満足感につながり、 ひいては、ブランド・イメージをも高めるハズ。 「日産さん、高級外車の足元も研究してくださいね」 まあ、そんなことは百も承知。 「安いクルマだから、この程度でいいや」 われわれユーザーは、足元をみられたのでしょう。 でも、この悪口も、クチに出しませんでした。 運転中に同乗者とケンカするほど、 "♪おバカさんね"ではありません。 オトーサン、 腕をゆったり伸ばし、 ステアリングを手をそえ、 軽くアクセルを踏んでスタート。 邪念・妄想・不平不満すべてを振りはらって 運転に集中しました。 まずは、音をチェック。 お医者さんが、聴診器をあてたときのように。 気になるノイズが聞こえません。 エンジンの排気音も、静か。 ボディのかすかなきしみ音も、 路面とタイヤから伝わってくるロード・ノイスも、 勿論、低速ですから風切り音もしません。 アクセルを踏みこむと、 エンジン音が高まりますが、 あくまでも、かろやかで涼しげ。 むしろ、右・左折するときのウィンカー音のほうが、 気になるくらいです。 「カチ、カチ、カチ...」 日産車特有のシャープな響きです。 オトーサン、 思わず、その音から、 キャディラックの広告を思い浮かべました。 いまは、ヤクザのクルマと思っているひとも多いようですが、 キャディラックといえば、アメリカの高級車の代名詞。 当然、8気筒の大排気量エンジンを搭載しています。 ゆるやかに走らせると、天にも上ったような快適さです。 確か、こんなキャッチフレーズでした。 「時速60マイルで運転しているとき、 聞こえてくるのは、時計の音だけ」 いまは、広告批評の代表として すっかり有名になられた天野祐吉さん、 当時、一緒に仕事をしていたのですが、 あるとき、この広告をみつけてきて、 得意になってオトーサンに吹聴しました。 「ねえ、これってステキな広告でしょう?」 「どこが?」 「どこがって...普通の広告なら、 こんなに馬力がすごいとか何とか言いたがるでしょう。 ところが、この広告、そういう類の宣伝は、まったくやらない。 それでいて、すごい高級車だということをちゃんと伝えている」 「そう?」 「面白いんですよ。 この広告、大評判になって、確か賞もとったと思うけど、 この広告をみた技術者が、何といったと思います?」 「さあ?」 「あの時計め、何とかしなけりゃ、ですって。 ねえ、面白いでしょ、技術者の考えることって」 オトーサン、 同乗者に話かけす。 「あのね、エンジニアって、愉快なんだ」 「どうしてですか?」 「"ティーダのすべて"に出ていたけど、 音響等長をやったって、威張っているんだ」 「その音響何とかって、何ですか?」 「オレもよく分からんけど、インテークマニホールド、 空気を吸い込むガス管みたいな奴だけど、 そいつの長さを工夫したんだ。 音波が届く長さを同じにして、 キレイな音だけが出るようにしたんだってさ」 「はじめて聞きました」 「BMWのエンジン音は、アルプスにこだまするホルンの音に どこまで近づけるか努力したから、生まれたそうだし」 「その話、どこかで聞いたことがあります」 「そんな風だから、技術者のことをエンジニアって言うんだ。 エンジンのそばにいると、ついニヤニヤしてしまう」 「は、は、は」 「トヨタ車は、音を殺しているから不気味だし、 マツダ車は、亀井静香みたいにガーガーうるさいし... このティーダの音、ステキだなぁ。 kUDOU SHIZUKAだ」 「工藤静香?あの歌手の? 彼女もティーダを買うんですか?」 「...」 オトーサン、 内心、思いました。 たとえ、オヤジ・ギャグでも、 だじゃれが通じないのは、悲しいものです。 オトーサンが言いたかったのは、 工藤静香、 駆動、静か、 駆動が静か、 駆動系が静か エンジンからシャシー、そしてミッションにかけての 駆動系が、徹底して静かになるように作りこまれている。 そう言いたかったのです。 でも、このダジャレ、不発に終わったようです。 ♪わたしバカよね、おバカさんよね オトーサン、 前に乗っていたアウディA3、 ボディ剛性もしっかりしていて、 スタイルも気に入っていたのですが、 音のやかましさには、閉口しました。 輸入車専門の修理屋に出して、 ボンネットの裏に吸音シートをつけてもらおうかと思ったほど。 ところが、このティーダ。 その程度のことは、当然、やっております。 さらに、サイドガラスを厚くしたり、 フロアを2重構造にしたり、 ドアに2重シールを貼りつけたり、 タイヤの音まで消す努力を積み重ねているのです。 オトーサン、 「アルファロメオの官能的なエンジン音もいいけれど、 このティーダ姫の鈴の鳴るような声もたまらんなあ」 時は、まさに小さな秋。 ティーダ姫と一緒に、山荘のそばの田舎道を その涼ずやかなエンジン音を聞きながら、ゆったりと。 ♪目と目で通じ合う かすかに色っぽい 目と目で通じ合う そういう仲になりたいわ 前方右手には、甲斐駒をはじめとする南アルプス連峰。 左手には、八ケ岳の青みがかったのびやかな連なり。 収穫間際の田んぼが、黄色く色づいています。 「ハーベスト・イエローか」 どうも捨て難い色です。 人生の収穫期を迎えた者にとって、 まことにピツタリの色ではないでしょうか?
オトーサン、 「おっ、地震だ!」 東京や千葉は、震度3、 震源地は新潟、震度6との臨時ニュース。 「この地震、知ってるかなぁ?」 早速、息子のケータイに電話してみます。 「地震が起きたの知ってるか?」 「えっ、そう?」 「知らないの?いまどこ?」 「上野、クルマのなかだけど」 「そう...新潟が大変だよ、震度6だってさ。 場所によっては、7かもよ。奥さんの実家に電話したら」 「ああ、ありがとう!」 オトーサン、 ちょっと、いいことをした気分になりました。 「変だな、こんな大きな地震でも気がつかないのか」 そこで、気象庁のホームページをチェック。 http://wwweprc.eri.u-tokyo.ac.jp/CSS/kaisetsu.html 震度 状況 0 揺れを感じない 1 わずかな揺れを感じる 2 揺れを感じる 3 恐怖感を覚える人もいる 4 かなりの恐怖感がある 歩いている人も揺れを感じる 自転車を運転していて、揺れに気付く人がいる 5 非常な恐怖を感じる 棚にある食器が落ちる 自動車の運転が困難となる 6 立っていることができない 固定していない重い家具が転倒する 耐震性の低い建物は倒壊する 7 揺れにほんろうされ、動けない 壁のタイルや窓ガラスが破損・落下する 耐震性の高い建物も傾壊する 電気、ガス、水道の供給が停止する 地すべりや山崩れが発生する オトーサン、 「へぇ、クルマに乗っていると、 震度3程度じゃ気がつかないんだ」 考えてみれば、クルマに"ゆれ"はつきもの。 いわば、クルマに乗るというのは、 常時、震度2〜4の地震を体験しているようはもの。 路面が悪くドーンと突き上げたりすれば、 これは、震度5の直下型地震というわけです。 「そういえば、"非常な恐怖を覚えた"なぁ」 オフロード専用コースをつくったので、ランクルで試乗してみました。 わざと凸凹道にしていますから、前後左右にゆれることゆれること。 いまにも、転倒しそうなほど、ゆれるのです。 「今度は、砂利道でーす」 ゆっくり走れば、どうってこたぁないのですが、 係員は、腕の見せどころとばかり、時速60Kmでブッ飛ばします。 ドドドドどッ、お尻がシートを跳び跳ねます。 マジ、天井に頭がぶつかります。 まさに、震度5"自動車の運転が困難となる"状態でした。 その昔、砂利道をぶっ飛ばして、急ブレーキをかけて、 クルマが転倒したときのことを思いだして、冷や汗たらたら。 オトーサン、 「若いひとの気持ちも分からんでもないが...」 首都高などで、継ぎ目のある道路を ショート・ホイールベースのスポーツカーで 時速100Kmでぶっ飛ばしている連中をよく見かけます。 継ぎ目が、ドドドドどッ。 「こたえられんなぁ。ああ、イクイク!」 いつも、アホな奴だなぁと思ってみていますが、 おそらく、縦ゆれ・横ゆれごっこの相手をしてくれる 彼女がいないのでしょうねぇ。 ま、ヨタ話は、これくらいにして、 ティーダの試乗に戻りましょう。 オトーサン、 「さあ、音の次は、振動のチェックだ」 厳密に言うと、NVH(noise/vivration/harshness)のうち、 騒音(ノイズnoise)のチェックが終わったので、 振動とハーシュネスについて、チェックしようというわけ。 「ハーシュネス?」 ご存知ない方もおられるかも知れません。 辞書を引くと、荒い、ザラザラ、不快とあります。 乗り心地が荒く、路面状況がゴトゴト伝わるようなフィーリングです。 最近の日本車は、このNVH性能が、よくなり過ぎて面白くない そういうひともいますが、トンデモナイ。 われわれは、道路公団所属 道路デコボコ&ザラザラ特別調査員ではないのです。 オトーサン、 奥方の古いムーブで長距離をやったことがありますが、 「ふーっ、チカレタビー。腰痛だぁ」 数日間、地震の被災者状態で、 寝ていてもゆれている感じがぬけないのです。 このNVH性能、軽自動車や大衆車では、無視されてきました。 だって、ものすごく、お金がかかるからです。 よくしようとしたら、 以下のすべてに手をいれなければならないからです。 "ティーダのすべて"に出ている限りでは、 技術陣が、本気になって手を入れているようにも思えます。 @ホイールベ−ス&トレッド ホイールベースが長く、ワイドな車体幅ならば、 路面のショックをいなしやすい。 ティーダでは、2600mmのロング・ホイールベースが特徴。 トレッドも、マーチより広げている。 Aエンジン(マウント機構含む) エンジンが重く、ゆれが大きいと不快です。 ティーダでは、新開発エンジンの軽量化に成功。 マウントは、ルノーと共同開発で、マーチと同じ吊り下げ式。 Bミッション 変速ショックも、非常に不快です。 日産の誇るエストロニックCVTでは、変速ショックは皆無。 Cサスペンション サスが悪いと、荒れた路面のショックがそのまま伝わってきます。 フロントは独立懸架ストラット式、リアはH型トーションバーは、 マーチと同じだが、ティーダでは改良した。 Dショック・アブソーバー サスと協力して、ショックを吸収します。 ティーダでは、ショックアブソーバーに、上級車に装備される リップルコントロールつき、リバウンドスプリング内蔵型を驕っている。 Eタイヤ 性能が悪かったり、クルマにフィットしないと、 危険ですし、妙な乗り心地になります。 15インチタイヤを搭載、さらにトヨータイヤと乗り心地向上のために 共同研究し、開発したすぐれもの。 Fブレーキ 急ブレーキやカックン・ブレーキをされると、 ノ−ズダイブして、乗客は、つんのめったり、のけぞったりします。 ティ−ダでは、日産車特有のパッドとブレーキブースター。 操作ストロークが小さく、軽く踏めば停止する。 Gステアリング キレが悪く安定しないと、カーブで横揺れや縦ゆれが発生する。 ティーダでは、マーチ同様、ラック&ピニオン、車速感応式電動パワステ。 車体が大きくなったので、回転半径は、5.2mと5mを超えてしまった。 H高剛性ボディ ボディ、とくにドアやガラスの建てつけが悪いとガタビシします。 骨格は、マーチと同じ。 Iゆったりと体を保持するシート 悪いシートだと、ほんとうに疲れます。 ティーダでは、上級車のシートを驕っている。 オトーサン、 「まあ、要するに、クルマのすベてのようなもの」 その点、今度のティーダは、新開発ですから、 本気でやろうと思えば、ある程度できるはずです。 "ティーダのすべて"を読むと、 設計陣が「ロング・ドライブ性能の向上を狙った」 そういっているので、期待できそうです。 読者のみなさん、 「そんなこと言ったって、いつも裏切られているぜ」 「そうだな」 実は、正直言って、この能書き、半信半疑でした、 でも、次のような発言を見て、ひょっとしたらと思ったのです。 「栃木のテストコースと 厚木のテクニカルセンターを、毎週、往復するのですが、 マーチやキューブでは、疲れて仕事にならない。 そこで、快適なロングツ−リングができるクルマを開発しようと」 「フーン、東北自動車道〜首都高〜東名ルートか。 オレと似たようなルートを走っているんだ」 オトーサン、 山荘へは、千葉へ引っ越してからは、 常磐自動車道〜首都高〜中央道ルート、 あるいは、 国道6号〜首都高〜中央高速道路ル−トを使います。 だから、似たようなルートと距離なのです。 技術者というのは、正直な連中です。 いくら、マーケティング部門が ユーザー・プロフィールや要望がこうだと主張しても、 経理部門や経営者が、コスト・コストと叫んでも、 簡単に聞き入れるようなヤワな連中ではありません。 自分に正直ですから、実感できないデータなど、 てんで信用しない種族なのです。 でも、かれら、悲しいことに、安月給で重労働。 平社員や課長の分際では、出張の際に、 シーマやプリメーラといった長距離で疲れない高級車を 社用で使わせてはもらえません。 だから、ティーダ開発をいいことに、 自分たち用の社用車ティーダの開発に打ち込んだのは、ごく自然です。 「ナットク!」 「甘い!」 そう思ったひとは、まだ甘いのです。 だって、技術陣が、実際に上記ルートを繰り返し走るハズないのです。 そんなことをしたら、ライバル会社やマガジンXに新車のヒミツがバレバレ。 あくまでも、テストコースという特殊な条件で、最適解を求めただけのこと。 こればっかりは、自分のルートを実際に走ってみなければ、分かるはずないのです。 まして、こんな短時間の平坦路の試乗程度では。 オトーサン、 ふたたび、全身をセンサーにして、 振動とハーシュネスをチェックしにかかります。 「おお、体感震度ゼロじゃん、乗り心地いいねぇ。 こまかい振動をホントによく抑えこんだなぁ」 セールスマン、 待ってましたというカンジで、 「そうでしょ、そうでしょ」 「絹のような走りだ」 「絹の走りですか。いいですね」 でも、これって、オトーサンの発案でありません。 その昔、マークUで使ったキャッチフレーズです。 「やはり、リップルコントロールの効果かなあ?」 ほんとうに、いいのです。 これだけで、ティーダに惚れこむひとが出てきそうです。 オトーサン、 「ありゃ?」 歩行者注意のためにでしょうか、新型舗装路面を通過したときです。 急に、ザラザラした振動が伝わってきました。 「これも、ちょっとなぁ」 道路の継ぎ目を越えたとき、ガツンと硬質な振動が伝わってきました。 絹の走りの反動もあるのでしょうが、 まるで、ジキルとハイドのような急変ぶりです。 「やっぱりなあ」 その昔、技術陣のトップがしみじみ述懐しておられました。 「ロータスと提携して、ほんとうに勉強になったよ。 ショック・アブソーバーっていうのは、 文字通り、衝撃を吸収するものとばかり思っていたけど、 そうじゃないんだよね」 「えっ、どうしてですか?」 「一定の限界を超えると、芯張り棒になってしまうんだ。 ないほうが、いいほどに」 「へぇ、そんなものですか」 オトーサン、 ショック・アブソーバー(ダンパーとも言う)の話は、 それだけで終わりましたが、 最近のマガジンX「ザ・総括」を読むと、 国産車のダンパー批判のオンパレードです。 大メーカーの技術屋どもは、まったくの無知なのか、 ユーザーにはどうせ分からんだろうと、 いいダンパーがあるのに、ケチッて装着しようとしない、 そのどっちかだというのです。 オトーサン、 「まっ、いいじゃん」 世の中、いつも絹のようになめらかというものではないのです。 たまには、サラザラ、ドカンも味わわないと、 温室育ちになってしまいそうです。 オトーサンの若い頃は、 道路といえば、砂利道と決まっていました。 オトーサン、東京出身ですが、こうみえても、砂利道育ち。 そこいらの甘ったるいアスファルト育ちじゃありません。 東名高速ができるまでは、名古屋から東京まで、 母に会いたくて12時間もかけて一般道を走ったものです。 カーラジオもついていないクルマだったから、 島倉千代子さんのフアンだったので、 「他国の雨」、「逢いたいなアあの人に」 「恋してるんだもん」「東京だよ、おっ母さん」 次々とお千代さんの唄を口づさみながら。 でも、いまだったら、口づさむのは、 コイズミさんの発言で一躍脚光を浴びた歌でしょうね。
(人生いろいろ 作詞:中山大二郎 作曲;浜口倉之助) ♪ねぇ おかしいでしょ 若いころ ねぇ 滑稽でしょ 若いころ 笑いばなしに 涙がいっぱい 涙の中に 若さがいっぱい 人生いろいろ 男もいろいろ 女だっていろいろ 咲き乱れるわ オトーサン、 「ハマクラさんかぁ、懐かしいなぁ。 スプリンターのCMソングを作曲してくれたっけ」 その浜口倉之助さんも、もう故人。 この年になると、すべて許せるような気分になっています。 「そうだよ、その通りだよ」 ティーダ姫が、咲き乱れたっていいじゃないですか。 まだ、若いんだから、少しくらい足元が乱れたって... 小姑みたいにイチイチ目くじらたてなくたって。
オトーサン、 順調に試乗を続けております。 自宅から数キロの常盤平さくら通リにやってまいりました。 この桜並木、全長3.3kmもあって、日本の道100選に選ばれております。 秋になったとはいえ、まだ紅葉が遅れているのでしょうか、 桜の緑が天蓋のように道を覆っております。 この道、とりわけステキなのは、 春や春、それも夜桜見物のころ。 屋台も出て、それはそれは、にぎやかです。 さまざまの事おもひ出す桜哉 芭蕉 オトーサン、 その昔のことを思い出しております。 齢40にして、郊外に一軒家を建てたばかり。 このさくら通リに、家族を引きつれ、夜桜見物によくきたものです。 しがないサラリーマンでしたが、意気軒昂たるものがありました。 「おれの人生、このままでは終らせんぞ」 幾山河この身はもとの柏かな 柏庵 オトーサン いまや齢65。俳号、柏庵。 26年ぶりに、この柏に戻ってきたのです。 この26年間って、一体、何だったのでしょう。 ティーダ姫の走りが、ストレス・フリーなので、 つい、よしなしごとに思いを馳せてしまいます。 セールスマン、 「ここ、左折じゃないんですか?」 「あっ、そうか」 ブレーキを軽く踏んだつもりでしたが、急ブレーキになりました。 アルファロメオとは、やはり、タッチが違うのです。 「ダイジョウブですか?」 「あぁ」 オトーサン、 そろそろ、加速テストに移ろうと思っていたところでした。 ティーダ姫の実力のほどは、ある程度、頭に入っております。 0-100km 加速データ ・Alfaromeo156 9.9 ・BMW535i 10.2 ・Prius 10.4 ・スカイライン2.5L 10.5 ・Peugeot 406 2.0 11.2 ・BMW318i 11.9 ・ティーダ 12.0 ・Merccedes Benz C180 13.0 前車、アルファロメオが9.9秒、対してティーダは、12.0秒。 明らかに、遅いハズです。 でも、この約2秒の差が、どれほどのものかは、 実際に試してみないことには、分かりません。 シチュエーションとしては、 @交差点GP A一般道での追い越し B高速道路への進入 C高速道路での追い越し D首都高へ進入などが考えられますが、 一番気がかりなのは、首都高への進入でしょう。 アクセルを力一杯踏む。 エンジン、ウーン、ウン、ウン。 車速がサッパリ上らぬ。 冷や汗がどっと出て、 「ぶつかる、ぶつかる、死ぬ、死ぬー」 なーんていう事態であります。 オトーサン、 肝心な首都高突入テストが出来ないので、 交差点GPと一般道での追い越しを試してみよう。 そう心に決めております。 テストにかかる前に、予備知識をちょっと。 @交差点GP アルファロメオでは、 これをラジオ体操のように毎朝励行しておりました。 F1のように、 タイヤをキシませ、白煙をあげ、猛然とスタート。 それを期待して買ったアルファロメオだったのですが、 出だしは、まことにカッタルイのです。 セレスピードが不出来だからなのです。 でも、回転が上がって2速になれば、急加速。 エンジンが咆哮し、背中一杯にGを感じます。 快感に酔いしれてバックミラーをみやると、 相手は、はるか後方、砂粒、ケシ粒、明けの明星のようです。 衰えた身体能力の回復を実感いたします。 若いもんには、まだまだ負けんぞ。 それ見たことか。 このオレ様に追いつこうなんて、夢にも思うな。 A一般道での追い越し 前方を軽自動車やマーチがトロトロ走っております。 車間距離をつめて、様子を見ると、初老の紳士。 拙者、制限速度遵守でござる、貴殿は何をお考えかな? 「クソ、何をエラぶっとる。足軽の分際で」 そこで、2車線の道路で、追い越し禁止の黄色いラインなのに、 猛然とアクセルを吹かして、強行突破を図ります。 ところが、こういう時に限って、対向車線をクルマがやってくるのです。 「えい、構わん、切り捨てい!」 そう言い放つと、相手は、オソレイリマシタ 気合負けしてほしいところですが、相手もサルもの。 スピードを落とすどころか、上げてくるではありませんか。 それにもめげず、自慢の加速性能を生かしてがんばりぬくものの、 あと一歩及ばす、ガーン、正面衝突! そんなことがあっては、いけないのでしょうが、 やはり、追い越しシーンでは、加速性能が大事です。 オトーサン、 「さあ、行くぞ!」 この歳になったら、いつ死んでも悔いはありません。 相手が死ぬか、こっちが死ぬか。 いざ真剣勝負。 高見盛関のように、気合が入ってまいりました。
気の毒なのは、隣に座ったセールスマン。 試乗もそろそろ終わりということで、 そんな事情とは露知らず、くつろいでおられます。 可愛い奥さんも、幼い子供もいるかも知れません、 でも、この際、そんなことには目をつぶりましょう。 「いざ、死なば、もろとも」 と、この時。 空耳でしょうか? ティーダ姫の鈴のような声が聞こえたのです。 「あたしも、一緒にあの世に行くの?」 オトーサン、 この声で、ハタと正気を取り戻しました。 「姫をお守りせねば、それなのに、あーなんてことを」 ティーダ姫とは、初デートだというのに... 柏庵、一瞬、何を血迷ったのでしょう。 初デートとの場合、 お茶を飲んで、おしゃべりして、別れるもの。 それがフツーというものでしょう。 オトーサン、 長い信号待ちになりました。 前のクルマの奴は、ケータイを使っています。 「最近、ああいうバカが増えたなー」 「危ないですよね」 思い出したので、ヨタ話を披露します。 「もう時効になったから話すけど、 若い頃、悪いヤツがいてね、 ハンサムでマメに電話するもんだから、女の子受けがよくてね、 次々と、女の子をモーテルに連れこむんだ。 ところがあるとき、課長にみつかってね。 おい、キズモノにして知らん顔をするんじゃなかろうな。 男らしく責任を取れ。 しかたなく、結婚したってさ」 「はは、●●●さんにも、そんな社員いたんですか?」 「そいつは、いま、エラクなってね。 名前を出せば、誰でも、ああ、あのひとですかって言うだろうなぁ。 そーだったんですか。ヘぇ−、ひとは、みかけによりませんねぇ。 日産のトップは、マジメだから、そんなひといないだろうけど」 「...」 「ところで、きみ、結婚しているの?」 「はい、2歳になる子供もいます」 「可愛い盛りだろうね」 オトーサン 危ないところでした。 市街地で追い越し加速テストなどしてはいけません。 大体、試乗だって、やらないほうがいのです。 そもそも、試乗って、初デートのようなものでしょう、 それが、色キチガイじゃあるまいし、 ・姫の上に乗って ・中に入るわ、 ・いじりまわすわしたうえに、 ・悲鳴を上げさせ、 ・昇天させる これって、初デートの作法に反していないでしょうか? オトーサン、 ひるがえって考えてみれば、 自動車評論家に、はなはだしく毒されていたのです。 クルマ(女)を取っかえ引きかえ、 SMプレイさながらに、イジメル。 それを生業にしているなんて、ロクなもんじゃありません。 その自動車評論家をマネて、 姫に乱暴狼藉に及ぶなんて、 まったく、どうかしております。 ここで、正しい初デートの作法を紹介しましょう。 @ティーダ姫をみて、ぽっと顔を赤らめる Aおずおずとステアリングを握る Bシフトレバーに手を添えてみる Cアームレストをちょっとなでて、やまらかい弾力にうっとりする Dふたをそっと持ちあげて、じっと覗きこむ... おっと、また、ヨタ話になりかけました。 セールスマン、 「お宅につきましたね」 「ああ」 「車庫入れされますか?」 「...」 「?」 セールスマン、ちょっと戸惑っています。 アルファロメオの回転半径は、5.7m。 対して、ティーダは、5.2m。 出し入れしやすいに決まっています。 オトーサン、 「出し入れは、もういいつうの。 ...長いことやってきたんだから」 でも、こんなこと、口に出して言いにくいじゃないですか。 こんな"・ヨタ”話、生真面目な日産さんの前では。
オトーサン、 いろいろ世の中をみてきて、 成功するひとは、後ろをふりむかないことに気づきました。 例えば...全盛期の貴の花。 アナウンサー、 「中日(なかび)全勝で折りかえされましたが、 今場所を振り返ってみていかですか?」 「...一番一番に集中してきましたから」 なーんて、返事にならない返事をよくしたもんです。 もうひとつ、クルマ関連の例をあげると、 いま、トヨタ自動車名誉会長・豊田章一郎さん。 その当時は、社長でした。 50年史の取材に伺うと、不機嫌そうに、 「後ろをふりかえるのは、あまり好きじゃないんだ」 ふだんは、気さくに相手してくれるのですが、 この時だけは、あまり協力してもらえませんでした。 オトーサン、 困ったひとで、 ふりむいたり、ふりかえったり、脇見したりするのが大好き。 だって、エラそうにいえば、 物事を多面的に見るのって、楽しいじゃないですか。 でも、そのせいか、ゴルフは、からしきダメ。 ハンディは、36をキープしております。 「頭、動かさない!」 なーんて、いつもアドバイスされてしまいます。 オトーサン、 試乗の後半は、いつものクセが出て、 わき見運転をしたり、過去を振り返ったり、 いそがしいこと、この上ありません。 クルマでケータイだけは使わないようにしているから、 何とか今日まで無事にきたようなものですが、 ケ−タイやっていたら、今頃は交通刑務所入りでしょう。 でも、最近、増えましたよね。 ナビのテレビ見て、音楽を垂れながしながら、ケータイやっているひと。 まあ、この渋滞じゃ、そうするしかないのでしょうが... 「危ないじゃないか!」 オトーサン、 危ないで、思い出したのが、タクシーの運転手。 宣伝部にいた頃は、よく接待で銀座に行ったもの。 それこそ、湯水のように使いましたね。 月に100万を超える猛者もいましたっけ。 遅くなると、柏までの帰りは、タクシー。 1時間くらいかかるので、ヒマつぶしに、 運転手に話しかけたりします。 「どう?セドリックとクラウン、どっちがいい?」 「そりゃ、クラウンですよ、セドリックは、ダメ。すぐ壊れる」 「そうでしょ、そうでしょ」 そんなときカーラジオから流れていたのが、 ザ・ピーナッツの唄。 「ピーナッツ?千葉県の特産の?」 お若い方は、ピンクレデイは知っていても、 ザ・ピーナッツは、ご存知ないでしょうね。 ピンクレデイの10倍は、流行っていたなぁ。
♪イェーイェーイェーイェーイェー… ふりむかなっははぁいーでー、 お願いだから 今ね 靴下直してるのよ あなたの 好きな黒い靴下 ふりむかなっははぁいーでー お願いだから 今ね スカート直してるのよ あなたの 好きなタータンチェック (ふりむかないで 作詞:岩谷時子 作・編曲:宮川泰) 歌詞が次第に怪しくなっていくものですから、 運転手さんも、つい思い出します。 「そういえば、 この前、新橋で乗ってきたホステスが、声をかけてくるんですよ。 運転手さん、ふりむかないでね。ちょっと着替えるから」 「はい、そうはいっても、オレも男だからね。 バックミラーで様子をみると、みえるんですよ、何が」 「何がって、何が?」 リアシートのオトーサン、思わず身を乗りだします。、 運転手さんも、ふりむきます。 クラクションの音、対向車が鳴らしたのです。 急ハンドルを切って、対向車との衝突を逃れました。 「危ないじゃないか!」 セールスマン、 「で、いかがでした?」 「...後ろをふりかえっているから、それどころじゃないんだ」 でも、そんなことを言ってる場合でも、相手でもありません。 せっかく、試乗につきあってくれたのですから。 「そうねぇ...まあ、いいクルマじゃないの」 ほんとうは、もっと誉めたかったのですが、 これから厳しい条件闘争が待っています。 安易に買う気をみせては、いけません。 でも、読者のみなさんだけに、内緒でおはなししましょう。 セールスマンに聞こえないように、 この際、唄の音量もあげておきましょう。 ♪ふりむかなっははぁいーでー お願いだから 今ね 内緒のお話しなのよ どうぞ向こうを むいてちょうだい オトーサン、 徳大寺有恒さんの信者です。 あと1ケ月もすれば、 「間違えだらけのクルマ選び」(2005年冬版)が発行されて ティーダの採点簿も出るはずです。 でも、それまで待てないというひとも 大勢おられるでしょうから、 徳さんになったつもりで、ティーダを採点しましょう。 間違ったら、ゴメンナサイ。 なお、サニー マーチ フィット カローラのスコアは、 2004年夏版に掲載されたデータです。 サニー マーチ フィット カローラ ティーダ スタイル 7 8 8 8 8 インテリア・センス 7 8 8 7 8 基本性能 7 9 9 7 9 燃費 7 8 8 7 8 ヴァリュー・フォー・マネー 7 9 9 9 9 魅力度 7 9 8 7 9 総合評価 6 8 9 7 9 オトーサン、 「おお、スゴイじゃん」 自分で採点しておいて感動しているのだから世話ありません。 マーチやフィットより、いいのですから、こうならざるを得ません。 でも、正直言って、久しぶりにいいクルマが出たと思います。 セールスマン、 「いかがなされます?」 「そうね。ちょっとトイレに行っていい?」 これも、高等な心理作戦です。 トイレに行ったふりして、そのまま帰ってしまうんじゃないか? じゃ、思い切った条件提示するか? セールスマンなら、そう考えたりするのです。 オトーサン、 用を足すときだけは、 ♪ふりむかなっははぁいーでー やっております。 でも、これは、ごく最近のこと。 定年になって、奥方との力関係が逆転してからのこと。 それまでは、脇見ばかりして、好き放題やっていまいりました。 「いい加減にしなさいよ。掃除する身になって」 みると、なるほど、しずくが床に飛散しております。 オトーサン、 今日もまた、修練の甲斐あって、 トイレを正しく使い終えることができて大満足。 気をよくして、 相手の目をまっすぐみつめました。 「買うことにした。見積もってくれる?」 セールスマン 「そうですか。ありがとうございます、 今日決めていただけば、契約第1号になります」 「契約第1号?」 「はい」 「ふーん、そうなの?」 慌てて、気のない様子を装いました。 相手にスキをみせてはいけません。 だって、この先、厳しい条件闘争が待っているじゃありませんか。 でも、内心はまったく違いました。 実は、一度そういう身分になってみたかったのです。 第1号車ですよ、第1号! さて、日産関係者のみなさん。 このところ、しばらく、 アイドマ(AIDMA)の法則に、ご無沙汰してきましたが、 覚えておられるでしょうか? ・Attention(注目) ・Interest (興味) ・Desire (欲求) ・Memory (記憶) ・Action (行動) オトーサン、 ニ転三転しましたが、 ようやく、アイドマの最終段階 Action(行動)に入ったのです。 関係者みんなで、乾杯したいところでしょうが、 まだまだ、油断は禁物。 何といっても、脇見ダイスキ人間ですから... ♪イェーイェーイェーイェーイェー… ふりむかなっははぁいーでー そう、心から祈り続けてください。 オトーサン、 「でもぉ...ぶっちゃけた話... 言うよ、言っちゃっていいかなぁ。 BMW120iやオペル・アストラも出たことだし... 迷ってるんだ、ほんとうのところ、走りがよさそうだし...」 日産さん、油断大敵。 最後の詰めが肝心ですよ。 おたくは、紳士集団だから、いつも、この詰めが甘くて、 トヨタやホンダにやられてしまうのです。 お客なんて、いい気なもの。 いつ何どき、 ♪イェースイェースイェースイェース...が イイエに変わるかも知れないんだから。
オトーサン、 この業界の片隅に長いこと蟄居していたので、 有利な値引きを引き出す方法は、熟知しております。 近年では、自動車雑誌に値引きの達人というか、 師匠が出てきているようです。 ボーナスの時期になれば、 読者の質問に答えて、 師匠は、具体的な車名や店名をあげて、 懇切丁寧に値引きの極意を指南しております。 「カローラ、値引き目標 30万円」 なんて指南しているのをみると、 昔だったら、 「テメエ、営業妨害だろうが。 夜道はいつも月が出ているとは限らんぞ」 なーんていきまいていたかも。 オトーサン、 最近のネットの掲示板も、よろしくアリマセンなあ。 新車値引きが6万円、 下取り車の買い増し20万円なーんていう書き込みをみると、 「この野郎、てめえだけ、いい思いしやがって。 チククショー、おれは、セールスマンにだまされた」 新車に乗る喜びも半減して、 自分の値引き努力がいかに至らなかったかを思って、 しばらくは重苦しい日々を送ることにあいなります。 当然、いい関係になれるハズのセールスマンとも敵同士。 オトーサン、 「大体、世の中、まちがっとる。 どっちかがトクして、どっちかがソンする。 そんなこと長続きするわけないだろう」 かつての日産、マツダがいい例でした。 安くつくれるトヨタに負けまいと値引き合戦。 その結果、どうなったと思います? 両社とも、大赤字。 赤字続きの結果、どうなったと思います。 トヨタが、ほぼ独占状態。 あぐらをかいたとはいいませんが、 下手な鉄砲も、数撃ちゃ当たる状態なのも事実。 結局、損しているのは、ユーザーです。 オノレひとりの欲に目がくらんで、 値引きを強要し、挙句、その戦果を誇りあうなんて、 末世の兆候であります。 オトーサン、 「値引きだけに血道をあげるなかれ」 三菱のリコ−ル、誰が予測できましたか? いくら有利な値引きを獲得しても、 リコールになったら、何にもなりません。 やはり、確かな目でクルマを選んで、 長いおつきあいと心得て、節度をもって交渉にあたるべきです。 最近の流行語でいえば、"WINーLOSE"から"WIN-WIN"へ。 片方がトクをし、他方がソンするのではなく、双方がトクする。 そんな共存共栄を心がけたいもの。 読者のみなさん、 「おいおい、御託はいいから、早いところ極意を教えろ!」 では、値引きの極意7ケ条をご披露しましょう。 いわゆる常識とはちがいますので、 意外に思われる方もおられるでしょうが、 以下は、発売直後のティーダに絞った手作りの極意です。 @ベストセラー、大幅値引き車、減価率の大きいクルマは避ける。 街中に溢れているフィットをいまごろ買ってどうするの? カローラ、ベリーサ、コルトを考慮しているひとも要注意。 A一見、有利なモデル末期、ボーナスやセールは狙わぬ。 それこそ、安物買いのゼニ失いで、後悔します。 B月末を避ける 「月末ですから、この場で決めてくれれば大幅値引きします」 そんな甘言に騙されて、大局を見失うひとが多いのです。 C下取り車の相場を知っておく ガリバーなどで、相場を常時チェックしておくこと。 下取車を20万円高くとりますと言われたら、要注意。 実際は、査定価格を安くつけただけで、トクしていないのです。 D余計なオプションや付属品をつけない オトーサン、 フロアマット2万3100円をカットし、オートバックスで7308円で買いました。 296100円という大金をはたいてつけたオプションは、ナビ。 前のクルマのナビを乗せかえようとも思ったのですが、 装着位置が、ダッシュボードの上になるので、視界が悪くなるのでやめました。 事故を起こせば、元も子もありません。 このナビは、サイドブラインドモニターとバックビューモニターがついてます。 パック商法が気にいりませんが、思いなおして、 奥方や娘がクルマをこすらないですめば、元がとれると考えたのです。 ETCは、断固、つけかえてもらうことにしました。 オトーサン、 安全装備のオプションであるサイドカーテンレール、ディスチャージドランプ、 フォグランプも気になりましたが、断念。 ティーダに200万も出すなら、別のクルマも検討すべきでしょう。 例えば、中古車なら、高年式の輸入小型車が購入対象になります。 まったく、違う世界を体験できます。 ティーダに決めてから、夢中になってオプション選択。 気ははやるのですが、お互い、ここは、冷静になりましょう。 数年先の下取りのさい、オプションはダタになると心得るべし。 E諸費用は、カットする 車庫証明は、簡単。 警察に行って、用紙をもらって、書類と図面を書いて提出。 検査登録も、陸運局へ行って自分でやったことがありますが、 いろいろ業者に教えてもらって、いい体験をしました。 社会勉強がてら、1度くらい自分で取ってみましょう。 F税金の安いクルマを選ぶ ティーダの優遇税制の恩典は、案外バカになりませn。 デーラーによっては、ユーザーの無知につけこんで、 恩典隠しをする可能性があるので、要注意。 オトーサン 「税金どのくらい安くなるの?」 調べてみました。 テイーダは、燃費もいいし、排気ガスも少ないので、 自動車税が半額ですむことが分かりました。 「えっ、取得税が、1万5000円も安くなるの?」 自動車税と取得税の3年間の節税額は、合計で6万8000円になります。 追記)この記述は、間違っていました。 取得税の軽減は、初年度だけ。 お国は、そう甘ちゃんではないようです。 自動車税と取得税の3年間の節税額は、合計で3万8000円にとどまります。 謹んで、訂正し、お詫び申しあげます。 以下に、理由を書いておきました。 おヒマな方は、目をお通しください。 @自動車税の軽減額について ティ−ダは、 平成17年自動車排出ガス基準75%低減(☆☆☆☆)車 かつ燃費基準5%向上達成自動車で、 かつ1500ccなので、通常34,500円のところが17,500円になります。 一番、恩典を受けるクルマなのです。 でも、同じティーダでも、4WD車やAXISや 1800cc車には、 この最高水準の恩典は適用されませんので、ご注意を。 自動車税・軽課対象車一覧 排気量 通常 低燃費 低燃費車 低燃費車 超優排出車 優排出車 良排出車 1リットル以下 29,500円 15,000円 22,500円 26,000円 1〜1.5リットル 34,500円 17,500円 26,000円 30,500円 1.5〜2リットル 39,500円 20,000円 30,000円 34,500円 A自動車取得税の軽減について ティーダは、 平成17年自動車排出ガス基準75%低減(☆☆☆☆)車 かつ燃費基準達成車なので、 これも、イ)が適用され、最高水準の恩典を受けることになります。 取得価額から30万円が控除された金額に対して、 5%の取得税がかかります。 なお、取得価格は、高いグレードを選び、 オプションをつけまくれば、それに応じて、 当然のことながら上がっていきます。 つけ加えると、任意保険の金額も増えますよ。 イ)平成17年自動車排出ガス基準75%低減(☆☆☆☆)車 かつ燃費基準達成車なので、 取得価額から30万円を控除 ロ)平成17年自動車排出ガス基準50%低減(☆☆☆)車 かつ燃費基準5%向上達成車 20万円を控除 参照:低排出ガス車認定制度 http://www.jaf.or.jp/qa/advice/answer/K/K_13.htm B自動車重量税について 5万6700円、バッチリとられます。優遇なし。 C自動車賠償責任保険 3万9260円、これもバッチリとられます。 D消費税 購入価格の5%。 15Mは、150万円なので、消費税は、7万5000円です。 オプションにだって、消費税が入っています。 オトーサン、 「自動車の税金って、おかしいよ」 必需品なのに、奢侈品扱いで、税金の取り放題。 自動車にかかる税金一覧 ・購入...消費税 /重量税 /取得税 /自動車税 ・保有...自動車税/重量税(車検時) ・使用...消費税 /揮発油税 /地方消費税 /地方道路税 参照:自動車税 http://www.pref.hiroshima.jp/soumu/zeimu/kenzei/siori40.html オトーサン、 「税金の使い方ときたら、もうメチャメチャ」 第二東名の巨大な橋げたをみると腹が立ちます。 防衛費、サマワの派遣費用もバカになりません。 社会保険庁の数々のムダ遣いには、あきれはてています。 都心に官舎の多いこと。 払った税金は、われわれのところになど戻ってこないのです。 見返りなし。 ノーリターン。 ふっと、口をついて出てきたのは、 マリリン・モンローの歌。 映画「帰らざる河」(1954)の主題歌。 囁くように歌っていましたっけ。
♪If you listen, you can hear it call Wailerie, wailerie…… There is a river called the river of no return Sometimes it's peaceful and sometimes wild and free Love is a traveller on the river of no return Swept on forever to be lost in the stormy sea I can hear the river call No no return, no return (chorus)Where the roarin' waters call Wailerie…… I can hear my lover call come to me (The River Of No Return 作曲:K.Darby L.Newman SONG:MARILIN MONROE) オトーサン、 ユーザーは、もっと怒るべきでしょう。 税金を払いたくてしょうがないひとは別にして ティーダを買うなら、わざわざ高いモデルを買うべきではないのです。 「おれなら、自動車への"酷税"反対の意思表示のために、 ティーダの安いほう(15M)を買って、オプションも最低限にする」 それから、デーラーのローンでは買わないこと。 ものすごく損しますから、計算してみてください。 ガソリン代も急騰しているし、 それに、来年からは、税金が大幅に上がっていきます。 この歌にある"roaring waters"(咆哮する激流)のように。 それでも、ムダ金を遣いますか? ♪No return, no return, no return ノーリターン、ノーリターン、ノーリターン ノータリン、ノータリン、ノータリン ノーマネー、ノーマネー、ノーマネー Wailerie, wailerie Wailerie……
オトーサン、 「さあ、これからが、商談のヤマ場だ」 商談が長引くのを覚悟して、もう一度、トイレへ。 またも、トイレを正しく使い終えることができて満足。 気をよくして、また、相手の目をみつめました。 「あのアルファロメオの下取りだけど、いくら?」 「160万円でいかがですか?」 「160万円?」 思わず、顔面蒼白。 読者のみなさん、 愛車の下取り価格の告知って、 ガンの宣告と似ていませんか? あまりにも低い値段を提示されて、 怒り心頭に達した経験はありませんか? 「えーっ、ほんとうは、ゼロなのですが、 精一杯努力させていただいて、5万円ではいかがですか?」 なーんて、言われたこともあります。 セールスマン、 「いくらくらいの心つもりだったのですか?」 「200万円。10ケ月前に280万円で買った。あとで、ナビもつけた」 「それは...」 明らかに、ナビのお値段は、タダという目つきです。 オトーサン、 内心、ガリバーに査定させなかったのを後悔します。 ネットで査定を申し込んだのですが、ナシのつぶて。 そのままで、今日にいたりました。 本当のところ、相場がいくらか分からないのです。 オトーサン、 「オレ、帰るわ。話にならん」 そう言って、席を立ちます。 セールスマン、 「分かりました。上司に相談してまいります」 なかなか戻ってきませんでした。 仕方がないので、 ショールームのガラス窓越しに、ティーダを眺めます。 「あまり、いい顔じゃないなぁ。 ブスとまではいわんが...」 "昭和の3ブス"といえば、 樹木麒麟、 泉ピン子、 それから、3人目は誰だったっけなぁ?」 セールスマン、 「お待たせしました。 上司と相談して、これがぎりぎりということで、 180万円ではいかがですか?」 「180万円...うーん、20万円も低いのか」 「何とか、このお値段で、よろしくお願いしたいのですが」 「ちょっと待って、1本電話するから」 営業所の電話を借りて、アルファロメオを買った GUTの営業所長・成田さんを呼んでもらいます。 「あのさ、あのアルファ、売ることにしたんだけど」 「えっ、もうですか?何かあったんですか?」 「いや、お蔭様で快調そのものだよ。 お願いがあるんだけど、あのクルマ、お宅で引き取るとすると、 いくらになる? 即答してほしいんだけど」 「うーん、まあ、180万円から190万円でしょうか」 「ありがとう、また、いずれ買いにいくから」 「はい、その節は、よろしく」 成田さん、まことによく出来たお方です。 つぎは、成田さんのところへと思ってしまうじゃありませんか。 ここは、トヨタ唯一の輸入中古車専門ディーラー、 その気になられた方は、オトーサンまで。 成田さんに、ご紹介します。 オトーサン、 「トヨタは、190万円で取るといってるけど」 「そうですか」 「じゃ、こうしよう、185万円にしてくれたら、手を打つ」 「それは、ご勘弁ください」 「じゃ、これで商談決裂だ!」 ふたたび、席を立とうとします。 セールスマン、 「ちょっとお待ちください、もう一度上司と相談してきます」 以前、プジョー206の商談は、ここで破談になりました。 セールスマンが戻ってきて、 「上司と相談しましたが、今回は、ご縁がなかったということで」 あっという間の幕切れでした。 奥方などは、その青いボディカラーに合わせるべく、 香港で青い鞄と靴をオーダーメイドまでしたのですから、 その落胆ぶりは、見ておられませんでした。 オトーサン、 そんなことを思い出しながら、 ショールームのガラス窓越しに外を眺めます。 台風が近づいてきたのか、外が薄暗くなってきました。 街路樹の枝のゆれが大きくなって、枯葉が散っています。 「そうか、3人目は、五輪真弓だった」
♪枯葉散る夕暮れは くる日の寒さをものがたり 雨に濡れたベンチには 愛をささやく歌もない 恋人よ〜〜〜〜っ 傍にいて〜〜〜〜〜っ こごえるあったっしの〜〜〜 傍ぁあ〜〜っにいてよ〜〜〜〜〜っ そしてひとこと、 この別れ話が冗談だよと笑ってほしい (恋人よ 作詞・作曲:五輪真弓) オトーサン、 「ブスでなけりゃ、出来ない歌だよなあ」 ここで、差別用語であるブスはやめて、 以後、目鼻立ちが整っていない女性と表記しますが、 慣れというものは、恐ろしいもので、 長年一緒に暮らしていると、 その目鼻立ちの微妙なズレというか、 目鼻立ちのゆらぎというか、 目鼻立ちのファジーなところが、 何ともいえず可愛くて仕方がなくなるもんです。 オトーサン、 「ティーダ姫もそうなるかも... しまった、柏庵、姫をお守りせねば。 このさし迫る台風。そして木枯らしの季節を 屋外に放置しては申しわけない。 たかが、5万かそこらのハシタ金で、 大恩あるお殿さまのご息女であらせられるティーダ姫を 敵方の手に渡したまま、おめおめ、藩に戻れるものか」 話の目鼻立ちが、 何やらファジーになってきましたが、 とにかく、ティーダ姫が、 ♪この別れ話が冗談だよと笑ってほしい そう強く要望されておられる以上、御意に沿うしかありません。 もし、破談ともなれば、切腹しかありません。 「皺だらけの腹を切ろう、それまでじゃ」 セールスマン、 よろよろと戻ってきて、 「やはり、これ以上は、ムリだそうです。 ウチは、トヨタさんほど、中古車の販売力がないので、 それ以上は、高く取れないと申しております」 オトーサン、 もう、この時点で、 白髪を黒く染めて 老体にムチ打って、襲いくる敵を相手に獅子奮迅、 万策尽き、割腹した斉藤実盛そのものに化身しました。 「もはやこれまで、せめて辞世の一句でも」 むざんやな甲の下のきりぎりす 芭蕉 その時、かすかにセールスマンの声が... 「で、所長が申すには、 下取り価格ではムリなので、 せめて新車値引きという形でお応えさせていただけないか。 6万円引きということで」 オトーサン、 "地獄に仏"とは、このこと、 "渡りに船”とは、このこと。 "棚からボタ餅”とは、このこと。 先刻までのあの引きつった顔がほろこんでおります。 まあ、この一瞬だけは、 オシャカさまのように慈愛あふれる顔になっております。 「分かった。キミ、よくやってくれた。恩に着るよ、 カネ持ってきている、いくらだ? いま払おう、ハンコも押そう」 追金23万円を渡しました。 セールスマン、 深々と頭を下げて、 「ありがとうございます。契約第1号です。ウレシイナア」 ベテラン・セールスの厳しい顔が、 幼さを残した30代前半の若者の笑顔に戻っております。 オトーサン、 しみじみ、商談を振り返ります。 「長いこと生きてきたけど、 23万円で新車買ったのは、はじめてだなぁ」 日産の関係者のみなさん。 さぞ、やきもきされたことでしょう。 ♪あなたバカよね、なーんて言われたリ... じっとガマンの時期もありました。 でも、契約書にハンを押したから、もうダイジョウブ。 ついに、アイドマの法則の第5段階である Action(行動・購買)段階に達したのです。 @ Attention(注目) A Interest (興味) B Desire (欲求) C Memory (記憶) D Action (行動) オトーサン、 「でも、クーリング・オフがあったよなぁ」 この制度、訪問販売なら熟慮期間は8日。 それ以内なら、「おれ、やーめた」が可能なハズです。 次は、何が起きるか目が離せません。 一寸先は闇なのです。
オトーサン、 長い間、シティバンクの優良顧客でした。 娘の友人が勤めていた関係で、100万円を預けました。 海外旅行では、ドルが出せて重宝していました。 ところが、NYで暗証番号を入れ間違って、使用不能へ。 国内では使えるので、そのままにしていました。 でも、この秋、 「頭にきた。シティバンク、せこいぞ」 そういう事態が発生いたしました。 いつの間にか、預金残高が50万円を割っていて、 口座維持費用の2100円をぼったくられました。 優良顧客から有料顧客へ転落していたのです。 30万円まで無料だったのが50万円に引き上げられたため。 それでも、50万円超になるように積み増したりしました。 オトーサン、 ある日、新聞を読んでいたら、 「シティバンク:金融庁が処分」 そういう見出しの記事が目に飛び込んできました。 金融庁は、シティバンク在日支店に対し、 「重大な法令違反と不適切な取引が多数確認された」として、 富裕層向けの資産管理業務を行う 丸の内支店と名古屋、大阪、福岡の3出張所の認可取り消しや、 1カ月間の外貨預金業務の新規顧客引き受け停止という 異例の厳しい処分を行った。 指摘された違反事項は多岐にわたり、 マネーロンダリングと疑われる取引を許す口座の開設や、 株価操縦事件で公判中の被告に多額の貸し出しを行うなどの 悪質な違反事例が認められた。 また、禁止されている海外生命保険の募集や美術品取引の媒介などを行い、 違法な収益をあげていた。 個人金融本部では、外貨預金の為替差損を補てんするために、 他の預金者の資金を18億円以上も詐取した事件が発覚するなど、 内部管理態勢の未整備もあった。 さらに、検査でも、行員らが事実と異なる回答をしたり 資料を提示しないなど不適切な対応を取ったという。 オトーサン、 「まさに、やりたい放題のゼニゲバ。 外資系の日本人って、ほかの日本人を馬鹿にしている。 ...よーし、解約に行こう」 前置きが長くなりますが、 そんなことで、持っていたのが、あのお金。 ティーダ購入にポンと払った23万円だったのです。 オトーサン、 「まだ、手元に残ってるなぁ」 普通、新車を買うときって、 100万くらいは用意するもんじゃありませんか。 「持ち歩いているのも、危ないし...」 そんなとき、通りかかったのが、柏駅前の野村證券。 「株ね、たまには、株もいいか」 元気寿司の株でも買って、元気になるかと飛び込みました。 株主優待券で、回転ずしの割引券がもらえそうです。 でも、1株1400円もするので、気が変わりました。 「そうだ、京都へ行こう」 JRの名文句じゃありませんが、 「そうだ、日産を買おう」 1209円で500株、しめて60万円ほど衝動買いをしてしまいました。 「ティーダは売れるだろう、国内販売も好転して、株価も上がるだろう」 そう思ったわけ。 オトーサン、 それから毎日のように、 Yahoo! Financeの株価で推移を追うようになりまhした。 http://quote.yahoo.co.jp/q?s=7201.t&d=t 同じ頃、価格comのティーダの掲示板も発見したので、 これも、定期的にチェックを開始しました。 双方とも、時々刻々、内容が変わるので、 俄然、いそがしくなりました。 オトーサン、 「上らんなぁ」 10/12 1209円 13 1200 14 1183 15 1175 16 休み 17 休み 「おっ、ちょっと戻したぞ」 10/18 1182円 19 1192 20 1199 21 1199 22 1201 23 休み 24 休み オトーサン、 株価がちょっと戻したし、株式市場もお休みなので、 うまれてはじめて、掲示板に書き込みを行いました。 10/24 オトーサン、 15Mをめぐるエッセイ みなさん、今晩は。 たのしく読ませていただいています。 実は、ライバル会社のものです。 アルファロメオから、ティーダ15M に乗り換えます。 ハーベスト・イエローで内装ベージュ。 オプションは、 純正ナビ/サイド&バックモニターと インテリジェントキー。 値引き額は、6万円強。 納車は、1週間遅れて、11月5日。 購入までのテンヤワンヤは、下記サイトに。 迷っているひとには、きっと参考になると思います。 買ってしまったひとは、どうかなぁ? http://www32.ocn.ne.jp/~tytya/index.html オトーサン、 「うわ−っ」 その翌日から、ホームページのアクセスが飛躍的に増加しました。 「スゴイなぁ、価格com、みんな見てるんだ!」 新発見でした、 オトーサン、 「うわーっ」 同じ、うわーっでも、こんどのは、悲鳴。 10/ 25 1174円 26 1157 27 1154 株価がどんどん下落していくのです。 日産ディーラーからは、納期がさらに遅れるという連絡。 雨続きもあって、気が滅入ってきました。 毎日更新して、読者に読んでもらわねば、 一日中、部屋に籠ってよしなしごとを書きつらねます。 思うように筆が進まないときなどは、気が狂いそう。 そんなときは、神経が研ぎすまされていますから、 階下の音が気になってしかたありません。 何を思ったのか、還暦を過ぎた奥方が ヴァイオリンの練習をはじめたのです。 妙な音(原文のママ。妙なる音ではない)が聞こえてきます。 ハッキリ言って、耳障りです。 一層、気が滅入ってまいります。 秋の日の ヴィオロンの ためいきの 身にしみて ひたぶるに うら悲し。 鐘のおとに 胸ふたぎ 色かへて 涙ぐむ 過ぎし日の おもひでや。 げにわれは うらぶれて ここかしこ さだめなく とび散らふ 落葉かな。 (Chanson d'Autommne Paul Verlaine 上田敏訳) (注) ポオル・ヴェルレエヌ(1844-96)は、 フランスの退廃詩人。 その生涯を彩るのは、 酒と女と男色と、神と祈りと反逆と、冒涜と悔恨。 生涯に、840編の詩を詠んだ。 この「秋の歌」は、かれの代表作のひとつ。 なお、詩中にある鐘は、フランスでもゴーンと鳴る。 オトーサン、 「ロクなもんじゃないな、オレって奴は」 大好きなアルファロメオを売りはらって、 同僚・知人・友人の信頼を裏切って、 ライバル社のティーダを買いに走り回り、 かといって、やめようと思っても、 すでに、ティーダ姫の色香から逃れられない... さらに、長期停滞株を買って、損を積み重ねていく。 げにわれは、うらぶれて ここかしこ、さだめなく、とび散らふ落葉かな オトーサン、 こうして落ちこんでくと、 価格comの掲示板を読むときだけが楽しみ。 yoyyさん、somepersonさん、かるぽーさんの書き込み、 お返事こそできませんでしたが、 ホントは涙が出るほどうれしかったんですよ。 でも、こんな書き込みも。 今日納車!さん 10月29日 きょうTIIDAが納車されました. その感想です. エンジン:試乗したよりもスムーズに加速し、 ストレスを感じませんでした. CVTは独特のアクセルワークがあると感じているので, アクセルワークに慣れてしまえば キビキビした走りができるかと思いました. (以下、略) オトーサン、 「いいなあ。もう走ってるんだ!」 それにしても、ケシカラン! 契約第1号というから甘ちゃんの条件で手を打ったのに、 10月納車が遅れに遅れて、11月上旬納車とは。 「だまされた、どうしてくれよう。手打ちにいたす!」 現代社会では、そうもいかないので、 腹立ちまぎれに、ティーダをキャンセル。 でも、そうしようと思っても、 ク−リング・オフの期間をとうに過ぎております。 オトーサン、 「おっ、急激に戻した」 10/29 1195宴 30 休み 31 休み これは、日産の9月中間決算の発表があって 米国が好調で経常利益が過去最高になったためでした。 三菱、軽自動車部門を日産に売却なんていう記事も出ました。 オトーサン、 「うわーっ」 これも、悲鳴です。 「あーあ、日産の株なんか買うんじゃなかった」 11/ 1 1155怨 2 1150 3 休み 4 1155 若い頃、戯れに大正海上火災の株を買いました。 高度成長期ですから、株といえば、上がるもの。 買ったその晩、儲かるであろう分を銀座で飲んでしまいました。 以後、ずっと塩漬状態、3年後に損切りで売却。 オトーサン、 過去10年の日産の株価推移をみて、ガックリ。 つぶれそうだった99年に400円で買っておけばよかったのです。 でも、あの頃は、座間工場が閉鎖されて、 「ザマぁみろ」なーんて言ってたっけ。 あーあ、山のテッペンで買ってしまいました。 あとは、徐々に下っていくだけ。 「どうも、大正海上火災の二の舞になりそうだなあ」 来年からの大増税で、 年金だのみの家計は、火のクルマになりそうです。
日産関係者のみなさん、 「株価が上りますように。 ホンダ並の5000円台とまではいかなくても せめてトヨタの4000円台、 いやいや、おまけして半分の2000円でもいいや。 そのためには、まずティーダを売ること。 売って売って売りまくってよ。 カローラも、フィツトも、ブッチギリで抜いてちょうだい。 お願いだから、この哀れな柏庵を助けてー」 読者のみなさん、 ティーダ姫には、 確かに至らぬ点も多々あるかとは思いますが、 まだまだ、若いことだし、 「あばたもえくぼ」というじゃあーりませんか。 ここは、ぐっと寛大なお気持ちになっていただいて、 些細な欠点などには目をつぶって、 姫をお買いあげくだされ。 愛してやってくだされ、 柏庵、土下座して頼むから。 オトーサン、 「今日は暗くなったけど、 でも.....シメは、明るく行こうぜ!」 ティーダ姫が歌いますから、 読者のみなさんも、ご遠慮なく加わってください。 さぁ、みんなで肩を組みあって... ラ、ラ、ランラン このコーラスの部分をご唱和ください。 ♪愛しちゃったのよ 愛しちゃったのよ (ラ、ラ、ランラン) 愛しちゃったのよ (ラ、ラ、ランラン) あなただけを 死ぬ程に (ラ、ラ、ランラン、ランラン) 愛しちゃったのよ (ララ、ランラン) 愛しちゃったのよ (ラ、ラ、ランラン) ねてもさめても ただあなただけ 生きているのが つらくなるよな長い夜 こんな気持ちは 誰もわかっちゃくれない 愛しちゃったのよ (ラ、ラ、ランラン) 愛しちゃったのよ (メヲ、ランラン) あなただけを 命をかけて (愛して愛して愛しちゃったのよ 歌手:田代美代子/和田弘とマヒナスターズ 作詞/作曲 浜口庫之助)
オトーサン、 「鋭気を養わねば」 11月5日は、待ちに待った納車日。 前夜は、クリスマスイブ気分でした。 納車に備えて、早めに寝ようと思ったのですが、 目が冴えて、納車日のチェックリストを作成したり、 もう一度「ティーダのすべて」を読み返したり... 結局、いつもの時間にベッドに入りました。 朝5時30分、起床。 「まだ暗いな。天気はどうだ?曇りかなあ?」 NHKの気象情報をチェック。 アナウンサーいわく。 週末は、晴れ、それも爽やかな秋晴れになります。 「快晴か、ウレシイなぁ」 一晩寝たら、昨日までの陰鬱な気分は、どこへやら。 朝っぱらから鼻歌が出てまいりました。 英語で歌える数少ない歌のひとつです。 ♪You are my sunshine, my only sunshine. You make me happy when skies are grey. You'll never know dear, how much I love you. Please don't take my sunshine away. (You Are My Sunshine 作詞・作曲:Jimmy Davis / Charles Mitchell)
朝8時45分。 オトーサンの姿は、 既に日産サティオ千葉北営業所にありました。 「ティーダ姫だ!おお、なんと凛々しいことか」 ボディーが黄金色に燦然と輝いております。 両隣に、ホワイトパールのAXISモデルと ダイヤモンドシルバーのティーダがありますが、 この黄金の輝きの前には、メじゃありません。 また、鼻歌が出てまいります。 ♪You are my sunshine, my only sunshine. オトーサン、 カラー選択が間違っていなかったことにいたく満足して、 ほれぼれと姫の雄姿をながめやります。 ボンネットを開けにかかったとき、 セールスマンのWJくんがやってきました。 「いい色でしたね」 「誰かが黄色はやめたほうがいい、 査定が下るって言ってたけど、そんなハズないよなぁ」 「しょうもないことを言うひとがいますねぇ」 2人の意見が完全に一致いたしました。 「この前は、薄暗がりでみたので、印象が悪かったですが、 今日みたいに快晴だと、この色サイコーですね」 「夜も、また、いいらしいよ」 六本木ヒルズあたりを流したら、 みんなが外車かと思ってふりむくでしょう。 オトーサン、 ボンネットの開け方を教わります。 「おお、新エンジンだ!」 日産が誇る新開発 HR15DE アルミ・エンジンが 中央にドーンと燻し銀のようなキラメキを放ち、 それに4匹の大蛇がからみついております。 「音響等長のインテーク・マニフォールドだ」 こいつが快音の功労者なのです。 その回りに、オイルゲージ、ウィンドウ・ウォッシャー液のタンク、 ラジェーター・タンク、バッテリーなどの惑星群が... 「いいねえ。絵になるねえ」 蒸し返すようですが、カタログのエンジンの扱いのお粗末なこと、 早いところ、何とかならないものでしょうかねぇ。 このカタログだけで、毎月3000人以上が購買を断念していそうです。 オトーサン、 リアに回って、トノボードをチェック。 「こりゃ、安物だナ」 アルファロメオのそれと比較したせいでしょう。 でも、これがあるとないでは大ちがい。 トランクに雑多に積み込んだ荷物を隠せます。 「おっ、フックもある。あー、そうだ」 「はい、何ですか?」 「追加だけど、ラゲッジネット(5250円)、頼むね」 アルファロメオで、このネット、大変重宝しておりました。、 傘や日よけなどを散らないように収納できます。 「今度、カーウィングスのケーブルもらいに来るとき、 一緒にもらえるようにしておいてくれる?」 「はい、かしこまりました」 オトーサン、 この後、1時間半くらいディーラーにいました。 想像以上に時間がかかったのは、やはり、ナビの使いかた。 前のケンウッドとまったく操作体系がちがうからです。 慣れれば、どうってことはないのでしょうが、 はじめは、とまどいました。 面倒なので、今日行く先を登録してもらいました。 @自宅 電話番号を入力してもダメで、住所で入れました。 Aスーパーオートバックス柏沼南店 これも、施設ーカー用品店ーオートバックスでは出ませんでした。 その他で、ようやく、スーパーオートバックス柏沼南店にたどりつけました。 「同じ店だろうに。このアホ・ナビ」 B道の駅・しょうなん これは、簡単でした。 セールスマンのWJくん、 一通り、教えてくれたあと、一息ついて 「ナビって、はじめてのひとに教えるのは、大変なんですよ」 オトーサン、 「そうだろう。ナビに気をとられて、事故起こすかもなぁ」 不慣れな方は、一応、ティ−ダの運転になれてから、 ナビの操作法だけを教わりに行ったほうがいいと思います。 肝心のライトやウィンカー、ワイパー、クラクションなど、 運転にかかわる操作が分からないと、大変なことになりますよ。 オトーサン、 「えっ、このナビ、テレビ見られない?そんなバカな!」 アルファロメオにつけたケンウッドのナビは、 渋滞でまったく動かないときなど、まことに重宝しました。 ところが、このナビでは、サイドブレーキを引いた状態でないと、 テレビがまったく見られないようになっているそうです。 「しまった。それを早く知っていたらなぁ。 社外品にしておけばよかった」 後悔先に立たず。 「社外品のほうは、見られるようですが、 純正は、安全確保の観点から見られないようにしています」 「そうか」 ケイタイをかけていると逮捕されるようになったご時世です。 確かに、運転中にテレビをみるのは、、危険です。 そうなると、オーディオで退屈をまぎらすしかありません。 オトーサン、 そこは、準備万端、あい整えて、CDを1枚持ってまいりました。 マリリン・モンローのハスキーボイスが流れ出しました。 標準装備にしては、いいサウンドです。 ♪No return, no return, no return Wailerie, wailerie Wailerie…… セールスマンのWJくん、 どうもHPを読んでいるようで、 「フ、フッ」と笑って、説明を続行しようとします。 オトーサン、 「この歌もいいだろう。そのうち、登場させるよ」 ペギー・リーが歌う"ジャニー・ギター" 映画「大砂塵」の主題歌で、名曲中の名曲です。 セールスマンのWJくん、 「歌がお好きなんですか?」 「いやぁ、HPを面白くするために使ってるだけだよ」 舞台裏を明かしてしまいました。 だって、彼、ガソリンを満タンにしてくれませんでしたが、 その代わり納車費用をカットしてくれたのです。 オトーサン、 一通り、説明を聞き終えて、 「ありがとう。これから、オートバックスに行くよ」 「あれですか? フロアマットですか?」 「ああ、ディーラーのは、お値段が法外だよ」 20分後、つつがなくオートバックスに到着。 フロアマット(前後)を購入して、早速装着してみました。 「おお、ぴったりじゃん。 オーダーメイドだよ、こりゃ。毛足も長いし... 2万3100円-7308円=1万5792円。大儲けだ!」 下手な値引きよりも、効果的です。 こんなことを書くと、日産関係者は顔をしかめるでしょうが、 オートバックスの住野社長には、喜んでもらえるかも。 だって、ティーダの月間1万台分のフロアマットが もし、オートバックスに流れれば、 売り上げは、7308万円。 年間では、8億7696万円とちょっとしたもの。 「まあ、とらぬタヌキの皮算用だけどなー」 オトーサン、 あらためて、 黄金色の衣装を身をまとったティーダ姫を見やります。 柏庵になって、語りかけました。 「姫、お美しゅうござりまする」 つつがなく嫁入りを迎えられた姫の恥らうような輝きを目にすると、 柏庵、まずもって、うれしい限りです。 「このお方こそ、サニー王朝10代目のお世継ぎ、 正統的なお世継ぎであらせられる。 お家の再興を一身に担っていかれるお方。 おそれ多くも仰ぎみれば、この輝くばかりの神々しさは、どうじゃ。 これで、もう柏庵、いつ死んでも思い残すことはないわい」 柏庵、ほれぼれとティーダ姫を仰ぎ見て、 感涙にむせびつつ、立ち尽くしております。 「亡きお殿さまに、一目お見せしたかった」 皺くちゃになったそのマナコから、涙が滂沱と流れ落ちております。
オトーサン、 昨夜、入念に用意したメモを見て、 「さぁ、ぶっ飛ばすぞー」 気合を入れ直しました。 メモには、高速走行テスト項目とあります。 ロ 高速道路進入時の加速 ロ 追い越し時の加速 ロ 直進安定性 ロ 横風安定性 ロ 登坂性能 ロ コーナリング性能 ロ 制動性能 ロ 2000/3000rpmでの静粛性 ロ 4000/5000rpmでの咆哮 ロ ロードノイズ ロ 風切り音 ロ 高速走行時の燃費 オトーサン、 「常磐道に行こう」 常磐高速道にしたのは、 家から近いのと、舗装がいいのと、クルマが少ないから。 その昔、ソアラを借りてきて、180km出したこともあります。 ナビを常磐高速道の水戸にセットしようとして手間取りました。 目的地ー施設ー交通ー高速道路ーエリアで探すー茨城県 ここまでは、まあまあでしたが、 水戸(みと)が、あいうえおの後ろなので、 なかなか出てこないのです。 「このアホ・ナビ」 イライラしてきました。 そのときでした。 セールスマンのWJくんの言葉がよみがえりました。 「3000kmくらいまでは、慣らし運転をしたほうがいいですよ」 「そうだった、新車は慣らし運転が必要なんだっけ」 新車は、1997年にアウディA3を買って以来のこと。 すっかり、忘れていました。 「そうだな。新婚早々、SMプレイに及ぶこともないわな」 急遽、考えをあらためました。 最近のクルマでは、慣らし運転など必要ないという説もありますが、 クルマよりも、運転する本人の慣れにある程度の時間がいるのかも。 そういえば、掲示板で購入早々ぶつけたひとをみかけましたっけ。 「よーし、2000rpm以上、出すまい。 ...狭い日本、そんなに急いで、どこへ行く。 ここは、ひとつ、のんびりいこうや」 とりあえず、さきほどWJくんにセットしてもらった、 道の駅しょうなんに向かうことにしました。 オトーサン、 「そういえば、最近、道の駅って、増えたな」 千葉県には、18ケ所。 全国では、何ケ所あると思われます? なんと、785ケ所もあるのです。 天下り先の確保でしょうか? 国土交通省、抜け目ないですね。 公共工事の代表格・道路工事への国民の厳しい目を和らげるため、 レストランや農産物の直売所、さらに温浴施設まで併設しています。 オトーサン、 道の駅しょうなんに到着。 お目当ての農産物の直売所へ。 このところ、葉もののお値段が高騰しているので、 ホーレン草でもないかと思ったのです。 農家のおじさん、 「この長雨で、くさっちまって。来週あたりからボツボツ出るよ」 しょうがないので、大根1本、トマト4ケ、ミカン1袋を購入してから レストランへ。 早朝からの活躍で、お腹が空いたので、 お隣りの運転手さんたちと同じマーボ豆腐定食を食べることにしました。 「ティーダ姫とは、イメージが合わんかもな...」 でも、食べたいんだもん。 オトーサン、 レストランの大きなガラス窓の外の景色に見ほれました。 手賀沼は、東西に38Kmもの細長い沼です。 今日は、快晴なので、水面が青くキラキラしています。 沼のまわりには、葦の群生がびっしり。 水鳥の姿もみかけます。 山階鳥類研究所の鳥の博物館もあります。 「そうだ、手賀沼を一周してみよう」 小1時間かけて、ノンビリとドライブしました。 あくまでも静かなクルマ、 エアコンの効きもよく、 プラズマイオンの効果もあるのでしょうか。 おだやかな気分になってきました。 「こんな気分も、久ぶりだなぁ」 おだやかに人生を送るという選択肢もあったのに、 競争厳しい自動車業界に入ってしまい、 日産との競争で身をすり減らしてしまったのです。 「もう、ケンカはコリゴリだ」 オトーサン、 学生時代、志賀直哉に心酔していました。 「暗夜行路」「城の崎にて」「小僧の神様」 そして、「和解」を読んで、 その簡潔な文体の表現力にほれぼれしました。 この手賀沼こそ、彼の創作拠点だったのです。 大正末期、この地に、志賀直哉をはじめ、 武者小路実篤、バーナード・ リーチ、 そして民芸運動の柳宗悦などの文化人が集まっていたのです。 観光案内めきますが、白樺文学館もあって、 白樺派作家の自筆原稿や書簡、作品を展示してあります。 手賀沼のまわりの遊歩道の散策もいいでしょう。
実篤も 直哉も歩みし この道を われひとりゆく やすらぐ思ひに 田口ふみ そうそう、こに地には、斉藤茂吉も訪れました。 春の雲 かたよりゆきし 昼つかた 遠き真菰に 雁しづまりぬ 茂吉 オトーサン、 ボートハウス脇の駐車場にクルマをとめて、 あらためて、正面からティーダ姫を眺めやりました。 「そう悪くないじゃないか」 カタログ写真を見たり、試乗の際に見た限りでは、 薄っぺらなカンジだったのですが、そんなことありません。 格子型のグリルの輝きに、独特の高級感があります。 オトーサン、 そのまま、じっと立ち尽くしております。 「何で、そんなにいつまでも?」 「いや、実は...」 みつめていたものは、もうひとつあって、 ナンバープレートでした。 生まれてはじめて、お仕着せでなく、 セールスマンのWJくんのおかげで 自分好みのナンバーを選ぶことできたのです。 これって、千葉県に引っ越してきた意外なメリットでした。 「希望ナンバー取得率って、ご存知ですか?」 ベストカーの11月26日号に載っていたのですが、 千葉 12位 23.3% 東京 26位 17.5 大阪 17位 21.2 愛知 41位 12.7 こういう具合で、千葉県のディーラーは、 希望ナンバーを快く取ってくれるのです。 愛知県をみてください。 ヒドイでしょう。 では、全国1位は、どの県かというと、 高知 1位 32.2 徳島 2位 30.5 奈良 3位 29.9 「へぇ、そうなの。そんなことできるの? じゃ、ティーダ買うとき、私もそうしましょう」 そういう方に、先輩としてひとこと。 自由に選べるとなると、意外に迷うものなんです。 (例) 山形 さ 4141 ...民謡みたいですね。 三河 ぱ ・777 ...さすが、パチンコの本場 神戸 ち ・・83 ...神戸じゃ、ヤーサン、血をみるで 伊賀 く ・・・1 ...九の一、女忍者の本場ですね オトーサン、 一晩、寝ずに、熟慮を重ねた結果、以下のようにしました。 「野田 530 や ・117」 野原も田んぼも、ゴミゼロ、やーいいな。 でも、セールスマンのWJくんにアドバイスされました。 「あまり、覚えやすい番号だと問題ありますよ」 「どうして?」 「だって、身元がばれるでしょう」 人目につきやすいイエローをボディーカラーに選んだうえに、 覚えられやすいナンバーまで選んで、 モーテルにでも入ってごらんなさい。 一発でバレて、みんなの物笑いのタネになります。 オトーサン、 「この年だから、何も悪いことしていないぜ」 「そうでしょうけれど...」 そんなことで、やや譲歩して、あるナンバーにいたしました。、 「野田 530 や ・782だろう?」 「ヤナヤツ? そんなこと、言わないでよ」 実は、 「野田 530 さ ・・??」 と2ケタにしたのです。 ?をつけたのは、 やはり、セールスマンのWJくんに、 身元を特定されぬようにとのアドバイスを受けたからです。 そんないきさつがあったので、 このナンバーで果たしてよかったのかどうか、 じっと立ち尽くして考えていたのでした。 まあ、あとの祭りだけれどね。
柏庵、 モ−レツにうなされております。 「姫、そ、それだけは、ご勘弁を」 ティーダが無事納入されて、 手賀沼を気持ちよく一周してきたその夜のことであります。 「あ、あ、ああ...気持ちいい」
♪あなたに女の子のいちばん 大切なものをあげるわ 小さな胸の奥にしまった 大切なものをあげるわ 愛するひとに捧げるため 守ってきたのよ 汚れてもいい 泣いてもいい 愛は尊いわ 誰でも一度だけ経験するのよ 誘惑の甘い罠 (ひと夏の経験 山口百恵 作詞:千家和也 作曲:都倉俊一) 読者のみなさん、 「おい、お前、メチャメチャだよ、 柏庵に姫が挑むなんてことはありえないし、 モモエちゃんを引き合いに出すことはないだろう」 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに 源融 オトーサン、 紅葉の季節だし、 百人一種のこの歌にしようかと思ったのですが、 みちのくは、楽天がせり勝ったりして、気色悪いですよね。 「もうメチャメチャ、今後、楽天では買ってやらんぞ」 こんなことばかり続くと、 諸行無常、何でもありの気になってしまいます。 柏庵と姫、柏庵とモモエちゃん そういう抱き合わせもありうるかも... オトーサン、 何についてもそうですが、 誰でも、初体験を前にすると緊張するものです。 その昔、初夜を控えてナーバスになっていて、 数ケ月前に結婚したばかりの後輩を 別室に呼び出したことがあります。 「あの、ちょっといいか?」 「何ですか?急に。あらたまって」 「実はなぁ...」 初夜の床に入るときに、 花嫁の右側に寝るべきか、 それとも、左側に寝るべきかを聞きたかったのです。 「なーんだ、そんなことですか。 それは、やはり左側じゃないですか。 ...右利きなら」 またまた、 ・ヨタ話になってしまいましたが、 今回のお題は、初体験。 ティーダのオプション3つ。 バックモニター、サイドブラインドモニター、 そして、インテリジェントキー、 いずれも、 「高いからよそうかなー、 いや、一度体験してみたいなー」 大いに悩んだ末買ってしまった新装備についての話であります。 いずれも、初体験。 @サイドブラインドモニター オトーサン、 「バックモニターは、ともかく、 こんなサイドなんとかは、いらないよ」 セールスマンのWJくん 「でも、メーカーオプションのナビをつけると、 バックモニターのほかに、 このサイドブラインドモニターも 一緒についてくるんですよ」 「それって、抱き合わせ販売だよ。公取に叱られるよ」 「....」 でも、純正ナビを買うことに決めた以上、 いまさらブツクサ言っても仕方ありません。 で、早速、自宅の車庫入れのときに試してみました。 助手席側のフロントタイヤ回りの景色が、 ナビのモニターに写るのです。 「お-、動く動く」 ステアリングを切ってみたら、 タイヤが動いているのが写りました。 動いたって、どうってこたーないのですが...
オトーサン、 これまで、長い間、幅寄せは ヤマカン一筋でやってまいりました。 助手席側のこんな景色、見たことありません。 初体験。ショックです。 「あいつは、こんな景色ばかり見ていたんだ」 長年寄り添ってきた奥方ですが、 彼女が、こんな風に 薄暗く人生を見つめてきたかと思うとゾツとします。 「あぁ、もっと早めに明るい人生を送らせてやればよかった」 なーんちゃって。 このサイドブラインドモニター、 黄色い線までは幅よせしても安全だそうですが、 どうもいまひとつ実感がわきません。 ヴァーチャルの世界を浮遊しているようです。 だって、これまでは、 大体、奥方が横に乗っていて、 「おい、ダイジョウブか?そっち?」 奥方、 新婚の頃は、すぐクルマを降りて、 「はい、オーライ、オーライ」 中年になると、 奥方、クルマから降りずに、 首をちょっと傾けて、 「ええ、ダイジョウブよ」 これですべてOK。 こんなもの、絶対にいらなかったのです。 でも、いまでじゃこんな風。 オトーサン、 「おい、ダイジョウブか?そっち?」 奥方、知らん顔をして、 「えっ?何が?」 「何がって、そこの電柱にぶつからないか聞いてるんだ」 「そうね。まだ、ダイジョウブのようよ」 でも、 さらに、2人の関係がこじれてくると、 オトーサン、 「おい、そっちダイジョウブか?」 「ダイジィウブよ」 「ほんとか?」 「ダイジョウブ、ダイジョウブったらダイジョウブ」 その言葉を信じて幅寄せすると、ガーン! 歩道にある電柱にぶつかってしまいます。 「あーあ、これで、10万円は吹っ飛んだ」 「バカねー、あんたって。いつもドジなんだから」 「だって、お前がダイジョウブだって言ったから...」 「何よ、その言い方。 ダイジョウブ、あたしひとりで生きていけるって言ったのに、 そのどこが悪いのよ。変なひと」 オトーサン、 「思うに、こいつを発明した奴、きっと離婚直前だったんだ」 なお、この問題のサイドブラインドモニター、 セールスマンのWJくんからのアドバイスを紹介しておきましょう。 「走りながら見ないほうがいいですよ。気持ち悪くなってきますから」 一度試してみましたが、気持ち悪くはなりませんでしたが、 前方不注意で、危うく正面衝突しそうになりました。 これは、脇見運転のアシスト装置なのです。 でも、上記の説明は、 みんなこれまたみんな・ヨタ話。 はじめての場所で幅寄せするときには、 絶大な威力を発揮します。 意中の彼女にオーライ、オーライなんて、 気を使わせないですみます。 「あなた、駐車、うまいのねぇ」 彼女に、きっと、そう言ってもらえるハズ。 Aバックビューモニター 「オーライ、オーライ、バックオーライ」 彼女がそう言ってくれるもんだから、 モーテルで後背位で挑んだら、 「何よ、あんた、イヤラシイワネ」 またまた・ヨタ話で、ゴメンナサイ。 これも、サイドブラインドモニターと原理は同じ、 サイドブラインドモニターのほうは、 小さなカメラがドアミラーに内臓されているのに対し、 バックビューモニターでは、リアゲートに内臓されているのです。 オトーサン、 「へぇ、頭いいーっ」 感心しました。 シフトレバーをリアに入れると、 即、モニターに、バックビューが写し出されるのです。
なお、サイドブラインドモニターのほうは、 ステアリングの右手側、 インストルメントパネルのスイッチを押さないと写りません。 勿論、両者とも、夜間でも写ります。 Bインテリジェントキー オトーサン、 「リモコンキー、 標準でついているんだろう。 インテリジェントキーは、5万2500円だって? そんな高いものいらないよ」 セールスマンのWJくん、 「便利ですよ、ムラーノのお客様が喜んでおられましたよ」 上級車の装備をティーダに驕ったと言いたいのでしょう。 内心ブツブツ。 「冗談じゃない、キーひとつだろう。 そんなものに、法外な値段つけやがって」 でも、しばらく考えて、数日後、WJくんに電話しました。 「あの、インテリジェントキー、いくらだっけ?」 「4万5000円です」 「そうか?」 「はい、多分そうだと思います」 「多分じゃ困るの。いくらなのか、ハッキリさせてよ」 「だから、4万5000円に」 「よーし、分かった。じゃ、それもつけてよ」 暗算します。 「シメシメ。52500-45000=7500。 おお、7500円も儲けた!」 オトーサン、 使ってみての感想は、 「クセになりそう!」 これさえもっていれば、 あっという間に、ドアの開閉ができるし、 カギなしでエンジンがかかるのです。 人間、楽なほうへ、 楽チン(原文のママ)のほうへ流されるものです。 「何だ、このドアは」 玄関ドアがいつまで待っていても開かないのです。 「そうか、アホなドアだなぁ」 考えてみれば、当然のことながら、 玄関ドアはインテリジェントキーではなかったのです。 オトーサン、 「世のなか、どんどん便利になるなあ。 次は、きっと開けゴマ!だな」 声を出せば、カギがあくようになるかも。 そう思っていたら、 何と、純正ナビのほうは音声操作が出来るのです。 「自宅!」 と叫ぶと、 (そんなに怒鳴らなくてもいいのです。 そっと姫に囁やくだけでいいのです) ナビの自宅へのガイドが開始されるのです。 オトーサン、 びっくりして、 「まるで、昔の奥方みたいだ。 ...昔は、よかったなぁ。 メシ、フロ、ネルで、すべて通じたんだもの」 気持ちは分かりますが、なにせ時代が変わったのです。 「なつかしいなあ、あの頃」 ♪あなたに女の子のいちばん 大切なものをあげるわ 小さな胸の奥にしまった 大切なものをあげるわ 奥方にも、そんな時期があったのです。 いまじゃ、気に入らないとなったら、 懇切丁寧、条理を尽くしてお願いしたって、 テコでも動きゃしません。 「...もどかしいなぁ」 そういう時、このキーなら、 昔の奥方のように素直そのものです。 癒し効果も、多分...あると思います。 いやいヤ、大変なストレス解消効果が期待できます。 キーを使うのは、毎日のことでしょうから、 気持ちよく毎日過ごせるはずです。 オトーサン、 そして柏庵、両名そろって断言いたします。 昔から、"据え膳食わぬは男の恥"というじゃないですか。 冒頭ご紹介したように、 柏庵ですら、姫の誘惑に負けるご時勢です。 ♪誰でも一度だけ経験するのよ 誘惑の甘い罠 ティーダのオプション3つ。 バックモニター、サイドブラインドモニター、 そして、インテリジェントキー、 これ、オススメです。 下取りに出すときに、 この3点セットがついていないと、 相当、買い叩かれると思いますよ。 迷っている方、 この際、甘んじて誘惑の罠にかかりましょう。
オト−サン、 11月6日、土曜日の朝、 また価格comに投稿いたしました。 きっかけは、朝日の朝刊。 カローラ首位奪回なる大見出し。 カローラが、フィットに勝ったというのです。 「この記者、アホやなぁ。いつまで、そんな記事を書くの? もっと大事なニュースがあるだろうに...」 そこで、記者の情報源である自販連のサイトをチェック。 http://www.jada.or.jp/Fmenurank.htm 10月度 自動車販売台数ランキング 1位カローラ 11,992台* 2 フィット 11,800 * 3 ティーダ 11,237 * 4 パッソ 10,436 5 ウィッシュ 8,487 6 クラウン 8,278 7 ポルテ 7,457 8 アルファード 7,074 9 ノア 6,927 10 キューブ 6,589 ** 11 イスト 6,314 12 ヴォクシー 6,181 13 アイシス 5,650 14 オデッセイ 5,216 15 マーチ 5,213 ** 16 シエンタ 4,863 17 デミオ 4,692 18 プリウス 4,384 19 エスティマ 4,068 20 ヴィッツ 4,033 このデータをみて、以下の投稿をしたわけです。 みなさん、こんにちは。 この掲示板、ますます楽しくなってきました。 ライバルのCar Viewの掲示板にも負けなくなってきました。 10月24日に初投稿させていただいた 「15Mをめぐるエッセイ」連載中ですが、 たくさんのひとに、毎日見ていただいて、感謝感激です。 この場をお借りして、厚くお礼を申しあげます。 http://www32.ocn.ne.jp/~tytya/index.html さて、今日は、大ニュース!! ティーダの購入を考えておられる方、 納車待ちでワクワクされている方、 もう乗りまわしておられる方々... 「みました?」 10月の販売台数で、ティーダが大健闘!!! 1位 カローラ 1万1992台 2位 フィット 1万1800台 3位 ティーダ 1万1237台。 ランキング初登場でイキナリ3位! あとたったの 756台で、1位ですよ。 11月は、1位も夢ではありません。 11月5日に無事納車されましたが、 ほんとにいいクルマです。 450万円もするアルファロメオをよりも、いいぞ! オトーサン、 長くなるので、書かなかったのですが、 このデータから3つの疑問を抱きました。 @月販5000台という目標設定は、正しかったのか? Aなぜ、こんなにマーチやキューブが減るのか? Bティーダは、1位になれるのか? 以下、順に検討してみたいと思います。 @月販5000台という目標設定は、正しかったのか? ティーダの10月の販売台数は、1万1237台。 おおまかにみて、目標台数の2倍。 まずは、メデタイことです。 でも、GNPが年率数%増えるかどうかで 政府や経済界が、一喜一憂するなかで、 100%増というのは、ちとおかしくないでしょうか? やはり、素直に考えると、目標設定が低すぎたのではないでしょうか? カルロス・ゴーン社長は、就任早々、 それまでの目標設定のズサンさを指摘しました。 開発陣が目標台数が高いほど、たくさん予算がもらえるので、 売れもしない高めの台数を設定していたのを批判したのです。 ゴーン社長は、 自から高らかに宣言しました。 「利益目標を達成できなかったら、社長をやめる」 これが、有名な「コミットメント」というもので、 社長が率先してやるのですから、社員もやらざるを得ません。 一般に、目標管理の問題点としていわれるのは、 ・低い目標に流れやすい ・短期的に達成可能な目標を設定しがち このティーダのケースは、これに当てはまるように思えます。 カローラ、フィット、マーチ、デミオといった 売れ筋商品が集中しているこの小型車市場。 ヒットすれば、大変な台数が期待されるはすです。 オトーサン、 ここで、クイズ。 その一「過去最も売れたクルマは?」 そのニ「その台数は月平均で何台だったか?」 「答えは、CMのあとで」なーんてイジワルはしません。 (答え) その一 カローラ そのニ 3万3785台(1973年) 読者のみなさん、 「お前の話は、乱暴だ。時代も経済環境もちがう」 でも、この頃、宣伝部にいたオトーサンには言い分があります。 この1973年は、石油危機の年。 エコノミーを打ち出したカローラに人気が集まったのです。 この年、サニーは、負けたといっても、2万0919台。 こういう輝かしい実績があるサニーの後継車がティーダ。、 新開発エンジンをはじめとする これだけのフルモデルチェンジをして、 たったの月販5000台という目標設定はおかしいと思います。 Aなぜ、こんなにマーチやキューブが減るのか? 10位 キューブ 6,589台 15位 マーチ 5,213台 参考までに、これまでの販売台数を見てみましょう。 キューブ マーチ 2004/9 13,347 9,735 2004/1-6 13,695 10,238 2003/1-12 11,630 10,308 オトーサン、 「半減じゃん」 これは、勿論、価格的にそう違わないのに、 ティーダがマーチやキューブよりも 商品力で断然すぐれているからなのですが、 ティーダの取扱いが全店になったことも、大きく影響しています。 つまり、レッドステージとブルーステージの両方で扱う。 これまで、マーチやキューブの売れ行きがよかったのは、 全店扱いだったためですが、 ティーダが、出てくれば、当然、そちらに集中します。 マーチの発売は、2002年3月、 キューブは、2002年10月、 キューブ・キュービックは、2003年9月。 もう2年以上前のモデルです。 オトーサン、自分がセールスマンだったら、 当然、新発売のクルマを売ります。 しかも、セールスマンに対して 個々のクルマの販売台数のノルマを決めていないようですから 売れ行き低下に歯止めがかかりません。 04年10月には、ティーダ・ラティオ、 05年1月には、マーチ派生車のノートが発売されます。 となると、当分、台数減は仕方がないでしょう。 Bティーダは、1位になれるのか? オトーサン、 「ウーン、難しいところだなぁ」 04年10月加わったティーダ・ラティオが 目標どおり3000台売れた想定すると、 11月は、ティーダ 12000+3000=15000台となります。 さて、対する2強、カローラとフィットですが、 両車とも、そうとう古いモデルになっています。 カローラの発売は、2000年8月ですから、もう4年前。 フィットは、2001年6月ですから、これも3年前。 (なお、フイット・アリアは、2002年12月) もういくらベストセラーといっても、 そろそろ息切れしてもいい頃です。 でも、当然、年末にかけて カローラもフィットも負けずに頑張るでしょう。 予想されるのは、商品力でなく、価格勝負。 自動車雑誌「Driver」(12/51号)によれば、 値引き期待額は、 カローラ4兄弟が ・カローラ 24万円 ・カローラ・フィルダー 25 ・カローラ・ランクス 24 ・カローラ・スパシオ 27 とおそろしいほの金額になっています。 「性能は、ほどほどでいい、安いけりゃ」 そういうひとも多いでしょうから、 トヨタの現ナマ攻勢は、あなどれません。 ホンダ・フィットは、どうかというと、 フィット 16万円 フィットアリア 16 これも、相当なもの。 1位奪取に向けて、 販売奨励金も大判振る舞いするでしょう。 この2強に対するティーダはというと、 ティーダ 11万円 とDriver」には出ていますが、 まあ、7万円がいいところでしょう。 ゴーンさんには、価格面で競争する気などサラサラないでしょう オトーサン、 「オレの予想では、年内の首位はないだろうなぁ」 でも、来年1月には、ヴィッツがデビューして、 しばらくは、1位を独占するでしょう。 「いまが、チャンス。 オレなら、絶対、1位獲りにいくぞ。 販売店のモラルも上るし、なによりも、 日産自身も驚くビッグ・ニュースになる」 そう思いはじめたら、血が煮えたぎってきました。
♪闘志溌剌起つや今 熱血既に敵を衝く 獣王の意気高らかに 無敵の我等ぞ日産ティーダース オウ オウ オウオウ 日産ティ−ダース ゴーン ゴンゴンゴン (六甲おろし 作詞:佐藤惣之助 作曲:古関裕而) 日産関係者のみなさん、 この替え歌の使用は、フリーにしますので、 1位になったら、祝勝会で使ってください。 買ったひと全員を招待しての ゴーン社長主催の園遊会も忘れずに。 その勢いが続いて、来年通年で1位になったら、 その儲けで、阪神タイガースを買収してあげてください。 まあ、一歩譲って横浜ベイスターズでもいいや。 ...とにかく、1位になれば、ドエライこっちゃで。
オトーサン、 納車3日目の朝を迎えました。 まだまだ、ティーダ姫とのハネムーン気分です。 「雨が降ったのか?」 ボディが濡れています。 ウィンドウガラス、サイドミラーなどの水滴を拭きとります。 でも、結局、ボディ全体を拭き上げてしまいました。 「妙な気分だなぁ、何だろう、この気分」 思い出しました。 豊満な美女のお尻を撫でるのと、まさに同じカンジ。 「分かった。日産のニューデザインのヒミツ。これなんだ」 自動車評論家たちは、塊感などと気のきいたことを言っておいでですが、 洗車したことがないのではないでしょうか。 オトーサン、 上司に連れていかれて踊った 銀座の一流クラブのホステスを思い出しました。 学生時代、社交ダンスをやっていた関係で、 あたゆる種類の女性の感触を味わったつもりでいましたが、 この女性の抱き心地は、まったく違うのです。 「おお、楊貴妃だ!」 最近の研究によると、 楊貴妃は、小肥りだったそうですが、 「傾国の美女」という言葉の意味がはじめて分かりました。 こんな感触を一度味わったら、 何もかも放り出して、愛欲の日々を送るにちがいありません。 「おい、キミ、もういいだろう。オレの女だ」 せっかく彼女と仲良くなってチークダンスしていたのに。 上司のひとことで、ジ・エンド。 宮仕えの悲哀を味わった瞬間でした。 オトーサン、 「この雑巾じゃ、まずいかなー」 黄金色のティーダ姫とボロ雑巾。 名古屋勤務時代に中日新聞の販売店の景品でもらった 99年の中日ドラゴンズ優勝記念の手ぬぐい。 足かけ5年の使い古し。 「ビバボームに行って、新しい雑巾買わなきゃ」 唐の玄宗は、楊貴妃の体を拭くのに何を使っていたのでしょう? アルカンターラかなんかで出来た ティーダ姫専用の純正洗車雑巾がほしいところです。 オトーサン、 30分後、21世紀の森と広場へ。 この松戸市が誇る公園は、1993年開園。 入場無料とあって市民に大人気。 広さ50万平方メートル、東京ドーム10ケ分。 千駄堀池を中心にいくつもの趣向をこらした広場があり、 市立博物館、ホール、パークセンター、自然観察舎などもあります。 「東京にあったら、TV番組のロケに使われるだろう。 ソウルにあったら、冬ソナの舞台になるだろうに」 オトーサン、 その西口駐車場にすんなりと到着しました。 「この純正ナビ、案外、賢いなあ」 アルファロメオにつけていたケンウッドのナビときたら、 いつも東駐車場に拉致するのです。 ここは、1日500円。 市長さん、 30分でも500円とは、法外じゃありませんか。 ところが、西口駐車場は、やや不便な場所にあるので、 1時間100円、2時間200円なのです。 しかも、千駄堀池がすぐ目の前。 広大な池の回りには、葦原が茂り、水鳥が浮かんでいます。 写生に夢中のご一行、ウォーキングに精を出しているお年寄り。 休日になると若いひとたち、乳母車の親子連れで賑わいます。 池のまわりに設置されたボードウォークを歩いていくと、 池に張り出したカフェテラスに到着。 ここのお嬢さんたちとも顔なじみになったし、 一番のお気に入りスポットです。 このHPを書いたり、本を読んだり... 週に数回は来ているでしょうか。 オトーサン、 「たまには、足を伸ばしてみるか」 原稿書きに飽きて、散歩することにしました。 とりあえす、コスモス畑のほうへ。 「フーン、ここから、みどりの里へ入っていくのか」 昔の里山を復元しているのです。 サラサラと小川が流れ、ススキの穂がゆれ、赤トンボが。 「なつかしいなぁ」 オトーサン、 ふっと童謡の一節が口をついて... ♪誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが 見ぃつけた 小さい秋 小さい秋 小さい秋 見ぃつけた 目かくし鬼さん 手のなるほうへ すました お耳に かすかにしみた 呼んでる 口笛 もずの声 小さい秋 小さい秋 小さい秋 見ぃつけた (小さい秋見つけた 作詞:サトウハチロー 作曲:中田 喜直)
オトーサン、 「鬼ごっこ、かくれんぼ、石蹴り、縄跳び、ベーゴマ、 日が暮れるまで、遊んでいて、おばあちゃんに怒られたっけ」 すっかり童心に返ってしまいました。 でも、里山の途中から引き返しました。 「今度きたときは、このお茶屋さんで新そばでも食そう」 また、小さな楽しみの貯金が増えました。 ロンドンならリージェントパークやハイドパーク、 NYなら、何といってもセントラルパーク。 いい公園があって、 その楽しみかたを知っている市民がいる、 ステキですねえ。 オトーサン、 「自宅!」と純正ナビに命じて、成功。 また、ちょっといい気分になりました。 ティーダ姫、まだまだ純情です。 公園脇の静かな道路をゆったり流していきます。 「おお..」 インストルメントパネルのグローブボックス側、 その上に貼ってあるアルミパネルに、 過ぎ行く樹木が映りこんで、きらきら。 木漏れ日のようです。 「へぇ、ステキな仕掛けになってるんだ。 誰も、知らないんじゃないの?これって?」 インテリアの評価がすっかり変わってしまいました。 「ワビ、サビじゃん」 オトーサン、 そんなことで、納車されてはじめて気づいた 「小さな○、見ぃつけた」項目と 「小さな×、見ぃつけた」項目を以下に書きとめてみました。 「小さな○、見ぃつけた」項目 @サンバイザー 秋の陽射しがまぶしいので、 サンバイザーを下げたら、その感触のやわらかいこと。 ティーダ姫の頬に触って、ドキドキしました。 Aオ−トライト これ、便利ですねえ。 ライトをオートモードにしておけば、 夜昼の切り替え不要、トンネルも同じ。 「こんなに楽チンで、いいのかなぁ? オレ、グータラ人間になっちゃわないかなぁ?」 B瞬間燃費計 オトーサン、 「やったぁ!」 これがあるとないでは、大違い。 ナビについています。 情報>車両情報>瞬間燃費計の順番で出てきます。 いつでも、簡単にリセットできます。 オトーサン、 自宅から、6キロくらい離れた温水プールに通っていますが、 「えっ、リッター7.8 km ? ティーダって、こんなに燃費悪いのか?」 愕然としました。 でも、帰路、同じルートを瞬間燃費計を意識して走ったら、 何と、16.8kmでした。 「おお、倍じゃんか」 往路は、前のアルファロメオと同じように走っていたのですが、 帰路は、急発進、急加速、急ブレーキを控えたら、即効果。 「おれも、京都議定書に批准しようっと」 「小さな×、見ぃつけた」項目 オトーサン、 「これ、おれの意見じゃないけれど...」 CAR VIEWの書き込みなどに出ていました。 @ボンネットの先が見えない Aフロントボディ最下部の樹脂ガードを路面に擦りやすい Bドアミラーがやや後ろについているので、左後方の視界が悪い オトーサン、 上記、3点は、今のところ、まったく気になりません。 Cステアフィールが悪い ほとんどの自動車評論家が指摘している項目です。 アルファロメオ的運転をしていると、気になります。 でも、姫をいたわるように、おだやかに乗っていると、 この変なクセは、出ませんでした。 おきゃんな妹の町娘(マーチ娘)と同じステアを使っているせいでしょう。 でも、駐車時のステアの軽快なこと。 回転半径が、5.2mもあるとは、とても思えません。 オトーサン、 忘れていました。 「小さな×、見ぃつけた」の追加項目です。 @ありもしないサイドブレーキを探すことがある。 Aドアを開けようとして、鞄の鍵を探すことがある。 B脇見運転をしてしまうことがある。 若い女性がバス停でこっちをみつめるのです。 考えてみれば、オトーサンのはずはありません。 ハーベスト・イエローのティーダのせいに決まっています。 まだ、ほかのティーダ仲間をみかけせんが、 すれちがったら、きっと脇見運転になると思います。 ♪小さい秋 小さい秋 小さい秋 見ぃつけた 大きな満足 大きな満足 見ぃつけた 軽快なエンジン音、静粛性、広い室内、しなやかな足回り、 好燃費、そしてバリュー・フォー・マネー。 「3分の一だよ、3分の一、お値段が」 こんなにいいクルマが、あのアルファロメオの 3分の一のお値段だとは、到底信じられません。
オトーサン、 「今日は、高速を走ろう!」 アルファロメオから思いきって、 ティーダに乗り換える決心がついたのは、 ロングツーリング性能がいいという評論家のご意見。 セールスマンのWJくんからは、 「高速道路を走るのですか?まだ慣らし運転期間でしょ?」 そう制止されております。 でも、もともと人間が偏屈に出来ていますから、 ダメと言われれば、やりたくなるし、 やれと言われれば、やりたくなくなるのです。 こればかりは、もう矯正できないでしょう。 オトーサン、 「常磐道がいいか、空いてるから」 自動車評論家のように箱根あたりまで行ってみたいのですが、 あいにく東名高速道路は、集中工事の最中。 中央道も、東北道も、ちょっと自宅から遠いのです。 柏ICまで混みますが、一番近い常磐道を走ることに決めしました。 「どこまで行くかなぁ」 遠くは、スパリゾート・ハワイアンズ。 温泉につかるのも、いいかも。 その手前となると、水戸の偕楽園。 「でも、梅の季節じゃないし」 さらにその手前だと、筑波山。 宣伝部時代の友人のMさんが、 すっかり、おっさんになって、 余生を陶芸と畑で謳歌しておられます。 「若いもんに畑仕事やらせると、すぐバテやがる」 意気軒昂たるものがあります。 さらに手前には、筑波学園都市。 全寮制の茗溪学園があって、 息子が中学・高校と在学していました。 たまに訪問すると、抱きついてきたもんです。 「なつかしいなぁ。行ってみるか」 オトーサン、 6号線に出て、一寸刻みの渋滞のなかにいます。 ヒマだから、いろんなことを考えてしまいます。 「息子も、企業戦士になっちまったなぁ」 「みんな、アクセク、アクセク。 自分のこと棚にあげて、他人のことを悪しざまに言う。 イヤな世の中になったもんだ」 オトーサン、 世相を批判しはじめると、 止まらなくなってきます。 別のことを考えることにしました。 「だけど、何だな。 高速をぶっとばすのも、何だし... そうだ、燃費を計測しようや」 早速、瞬間燃費計をセットし、 こまめにリセットすることしました。 「この一寸刻みの渋滞だと、 燃費はどのくらいになるかなあ」 自宅から国道6号線までが、13kmでしたが、 呼塚交差点までのデータをみると、10kmから9km。 「悪い数字だなぁ」 国道16号に出て、柏ICまで。 まあ流れているほうでしたが、13kmでした。 「こりゃ、あかんわ」 ティーダのカタログ燃費は、確か18.2kmでした。 「随分、違うもんだ」 オトーサン、 柏ICの料金所の直前で、また燃費計をリセット。 「2000rpm以上は出さないで、走ってみよう」 これなら、WJくんの顔も立つでしょう。 でも、この制約を守ると、 3車線の一番左側を走ることになります。 時速にして、80kmから90kmというところ。 まあ、追い抜かれること、抜かれること。 アルファロメオで走っていたときは、追い越し車線だけ。 もどかしいこと、悔しいこと。 もどかしいったらありゃしない。 だって、妹分のマーチも抜いていくんですよ。 軽が抜いていったときなど、頭に血がのぼりかけました。 隣席で、柏庵が歯ぎしりしております。 「おのれ、足軽の分際で!」 読者のみなさん、 「おい、柏庵は、確かお手打ちにあったのでは?」 そうなのです。 姫に懸想したばかりでなく、 手篭めにかかったという嫌疑で、 お白州に引きだされ、厳しい詮議を受けたのです。 でも、幸いなことにお奉行さんに恵まれていました。 南町奉行・大岡越前守だったのです。 ですから、 ジェンキンズさんのように微罪放免となったわけ。 先の殿様に対する忠義ぶりが斟酌されたようです。 オトーサン、 「おお、利根川だ!」 ここを越えると柏市から茨城県の守谷市に入ります。 「大きな河だ。 ♪坂東太郎というんだぜー」 ここで、ちょっと紹介すると、 利根川は、坂東(関東)で最も大きい川であり、 日本の川の長男(太郎)であるということで 別名を板東太郎というのです。 長さは、322km。 流域面積は日本最大、1万6840平方km。 柏庵が突然歌いはじめました。 そのしゃがれ声が、 バタやんこと田端義夫さんにそっくり。 ギター片手に歌うあたりは、かっこいいのですが、 この歌、現代の若者の感覚からすると、 耐えられないほど、スローテンポなのです。
♪ あれを御覧と 指差す方に 利根の流れを ながれ月 昔笑うて ながめた月も 今日は 今日は涙の 顔で見る 愚痴じゃなけれど 世が世であれば 殿のまねきの 月見酒 男平手と もてはやされて 今じゃ 今じゃ浮世を 三度笠 もとをただせば 侍育ち 腕は自慢の 千葉仕込み 何が不足で 大利根ぐらし 故郷じゃ 故郷じゃ妹が 待つものを (大利根月夜 作詩:藤田まさと 作曲:長津義司) オトーサン、 生まれたのは、昭和13年ですから、 この歌ができた昭和14年には、まだ物心ついていません。 でも、昭和16年の第2次世界大戦突入、 そして戦後の"焼け野原"時代を通じて、 この歌は、庶民の心情を魅了し続けたのです。 だから、歌えるわけ。 共感もできるわけ。 「鬼畜英米に勝っていれば、 いまごろは、こんなな情けない植民地にならずにすんだだろうに... わが家も、こんな状態にならずにすんだだろうに...トホホ」 オトーサン、 柏庵の悲嘆ぶりにつられて、 何だか物悲しくなってきました。 「あー何の因果で低速車線をトロトロ走らにゃならんのか」 「あーあー、実燃費は、そんなによくなかった」 「あーあーあー、日産の株価は下る一方だぁ...」 株価の推移は、 11/5 1160円 11/6 お休み 11/7 お休み 11/8 1155 11/9 1135 11/10 1131 トロトロ走っていると、 だんだん気が滅入ってきます。 「こんなバタやん走りじゃ、どうにもならんなぁ」 オトーサン、 「もういい加減に切りあげよう」 柏ICから17km走った矢田部ICで 急遽、高速を降りることにしました。 ここ矢田部といえば、何といってもテストコースが有名。 日本自動車研究所があって、5,500mの国際級高速周回路があるのです。 衝突実験もやっています。 後輩が、所長かなんかをやっています。 「寄ってみるか。でも、電話もしてないし。 おっとっと」 料金所を出たところで、急停車。 「高速燃費の結果は、いかに?」 肝心なことを忘れそうになりました。 「おっ!」 80km走行の燃費はいくらだったと思われます?。 なお、エアコンつけっばなしでした。 答えは、CMのあとで。 いや、この文章の最後に記しましょう。 オトーサン、 矢田部ICを降りて、空腹だったので、 吉野家で豚丼・並盛りを食しました。 すぐUターン。 今度は、時速100km連続走行テスト。 この速度なら、3車線のうちの中央レーンを走れます。 回転数は、2200rpm。 静かなもんです。 「いやはや...大したもんだ」 オトーサン、 守谷SA付近で大発見。 「おお、ティーダだ。 ハーベスト・イエローだ! なんてカッコいいんだろう!!」 はじめて、ほかのティーダに会えました。 このティーダ、低速レーンを走っております。 うれしくなって、追い越しざまにドライバーをみると、 禿頭のおっさんでした。 「は、は、はっ」 オトーサン、 自分のことは棚にあげて、 思わず笑っちゃいました。 価格comの かんそさん、 カリブンさん、 やす1122さん、 ピンポンパンピンさんが、 指摘しておられるような おっさん臭い、あるいは、おっちゃん臭いひとでした。 「デーラーが、サニーの代替ばかり狙うからだよ。 まあ、いずれ、若いひとの新規購入も増えるだろう。 これだけのクルマは他にないからなぁ」 でも、このおっさん、品川ナンバーでしたよ。 オトーサン、 また利根川を渡って、 柏ICの料金所を出たところで停車。 早速、燃費をチェックします。 「あーぁ」 ここで、正解を披露いたしましょう。 ・80km 走行時燃費 24.8 km/L ・100km 走行時燃費 18.4 km/L 読者のみなさん、いかがですか? ガソリン代118円、100km走ったとして、 ・80km 連続走行なら、472円 ・100km連続走行なら、637円 3割以上の増加になります。 (正確には、34%up) 差額はというと、165円ですよね。 月1000kmとすれば、1650円になります。 年換算で、1万9800円になります。 これを大きいとみるか、大したことないとみるか。 ♪あれを御覧と 指さーすーかーたーに ガソリン垂れて 走ってる 皆笑うて ながめているのに 今日は 今日も知らずに 走ってる オトーサン、 フォローして、 「バタやん燃費で行こう!」 柏庵もひとこと。 「御用とお急ぎでない方、ご速度、自重召されい」 昨年比、ガソリン代が、2割増し。 来年度からは、大増税もはじまります。 まぁ、遅かれ早かれ、若いひとだって、 おっさん走りにならざるを得ない。 もはや、時間の問題なんです。
オトーサン、 娘に語りかけます。 「変な音がするなぁ。おい、半ドアじゃないのか?」 「...」 大阪で会議、深夜の福岡への移動、 おまけに風邪気味でグッタリ。 ひとの声など聞きたくもないのでしょう。 駅まで送り届けてから、半ドアかどうかチェック。 ドアはキチンと閉めてありました。 「変だなぁ、どこか壊れたのかなぁ」 イヤな予感がします。 外れのクルマを買ってしまったのかも。 オトーサン、 足かけ7年の輸入外車生活で、 「異音」に注意するのが、 きわめて大事であることを肝に銘じました。 人間の病気に例えれば、 「咳声、喉に龍角散」の程度ならいいのですが、 心臓発作の前兆を聞き逃して、 専門医に診てもらわなかったら、さあ一大事です。 アウディA3をオシャカにしたのも、 エンジンの異音を軽んじたため。 オトーサン、 「変だなぁ。 カタカタいうのは、トランクに置いたポリ缶のせいかなぁ。 でも、昨日も、同じように置いてあったのに、 異音は出なかった...」 クルマを降りて、トランクをチェック。 「なーんだ、トノカバーが外れていたんだ」 面白半分にリアシートを一番前に押し出しておいたのですが、 さきほど、娘をリアシートに乗せるために、後ろに戻したのです。 勢いよく押したためか、 ビニール傘の柄が、 シートとトランクルームのフロアの間に挟まって、 取れなくなりました。 押したり引いたり、スッタモンダしているときに、 何かの拍子で、トノカバーが留め金から外れたのでしょう。 それで、カタカタ鳴っていたのでした。 オトーサン、 「ディーラーに行くのやめるか」 異音発生、即ディーラー持ち込みと反射的に思ったのですが、 異音が解消した以上、ムダ足になります。 「まあいいか、聞きたいこともあるし」 昨日、じっくり、2時間かけて取扱説明書を読んだのですが、 分からないことが、いくつか出てきました。 @ヘッドランプ・レベライザ−・スイッチは、どこについているか? A12V、10A、200Wの電源ソケットで、パソコンはやれるか? Bプラズマ・クラスター・イオンのクリーンを示す青色ランプが すぐに消えて、イオンを示す緑色ランプだけつくが、 故障ではないのか? オトーサン、 「WJくん、いますか?」 「いま、ちょっと外しています」 幸い、すぐにやってきました。 元気そうです。 「今月に入って、ティーダ、何台売れました?」 「3台です」 「スゴイじゃん。10日で3台とは」 「でも、20日までに注文とらないと、 今月の登録には間に合いませんから」 「年内納車は、もうムリかね?」 「テイーダ・ラティオなら間に合いますが」 「ということは、ラティオは、不人気か?」 「ティーダのほうが、圧倒的に人気がありますね」 「おっさんばかりじゃないの?サニーのお客優先で」 「どうしても、管理客が先になりますから」 「キミ、管理客何人もってるの?」 「650人です」 「スゴイじゃない、 普通400人もいれば、楽勝というじゃん。 あとは、順に買い替えてもらえばいいのだから」 「係長なんかは、1000人ですよ」 「マーチの売れ行きは、どう?」 「やっぱり、減りましたね」 「若いひとで、買ったひといる?」 「いますよ」 「どこがいいって言ってた?」 「リアシートの広さ。それから静粛性ですね」 「へぇ、若いひとでも静かなクルマはいいんだ」 ヘッドホーンつけて耳を悪くしている人種かと誤解していました。 「フロントマスクの評判はどう?」 「いいですよ」 オトーサン、 取材は、この程度にして、疑問点をただします。 @ヘッドランプ・レベライザ−・スイッチは、どこについているか? (答)オプションのキセノンヘッドランプ装着車だけの装備である。 A12V、10A、200Wの電源ソケットで、パソコンはやれるか? (答)やれない。主な用途は、レーダー警報装置をつけるため。 アタッチメントがあるかどうかは、電気店で聞いてみてください。、 Bプラズマ・クラスター・イオンのクリーンを示す青色ランプが すぐに消えて、イオンを示す緑色ランプだけつくが、 故障ではないのか? (答)故障ではない。車内がクリーンになったから、 イオンを出しはじめたということ。 WJくん、 懇切丁寧に答えてくれました。 「いつでも、分からないことがあったら、おいでください」 若いのに、よくできたひとです。 オトーサン、 「さて、どこに行くか」 異音問題も、イオン問題も解決して、気が晴れ晴れしました。 「天気が下り坂だから、公園に行くか」 今日は、座敷牢から解放された柏庵も同行しております。 柏庵、このあたりは、子供の頃の遊び場だったそうです。 だが、"21世紀の森と広場"に変わってからは、はじめて。 キョロキョロ、あたりを見回しております。 「お昼にはまだ早いけど、新そばでも食うか」 「かたじけのう御座る」 奢るつもりはなかったのですが、先手をとられては止むをえません。 みどりの里を散策して、お茶屋にはいって、新そばを注文。 柏庵は、ざるそば。 オトーサンは、天ぷらそば。
オトーサン、 「何度きても、ここはいいなぁ」 柏庵、何を思ったか、突然、歌い出します。 狭い座敷牢から解放されて、はしゃいでいるのでしょう。 その気持ち、分からんでもありません。 一時は、死を覚悟したのでしょうから。 「釈放されて、まず、一番に会いたいのは、 母親だっていうけど、みんな同じなんだなあ」 ♪静かな静かな 里の秋 お背戸に木の実の 落ちる夜は ああ 母さんとただ二人 栗の実 煮てます いろりばた 明るい明るい 星の空 鳴き鳴き夜鴨の 渡る夜は ああ 父さんのあの笑顔 栗の実 食べては 思い出す さよならさよなら 椰子の島 お舟にゆられて 帰られる ああ 父さんよ御無事でと 今夜も 母さんと 祈ります (里の秋 歌手;川田正子 作詞;斎藤信夫 作曲:海沼実) オトーサン、 イラクのサマワに派遣されている 自衛隊員の家族が聞いたら、 さぞ涙を流すだろうと思いました。 ♪ああ 父さんよ御無事でと 今夜も 母さんと 祈ります 読者のみなさん、ご存知ですか? 実は、柏庵に教えられたのですが... この歌がはじめて、ラジオから流れたのは、 昭和20年12月24日午後1時45分のこと。 可憐な少女の静かな澄んだ歌声が被災地に流れ出しました。 復員していない父親がまだ数百万人もいた時期。 人々は、思わず聴きいり,感涙にむせび、 歌い終わるやNHKの電話が鳴り続け、リクエストが殺到。 童謡歌手・川田正子さんがスーパースターになった一瞬でした。 川田さん、もうオバンですけど。
オトーサン、 「静かだなぁ」 風が立つと、落ち葉がハラハラ。 紙吹雪のように降りそそいできます。 小径の落ち葉たちが、駆けっこしています。 落ち葉を踏みしめながら歩いていくと、サラサラ。 「キッ、キッ」 ときおり、鳥の鳴き声がします。 「あれは、ホオジロだな」 柏庵、昔のひとだから、鳥の鳴き声に詳しいのです。 「このあたりは、谷津だった」 「谷津? 谷津遊園だったの?」 「いや、谷津というのは、樹枝状の谷でな。 干上がっていくと、尾瀬沼のようになる。 さらに干上がると、湿地帯になる」 「はぁ、そうなんですか?」 「このあたり、ヘイケボタルが乱舞しとった。 そりゃ、キレイなもんだった。 ヘイケボタルとゲンジボタルのちがいを知っとるか?」 「いいえ」 「源氏は武士じゃから、平家より大きいんじゃ」 注)ちがいを詳しく知りたい方は、どうぞ。 http://www.town.tatsuno.nagano.jp/sc/syoukou /original/hotaruetc/hotaru006.html オトーサン、 「静かだなぁ。 静けさって、ホントに大事なんだなあ。 なにものにも代えられない、すばらしい価値なんだ」 静かな場所に身をおくと、自分をみつめることができます。 分かっているようでも、自然の一部である自分のことを 何もわかっちゃいないことを柏庵に教えられました。 柏庵、 帰りのクルマのなかで、ポツン。 「このクルマ、静かじゃのう」 オトーサン、 静粛性を再確認しながら、 昨日本屋で立ち読みした自動車雑誌の記事を思い出しました。 ティーダの出ている記事は、見逃せません。 「そういえば...、 テリー伊藤さんも、ティーダをほめてたなぁ。 平凡なようで非凡だって」 オトーサン、 すっかり姫の虜になってきたようです。 ほらね。
オトーサン、 ウトウトしております。 「たまには、サツマイモ食いたい」 終戦直後は、米がなくて、サツマイモばかり食べていました。 いまは、ジャガイモの天下。 日本に明治時代に入ってきた後輩に頭が上がりません。 新車を買って、乗り回し、 取扱説明書3冊(ティーダ/ナビゲーション/マルチシステム) しめて1000ページを読み終えると、流石にグッタリ。 「若いもんには、負けんぞ」 口ばっかり達者ですが、体のほうが言うことをききません。 柏庵が夢枕に立っています。 ひどく思いつめた様子。 「ワシは、心配でならんのじゃ」 「何がそんなに?」 「ゴーンが去ると、みなの衆が、 そのご恩を忘れてしまうのではないか。 そればかりが心配でな。 姫の後ろ盾がおられなくなる」 「でも、売れているからダイジョウブでしょう」 「いやいや、そうはいかんのじゃ。 姫をないがしろにする勢力が厳然として存在しておる」 「ほんとうですか?」 「現に、先代、先々代のサニーがそうじゃった。 邪魔者扱いされて、爺は、見ておれなんだ」 「でも、今度、立派にティーダ姫に生まれ変わったではないですか」 「いや、そのことじゃが...」 オトーサン、 口渋る柏庵をなだめすかして、 聞き出したところでは、サニーという車名を消すことに 柏庵はもとより、ゴ−ンさんも猛反対したそうです。 しかし、反対勢力が優勢だったので、 仕方なく従うようにみせて、 ティーダという車名を採用させたらしいのです。 自動車雑誌などには、 「ティーダは、TIDEが語源。 潮の満ち引きや時の流れを思わせる新造語だ。 沖縄で"ティーダ"は、太陽を表わす古語だそうで、 まんざらサニーと無関係でない」 そのようにお気楽に書かれていますが、トンデモナイ。 その裏には、熾烈な権力闘争があったのです。 柏庵、 「話せば、長くなるが、よろしいかな?」 オトーサン、 「いいですよ」 この年齢不詳の老人には、 何か隠された重大なヒミツがありそうです。 「話は、1609年に遡るが、いいかな。 この年、薩摩藩が突如、琉球に侵攻し、 尚寧王を人質にして、薩摩へ連行したんじゃ」 「国王を? そりゃ、乱暴な」 「そうじゃ、姫はその末裔なんじゃ。 琉球王朝の始祖は、尊敦じゃった。 保元の乱に敗れた源為朝が沖縄に逃げ延びて、 地元の領主の娘と結婚して産まれた男じゃ」 「ほんとですか?」 「まあ、諸説あるようだがの。 とにかく、琉球王朝は、薩摩の植民地になった。 アメリカの植民地になったどこかの国と同じじゃな。 ひとびとは、嘆きかつ悲しんだ。 民族の悲しみを伝えるひとつの唄が生まれた」 ♪でいごの花が咲き 風を呼び嵐が来た くり返す悲しみは 島渡る波のよう ウージの森であなたと出会い ウージの森で千代にさよなら 島唄よ 風に乗り 鳥とともに海を渡れ 島唄よ 風に乗り 届けておくれ私の涙 (島唄 歌手 夏川りみ アルバム「ティダ」 作詞・作曲:宮沢和史)
・ディゴ(沖縄の県花) 柏庵、 「この唄に身震いして、 琉球王朝の再興を願った王子がおった。 王子は、ひとり小舟に乗り、本土を目指した。 漂流し、漁師に助けられた。 利発だったので、下級藩士の家に引き取られた。 武芸の達人になることを目指したが、 けんかで右ひじを負傷したので、 武術をあきらめ、学問に精を出すようになった。 16才の時、藩の郡方書役助に任命される。 農政をつかさどる役所の書記官補佐役じゃな。 嘉永4年、斉彬が第28代薩摩藩主に就任した。 斉彬は藩主に就任するや否や、 薩摩藩を近代藩にするべく、徹底的に新しい改革をはじめたのじゃ。 蒸気船の製造、溶鉱炉や反射炉の設置、小銃製造...、 外国の植民地にされぬよう軍事力を強化したわけじゃな。 民草の暮らしをよくすることに熱心じゃった。 紡績事業、洋式製塩術の研究、製造ガス灯や電信機の設置、 薩摩切子の製造、写真術やサツマイモの導入...」 オトーサン、 「幕末きっての英明君主だったんですね」 柏庵、 「そうじゃ、斉彬は、人材登用に力を入れた。 若手のリーダーだった西郷や大久保の意見書に目を留めたんじゃ。 その後は、知っとるだろう。西郷は斉彬の右腕的存在になっていく」 オトーサン、 「ええ、会社の先輩に島津さんがいましたから。 国に帰ると、お殿さま扱いされるので、大変だと漏らしてました」 「ほう、そうか。それは、爺も知らなんだ」 「その後はよく知っていますよ。 300年の徳川幕藩体制が崩壊し、 西郷は、一躍、新生日本の大立物になったものの、 その人望をねたんだ大久保に仕組まれて、内戦の首謀者へ。 西南戦争ですよね。そして、西郷軍は負ける。 トムクルース主演のラスト・サムライで見ましたよ」 「そうじゃ、1887年9月24日の夕刻、自決したことになっとる」 「なっとる? 西郷隆盛は、死ななかったと?」 「そうじゃ、琉球王朝の残党に手引きされて、まず沖縄に逃れた」 「まずってことは、その次があったのですか?」 「そうじゃ」 柏庵、ここで、声をひそめます。 オトーサン、 固唾を呑んで、次の言葉を待ちます。 「海を渡ったんじゃ、気の遠くなる時間をかけてのう」 ♪島唄よ 風に乗り 鳥とともに海を渡れ 島唄よ 風に乗り 届けておくれ私の涙 海よ 宇宙よ 神よ 命よ このまま永遠に 夕凪を 「そ、それで、ど、どこへ」 「もう、おおかた見当がついているじゃろうが」 「...ブラジルですか?」 「そうじゃ、移民が大勢やってきおったから、 それに混じって殺し屋がくるかも知れん。 だから、名前を現地名に変えた。 カルロスとな」 「すると、あのかたは?」 「そう、孫じゃ、似とるじゃろう。 誰にも言うなよ。 社員はもとより、経営陣も知らん極秘事項じゃ。 それに、本人もまだ知らされておらんでな」
オトーサン、 このとき、ハッと目がさめました。 上野寛永寺の鐘がゴーンとなったような気がしたのです。 小さい頃、日暮里で育ったものですから、 正午の時鐘も、西郷さんの銅像もよーく知っております。 だから、両名を見間違えるはずありません。 あとは、DNA鑑定の結果を待つしかないでしょう。
オトーサン、 「ほんとに、この純正ナビは、アホだなぁ」 「この純正ナビ、案外、賢いなぁ」 その間をゆきつもどりつしております。 アホ・ナビで一番腹が立つのは、 画面がいつも北を向いていること。 前に使っていたケンウッドのナビは、 進行方向が上になっていました。 ところが、このアホ・ナビときたら 進行方向を示す赤い矢印が 横を向いていたり、 うつむいていたり、 気分が悪いったらありゃしません。 「お前、北朝鮮のスパイか。 北ばっかり向いてやがって。 横田めぐみさんの安否、早く自白せい!」 なーんて、怒鳴りつけたくなります。 おかげで、何度も曲がるべき交差点を間違えてしまいました。 「曲がるタイミング間違えた。危ないじゃないか」 あわてて右折したりして、後続車両からクラクションを鳴らされたり。 とにかく、腹の立つアホナビです。 ところが、ナビゲーションの取扱説明書を読んだら、 現在地ー地図方向決定ーヘディングアップーフロントワイドと 順番にクリックしていくと、 「おお、戻った!」 前に使っていたケンウッドのナビと同じになりました。 設定しなおしたら、運転方向が上になって、使いやすいこと。 オトーサン、 アホナビで、もうひとつ許せないのが、 五十音や電話番号の入力。 前に使っていたケンウッドのナビでは、 液晶画面にタッチすれば、入力OK。 奥方なんて、 かつては、白魚のようだった指先で パッパッパと素早く入力して得意になっていました。 ところが、このアホ・ナビときたら、 回転ダイヤルを操作する方式なのです。 例えば、アホ・ナビと入力しようとすると、 「ア」は、簡単なのですが、 ティカで「イ」、 2度目のティカで「ウ」 、 3度目のティカでも、まだ「エ」にとどまっています。 頭にきて、回転ダイヤルをメッチャ早回しして ティカ ティカ ティカ ティカ ティカ ティカ ティカ ティカ ティカ うーうっ(うめき声です) とやっても、まだ「ス」どまり。 オトーサン、 腹立たしさを通りこして、 このアホナビの馬鹿さ加減が愉快になってきました。 「これ、九ちゃんの歌みたいじゃん」 読者のみなさん、 坂本九ちゃんをご存知ですか? 本名・大島九。九人兄弟の末っ子。 NHKの歌番組「夢で逢いましょう」でブレイク。 「上を向いて歩こう」は、 「スキヤキソング」という題名で世界的ヒット。
♪オー ユー ニーズ タイミング アー ティカ ティカ ティカ グッドタイミング トカ トカ トカ トカ この世で一番かんじんなのは ステキなタイミング 目の玉 ギョロ ギョロ 光らせた 教師の目の前で カンニング素早くやるのにも いるのはタイミング オー ユー ニーズ タイミング アー ティカ ティカ ティカ グッドタイミング トカ トカ トカ トカ この世で一番かんじんなのは ステキなタイミング 僕の可愛いフィアンセの 目をごまかしながら コッソり浮気をするのにも いるのはタイミング オー ユー ニーズ タイミング アー ティカ ティカ ティカ グッドタイミング トカ トカ トカ トカ この世で一番かんじんなのは ステキなタイミング (ステキなタイミング 歌手 坂本 九 作詞・作曲:BALLARD CLINT 訳詞 漣 健児) オトーサン、 回転ダイヤルをティカ ティカ ティカ... もうひとつの操作方法である 八方向スイッチで、トカ トカ トカ トカ... 永遠と思われるような時間がすぎていきます。 オトーサン、 「なつかしいなあ」 1966年秋のことをまざまざと思い出しました。 初代カローラが新発売されたときです。 日本テレビで、カローラの特番を仕掛けたのです。 そこに、憧れの歌手・九ちゃんが出演。 本番前のリハーサルで、気軽に歌ったのが、 この歌「ステキなタイミング」でした。 ♪オー ユー ニーズ タイミング アー ティカ ティカ ティカ グッドタイミング トカ トカ トカ トカ この世で一番かんじんなのは ステキなタイミング オトーサン、 宣伝部に異動して間もない頃でしたから、 「ラッキー!グッドタイミング!! 九ちゃんに逢えた!!!」 天にも上る気持ちとは、このこと。 その後、数ケ月は、頭のなかが"ティカ ティカ"状態でしたよー。 オトーサン、 歳月は流れて、 1985年8月12日、 NHKの臨時ニュースを見ることになります。 「おっ、九ちゃんが!」 大阪に向かっていた日航ジャンボ機123便が 御巣鷹山に墜落し、乗客・乗員300人死亡。 日本航空機史上、最大の事故でした。 奇跡的に生き残ったのが、川上慶子ちゃん。 8月18日、妻の柏木由紀子さんが、 山頂で、歯型とお守りから、九ちゃんと確認。 享年43歳でした。 よりによって、事故機に乗りあわせたとは。 アー ティカ ティカ ティカ バッドタイミング オトーサン、 胸のドキドキを抑えるために、 またも、21世紀の森と広場へ。 この前みかけた可愛い小鳥に逢いたかったのです。 「あの鳥、何という名前ですか?」 望遠カメラをもっていた老人に聞きました。 「あれか、あれはセグロセキレイだ」 この後、老人につまかって、 散々、カメラ自慢を聞かされました。 レンズだけでも100万円、望遠カメラは70万円。 カメラ道楽にいくらつぎこんだかなあ。 1000万円は、下らないんじゃないか。 もう定年になったから、野鳥を取りに全国行脚。 おかげで、ストレスフリー。 クルマは、便利じゃなぁ。 重い機材を運ぶのに。 オトーサン、 山荘に餌台をつくって 野鳥について勉強中。、 まだまだ、名前を覚えた小鳥の数は少ないのですが、 この道の達人んなると、300種は見分けられるとか。 オトーサンが覚えたのは、カワラヒワ。 ススメと同じくらいの大きさで、 羽が緑色をしていて、餌をついばむ仕種は そりゃあ可愛いもんですよ。 でも、セキレイは、はじめて。 水辺を好むので、山ではみかけないのでしょう。 「きれいな鳥だなあ」 盛んに尻尾を上下しているしぐさが、 実に可愛いのです。 ♪アー ティカ ティカ ティカ 実に、リズミカルです。 「ちょっと、図鑑見てみよう」 この公園のパークセンターには、 野鳥や野草の図鑑の本棚があって、気軽に手にとれます。 いちいち係員に断らなくていいのは、いいものですね。 オトーサン、 「えっ?!」 急に胸がドキドキしました。 こんなことが書いてあったのです。 「セグロセキレイ、 体長21cm。黒い顔、白い眉、体の上面と尾が黒い。 体の下面は、白い。
そこまでは、どうってこたぁないのですが、 「尾を上下に振る。 後半身を上下にゆする。 古事記に、"にわくなぶり”という名前で出てくる。 イザナギとイザナミに男女の交合を教えた。 日本人のセックスのルーツは、 イザナギとイザナミのまぐはい。 覚えておいて、ソンではないでしょう。 以下に古事記の一節をご紹介します。 http://www5c.biglobe.ne.jp/~izanami/monogatari/03.htm 公文書というのに、まことにおおらかですな。 こうして新居となる広い宮殿をもできあがり、 ひと息ついたところで、 イザナギは、自分自身の下半身に何か不思議なものが、 ぷらんぷらんとぶら下がっているのが気になり、 「おまえの体はどんな風になっているのか?」 とイザナミにお尋ねになりました。 イザナミは、しげしげと体を眺めて答えました。 「わたしの体はほとんど完成しているのですが、 一か所だけ、ぺこんとくぼんだところがあります」 「わたしの体にも一か所だけ、 ぽこんと飛び出たところがある。 そこでどうだろう、 お前のくぼんだところに、 わたしのとびでたところを差し入れて、 国を産もうと思うが、いかに?」 と申されました。 「はい。そうしましょう」 とイザナミは、股を広げて答えられました。 「では、新しい魂を宇宙からいただくために、 天の御柱の周りを廻ろう」 そして、 イザナギは左から、 イザナミは右から回り、 二人が出会ったところで 先にイザナミが、 「ああ、なんとええおとこ!」 あとからいざなぎが、 「ああ、なんとええおとめ」 と見つめ合いました。 二人は、宮殿の奥にある寝室へと入られ、 男女の営みである「みとのまぐはひ」をされまし た。 オトーサン、 「そうなんだ。 回転ダイヤルのように ティカティカと下半身を回し、 八方向スイッチのように トカトカと下半身をゆするんだ」 いまさら、性の極意がわかっても手遅れですが... ティーダのナビ操作は、 若いひとのセックスのやりかたの イメージ・トレーニングに役立つでしょう。 とにかく、せいては事を仕損じる。 彼女がやる気を失います。 ♪オー ユー ニーズ タイミング アー ティカ ティカ ティカ グッドタイミング トカ トカ トカ トカ この世で一番かんじんなのは ステキなタイミング オトーサン、 野鳥図鑑をさらに読みすすんで、 「おーっ」 セグロセキレイの鳴き声が判明したのです。 ♪チチー、ジョイ、ジョイ、ジョイ ♪乳、女医、女医、女医 そう泣くのです。 色っぽいじゃありませんか? オトーサン、 その昔、野鳥の会の方から、 鳥の見分け方を教わりましたが、 クルマ風に、小鳥たちを再分類してみました。 体長 Aセグメント 〜130mm Bセグメント 130mm〜150mm Cセグメント 150mm〜200mm Dセグメント 200mm〜250mm Eセグメント 250mm〜 @ Aセグメント メジロ 115 コガラ 125 A Bセグメント ウグイス 140 スズメ 145 シジュウカラ 145 カワラヒワ 145 B Cセグメント ホオジロ 165 ツバメ 170 C Dセグメント モズ 200 セキレイ 210 ツグミ 240 ムクドリ 240 D Eセグメント ヒヨドリ 275 ティーダは、 Bセグメントに近いCセグメントですので、 いわば、ホオジロにあたるのではないでしょうか。
柏庵、ここで突然登場。 ステキなタイミングでした。 「ホオジロの鳴き声、知っとるか?」 オトーサン、 「さぁ?」 柏庵 「姫、いかがかな?」 ティーダ姫、 これまでの話を漏れ聞いていたらしく またまたHなことを言われるかと思って頬を赤らめます。 「あたし...知らないわ」 柏庵、 「"一筆啓上つかまつり候"と囀るんじゃ。 わっはっは。マジメな鳥じゃろう。 お前、千葉県の住民のくせして、 県鳥のホオジロも知らんのか?」 さて、ビッグ・ニュース。 起宮さま、ご婚約おめでとうございます。 35歳は、ちょっと遅い春ですが、 物事、機が熟すことが肝心ですよね。 手賀沼の山階鳥類研究所に勤務されておられたので、 勿論、ホオジロやセキレイの生態にもお詳しいでしょう。 オトーサン、 変に安心しております。 「じゃぁ、結婚されても、ダイジョウブだなぁ」 ♪オー ユー ニーズ タイミング アー ティカ ティカ ティカ グッドタイミング トカ トカ トカ トカ この世で一番かんじんなのは ステキなタイミング
オトーサン、 音声入力なるものに不信感をもっております。 その昔、パソコンの音声入力ソフトが発売されたので、 早速、大枚をはたいて購入したものの、 使いものにならなかった苦い経験をしました。 「IBMめ、騙しおった!」 そんなことで、ナビの音声入力にも、不信感を抱きました。 ステアスイッチの音声入力のボタンを押して、 「自宅」 女性の声が 「もう一度お願いします」 「ジタク→」 「ジタク↑」 「ジタク↓」 語尾をあげたり、下げたり、いろいろ試してみました。 でも、成功率が低いのです。 「まあ、そりゃ、そうだよなあ。 相手は、性も年齢も違う不特定多数だもの。 東北弁のひとも、関西弁のひとも、 声の小さいひとも、デカイひともいる。 緊張してしゃべってしまうひともいるでしょうし、 マイクに口を近づけすぎているひともいるでしょう。 音楽を流しながらという馬鹿モンもいれば、 周囲の騒音が、認識の邪魔になることもありえます。 クルマ自体がウルサイことだってあるはす。 ここで、音声認識の手順を見ておきましょう。
まず、入力された音声がデジタル化され、 入力音声の特徴が分析されます。 声の統計的情報を集約した音声データと 言語知識を用いて 言語探索がなされます。 そして、入力音声に一番近い候補が出力されるのです。 オトーサン、 またまた時間のムダになっても馬鹿しいので、 音声入力を使うのはやめようかと思いましたが、 高いナビだったから、元手をいくらか回収せねばと思い直して ナビの分厚い取扱説明書を読みました。 「なーんだ、"自宅"じゃなくて、"自宅に帰る"なんだ」 そのまま、すぐに試せばよかったのですが、 ニューカーとあって、気ががりな点が多々あって、 しばらく放っておきました。 さて、自宅に帰る段になって、 「エート、"自宅に行く"だったっけ、 それとも、"自宅に戻る"だったか、"自宅に立ち寄る"だったか?」 アタマが混乱してきました。 もう一度、トリセツを読みなおして 「ジタクヘ カエル。そうか、ここは蛙なんだ」 お得意の連想記憶術を駆使しました。 さらに、記憶を補強するために、 古池や蛙飛びこむ水の音 芭蕉 この句も、覚えておきます。 芭蕉の画像も記憶しておけば、さらに万全となるでしょう。
ここで、またまた柏庵が突如登場しました。 「馬鹿モン、カエルじゃなくて、カワズと読むんじゃ」 そうでした、スッカリ忘れていました。 思い出しついでに言うと、 その昔、アメリカはNYからボストンまでの 4時間の汽車の旅、小学生と仲良くなりました。 日本が世界に誇る最短字数の詩である俳句、 そして、俳句中の俳句といわれるこの句を紹介したくなったのです。 オトーサン、 頭のなかで、 古い (old) 池 (pond) や 蛙(frog) 飛び込む (jumping into) 水 (water) の 音 (sound) まず、単語ごとに翻訳して、 これを並べました。 The old pond a frog jumps in sound of water. オトーサン、 「どうだ、いいだろう?ワビサビが感じられるだろう」 そう自慢しようとしたのですが、 ワビサビの英訳が思い浮かびません。 浮かんだとしても、ガキには分からなかったでしょうが。 結局、それだけのお話し。 どーってこたぁなかったのです。 でも、その後、ガイジンが俳句に興味をもつようになって、 この芭蕉の句の本格的な英訳も出てきました。 オトーサンのお気に入りは、以下の英訳です。 An old silent pond... A frog jumps into the pond, splash! Silence again. (Harry Behn) オトーサン、 ナビに向かって、 ためしに、 「自宅にカワズ」 とゆっくり語りかけてみました。 「おお、認識した!」 教養があるのか、アホなのか、よく分かりませんが、 「自宅に帰るルートを探索します」 そう言っているところをみると、 ともかく認識に成功したようです。 オトーサン、 スッカリ面白くなってきて 「自宅に ♪帰ろうかな」 リズミカルにハモってみました。 「おお、認識した!」 読者のみなさん、 この歌、ご存知ですよね。 20世紀最後の紅白歌合戦で、 北島三郎さんが歌いました。 ♪寂しくて言うんじゃないが、 帰ろかな 帰ろかな。 故郷のおふくろ 便りじゃ元気。 だけど気になるやっぱり親子。 帰ろかな? 帰るのよそうかな? (帰ろかな 作詞:永六輔 作曲:中村八大) オトーサン、 ジーンときましたが、 NYのカウント・ダウンから帰国した娘に笑われました。 「なんで、こんなジジイが紅白に出るのよー。 10年一日の如し、じゃないの」 でも、ウチの娘は、 以下のようなワビサビを知らないのです。 (ケース1) 年末、くにのおっ母ぁに会いてぇーなー。 でも、金がねえ。 「♪帰ろかな? 帰るのよそうかな?」 (ケ−ス2) はるばるブラジルから日本に出稼ぎ。 "出入国管理及び難民認定法"なる非情な法律があって、 いったん帰ったら、もう2度と入国できない。 「♪帰ろかな? 帰るのよそうかな?」 (ケ−ス3) 定年になって、ヒマ。 奥方は、外出がち、 娘は、仕事で、深夜帰宅。 自宅に帰っても、誰もいません。 「♪帰ろかな? 帰るのよそうかな?」 オトーサン、 ナビに向かって、 「自宅、♪帰るのよそうかな?」 そう発声してみました。 「おっ!」 読者のみなさん、 どうなったと思います? 仰天の答えは、CMの後で。
オトーサン、 「おーおーっ」 画面表示は、FM YOKOHAMA。 何とナビ表示はオーデイオ表示に跳んだのです。 そして、アナウンサーの軽快なおしゃべり。 「ハマっ子のみんさーん。 もう誰でもご存知のこの曲、 リクエストにお応えしてお送りしまーす。 日産「ティーダ」のCMのバックに流れている曲で、 ゾンビーズが1967年に発表したアルバム 「オデッセイ・アンド・オラクル」に収録されている "Time Of The Season"でーす。 全米で200万枚を越すセールスを記録したもの。 いい曲ですねぇ。 オトーサン、 アナウンサー上っ調子なお喋りにはついていけず、 この週の日産の株価推移を思い浮かべます。 11/8 (月) 1155円↓ 11/9 (火) 1135 ↓ 11/10(水) 1132 ↓ 11/11 (木) 1129 ↓ 11/12(金) 1142 ↑ 元気寿司にしておきゃよかったかも。 「♪変えよかな? 変えるのよそうかな?」
オトーサン、 煙草吸う奴は、大キライ。 大体、コロンブスが諸悪の根源。 新大陸を発見したのは、許すとしても、 梅毒と煙草をヨーロッパに持ち込んだのだから、 あんな奴、悪魔の手先です。 「こん畜生」 呪いをかけ続けたら、 わが家の前の道路に捨てられて 毎朝、掃除させられていた煙草の吸殻が消えました。 おそらく、あん畜生は、ガンで死んだのでしょう。 オトーサン、 ファミレスもケシからんと思います。 禁煙コーナーがあって、分煙とほざいています。 ほれ見ろ、禁煙コーナーに、 煙が流れ込んでいるじゃないか。 女子大生の喫煙、これも最低ですなー。 映画女優を気取っているつもりでしょうが、 どうみたって、売春婦役。 下品だろうが、オマエ。親の顔がみたい! オトーサン、 平成15年5月からの健康増進法施行は大歓迎。 千代田区の路上喫煙罰金にも拍手喝さい。 タバコ税引き上げ? よしよし、もっと上げろ! 警視庁、何やっとる。 煙草吸っている奴をみかけたら、逮捕しろ! 陰でこそこそ吸っているやつ。 田代まさし状態だぞ。 今後は、大麻所持者と同様に扱えばいいのです。 オトーサン、 スモーカーが聞いたら、 怒り心頭に発するようなことを書き連ねてきましたが、 実は、中学時代に喫煙した経験があります。 大学時代も、一時期、人並みに吸っていました。 でも、以後、ピタリとやめました。 こんなもの、金はかかるし、身体に悪いし、 マッチ1本火事のもと...。 まさに、百害あって、一利なしです。 オトーサン、 そんなことで、 ティーダからシガーライターが消えたのは、大賛成です。 後席の灰皿も不要です。 あんなもん、オプションにして、 その分、値引きすべきです。 オトーサン、 「ありゃ?」 何やら、シガーライターっぽいものを 前席のセンターアームレストの下に発見しました。 「おのれ、隠れてコソコソしやがって」 一瞬、切れそうになりましたが、 電源ソケットと判明して、ニンマリ。 「こりゃいいや。 ひょっとして、車内でパソコンやれるかも」 でも、この丸い形状では、 コンセントが入りそうにもありませんん。 手賀沼大橋を渡ったところにあるケーズデンキへ。 「7980円もするのかぁ」 店員さんが親切なので買ってしまいました。
オトーサン、 帰宅し(ナビ用語では、自宅に帰る) そのカーソケットの説明書を読んで心配になりました。 ワット(W)数を確認しないで買ってしまったようです。 注意事項として、接続する機器の消費電力を調べよ、 それには、ACアダプターの入力を確認せよとあります。 (例1)入力AC100V 0.6Aの場合 100×0.6 = 60W ....使用可 (例2)入力AC100V 1.3Aの場合 100×1.3 = 130W 使用不可 オトーサン、 ドキドキしながら、 ソニーのノートパソコンの ACアダプターの表示を見ます。 「おいおい、ダイジョウブか?こりゃぁ」 INPUT AC100-240V 0.7-1.3A (例3)入力AC100V 0.7Aの場合 100×0.7 = 70W ....使用可 (例2)入力AC100V 1.3Aの場合 100×1.3 = 130W 使用不可 「どっちなんだ? 使えるのか?使えないのか?」 大事なパソコンが壊れたら大変です。 「まあ、いいか、死ぬわけでもないし」 エイヤーで接続して、パソコンの電源をON。 「うぉーっ、OKだった!」 ここで、興味をもたれた読者のために、 購入した機器の製品名を記しましょう。 メーカー名:NAPOLEX 製品名: パワーソケット100S 型番: PW-101 特徴:AC100V家庭用電源とDC12Vカープラグ電源を それぞれ2つまで使用可。 ただし、最大出力100Wまで。 重量 750g 価格 7980円 オトーサン、 「しまった!」 オートバックスでは、同じ製品が6279円でした。 さらに、CELLSTARという会社のMP-80という機種は、 より軽量小型で、値段も安く売っていました。 このカーソケット、大変便利なものです。 ・ケイタイの充電 ・ノートパソコン使用 ・液晶TV、DVDプレイヤー、ビデオ、ビデオカメラ、 TVゲームの使用 オトーサン、 喜び勇んで、公園で、使用してみました。 車内が、オフィスになりました。 バッテリー持続時間を気にせずに済むのは、いいもんです。 ただし、エンジンを切って使用するとバッテリーが上がります。 だから、アイドリング状態で使用します。 30分ほど使ってやめました。 「どのくらい燃費を食うのかなあ」 「30分もアイドリングしていて、いいのかなぁ?」 セールマンのWJくんに電話で問い合わせました。 「そのくらいの時間なら、まったく問題ないですよ」 そういわれて、安心しました。 煙草を吸わされる心配のない 愛車のなかで、バッテリ−切れを気にせず、 心ゆくまで原稿を書けるというのは、いいもんです。 オトーサン、 最新の日産の株価をチェック。 11/11 (木) 1129 ↓ 11/12(金) 1142 ↑ 11/15(月) 1151 ↑ ちょっと、気をよくして、 価格comで黒のティーダさんが言っておられた 市販の大型バックミラーを買ってしまいました。 買うさい、平面鏡か曲面鏡かで悩みました。 曲面鏡は、視界がやや不自然らしいのです。 それに、平面鏡のほうがやや安いのです。 でも、視界は曲面鏡のほうが、はるかに広いのです。 店員さんに聞いたら、売れ行きのいいのは曲面鏡のほうでした。 オトーサン、 やや心配しながら曲面鏡を買いました。 「こりゃスゴイや! 」 ティーダは、プライバシーガラスを装着しているので、 リアの視界も暗かったのですが、曲面鏡の明るいこと! 装着も、いたって簡単。 「リアドアまでバッチリ見える」 5分も走ったら、視界の不自然さも気にならなくなりました。 感動もの、いち押しの製品でした。 製品名:BASIC 高反射ミラー 特徴:300mm 曲面鏡 2倍の明るさ プライバシーガラスやスモークフィルム装着車に最適 価格:1029円 発売元:オートバックス 注)防眩ミラー機能は、使えなくなりますが、 そんなときは、外せばいいだけのこと。 オトーサン、 「今日は、いい日だったなあ。 車内でパソコンもやれたし、ミラーも買ったし、 株価もやや持ち直したし...」 ひさしぶりに、夜一杯やることにしました。
読者のみなさん、 このカクテルの名前、ご存知ですか? ティーダ(Teada)っていうのです。 ネットに出ていました。 http://www.zuisen.co.jp/cocktail/15_2.html 沖縄の照りつける太陽をイメージし、 グァバジュースで仕上げたトロピカルショートカクテル。 ・泡盛40ml ・グリーンバナナ10ml ・グァバジュース10ml ・レモンジュース10ml シェーカーに氷と材料を入れ、シェークしてグラスに注ぐ。 バナナを飾る。 オトーサン、 今夜のBGMは、絶対、この歌じゃなくちゃ。 歌っているのは、けだるい声の沢たまきさん。 若い頃は、この歌を聞いていると催してきましたよー。 ♪ ベッドで煙草を吸わないで 私を好きなら 火を消して 瞳を閉じて やさしい夢を 甘いシャネルのためいきが 今夜も貴方をまっているのよ ベッドで煙草を吸わないでね ベッドで煙草を吸わないで ゆうべの約束わすれたの こっちを向いて 愛の言葉を 髪をほどいた首すじに なぜか煙がくすぐったいわ ベッドで煙草を吸わないでね こっちを向いて 愛の言葉を 髪をほどいた首すじに なぜか煙がくすぐったいわ ベッドで煙草を吸わないでね ベッドで煙草を吸わないでね (ベッドで煙草を吸わないで 作詞:岩谷時子 作詞;いずみたく) オトーサン、 ティーダ姫と同じベッドへ。 かぐわしい女体の匂い。 情事のあとのけだるい声に耳を傾けます。 2人で飲んだカクテルの酔いも手伝って、 あたかも天国にいるようです。 オトーサン、 「でも...違うんだなぁ、これが」 この歌を聴くたびに、 近年思い出すのは、故郷の親友。 その笑顔とはあまりに対照的な無残な寝姿。 半狂乱の奥さん。 寝煙草が原因で失火し、焼け死んだのです。 隣家まで延焼しなかったのが不幸中の幸い。 ♪ ベッドで煙草を吸わないでね ベッドで煙草を吸うな、馬鹿もん。 何で、おれより先に逝っちまったんだ!? 注) 沢たまきさんは、 歌手・女優から、公明党の衆院議員へ。 2003年8月9日に逝去されました。 何で、彼女も先に逝っちまったんだ...寂しくなるじゃないか。
オトーサン、 その夜、妙に目が冴えてよくねむれませんでした。 何かの爆音で目が覚めたのです。 成田空港に向かう航空機の音か。 マフラーを外した暴走族のせいか。 それとも、地震の予兆かも。 柏庵、 「ありゃ、雷神さまじゃな。怒っておられる」 オトーサン、 「どうしてですか?」 「この世は、乱れすぎておる。 そもそも、お姫様に対する敬意というものがない。 何かというと、芸能ネタにしてしまう。 偉大な存在を等身大にして、ああだこうだとほざく」 「なんで、そんなに怒るのですか?何かあったのですか?」 「ああ、昨日、姫にクラクションを鳴らした不届きなやつがおったろう」 「ああ、そういえば、姫とご一緒のときに」 「そう、それがけしからんというのじゃ。 ここは、風神雷神さまにお出まし頂かなくてはならん」 オトーサン、 「風神雷神さまといわれると?」 「最近の若いもんは、なーも知らん。 無知が最大の罪ということすら知らん。情けなや」 柏庵、 さめざめと泣いております。 「...この風神雷神図。 京都・建仁寺に伝わる二曲一双の屏風絵じゃが、 縦154・5センチ、横169・8センチ。 そこもと、見たことはあるか?」 「そういえば、日本史の授業で」 「まあ、そういうことになっとる。 じゃが、この天才絵師・俵屋宗達、謎の人物じゃ、 いずこで生まれ、いづこで死んだのか、誰も知らん。 "醍醐のむしたけ 五本送り下され かたじけなく存じ候 御懇志申し尽くし難く候" この礼状だけが残っておる。 ワシは、尾形光琳の模写のほうが好きじゃが。 それはさておき、どうじゃ、このお姿。
柏庵、 「雷神さまは、天衣を躍らせ、足を踏みしめておられる。、 風神さまは、風袋を翻し、空を駆けておられる」 オトーサン、 「おそろしいようでもあり、ユーモラスでもあり」 柏庵 「そうなんじゃ、 最近の世の中が乱れておるのは、 どっちかに決め付けたがることからきておる。 正邪、善悪、スキキライ。 すべて、そうじゃ、 だが、この風神雷神さまは、 ひとたび怒りを発すれば、 大災害をもたらす力をお持ちであるが ひとたびユーモアを発揮されれば、 雨と太陽を招きいれ、大地に豊穣をもたらされる。 どちらも、風神雷神さまのありがたいお姿なんじゃ。 ちーとは、分かったか?」 オトーサン、 「ひとには、2面性があるということですか? 悪魔にもなり、神にもなる」 「まあ、そういうことじゃな。 その両面をあるがままに受けいれねばならんのじゃ。 かといって、悪しき性を野放しにしてはいかんが、 それは、また善なる性への第一歩でもある」 「ムスカシイですねえ」 「そりゃ、そうじゃ。 この世の真理が、ひよっ子にすぐに分かってたまるか」 オトーサン、 そんな夜を過ごした翌朝。 娘が日帰りで名古屋に出張するので、 1時間早く駅まで送ることになりました。 雨の通勤ラッシュ。 こんな郊外の駅でも、信号3回待ち。 高校生の自転車の列が、クルマも見ずに交差点に進入。 右折と左折と直進のクルマが、お互いに譲り合おうとしません。 もう身動きできません。 クラクションを鳴らしあっています。 そこに、大型トラックが、無理やり侵入してきます。 オトーサンのティーダも巻きこまれて、 右のサイドミラーがあやうくダンプに触りそうになります。 ダンプのオニーチャンが、見下して、 「馬鹿ヤロー」 もう地獄絵そのもの。 オトーサン、 「馬鹿にすんなよー。そっちが悪いんだ」 怒鳴り返したくなりました。 そのとき、ふっと、夜中の話を思いだして、 ちょっと、心にブレーキが。 モモエちゃんの歌がかすめました。 ♪馬鹿にしないでよ そっちのせいよ ちょっと待って Play Back Play Back 読者のみなさん、 この歌、ご存知ですか? 78年の紅白で史上最年少のトりになったとき、 山口百恵ちゃんが歌ったのが、この歌。
♪緑の中を走り抜けてく真赤なポルシェ 一人旅なの 私気ままにハンドル切るの 交差点では隣の車がミラーこすったと 怒鳴っているから私もつい大声になる 馬鹿にしないでよ そっちのせいよ ちょっと待って Play Back Play Back 今の言葉 Play Back Play Back 馬鹿にしないでよ そっちのせいよ これは昨夜の私のセリフ 気分次第で抱くだけ抱いて 女はいつも待っているなんて 坊やいったい何を教わってきたの 私だって私だって疲れてしまう (プレイバックPartU 作詞;阿木曜子 作曲:宇崎竜童) オトーサン、 当時、この歌をつくった 若き宇崎竜童・阿木曜子夫妻の才能に畏敬の念を覚えました。 「こんな歌の切り口があったんだ」 この歌の虜になって、真赤なポルシェに憧れて、 大金をはたいて買ったひとも多かったとか。 オトーサン、 それよりも、 百恵ちゃんの鮮やかなイメージ転換に驚嘆しました。 花の中三トリオでデビューした頃、 部内は、桜田淳子派と山口百恵派に2分されました。 (森昌子、森進一ご夫妻、ゴメンナサイ。 まさこちゃんは、問題外でした) 「絶対、淳子が伸びるよ」が大多数でした。 「いや、百恵だと思う」 「何で?」 「だって、ワビサビがあるもん」 みんなから、見る目がないと嘲笑されたものです。 ところが、いまとなっては、どうでしょう。 三浦友和と結婚し、キレイサッパリ芸能界を引退。 国立市に居をかまえ、家庭を守り、子育てに専念。 あの武道館での感動的な引退公演! 記者400人がひしめきあいました。 そう、モモエちゃんは、 伝説のディーバ(歌姫)になったのです。 オトーサン、 その後も、関心を抱いていて、 山荘近くのコテージにお忍びでこられると聞くと覗きにいったり、 清里のペンションのベルの鳴らしました。 出てきてお話をしてくれた方は、篠塚ひろ子さんでした。 読者のみなさん。 ここで、クイズ。 @「篠塚ひろ子さんの旧姓は?」 A「旦那さんの名前は?」 B「百恵ちゃんとの関係は?」 全問正解の方には、ティーダを進呈なーんちゃって。 ヒントは、下の写真です。
オトーサン、 「そう、みんな分かってるなぁ」 @三浦ひろ子 A篠塚健次郎 B義姉(三浦友和の姉) 篠塚健次郎。 1948年11月20日、東京生まれ。 東海大学を卒業後、三菱自動車工業(株)へ入社。 1967年からモータースポーツの世界に入り、 1988年、アジアパシフィックラリー選手権の初代チャンピオン 1991年、世界ラリー選手権で日本人初の総合優勝 パリダカへは1986年から参戦を開始し、 1997年「ダカール〜アガデス〜ダカールラリー」で 日本人初の念願の総合優勝を成し遂げた。 2002年、三菱自動車工業(株)を退社し、プロドライバーに転向。 日産チームのドライバーとして、 ニッサンピックアップで通算18回目のチャレンジをおこなう。 参考)自動車評論家小沢コージさんとの対談 http://www.koji-ozawa.com/02_009.html オトーサン、 「馬鹿だなぁ、三菱。 篠塚は、砂漠を駆けぬける風神雷神さまだったのに、 ただのサラリーマンと勘違いしてしまった。 ひとをみる目がないというか」 オトーサン、 この日の夕方、 幸いに雨も上って、 近くのスーパー銭湯から自宅へぶらぶら歩いていくと、 ハーベスト・イエローのテイーダが駆け抜けていきました。 「おおー」 その感動をどう言葉で表現したらいいのでしょう。 到底、散文では表現できません。 俳句で表現することをお許しください。 オトーサン、 「暗闇に 光放てる ティーダかな」 柏庵、唱和して、 「月待ちし 古代の神も かくあらむ」 姫も、唱和して、 「この身をば 焼き尽くさむか 民のため」 オトーサン、 柏庵と顔を見あわせて、 「姫は、流石に考えておられることが、 われら下賎なものとはちがう。 風神・雷神さまの生まれ変わりであらせられる」 そうなのです。 ティーダに軽々しく、クラクションを鳴らすべきではないのです。 馬鹿モン。 ♪坊やいったい何を教わってきたの 私だって私だって疲れてしまう
オトーサン、 夢うつつに松籟を聞いております。 「なつかしい風の音だなあ」 松籟というのは、 日本海から吹きつける北西風が 防風林の松林にあたって、 風の音と松の音が渾然一体となった音のこと。 季節、場所、樹齢によって千変万化。 幼い頃、北陸沿岸に住んでいたので、思い出深い音です。 翌朝は、雲ひとつない晴天。 テレビは、紀宮さまのご婚約内定のニュースで持ちきり。 奥方、 「お相手の都庁職員・黒田慶樹さんのお父さん、 慶次郎さんて、早く亡くなられたようね」 「へぇ」 芸能ネタになったら、奥方の右に出るものはありません。 オトーサン、 「大手自動車会社に勤務していたそうじゃないか。 もしかしら、その黒田慶次郎というひと、ウチの役員だったかも」 奥方、一笑して 「そんなハズないでしょ」 「だって、黒田という名の常務さんがおられたよ」 「黒田なんていう名のひとは、いくらでもいるわよ」 オトーサン、 気になるので、自分が編纂した50年史を探し出して その役員写真をチェックしました。 「あった!でも、黒田慶一郎だ。別人か」 黒田慶一郎さんなら、 直属の上司だった3人の方と同時に 常務に昇進されたので、よーく存知あげています。 というか、気さくな方だったので、気軽に相談に行ったもんです。 オトーサン、 その後、ネットで調べまくって、ついに発見しました。 ・ご婚約で年末商戦に期待 トヨタ自動車の奥田会長 紀宮さまの婚約が内定したことについて、 お相手の東京都職員黒田慶樹さんの父親が勤務していた トヨタ自動車の奥田碩会長(日本経団連会長)は 「お祝い申し上げたい。(黒田さんの)おじさんも(合併前の) トヨタ自販の常務だったのでよく知っているが、 (ご婚約は)昨日初めて聞いてびっくりした」と記者団に語った。 (大分合同新聞 11月15日) 「そうなんだ。やっぱり」 でも、いまや皇族の一員入り。 こうなると知っていたら、もう少し丁寧な口の利き方をすべきだったかも。 (誤)「ねぇ、黒田さん、ちょっと聞いてくださいよー」 (正)「黒田常務、折りいってご相談したいことが」 都庁の上司なんか、 黒田慶樹さんに、横柄な口を利いていたに違いないのです。 (誤)「おい、黒田、ちょっと来い」 (正)「黒田さま、おいでいただけますでしょうか」 今頃は、きっと不動金縛り状態でしょう そこへ、柏庵、登場。 「その不動金縛りの術、甲斐の六郎に紹介してやった」 「甲斐の六郎? いったい誰ですか」 「知らんのか? 関ケ原の戦で家康を暗殺した男じゃ」 「そんな馬鹿な。 家康は、石田三成が率いる西軍に勝利して、 江戸幕府を開いたんでしょう。 中学生でも知ってますよ」 「ちがうな。その場に居合わせたんだから」 「すると、幕府を開いたのは、誰なのですか?」 「それも知らんのか、家康の影武者だったニ郎三郎よ。 そのあたりの事情を知りたかったら、この本を読むがいい」 注)隆慶一郎「影武者徳川家康(上中下)」新潮文庫 オトーサン、 ミーハーですから、 その後、手賀沼の湖畔にある山科鳥類研究所へ。 もうご存知でしょう。 紀宮様が非常勤で通われているところ。 日本テレビの放送車が2台、湖畔の駐車場にとまっていました。 研究所には、流石に入れないので、 300円払って、隣接する鳥の博物館に入場しました。 さっと見終えて、3階のベランダに出ると、 日本テレビの放送車が取材を終えて帰路につくのでしょうか、 対岸の葦の原に消えてゆくところでした。 そこで一首。 「葦原に こがも消え行く よき日かな」 その後、江戸時代からの鰻の老舗・西周で鰻丼。 その昔、手賀沼のウナギは日本一うまいといわれていました。 いまは静岡産に変わりましたが、タレは、江戸伝来の味。 柏庵も味わった味だと思い、大満足でした。 帰宅して、「影武者徳川家康」や歴史書に目を通しました。 柏庵 「どうじゃ、わしが誰か分かったか」 「まさか、島左近では? 島左近といえば、石田三成の軍師。 三成が知行の半分をやると言ったので、仕えたとか。 大活躍をしたものの、関ヶ原の合戦で奮戦し、討死。 歴史書には、そう出ていました」 「じゃが、わしは、関が原の戦で黒田藩と戦い、 負傷したものの、生き延びた」 「黒田藩と?」 「そうじゃ、黒田長政は、日和見じゃった。 最後まで、西軍東軍、いずれにつくか決めかねておったんじゃ。 じゃが、最後に家康方についた。 わしは、大音声をあげ、黒田長政隊に突撃した。 身も凍る姿といわれたものじゃ。 兜の立物は三尺余りの天衝をつけ、 具足は桶革胴の漆塗り、 浅黄木綿の陣羽織を着ていたんじゃが、 派手な軍装だったにもかかわらず、 黒田家の家臣どもは、恐怖のあまり わしの軍装を誰ひとりとして覚えておらなんだ。 豪傑で鳴る後藤又兵衛もそうじゃったし、 母里太兵衛もそうじゃった」 オトーサン、 「母里太兵衛といえば、あの黒田節に出てくる?」
柏庵、 往時を思いだすのでしょうか、 目を閉じて、朗々と歌いはじめます。 ♪酒は飲め飲め 飲むならば 日の本一の この槍を 飲みとるほどに 飲むならば これぞまことの 黒田武士 オトーサンも唱和。 宴席では定番の歌ですから1番は覚えています。 柏庵、2番も歌い続けます。 ♪峰の嵐か 松風か 訪ぬる人の 琴の音か 駒をひきとめ 立ち寄れば 爪音高き 想夫恋 柏庵、3番も歌っています。 オトーサン、 疑問を抱きはじめました。 「黒田長政に殺されそうになったのに、 なんでまた、その宿敵の歌を?」 ♪春の弥生の あけぼのに 四方の山辺を 見渡せば 花のさかりも 白雲の かゝらぬ峰こそ なかりけれ オトーサン、 ついにたまりかねて、 「柏庵、なんで敵の歌を覚えておられるのですか?」 「ある1件がもとで、黒田長政を見直したんじゃ」 歌をやめて、語りはじめます。 「関が原の合戦も終わり、徳川の治世が固まったころじゃがのう。 憎っくき黒田を暗殺しようと、祝儀の席に忍びのものをやったんじゃ。 忍びが、戻ってきて、平身低頭して、こう言いおった。 殺せませんでした。 不思議に思うて、理由を聞いた。 黒田長政、集まった家臣にこう申したそうじゃ。 「わしは江戸で観世宗雪に謡をならったが、 宗雪もわしの謡は筋がよいと申す。皆にも聞かせてやろう」 一曲謡い収めたところ、家臣一同、口々に誉めそやした。 ところが、毛利但馬だけが黙って目に涙を浮かべてうつむいていた。 長政、見咎めて、 「但馬、どうした。なぜこのような席で泣くのか」 「おそれながら... 君、明察を欠き、臣へつらえば、国滅ぶといいます。 やっと戦乱の世が終わり、太平の世がきたというのに 殿の謡のよしあしも分からぬ者どもが、へつらっております。 こう家風が軽薄になってしもうては、当家の運も長くはござりますまい。 そう思えば悲しゅうなって...」 但馬の直言に、座は、白け返り、 長政はとみると、座を蹴って足音荒く奥に入ってしまう。 老臣たちが但馬をたしなめていると、 長政が、刀を一振りさげて再び姿をあらわし、但馬の前に座った。 「但馬、よくぞ申した! そのほうのような者がおるからこそ、わが藩は安泰じゃ。 皆のもの、但馬をよう見習え」 そう言って、但馬に太刀を取らせたそうじゃ。 ...わしは、その話を聞いて痛く感動した。 長政は、家康より、三成殿よりも、よく出来たお方じゃとな」 柏庵、 黒田長政をしのんで、 4番を歌いはじめます。 ♪花たちばなも 匂うなり 軒の菖蒲も かおるなり 夕暮れ前の 五月雨に 山ほととぎす 名のりして 柏庵、 歌い終わって、上機嫌そのもの。 「お前だけに、いいものを見せてやろう」
「三つ柏じゃないですか」 「わしの家紋じゃ。よう分かったな」 オトーサン、 実は、旧御三家(日比谷、戸山、新宿)のひとつ、 戸山高校(旧制・東京府立四中)に在学中は、 校章の柏を誇りにしておりました。 その関係で覚えていたのです。 「柏の紋、そして柏庵。...分かるじゃろ」 「...島左近なのかなぁ?」 「そこもと、わしの言葉を疑っておるな。武士に二言はないぞ」 「でも...、いくら何でも」 「そなたが、調査団を派遣して 異国にまで行って調べても物証はみつからんぞ。 400年近い昔のことじゃからのう。 当時、盛んにわしの首を探したものの見つからなんだ。 肖像画も、一切残っておらんはずじゃ。 わしは、当代きっての軍師じゃった。 見抜かれるようなタワけじゃないわい」 「でも、最新技術で、DNA鑑定をすれば...」 「遺骨か。アホな。焼けば、そんなもん残るハズないわ」 オトーサン、 いいことを思いつきました。 もし、柏庵が秘法・不動金縛りの術を知っていたら、 状況証拠かもしれませんが、島左近である可能性は高くなります。 「柏庵、もしよければ、その不動金縛りの術とやらを 教えていただけませんか?」 柏庵、 何を僭越なという目つきで睨んできます。 オトーサン、 ここは、肝心だと思うので、 みのもんたに負けずに頑張ります。 柏庵、 「まず、こうやって不動七縛の印を結ぶのじゃ。 そして、呪文を唱える。 ♪のうまくさんまんだばさらたせんだまかろしゃやたそはたらや うんたらたかんまん オトーサン、 じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいさりすいぎょのすいぎょうばち... 以来の長文です。 柏庵、 「リン」 そう唱えながら、空中に縦棒を描きました。 「ゼン」 そう唱えながら、空中に横棒を描きました。 不動印を結んで 「セン」と唱えて、 相手が金縛りになっているのをみて、 「これで終わりじゃ。納得したかの?」 オトーサン、 金縛りになっているものですから、 ウンともスンとも言えません。 オトーサン、 術がとけて、大きく深呼吸しました。 読者のみなさん、 「マネしないでね」 都庁の黒田さん以外の一般職員の方、 この秘法・不動金縛りの術、 上司に適用したいお気持ちは、分からんでもありませんが、 危険ですから、やめたほうがいいですよ。 もし、不発に終わったら... 左近ではなく、左遷になります。
オトーサン、 NHKの名物番組「プロジェクトX」のフアンです。 これとニュース以外は、みません。 割引料金が適用されるべきかと思料いたします。 さて、 この「プロジェクトX」 第1回放送が2000年3月28日。 「巨大台風から日本を守れ」 〜富士山頂・男たちは命をかけた〜 以後、足かけ5年、長寿番組になりかけております。 そのうち、こんな放送もありそうです。 「視聴料不払いから身を守れ」 〜エビジョンイルに男たちは命を預けた オトーサン、 番組の趣旨がいいですなー。 「熱い情熱を抱き、使命感に燃えて、 戦後の画期的な事業を実現させてきた 無名の日本人を主人公とする知られざる物語である」 無名の日本人といわれると 「該当するな。次回は、オレたちかな」 なーんて思ってしまいます。 でも、やはり、いいのは、中島みゆきさんの 主題歌「地上の星」ですね。 「おめぇら、オトコだろう、シャキッとせい」 背中をどやされたような気になります。 ほんま、中年のおなごは強うなったもんじゃ。 ♪風の中のすばる 砂の中の銀河 みんな何処へ行った 見送られることもなく 草原のペガサス 街角のヴィーナス みんな何処へ行った 見守られることもなく 地上にある星を誰も覚えていない 人は空ばかり見てる つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろう (地上の星 作詞、作曲:中島みゆき) オトーサン、 第51回放送の 「日本初のマイカー てんとう虫 町をゆく」 〜家族たちの自動車革命〜 これも、みましたよー。 スバル360を取りあげていました。 「おい、みゆき、富士重工からワイロもらってないか? 主題歌もスバル、テーマも、スバルじゃなー」 なーんて、まじに思ったことがあります。 クルマ関係では、ロータリーエンジンが2回、 フェアレデイZ、トヨタ創業期ぐらいでしょうか。 ちょっと少なくないか。 「コンパクトがはじめて出会う上質 〜ティーダ開発にクビをかけた男たち〜 なーんていうのが、あったっていいと思うのですが。 オトーサン、 昨日、鳥の博物館で、鳥のお勉強をしてきたので、 中島みゆきさんの歌詞にある つばめに疑問を抱きました。 ♪つばめよ高い空から教えてよ 「みゆきちゃん、 つばめは、そんなに上空を飛ばんぞ。 せいぜい家の軒先だぞ。 それに、そんなに早く飛ぶわけじゃなし、 不適切では?」 鳥の巡航飛行速度 @ケワタガモ 75km/h Aマガモ 65 Bハシボソガラス 50 Cセグロカモメ 40 Dスズメ 40 Eツバメ 32 読者のみなさん、 「...餌をとるときは、もっと早いだろう」 そういわれるかもしれませんが、 少しは早いでしょうが、ハヤブサには敵いません。 急降下の速度は、180〜350Km まで達するのです。 でも、北アメリカ大陸では、絶滅種に指定されていますし、 日本で見ることのできる555種に入ってはいるものの、 オオタカなみに珍しい存在になってしまいました。 みゆきさんも、見たことがないのでしょう。
この見事な翼をみてください。 空気を切り裂く音が聞こえてくるようです。
オトーサンも 鳥のように翼を持たない人間のハシクレ。 空を飛べないものかと思いめぐらしたこともあります。 でも、断念したのは、高校時代。 「本朝神仙伝」で、久米の仙人のお話しを読んだとき。 この仙人、深山幽谷にわけ入って仙人の法を学びました。 松の葉やマサキノカズラを食って体を軽くしたのですな。 めでたく、飛行術を会得したのですが、 川で布を洗っていた女性の内股を見て、 むらむらともよおした途端、神通カを失って大地に転落したのです。 まあ、仙人ですら、こんな体らくですから、 わわら凡人が歌うと、こんな歌詞になってしまうのかも。 ♪はやぶさよ 高い空から教えてよ 地上の美女を オトーサン、 すでに、恥をしのんで、お話したように、 毎朝、テイーダ姫のボディを 頭からお尻までくまなく拭いているうちに、 ムラムラしてまいります。 「なんて、ふくよかなラインなんだ」 価格comの書き込みで、 「ドアミラーがやや後ろについている」 とあると、なんでかなー? 「フロントバンパーの下に付いてるガードを擦る」 とあると、なんでかな−。 日産のエリート技術者たちが、 われわれシロウトにすぐ分かるようなチョンボを重ねるハズないのになあ? そういう素朴な疑問を抱きました。 オトーサン、 今日、ネットを散策していて気づきました。 どこの学会か知りませんが、 日産の技術者たちの論文発表があったのです。 ・エンジンルーム,フロアーを再現したモデルによる 風洞と実走行の空気抵抗相関 ・車両床下流れの研究 ・乗用車縮尺模型風洞試験におけるレイノルズ数の影響 また、こんな論文もみつけました。 ・日産自動車におけるSX-4を利用した自動車の空力シミュレーション 日産自動車総合研究所シニアリサーチャー 工学博士・姫野龍太郎 はじめに 自動車が高速道路を走るときの燃費や走行安定性の問題、 あるいはエンジンルームの冷却風の問題などは、 その車の空力特性と密接に関係しており、 自動車においても空力開発が重要視されています。 また、近年、エンジンやタイヤからの騒音が小さくなってきた結果、 ドア付近から聞こえる空力騒音が相対的に大きくなってきました。 このため、このような空力騒音の低減も自動車空力の大きな課題になっています。 車の空力特性は、形が一度決まってしまうと、 大幅に向上することができなくなるので、 まだデザインの決まらない初期の段階で空力特性を検討する必要があります。 このようなことから、数値計算によって周りの流れを求める 計算流体力学(CFD)が広く車にも使われています。 オトーサン、 「そうか、空気抵抗を減らそうと、連中、懸命なんだ」 よく言われるのは、時速70Kmあたりから、 空気抵抗が問題になってくるとか。 ティーダのように、 長時間連続高速走行性能をよくしようとすると、 この空気抵抗軽減問題は、避けて通れません。 自動車の記事で、たまにみかける Cd値(空気抵抗係数)をみると、 @0.25 インサイト A0.26 プリウス / フィット B0.28 レガシイ D0.29 ティーダ E0.30 カローラ / フェアレディZ F0.32 マーチ / デミオ/ ゴルフ オトーサン、 1位となったホンダ・インサイトのサイトをチェック。 こんなことが書いてありました。 「通常クルマのデザインを進めていく場合、 イメージスケッチをおこし、 空力面からの手法をスタイリングに取り入れるのが一般的。 インサイトでは、スケッチの前段階から 空力面を最優先して理想的なフォルムを想定した クレイモデルの「空力実験車」を風洞実験室に持ち込み、 繰り返し性能を検証。 実用性や視界、ヘッドクリアランスなど、 クルマとしての使いやすさを備えながら、 まさにミリ単位のトライを繰り返すことで、 量産車としては究極とも言える空力性能を獲得しています。 デザイナーが風洞実験室を工房にした、 手づくりの「風のデザイン」を実現し、 インサイトのスポーティ・エアロフォルムを完成させました。 読者のみなさん、 「ティーダ、大したことないじゃないか」 誰でも、数字だけみれば、そう思いますよねー。 でも、背高クルマで、 居住性もたっぷり確保し、 いいデザインまで追求するなかで、 Cd値を向上させるのは、傍でみるほど簡単なことではありません。 それこそ、「プロジェクトX」の世界なのです。 キャスターの国井雅比古さん、 顔をしわくちゃにして笑みを浮かべつつ、 「そこで...相川...考えた。 アーチ状になっているルーフの頂点を前方に移動できないか。 姫野は、空気抵抗を減らすために、車周りの流れの解析に取りくんだ」 キャスターの膳場貴子さん、 「さあ、お2人方、スタジオへどうぞ。 姫野さん、計算格子の数が260万点。すごい数ですねえ」
姫野さん、照れながら、 「これまでは、超大型コンピュータを占有した状態で、 10〜12時間程度かかっていました。 実際にはスケジュールの関係で、平日4日も必要でした。 ですから、形を変えてみて、どう変わるかを見ることは無理でした」 キャスターの国井雅比古さん、 話が難解で、くどくなりそうなので、さえぎって 「それを3時間に短縮された」 膳場貴子さん、 すかさずフォローして、 「スゴイですねえ」 姫野さん、仕方なく、うなずきます。 「Cd値の改善以外にも、 やったこと、やりたかったことが一杯あるのになぁ」
オトーサン、 もう放送時間が終わりになりそうなので、 「フロントバンパーの下に付いてるガードを擦る」 ようにした理由については、カットしますが、 まあ、お分かりでしょう。 そろそろ、みゆきさんの エンディング曲がスタンバイしております。 ♪行く先を照らすのは まだ咲かぬ見果てぬ夢 遥か後ろを照らすのは あどけない夢 ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない (ヘッドライト・テールライト 作詞・作曲:中島みゆき)
オトーサン、 朝っぱらから、ぼやくことぼやくこと。 「雨か、雨夜のドライブかぁ。ヤだなぁー」 首都高の渋滞を抜けないと、中央道に出られません。 千葉方面から八王子方面へと都心を横断するのですから、 必ず、どこかで、事故か渋滞があるに決まっています。 柏に引越してからは、それがイヤなので、 電車を乗り継いで、新宿に出て、中央線で小渕沢へ。 駅の近くにある駐車場にとめてあるムーブで、 山荘まで行くのです。 オトーサン、 今回、奥方から、植木を運べと厳命されております。 「あんなもの、枯れたっていいじゃん」 そう思っているのですが、後が怖いからねー。 奥方、ケシカランのです。 読者のみなさんに、言いつけちゃいましょう。 京都へ娘と紅葉狩ですよ。 「じゃ、オレは、何なんだ? ヤマト運輸か、佐川急便か、それともユーパックか?」 オトーサン。 午前4時に起きて、HPをupしてから、出発。 久しぶりの山荘行きです。 「からまつの黄葉がきれいだろうなあ」 本来なら、ルンルン気分のハズなのですが、 お話したように、モラルが極端に落ちているところへ、 無情の雨、外はまっ暗。 慣れない道を慣れないクルマで、 覚醒しきっていない状態で運転するなんて... おまけに、数年前に白内障を手術しています。 視力は、0.7。 お先真っ暗とは、このこと。 こんな風に前方が見えるんですよー。
オトーサン、 「やだなぁ」 後ろにぴったりと三菱の大型トラック、 前は、三菱の軽自動車。 リコール責めとは、このこと、 両側から迫ってきます。 「これが女性だったらなぁ...」 そんなことを考える余裕もありません。 でも、そんななか、ウレシイ発見をしました。 前に、こんな紹介をしました。 製品名:BASIC 高反射ミラー 特徴:300mm 曲面鏡 2倍の明るさ プライバシーガラスやスモークフィルム装着車に最適 価格:1029円 発売元:オートバックス 注)防眩ミラー機能は、使えなくなりますが、 そんなときは、外せばいいだけのこと。 ところが、この注)は、間違っていました。 ちゃんと防眩ミラーになっているのです。 純正サイドミラーは、まぶしいのに、 このルームミラーのほうは、"清しこの夜"状態でした。 オトーサン、 江戸川を越えて都内に入ると、ちょっと渋滞。 でも、その後は、スムースに流れているので、 運転にも慣れて余裕が出てきました。 「小糠雨か...」 雨粒が霧のように細かくウインドウに降ってきます。 降るというよりも糠(ぬか)状の雨粒が押し寄せる感じ。 おニューのワイパーって、いいものんですね。 誰かさんみたいに、拭き残しなんかないもん。 オトーサン、 台湾出身の女性歌手、 欧陽菲菲の歌を口ずさみはじめます。 ♪ 小糠 雨降る 御堂筋 こころ変わりな 夜の雨 あなた……あなたは何処よ あなたをたずねて ミナミへ歩く オトーサン、 いま走っているところ、 御堂筋なんかじゃなくて、ダンプ街道筋。 歌詞とは、かけはなれた世界におります。 (誤) ♪あなたをたずねて ミナミへ歩く (正) ♪たずねるひともなく、ニシへと走る それでも、気分がよくなると、 心象風景も変わってきます。
台湾に行ったことを思いだしました。 「あれにゃ、おどろいたなぁ」 せっかく本場にこられたのですから、 今晩は、いいところにご案内しましょう。 一行が連れていかれたのは、 薄暗い中華料理店の2階の個室。 「じゃあ、ひとりずつ空けてお座りください」 「なんで?」 「まあまあ、いいじゃないですか」 ジャーン! ドラが鳴ると、すっ裸の娘たちが登場。 「おーっ」 娘たち、隣にぴったり座って、 甲斐甲斐しく、料理を食べさせてくれるのです。 「あの娘、セクシーだったなぁ」 台湾買春ツアーが盛んなりし頃のお話しです。 読者のみんさん、 「欧陽菲菲って、読めますか?」 若いひとなんか、分かるハズないよなー。 O'YUNG FEIFEI 「オーヤン・フィーフィー」って言うのです。 彼女は、 1949年台湾生まれ。 67年に台湾でデビュー、69年にスカウトされ、 71年に「雨の御堂筋」で日本デビュー。 この歌は、日本レコード大賞新人賞を受賞。 翌72年には、NHK紅白歌合戦に外国人歌手として初出場。 プロ野球の王貞治に次いで台湾国民栄誉賞も受けました。 彼女のブームがあったのです。 外人歌手の日本進出のハシリでした。 オトーサン、 「あいつ、いま頃、どうしてるかなぁ」 部下に、この歌がバツグンに巧い奴がいました。 彼に歌わせると、銀座のバーで拍手喝さいされたもんです。 初ボーナスを一晩で飲み代に費ってしまった男。 豪傑いわく。 「課長、やってみたくって。新人賞のようなもんでしょ」 確かに、生涯に一度しかできませんよねー。 こんなこと。 「...あの頃の時代の空気って、何だったんだろう?」 オトーサン、 「おお、順調だ」 こんなこと珍しいのではないでしょうか。 四つ木インター首都高に入りました。 空いていたので、急加速は不要でした。 雨の夜ですよ。 渋滞も事故もないなんて。 首都高をスイスイぬけて、中央道へ。 小仏トンネル、笹子トンネルをぬけると、 ぶどうの名所、勝沼。 そうそう、ボージョレ・ヌーボーの季節でしたっけ。 燃費推移グラフをチェックしました。 ・6号線 14 Km/L ・首都高 14 → 22Km/L ・中央道(八王子〜談合坂SA) 15 Km/L ・中央道(レーン突入時) 6 Km/L ・中央道(談合坂SA〜勝沼IC) 15 Km/L オトーサン、 タンクローリーの後をゆっくり走っています。 「伸びるなぁ」 燃費22Km/Lを記録したのは、そんなケース。 時速70〜80Kmのコンスタントな走りです。 ところが中央道に入ると、上り坂が多くなります。 つい追い越し車線を走ってしまいます。 みるみるうちに燃費ダウン。 15Km/Lまで落ちてしまいました。 オトーサン、 「あっ!」 燃費計に気をとられていましたが、 前をゆっくり走っている積載車に、 積みこまれているクルマに気づきました。 「おっ、ティーダじゃないか!」 それも、6台、みんなティーダじゃないですか。 思わず、危険を顧みず、写真を撮りました。 イエローとホワイト。 ステアリングの上にカメラを置いて、手放し運転で。 これって、マネしないでね。 でも、テーダのゆれがいかに少ないか、 直進安定性に優れているかを示してもいます。
オトーサン、 こうやって、前と後ろを同時にみるのは、はじめて。 受けるカンジがだいぶ違います。 顔のほうは、細面。 でも、お尻は、大きくふくよか。 昼間は聖女、夜は娼婦。 これって、ある有名作家が言っていましたが、 男が望みうる最高の女だとか。 「あの娘もそんな風だったなぁ。欧陽菲菲に似ていたなぁ」 ティーダのお面がスキでないという男の子は、 女体経験が不足しているのかも、なーんちゃって。 オトーサン、 韮崎ICで高速を降りました。 ここまでの燃費をまとめてみました。 ・中央道(勝沼IC〜境川SA) 22Km/L ・中央道(境川SA〜韮崎IC) 15Km/L ・韮崎IC〜デニーズ 36Km/L ・20号線 15Km/L 積載車が境川SAに消えた後、 追い越し車線を走ったので、燃費が悪化しました。 36Km/Lという驚異的な燃費は、 ずっと下り坂だったせい。 スポーツモードにして、 エンジンブレーキをかけての数値です。 オトーサン、 「ここまでくれば、もう着いたようなものだ」 空も明るくなってきたし、いい気分。 20号線をゆったりと走ります。 ガソリンスタンドをみかけると、価格チェック。 「レギュラー・ガソリン、リッター120円か。 山梨は、高いのう」 手賀沼のそばのセルフだと112円ですよ。 セルフのESSOをみつけたので、給油。 現金値引きで、116円でした。 この1週間の成績をみます。 ・この1週間の平均燃費 12.8Km/L 自宅周辺をウロウロして、 ここまで走ってきたのを加えて、339Km。 一度、リセットした数字です。 総走行距離のほうは、450kmになっています。 Bメーターをリセットしました。 「339kmが、いとも簡単に、0kmか」 オトーサン、 「こんな風に人生もリセットできたらなぁ」 いま、65歳ですが、65が0へ、 50歳のひとも、0へ。 40歳のひとも、30歳のひとも、 20歳のひとでも、0へ。 忽然とみんなの前から姿を消すのです。 さぞや、サッパリ、スッキリするでしょう。 でも、 ♪ あなた……あなたは何処よ あなたをたずねて ミナミへ歩く なーんて、ステキな彼女がいるひとは、 Bのほうのメーターは、気持ちよく0にするものの、 Aのほうのメーターは、そのままにしておけばいいのです。 オトーサン、 そういえば、WJくんが、 トリップ・メーターが2つあるので便利ですよーって やけに自慢していたのを思い出しました。 「いい嫁さんも、可愛い子供もいるのに、 ...彼にも消したい過去があるのかなあ?」
オトーサン、 道の駅・はくしゅうへ。 いつも山荘に行く前に食糧の調達をします。 山荘近くの小渕沢のスーパーは、?マーク。 数年前にここが出来てからは、ここ専門。 農産物直売所は、野菜が新鮮なうえに、種類も豊富。 南アルプスの水が無料で汲めるのも人気です。 いつも、ひとだかり。 奥方は、ここのガーデンセンターもお気に入り。 今朝は、10時前についたので、 お目当てのトマトも、キューリも、レタスも、卵も、未入荷。 チンゲンサイと柿を購入しました。 オトーサン、 国道20号線をふたたび走りだして、 「さーて、どうするか」 このまま山荘に直行して、 一眠りしてももいいのですが、 まだ10時、天気もよくなってきたので、 ちょっと勿体ないような気もします。 白州の先は、国境。 いよいよ信州に入るのです。 その昔、中央道がまだ出来ていなかった頃は、 蓼科の保養所に行くのに、20号線を走ったもんです。 この辺までくると、もうすぐだと思ったもの。 「あの頃は、元気だったなぁ。 金曜日の夜、会社が終わってから走ったもの...」 当時、よく口ずさんだのが、この歌。 歌っていたのは、ジェリー藤尾さん。 ♪知らない街を歩いてみたい どこか遠くへ行きたい 知らない海をながめていたい どこか遠くへ行きたい 遠い街 遠い海 夢はるか 一人旅 愛する人とめぐり逢いたい どこか遠くへ行きたい 愛し合い 信じ合い いつの日か 幸せを 愛する人とめぐり逢いたい どこか遠くへ行きたい (遠くへ行きたい 作詞;永 六輔 作曲:中村八大)
オトーサン、 「ジェリーさん、どうしてるかなぁ?」 「シャボン玉ホリデー」や 「ザ・ヒットパレード」全盛時代。 ジェリーさんは、坂本九、森山加代子、 飯田久彦、尾藤イサオ、伊東ゆかり、中尾ミエ、 そして、後に奥さんになった渡辺とも子さんとともに、 この名物番組の常連でした。 「悲しきインディアン」や 大ヒットした「遠くへ行きたい」をよく歌っていました。 ハーフで、憎めないキャラだったこともあって、 一躍お茶の間の人気者になって、 家族4人出演の番組を持っていたこともあります。 その憧れのジェリーさんが、 カローラのCMタレントに起用されたのです。 オト−サン、 そんなことで、 憧れのジェリーさんと接点が出来ました。 「箱根に行くんなら、湯元の初花のそばがうまいよ」 そう教えてもらって、家族5人で出かけ、 「ジェリーさん、ありがとう。美味しかった」 「そうでしょ、そうでしょ」 石油危機でカローラもさっぱり売れなくなって、 起死回生の増販イベントを企画して、全国各地で実施。 ジェリーさんとは、札幌に行きました。 ジェリーさん、大のヒコーキ嫌い。 夜行列車で長時間の移動でした。 数千人集めてチャリティ歌謡ショーをやったのですが、 その後、ジェリーさん、疲れているだろうに、 自ら率先して、大口ユーザーを回ってくれました。 ディーラーの社長さんたちの喜んだこと。 「このひと、ホントに、いい奴なんだ」 不良っぽいところもあって、やや警戒していたのですが、 この一件以来、意気投合。 奥方、 「ジェリーさんから、もらったのよ」 大きなウサギのぬいぐるみを高々と掲げて見せて、 「ほんとにお世話になったわ。あなたからもお礼を言ってね」 「なんで? 何があったんだ?」 「この子たち、ジェリーさんと共演したのよ」 何でも、テレビ時代劇に出演の声がかかって、 大谷直子さん演じるお姫さまの幼少の頃を演じたそうです。 双子の娘たちが風車をもってあぜ道を駆けていく それだけのシーンなのですが、 生田スタジオでの撮影が丸一日もかかったので、 娘たちがむずかったようなのです。 それをジェリーさんが、つきっきりで世話してくれたとか。 「オレに無断で、勝手なことやりやがって」 公私混同は大嫌いなのに、米国出張中の出来事でした。 このビデオ、いまもわが家の家宝になっています。 オトーサン、 「フロにでも入るか」 信州に入っってすぐに道の駅・蔦木宿。 ここは、温泉が併設されています。 ちょっとした農産物直売コーナーもあります。 施設に近いほうは、満車。 正確にいうと、1台分空いていたのですが、 幅が狭いので、敬遠。 まだ新車、こすられたらガックリきます。 君子危うきに近寄らず。 みると、身障者駐車場が2台分も空いています。 「どうせ、こないだろう」 危うく停めそうになりましたが、 すぐ横が空いたので、敬遠しました。 でも、すぐにベンツのオニーチャンが停めていましたっけ。 オトーサン、 「卵、ないかな」 でも、12ヶ入りのパックのみ。 係りのおばさんに聞いてみました。 「スイマセンネエ。 ちょっと待ってください、聞いてみますから」 食堂に頼んで、卵を2ケ売りしてくれました。 「ここらは、まだ厚い人情が残っているなぁj ジェリーさんがそうですが、 一生懸命のひとって、いいですねー。 でも、いまではこういうひとは、貴重品。 楽して、トクしようっていう奴ばっかり。 オトーサン、 風呂からあがって、元気回復。 「さぁ、行くぞ!」 エンジン全開と行きたいところですが、 まだ慣らし運転中。 それでも、スポーツモードに切り替えると、 タコメーターは、3000rpm〜4000rpmへ。 久しぶりに熱い心を取り戻して運転に集中しました。 蔦木宿から、七里ケ岩を登って、小渕沢ICへ、 さらに、そこから急坂を登りきって、 旧有料料金所を清里方向とは反対側に左折。 八ケ岳鉢巻道路を走って、そこからまた急坂を登りました。 編笠岳の南麓標高1300m、そこがわが山荘。 からまつの落ち葉の絨毯ができていました。
オトーサン、 「合格だ」 1800cc車にしないと、この急坂続きでは、力不足かなぁ ひどく心配していたのですが、杞憂でした。 スポーツモードにすれば、まったく問題なし。 ちなみに、蔦木宿から山荘までの燃費は、7.6kmでした。 メモを取り出して、高速走行テスト項目をみました。 ロ 高速道路進入時の加速......○ ロ 追い越し時の加速..........○ ロ 直進安定性................◎ ロ 横風安定性................? ロ 登坂性能..................○ ロ コーナリング性能..........◎ ロ 制動性能..................? ロ 2000/3000rpmでの静粛性....◎ ロ 4000/5000rpmでの咆哮......? ロ ロードノイズ..............○ ロ 風切り音..................? ロ 高速走行時の燃費.......... ◎ シートもまあまあで、そう疲れなかったから、 ロングドライブ性能も合格点をあげていいと思います。 まだ、テストできなかった項目もありますが、 今後の楽しみにとっておきましょう。 オトーサン、 山荘について、すぐにジェリー藤尾と入力。 「へぇ、そうなんだ。 2002年4月にレコード・デビュー40周年を迎えた...。 お祝いに駆けつければよかった」 別のサイトをみると、 ボランティア活動にも積極的にかかわっているとか。 さらに、別のサイトには、 インタビュー記事が掲載されていました。 http://www1.odn.ne.jp/~aaa37000/pages/jerry.html オトーサン、 駐車場が満車になっていると、 空いている身障者用の駐車場にとめたい誘惑に駆られるのです。 先程も危うく停めそうになって、 別の場所が空いたのでやめたばかり。 ジェリーさん、 こんなことを言っておられました。 「身体障害者のマークを付けていない車は 駐車禁止というパーキングエリアがありますね。 そこに、何も障害のない人がよく駐車してますよね。 非常識な人間が多いです。 だから日本人みんなが協力してそこに駐車しないようにしないとね。 そういう意味は、本当に日本人というのは、 少しでもハンディキャップを持っている人に対して もっと思いやりを持たなければ駄目だと思います。 アメリカでそういうところに駐車すると 一般の人間が 「駄目だ、そこは障害者のための場所だ」 って言いますからね。 それでもとぼけて駐車すると、警察官がきて反則金です。 日本人は言わない方が美徳っていうのがあるけど、 言わなければ駄目だっていうときもあるはずです」 オトーサン、 「あー、オレはダメ人間だ。 全然、成長していないじゃないか」 ジェリーさん、 あんなに仲よかった渡邊とも子さんとの泥沼離婚劇、 数十年間苦しんだ自立神経失調症、 売れっ子歌手からの転落を乗り越えて、 チャリテイコンサートに熱心に取り組むなど、 清々しいシルバー・エイジを迎えているようなのです。 ティーダ乗りのみなさん、 「身障者マークのところには、駐車しないでね」 老若男女、貧富貴賤を問わず、 心清きひとだけが乗ってるクルマ、 それが「ティーダ」という評判を打ち立てましょうや。 ベンツのオニーチャンの馬鹿、 どこか遠くへ行っちまえ。 でも、エラそうに言える立場じゃないし、 それに、何されるか分からないから、 小さい声でもう一度。 ベンツのオニーチャンのばーか、 どこか遠くへ行っちゃって。
オトーサン、 朝9時に山荘を出発して、帰京。 それも日曜日の朝だというのに。 せめて、あと2日ほど滞在したかったのですが、 明日の月曜日は、娘を駅まで送らねばなりません。 オトーサン、 「あれが、すばるか?」 昨夜は、星空がまぶしいほどでした。 星座の名前は、あまり知りませんが、 天体望遠鏡を備えつけたひとに感化されて、 小さな望遠鏡を買ったばかり。 マニュアルをたよりに、おうし座を探します。 5〜6個の星が羽子板状に集まっているのが、すばる。 そう書いてありますが、 「ほんとかなぁ?あれかな? まあ、いいや、すばるを見たことにしよう。 誰に報告するわけでなし...」
オトーサン、 帰路は、ゆったり帰ろうと思っています。 昨夜、家に電話しましたが、奥方も娘も不在。 どうも、京都滞在をもう1日延ばした模様です。 誰も待っていない家に急いで帰ることもなし。 2000rpmをキープして走り続けます。 時速は、70km〜90km。 速度が変わるのは、坂路の傾斜度合いによるもの。 「おお、34km/Lだ!すげえ!!」 須玉ICの先で記録しました。 山荘からは、50kmあたり。 標高1300mから400mまで下る一方でした。 オトーサン、 右手に、南アルプス連峰がゆるやかに流れていきます。 ひときわ高く白く輝いているのが、北岳。 標高3192m。先日、訂正されて3193m、 富士山についで、日本で2番目に高い山。 手前には、紅葉の七里ケ岩の連なり。 ハイウエー沿いは、ススキが白銀色にゆれています。 「こうやって、ノンビリ走るのもいいなあ」 天気もいいし、燃費もいいし、ルンルン気分になってきました。 音痴の鼻歌でもよく聞けば、 谷村新司さんの歌であることがお分かりになるでしょう。 ♪目を閉じて 何も見えず 哀しくて 目を開ければ 荒野に 向かう道より 他に 見えるものはなし 嗚呼 砕け散る 運命の星たちよ せめて密やかに この身を照らせよ 我は行く 蒼白き頬のままで 我は行く さらば昴よ オトーサン、 「森田正俊さんねぁ。思い出すなぁ」 副社長でしたが、どういうわけか気にいってくださって 豊田市の汚いバーで、ともに飲みました。 興が乗ってこられたのでしょう。 森田さん、「昴」を歌いはじめました。 そのうまいことに驚きました。 豊田工大設立は、氏の功績です。 もう故人になられましたが、 大好きだった"すばる"に向かって昇天中でしょう。 ♪呼吸をすれば 胸の中 凩は 吠き続ける されど 我が胸は熱く 夢を 追い続けるなり 嗚呼 さんざめく 名も無き星たちよ せめて鮮やかに その身を終われよ 我も行く 心の命ずるままに 我も行く さらば昴よ (昴 谷村新司作詞・作曲) オトーサン、 そのとき、突然、あることを思い出しました。 豪華客船クィーン・エリザベス号が、晴海に停泊。 1泊5万円で乗船体験はいかが、という電通の企画。 仲よしの梅田八主守さんが、責任者だったので、 割引料金で奥方同伴、意気揚々と乗り込みました。 そして、期待の谷村新司さんのディナーショー。 谷村新司さんといえば、 国民的アーティスト。 演歌フォーク・ロック・バンドのアリスの時代は、 堀内孝雄さんと組んで、 「チャンピオン」「冬の稲妻」「君の瞳は10000ボルト」 出す曲はといえば、次々とヒット。 惜しまれてアリス解散後は、ソロで活動開始。 山口百恵さんの「いい日旅立ち」は、谷村さんの作詞・作曲ですし、 この「昴」は、まさに歴史に残る名曲。 その国民的アーティストが、 いま、豪華客船の甲板をステージにして 目と鼻の先で歌っているのです。
オトーサン、 「うわーっ」 谷村新司さんには、申しわけないのですが、 思わず、虫唾が走りました。 愛称ちんぺいなるチンみたいな顔や 後退している髪の毛は、ご愛嬌としても、 この迫ってくる軟体動物のヌルヌルは何なのだ? 冗談じゃなく、そう思ったのです。 オトーサン、 その後、酒の席で、業界通の方に、その疑問をぶつけました。 「あれっ、知らないの?」 「何を?」 「有名な話だよ、やつは、エロ本コレクターだよ。 1980年代はじめのビニール本をほとんどそろえている」 「そうなんだ。そうなのか...」 「あのアリスというのも、 ビニ本自販機で有名な出版社アリスから取ったらしい」 「えっ、そうなの?あのすばらしい歌をつくるひとが...」 「天才って、そういうもんだよ」
オトーサン、 「おっとっとっと」 下らん思い出にふけって、 燃費チェックを忘れそうになりました。 甲府昭和ICで、31.5km。 甲府南ICで、30km。 29km→28km→27km→26km→25km もう下り坂が終わったので、 みるみるうちに、数字が低下していきます。 「あっ、ダメダメ、それ取っちゃ」 「ああ、ブラジャーまで剥ぎとるの?」 「あーあ、パンティまで」 「あっ、それ以上、下げちゃダメよー」 燃費防衛線がどんどん破られていきます。 オトーサン、 年をとるというのは、 夢が音もなく崩れていくこと、 幻滅と断念の歴史であることを既に知っております。 ♪嗚呼 いつの日か 誰かがこの道を 嗚呼 いつの日か 誰かがこの道を 我は行く 蒼白き頬のままで 我は行く さらば昴よ 我は行く さらば昴よ そうなのです。 まさに、"さらば昴よ"なのです。
オトーサン、 八王子料金所を通過。 燃費は、23.5km。 25kmの燃費防衛線は、すでに突破されております。 「あー、パンティまで剥ぎとっちゃうの?」 しかも、代々木で事故渋滞2kmとの表示。 次に、死守すべき燃費防衛線は、20Kmでしょうが、 マジノラインであるカタログ数値18.2kmも突破されるという 最悪の事態も想定しなくてはならないかも。 読者のみなさん、 「なんだ、そのマジノ・ラインというのは?」 ここは、博識をもって鳴る柏庵に解説してもらいましょう。 「第1次世界大戦後のことじゃな。 ドイツの侵略に対抗するために、 フランスが巨費を投じてつくった要塞線じゃ。 難攻不落といわれたが、弱い場所があって、突破されてしもうた」 分かりやすくいうと、Gスポットをみつけられてしまったのです。 「あっ、ダメダメ。アーン、そこ気持ちいい」 オトーサン、 前方の首都高の渋滞状況表示板に赤マーク。 どんどん加わっていくので、暗澹たる気になります。 「わが軍の士気は低下し、 前線より逃亡兵が相次いでおります。 もはや、首都陥落は間近かと思われます」 それでも、頑張ったので、 調布IC通過時の燃費は、23.8kmとやや盛り返し、 永福料金所通過時、23.5km 新宿通過時、 23.5km 赤坂トンネル 23.6km 三宅坂トンネル 23.3km 一進一退の白兵戦になっております。 ナビのガイド嬢 「分岐を右側、羽田方面です」 オトーサン、 Gスポットのことばかり頭にあったので、 虚をつかれました。 「おい、反対だろう、箱崎方面だろうが。 神奈川県に行くんじゃないぞ、千葉だろうが、 このアホナビ!」 結局、霞ヶ関から出る羽目になりました。 オトーサン、 「まあ、いいか。 久しぶりに東京見物としゃれこむか」 千葉に引っ込んでからは、 もう1ケ月以上、東京にご無沙汰。 日曜日の官庁街は、がらがら。 日比谷通りに入り、帝国ホテルを通過し、皇居前。 「ニ重橋か...」 一般参賀したのは、皇太子と雅子さんの結婚のとき。 1993年6月8日ですから、もう10年も経ったのですね。 オトーサン、 ここにくると、毎回、 島倉千代子さんの歌が聞こえてくるのです。 ♪久しぶりに 手をひいて 親子で歩ける うれしさに 小さい頃が 浮かんで来ますよ おっ母さん ここが ここが二重橋 記念の写真を とりましょうね (東京だよおっ母さん 作詞:野村俊夫 作曲:船村徹) オトーサン、 「オフクロも死んで、もう三回忌か」 ♪やさしかった 兄さんが 田舎の話を 聞きたいと 桜の下で さぞかし待つだろ おっ母さん あれが あれが九段坂 逢ったら泣くでしょ 兄さんも オトーサン、 「靖国神社前がトヨタ自販だったなぁ」 1966年から82年まで、16年通いました。 「おっ!」 お堀ばたに、黄色いコ−トのひとが点々。 「これから東京国際マラソンがあるんだ」 高橋尚子ちゃんの次は彼女と小出監督が期待する 豊田自動織機の千葉真子ちゃんが、優勝候補とか。 「早いところ、家に帰らなくては」 マラソンの実況中継もみなくてはなりません。 オトーサン、 ナビ画面で、進行方向を確認します。 そろそろ浅草のようです。
♪さあさ着いた 着きました 達者で長生き するように お参りしましょよ 観音様です おっ母さん ここが ここが浅草よ お祭りみたいに にぎやかね オトーサン、 「何だか、泣けてくるなぁ」 浅草とおっ母さんという言葉に弱いのです。 オフクロは、浅草の松葉小学校の先生をしていました。 30年以上も勤めていたようです。 東京大空襲の話もよくしていました。 「よく生き残ったもんだと思うわ...10万人も殺されたのよ。 あの子も、あの子も、あの子も死んだわ」 職員・父兄総出のバケツリレーで窓に水をかけ続けたので、 何とか校舎は燃えずにすんだようです。
柏庵 「おお、三定の天ぷらでも食べていこう、腹へった」 このお店、天保8年の創業。 日本でもっとも古い天ぷら屋さんです。 「開店のときは、駆けつけたなぁ」 さすが、柏庵、言うことがちがいます。 読者のみなさん、 "一に浅草、二に観音、三に三定の天ぷら" 自分でそう言っているくらいですから、 一度召しあがって確認してみてください。 オフクロとも、何度かきましたが... 柏庵、 「せっかくだから、雷門ぐらい寄ったらどうだ。 大提灯、裏もみてごらん。風神雷神と書いてある」 注)なお、雷門は、松下幸之助さんが寄贈したもの
オトーサン、 「あーそうですか」 柏庵の提案をことごとく退けます。 読者のみなさん、 浅草寺にお参りしたら、寄ってほしいところがあるのです。 浅草寺は、あさくさでらではなく、 せんそうじと読みます。 戦争寺なのです。 浅草寺・大平和塔 建設趣意書 思い出づる調べも哀し昭和20年3月9日の夜、 B29百五十機の大空襲により浅草一帯は火の海となる。 地をなめるようにして這う火焔と、 秒速30米をこす烈風にあふられ、 親は子を呼び、子は親を求むれど、なすすべもなし。 おののき叫び逃げまどい、悪夢の如き夜が去れば...... 眼にうつるものは一面の焦土にて、一木一草の生づるもなく、 あわれ身を焼かれ路傍に臥す無辜の犠牲者は一万余柱を数う。 当時その凄惨な状況は一片の新聞だに報道されることなく、 敗戦後に生まれた子供達は戦争の惨禍を知るよしもない。 いたましく悲しい夜もいつしか歴史の一駒として消えて行くであろう。 よって我々はここに当時を偲び、 不幸散華された御霊の安らけく鎮まりまさんことを祈り、 二度とあやまちを繰返すことなく 英英に世界の平和を守らんことを誓い、 浅草観音の浄域にこの碑を建立する。 以って瞑せ 読者のみなさん 空爆の指揮を取っていたカーチス・E・ルメイ将軍は、 回想記のなかで次のようにに述べています。 「私は日本の民間人を殺したのではない。 日本の軍需工場を破壊していたのだ。 日本の都市の民家は全て軍需工場だった。 ある家がボルトを作り、隣の家がナットを作り、 向かいの家がワッシャを作っていた。 木と紙でできた民家の一軒一軒が、 全て我々を攻撃する武器の工場になっていたのだ。 これをやっつけて何が悪いのか…」 オトーサン、 「ウソこけ」 そんなことがあったのかというひとは、 下記サイトをご覧くださいな。 http://www.asahi-net.or.jp/~un3k-mn/kusyu-kusyu.t.htm オトーサン、 急ぐので、向島ICで首都高に乗り、小菅で降りました。 小菅IC通過時の燃費は、 21.8km、 お花茶屋通過時 21.7km、 新宿(NIIJUKU)通過時 21.5km、 松戸トンネル通過時 21.4km 6号線・根木内右折時 21.1Km オトーサン、 家まであと数キロ。 祈るような気持ちになりました。 「あーん、お願い、そんなに触わらないで」 アクセルペダルを踏むのは、腫れ物にさわるようなカンジ。 13時06分、 自宅に到着しました。 走行距離210Km 燃費は.....20.9Km どうやら、マジノラインである カタログ数値18.2kmを突破されずにすみました。 オトーサン、 「もう、2度と出ない燃費だろうなぁ」 何千台ものクルマに追い抜かれました。 大空襲とともに、この屈辱はもう忘れません。 慣らし運転がわったら、ゴボウヌキしてやろうかと思います。 今回は、特別でした。 奥方にいいつけられた植木鉢のほかに、 金魚を運んできたのです。 夏の間は、30匹もいたのに、 秋になったら、どんどん死んでいって ようやく生き残った金魚4匹を運んできたのです。 オトーサン、 用意した水槽に入れながら、 ♪さあさ着いた 着きました 達者で長生き するように
オトーサン、 朝刊をチェック。 ニュース藪にらみのネタ探しに欠かせません。 「おっ!転向するのか」 ・柔道の井上康生100キロ超級転向へ アテネ五輪100キロ級代表の井上康生 最重量の100キロ超級に転向する。 アテネでは五輪連覇を期待されながら4回戦で敗退。 10月に練習を再開したが減量がきつくなってきたこともあり、 悩んだ末に転向を決意した。 井上の復帰戦は、来年1月の嘉納治五郎杯になる見通し。 (毎日新聞 2004/11/22) オトーサン、 井上康生さんとは裸のつきあい。 といっても、大したことはないのですが...。 山荘近くの富士見高原リゾートでは、 毎夏、全日本柔道男子の合宿が行われています。 体育館には、4面540畳の練習場があって、 夕方になると、選手たちが隣接する 「鹿の湯」に汗を流しにやってくるのです。 毎晩風呂で見かけるので、顔を覚えてしまいました。 プロフィールを紹介しておきましょう。
井上康生(いのうえ・こうせい) 1978年5月15日生まれ 宮崎県宮崎市出身 1999年世界柔道選手権・初出場初優勝 2000年シドニーオリンピック金メダル 2001年全日本柔道選手権大会・優勝 23歳にして 男子100Kg級の三冠王者となる。 段位 講道館5段(現役では5段が最高) 身長 183cm オトーサン、 「同郷だもんな」 おやじが宮崎県出身なので、つい親しみを感じてしまいます。 筋骨隆々の肩の上に、憂いを帯びた顔が乗っています。 日本人は、こういうワビサビのある表情が大好きです。 「おっ、大きいなぁ」 浴槽に一緒に入っていますから、 どうしたって、一物も目に飛びこんできますよね。 この巨漢、 アテネ五輪で無残な敗退をしました。 気の毒で見ておられませんでした。 マスコミは、手の平を返したように、パッシング。 「熱愛発覚! お相手はモデルの東原亜希 日毎夜毎、やりすぎて疲れがたまったか?」 「ヒドイ、そこまで言うか」 裸のつきあいの間柄としては、弁護したくもなります。 やせ蛙 負けるな一茶ここにあり 小林一茶 井上康生さんは、やせていませんので、 この句は不適切でしょう。 やれ打つな ハエが手をする足をする 小林一茶 でも、井上康生さんは、 あそこにも、いい毛がハエていますが、 ハエなどではありません。 この句も不適切でしょう。 やはり、ここは、ひばりちゃんの出番でしょう。 ♪勝つと思うな 思えば負けよ 負けてもともと この胸の 奥に生きてる柔の夢が 一生一度を一生一度を 待っている (柔 作詞:関沢新一 作曲:古賀政男) オヨーサン、 「井上、頑張れ! もう一花咲かせろ オレも待ってるぜ !」 サニーだってそうでした。 カローラに勝とうと思ってムリにムリを重ねて 自滅していったのです。 ♪勝つと思うな 思えば負けよ 今度のティーダも大事に売ってほしいものです。 オトーサン、 「やぁ、いい天気だなぁ」 八ケ岳から昨日帰ってきたばかりですから、 静養日にしてもいいのですが、 ティーダでのロングドライブは、疲れが残りません。 「白樺文学館にでも行ってみるか」 手賀沼のほとりにあるのに、まだ行っていません。 オトーサン、 学生時代、 「駒場文学」に掲載した処女作の題名は「疑念」。 今から思えば、完全に志賀直哉のマネ。 「暗夜行路」など読みふけっていたので影響されたのです。 その直哉がこの地に住んで、傑作を書いたとあっては、 行かないわけにはいきません。 オトーサン、 「ああ、ここか」 白樺文学館は、 湖畔の道路から1本入った閑静な住宅街に 3階建でヒッソリと存在していました。 入ってすぐ右手に大きな写真。 「おお、志賀直哉だ!」 感激します。 「みんな若かったんだなぁ」 20代後半から30代前半にして、この風格。
後列左から3人目が武者小路実篤(32)、4人目が柳宗悦(28)、 5人目が志賀直哉(34) (撮影日1917.5.12) オトーサン、 入館料200円を品のいいおじいさんに払います。 ほかに入場者がないためか、 このかた、熱心に説明をはじめます。 「いま、柳宗悦の特別展をやっています」 それから、とうとうと柳宗悦の説明がはじまりました。 オトーサン、 志賀直哉にしか興味がないし、 湖畔の道路に違法駐車しているので、気もそぞろ。 説明がお経のように聞こえます。 「柳宗悦は、民芸を普及させたのですが。 かれが志賀直哉を呼び、直哉が武者小路実篤を招いたのです」 そこで、ちょっかいを出しました。 「すると...柳宗悦は、なぜ、この地にきたのですか?」 品のいいおじいさん、 待ってましたという顔をして、 「それは、嘉納治五郎が誘ったからです」 「えっ?」 偶然とはおそろしいもの。 先ほど、井上の復帰戦は、 来年1月の嘉納治五郎杯になる見通し。 そういう記事を読んだばかり。 「嘉納治五郎といえば、講道館の創設者...」 「みなさん、そうおっしゃいますが、 彼は、偉大な教育者でもあったのですよ。 東京高等師範学校の校長を3回も勤めたくらいですから」 「東京高師というと?」 「そう、後の東京文理科大学。 それが東京教育大学になって、いまは筑波大学」 「そうだったんですか...」
中学時代の恩師、倉木常夫先生が、 後に筑波大学の教員になられたこともあって、身近に感じます。 「じゃ、なぜ、嘉納先生は、この地に来られたのですか?」 「先生は、ここにイートン校を創設しようとされたのです。 イートン校は、ロンドンからほど近く、テムス川のほとり。 この地も、東京からほど近く、手賀沼のほとり。 もっとも、財源問題で、その話はお流れになりましたがね」 オトーサン、 頭のなかがクラクラしてきました。 読者のみなさん、こんな記事ご存知ですか? ・イートン校か受験校か? 中高一貫「海陽学園」2006年春開校ヘ 蒲郡リゾートに育て、たくましいエリート 最大の特徴は、 イギリスの名門イートン校に倣った全寮制教育。 1学年の定員は、男子120人。 寮12棟が建設され、親代わりとなる指導教員が住み込む。 寮生活を通じて規律を身につけさせ、 英語、数学、国語は公立校の二倍近い時間を充てて 基礎学力を植え付ける。 偏差値万能に陥らないよう、スポーツ教育などにも力を入れる。 初代校長には、伊豆山健夫・東大名誉教授が就任。 発案者は、豊田章一郎・トヨタ自動車名誉会長、 太田宏次・中部電力会長、葛西敬之・JR東海社長。 設立準備金は200億円。 (中部読売新聞 2004/06/17) オトーサン、 この記事を読んで、せせら笑いました。 「馬鹿なことやるなぁ」 というのも、国策で筑波学園都市ができて その中核に東京教育大学が指名され、筑波大学と改称。 当然、東京を離れさせられる先生方は、猛反対。 「何で、あんな田舎に」 奥方たちは、それに輪をかけて猛反対。、 「うちの子がダメになるでしょ、どうしてくれるのよー」 茨城の土浦あたりの高校からの東大進学者は、ゼロ。 教育ママの怒ること怒ること。 仕方がないので、教育大の子弟を対象に イートン校に倣った中高一貫・全寮制の茗溪学園を創設したのです。 いわば、その地を変えて、 嘉納治五郎の見果てぬ夢が実現したといえなくもありません。 オトーサン、 その趣旨に痛く感動して、息子を入れました。 最初は、順調でした。 ラクビーが校技。 全寮制で鍛えるのですし、 教育大ですから教えるのも巧いもの、 花園ラクビー場の常連になりました。 帰国子女も多く、国際色も豊か。 「...でもなぁ」 息子に会いに行って、話を聞いているうちに かわいそうになりました。 近所のスーパーやコンビニに行くのにも、 いちいち届け出が必要だそうです。 夜は、自習の時間、沈黙の時間があって、 舎監が定期的に見回りにくるのです。 マージャンなどやっていようものなら、停学。 停学を食らった息子を迎えに行った奥方が、 懇々と説教されたそうです。 「マージャン、煙草、酒と進むからねぇ、だってさ」 オトーサン、 「それじゃ、まるで監獄じゃないか」 お手本のイートン校の実態も、同じようだったようです。 「...200人のひどく騒々しい少年達の 集団となってしまいました。 終始罰則を加えていたのですが、 教室での狼藉や本や卵を投げ付けられるのを 防ぐことの出来なかったドクター・キーツは、 しまいには監督生を任命して いたずら者を見張らせ、見付け次第、前に出させて その場で罰を与えることにしました」 ロンドンに留学していた娘いわく。 パブで呑んだくれていたイートン高生がいたので、 警官が逮捕して、父親の名前を聞いたら、 チャールズ(皇太子)と答えたとか。 故ダイアナさんの次男坊、ハリー王子は、 クスリでも逮捕されていますよね。 注)ハリー王子のネタならココ。 http://bontv.web.infoseek.co.jp/star.princeh1.html ♪口で言うより手の方が早い 馬鹿を相手の時じゃない 行くも住るも座るもふすも 柔ひとすじ柔ひとすじ 夜が明ける オトーサン、 こういう若者の乱暴狼藉を 断固取り締まると、どうなるか。 いまの茗溪学園が、そのいい見本です。 父兄の圧力に負けて受験校への転向をはかったので、 ラクビーごときに時間を割くのはムダということになり、 かといって、茨城くんだりまでいく優秀な学生もいず、 お受験校にもなれませんでした。 アブハチとらず。 事情通に伺うと、日本ではムリですよ。 貴族なんていないんだもの。 娘いわく、 「学習院があるじゃないの、それで充分よ」 黒田さんみたいに、秋篠宮のご学友になればいいのです。 「それじゃ、さびしくないか?」 「だったら、スイスのボーディング・スク−ルに 入学させればいいのよ」 「何だ、そのボーディング・スク−ルっていうのは?」 「寄宿舎学校よ、向こうのVIPの子弟がはいるのよ。 東大卒女優の高田万由子も留学していた」 「そんなところに子弟を入れられるのは、 金持ちだけだろうな。 当然、スイス銀行に口座があるのだろうし... オレでも預金できるのかなぁ? いくらあったら、いいのかねぇ」 「1億円以上ね」 「....」 オトーサン、 早々に、白樺文学館を辞去しました。 「蒲郡リゾートなんかに誰が行くか?」 中部の東大志願の教育ママたちが こぞって圧力をかけてダメにするに決まっています。 「いっそ、海外企画部に在籍しているYAWARAちゃんを 校長にすれば? 少しは特色が出るかも」 オトーサン、 念のために、校長候補である YAWARAちゃんの写真をネットで探しました。 週刊現代に出たものを発見しました。
オトーサン、 「おおーっ」 しばらくの間、絶句しました。 セクシーな下着美人が目の前にいます。 「...これを撮ったカメラマン、スゴ腕だなぁ」 どうみても、田村亮子さんには見えません。 でも、あのYAWARAちゃんだって、 1人前に恋もし、いい奥さんになれたのです。 ♪人は人なり のぞみもあるが 捨てて立つ瀬を越えもする せめて今宵は人間らしく 恋の涙を恋の涙を 噛みしめる オトーサン、 「YAWARAちゃんだって変わった。 あのダメ日産だって、シフトしようっていうのだから、 ワルガキどもだって、変わるかも」 現に、老年暴走族といわれたオトーサンだって、 ティーダに乗りはじめてから、 奥方や娘からは、人が変わったようだと言われております。 運転がまるで別人のように、おとなしくなったのです。 燃費をよくしようとすると、 どうしたって、運転方法もシフトせざるを得ないのです。 オトーサン、 白樺文学館からの帰路、 瞬間燃費計とにらめっこしながら、 微妙なアクセルワークに専念しています。 読者のみなさん、 もし、好燃費を期待したいなら、 「柔」の替え歌を念頭に。 ♪踏むと思うな 思えば負けよ
オトーサン、 毎朝、ティーダ姫のボディの寝汗を拭きとっております。 「病気じゃないのかな?」 最近、口数が少ないのも心配です。 「それにしても、ここ拭きとりやすくていいな」 これまで乗ってきた外車は、ウィンドウの下部とボンネットの隙間に 落ち葉が入って取りにくいので苦労しました。 今度のクルマ、ティ−ダは、写真のように滑らかになっています。
オトーサン、 「ほかのクルマは、どうなのかなぁ?」 駐車しているくるまがあると、覗きこみます。 近くのスーパー銭湯で、1台1台チェックしていきます。 「ふーん、最近の国産車は、みんな滑らかなんだ」 でも、ゴルフには隙間がありました。古いクラウンも同じでした。 「何かお探しですか?」 警備員に丁重に聞かれました。 どうやら車上荒らしと間違われたようです。 オトーサン、 「本土寺でも、行ってみるか」 松戸の本土寺といえば、あじさい寺で有名とか。 奥方は、以前、初夏に行ったらしく、誘ってもついてきません。 「ま、花の季節じゃないから、空いているだろう」 ところが、大間違い。 このお寺、紅葉の名所でもあったのです。 善男善女の参拝客で参道は大賑わい。 「腹へったなぁ」 黒門屋さんが焼きイモを配っているので、 「タダなら、貰っとけ」 食べたら、もっとお腹が空いてしまいました。 「おっ、そば屋がある」 新そばの旗がひらひらして オトーサンを招き入れております。 「大盛り!」と勢いよく注文しました。 あまりにもおいしかったので、 「おたく、藪系?」 「いいえ。そば粉は開田高原から仕入れています」 オトーサン、 「懐かしいなぁ」 開田高原には、新入社員時代に職場旅行で行きました。 高妻課長以下7名。 高妻安幸さんは、トヨタ自販の取締役をへて、 愛知トヨタ社長、そしてダイハツ自販社長へ。 売って売って売りまくったひとでした。 熱血漢で、部下思いでした。 人一倍、厳しかったけれども、恩人のひとりです。 50年史が出来上がったので、お宅にお届けに上ったら、 夫人が、仏壇に供えてくれました。 思わず、落涙。 オトーサン、 「やはり、有料駐車場に入れとこう」 緊急避難でそば屋の狭い駐車場に入れたのですが、 ぶつけられたり、いやがらせで傷つけられては、大変。 隣のクルマが、入れ替わっていました。 「見慣れないクルマだ、古いアコード・ワゴンか?」 後ろに回って車名をみると、 CEFIROとあるじゃあーりませんか。 このクルマのコマーシャル、 大評判になって、悔しい思いをしました。 画面に、「くうねるあそぶ」という 糸井重里さんのキャッチフレーズが、ぽんと出るだけ。 その単純さがえもいえわれぬ力でした。 ナレーション、 「走るって面白い、日産セフィーロ新発売。 Feel the Beat、日産です」 井上陽水さんが出て、歌っていました。
オトーサン、 これをきっかけに野太い声の歌手に注目しました。 なかでも、1973年のヒット曲、「夢の中へ」は気にいりました。 ♪探し物は何ですか 見つけにくい物ですか カバンの中も 机の中も 探したけれど 見つからないのに まだまだ探す気ですか それより僕と 踊りませんか 夢の中へ 夢の中へ 行ってみたいと 思いませんか Woo woo woo-- Woo woo woo-- Woo woo woo-- さあ (夢の中へ 作詞・作曲:井上 陽水) 当時、この歌詞にある探しものとは何かについて、 妙な解釈がひそかに流行しました。 「麻薬だよ。警官が彼の鞄の中を探したんだ」 陽水さん、大麻所持で逮捕されたのです。 取調べは、警官対象のサイン会だったという説もありますが、 陽水さん、その後、数年間は、福岡の実家で謹慎。 取調官からときどき電話がかかってきて、 「お元気ですか?」 と聞かれてマイッタと述懐されています。 ♪休むことも許されず 笑うことは止められて 這いつくばって 這いつくばって いったい何を 探しているのか 探すのを止めたとき 見つかることも よくある話で 踊りましょう 夢の中へ 行ってみたいと 思いませんか Woo woo woo-- Woo woo woo-- Woo woo woo--さあ 読者のみなさん、 「お元気ですかだって? 別にどうってことないセリフじゃん 警官にしては、おとなしいセリフじゃん」 ところが、ところが...このせりふ、 陽水さんの別のコマーシャルのキャッチフレーズでした。 昭和から平成への転換期。 昭和天皇が、死の床についておられて、 Woo woo woo-- Woo woo woo-- こんな状況下で、 「お元気ですか ?」とは何事か。 国民がみな喪に服しているというのに、 日産自動車は、何を考えとる? そういう事態になってきたのです。 コマーシャルは、即放映中止。 そういういわく因縁があったのです。 オトーサン、 「世の中、いろいろあるよなー」 本土寺の朱塗りの仁王門をくぐります。 「わーっ、きれいだなあ」 紅葉と仁王門を撮影しているひとがたくさんいます。 「へえ、ケイタイで撮ってるんだ」 世の中ドンドン変わっていきますねえ。 オトーサン、 入場料500円を払って境内へ。 「へぇ、意外にいいお寺じゃん」 寺域1万坪。 五重の塔、そして趣のある回廊。 京都の三千院にも負けない苔庭のなかの紅葉。 夢の中をさまよう小1時間でした。 柏庵、 「このお寺の名前は本土寺、 誰が命名したか知っとるかな?」 「さあ?」 「若いもんは、頼りないな。日蓮上人じゃよ」 「日蓮っていうと、立正安国論を書いて北条北条時頼に提言した」
「そうじゃ、蒙古来襲を予言したんじゃが。 松葉谷の草庵に放火され、伊豆に島流しにされ、 東条松原では切りつけられ、さらに佐渡に島流し。 だが、日蓮はえらかったのう。 不屈の精神で、布教に努めたんじゃ。 この本土寺の本土とは、どういう意味か知っとるか?」 「よく沖縄のひとが、本土といいますね」 「本土とは、お釈迦様が本当の仏になって住む国土という意味じゃ」 「そうなんですか?」 「じゃが、沖縄が基地ばかりで、 本土にまだまだ帰されていないのと同様、 この本土に、仏様がおられると思えん、そうじゃろ」 オトーサン、 クルマに戻って、参道の見事な松並木を抜けていきます。
柏庵、 「この並木、誰が寄進したか知っとるか?」 「さあ?」 「若いもんは、頼りないなー。水戸光圀じゃよ」 「えっ、あの黄門さまが?」 「そうじゃ、日蓮上人に帰依されたんじゃ。 本当の自分を探す旅の途中でなー」 ♪探し物は何ですか まだまだ探す気ですか 夢の中へ 夢の中へ 行ってみたいと 思いませんか Woo woo woo-- Woo woo woo-- Woo woo woo-- さあ あー Woo woo woo 夢の中へ Woo woo woo 夢の中へ Woo woo woo-- さあ
オトーサン、 物心ついてから、戦後早や60年あまり。 戦後の「3大売り込み成功例」を挙げるならば、 @創価学会 Aトヨタ Bヤフーでしょうなぁ。 話が長くなるので、今日は、創価学会だけに絞りましょう。 オトーサン、 「一頃の折伏攻勢は、すさまじかったなぁ」 戸別訪問で、いかに創価学会がすばらしいか、 とうとうと述べ立てるのです。 いわゆる「広宣流布」というもの。 日蓮大聖人の仏法を正しく全世界に弘め、 一切衆生を救済するのだから、 何らやましいことはない。 イケイケドンドン。 死んだオフクロなんか、 寡婦だったので、いいターゲット。 「人の不幸につけこんで...」 相当怒っていましたっけ。 オトーサン、 その昔、九段のトヨタ自販ビルに勤務していた頃、 地下に床屋さんがあって、 仕事の合間に出かけたものです。 「ラッキー!今日は若い女性だ」 軽口を叩きながら、いい気になっていると、 やがて彼女の身元が分かってきます。 「一度、集会においでくださいよー」 そう誘われたときは、ちょうど襟足を剃られているとき。 「行かない」とでも答えようものなら、大変。 クビ筋がゾクゾクしました。 オトーサン、 また、こんな経験もしております。 大学に転身したての頃。 授業が終わって、研究室で一息ついていると、 ドアをノックする音。 開けると、可愛い女子学生。 「先生の授業、とても面白かったです」 「おお、そうか、そうだろう」 内心にんまり。 「先生、折り入って、ご相談があるのですが...」 「ああ、いいよ。今日はたまたまヒマだから」 身を乗り出して話を聞くと、学会に入れという勧誘でした。 オトーサン、 カローラの宣伝手法の参考にするために、 公明党のK代議士にお話を伺ったことがあります。 東大の稲葉三千男教授にお願いして、 大規模な宣伝方法についてヒヤリングを重ねました。 ナチスヒトラーの宣伝相ゲッペルスの研究もしましたが、 その何回目かが、創価学会でした。 K代議士の理路整然たるお話ぶりに感銘を受けました。 「どこまで激しい折伏を続けるのですか?」 そういう質問に対して、お釈迦様の言葉を引用されたのが、印象的。 「帰依するもの3分の1、反対するもの3分の1、 そして、中立が3分の1、それが布教の限界である」 オトーサン、 そのとき、初代会長・牧口常三郎の経歴も知りました。 「すさまじい生涯だなぁ」 1871年6月6日、新潟生まれ。 北海道尋常師範学校卒。 20年間、東京・白金尋常小学校などの校長を歴任。 「子どもの幸福」を目的とする慈愛の教育に徹した。 1928年、日蓮大聖人の仏法を知り、 30年11月18日に「創価教育学会」を創立。 仏法に基づく教育改革や生活革新運動を展開。 戦時下、宗教統制を図る軍部と対決。 43年に治安維持法違反・不敬罪容疑で投獄され、 44年暮れに獄中死。 そして、2代目会長が戸田城聖。 この方も教員。 軍部に逮捕され、出獄後、学会を再建。 51年、2代目の会長に就任し、 歴史に残る猛烈な布教活動を展開したのです。 3代目会長が、ご存知、池田大作。 公明党をつくり、政権政党に育てあげました。 国内では、布教の限界に近づいているのでしょうか、 海外での布教活動に注力しているようです。
オトーサン、 いつの頃でしょうか。 その公明党の広告塔が山本リンダさんというのを知りました。 「えっ?彼女が、まさか」 しばらくは、開いた口がふさがりませんでしたよー。 「へぇー、学会もやるなぁ」 注)学会系?芸能人リスト 泉ピン子、天地真理、久本雅美、柴田理恵、 研ナオコ、安室奈美恵、浜崎あゆみ、上戸彩、 香取慎吾、田村正和、田原俊彦、加藤茶 所ジョージ、愛川欽也、平尾昌晃、坂上二郎、 田中義剛、畑正憲、中村俊輔、氷川きよし... 出所: http://nvc.halsnet.com/jhattori/rakusen/AntiSouka/souka.htm
だって、彼女ときたら、 真っ赤なドレス、黒いパンタロンの腰をゆすって、 セクシーを通り越して、キチガイみたいに踊りまくるのです。 その歌の題名、ご存知ですか? 「こまっちゃうな」、 「狂わせたいの」、 「じんじんさせて」 「ぎらぎら燃えて」、 「もっといいことしない」 地下に眠っておられる初代会長や2代目会長が ガバッと跳ね起きて、目を剥きそうな歌の数々。 ♪うわさを信じちゃいけないよ 私の心はうぶなのさ いつでも楽しい夢をみて 生きているのが好きなのさ (どうにもとまらない 作詞:阿久悠 作曲:都倉俊一) こういう挑発的な歌ですから、 当然、いくつもの替え歌ができます。 とても、ネットで紹介できないものもありました。 下記は、まあまあのもの。 ♪お水を信じちゃ いけないよ 私の心は 嘘なのさ いつでも楽しい 振りをして お金稼ぐの 好きなのさ メールでみんなに 声かけて 誰かと同伴 食事して アフタでお寿司を 奢らせて それでさよなら また明日 あー蝶になる あー花になる 恋した夜は お金しだいなの あぁ今夜だけ あぁ今夜だけ もぉホステスやめられないっ オトーサン、 先日、ネットでニュースを探索していて、 「えっ、あのリンダちゃんが新曲?」 歌手山本リンダ(53)が、 新曲「どうにもとまらない〜ノンストップ」の レコーディングを行った。 72年のヒット曲「どうにもとまらない」を作詞した 阿久悠氏が32年ぶりに詞を新たにしたもので、 21世紀を生きる少年たちへのメッセージ。 (ZAKZAK 2004/11/17) では、新曲をご紹介しましょう。 この「どうにもとまらない〜ノンストップ〜」 何と、英語版なのですよー。 ♪Oh, let the thunder crash! Oh,let the storms begin! I won't stop until it's over "cause I'm goin"out to win. Oh,watch my sprits soar! Oh,higher than before ! "Mou dou ni mo tomaranai" oh,dream the wildest dream! oh,aiming for the sky! I'm a rocket to the moon, I'm gonna live until I die. Oh, sprit fast and free! Oh,baby,you and me! "Mou dou ni mo tomaranai ♪ああ、風よ吹け ああ雨よ降れ その気になれば何もつらくない ああ、情熱は、ああ、火を噴いて もうどうにもとまらない ああ、夢を見ろ ああ、明日に咲け 生きるも死ぬもロマン次第だよ ああこの世には ああ2人だけ もうどうにもとまらない オトーサン、 「馬鹿やってんじゃないよ。53歳にもなって」 そうつぶやきながら、 毎朝の行事を執り行ないます。 親バカ丸出しで、ティーダで娘を駅に送るのです。 今朝は、奥方も同乗しています。 都心に何か用事があるとか。 ところで、 このナビ、言いなりになていると とんでもないところに拉致されたり、 大回りさせられたりします。 従わないようなものなら、 ナビのガイド嬢のコウルサイこと。 「新しいルートをご案内します」 「ルートを逆走しています」 オト−サン、 「馬鹿言ってんじゃないよ」 通い慣れた道のこと、 ナビのガイド嬢なんかより抜け道を熟知しています。 ナビのガイド嬢、 「新しいルートをご案内します」 「新しいルートをご案内します」 「新しいルートをご案内します」 「新しいルートをご案内します」 娘、 リアシートで寝ていたのですが、 この騒ぎでガバッと跳ね起きて、 「どうしちゃったの?」 奥方、 「そのナビ画面、消せないの?」 オトーサン、 憮然として 「エンジンをかけると自動的に出てくる。 もうどうにもとまらないんだ」
40 ♪明るく明るく...
オトーサン、 うすうす、日産のナビ嬢は アホだと思っていましたが、 今日、ついにキレました。 話の順序として、 コトの発端からお話しいたしましょう。 先日、八ケ岳の山荘に行くとき、 散々苦労してカーウィングスに接続し、 ようやく出てきたオペレーターに 中央道・小淵沢IC出口と言いました。 このオペレーターは、3人目です。 1人目は若い女性、 2人目は年増の女性、 そして3人目にして中年男性。 転落の一途。 次は、「ハウルの動く城」に出てくる 荒地の魔女・美和明宏じゃないかと 思っちゃいましたよー。 オトーサン、 道の駅はくしゅうに立ち寄りたくなったので、 韮崎ICで中央高速を降りました。 須玉IC、長坂IC、小淵沢ICですから、 3つ手前で降りたわけ。 1000円ほど安くなるし、 ここまできたら、山荘まで間近。 ...ところが、交差点に来るたびに、 ナビ嬢は、繰り返すのです。 「新しいルートをご案内します」 「ルートを逆走しております」 途中で、ルートを変更したのが悪いとは分かっていますが、 それにしても...、 「お前、アホか。 いい加減、事情を察したらどうなんだ」 オトーサン、 山荘に2泊3日滞在して、帰宅することに。 ナビで、あらかじめ登録してある自宅を呼び出します。 「変だなぁ」 そう思ったのは、小渕沢ICの手前3キロ地点。 「あと7kmで左折します」 「ひょっとすると、高速道路ではなく、 国道20号線を走らせるつもりかなー」 到着予定時刻をみると、16:00。 いま、午前9時 「3+4=7、自宅まで7時間かかるのか。 誰が、7時間もかけて一般道を走るんだ? どうなってるんだ、オマエの頭は?」 面倒なので、ルートを選び直さず、放っておいたら、 インターチェンジを通過するたびに、 ナビ嬢、 長坂IC通過時 「新しいルートをご案内します」 須玉IC通過時 「新しいルートをご案内します」 韮崎IC通過時 「新しいルートをご案内します」 甲府昭和IC通過時 「新しいルートをご案内します」 甲府南IC通過時 「新しいルートをご案内します」 馬鹿バカしくなったので、 コピーペーストもやめますが、 とにかく、日産のナビ嬢は、アホなのです。 失敗から学ぶという姿勢が全くといっていいほど感じられません。 ゴーンさん以前の歴代社長のようなもの。 技術にこだわって、ユーザーとの接点を疎かにし続けたのです。 オトーサン、 そんなことがあっても、 忍耐強く、慈父のごとく、 ナビ嬢に更正の機会を与え続けました。 昨日も、こんなことがありました。 ティーダ姫が、 このところ、毎晩寝汗をかくので、 かいまき代わりのボディカバーを オートバックスに買い求めに行きました。 国道16号線を柏から八千代方面に向かって右手にあります。 ナビ嬢の教えるルートは、そうなっています。 「アホ、交差点もないのに、右折しろというのか」 手前の交差点で右折します。 当然の措置でありましょう。 「あー、アホだなぁ」 右折すれば、すぐオートバックスだというのに、 ナビ嬢は、直進3kmとほざいております。 「どんどん、遠ざかってしまうじゃないか」 オトーサン、 昨日は、また、こんなことがありました。 松戸高柳新田の温水プールから自宅に帰るとき、 ナビ嬢いわく。 「セブン-イレブンのある交差点を右折してください」 「アホ、どこに、そんなのある?」 セブン-イレブンはとっくのとうに廃業して、 いまあるのは、かっぱ寿司。 食い物を扱ってるという点では同じでしょうが、 どうも、いい加減な性格のようです。 オトーサン、 「よし、最後の機会を与えてやろう」 一昨日、ナビ嬢が大チョンボをやらかした本土寺への ルートを再入力しました。 この入力たるや、大変に面倒なのです。 目的地ー施設ジャンルー寺ー千葉県ー松戸市ー本土寺 こう書くと、たったの6クリックじゃないか、 そう思われるでしょうが、 松戸ひとつとっても、 あーかーさーたーなーはーま 7クリックもしないと、たどりつけないのですよ。 オト−サン、 「ふーっ」 設定に成功して、安堵の深呼吸をしました。 「案外近いんだ」 10分ほどで到着するようです。 国道6号線に出て、併走する常磐線の高架橋を渡れば もう本土寺の松並木が見えます。 ここを右折すれば、本土寺の駐車場。 「あー、やっぱり」 ナビ嬢は、失敗からなーんも学んでいなかったのです。 「直進3kmです」 「アホな、よく言うよ」 ひょっとしたら、お寺の裏手に出て、 空いた駐車場でもあるのかと思うのが人情というもの。 ところが、大回りをして、 寺の裏手の路地に入りこむと、 ナビ嬢、 「ここで、ルートガイドを中断します」 「おい、おい、トイレ休憩かよ、それとも急な生理痛か」 路地が何本もありますから、 もう分からなくなってしまいます。 おまけに道路の幅員が狭いので、 すれ違うこともできません。 折り悪しく、前方からタクシー。 オトーサン、 人家の庭にクルマをこじ入れて、 タクシーをやり過ごしました。 ホッとするのも、束の間、もう1台、白いミニバンが。 お寺の裏手には、入口ひとつなかったのです。 あるのは、金網だけ。 オトーサン、 ナビ嬢に、 「覚えとけ。どんなにひとに迷惑をかけたか」 松並木に戻るるまでに30分もかかりましたよー。 オトーサン、 いまや、 「坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い」 そのような心境になっております。 「大体、お前の声がよくない」 遠くでたまに聞く分には、いい声かも知れんが、 耳もとでしょっちゅうだぞ」 甲高い声が、実に気になってまいりました。 「お前と別れることは出来んのか?」 クルマは、気に入っているのですが、 ナビ嬢の声が気に入りません。 「...それにだな、 もう半月も毎日のように逢っているのに、 いまだに自己紹介もしないとは。 挨拶は、基本だろうが...。 どういう教育を受けてきたのか、親の顔がみたい」 オトーサン、 夏川りみの「てぃだ」のCDを聞いているので、 その澄んだ声とナビ嬢の濁った声とを比べてしまいます。 「いっそ、彼女に依頼したら?」 テイーダ姫、 「そうね、夏川りみもいいかもね」 「えっ、姫も夏川りみを知っているの?」 「今年の紅白に出るんでしょ」 ティーダ姫、さすがに現代っ子です。 奥方、 芸能ニュースになると、黙っておれません。 「3回目よ。 でも、あたしなら、森山良子がいいわ。 息子さんの森山直太朗でもいいけど」 柏庵まで、乗り出してきて、 「わしは、初代コロムビア・ローズがいいと思う。 2代目もいいがなー。 3代目は、好かん。 2代目の娘、いま、どうしておるじゃろう?」 ♪若い希望も 恋もある ビルの街から 山の手へ 紺の制服 身につけて 私は東京の バスガール 発車オーライ 明るく明るく 走るのよ 昨日こころに とめた方 今日はきれいな 人つれて 夢ははかなく 破れても くじけちゃいれない バスガール 発車オーライ 明るく明るく 走るのよ (東京の バスガール 作詞:丘灯至夫 作曲:上原げんと)
オトーサン、 「ピリカ・メノコかー」 学生時代、バスガールというと、 いまのスチュワーデスや女子アナ以上にセレブでした。 北海道に旅して、中山峠、弟子屈、摩周湖と回っていくツアーで バスガイドさんに恋してしまいました。 ピリカ・メノコとは、アイヌ語。 美人、可愛い娘、メンコイ子という意味。 その通りの娘さんでした。 帰京してからも、何回か手紙のやりとりをしました。 「いま、どーしてるかなぁ」 ま、いまの年齢は考えないほうがいいでしょう。 オトーサン、 その晩、パソコンのマイピクチアのなかに ごみ箱に捨てそこなった写真を1枚発見しました。 お寺の和尚さんが書いたのでしょう。 人間のあるべき姿を示しておられます。 「あー。 ひとがそれなりに一生懸命にやっていることに いちいちケチをつけるなんて...」 これからは、ナビ嬢が 「新しいルートをご案内します」といったら、 「すいませんねぇ、 そんなに気を遣ってくれなくても。ご苦労さま」 そう応じなくては。 大回りや間違ったルートを教えてくれたら、 「新しい体験をさせてくれて、ありがとう」 「事故に巻き込まれないように配慮してくれたんだね」 そのように心から感謝しなくては...。 人生、ホント、何が幸いになるか分かりませんもの。
読者のみなさん、 己の至らなさを深く反省している オトーサンに代って、 2代目コロムビア・ローズさんの近況を お伝えしておきましょう。 ・あの人は今こうしている 2代目コロムビア・ローズの宗紀子 (ゲンダイネット 11月21日) http://www.excite.co.jp/News/entertainment /20041121100003/15977.html オトーサン、 「ナビ嬢だって、恋もするだろうし、未来もあるだろう」 日産のオエライさん、お願いがあります。 ナビ嬢、 水着モデルでデビューした米倉涼子や内田有紀のように、 芸能界への登竜門にしてやってくださいな。 いまの安月給の重労働じゃ、やる気も出てこないでしょう。 ナビ嬢のみなさん、 明るく明るくね。 ♪酔ったお客の 意地わるさ いやな言葉で どなられて ほろり落とした ひとしずく それでも日産の ナビガール 発車オーライ 明るく明るく 走るのよ もうどうにもとまらないんだ」
41 ♪粋な黒塀 見越しの松に
オトーサン、 「もう紅白歌合戦の時期か。早いもんだなぁ。 それにしても、レコ大、勢いがなくなったなぁ」 日本レコード大賞、 かつては、紅白をしのぐ勢いがありました。 第1回が、1959年 水原弘さんが「黒い花びら」で獲りました。 第2回は、「誰よりも君を愛す」で松尾和子とマヒナスターズ。 第3回は、「君恋し」でフランク永井。 第4回は、「いつでも夢を」。 これって、橋幸夫と吉永小百合のコンビですよー。 第5回は、「こんにちは赤ちゃん」の梓みちよ。 こんな風に並べていくと、 それぞれの歌や歌手の思い出があふれてきます。 オトーサン、 「そういえば、歌手のみなさんが来られたなぁ」 トヨタが、レコ大受賞者にクラウンを贈呈するので、 毎年、プロダクションの責任者とともに 歌手の方々が九段の東京本社にお礼にやってこられるのです。 役員応接室に、ご案内して、副社長をまじえ30分ほど懇談。 懇談といっても、まあ儀礼的なもの。 オトーサン 担当だった関係で、お相手したのは、 第11回 1969年 「いいじゃないの幸せならば」 佐良直美 第12回 1970年 「今日でお別れ」 菅原洋一 第13回 1971年 「また逢う日まで」 尾崎紀世彦 第14回 1972年 「喝采」 ちあきなおみ 第15回 1973年 「夜空」 五木ひろし 第16回 1974年 「襟裳岬」森進一 いまでも印象に残っているのは、 ちあきなおみさん。 彼女、コーヒーが出されて、 緊張していたのでしょうか、 お砂糖をいれようとして、 パッケージを床に落としてしまったのです。 オトーサン、 とっさに自分の分を彼女に。 なおみさん、ポッと頬を赤らめました。 それだけのこと。 記憶って、不思議ですよね。 こうしたどうでもいいことだけ残っているのです。 「森進一さんはどうだった?」 「五木ひろしさんは?」 フアンの方なら、秘話を聞きたいところでしょうが、 まったく記憶にありません。 でも、受賞者は、みんなオーラがありましたよ。 いまでいえば、ヨン様かなぁ。 懇談後、ショール−ムで、広報用の写真を撮るのですが、 どこで聞きつけたか、女子社員がつめかけたりして... 「そら仕事、勤務中だろう」 そう言って追いかえすフリをするのも、 オトーサンの仕事でしたよー。 だって、「今日、森進一がくるよ」って、 漏らしたのは、オトーサンだったもん。 オトーサン、 いつ頃できたのでしょうか? いまでもあるのでしょうか? 巨人軍向け新車購入優待制度も担当しました。 巨人軍の長島さん、王さん、堀内さんにも会いましたよー。 サイン入りのボールなんかもらったりして。 あれは、役得だったなぁ。 こういう風に芸能人を優遇する裏には、 勿論、ちゃんとした計算が働いております。 「あの長島の乗っているクルマ」 ということになれば、PR効果満点だからです。 販売の神様と呼ばれた神谷正太郎さんの発想でしょう。 発足当時は、トヨタの主力車種はクラウンでしたから、 皇室、官公庁、代議士といったVIPが顧客でした。 だから、ひとりひとり、それはそれは大事に接したようです。 いまでも、そうでしょう。 オトーサン、 「今日もいい天気だなぁ」 また、21世紀の森に行くことにしました。 前回、千駄堀池の奥にある自然観察舎に行ってみたら、 立派な望遠鏡が備えてあって、水鳥を観察しました。 「いやぁ、面白いなぁ」 性能がいいので、目の前に赤い真んまるな目玉が飛び込んできます。 でんぐり返しをして、水中へ。 水の輪が広がっていき、しばらくすると、 クチバシに小魚を咥えて上がってきます。 ぴちぴち、小魚がはねていますが、 あー、口の中へ。 オトーサン、 そんなことで、双眼鏡を買うことにしました。 12倍、相当な高倍率です。 今日は、その小手調べ。 いずれ、そのお話はするとして、 30分ほどで、クルマに戻りました。 「あの記事、読まなくては」 今朝方、コンビニで買った「ベストカ−」(12-26号)の テリー伊藤さんのティーダ評が気になったいます。 そさくさとページをめくると、 「テリーさん、巧いこと言うなぁ」 大衆車は、スリッポン的性能が重要というのです。 気軽に、突っかけを履くようでなければならない。 コマーシャルの「コンパクトがはじめて出会う上質」なんて トンデモナイ。もっとカジュアルなクルマだろうが。 その通りでしょうなぁ。 「へぇ、これも巧いこと言うなぁ」 テリーさん、 実は、私は、こうみえても、後部座席評論家だと言っています。 ティーダの後部座席の座り心地については、正直イマイチ。 そう言っているのです。 オトーサン、 「ホントかどうか、試してやろーじゃないか」 後部座席に移ります。 試乗のとき乗っただけ。 あとは、娘が座るだけ。 「考えてみれば、勿体ない話だなぁ」 かりに160万円のクルマとして、 その4分の1が後部座席のスペースとすると、 40万円もムダにしている勘定。 「たまには、使わなくてはなぁ。 ここで、パソコンでもやるか」 今日は持ってきていないので、 シートアジャスターをいろいろ試してみます。 「テリーさん、どの位置にして文句言ってるのかなぁ」 寝かせ過ぎると、確かに腰が疲れます。 「ここ、いいなぁ」 適度に開放感と囲まれ感があるし、 プライバシーガラスのおかげで、直射日光も入らす、 プラズマ・クラスター・イオンで、空調もカンペキ。 下手なレストランなんかより快適です。 「こりゃ、いい書斎になるぞ」 オトーサン、 ひとしきり、後部座席をチェックして、 ガラス窓越しにあたりの景色を見回しました。 この公園駐車場、 右手には、建売住宅が連なっていて、 左手は、運動場、 奥は、公園、 前方には、武蔵野線の高架橋がみえます。 「運動場の向こうは、とうなっているんだろうなぁ」 おニューの双眼鏡でチェック。 「へえ、お屋敷だ」 長い土塀が続いています。 数百メートルはあるでしょうか。 「どんなひとが住んでるのかなぁ?」 松戸市の公園用に土地を売って儲けた地主でしょうか。 塀越しに手入れの行き届いた松の木がみえました。 柏庵、 「あれが、見越しの松じゃな」 「どうして、そういう言い方をするのですか?」 「若いもんは、何も知らんなぁ」 これって、柏庵の口ぐせ。 「下枝から二番目の枝を壁の外側にわざわざ出すんじゃ」 「へぇ?」 「深い意味があるんじゃ」 「...」 「大きな屋敷のなかにいると、世の中が見えなくなる。 エライさんによくあるじゃろうが、裸の王様になってしまう。 たかが選手と言ってみたり、株式市場をなめとるとか」 「...」 「昔のひとは、偉かった。 壁の外を歩く人々の噂や不平不満に常に注意せよ。 そういう教訓を松の木の植え方に託したんじゃな」 「へえ、そうなんですかー」 オトーサン、 まざまざとある歌を思い浮かべます。 子供の頃、大流行したので、 意味も分からす、口づさんだもの。 ♪粋な黒塀 見越しの松に 仇な姿の 洗い髪 死んだ筈だよ お富さん 生きていたとは お釈迦さまでも 知らぬ仏の お富さん エーサォー 玄治店 (お富さん 作詞:山崎正 作曲:渡久地政信) 「春日八郎さんかー」
春日八郎(かすが はちろう) 1924/10/9- 91/10/22) 演歌歌手。 本名、渡部実。 福島県河沼郡会津坂下町出身。 三橋美智也・村田英雄らとともに、 長年演歌界をリードしてきた。 声質・声量共に一流。 歌手を目指し、上京。 東洋音楽学校卒業後、 新宿のムーラン・ルージュで活動するも、 なかなかヒットに恵まれず苦しい時代をすごす。 49年にキングレコードに入社 52年に「赤いランプの終列車」が大ヒット。 54年「お富さん」、 55年「別れの一本杉」が大ヒットし、 演歌歌手の第一人者となった。 91年、67歳で、肝硬変で死去。 ♪過ぎた昔を 恨むじゃないが 風も泌みるよ 傷の跡 久しぶりだな お富さん 今じゃ呼び名も 切られの与三よ これで一分じゃ お富さん エーサォー すまされめえ かけちゃいけない 他人の花に 情かけたが 身のさだめ 愚痴はよそうぜ お富さん せめて今夜は さしつさされつ 飲んで明かそよ お富さん エーサォー 茶わん酒 オトーサン、 この歌を聴くと思い出すのが、先輩の伊東さん。 東京トヨペットからトヨタ自販に転籍。 神谷正太郎さんは、当時、東京トヨペット社長も兼務していましたら、 社内異動のように、東京Pの優秀社員がやってきたものです。 この伊東さんが担当したのが、春日八郎さん。 「あんなに声の出る歌手は、もう出ないだろうなぁ。 マイクなんか、いらなかったもんなー」 弟子入りしちゃったとかで、歌の巧いこと。 プロそのものでした。 いつまでも聞いていたいほどでした。 「伊東さん、いまどうしているだろうなー。 お元気かなあ?」 ♪逢えばなつかし 語るも夢さ 誰が弾くやら 明烏 ついてくる気か お富さん 命みじかく 渡る浮世は 雨もつらいぜ お富さん エーサォー 地獄雨 この伊東さんの武勇伝も記憶に残っています。 「動かないクルマを売ったなあ」 「えっ?」 「お医者さんがいてねー。 2年ごとに、クルマを替えるんだ」 「そりゃ、そうでしょうね」 当時は、車検が2年毎でした。 「そのお屋敷に入る路地が狭くてね。 お医者さんが運転すると、擦るわけ。 そこで、オレに入れといてくれっていうんだ」 「伊東さん、運転うまいもんね」 「そのお医者さん、2年間、全然、運転しない」 「じゃ、他の誰かが?」 「いや」 「...」 「ただ置いとくだけさ、見越しの松みたいなもんさ」
そのお医者さんにとって、 クラウンは、ステータス・シンボルのようなもの。 別に動かなくたっていいわけ。 「オレたちは、動かないクルマだって売るんだから。 どんなにトヨタ自工が不出来なクルマを出してきたって、 売ってやるんだ」 そうそう伊東さん。 こんなことも言っていましたっけ。 「儲けるっていう字を分解してごらん」 「信者ですか?」 「そう、お客さんはオレの信者なの」 日産のセールスマンのWJくん、 これが、販売のトヨタのヒミツなのです。 そういえば、手書きの礼状、まだこないよ。 来たのは、ハガキ1枚。 1ケ月点検のやつ。 誰にでも出している印刷したやつ。 神谷さんが知ったら、頭抱えるだろうなぁ。
42 論理的ないいクルマ
オトーサン、 朝刊を読んでいて、 「おお、ついに出たか」 徳大寺さんの本が出たという広告が載っていました。 待望の「間違いだらけのクルマ選び 05年冬版」 この本にティーダがどう書かれているか、 気になって仕方なかったのです。 「15 ♪振りむかないで」では、 師匠が点をつけるなら、 こうなるだろうと大胆予想もしました。 フィット カローラ ティーダ スタイル 8 8 8 インテリア・センス 8 7 8 基本性能 9 7 9 燃費 8 7 8 ヴァリュー・フォー・マネー 9 9 9 魅力度 8 7 9 総合評価 9 7 9 オトーサン、 「早速、本屋に行かなくては」 昨日、見越しの松に触れたので、松戸へ。 しかも、たまには、下々の事情にも触れなければと クルマを捨てて、バスと電車を乗り継いで行くことにしました。 「たまには、バスもいいもんだ」 日曜の朝なので、がらがら。 ウトウトしていても目的地へ行けるというのは、いいものですなー。 南柏で、常磐線に乗り換えて、5つ目。 伊勢丹のある西口に出て、江戸川を目指しました。 途中、江戸川の支流である 坂川沿いの宝光院と松戸神社に立ち寄ってから、 常磐線の下をくぐって、戸定邸へ。 読者のみなさん。 「何じゃ、その戸定邸っていうのは?」 柏庵、 「恐れ多くも、 15代将軍・徳川慶喜の実弟、 徳川昭武殿のお屋敷である。 一同、頭が高い、控えおろう」 「は、はーっ」 水戸黄門のような言い方をしましたが、 昭武は、最後の水戸藩主でもあったのです。 この戸定邸(とじょうてい)は、 敷地面積が2万3000平方m、 東京ドームの半分くらいですが、 手入れがよく行き届いております。 お屋敷の面積は、728平方m。 迷子になりそうです。 大正天皇が来臨されました。 皇后陛下も最近訪問されております。
オトーサン、 書院造りのお屋敷を拝見して、 「こりゃぁ、穴場中の穴場じゃのう」 高台に位置しているので、 眼下に江戸川の青い水面がキラキラ。 双眼鏡でみると、浅草方面の高層マンション群も。 今日は、ガスがかっていますが、 大気の状態がよければ、富士山も見えるとか。 京都のお寺のように庭園も見事です。 空いているので、縁側にひとりゴロン。 極上の畳ですから、日向ぼっこにサイコー。 「気持ちがなごむなぁ」 ティーダの室内がいくら上質でも、 ここには敵いません。 セルシオでも、ベンツでもムリでしょう。 入館料がたったの150円。 寄贈されて、いまは松戸市のものだからでしょう。
オトーサン、 明治時代にタイム・スリップしてしまいました。 「徳川さんも、ここで昼寝したのかな?」 ようやく、この屋敷の持ち主に思いを馳せました。 寝っ転がりながら、 パンフレットに目を通します。 「ほー、将軍の名代として、 若冠13歳にしてパリ万博に行ったんだ」 和洋折衷の庭園であるわけが分かりました。 オトーサン、 同じ敷地内の戸定歴史館にも行って、 その年表に目を通しました。 徳川 昭武(とくがわ あきたけ)
1863.10.26 水戸藩主・徳川斉昭の18男として誕生 1867. 1. 3 パリ万博、長期留学を命じられる ナポレオンV世に謁見 9-11月 スイス、オランダ、ベルギー、イタリア、 イギリス巡歴、各国元首と会談 12月 留学生活に入る 1968. 1.26 大政奉還 10.15 急遽、パリから帰国へ 1968. 1. 7 最後の水戸藩主になる 1974. 9.25 少尉として陸軍戸山学校付となる 1976.11.13 パリ留学を願い出る 1980 パリの大学予備校エコール・モンジェ留学を終える 1983 29歳の若さで水戸藩主を退く 1984 4. 7 松戸別邸(戸定邸)落成 1898 5. 8 来訪した徳川慶喜と写真、作陶、狩猟、落語を楽しむ 1906 本格的に写真撮影に打ちこむ 1910 7. 3 死去(享年58歳) オトーサン、 「世が世なら、時代をリードしただろうに、 留学中に、徳川幕府がなくなっちゃうなんてなー」 かれが、その心境を詠んだ短歌がありました。 花は散り 月は欠けぬる ならいにて なかなかよしや 我が身なりけむ オトーサン、 ちょっとホロッとしました。 世が世なら、ジャガー、ロールスロイスを乗りこなすハズなのに、 ティーダでガマンしつつも、 「このクルマ、なかなかよしや」 なーんて、言っちゃって... 泣けてきますねー。 オトーサン、 見学を終えて、伊勢丹松戸店の本屋へ。 「置いてあるかなぁ?」 徳さんの本、なかなか見つかりません。 店員に案内してもらって、ようやく発見しました。 何と育児本コーナーに置いてあるのです。 「ちょっと...、店長を呼んでくれないか。 恐れ多くも、徳大寺有恒殿下のご本である。 一同、場所が悪い、場所を変えろー。 「は、はーっ」 店長さん、恐れいって、 ほんとに場所を変えてくれましたよ−。 オトーサン、 大戸屋でさんま定食。 早速、徳さんの本を取りだして、 ティーダのページ(96-99)を開きました。 見出しが飛び込んできます。 「論理的ないいクルマ。今期の国産ベストといえる」 そして、結びは、 「ティーダは明らかにカローラ、シビックあたりより 一歩前に出ている。今期登場したクルマのなかでは トップクラスの力作と断言できる。 こういうクルマはそう簡単に作れるものではない。 さすが日産だけのことはある」 オト−サン、 「やったぁ!流石、徳さんだ。見る目がある!」 そこで、巻末のティーダの採点をみます。 予想 05年冬版 スタイル 8 8 インテリア・センス 8 8 基本性能 9 8 燃費 8 − ヴァリュー・フォー・マネー 9 8 魅力度 9 8 総合評価 9 8 オトーサン、 一瞬、まっ青になって、 「ティ−ダ姫を何と心得るか。 控えおろう、頭が高い、採点を変えろー」 著名な自動車評論家が、燃費の項目すら調べていないとは、 何らかの事情があったにせよ、手抜きといわざるをえません。 「もしかしたら、試乗してないんじゃないのか?」 オトーサン、 さらに、問題点を発見。 カローラのスコアが、なぜか上っているのです。 「こりゃ、変だよ。モデルチェンジしたわけでもないのに」 フィットだって、よくみると変です。 大体、8が4つで、9が2つしかないのに、 なぜ総合評価が9になるのでしょう。 カローラ フィット 04年夏版 05年冬版 04年夏版 05年冬版 スタイル 8 8 8 8 インテリア・センス 7 8? 8 8 基本性能 7 8? 9 8? 燃費 7 7 8 9? ヴァリュー・フォー・マネー 9 9 9 9 魅力度 7 7 8 8 総合評価 7 8? 9 9 オトーサン、 「おかしいじゃないか。 論理的な採点じゃないよ、 これじゃ、間違いだらけの本だ」
43 これこそCOTYだ!
オトーサン、 また、価格comにカキコしました。 「カキコって、なーに?」 はじめ、この言葉をみたとき、 かきこするの略かと思いましたが、 前後の文脈から冷静に判断いたしました。 「そうか、書き込みの略なんだ。 若いひとは、面白いなぁ。 新語を自在に扱うんだもの」 カキコの内容は、以下のようなもの。 そうですか、SCENIC野郎!さん。 マガジンXがほめていましたか。 すごいじゃないですか。 早速、買いにいきます。 昨日発売の「間違いだらけのクルマ選び」でも、 徳大寺さんがほめていましたよ。 「論理的ないいクルマ、今期の国産ベストといえる」 でも、なぁ... 詳しくは、連載中の「15Mをめぐるエッセイ」 その42を、ご覧ください。 http://www32.ocn.ne.jp/~tytya/index.html オトーサン、 まあ半分は、このHPの売り込みですが、 自縄自縛で、ほんとにマガジンXを買いに出かけましたよー。 この雑誌、コンビニや小さな本屋には置いていないので、 柏駅そばの一番大きな本屋である新星堂へ。 「おお、あった!」 早速、駅前のスタバで、ページを繰ります。 「下品な広告載せてるなぁ」 一例をあげると、 「Hな投稿ムービー、毎日無料で見放題! 携帯ならいつでもどこでも、PCなら大画面でじっくり」 こういうHな業者、キャッチフレースを工夫してますなぁ。 媒体価値は、載せている広告で決まりますが、 マガジンX、いつまで、こんな品のない広告を載せ続けるのでしょうか。 でも、大企業の広告がゼロというのも、いいもんですなー。 広告掲載の見返りに、ゴマをする必要ないもんね。 マガジンX、われら庶民の味方です。 この雑誌、 もうひとつ注文をつけるとすると、 目次の場所。 いくら探してもみつからないのです。 したがって、ティーダを扱ったとされる 名物記事「ざ・総括」が、 どこにあるのか分からす、イライラしました。 オトーサン、 「おっ、こんな記事があるんだ!」 見出しは、こんな風です。 「本誌8月号スクープ 天皇の御料車、トヨタが開発は本当だった」 内容は、8月号のほうが詳しいのですが、 御料車が、日産プレジデントから、 トヨタセンチュリーへと変わるのをスッパぬかれて、 トヨタの関係企業があわてているというもの。 「トヨタ自動車殿にて開発中の特別車両に関する 業務報告書、出張報告書が、雑誌マガジンX8月号に 掲載されるという、極秘情報の漏洩が現実に起こっております」 オトーサン、 「大体、宮内庁がおかしい。極秘にせよと命じるとは」 御料車が日産からトヨタに変わった、 そのどこが極秘にすべき事柄なのでしょう? 防弾ガラスの性能が明らかになって、 テロリストのターゲットになるというなら、極秘情報でしょう。 「,..タダ同然で開発させているのが、不都合なのかなぁ?」 とすると、それこそ大問題です。 宮内庁の予算は、どうなっているのでしょう? 損と分かって引き受けたとすれば、 トヨタは、株主から代表訴訟を起こされても仕方ないところです。 いずれにせよ、この情報化時代に、不明朗なお話しです。 オトーサン、 不明朗なお話しといえば、 COTY選考経過の記事も読みました。 「何やってるんだ?!」 ホンダが、レジェンドを受賞させたくて、 小淵沢のホテル・リゾナーレに巨大テントを設置したとか、 自動車評論家諸氏に豪華な3次会まで用意したとか... 「コテコテじゃん、廃止すべきだ」 COTY(Car of the Year of Japan:日本カ−・オブ・ザ・イヤー) 外から見ると、日本を代表する汚職の巣窟と化しています。 その昔、定めた基本精神は、 特定の個人、企業、機関等の為のものではなく、 クルマに関心を有するすべての人たちのものである。 1.日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考は公平公正に行われ、 特定の自動車メーカー、特定の媒体の政策、利害等よって左右されない。 2.日本カー・オブ・ザ・イヤーは毎年1車のみとする。 でも、選ばれたのが、ホンダのレジェンド。 「馬鹿やってんじゃないよー」 レジェンド、そのどこに見所があるのでしょうか? エンジンも、サスペンションも、ボディも流用。 目新しいのは、SH・4WDなる新技術のみ。 500万円もして、月販たったの500台。 「...POTYなら、受賞させてやってもいいが」 POTY(Parts of the Year)といいたくもなります。 オト−サン、 このCOTYに対抗して出来たのがNPO法人、RJC。 (Automotive Reserchers&Journalists Conference) その目的は、崇高ですなあ。 この会は自由闊達な研究と評論を通じて 目本自動車界の健全な発展に寄与することを目的とする. RJCの委員に日産・広報部長が出したレターもみました。 「馬鹿やってんじゃないよー」 ティーダ乗りのみなさん。 裏切りものを発見しましたよー。 「フーガとティーダは、いずれも弊社にとりまして、 非常に重要なクルマであることは言うまでもありません。 中でも、フーガは...」 要するに、票が割れてはいけないので、 ティーダに入れるなというサインなのです。 「おいおい、お前なんかが決める権利あるのか? 多数決をとれ、多数決を!」 民意を無視するなんて、どこかの首相並み。 フーガのどこがいいのでしょう? そりゃ、お金をかければ、 低速追従機能付きインテリジェント・クルーズ・コントロール くらい装備できるでしょう。 でも、こうした先進技術なるものは、部品にしか過ぎません。 クルマではないのです。 百歩譲って、フーガが目下のところいいクルマだとしても、 1年もすれば、月販1000台維持も怪しいもんです。 それに400万円も出せば、運転して楽しい外車が買えます。 フーガなんて、誰もふりむかなくなる類のクルマなのです。 こんなクルマを選ぶなんて、RJCも落ちたもの。 COTYの審査員になれなかった連中の巣窟と言わざるをえません。 オトーサン、 前置きが長くなりました。 「おお!★★★★★だ!」 長いこと、「ざ・総括」を読んできましたが、 辛口批評で鳴るこの記事で、5つ★は、はじめて。 走りのフィーリング対談とあって、 「これこそCOTYだ!」 その文字が踊ってみえます。 オトーサン、 先程、メガネドラックの超音波洗浄でキレイになった めがねが曇ってまいりました。 「...この言葉を待っていた。長かったなぁ」 昨日の徳大寺さんのホメ言葉が、 ちょっと物足りなかったので、うれしさ倍増です。 「おお、おお...」 こんな有難い言葉もありました。 「評価に入ろうか。 オレは、最近の国産車、いや、ここ数年で見ても 印象のよさではベスト3に入るな。 この価格帯では文句なし」 柏庵、またまた突然出てきて、 「おお、おお、その言葉を聴きたかった。 もう死んでも思い残すことはない」 ティ−ダ姫、 「マガジンXって、いい雑誌みたいね」 オトーサン、 座談会の記事を読み進んで、 「この文章も、冴えてるねぇー」 ガバ−ッとアクセルを踏むことしか 考えていないひとには、猫に小判だよな。 日本人にちゃんと運転を教えないと、 こういう模範的なエンジンが評価されないぞ。 そうなのです。 アクセルといえば、 姫の一番敏感な場所へのヒミツの通路。 そこを土足で踏みつけるなんて、もってのほか。 足の小指の先に全神経を集中して こちょ、そよっ、ほよっ そんな感じが、姫には、ちょうどいいのです。
♪若い娘は お色気ありそで ウッフ〜ン なさそで ウッフン ありそで ウッフン ほらほら 黄色いさくらんぼ つまんでごらんよ ワン しゃぶってごらんよ ツー 甘くてしぶいよ スリー ワン ツー スリー ウーン 黄色いさくらんぼ 若い娘が ウッフン 三人揃えばウッフン ペチャクチャ ウッフン ペチャクチャ ウッフン コロコロ 黄色いさくらんぼ お熱い話しに ンー おしゃれの話しに ヘエー おいしい話しに ウアー ワン ツー スリー ウーン 黄色いさくらんぼ 若い娘はウッフン お脈がありそでウッフン なさそでウッフン ありそでウッフン なんだか 黄色いさくらんぼ さわっちゃいやいや ワン はなしちゃいやいや ツー ふざけてすまして スリー ワン ツー スリー ウーン 黄色いさくらんぼ (黄色いさくらんぼ スリー・キャッツ 作詞:星野哲郎 作曲:浜口蔵之助) 若い読者のみなさん この歌、オト−サンが まだ鼻血ドバーッだった頃、 一世を風靡したのです。 「はじめて知った。面白い歌じゃん。 でも、長すぎて覚えられないよー」 そんな場合は、替え歌で覚えてくだされ。 COTYの3次会でも歌われたかも。 ♪若い娘が ウッフーン やれそうなヤックン ふれそうなフックン ほらほら モックン さくらんぼ でも、コーフンしてきて カキコしないでね。
44 ヒヤリハット体験
オトーサン、 この2日ほど、クルマから遠ざかっていました。 理由は...、危うく事故を起こすところだったため。 いつもプールへ行くとき、 お墓の脇を右折します。 あと、松戸のプ−ルまでは、直線距離にして2Km。 ところが、この交差点が混むのです。 3日前に気づきました。 「なーんだ、手前にぬけ道があるじゃないか」 ナビが教えてくれなかったルートです。 そこで、プールの帰りに入っていきました。 400メートルくらいでしょうか。 細い道で、左右に曲がりくねっていました。 樫の大木が道に覆いかぶさるように張り出しているので、 後から考えると、見通しが悪いのです。 そこを通過しようとすると、 イキナリ、左手から小型トラックが出現。 急ハンドルを切って、危うく難を逃れました。 胸がドキドキ。 おまけに、目の前がお墓ときています。 オトーサン、 「前にも、こんなことがあったなぁ」 数十年前のことですが、いまだに目に焼きついています。 九段のトヨタ自販ビルに生田寮から通っていた頃でした。 多摩川を渡ると、東京。 神谷正太郎さんのお屋敷のある岡本町から 瀬田の交差点をぬけます。 渋谷に向かう246号線の混雑を避けて、 またもや抜け道を走っていくのです。 「あっ!」 気がついたときは、もう手遅れ。 右手から飛び出してきた小型トラックと激突。 ボンネット半壊、同乗者2名は入院。 後から考えると、やはり無謀運転でした。 曲がりくねった坂を上っていく関係で、 交差する道が狭く見えていたのです。 毎日のことですから、安心しきっていました。 入院したSさん、Tさん。 それぞれ、後に、子会社の社長になられました。 Tさんは、先日、お亡くなりになりました。 盛大な葬儀だったとか、合掌。 オトーサン、 「カーテン・エアバック、買っておくべきだった」 購入時は、どうしても目新しいアイテムに目がいきがち。 ナビだ、アルミホイールだ、何だかんだ。 安全関係のオプションは、後回しになるのです。 「...でも、ほんとに、ぶつからなくてよかった」 不幸中の幸いで、ティーダの隠れた性能を確認できました。 急旋回性能という奴です。 「いやー、こりゃ、いいハンドルだ」 左手から飛び出してきましたから、サッと右手へ。 そして、道路に戻るように左手へ急ハンドル。 いまはもう余裕を取り戻したから言えることですが、 そのときは、あたかも義経の八艘飛び。 右に左に、ヒラリ、ヒラリでしたなぁ。 ティーダのハンドルの切れ味は、すばらしかったですよ。 とろいハンドルだったら、ぶつかっていたでしょう。 読者のみなさん、 「ハインリッヒの法則」なるものを、ご存知ですか? この法則は、アメリカの技師ハインリッヒが発表したもの。 労働災害の事例の統計を分析した結果、 重大災害を1とすると、 軽傷の事故が29、 そして無傷災害は300になるというものです。 つまり、 1件の重大事故が発生する背景には、 29件の軽傷事故と 300件のヒヤリ・ハットがあるのです。 交通事故に限らず、 工場での事故や火災、原子力発電所の事故、 さらには、幼児の誘拐殺害といった凶悪犯罪にいたるまで この法則は、広く適用されているそうです。 記憶に新しいところでは、例の三菱のリコール隠し。 実態は、下図のようだったのでしょう。
オトーサン、 思えば、長いこと、 結果オーライの世界に暮らしていました。 だって、高度成長で、つぶれかけた会社は急成長。 一度、リンパ腺に腫瘍ができて入院。 ガンだったら、この世からおさらばでしたが、結核。 3ケ月の入院で職場に復帰できました。 飛行機がひどくゆれた時もありましたが、墜落しなかったし... 大地震にも、大水害にも、テロにも会わなかったし... オトーサン、 「結果オーライが、一番イカンらしいなぁ」 重大事故は、ヒヤリハットの延長上にあります。 @どういう危険運転だったのか? Aなぜ危険運転が発生したのか? B自分に原因はなかったか? Cやむを得ない状況だったか? ヒヤリハット体験をしたら、 こうした角度から冷静に分析し、反省し、 対策を立てるべきなのです。 この2日ほど、 反省して思ったのは、 @はじめての道は、用心深く走る。 Aスピードは、控えめに。 B体調や気分がすぐれないときは、乗らない。 Cスタートして5分間、自宅の手前2kmは、要注意。 Dクルマの点検整備は、手抜きをしない 読者のみなさんのなかには、 「そんなこと言ってたら、仕事にならん」 そう思う方もおられるでしょうが、 そりゃ、アキマヘンなぁ。 閻魔大王が、手ぐすねを引いて待ってまっせ。 オトーサン、 今日は、テーマがテーマなので、 歌はやめにしようかと思いましたが、 フランク永井さんの渋い声をお届けしましょう。 「有楽町で逢いましょう」が大ヒットしましたっけ。
♪つらい恋なら ネオンの海へ 捨てて来たのに 忘れてきたに バック・ミラーに あの娘の顔が 浮かぶ夜霧の ああ 第二国道 花の唇 泪の瞳 想い出さすな 帰らぬ夢を ヘッド・ライトの 光の中に つづくはてない ああ 第二国道 闇を見つめて ハンドル切れば サイン・ボードの 灯りも暗い 泣かぬつもりの 男の胸を 濡らす夜霧の ああ 第二国道 (夜霧の第二国道 作詩:宮川哲夫 作曲:吉田正) 無謀運転のあなた。 よく見かける風景です。 国道脇に花束がそなえられていますよねー。 オトーサン、 「いま、思い出した。 一度、女の子をはねたっけ」 急に飛び出してきたので、よけきれず、 彼女の身体、10メートルくらい飛びましたっけ。 ♪バック・ミラーに あの娘の顔が 浮かぶ夜霧の ああ 第二国道 オトーサン、 「そういえば、 しょっちゅう見舞いに行ったなぁ。 仲良くなりかけたっけ。 でも、結局、最後まで許してくれなかった。 腰もさすってあげたから、 あと、もうひと押しだったのかも」 彼女、デザインかなんかの専門学校生でした。 オトーサン、 その昔、社交ダンスに狂っていて 300人にアプローチすれば、 29人がいい感じになり、1人はものになる。 そういう体験をしたことがあります。 同じような経験則から、 ハインリッヒ氏がその法則を思いついたのではないか、 そのように考えることもあります。
野菊の風
オトーサン、 「そうだ、1ケ月点検に行こう」 11月5日納車ですから、1ケ月点検には早いのですが、 昨日の朝、ちょうど1000Kmを超えたので、いいでしょう。 「ありゃ!」 定休日でした。 「しょうがないなぁ。案内ハガキに書いとけよ」 書いてあったのかも知れませんが、見落としました。 オトーサン、 「どうしようかなー」 勢いこんできただけに、行くあてもなし。 「そうだ、矢切の渡しにでも、行ってみるか。 細川たかしの歌で有名な...」
♪つれて逃げてよ ついておいでよ 夕ぐれの雨が降る 矢切の渡し 親のこころに そむいてまでも 恋に生きたい ふたりです (矢切の渡し 作詞:石本美由起 作曲:船村徹) オトーサン、 ナビで矢切の渡しを目的地に設定しようとして、 目的地ー施設ジャンルー50音まできてから、 「しまった、ヤ行だった」 ア行から一番遠いほうにあるのがヤ行。 しかも、やぎりのわたし。 「き」に「”」というのが、またまた面倒。 でも、ようやく設定して、走り出しました。 「あー」 江戸川に大分近づいた地点で、ナビ嬢。 「ここで、ガイドを中断します」 おかげで、交差点を見逃して、大迂回。 「...また、急な生理痛かよー。 ほんとに、一度、きちんとお医者さんに診てもらったほうがいいよ」 オト−サン、 さんざん道に迷っていると 「へぇ、こんなところに野菊の墓があるのか」 坂の切り通しにクルマを停めて、 階段を上って、高台の小公園に。 眼下に江戸川。 見晴らしは、いいのですが、 肝心の「野菊の墓」が見あたりません。 ベンチに、オニーチャンがいました。 手には、スポーツ紙。 「清原残留」なるド派手な見出し。 「すみません。野菊の墓はどこですか?」 「そんなもんないよ、墓なんか」 どうも、堀内のとばっちりを受けたようです。 オニーチャン、 考え直してくれたらしく、 「碑はあるけどな。そこの橋を渡りな」 「ありがとう」 オトーサン、 「ひでえところだなぁ」 西蓮寺の境内なのでしょうか? 廃寺で、お墓も荒れ放題。 その片隅に野菊の墓文学碑がありました。 こんなことが書いてあります。 正夫が「民子さんは、どうみても野菊の風だ」 民子「正夫さんは、りんどうのようだ」 歯の浮くようなせりふのわきに、 「野菊というものは、存在しない。 菊の総称で、カントウヨメナ、ノコンギク、ユガギクをいう」 などと無粋な注釈が書いてあります。 オト−サン、 「ま、いいか。こんなところか」 一応納得して、連絡橋を渡りかけます。 切り通しに駐車したティーダが無事を見下ろします。 まだまだ新車、気になります。 「あっ、危ない!ぶつかる!!」 曲がりくねった坂道を、 白い軽自動車が勢いよく駆け降りてきます。 下からは、赤いおんぼろのクルマが上ってきます。 当然、両車からは、相手が見えないのです。 「あーっ」 ガーンという衝突音を覚悟しました。 でも、目と鼻の先で、両車が急ブレーキ。 危うく、衝突を免れました。 「...どうして、あんなバカな運転するのかなぁ」 ここは、絶対、軽が悪いのです。 この悪漢・軽のボディには、 松戸市と書いてありましたよー、 市長さん。 オト−サン、 このシーンで思い出しました。 日産は、衝突安全性を謳うとき、 ゾーンボディと呼びます。 カタログには、 「高強度キャビンと衝撃吸収ボディで 乗員を守る高強度安全ボディです」 そう書いてあります。 それに対して、 トヨタは「ゴア」と呼びます。 先にネーミングしたのは、トヨタ。 日産は、後から「ゾーンボディ」と呼びだしたのですが、 日産のセールスマンの悔しがること。 だって、「ゴア」のほうが、断然、強そうじゃないですか。 この部品に愛称をつけるきっかけとなったのは、 排出ガス規制後、トヨタ自販の宣伝部が 新型エンジンに「レーザー・エンジン」とネーミングしてからです。 早稲田の宇野政雄教授が、パイオニアの新製品に 「レーザー・ディスク」と命名して、売上急増した故知に倣ったもの。 レーザーって、すごい進んでいる感じじゃないですか。 おかげで、いつの間にか「技術の日産」なる言葉は消えていきました。 ティーダに「上質」という言葉を乱用したり、 日産は、とにかく宣伝下手なのです。 オトーサン。 「次は、矢切の渡しだ。ここよりはマシだろう」 江戸川の堤防をめざして、ネギ畑のなかを走ります。 「駐車場どこにあるのかなぁ」 見当たらないので、公衆便所わきの空き地に駐車。 野良猫でしょうか、痩せ細った三毛が日向ぼっこ。 しきりに毛づくろいしています。 堤防に上ると、ゴルフ場。 松戸パブリックゴルフを横切っていくのです。 「どうも、気分が盛りあがらないなぁ」 こちらが、せっかく、矢切の渡しと思いつめているのに、 ネギ畑、野良猫、公衆便所、ゴルフ場が出てくるのです。 いわば、こちらが、ティーダ、ティーダと思いつめているのに、 ノートだ、ラティオだ、ラフェスタだと言っているようなもの。 オトーサン、 「ここかぁ」
それでも、広い川を目の前にするのは、いいものです。 「乗船料、100円は安いな。 久しぶりに、柴又の帝釈天に行ってみるか」 でも、12月になると、土日しか運行していないそうです。 「ほー、この碑か」 川辺に、矢切の渡しという碑があります。 昭和59年8月吉日 細川たかし 「そうだった、58年の年末にレコ大を取ったんだ その記念に建てたんだったっけ」 でも、渡し場にあるベンチ、 みんな古ぼけて座る気なんかしません。 ムードぶしこわしもいいところ。 「市長、手抜きもいいとこだよ」 松戸市は、日産同様、PR下手のようです。 でも、こんな説明板がありました。 矢切の渡しは 松戸市矢切と東京都柴又を往復する渡しで その始まりは三百八十余年前江戸時代初期にさかのぼります。 当時、江戸への出入りは非常に強い規則のもとにおかれており、 関所やぶりは「はりつけ」になろうという世の中でしたが、 江戸川の両岸に田畑をもつ農民は、 その耕作のため関所の渡しを通らず 農民特権として自由に渡船で行きかうことができました。 これが矢切の渡しの始まりで いわゆる農民渡船といわれるものです。 明治以降は、地元民の足として、 また自然を愛する人々の散歩コースとして利用され 現在では唯一の渡しとなっています。 この矢切の渡しの庶民性と矢切の里の素朴な風景は、 千葉県の生んだ歌人でもあり小説家でもある伊藤左千夫の小説 ”野菊の墓”の淡い恋物語の背景となっており その小説の中で美しく描かれております。 オトーサン、 「いまいち、ピンとこないなぁ」 帰宅して、ネットを探索しました。 まずは、「伊藤左千夫」と入力。
伊藤左千夫(1864〜1913) 明治時代の歌人・小説家。 千葉県に生まれる。 若くして上京,牛乳をしぼりとる仕事をしながら短歌を始めた。 正岡子規に師事して、 事実をくもりない心と目で見、表現することを学んだ。 子規の没後,短歌雑誌「馬酔木」、ついで「アララギ」を出した。 万葉集を手本として、 子規のとなえた写生の説にもとずいて作歌した。 斎藤茂吉・島木赤彦などの門人をそだてた。 小説は「野菊の墓」が有名。 牛飼が 歌よむ時に 世の中の 新しき歌 大いにおこる オトーサン、 「死んだオヤジも、アララギ派の歌人だったっけ」 3歳のときに死んだので、顔も覚えていません。 ただ、彼の残した歌集から想像するのみ。 ゆかりとし 思へどあわれに 思うなり 吾が妻今し 用足しに出でぬ オトーサン、 その父も母もこの世にいず、次は自分の番。 胸中を野菊の風が吹きぬけていきます。 「おー、あるもんだなー」 野菊の墓のほぼ全文が収録されております。 ・http://www.aozora.gr.jp/cards/000058/files/647.html オト−サン、 その最後のほうだけ、コピーしました。 船で河から市川へ出るつもりだから、 十七日の朝、小雨の降るのに、 一切の持物をカバン一個につめ込み 民子とお増に送られて矢切の渡しへ降りた。 村の者の荷船に便乗する訣でもう船は来て居る。 僕は民さんそれじゃ...言うつもりでも 喉がつまって声が出ない。 民子は僕に包を渡してからは、 自分の手のやりばに困って 胸を撫でたり襟を撫でたりして、 下ばかり向いている。 眼にもつ涙をお増に見られまいとして、 体を脇へそらしている、 民子があわれな姿を見ては 僕も涙が抑え切れなかった。 民子は今日を別れと思ってか、 髪はさっぱりとした銀杏返しに薄く化粧をしている。 煤色と紺の細かい弁慶縞で、 羽織も長着も同じい米沢紬に、 品のよい友禅縮緬の帯をしめていた。 襷を掛けた民子もよかったけれど 今日の民子はまた一層引立って見えた。 僕の気のせいででもあるか、 民子は十三日の夜からは一日一日とやつれてきて、 この日のいたいたしさ、僕は泣かずには居られなかった。 虫が知らせるとでもいうのか、 これが生涯の別れになろうとは...
オトーサン、 「そうそう、百恵ちゃんが主演だった」 山口百恵さん、「野菊の墓」の民子役でした。 PR写真の関係で笑っていますが、悲劇のヒロインなのです。 ♪見すてないでね 捨てはしないよ 北風が泣いて吹く 矢切の渡し 噂かなしい 柴又すてて 舟にまかせる さだめです どこへ行くのよ 知らぬ土地だよ 揺れながら艪が咽ぶ 矢切の渡し 息を殺して 身を寄せながら 明日へ漕ぎだす 別れです
46 気合いだァ〜!
オトーサン、 この夏、アネテ・オリンピックをみていて 「あれ、何者だ?あの応援席ではしゃぎ回っているヤツ?」 「何よ、知らないの?アニマル浜口っていうのよ」 「浜口京子選手のオトーサンよ」 娘と奥方に思いっきり馬鹿にされました。 それ以後、注意してみていると、 なるほど、親バカの典型。 娘の応援ぶりは、恥も外聞もなく、涙ぐましいほど。 オトーサンも親バカですが、あそこまではやれません。 「いい奴ちゃなぁー」 以下、経歴をみておきましょう。
アニマル浜口 本名 浜口平吾 1947年8月31日 島根県生まれ 178cm 108kg 大阪の堺市の中学を卒業後、ボディビルへ。 兵庫県コンテストで準優勝。 69年、国際プロレスに入門。 72年、アメリカ遠征。 77年、グレート草津と組んでIWA世界タッグ王座獲得。 国際プロレス崩壊後はラッシャー木村、寺西勇らと 「はぐれ国際軍団」を結成し新日本プロレスに登場。 その後、長州力と意気投合し維新軍団に参加。 84年、ジャパンプロレスを結成して全日本のリングに上がった。 ジャパンプロレス崩壊後、体力の限界を理由に引退。 東京・浅草でジムを開き、多くのレスラーを育てている。 長女の浜口京子はアマレスで活躍し、 97年の世界選手権75キロ級で優勝した。 得意技 ダイビングエルボードロップ バックフリップ オトーサン、 今朝のTVで「流行語大賞」発表風景をみました。 大賞は、アテネ五輪の金メダリスト 北島康介さんの「チョー気持ちいい」でした。 でも、会場で一番笑いを誘ったのは、 浜口さんの「気合いだァ〜」の連呼でした。 この恒例となった流行語大賞の主催者は、自由国民社。 ここの社長さん、義理の父親の通夜に来ておられました。 「どんな関係だったのですか?」 場が場なので、聞き逃しました。 オト−アン、 親バカ行事で娘を駅まで送りました。 「何だか、みんな気合が入っているなぁ」 だって、一例をあげると、 自転車のおじさんが、 オトーサンのクルマに正面から歯向かってくるんですよ。 こんなことは、生まれてはじめて。 クルマ同士なら、イザ知らず、 オートバイだって、勝てっこないのに。 でも、 「気合いだァ〜」 たとえ自転車であれ、その激しい気合に負けて、 つい道を譲ってしまいました。 オト−サン、 その昔、大手旅行代理店に娘が勤務していた頃、 奥飛騨温泉に泊まって、翌日、高山に向かいました。 2車線の道路、時速60Kmで流れていました。 「お、おーッ」 1台追い越したクルマが、 チョーすごいスピードで、そのまま、 こちらの車線をやってくるではありませんか。 「気合いだァ〜」 このときは、死を覚悟しました。 路肩に逃げて、なんとか助かりましたが...。 オトーサン、 いまでも、この光景がよみがえってくると、 冷や汗が噴出してきます。 「追い越せたら、死んでも構わない」というヤツが この日本にいるのですなー。 まあ、自殺者が毎年、3万人もいるのですから、 華々しく死にたいというひともいるかも。 オトーサン、 娘を無事に駅まで送りとどけました。 「あれは、違反じゃないのかねえ」 歩道があるのに、自転車が車道を走っています。 そのくらいならば、 自転車乗りでもあるので、分からないでもありません。 でも、このオジョ−サンは、 ケイタイをやりながら、車道を走ってくるのです。 クルマだと逮捕されるのに、自転車はいいのでしょうか。 「法律が不備だなー」 この無法者のオジョーサンも、 今朝のTVでアニマル浜口さんを見たのでしょうか。 オトーサン、 家の前の路地までやってきました。 「おっ」 向こうからミンバンが進入してきます。 大きなクルマが入ってくるような道ではないのです。 「止まればいいのになー」 でも、そんな気配もありません。 このまま譲れば、長い距離をバックしなければなりません。 勿論、バックモニターなる新兵器がありますから、 どーてことはないのです。 サイドブラインド・、モニターなる新兵器だってありますから、 左手へ、側溝の蓋の上までギリギリ寄せれば、 あるいは、すれ違えるかもしれません。 でも、2mもバックして、10m先で左折すれば、 どうってことはないのに、そのまま図々しくやってこようとするのです。 オト−サン、 譲ってやろうかなと思いましたが、 考えてみれば、朝から譲りっ放しだったので、 「気合いだァ〜!」 前へじりじり進みます。 ミニバンの運転手の顔がみえました。 可愛い顔のママさん、助手席には幼稚園児。 (これも、非常識ですが) 両者、対峙、しばし睨みあいになりました。 「おっ、チョコザイな」 そのバカママ、手を振って、 こともあろうに、ティーダ姫にドケドケのサイン。 「控えおろう。 頭が高い、座高が高い、車高が高い! 手打ちにしてくれようぞ!」 ほんとに、平手打ちしてやりたくなりました。 でも、気合負けしたのは、オト−サン。 クルマから降りて、 「なんで下らないんだ。ちょっとだけなのに」 「面倒なのよ」 しょうがないので、 「バックオーライ、オーライ、オーライ」 ちょっともオーライな気分ではないのですが、 後退するのを手伝ってやりました。 それなのに、 そのバカママ、 お礼を言うどころか、 オトーサンを睨みつけて、 鼻息荒く走り去っていきました。 オトーサン、 憤然として、 「エラソーになぁ。 でかいクルマに乗っていると、 自分がエラクなったかのように、錯覚する。 2人しか乗っていないなんて、ケシカラン」 徳大寺さんは、以前から大のミニバン嫌いですが、 05年冬版では、こう書いています。 「運転の楽しみがないだけでなく、 鈍重で気軽に使う気にもなれない」 「自分ひとりだけでなく、 家族友人と集団で行動できるという 幻想をウリにしているのだ」 「アメリカで生まれたものを 何とか日本でもという憧れがあるかもしれないが、 日本の交通事情からして所詮無理がある」 オトーサン、 「そうだ、そうだ。 発泡酒にまた税金をかけるとか、 炭素税を新たに創設するなんて言ってないで、 ミニバンの税金をドーンと上げりゃいいんだ。 ...名称か、ドーンガラ税がいいな」 オトーサン、 その後は、さしたることもなく、 平穏無事な時が過ぎていったのですが、 ネットで、久しぶりに日産の株価をチェックしました。 円高で、このところ下る一方だったので、 最近は、見る気もしなくなっていました。 ふと思いついたわけ。
10月12日に1209円で購入したのですが、 それが、どんどん下っていきました。 500株買ったので、100円下ると5万円の損。 200円まで下ると、10万円の損。 ティーダの値引き分で儲けたつもりが、 すでにもう帳消しになっております。 11/18 1101円 19 1099 20 - 21 - 22 1076 23 - 24 1086 25 1082 26 1077 27 - 28 - 29 1091 30 1085 12/ 1 1078 2 1101円 オトーサン、 「おー」 感動いたします。 2週間ぶりに、1100円台を回復したのです。 「なんで、持ち直したのかなぁ?」 ネットをチェックしました。 前日1日の米国株式市場では 各種経済指標の良好さや原油価格急落を好感し、 ニューヨークダウが大幅高となった。 米国景気や株価との連動性の高い自動車株に買いが先行。 11月の米国自動車販売台数は、 トヨタ 8.8%増、 ホンダ 3.1%増、 日産 31.0%増となった。 オトーサン、 「日産、絶好調じゃん」 ちょっとばかり幸せな気分になりました。 鼻歌まじりに水前寺清子さんのマーチ。 甲子園の入場行進曲にもなりましたっけ。
♪ワン・ツー ワン・ツー ワン・ツー ワン・ツー しあわせの 扉はせまい だからしゃがんで 通るのね 百日百歩 千日千歩 ままになる日も ならぬ日も 人生は ワン・ツー・パンチ あしたのあしたは またあした あなたはいつも 新しい 希望の虹を だいている 腕を振って 足をあげて ワン・ツー ワン・ツー 休まないで 歩け ソレ ワン・ツー ワン・ツー ワン・ツー ワン・ツー (三百六十五歩のマーチ 作詞:星野哲郎 作曲:米山正夫) オトーサン、 日産の株価応援歌をつくりました。 これって、ほとんど安倍なつみさん状態。 http://www.geocities.jp/paropro2004 ♪しあわせの 隣にいても わからない日も あるんだね 一年三百六十五日 一歩違いで にがしても 人生は ワン・ツー・パンチ 歩みを止めずに 夢みよう 千里の道も 一歩から はじまることを 信じよう 腕を振って 足をあげて ワン・ツー スリー フォー 休まないで 歩け ソレ ワン・ツー スリー フォー 1 2 3 4 オトーサン、 「早いとこ、1234円まで上ってちょ」 手数料を勘案すると、これでトントンです。 ヤキモキさせられた慰謝料を勘案すると、これでも損。 日産ガンバレ! 気合いだァ〜 気合いだァ〜 気合いだァ〜 気合いだァ〜
47 生きてえなァ生きてえなァ
オトーサン、 毎朝の行事で、駅まで娘を送ります。 「今朝は、空いているなぁ」 そう思った矢先、駅まで1kmで渋滞。 「また、工事がはじまったのか」 そう思いましたが、さにあらず。 10分も動きませんでした。 パトカ−がきて、現場検証中だったのです。 娘が8時45分発に乗り遅れてはと気がせいていたので、 ぶつかったクルマも、ぶつけられたクルマも、 加害者・被害者も観察できませんでした。 おそらく、ここは自転車や歩行者が乱暴なので、 それに気をとられて、 交差点に進入してくるクルマに気づかなったのでしょう。 現場には、一面のガラス破片。 血潮は...、見当たりませんでした。 オトーサン、 「狭い日本、そんなに急いで、どこに行く」 そうつぶやきましたが、 「狭い日本 だから急げば 早く着く」 そんな川柳の信者たちが後をたたないのでしょう。 オトーサン、 娘を送ると、ホッとします。 「今日も天気がいいし、どこへ行こうか」 我孫子までは、探検ずみですから、 365ならぬ356号線を走ることにしました。 その先に千葉ニュータウンがあって、 北総鉄道の印西牧の原駅のそばには、 あの巨大なジョイフルホンダのお店があります。 「ガソリンいくらかなぁ」 手賀沼の道の駅にいく途中にあるスタンドでは、 このところ、レギュラーを111円でいれています。 おそらく、もっと安いでしょう。 オトーサン、 田園地帯をのんびり走っております。 われながら運転がおとなしくなったと思います。 まあ、慣らし運転中ということもありますが、 柏庵がリアシートに座りはじめたせいもあります。 柏庵、一度、リアに座ったら味をしめました。 「こりゃいいわい、楽チンじゃ」 おまけに、座布団まで持ち込んで、その上に正座。 あきれてみていると 「このほうが、落ち着くでな」 その代わり、安定しないものですから、 ちょっとゆれると、すぐ抗議のうめき声が聞こえてまいります。 オトーサン、 その昔、内輪の会合で聞いた中嶋さんに伺った 若い頃のエピソードを思いだします。 中嶋悟さんといえば、泣く子もだまるF1ドライバー、 その方のお話ですから、ご存知の方も多いかも。
中嶋 悟(なかしま さとる) 日本人初のF1フルタイムドライバー ナカジマレーシング総監督 プロフィール : 1953年2月23日愛知県岡崎市生まれ 1977年FJ-1300チャンピオン、全戦全勝、全戦ポールポジション 1978年All Japan F-2シリーズ3位 1981.1982.1984.1985.1986年 F-2 チャンピオン 1987〜1991年 F-1参戦 1992年 Nakajima Racingの総監督に就任 全日本F3000、F3、GTに参戦し、若手の育成に努める。 1997年 Tyrrellのスポーティングディレクターに就任、 F1との掛け橋を作り、高木虎之介を送り出す。 1999年 Tyrrellの消滅により再び国内戦に集中する、 Formula NipponF3、GTと若手の育成に努める。 中嶋さん 「僕は免許をとって以来、150万キロは走っています」 オトーサン、 「ほー、そんなに走っていて無事故か」 それだけで、もうこの人の言うことは 心して聞いておかなくてはと思ってしまいました。 若い頃からレーサー志望。 お兄さんのスタンドで働いていたのですが、 愛知県の山中の工事現場にドラム缶を配達しによく行ったそうです。 そんなときには、 ドラム缶を荷台の一番後ろに載せるという わざと不安定な載せ方をしたそうです。 山道はくねくねしています。 当然、ドラム缶は、あっちへゴロゴロ、こっちにゴロゴロ。 中嶋さんは、そうならないように、 カーブの曲がり方を工夫したのです。 カーブでは、スローイン、スローアウトになります。 しかも、スピードは、遅くならないように。 そこで、ハンドルだけでなく、 アクセルワークとブレーキワークの両方をうまく使いこなしました。 遠心力も、味方につけたのです。 オトーサン、 柏庵には、申しわけないのですが、 ドラム缶代わりになってもらって、 柏庵のうめき声がしないようにカーブを乗り切っていきます。 柏庵、 「そこもと、運転が巧みになったな、 なぜじゃ?」 オトーサン、ふざけて、 「知らざぁ言って聞かせやしょう」 柏庵、 「しゃれたセリフを知っとるのう」 オトーサン、 「いや、ちょっと口がすべって」 柏庵、 「弁天小僧の名せりふじゃな。 さては、菊五郎を見たことがあるな」 オトーサン、 「とんでもない、その方面は、まったく暗いので...」 柏庵、 運転席に身を乗り出して 「あおとぞうしはなのにしきえ、 通称、弁天小僧は、黙阿弥の作で五幕八場の世話物じゃな。 三幕目「浜松屋」では、弁天小僧が武家の娘に扮するんじゃが、 菊五郎のあでやかなこと、たまらなかったもんじゃ」 オトーサン、 「なぜ、その知らざぁの名せりふが出るんですか?」 柏庵、 「ひとことで言うのは難しいのう。 ま、弁天小僧は、呉服商浜松屋の幸兵衛の 実の子であることが分かったんじゃな、 その場面よ」 オトーサン、 分からぬままに、 「はー、そうなんですか」 片側1車線の直線路に出ました。 前を軽トラックがのんびり走っています。 しばらくついていきましたが、時速30Kmとは... そこで、追い越すことにしましたよー。 その軽トラ、 左にウィンカーを出して、さらに減速して、 左に寄りはじめました。 オトーサン、 「こりゃ、左折だな」、 抜きかけた時、なんと右折してきたのです。 急ブレーキ! さすがは、ティ−ダのブレーキ。 ロックもぜずに、ピタリと減速しましたよー。 「アホ!危ないじゃないか」 思わず、窓を開けて、年寄りに怒鳴ってしまいました。 柏庵、 「そりゃ、そこもとの不注意じゃな」 オトーサン、 憤然として、 「だって、ウィンカーを左に出しといて右折ですよ」 柏庵、 「ワシには、気配が分かった」 「え?」 「あの年寄り、右側を見ておったろう。 それに、ミラーで後をみておったろう。 進路を変える兆候じゃったな」 オトーサン、 「....」 そこまで、注意しないと事故は防げないのか、 暗澹たる気になりました。 読者のみなさん、 もし、思いあたるふしがあったら、 以下のサイトで、 危険予知、事故回避トレーニングをなさってください。 http://www.jaf.or.jp/safety/kiken/ktop.htm オトーサン、 膝がガクガクしてしまいました。 もし、ブレーキ性能が悪かったら、 もし、ABS(アンチロックブレーキシステム)が有効でなくて ロックしたり、片効きしたりしたら... 軽トラに激突していたか、 田圃に転落していたことでしょう。 お年寄りの命を奪うことになったかも。 動悸がおさまりません。 ジョイフルホンダに行くのは、中止しました。 一番近くにあったミニストップの駐車場に乗り入れて、 コーヒーを2杯頼んで、4席しかないコーナーへ。 柏庵、 お茶を呑むように、コーヒーをすすって、 「危うくひとひとり殺すところじゃったな。 不幸中の幸いじゃなー。 武士には、常在戦場の心構えがいるぞ。 最近のクルマは、楽チンになり過ぎたな」 オトーサン、 「...そうかも、しれませんねえ」 柏庵、 「ところで、中村カンクローを知っておるか?」 「缶苦労?」 「知らんのか」 「はあ、その方面は、まったく暗いので..」
中村勘九郎(なかむら かんくろう) 1959年 歌舞伎座において「昔噺桃太郎」で初舞台 1987年 芸術祭賞:「鏡獅子」 都民文化栄誉賞受賞:「鏡獅子」「髪結新三」 1995年 読売演劇大賞受賞:「寺子屋」「四谷怪談.」 1998年 真山青果賞受賞:「荒川の佐吉」 1999年 日本芸術院賞 受賞 2000年 浅草芸能大賞 大賞受賞 2001年 スポニチ文化芸術大賞 グランプリ受賞 2002年 第1回 朝日舞台芸術賞グランプリ受賞:「野田版研辰の討たれ」 第39回ゴールデン・アロー賞 演劇賞・グランプリ受賞 第23回松尾芸能賞 大賞受賞 その他、 NHK「武田信玄」「元禄繚乱」「紅白歌合戦」の司会 黄桜CM「山廃」 柏庵、 「野田版・研辰の討たれは、よかったのう」 オトーサン、 「?」 柏庵、 「あれは、後世に残る名芝居じゃった。 連日、満員御礼でな。 チケットが手に入らず、困ったもんじゃ」 「どういう芝居なんですか?」 「話せば長うなるが、いいかな?」 「はい、しばらくの間、お話をうかがいましょう」 そのうち、動悸も静まって、運転できるようになるでしょう。 柏庵の話は、小1時間に及んだので、 簡潔にまとめてみましよう。 粟津城内の道場。 赤穂義士の討ち入りの話でもちきり。 そのなかに、辰次(中村勘九郎)がいる。 辰次は、町人で研屋だったが、 家老の刀を研いだのが縁で、 侍になったものの、仲間はずれ。 赤穂の討ち入りを非難し、座が白ける。 また、奥方に皆のいじめを告げ口する始末。 家老の剣術指南では、散々に打たれる。 研辰は、家老に恥をかかせてやろうとする。 ひょんなことで、家老を殺してしまう。 折からの仇討ちブーム。 家老の息子2人は、辰次の仇討ちの旅に出る。 研辰ときたら、逃げる一方。 だが、ついにつかまってしまう... 柏庵、 「この辰次、 臆病で、ずる賢しいくせに、愛嬌があってのー。 中村勘九郎の熱演ぶりに、場内は笑いが絶えなんだ。 じゃが、このシーンになると、 水を打ったように静かになった。 いま思い返しても、名場面じゃったなー」
生きてえなァ生きてえなァ。 散るのは春の盛りの花ばかりじゃねえや、 枯れた落ち葉もこれが終わりと、 おのれの終わりと知りながら散っていきます散りまする。 生きて生きて、まあどう生きたかはともくも、 それでも生きた緑の葉っぱが、枯れて真っ赤な紅葉に変わり、 あの樹の上から、このどうということのない地面までの、 その僅かな旅路を、潔くもなく散っていく、 まだまだ生きてえ、死にたくねえ、生きてえ、生きてえ、 散りたくねえ、と思って散った紅葉の方がどれだけ多くござんしょ。 (野田版「研辰の討たれ」 辰次のせりふ) オトーサン、 さっきの年寄りが辰次に重なってきて、顔面蒼白。 柏庵、 「どうした。武士が人を殺さずしてどうする!」 「....」 2003年交通事故死者数 @北海道 391 A埼 玉 369 B愛 知 362 C千 葉 358 D東 京 320 計 7702
48 ♪真綿色した...
オトーサン、 朝一番に奥方が声をかけられました。 「ジョイフルホンダに行くのなら、 つきあってもいいわよ」 読者のみなさん、 これって、命令形なのです。 オトーサン、 昨日の今日ですから、 ほんとは行きたくなかったのですが、 命令とあれば、仕方ありません。 「ああ、分かった」 短く答えました。 トイレットペーパーロール(16ケ入り)、 10kgのオコメ1袋 2リッターのペットボトル数本 それに安ければ、食料品も買い込むことになるでしょう。 相当な分量になりそうです。 オトーサン、 ティーダのトランク拡張工事にかかりました。 工事といってもチョー簡単。 リアゲートを開けて、中央の取っ手を押し込むだけ。 右下の写真のように、帽子ひとつ分、奥行きが広くなりました。 食料品で汚れるかもしれないので、 フロアボードは裏返して耐水性のあるほうにしました。
オトーサン、 昨日の356号線は敬遠しました。 国道16号に出て、白井の先を左折して464号線へ。 この464号線、北総公団線沿いの片側2車線の直線道路。 掘割を走る電車を見下ろしながら、 広大な千葉ニュータウンのなかを走っていくのです。 舗装もいいし、信号も少ないので、順調に流れています。 有料道路にしてもいいくらい。 天気もいいし、奥方も満足そう。 オトーサン、 「あれだな」 印西牧の原駅に近づくと、 左手に低層の黒い建物の連なりがみえてきました。 「はは、だんだん、値段が安くなってくるなあ」 レギュラー113円のスタンドがみえます。 「ジョイフルホンダは、いくらかなぁ?」 その楽しみにしていたお値段は、 100円を割って、95円! セルフですが、 すごくトクしたような気分になりました。 オトーサンたち、 2時間ほど買い物に費やしました。 奥方は、やはり予想通りの品物を買いました。 トランクには楽々収納できました。 「へぇ、案外、広いのね」 おほめの言葉もいただきましたよ。 オトーサン、 「やれやれ」 買い物につきあうのは、疲れるものです。 奥方、 うれしそうに、 「ガーデンセンターに寄ってみましょうよ」 「...」 沈黙の意味は、 奥方が無類の花や植木好きなので、 滞在時間が長引くことが予想されたからです。 オトーサン、 奥方が、いつまでも植木を見て歩いているので、 暖かい屋内ガーデン・センターへ避難しました。 「...もうクリスマス・シーズンなんだ」 真っ赤なポインセチアや 色とりどりのシクラメンが売り出されています。 「きれいだなー」 お値段も300円ぐらいのものから 贈答用の8000円近いものまで。 色も、白、紅色、紫色とさまざまです。 ここでは、一番高いシクラメンをご紹介しましょう。
シクラメンといえば、布施明さんですよね。 ♪真綿色した シクラメンほど 清しいものはない 出逢いの時の 君のようです ためらいがちに かけた言葉に 驚いたように ふりむく君に 季節が頬をそめて 過ぎてゆきました (シクラメンのかほり 作詞・作曲:小椋佳)
オトーサン、 この歌を聞くと、 どうしても大阪万博を思い出してしまいます。 1970年開催ですから、34年も前のこと。 オトーサン31歳、奥方は27歳。 娘よりも若かったのです。 大阪万博、日本ではじめて開催された万国博覧会。 日本中の話題をさらいました。 入場者数、なんと6,422万人。 オトーサン、 その後、沖縄海洋博(349万人) 筑波科学博(2033万人)、 花博(2312万人) と行きましたが、みんな2番煎じの感じでした。 「愛・地球博? まだやるのー?」 もう白けきっています。 勤め先の大学を辞めたのも、 大規模工事がはじまって、 通勤路の交通渋滞がひどくなったため。 そう言ってもいくらいです。 オトーサン 大阪万博だけは、好印象をもっています。 「何もかもが眩しかったあの頃」 そんな題名のサイトもありますが、同感です。 人生は、真綿色だったのです。 日本も...すがすがしかったのです。 そして、布施明さん。 この貴公子のデビューも、 眩しかったことを覚えています。 いまでいえば、ヨン様でしょうなー。 「布施明さん、外人女性と結婚するんだって? 誰、お相手は?」 「ハッセイよ」 「発生?」 「資生堂の口紅のコマーシャルで、 布施さんと共演していたでしょう」 いま思うと、奥方は、その頃から、 芸能界の事情を研究しはじめたのですなー。 もう30年以上、年季が入っているはずだわ。 「あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜君は〜薔薇色ぉ〜〜〜っ♪」 2人の仲むつまじさに、あこがれたものです。 オトーサン、 布施明さんの歌が流行していた頃、 内輪の会合で、堺屋太一さんにお会いしました。 大阪万博をプロデュースされた体験談を伺ったのです。 堺屋さん、当時は、通商産業省のお役人でした。 万博事務局に出向して、獅子奮迅の奮闘をされたのです。 その後の目覚ましい活躍は、ご存知のとおり。 「団塊の世代」という言葉を発明したのも、堺屋さん。 小説に手を染めれば、 「峠の群像」や「豊臣秀長」がNHKの大河ドラマに。 そして、極めつけが経済企画庁の長官就任。 オトーサン、 その堺屋太一さんが、 開催を危ばれた愛・地球博の プロデューサーになったと聞いて、 大いに期待しました。 ところが、 大姑小姑入り乱れて、堺屋さんの足を引っ張ること。 そして...あえなく辞任。 「こりゃ、アカンワー」 とても寂しい気持ちになりました。 寂しいといえば、 布施明さんの離婚もそうでした。 オリビア・ハッセイさん、 別れ話で、親しいひとにこう言ったとか。 「なあに、うちの人の好くのは、 ここ(顔)でのうて、ここ(胸)でござんす」 夏祭浪速鑑・お辰のせりふ オトーサン、 しみじみ、述懐いたします。 「この30年は、幻滅の30年だったなあ。 日本にとっても、オレたち夫婦にとっても」 ♪うす紫の シクラメンほど 淋しいものはない 後ろ姿の 君のようです 暮れ惑う街の 別れ道には シクラメンのかほり むなしくゆれて 季節が知らん顔して 過ぎてゆきました 疲れを知らない子供のように 時が二人を追い越してゆく 呼び戻すことができるなら 僕は何を惜しむだろう オトーサン、 ようやく戻ってきた奥方の命令に従って、 ティーダのトランクに植木や花を運び入れました。 帰路、三河ナンバーの白いカローラを発見。 「こんなところでお目にかかるとは。なつかしいなぁ」 そう思いかけて、その乱暴な走り方に気づきました。 いわゆる「名古屋走り」というヤツ。 「赤信号でも止まらない」 「ウインカーを出さずに車線変更する」 周囲の迷惑なんて、なーんも考えていないのです。 自分さえよければいいという不埒な態度。 オトーサン、 あんな連中を野放しにして、愛・地球博かー。 お膝元の愛知県での事故の死者、この10年間で5000人かー。 それにしても、危ないなあ」 名古屋だと、みんなが無法運転に慣れていますから、 それなりに安全なのですが、ここは千葉。 「あっ、ぶつかった!」 ちょっとした接触事故ですんだようですが、 事故は事故で、また渋滞。 オトーサン、 帰宅して、 気になっていたデータをチェックしました。 「事故を起こしたとしても、 ドライバーの命を守ってくれる車に乗りたい」 それは、誰しもの願いですよね。 それを教えてくれるデータがあるのです。 「自動車アセスメント」、あるいは、 JNCAP(Japan New Car Assessment Program)というもの。 オトーサン、 ライバル車も含めたデータをまとめてみました。 ティ−ダは、発売されたばかりなので、 まだ測定結果は出ていませんが、マーチ以上でしょう。 というのは、衝突安全性については、 トンネルステーを2本追加、板厚を増やし、 補強材を加えてボディ剛性を高めていますし、 ブレーキについては、 マーチよりも、ディスク径を大きく厚くし、 大型ハイミューパッドを使っています。 総合評価の得点率 時速100kmでの制動距離 運転席 助手席 乾燥した路面 濡れた路面 マーチ 85.3% 88.0% 44.9m 54.4m フィット 76.7 88.0 45.4 51.6 イスト 92.3 87.0 46.3 51.9 デミオ 79.0 87.4 43.5 47.7 カローラ 86.0 86.8 - - 注1:総合評価の得点率 運転席:正面衝突+前面一部衝突+側面衝突 助手席:正面衝突+側面衝突 注2 正面衝突は時速55kmで壁に衝突させる 一部前面衝突は、運転席側の10分の4を時速64kmで壁に衝突させる。 側面衝突は、運転席側の側面に950kgの台車を時速55kmで衝突させる。 出所:国土交通省と独立行政法人・自動車事故対策機構が 任意に測定車種をきめ、毎年春に公表 オトーサン、 「ティーダは、トップクラスのようだ。安心した」 ところで...、 最量販車カローラの制動距離が不明とは何たることでしょう。 自社に不利だから隠したのか? 国土交通省とその関連団体が圧力に屈したのか? 衝突実験でも、 日産の成績がいいので、トヨタがネジこんでいるとか。 いずれにせよ、トップメーカーとしては、さびしい話です。 でも、オトーサンが買ったのは、 幸いなことに、日産ティーダ。 不祥事とは無縁です。 万一の事故のときの心配も少なく、 安心して乗っておられるじゃ、あーりませんか。 久しぶりに鼻歌が出ました。 この日は、日産の株価が、2円上ったのです。 ♪黄金色した ティ−ダ姫ほど まぶしいものはない 恋する時の 君のようです 木もれ陽あびた 君を抱けば 淋しささえも おきざりにして 愛がいつのまにか歩き始めました ティーダ姫とならば、真綿色の人生を取りもどせそうです。
49 とちおとめ
オトーサン、 「うまいな、久しぶりだ」 ジョイフルホンダで奥方が買ってきた イチゴを食しております。 1パック 398円。 最安値のものを選んだにしては、まあまあの味。 品種は、とちおとめ。 イチゴといえば、 「東の女峰、西のとよのか」の独壇場。 そこへ割り込んだのが、このとちおとめ。 「久留米49号」に「栃の峰」を交配したもの。 長所は、促成栽培ができ、味もまあまあなこと。 1996年11月21日に、栃木博美さんら4人が登録。 登録の有効期限は、2011年までの15年間とか。 奥方、 「食べないの? あなたの分、残ってるわよ」 「もういいや」 「そう、じゃ、いただくわ」 あまり食指が動かぬ理由については、 あとで触れることにして... オトーサン、 栃木県人といえば、 思い出すのは、同期入社のTくん。 独身寮の6畳間に、一時期同居しました。 夜遊びもしましたっけ。 まわりは、田圃。 真っ暗闇を夜遅く帰ってきて、 田圃に落ちて、ようやく寮にたどりつくと、 蛍光灯が故障していて、 「・ヨタ自動車販売○○寮」 えらい会社に入ってしまったなぁ。 都落ちしないで、日産に入っとけばよかったなー。 そう言い合ったもの。 さて、 この栃木県、 日産最大の工場・栃木工場のある場所。 宇都宮上三川インターのすぐそば。 長さ4km、幅1kmの工場敷地には、 テストコースがあります。 この工場、 プレジデント、シーマ、スカイライン、 最近では、フェアレディZも生産しております。 ティーダは、追浜工場で生産していますが、 このテストコ−スで誕生したのです。 オトーサン、 クルマは、グローバルのように見えますが、 その実、ローカルなものと思っております。 ティーダも、近いうちに中国で生産されるそうですが、 いまは、純然たる日本車、栃木生まれ。 トヨタ車が、名古屋走りで鍛えられたのなら、 日産車も、栃木という土地で鍛えられたに違いない。 しからば、 「栃木式運転とは何か?」 その問いが、長らく胸中をかけめぐっておりました。 今朝ついに、そのヒ・ミ・ツを発見いたしました。 ずばり、そのものの答えがサイトにあったのです。 しかも、名文であります。 この際、著作権なるものを無視して、 全文掲載してしまいましょう。 ・栃木の県民性を表した言葉に 「隣の家に蔵がたつ、自分の家には腹がたつ」 というのがあります。 ここの運転マナーは驚異ですよ!! それが県民の総意です。(爆) 1.信号にて・・・ 停止線を越えて横断歩道上に停車しても平気です。 黄色信号で止まる車はいません。パトカーもイッショです。 2.カーブ センターラインなど気にしていません。 はみ出しオヤジには注意してね! 3.右折、左折するとき・・・ 左折する車は右にふくらみます。 右折する車は斜めにいきなり曲ります。 ウィンカーは停止線を越えたら出します。 4.駐停車では・・・ 急にノロノロ運転になって突然止まったりする。 このへんは茨城と一緒ですね。 止まった車には要注意ですよ! 突然ドアが開きます。 当人は何とも思っていません。 5.ライト点灯 栃木のベテランドライバーは暗くても走れます。 軽トラックにはライトがついていません。(笑) 6.命懸け 一台追越しするためなら死んでもいいと思っています。 こんな人たちにかなうはずもありません。 張り合うのはやめましょう! 7.スピード 60キロ・・・遅せーよ! 80キロ・・・普通かな・・・ 120キロ・・・いいじゃん! 栃木の人は田んぼ道が大好きです。 オトーサン、 「そうだったんだ」 日産車が安全である理由がよく分かりました。 こんなメチャメチャな土地で生まれたのですから、 安全に決まっています。 「昨年の交通事故の死者は何人かな?」 調べてみたら、昨年は194名でした。 読者のみなさん 「愛知の362名より少ないじゃないか。 まあ、人口が少ないからなー」 でも、人口よりも自動車数で比較すべきでしょう。 オトーサン、 都道府県別の自動車保有台数(H16/7)をチェック。 保有台数(A) 死者数(B) 事故率 栃木県 1151794 194 0.000168 愛知県 3648429 362 0.000099 オトーサン、 「やっぱりなー。 断然、事故率は、栃木のほうが高いや。 栃木県人って、なんでこう好戦的なんだろう?」 ここで柏庵登場。 「足利尊氏を知っとるか? ありゃ、もとをたとれば源氏じゃ。 平家を武力で滅した。強かったのう」 オト−サン、 「えっ?」
足利尊氏(1305〜1358) 室町幕府初代将軍。 元弘の乱のさい鎌倉幕府の命で上京したが、 途中、後醍醐天皇の綸旨を受けて 六波羅探題を滅ぼし、建武親政の契機をつくった。 のちに新政府と対立、光明天皇を擁立。 暦応元年、征夷大将軍に任ぜられ、室町幕府を開く。 柏庵 「足利尊氏の系譜は、こうなとるんじゃ。 源義国―足利義康―義兼―義氏―泰氏―頼氏―家時―貞氏―尊氏とな」 オトーサン、 「すごい、記憶力ですねえ」 「義政に東山殿に招待されたからな。 覚えざるをえなかった」 「その東山殿っていうのは?」 「最近の若いもんは、何も知らんのう。 慈照寺銀閣じゃよ」 「あの銀閣寺ですか?あのワビサビの?」 「そうじゃ、義政が八代将軍を退いて造った山荘じゃ。 自分が設計したと、鼻高々だった。 じゃが、武家が趣味人になったら、お終いじゃなー」
足利義政(1436〜1490) 室町幕府8代将軍。 銀閣寺の造営費用が莫大で、 室町幕府の衰微を招くこととなった。 後継者をめぐって応仁の乱が起きた。 オトーサン、 柏庵の説明で、何となく、 栃木県人が好戦的であるルーツが分かりました。 柏庵 「家康の遺訓を知っとるか? 「はい、日光の東照宮にあるものですね。 人の一生は重い荷物を背負ってとか」 「そうじゃ、家康は、わしゃ、もう戦争には飽いた。 これからは平和が一番と言ったんじゃが、 栃木県人には、効き目がなかったとみえる」
日光東照宮(1617) 徳川家康公の霊廟。 戦国時代の終結を祈念して創建される。 1613年、2代目将軍秀忠の相談役・天海が 日光山輪王寺の貫主となった関係で、 この地が選ばれた。 後に、三代将軍家光公により、 現在の絢爛豪華な社殿に生まれ変わった。 一流建築家や美術工芸師らが全国から集った大事業は 期間1年5カ月、延べ450万人の人間が携わったとされる。 建物は神仏双方の様式が溶け合った独特の美しさがあり、 有名な「陽明門」をはじめ、 建築物はすべて国宝、重要文化財に指定されている。 また、平成11年12月には、日光東照宮をはじめ、 「日光の社寺」が世界遺産として登録された。 オトーサン、 いろは坂の上りで、 追い越しに成功したことを思いだしました。 「何をノロノロ走っとる。抜いたれ!」 いま思えば、御遺訓に背いておったですなー。 「怒りは敵と思え」 「己を責めて、他人を責めるなかれ」 オトーサン、 「お祭り、楽しかったなあ」 運のいいことに、日光の夏の風物詩 「日光和楽踊り」が、たけなわでした。
まあ、平たく言えば、盆踊りなのですが、 大正天皇が、日光電気精銅所をご覧になり、 その後の祝賀の席で、歌い踊られたものとか。 そこで、天皇に敬意を表して「和楽踊り」としたわけ。 でも、もともとは、猥歌。 どんどん、エッチになっていくのです。 ♪ハァーーーーーァーーー ハァーーーーーァ エーー 丹勢山から 精鋼所を見れば 銅積む電車が 出入りする 日光街道を シャンシャン鈴音 馬子は嫁頃 紅緒笠 汽笛鳴るのに 隣じゃ起きぬ 起きぬはずだよ 新所帯 オトーサン、 「まあ、しょうがないわなー。 工員にとっては、猥談は生きる糧みたいなもの。 そういえば...」 ・ヨタ自販に入社したての頃。 当時の本社は、名古屋駅のそば、 泥江町(ひじえちょう)にありました。 パチンコ屋、市場、風俗店の並ぶ界隈。 残業すると、風俗のビラ配りに出会います。 オトーサン、 ひまにまかせて、ビラのコレクションを開始。 それを冷ややかに見ていたTくん、 ある日、真剣な顔をして、こう言いました。 「一度、駅裏の中村遊郭に行ってみないか?」 公衆電話で待つことしばらく。 けわしい顔をしたおじさんが、やってきます。 「乗ってください、ご案内します」 オトーサン、Tくんと顔を見合わせます。 「おい、これ、キャデラックじゃないか」 「超高級車だな...カネ持ってるか?」 「ああ、でも...ちょっと足りなくなるかも」 出鼻をくじかれました。 中村遊郭で有名な「四海波」に到着。 ドキドキしながら待っていると、 ジャ−ン、ドラが鳴って、 お相手の女性が登場。 「おお」 ひとりは、背こそ低いが美人。 もうひとりは、女相撲。 「お客さん、ようこそ。さ、さ、お風呂へ」 オトーサン、 身の不運を嘆きながら、 その女相撲に背中を流してもらいましたよー。 「お国はどこ?」 「東京だよ」 「そう、あたし、栃木」 となりで聞いていたTくん、 言わなきゃいいのに、 「オレもだ」 「そうなのー、じゃ、お風呂から上ったら. あたしと踊ってね」 読者のみなさん、 「そ、そ、それで、そのあと、どーなった?」 オトーサン、 美人のほうといい気持ちで踊っていたら、 Tくん、 「帰ろうや」 いくら、とちおとめとはいえ、女相撲じゃねー。 ヤル気が失せたのでしょう。 何しに行ったんだか。 オト−サン、 そんなことで、 とちおとめには、いまいち食指が動かないのです。 でも、日産のテストドライバーさんたちは、違うのでしょうなー。 何でも動くものは、試してみなきゃ。 ヤル気まんまんなのでしょうねー。 ティーダの出来栄えを思うと。 ♪ハァーーーーーァーーー ハァーーーーーァ エーー
50 白鷺伝説
オトーサン、 「やぁー、スゴイ風だったな」 庭に出ると、風はあるものの、晴れ間も見えます。 倒れた植木鉢を立てなおし、落ち葉を掃除しました。 「もう9時か。雲ひとつなくなったなぁ」 21世紀の森へバードウォッチングに出かけました。 冬になっていないので、 水鳥の数は少ないのですが、 少しずつ名前を覚えていくには、 このほうが好都合です。 オトーサン 千駄堀池に出て、水鳥を眺めます。 望遠カメラで撮影している若いひとがいたので、 質問しました。 「あのトリ、何という名前ですか?」 「オオオヨシガモではないですか」 「あー、あれが、オオヨシガモですか」 「カモの名前、だいぶ覚えたなー」 カルガモ、マガモ、アイガモ、 オヤガモ、コガモ、ウエガモ、シモガモ、 フェラガモ、ソウカモ、そうじゃないかも,,,
オトーサン、 アウトドアセンターへ。 1kmくらい木漏れ日の林間を歩いたでしょうか、 煙が立って、若いひとの声が聞こえてきました。 「焼肉パーティか。楽しそうだなあ」 ここから駐車場には行けそうもないので、 千駄堀池へ引きかえしました。 「暑いなあ」 セーターを脱ぎ、Yシャツの袖もまくり上げました。 汗をかいたので、ひと風呂浴びたいくらい。 池に面したレストランで早目の昼食。 双眼鏡で水鳥を確認します。 「これは、オオバンだ」 頭に白いガム状のものが張りついています。
オトーサン、 「どこか、寝そべるところないかなー」 お腹は、いっぱいになったし、 夜来の風音で、寝不足気味でもあります。 「ここがよさそうだ」 池に張り出した桟橋の先にあずまやがあって、 幸い誰もいません。 鞄を枕代わりにしてベンチに寝ころびました。 足先だけに陽があたっています。 このバカ陽気ですから、寒くありません。 「気持ちいいなぁ」 いつの間にか、眠りに引きづりこまれました。 オトーサン、 夢の中で、奥深い山里におりました。 「お」 シラサギが舞い降りてきて、 オトーサンに擦り寄ってくるのです。 見ると、脚が傷ついております。 「可哀想に」 幸いオロナインCをもっていたので、 塗りつけてあげました。 「ありがとう」 シラサギは、そう言って、 空へ舞い上っていきました。 そんなことが何日か続いたある日のこと。 「あたしの後をついてきて」 オトーサン、 シラサギが、ゆっくりと山を越えて飛んでいくので、 その後を追っていきました。 「おー」 シラサギが、舞い降りたところに、 それはそれは大きな岩がありました。 大岩の割れ目から、お湯がこんこんと湧き出ていました。 シラサギは、その湯に、傷ついた足をひたして、 「気持ちいいお湯ですわ、どうぞ、ご一緒に」 入浴をすすめてくれるのです。 シラサギとオトーサンの そんな幸せな日々が続きました。 ある日、シラサギが悲しそうに切り出しました。 「おかげさまで、脚の傷も治ったわ。 北国へ飛び立とうと思います」 「残念だなぁ」 シラサギ、悲しそうな目で、 オトーサンをじっとみつめ...、 その手をにぎりしめ... 「お礼にといっても何ですけど、 あたしのことを時々は思い出して頂きたくて... あたしの羽で編んだダウンジャケットをどうぞ。 でも、ほんとは、ユニクロので申しわけありません」 オトーサン、 「なんで、こんないいシーンだというのに、 ユニクロなんか出てくるんだ!」 そう思った途端、目が覚めてしまいました。 「あーあ、いいところだったのに」 馬鹿だねえ。ほんとに。 でも、 「オ−ッ」 正夢とは、このことか。 近くの枝に、 シロサギがとまっているじゃあーりませんか。
オトーサン、 「不思議なこともあるもんだなぁ」 そこへ柏庵登場。 「お前の話は、道後温泉の白鷺伝説と似とる。 行ったことあるのか?」 「ええ、新婚旅行で、初夜を過ごしました」 「ほー、昔のいい思い出がよみがえったんじゃろう。 白鷺伝説といえば、下呂温泉のも有名じゃな」 読者のみなさん、 せっかく話が、初夜のいいところになりかけたのに、 ゴメンナサイ。 柏庵がいけないのです。 柏庵、 「下呂温泉の話は、文永2年じゃな。 薬師如来が傷ついた白鷺に姿を変えて、 飛騨川で傷を癒し、 源泉のありかを村人に知らせたと伝えられておる。 まあPRじゃな。源泉かけ流しも怪しい」 オトーサン、 全国各地で温泉の虚偽表示発覚事件があったのを思い出しまたよ−。 当時、川柳をいくつも読んだものです。 ・源泉と 思えし頃は いい時代 ・虚偽暴露 次はウチかと 旅館主 ・いまはどこ 温泉教授 顔みせず ・よかったね わかし湯でなく 温泉で ・湯の素を 入れて名乗れり 草津の湯 ・温泉と 呼ぶから世の中 角が立つ ・温水と 呼べば世の中 丸くなる ・温泉の ほかにもあるぞ 疑惑なら ・タレ流し お上にすれば かけ流し ・温泉の 噂に暮れる 平和な日 オトーサン、 そういえば、ある噂を思い出しました。 あの奇妙な含み笑いをするアナウンサーの鈴木史郎さん。 高田浩吉の「白鷺三味線」の唄が上手いとか。 ♪しらーさぎは 小首かしげて 水の中 お前と私は ええ それそれ そじゃないか ああ ピーチク パーチク ふかーいなーーか 史郎さん、 白鷺のように小首をかしげながら、 はりのある高い声で唄うのです。 頭にちょんとハンカチをのっけて 首をふりふり 「しらー さーぎは」 柏庵、 「わしが好きなのは、玉三郎の鷺姫じゃな。 あの1本足で、ツツと歩くところが、 なんとも、えーのう」
鷺娘(さぎむすめ) 長唄舞踊の名作、 幕が開くと雪景色の中に 白無垢姿の娘と化した白鷺が現れる。 静かな踊りで、「鷺足」とよばれる 片足を上げて鷺の足をまねる振り。 そして、ガラリと変わって、 衣裳を引抜くや、町娘に。 華やかな踊りで、小道具の傘に隠れての引抜が続く。 最後は、白鷺の羽根の模様が縫い取られた衣裳にぶっ返り。 髪を振り乱して、地獄の責めの踊りになります。 ここは、長唄も踊りもテンポが速く、見応えがある。 女方の舞踊の見どころが詰まっている作品である。 オトーサン、 やることが溜まっているし、 この馬鹿陽気で汗も流したいので バードウォッチングを切りあげ、帰宅することに。 でも、途中で、思いいたりました。 「姫をお風呂に入れてあげなくては」 もう買って1ケ月過ぎましたが、一度も洗車していません。 塗装がいいので、汚れが目立たないのです。 洗車機にかけると、オニューのボディに傷がつきますし その点、手洗い洗車は、いいのですが、 赤の他人に姫のボディを触らせたくありません。 ふと、思い出して、 自宅から3Kmほどの名戸ケ谷洗車センターへ。
オトーサン、 「姫、申しわけございませんでした」 ティーダ姫、 「そこもとも、忙しかったんじゃろう」 「はーっ、忝いお言葉」 上のものは、こうではなくてはなりませんなあー。 そうでないと、ひとの心はさかさまに働きます。 ・「早くやれ」そう言うことは早く言え 新舞え オトーサン、 この洗車機はじめてなので、説明をじっくり読みます。 「600円で6分間か。 水ー温水ーシャンプ液ー水ー温水と切り替わるのか」 高圧ホースを持って、スタートボタンを押しました。 「お、お、おっ」 その昔、消防訓練でホースを持たされて、 すさまじい水圧で後ろにのけぞりました。 その小型版。 みるみるうちに、ボディが濡れていきます。 ティーダ姫、 「ああ、気持ちいい」 「そこそこ、もっと」 「あーん」 初夜のときの奥方もそうでしたが、 姫は、何といっても奥ゆかしい方ですから、 そんなハシタナイ嬌声など立てません。 でも、身のよじり方で、分かるのです。 「いいわぁ...あー」 とくに、サイドブラインドモニターのカメラ部分、 バックモニターのカメラ部分の反応がすごいようです。 女体であるならば、 前者は乳首、 後者は尻の穴に相当するものと思料されます。 オトーサン、 白鷺のように、1本足がピンと立ってきましたよー。 「はいはい、お尻のほうも、きちんと洗いますから」 そのとき、ハッと気づきました。 ホースが届かないのです。 もうすこし前方に駐車すべきでした。 柏庵、 「とんだ詐欺じゃな」
51 あかん
オトーサン、 その日の朝一番の発声は、 「あかん」 TVをつけると、巨人・堀内監督の声。 熱海のホテルで開かれた球団OB会に出席していて、 清原選手との確執の一件を記者に聞かれて、 こう答えていました。 「会う予定はありません。 まだ会ってません。時間がありません」 オトーサン、 「時間がない? そんなけったいな話があるか!」 その一方で、こうも言っているのです。 「清水とは話をした」 一塁に清水をコンバートして、 清原のポジションを取り上げたいようなのです。 「まんま。悪太郎やなぁ」 56歳にもなったのに、まったく成長の跡がみえません。 あれだけの戦力を与えられながら優勝も逃した監督なら、 以下の中国の格言をかみしめるべきでしょう。 ・これ賢これ徳、能く人を服す これは「三国志」に出てくる劉備のことばです。 死を前にして、息子の劉禅にあてた遺書のなかにあります。 つまり、賢(聡明さ)と徳(人間的魅力)がなければ、 人の上に立てないと教えているのです。 人間的魅力とは、謙虚さ、信頼、思いやりといってもいいでしよう。 「たかが選手」というナベツネ発言にみるように ひとをひととして、遇しているようには思えませんなー。 「あほちゃいまんねん」 オトーサン、 「あかん」 この日、2番目のあかんです。 11月の新車販売台数をみたときでした。 ・トヨタ「カローラ」が2カ月連続首位 自販連の発表によると、 トヨタのカローラが2カ月連続で首位の座を保った。 累計でもフィットに2万6000台の差をつけており、 2年連続の年間首位は確実。 上位10車種のうちトヨタが7車種、 日産自動車が2車種、ホンダが1車種。 日産は、9月発売のティーダが2カ月連続で 1万台以上売れたものの、 カローラ、フィットの牙城じょうを崩すには至らなかった。 1 カローラ 14,701 トヨタ 2 フィット 12,195 ホンダ 3 ティーダ 10,947 日産 4 パッソ 9,258 トヨタ 5 クラウン 8,647 トヨタ 6 ウィッシュ 8,534 トヨタ 7 アイシス 7,986 トヨタ 8 ノア 7,959 トヨタ 9 ポルテ 7,950 トヨタ 10 キューブ 7,562 日産 オトーサン、 「もっと伸びると思ったのになー」 最低でも、ティーダが1万台、ラティオ3000台 合計13,000台はいくと踏んでいたのですが... 「鋼材不足が響いたか」 このところ、日本の鉄鋼業界は、 米国向け輸出に中国向けも加わって、品不足。 ゴーンさんが、リストラで仕入れ先を絞りこんだのが 裏目に出て、5日も工場のラインが停止したのです。 オトーサン、 「あかん」 これが、今日、3番目のあかんです。 例によって、娘、そして奥方も乗り込んで駅へ。 途中、カタコトと異音が出はじめたのです。 まず、助手席の奥方に聞きます。 「グローブ・ボックスから音がしないか?」 「しないわよ」 「そうか、双眼鏡が当たっているのかと思ったけど、 ちがうみたいだなあ」 娘に聞きます。 「そっちは、どうだ?」 「音がするわよ」 「ゴミ箱をシートに乗せてくれるか?」 ゴミ箱のなかに例の電源ソケットを入れているので、 それが当たって音が出ているのかも。 でも、ちがいました。 「まだ音がしているわ、半ドアじゃないの?」 走行中ですが、バタンと閉め直してくれました。 「変だなあ、すると、あとはテールゲートか」 交差点で止まってる間に、降りて閉め直しました。 「まだ、出ているなぁ」 オトーサン、 今日は、WJくんからの連絡を受けて 1ケ月点検に行く日なのです。 「どのくらい時間がかかるの?」 「そうですねえ、40分くらいでしょうか」 待ち時間をつぶすために、 コンビニで「ラフェスタのすべて」を買いました。 買うつもりはなかったのですが、 前にお世話になった 下條浩さんの顔写真が掲載されていたので。 「ふーん、マーケティング・ディレクターなんだ。 エライんだ」 「ラフェスタの売りパノラミック・ルーフは、彼の発案か」 「ライバルと同等価格で、青空まで標準装備。 モーターフアン誌も、シャレたこと言うじゃん。 これって、宣伝文句に使えるかも」 試乗車があれば、チェックしてみましょう。 オトーサン、 約束の10時に15分遅れで営業所に到着。 WJくんは、電話中。 工場長さんが相手をしてくれました。 「妙なことを伺いますが、 1ケ月点検って、必要なのですか?」 「そうですね、 昔は、ミッションオイルにバリがとれて、 汚れたもんですが、最近は、そんなこともないし」 「じゃ、やめて、6ケ月点検だけにしたら?」 「でも、営業のほうが必要なようですよ」 「ところで、工場長さん、 私のティーダ、異音が出るので見てもらえますか?」 「また、ですか?」 「半月前に出た異音は、 右のリアドアの取付部に グリースを塗ってもらったら、消えたけれど。 今回は、どうもテールゲート付近で異音がする」 「そうですか...」 「前に点検受けたティ−ダありますか?」 「はい、気の早いお客様が先日こられました」 「何かトラブルは?」 「いいえ、まったく」 「それじゃ、私のクルマだけか」 オトーサン、 WJくんは、電話が終わるとエルグランドの商談へ。 「ラフェスタでもみるか」 屋外展示場に置いてありました。 ドアが空いているので乗りこみました。 スライドドアを開けて、リアシートにも座ってみます。 3列シートも、倒してみました。 ご自慢のパノラミック・ルーフもみました。 オトーサン、 「こりゃ、あかん」 今日、4度目のあかんです。 「ミニバンのガマングルマだなー」 ミニバンを買う人って、 大きなもの、豪華なものをイメージするじゃないですか。 ところが、このラフェスタ、 運転席に座るみると、 シートがティーダより小さいし、圧迫感があります。 スライドドアも「よっこらしょ」と力を入れないと開かないし。 3列シ−トは、当然のことながら、貧相。 デザインも、いまいち。 「まあ、性能はいいらしいが...」 どうも素人が頭でひねりだしたもののように思えます。 「前モデルのリバティのほうが立派だ」 これでは、代替需要も見込めないでしょう。 オトーサン、 ようやく手が空いたWJくんと雑談。 「先月、何台売った?」 「11月は、8台ですね。うちティーダが2台」 「10月は、たしか7台で、ティーダは3台だったね。 ラティオはどうなの?」 「さっぱり売れません」 「そうだろうなー。ふつうのセダンだもんな」 「その5台のティ−ダの色は?」 「ウォームシルバーが3台、 ダイヤモンドシルバーが1台、 クリスタルブルーが1台ですね。 クリスタルブルーは、若いひとが買いました」 「どんなクルマから買い換えているの?」 「ほとんどサニーですね」 「ダメじゃん。管理ユ−ザーばかり相手にしていては」 「正直言って、650人もいると手一杯ですよ」 「カローラ、また1位だけれど、どうして勝てないんだろうね?」 「やはり、ユーザーの数がちがいますよ」 「そうだろうなあ。ベストセラー続きだもんなあ」 「それに、サニーのお客さんも、 ティーダやラティオに名前が変わって抵抗があるみたいです。 「...そういえば、ラティオのCMやってたけど、 ありぁ、カネをドブに捨てるみたいなもんだねー。 誰も買わないクルマを宣伝してどうするんだろうねー。 ティーダの第2弾、第3段のCMをやるべきなのになあ。 ロングセラーをめざして」 オトーサン、 「ところで、あのラフェスタどうだった?」 「失敗作ですね、発表会に誰も来なかったもの」 「そうだろうなー、中途半端だよ」 「発売時期も他社よりずっと遅れたし... 2列シート車を出せば、売れるのでしょうが。 でも、ノートはよさそうなので、楽しみにしています」 「へぇ、ノート、来年早々だっけ。 そんなにいいかね?」 「中心価格が120万円ですから、フィットと充分戦えます」 「そうか、安くなきゃダメか」 ラフェスタの売れ筋の20Mは、199万5000円。 よほどの魅力がないと、買う気になれないでしょう。 オトーサン、 「こりゃ、あかん」 この「あかん」、今日の5番目のあかんです。 時計をみると、もう12時。 12時からプールで泳ごうと思っていたのですが、 あきらめました。 異音の修理に手間どっているようです。 リアのテールゲートの部品を外して、チェックしています。 結局、修理が完了したのが、午後1時。 異音は、完全に消えました。 オトーサン、 ひさしぶりに、スポーツ紙を買いました。 一読して、「あかん」 この日、6番目のあかんです。 「また、頭にくるぞ」 堀内は、自分以外のものが、 チヤホヤされるのは、好かんのです。 ・清原に岸和田市民栄誉賞 だんじり魂で番長復活だ−。 大阪・岸和田市から市民栄誉賞を贈られた清原内野手が 地元での授与式に出席。 死をも怖れぬ“だんじり魂”で完全復活すると岸和田っ子に約束した。 両足に爆弾を抱える清原だが、 選手生命を賭して来季を戦い抜き、 戦力外扱いした首脳陣に“復讐”しようという決意。 オトーサン、 夕食の支度を待つ間、 奥方が読み古した週刊文春(12/2号)を手にしました。 「あかん、あかん、あかん」 この日、7番、8番、9番目の「あかん」です。 清原が、大阪のチームに移籍したがらぬ理由が書いてありました。 ・清原元モデル夫人「巨人が好きなら最後までがんばって」 なにしろフロントのキャッチフレースは、 「打てない、走れない、要らない」 そんななか、清原が「ワイは、一生巨人に骨を埋めるんヤー」 と言い張っている。 夫人の亜希さん(35)も、「巨人が好きなら最後までがんばって」 そう言っているようだが、派手好きの夫人のこと。 真相は、単純。 夫人が「東京を離れたくない」と言っているから。 かつて実家のある岸和田に家を建てた頃に、 阪神入りが浮上したときも、夫人が「大阪はイヤ」。 中日の落合監督と話し合ったときも、 「名古屋には行きたくない」 彼女が本当に好きなのは、清原よりも東京? オトーサン、 「清原よ、お前、女のウソが見分けられんのか」 ・いのちある限り愛すといったウソ ・夕化粧キレイなウソを組立てる ・泣きながら女はウソを考える ・惚れている弱みにウソを信じきり ・いまにして思えばウソのうまいやつ オトーサン、 夕方になって、 この週明けの日産の株価をみて、 「あかん」 もう日産株には期待しないことにしましょう。 この日、10番目のあかんです。 いわば、戦力外通告を受けた「あかん」ですなー。 12/2 1201 3 1203 4 - 5 - 6 1181 7 1171 ここで、 巨人・清原の打率の推移をみておきましょう。
97 .249 98 .268 99 .236 00 .296 01 .298 02 .318 03 .290 04 .228 オトーサン、 大学での同僚に中村さんがいました。 あの歴戦歴勝のPL学園監督。 清原や桑田を育てた中村順司さんです。 母校に戻られて教授に就任されました。 清原についてのナマの話をよく伺ったものです。 最近不調の清原について、 先生は、こう言っておられました。 「ひとの見ていないところで身体を鍛えていますよ、彼は。 見ているひとは、ちゃんと見ているからなと言ってあげました」 これを「荘子」は、こう表現しております。 ・天網恢恢、疎にして失わず 世の中は、悪が栄えているように見えるが、 それは一時のことに過ぎない。 悪太郎は、いずれその報いを受ける。 お天道さまは、お見通しだよということ。 オトーサン、 「見ているひとは、ちゃんと見ている」 そう書いたところで、 WJくんとの会話を思い出しました。 「昨日、名戸ケ谷で洗車されていたでしょう」 「えっ?」 「あそこを通りかかったんですよ、 お客さんと一緒だったから、ご挨拶しませんでしたけれど」 「何で、あんなところに?」 「テリトリ−ですから。出張試乗で」 「何だね、その出張試乗っていうのは?」 「ティーダを持っていって乗ってもらうんですよ」 「それって、電話で頼まれて?」 「いいえ」 「じゃ、予告していくの?」 「そんなことすれば、断わられますよ。 予告なしに訪問するんです」 「はじめて聞いた、その出張試乗。みんなやってるの?」 「いえ、この営業所では、わたしだけです」 オトーサン、 この言葉に感動しました。 WJくんに「菜根譚」の名言を贈りましょう。 ・伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し 長いことうずくまって力を蓄えていた鳥は、 いったん飛び立てば、必ず高く舞い上がるだろう。 清原、ガンバレ! WJくん、ガンバレ! 日産、ガンバレ!
52 ああテロリスト
オトーサン、 石川啄木の歌が好きです。 ・やはらかに 柳あおめる 北上の 岸辺目にみゆ 泣けとごとくに
石川啄木(いしかわ たくぼく) (1886-1912) 岩手県生まれ。 本名:石川一(はじめ) 1895年 渋民村小学校卒業 1901年 盛岡中学3年次に授業ボイコット騒動 1902年 退学 1905年 堀民子と結婚し、盛岡市に住む 1906年 渋民小学校代用教員になる 1907年 校長排斥のストライキでクビになる 函館に行き、弥生小学校代用教員になる 函館大火で小学校焼失し退職 札幌に行き、北門新報社に校正係として入社 退職し、小樽へ。小樽日報創業に参加 内紛で退職 1908年 釧路新聞に入社 芸者小奴と別れ、単身上京、新詩社に人社。 困窮のなかで死を決意するも、 金田一京助の友情で翻意 1909年 「スバル」創刊 朝日新聞に校正係として入社 妻子を呼びよせるが、妻去る。 1911年 慢性腹膜炎で入院 1912年 死去(享年27歳) オトーサン、 以下の歌は、暗記しています。 ・かにかくに 渋民村は 恋しかり おもいでの山 おもいでの川 ・ふるさとの 山に向かひて 言うことなし ふるさとの山は ありがたきかな ・ふるさとの 訛りなつかし 停車場の 人ごみのなか そを聴きにゆく ・東海の 小島の磯の 白砂に われ泣きぬれて 蟹とたわむる ・たわむれに 母を背負いて そのあまり 軽きに泣きて 三歩あゆまず オトーサン、 久しぶりに啄木詩集を手にとりました。 学生時代に勉強のために読んだのとは、 一味違う読書体験ができるかなーと思ったわけ。 「へぇ、こんな歌もあるんだ」 北朝鮮に拉致された曽我ひとみさんも、 こんな心境だったのでしょう。 ・いくたびか 死なむとしては 死なざりし わが来しかたの をかしく悲し ・新しき明日の 来るを信ずという 自分の言葉に 嘘はなけれど オトーサン、 啄木がサラリーマン短歌の先駆者であったことを 発見しました。 ・この次の 休みに一日 寝てみむと 思いすごしぬ 三年このかた ・気の変わる人に仕えて つくづくと わが世がいやに なりにけるかな ・途中にて 乗り換えの電車 なくなりしに 泣こうかと思い 雨も降りていき ・途中にてふと気が変わり つとめ先を 休みて今日も 河岸をさまよえり ・家にかへる 時間となるをただひとつの 待つことにして 今日も働けリ ・友がみな われよりえらく 見ゆる日よ 花を買い来て 妻としたしむ ・はたらけど はたらけど 猶わがくらし 楽にならざり じっと手を見る ・一度でも 我に頭を 下げさせし 人みな死ねと いのりいてしこと
オトーサン、 「こんな歌も詠んでいるのか。 啄木は、テロリストだったのか」 ぎょっ、ぎょぎょぎょっ。 ・われは知る テロリストの かなしき心をー 言葉と行いとを分かちがたき ただひとつの心を 奪われたる言葉のかはりに おこないをもて語らんとする心を、 われとわがからだを敵に擲げつくる心をー しかして、そは真面目にして熱心なる人の常にもつ かなしみなり。 はてしなき議論の後の 冷めたるココアのひと匙を啜りて そのうすにがき舌触りに、 われは知る、テロリストの かなしき、かなしき心を。 (ココアのひと匙 詩集「呼子と口笛」1911年) 啄木の死後、 日本は戦争への道をまっしぐら。 テロリスト国家に変質していきました。 そして、1941年12月8日、 鬼畜英米を相手に第2次世界大戦の幕が開きます。 オトーサン、 「12月8日か、でも、いい一日だった」 曽我ひとみさん一家も無事佐渡へ帰れたし、 久しぶりに、プールで500m以上泳いだし、 スーパーの特売でとちおとめワンパック149円で入手したし、 ティーダの異音も消えたし、 日産の株価が14円も上ったし、 奥方も一日留守で、小言を言われずにすんだしなー。 オトーサン、 原稿書きもはかどったので、 夕方ひさしぶりに、クルマ散歩へ。 英語で、Outingといいます。 かつて、RV研究を手がけたとき、 アメリカのレクレーション活動の調査をみました。 それによれば、このOutingが、第1位。 行楽と訳すひともいますが、 近所をぶらぶら散歩することが正解。 「ありゃ、ファミマがセブンーイレブンになった」 「おお、がんこ寿司が開店した」 旅行、各種スポーツなどよりも頻度が高いのです。 人間は、自分の縄張りを見回るのが好きなようです。 イヌのテリトリーとおなじで、これは本能でしょう。 オトーサン 「危ない!」 家の近くの路地です。 横からミニバンが飛び出してきたのです。 気合負けして、道を譲りましたが、 見ると、忘れもしないあのクソ女。 瞬間、血がのぼりました。 「いつも、あんな運転してるのか。 あのアマ、ぶっ殺してやる!」 ・やや遠き ものに思ひし テロリストの 悲しき心もー 近づく日あり オトーサン、 アマの乗っていた車名も確認しましたよー。 「ホンダのステップワゴンか、やっぱり」 ドンガラばかり大きくて、安物ミニバンです。 貧乏臭くみえないので、貧乏人が買っています。 徳大寺さんは、こう書いています。 「窮屈だろうが何だろうが、8人乗れたら 後のことはどうでもいいやというひとはどうぞ」 後のことはどうでもいいや。 これって、テロリストの悲しき心ですよね。 オトーサン、 今回の分を書き終えたと思ったら、 ニュースが飛びこんできました。 「あー、やっぱりなー」 横田めぐみさんの遺骨のDNA鑑定の結果が判明しました。 別人、しかも2人の遺骨を混ぜたもの。 「日本人をナメている」 適当にその辺の墓を掘り返しただけ。 一瞬、また血が上りました。 ばれるに決まっている嘘をつくとは... ああ、テロリスト! ・何やらむ 穏やかならぬ 目つきして 鶴嘴を打つ 群れを見ている
53 ♪ソラズンズン...
オトーサン、 朝のTVニュースで チラッと志村けんの顔をみました。 「何だろう?」 コンビニに出かけて、スポニチを買いました。 ・志村けん空き巣被害 1500万円貴金属類と現金40万円 「犯人には仕事して金稼げと言いたい」 オトーサン、 帰宅して、奥方に、 「志村けんが泥棒に入られたんだって? 番犬が人懐っこくて役立たず」 奥方、やはり芸能通でした。 「警備会社の到着も遅れたんだって。 セコムって、役立たずねえ」 「指輪や宝石がとられたみたいだなあ」 「自分用と言っているけど、 彼女がいるに決まってるじゃない。 「2階から入ったらしいな」 「ウチの窓、合わせガラスに替えなくちゃねー。 また、入られたら困るもの。 3分もあれば、ガラスを割って侵入できるのよ」 これは、別のTV番組で教わったそうです。 「でも、ウチは、とられるようなもんないぜ。 ティーダには、イモビライザーがついてるいるし」 「...?...」 オトーサン、 ドリフの「8時だョ!全員集合」のフアンでした。 毎回欠かさず見たものです。 とくに、加藤茶のストリップは見ものでした。 会社の忘年会でも、 そのモノマネが、一時期、流行しましたっけ。 ザ・ドリフターズ 昭和40年代から50年代中頃をピークに 「8時だョ!全員集合」や「ドリフ大爆笑」で一世を風靡 いかりや長介がリーダー。
志村けん 本名:志村康徳(しむら やすのり) 1950年2月20日生まれ 1968年いかりやに直訴し、 加藤茶の付き人兼加藤家居候に。 1974年4月に正式メンバー。 東村山音頭でブレーク、笑い界のドンへ。 「バカ殿」などで活躍。 1981年、競馬のノミ行為が発覚し、書類送検。 東村山市名誉市民。 オトーサン、 「明日は雨だそうだから、今日行っておくか」 先日、手賀沼のほとりに遊歩道を発見しました。 双眼鏡を片手に30分ほど歩きましたが、 まだまだ先がありそうでした。 夫婦で散歩しているひと、 ジョギングで汗をかいているひと、 自転車に乗っているひともいました。 オトーサン、 ティーダにマウンテン・バイクを積み込みました。 「まあ、何とか収まったな」 開口部が高くて、狭いし、 リアシートがフロアに収納できず、 高くなっているので、入れにくかったです。 「...慣れれば、簡単だろうが」
オトーサン、 遊歩道を快適に走りました。 ぬけるような青空の下を ♪ソラ、ズンズンズンズンと進んでまいります。 たまに、段差があって、 ズンドッコになりますが、走りやすい道でした。 ウインドブレーカーに手袋、双眼鏡とデジカメ。 装備も完全です。 「待ってたよー。 こういうサイクリング・ロードができるのを。 葦原のなかを走る!気持ちいいなー」 鼻歌も出ますよねー。
♪ソラズンズンズンズン ズンズンドッコ ズンズンズンズン ズンズンドッコ ズンズンズンズン ズンズンドッコ ズンズンズンズン ズンズンドッコ 学校帰りの森陰で ぼくに駆け寄りチューをした セーラー服のおませな子 甘いキッスが 忘らりょか ソレ ズンズンズンズン ズンズンドッコ ズンズンズンズン ズンズンドッコ (ズンドコ節 作詞:なかにし礼 作曲:不詳) オトーサン、 「おお、ハクチョウだ」 思わず、バイクをとめて、デジカメを取り出しました。 さすが、水鳥の王者ですねー でも、羽づくろいばかりして、 いいポーズをしてくれません。 なかなか頭を上げてくれないのです。 ようやく撮影できたのが、この1枚。
あとで調べたのですが、 ハクチョウには5種類あって、 オオハクチョウ、ナキハクチョウ、コハクチョウ そして、アメリカコハクチョウとコブハクチョウ。 オトーサンの見たのは、コブハクチョウのようでした。 ハクチョウは、時速60〜100kmで飛びますが、 昼は太陽、夜は星を目印にして飛ぶそうです。 羽根の数は、何と2万5000枚とか。 ティーダも、太陽をめざして、 毎月、2万5000台ほど売れるといいのですが。 オトーサン、 2時間ほど手賀沼のほとりで過ごして、帰宅。 奥方が、珍しく出迎えました。 「どこ行ってたの? 自転車もクルマもなくなってるから、 ドロボーに盗まれたかと思ったのよ」 「サイクリングしてきた」 「なんで、2つとも消えたのよ?」 「ティーダに自転車を積んでいった」 「そーなの」 奥方の辞書には、 クルマに自転車を積むという概念がないようです。 読者のみなさん、 「いいもんですよ」 アルミホイールなどを買うお金があったら、 いいバイク購入も視野に入れたらいかがでしょう。 ところで、ご存知ですか? ドリフのズンドコ節の元歌を。 ♪汽車の窓から 手を握り 送ってくれた 人よりも ホームの影で 泣いていた 可愛いあの娘が 忘られぬ トコ ズンドコ ズンドコ (海軍小唄 作詞:不詳 作曲:不詳) 戦争に行く兵士を 日の丸の小旗をもって 家族・友人・知人総出で見送ります。 「大日本帝国、バンサーイ!」 戦時中、日常的な風景でした。 彼女もひそかに見送りにきていて、 永遠の別れを予感して、 肩をふるわせ柱の陰で泣くのです。 この海軍小唄、 9番まであるのです。 その8番は、 志村けんさんの家に入った 泥棒が気に入りそうです。 ♪酒と女があるならば どこでもいきます 鑑別所 今度出てくる ときまでは 真面目になります お父さん トコ ズンドコ ズンドコ オトーサン、 「おい、泥ちゃん、 ひとの家にズンズン入るなよなー」 海軍小唄、 その最後の9番をご紹介しましょう。 ♪元気でいるかと いう便り 送ってくれた 人よりも 涙のにじむ 筆の跡 愛しいあの娘が 目に浮かぶ トコ ズンドコ ズンドコ 曽我ひとみさんの ニセ遺骨騒ぎに乗じて 自衛隊のサマワ派遣延長を強行した コイズミ首相には、 この9番が適切でしょう。 そんな重大なこと、 ズンズンズンズンやるなよ。 可愛いあの娘が 泣いてるじゃないか。 ズンズンズンドコ、 戦争への道を切り開くなよー。
54 君の名は?
オトーサン、 今朝、奥方に言われて、 週刊新潮も買わされましたよー。 「すごいわね、握手でDNAが採取できるのねー」 奥方、ご案内のように、芸能ニュースに強いのです。 日本の代表団が、北朝鮮に出かけ、 コンテナー7個分もの資料等を持ち帰ったのに、 調べてみたら、すべてインチキ。 横田めぐみさんの遺骨も、ニセモノ。 そんななか、唯一、胸がスーッとしたのが、 外務省の藪中局長の行動。 特殊な薬品を塗ったうえで、 横田めぐみさんの夫とされる人物と強く握手し、 DNA採取に成功し、分析した結果、 めぐみさんの夫もニセモノと分かったのです。 まるで、007みたいじゃありませんか。 「おい、正体を明かせ、君の名は?」 オトーサン、 「そういえば、 あの田口八重子さんも、どうなったんだ?」 大韓航空機爆破事件 1987年11月29日、 アブダビ空港をソウルに向けて発った 大韓航空858便がミャンマー沖で消息をたち、 乗客・乗員115名全員が死亡。 蜂谷真由美と名乗る工作員・金賢姫によって 爆破されたものとみられている。 その金賢姫に 日本語を教えたとされるのが、リ・ウネ。 拉致された田口八重子さんという説もあります。 オトーサン、 「リ・ウネ、君は一体誰なんだ?君の名は?」 そんなことで、ふっと 「君の名は」を思いだしましたよー。 歌っていたのは、織井茂子さん。 ♪君の名はと たずねし人あり その人の 名も知らず 今日砂山に ただひとりきて 浜昼顔に きいてみる (君の名は 作詞:菊田一夫 作曲:古関裕而) 読者のみなさん、 「それって、 拉致連がつくった歌かね? 曽我ひとみさんや横田めぐみさんが 浜辺で拉致されたときの体験をもとに」 オトーサン、 「若いひとは、知らんだろうなあ」 NHKラジオで1952年4月10日に放送が始まり、 54年4月10日まで続いた メロドラマ「君の名は」のテーマ曲なのです。 この番組の放送時間帯には、 女風呂がガラガラになったことも有名です。 毎回、ドラマの冒頭にナレーションが入ります。 「忘却とは忘れ去ることなり。 忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」 横田夫妻、 「拉致問題を忘れろ?馬鹿なこと言いなさんな!」 この歌、そんなことで、まかり間違っても、 拉致連がつくるハズありません。 オトーサン、 「真知子巻きが大流行したっけ」 映画化されて、 ヒロインになった岸恵子の マフラーのつけかたが 多くの女性の心をとらえたのです。 冬ソナのヨン様のマフラーが、 評判になっているようですが、まだまだ。 真知子巻きの流行ったこと、流行ったこと。 着こなしを比較してみましょう。 今年の冬が暖冬だったら、 冬ソナ風の巻き方ですむでしょうが、 寒くなったら、 真知子巻きがブレイクすると思いませんか? 「思わない?そうかなぁ。 でも、先のことは、分からんよ」
オトーサン、 松戸のプールで泳ぎました。 「もうあがるんですか?キレイな泳ぎですねえ」 若い女性にホメられました。 「ええ、500m泳いだら、あがることにしているんだ」 ほんとうは、600m泳いだのですが、 正直に言ったら、自慢話に聞こえるじゃないですか。 「もう、聞こえてる?」 ...失礼をば致しましたー。 オトーサン、 意気揚々とシャトレーゼへ。 山梨県の白州に工場のある洋菓子チェーンです。 工場見学をすると、お菓子が食べ放題なのですよー。 「何か、うまいものないかな?」 運動すると、甘いものが欲しくなります。 お菓子を買って駐車場のティーダに戻ると、 グレーのトヨタ・ウィッシュから降りてきた 岸恵子似の上品な奥様に聞かれました。 「すみません。 ちょっとお伺いしてよろしいですか?」 「何ですか?」 「そのお乗りになっているクルマ、何という名前ですか?」 「最近発売された日産のティーダ」 「いいわね、大きさも手頃で。 運転もしやすそうだし... 黄色も目立つから、安全でしょうね」 「そういえば、そうかもしれませんねえ」 「じゃ、失礼いたします」 オトーサン、 「残念だったなー」 デートに持ち込めそうだったのに。 でも、黄色が安全とは気づきませんでした。 「奥様目線」って、大事なんですね。 その先に、オトーサンがなかったのは、残念ですが...。 「あのひとだったら、真紀子巻きが似合いそうだなぁ」 「君の名」では、 主人公の春樹と真知子が数寄屋橋で再会を約束するのです。 でも、春樹が大病になって... そのとき、 ガーン! 「しまった!」 駐車場から道路に出る際でした。 どうやら、大きな段差があったようです。 「しょうがないなぁ、やっちゃったか。 家に帰ってから調べてみょう」 そのまま走りましたが、ちょっと不安でした。 帰宅して、早速、下回りをチェック。 少し、砂がついていますが、 払い落とせました。 「アチチ」 触媒が熱くなています。 「でも、よかった。何ともなかった」
オトーサン、 「そういえば、これもマフラーだなあ」 辞書を引いてみました。 muffer:1 マフラー、襟巻き、首巻き 2 内燃機関の消音器(silencer) 「同じ言葉が、柔らかさと固さを表わすなんてなー。 柔らかいもんが固くなるんだ、ふーん」 オトーサン、 「案外カッコいいなあ」 スラッシュカットのデザインは、なかなかのもの。 「マフラーを改造してみようかなー」 サイトで、チェックしてみました。 「フーン、改造好きがいるんだ」 ・改造日記 http://members.at.infoseek.co.jp/studio3n/kaizou.html そのほか業者の売り込みも盛んです。 ・GP SPORTSでは、 ストリートユーザーにも 合法的にチューニングを楽しんでもらう為に、 本来103dBの音量規制を99dB(平成10年以前登録車)、 96dBを95dB(平成10年以降登録車)という、 保安基準よりも厳しい独自の音量基準内に音量を制御しています。 また、リニューアルによりメインパイプレイアウトを変更し、 さらにサブサイレンサーも新設計小型サイレンサーを採用。 マフラー下部を極限までフラット化し、 ロードクリアランスを確保しました。 保安基準適合、触媒後交換タイプマフラー。 オトーサン、 「99dB?それで合法なの?本当かよー」 騒音の大きさは、dB(デシベル)で表します。 100dBだと、電車通過時の線路わき、 長時間さらされると難聴になるとあります。 dB めやす 人体に与える影響 120 飛行機のエンジン近く 長時間さらされると難聴 110 自動車の警笛(前方2m) 長時間さらされると難聴 100 電車通過時の線路わき 長時間さらされると難聴 90 騒々しい工場内 消化不良 80 地下鉄の車内(窓開閉時) 疲労の原因 70 電話のベル 血圧が上昇 60 普通の会話 無 50 静かな事務室 無 40 深夜の室内・図書館 無 違法改造を奨励したようなマフラーも売られています。 「これって、車検を受けるときだけ、 騒音の大きさを簡単に下げられるっていうことか?」 ・サイレンサー部分に 音量とパワーを任意で調整できるバリアブル機構採用。 特許出願中! オトーサン、 その日の深夜、爆音で起こされました。 改造マフラーをつけた暴走族です。 「ケシカラン!お前、何者だ。君の名は?」 ようやく寝つけたかと思うと、また爆音。 10分置きに、やってきます。 自分勝手な周回路を設定しているようです。 「なんで、警察はもっと厳しく取り締まらないんだ?」 国土交通省は、騒音防止法や保安基準を改正すべきです。 99dB以下いうのが、そもそもの間違いじゃあーりませんか。 血圧が上昇しますが、少なくとも70dB以下にすべきです。 オトーサン、 なかなか寝つけないので、 しょうがなしに、枕元のラジオを聞いていました。 ♪貴方は もう忘れたかしら 赤い手拭い マフラーにして 二人で行った 横丁の風呂屋 一緒に出ようねって 言ったのに いつも私が 待たされた 洗い髪が 芯まで冷えて 小さな石鹸 カタカタ鳴った 貴方は 私の身体を抱いて 冷たいねって 言ったのよ 若かったあの頃 何も怖くなかった ただ 貴方のやさしさが 怖かった (「神田川」 作詞:喜多条忠 作曲:南こうせつ) オトーサン、 眠りに入っていきながら、 「昔、流行したなー。 赤い手拭いをマフラー代わりにするんだ。 若くって、マフラー買うカネもなかったんだ。 いい歌だなー、気持ちがなごむな−。 でも、この男、考えてみれば、ひでえ男だ。 女が芯まで冷えるまで待たせるなんて。 ...女も変わるなー。 いまじゃ、芯まで冷えるまで待たされるのは、 オレのほうだもんなー」 せっかく柔らかくなった心が、また硬くなってきました。 「週刊文春のほかに、新潮まで買わせおって」
55 国民車構想
オトーサン、 この7日に佐渡で記者会見した 曽我ひとみさんの夫、 チャールズ・ジェンキンスさん(64)の言葉に 深く胸を打たれました。 「今日はわが人生最終章の第1日。 佐渡で妻、子供たちと人生の残りを過ごしたいと希望している。 もちろん、私が佐渡を訪れるのは初めてですが、 北朝鮮での20年余りの間、佐渡の美しさと静けさを幾度となく 心の中で見ていた。 それは妻がしばしば語ってくれた佐渡の思い出です。 この島は妻が話してくれたように美しい」 オトーサン、 「佐渡は、そんなに美しいかなぁ? この4半世紀の間に、大分変わったよ」 ご存知の通り、曽我ひとみさんが拉致されてから、 もう26年も経っているのです。 ・曽我ひとみさん拉致事件 新潟県真野町(現佐渡市)で 1978年8月12日、准看護師曽我ひとみさん(19)が、 母ミヨシさん46)と買い物帰りに、 自宅近くで男3人に拉致され、船で北朝鮮に連行された。 80年にジェンキンスさんと結婚、 美花さんとブリンダさんが誕生。 2002年の日朝首脳会談で拉致事件が判明した。 オトーサン、 佐渡というと、 まずは芭蕉の句を思い出します。 荒海や 佐渡によこたふ 天河 「奥の細道」を旅して、 元禄2年(1689)、46歳で詠んだもの。 でも、新潟のひとに言わせると、 この句はウソだそうです。 「海が荒れているときは、天の川なんか見えやしないよ」 だから、この句は、芭蕉の心象風景を詠んだもの。 同じように、ジェンキンズさんのいわれる 「佐渡の美しさと静けさ」は、 もはや失われ、心象風景のなかにあるだけ。 オトーサン、 それで、思い出したのが、 吉幾三さんの強烈なデビュー曲。 1984年の「俺ら東京さ行ぐだ」 ♪テレビも無エラジオも無エ クルマもそれほど走って無エ ピアノも無エ バーも無エ 巡査 毎日ぐーるぐる 朝起きで 牛連れで 二時間ちょっとの散歩道 電話も無エ 瓦斯も無エ バスは一日一度来る 俺らこんな村いやだ 俺らこんな村いやだ 東京へ出るだ 東京へ出だなら 銭コア貯めで 東京で牛飼うだ (俺ら東京さ行ぐだ 作詞:吉幾三 作曲:吉幾三) オトーサン、 「今どき、そんな村あるんか」 腹をかかえて、笑ったものです。 ♪クルマもそれほど走って無エ 読者のみなさん、 ちょっと見にくいけれど、 下のグラフを見てくださいな。 吉さんの歌さ流行った1985年さ、見でくれや。 ・運転免許保有者の数 4620万人 ・自動車の保有台数 4616万台 ・乗用車保有台数 2764万台 直近のデータである 2002年の乗用車保有台数5454万台の 半分まで到達していたのです。
オトーサン、 調査畑が長かったので、 この種の統計数値は、おなじみですが、 モータリゼーションの激しさには、 あらためて、そのスゴサに驚かされます。 いまや、いたるところ、クルマだらけ。 だって、 1985年の20年前の1965年を見てください。 ・自動車の保有台数 630万台( 7.3倍) ・乗用車保有台数 218万台(12.6倍) たったの20年間で、乗用車の保有台数は 何と12.6倍になっているのです。 オトーサン、 当時、乗っていたクルマの ブレーキが効かなくなって、 名古屋駅前の交差点が赤信号でしたが、 突っこんだのに無事でした。 「なぜって?」 それほど、クルマの数が少なかったのです。 読者のみなさん。 ティーダのルーツを知りたくないですか? 「サニーだろうが」 「いえいえ」 「?」 「もっと先なのです。 国民車構想をご存知ですか?」 「?」 国民車構想というのは、 1955年5月に 通産省自動車課の川原晃技官が打ち出したもの。 ドイツには、フォルクスワーゲンがあり、 フランスには、ルノーがあり、 イタリアには、フィアットがある。 日本人の手で、それに負けない国民車を創り出そう。 国民車の条件は、 @最高速度は時速100km以上、乗車定員4人、 平坦な道路を時速60Kmのとき、 1リットルの燃料で30Km以上走れること。 A大がかりな修理をしないでも10万Km以上走れること。 B月産2000台の場合、1台当たりの工場原価は、 15万円以下、販売価格は25万円以下であること。 C排気量は、350〜500ccを適当とする そして、国民車を生産する会社を1社に絞り、国が助成する。 この国民車構想、50年前ですよ。 いま考えても、大胆不敵なプランでした。 当然、メーカー各社は、大反対。 「そんなもん、できっこない」 日産なんかは、その筆頭で、 興銀からきた川又社長などは、 「ブルーバードの中古車が、国民車だ」 そう嘯いたものでした。 でも、密かに、準備を進めていた会社もありました。 それが、鈴木、三菱、富士重、そしてトヨタでした。 (詳しくは、トヨタ博物館 http://www.toyota.co.jp/Museum/data/a03_09_1.html) オトーサン、 「入社した年にパブリカが出たんだ」 空冷2気筒、排気量700cc、定価38万9千円でした。 (詳しくは、トヨタ博物館 http://www.jsae.or.jp/motor180/car_data/23.html)
オトーサン、 いまでも鮮やかに思い出すのは、 開通したばかりの名神高速で社内試乗会。 通産省からトヨタ自販入りされた 川原晃さん(当時、車両第2部トヨペット店課長)の 提案だったと思います。 参加したのは、大西四郎副社長以下、 役員数名と車両本部のメンバー20名ほど。 外車も10台くらい用意されました。 オトーサン、 末席でしたが、幸い試乗させてもらえました。 乗ったのは、フォルクスワーゲンと もう名前も忘れてしまったアメリカ車。 高速道路で走るのも、はじめて。 外車に乗るのもはじめて。 緊張しまくりましたよー。 ワーゲンで時速90kmくらい出して、 「いいクルマだなぁ」 しみじみ思ったもの。 いまから思えば、純朴でしたなー。 会の最後に、感想を述べる段になって、 温厚な大西四郎副社長いわく。 「パブリカは、70Km出すと 石臼を引くような音がするなぁ」 みんなで笑ったものです。 デフから出る異音でした。 このパブリカ、 国民車を意味する名前をつけたものの 意気込みほどには、売れませんした。 専売店もつくったし、派生車もいろいろ出したのですが、 サッパリ売リ上げが伸びません。 でも、この失敗が、よかったのです。 試行錯誤が、 1966年に発売されたカローラに生きていくのです。 そのカローラの販売網を担当したのが、 また、川原晃さん。 車両第3部長として、 カローラを国民車とすべく、 日本最大の販売網であるカローラ店を育て上げたのです。 川原晃さん、 モータリゼーションの立役者でした。 その後、商品企画を担当されて、 次々とヒット商品を産み出しました。 トヨタ自販の常務になられ、 オトーサンの調査部時代には上司でした。 いまなお、元気にご活躍中です。 わが国を代表する「知の巨人」のひとりでしょう。 (・川原晃の旅行見聞録 http://kawahara.jpn.org/blog/) 日産のサニーは、 カローラより半年前に発売されたのですが、 いま思うと、大衆車の販売面では 出だしで、5年以上も遅れをとり、 さらに、その後、差を広げられていったのです。 その影響は、いまも販売面に残っています。 ・販売網の整備 ・販売戦略の立て方 (併売制、奨励金など) ・セールスマン教育の方法 (商品知識、商談の進め方) ・ショールームの整備 (クルマの展示、カタログの使い方) いろいろな面で、遅れをとっているのです。 販売畑の人材強化が急務でしょう。 スタッフは、机にかじりついていないで、 もっと現場を歩かなくては。 トヨタからスカウトしたっていいじゃないですか。 オトーサン、 ティーダが発売された 10月の日産のシェアが低下したことを知りました。 何ということでしょう。 ティーダの増えた分をマーチなどで減らしているのです。 オトーサン、 ティーダが本来もっと売れるハズと信じています。 カローラに代わる国民車になりうる素材です。 でも、肝心の日産にヤル気が感じられません。 そこで、替え歌をつくってみました。 ♪カネも無エ ノウハウも無エ クルマもそれほど走って無エ 自信も無エ 客も無エ セールス 毎日ぐーるぐる 朝起きで 会社へ行かねで 二時間ちょっとの散歩道 電話も無エ 宣伝も無エ 社長は一年に一度来る 俺らこんな店いやだ 俺らこんな店いやだ トヨタへ出るだ トヨタへ出だなら 銭コア貯めで トヨタのクルマ買うだ なお、日産の株価、また下りました。 12/ 8 1085円 9 1084 10 1075
56 秘するが花
オトーサン、 金曜日の夕食時でした。 「ロクな番組しかないな」 そう言いながら、チャネルを回していると、 「おっ、細木数子が出てる!これ見ようや」 奥方、 「このひとキライ。やめて」 オトーサン、 「見たかったのになー」 注)この番組は、 「幸わせって何だっけ〜数々の宝話」 フジテレビ(金)19:57〜 出演:細木数子、徳光和夫 平均視聴率 16.85% 2004年バラエティ番組ベスト7 オトーサン、 細木数子といえば、 大好きな歌手・島倉千代子さんの 窮地を救った方として記憶しております。 1977年、借金地獄に苦しむお千代さんの後見人として、 数億円にのぼる負債を3年問で完済。 「よかったなー、 堕ちよさんにならずにすんで。 細木さん、ありがとね」 若い読者のみなさん、 お千代さんのデビュー曲、ご存知ですか? 若い頃、レコードが擦り切れるほど聴いたものです。 デビューしたのは、15歳ですよ! それはそれは、純情可憐でした。 ♪あかく咲く花 青い花 この世に咲く花 数々あれど 涙にぬれて 蕾のままに 散るは乙女の 初恋の花 想うひとには 嫁がれず 想わぬひとの 言うまま気まま 悲しさこらえ 笑顔をみせて 散るもいじらし 初恋の花 君のみ胸に 黒髪を うずめたたのしい 想い出月夜 よろこび去りて 涙はのこる 夢は返らぬ 初恋の花 (この世の花 作詞:西條八十 作曲:万城目正) オトーサン、 奥方の見てる番組なんか 見ていもしょうがないので、 夕食を早々にすませて、自室へ。 ネットで細木数子と入力しました。 「あるわ、あるわ。ブームなんだ。 えっ?紅白と対決?細木数子の大晦日スペシャル!! すごいなあ、時のヒトなんだ。 へえ、Contents Analysisもあるんだ」 見ると、11月に急に上っていますが、 先の新番組がスタートしたせいでしょう。 それ以後、落ちています。 「ティーダのCMの露出頻度みたいだなー」 でも、細木数子さんの場合は、紅白対決効果で 年末にかけて、また急上昇していくでしょう。
オトーサン、 その昔、宣伝部にいた頃、 商品の露出度を時系列で調査したことがあります。 カローラの知名度や好感度を毎月調べて 必要な手を機敏に打っていったもの。 そんな関係で、 このContents Analysis(内容分析)には興味があります。 第2次世界大戦まえには、米英の諜報機関が活用していました。 いまなら北の諜報機関が利用しているはず。 例えば、 「経済制裁」という言葉の露出頻度(言及数)を 北の調査マンが、朝毎読3紙から、 日々丹念に拾っていくと、上図が完成して、 首領様のところに報告が上ります。 「日本は、経済制裁に踏み切りそうです」 「じゃ、もうひとり帰してやるか」 オトーサン、 次に細木数子さんの経歴を調べることに。 ほのぼの映画批評で、 俳優さんたちの経歴を紹介し続けて もう足かけ5年たちました。 この経歴調べ、もうクセになっています。
細木 数子(ほそき かずこ) 1938年4月4日生まれ 占い師。 東京都出身。 10代でコーヒー店を経営し、 20歳で銀座にクラブを開く。 21歳の時に結婚・離婚。 その後波乱万丈の人生を経て、 1982年から六星占術に関する著作で有名に。 1983年に、安岡正篤(85歳)と再婚。 わずか2ケ月後に死別、遺族と訴訟合戦となった。 著書は100冊以上。その売上は3900万部以上。 京都府に豪邸がある。 出演する特番の視聴率が軒並み20%越え、 いまや各局とも争奪戦を繰り広げている。 オトーサン、 「オレと同じ年じゃん。もしかすると」 そこで「松涛」と入力。 森進一夫妻、デビ夫人などが住む高級住宅街です。 「えっ、松涛中を出た?しかも、オレと同い年? ....まさか、あの子が?...」 とすると、彼女は同級生。 歌の巧い大柄な子で、 音楽の先生に可愛がられていましたっけ。 頭も、よかったですよ。 「そういえば、オレ、結婚式に出ていたっけ」 細面に恥じらいの笑みを浮かべた 彼女の白無垢姿を思いだしました。 オトーサン、 これ以上、詮索を続けると、 各方面からの取材攻勢を受けて ティーダ姫とのハネムーンが乱れされそうです。 それに細木数子さんから、 「あんた、地獄に落ちるわよ」 「あんた、畳の上では死ねないわよ」 そう宣告されようものなら、サー大変。 「ここは、秘するが花だ」 そうつぶやきました。 そこへ、柏庵登場。 「そこもとの用法は間違っとるぞ」 「だって、知らぬが仏という意味でしょう?」 「間違っとる!」 一喝されてしまいました。 「この言葉はのう、 世阿弥が花伝書で使ったものじゃ。 舞台にあえて花を置かないことによって、 観客に、花の美しさ、匂い、 そして、ひとひらの花びらのせつなさを 思い浮かべさせるんじゃ」 オト−サン 「まあ、ヌード全開でなく、 ちらっと見せるようなもんか」 そう思いましたが、 柏庵に叱られそうなので、チン黙。 「ところで獅子脅しを知っとるか?」 「あのコトンという音ですね」 「そう、ワビサビを感じるじゃろうが。 舞の世界に浸ると、なにもない空間に 花を見たり、雪をみたりできる。 わがヤマトビトの心の奥にある優しさなんじゃのう。 若い衆も、これを忘れちゃいかんぞ」 オトーサン、 「せっかくの機会だから、 細木さんに、ティーダ姫の運勢を占ってもらおうか」 そう思いつきました。 でも、ネットをみると、 黙って座っているだけで 10万円は取られるそうなので あきらめました。 公式サイトをみつけました。 ・細木数子の六星占術 http://www.6sei.net/pc/top.html でも、これもお金がかかります。 「しっかり営業してるなあ」 オトーサン、 頭の切り替えも早いほう。 タダの占いサイトを探し当てました。 ・ニャハハ あなたのクセ占い http://u-maker.com/1056.html 「じゃ、まず自分を占ってみよう」 このクセ占い、いたって簡単です。 ● お名前を教えて下さい ● 生年月日を入力して下さい ● 血液型を選んで下さい オトーサン、 さっさと入力しました。 表示された結果をみて、苦笑い。 ●オトーサンさんのクセは ブツブツ喋ることデス! ブツブツ喋る魔のあなたは大人しい性格! 自分からはあんまり喋らないでしょぅ そして、喋りかけられても相槌か愛想笑い程度 たまには、パーーッと騒いでみましょぅ! オトーサンさんの開運乗り物は、ママチャリです! オトーサン、 「言えてる! じゃ細木数子さんを占おう。 もし、当たっていたら、ホントに使えるかも」 ジャーン!結果判明。 ●細木数子さんのクセは 知ったかになることデス! 知ったかぶりの事ですが...知ってますよね? 優しぃのです! 本当は困ってる人をほうっておけない! そんなヒーロー的存在なのです。 オトーサン、 「優しぃのです! 当たってる、おそろしいほど当たってる! 彼女、昔は、こんな風だったもんなー。 ♪想うひとには 嫁がれず 想わぬひとの 言うまま気まま 悲しさこらえ 笑顔をみせて 散るもいじらし 初恋の花 オトーサン、 「彼女、そのあと、人には言えないような 苦労をして、いまがあるんだ じゃぁ、ティーダ姫を占ってみようか」 ・お名前を教えて下さい: >ティーダ姫 ・生年月日を入力して下さい >2004.9.30(発売日) ・血液型を選んで下さい >不明 オトーサン、 結果をみて、顔面蒼白。 「....あんたの言う通りだ」 柏庵、 「秘するが花じゃぞ、ここは」 ティーダ姫、 「見ないで!お願い!!」 そんな次第なので 価格COMにカキコした ミーケさん以外のひとは見ないように。
57 ♪飾りじゃないのよ涙は
オトーサン、 機嫌よく目覚めました。 昨日は、66歳の誕生日。 この世にいるのも、アトわずか。 でも... 朝早く、NYの娘から祝福の電話をもらったし、 お昼は、日産のWJくんからお祝いのハガキが着いたし、 夜は、奥方と娘と3人でケーキで祝ったし、 夜遅くなってから息子から電話がきたし... 「どうせ拾った命だもの...」 30歳前半に入院し、 いったんは死を覚悟したから、 もう30年以上余生を送っています。 いわば、余生の達人。 オトーサン、 「快晴だ、雲ひとつないな。 昨日は、まあ、いい一日だったなぁ」 御当地のサッカーチーム、 柏レイソルズがJ1残留を決めたし、 宣伝部の頃はじめたトヨタカップの最終戦もあったし... それに、クルマを買い換えたので、 都税の還付金1万3200円の通知もきました。 自動車税の差額が戻ってきたのでしょう。 いわば、臨時ボ−ナス。 「久しぶりに、ジャスコにでも行くか」 オトーサン、 勢いこんで行ったので、 9時には、もうジャスコ鎌ヶ谷SCの屋上駐車場へ。 ガラガラ、1台とまっているだけ。 どこでも好きなところに駐車できるって、いいもんですなー。 30分ほど、リアシートでパソコン三味。 太陽光暖房の快適なこと。 「ん?」 となりに、クルマが停車してきたのです。 「ガラガラの駐車場だというのに、 なんで、わざわざ、となりに? それも、おニューのティーダに スレスレにとめたりして、危ないじゃん」 オトーサン、 思わず運転席にいる若い母親に怒鳴りました。 {危ないじゃないか」 リア・ドアを子供が無邪気に開けようとしていました。 怒鳴ったおかげで、ドアに傷がつかずにすみました。 親子が立ち去ったあと、 その白いクルマをチェックしました。 「どこの会社なんだ?失敬な!」 みると、日産マーク。 「なーんだ、ウィングロードだったんだ」 その母親、おそらくティーダを見たかったのでしょう。 オトーサン、 臨時ボーナスで旅行鞄を買って、 また御機嫌になって、鼻歌気分で帰路につきました。 こうみえても、無類の鞄マニア。 海外旅行すれば必ず買いますし、 国内でも変わった鞄をみつけると買ってしまいます。 新しい鞄と暮らす気分が好きなのです。 オトーサン、 「危ないじゃないかー」 子供を助手席に乗せているクルマとすれ違いました。 「分かっとらんなー。 ぶつかったら、子供がどうなるのか」 フロントガラスを突き破って、 車外に飛び出すにきまっています。 こういうのって教習所で教えていないのでしょうか。 教習所が教えないとすると、どこで知るのでしょうか。 重大事故が起きた後になって、 「誰も教えてくれなかったのよー」 そう喚いたって、後の祭りです。 知らなかったではすみません。 れっきとした自己責任。 オトーサン、 信号でとまると、 となりのクルマの助手席にワンちゃん。 窓に両足をかけて、こちらを見ています。 「ポメだ、可愛いなぁ。 ウチのポメちゃんと同じ毛色だ」 でも、これは大変危険なのです。 その昔、同じようなことをしていたら、 JAFのひとに忠告されました。 「犬があなたの足元に落ちたら、どうなります? ブレーキが踏めなくなった死亡したケースもありますよ」 「そうなの。ちっとも知らなかった。 いいアドバイス、ありがとう」 オトーサン、 「今日は、危ないクルマが多いなぁ」 今度は、空車のトラックの後に ピッタリついて走っているミニバンを発見。 トラックの急ブレーキは、よく効くのです。 まして、荷物をまったく積んでいないとなればなおさら。 ふつうの人なら絶対に衝突します。 オトーサン、 そこで、 「分かっとらんなー」のケースを 以下にまとめてみました。 @風邪薬に注意。 居眠り運転、飲酒運転、 さらに麻薬を服用しての運転は論外ですが、 市販の風邪薬などは、気軽に飲むもの。 細かい注意書きなど*読まずに服用しがちです。 *服用後、乗り物又は機械類の運転操作をしないでください 眠気があらわれることがあります
A ヘッドレストの高さ 耳の穴の位置に合わせること。 そうしないと頭部を守れません。 また、頭とヘッドレストの距離は10cm以内。 これ以上離れるとむち打ちになりやすいのです。 なお、詳しくは、以下のサイトで。 ・スマート・ドライビングのすすめ http://www.vividcar.com/cgi-bin/WebObjects /f1b8d82887.woa/wa/read/f1bb2a5672/ B 日頃の性格やその日の気分 以下のひとは、事故を起こしやすい人です。 ・気持ちの変化が激しい ・極度に神経質 ・自分をおさえられない ・セッカチ ・他人の気持ちを察することができない ・自分の失敗を他人のせいにする ・行動にムラがある C 最近増えた危険な行為 このご時世なので、仕事で気が立っているのでしょうが... ・トンネルでの無点灯 ・ハロゲン・ヘッドライトが上向き ・高速での煽り運転や割り込み ・脇見運転(助手席に置いた書類をみている) ・レーンすれすれの走行(大型ミニバン) ・無闇にクラクションを鳴らす ・バイク便の運転 Dムカつく同乗者 同乗者の無意識の行為が、危険を招きます。 ・タバコを吸う ・お菓子をバリバリ食べる ・運転の仕方にケチをつける ・こっちが運転しているのに寝ている ・勝手に音楽やラジオを替える ・長電話する ・うるさいくらいよく喋る オト−サン、 「あの野郎!」 オープンカーです。 女が男の肩に体をもたせかけています。 そこで、思いだしたのが、 中森明菜と近藤真彦の2人。
オトーサン、 最近、明菜ちゃんが再起して 歌いはじめたことを知りました。 「よかったなー。明菜ちゃん、立ち直れて」 中森明菜 1965/7/13生まれ 東京都大田区 「スター誕生」でデビュー 1982年 第2作「少女A」でブレイク 1983年 レコード売上67億円達成 1985年 日本レコード大賞受賞「ミ・アモーレ」 1986年 日本レコード大賞受賞「DESIRE」 1988年 自殺未遂事件後、失踪 1997年 9年ぶりの全国ツアー 2002年 紅白歌合戦に復活 オトーサン、 「少女A」を聴いたとき、興奮しました。 清純派アイドルとはまったく違う不良少女。 その後の変身ぶりも見事でした。 歌が巧いだけでなく、 "Desire"での着物のセンスのよかったこと! 「まさに歌姫。ひばりを超えるかも」 帝国ホテルに宿泊して、帝劇へ。 レコード大賞をとったときなど、ぞくぞくしました。 ところが、マッチにフラれて、自殺未遂。 その後の痛々しかったこと。 「マッチ、男なら責任取れよー」 でも、 「マッチのマーチ」のコマーシャルで ニッサン・マーチの売り出しに貢献した近藤真彦は、 この頃からレースにのめりこんでいくのです。 「まあ、気持ちも分からんでもないが...。 自己責任を感じたんだろうなー。 でも、事故という形で自己責任なんか取るなよ」 そんな風に冷ややかに見ていたもの。 近藤 真彦 1964/7/19生まれ 神奈川県大和市 1988年 レース活動を開始 1994年 ル・マン24時間耐久レース初参戦 "KONDO Racing"を結成 全日本GT選手権第3戦初優勝) フォーミュラ・ニッポン参戦 1995年 全日本 F3000 フル参戦 全日本 GT 選手権参戦 全日本 GT 選手権第5戦優勝 ル・マン 24 時間耐久レース8 位 十勝24時間レース、クラス優勝 2000年 十勝24時間レース優勝 全日本F3選手権シリーズ参戦 鈴鹿1000km レース3位 2001年 "KONDO Racing"でフォーミュラ・ニッポン参戦 監督に専念し、チームランキング5位獲得 2003年 横浜ゴムと「ADVAN KONDO Racing」を結成し ル・マン24 時間耐久久レース参戦、総合13位 オトーサン、 最近、中森明菜がカムバックして、 歌った歌を聴いて、 「何かイミシンだなぁ」 ♪私は泣いたことがない 灯りの消えた街角で 速い車にのっけられても 急にスピンかけられても恐くなかった 赤いスカーフがゆれるのを 不思議な気持ちで見てたけど 私泣いたりするのは違うと感じてた 飾りじゃないのよ涙は HA HAN 好きだと言ってるじゃないの HO HO 真珠じゃないのよ涙は HA HAN きれいなだけならにいいけど ちょっと悲しすぎるのよ涙は HO HO HO Woo Woo Woo... (飾りじゃないのよ涙は 作詞・作曲:井上陽水) でも、この歌、1984年の歌なのです。 「明菜ちゃん、 この歌の意味を知って歌っていたのかなー? 飾りじゃないのよ涙は、なんて」 人生って、不思議ですねえ。 自分じゃ、すべて分かっているつもりでも、 そのときは、何も分かっていないことってあるのです。 オトーサン、 帰宅して、 ティーダにボディカバーをかけようとして、 テールゲートを開けようとしました。 ボディカバーはトランクに収ってあるのです。 「や、や」 お尻に小さな傷があるじゃありませんか。 「しまった。 バイクを出し入れするときに傷つけたんだ」 オトーサン、 昨日のティーダ姫の叫びを思い出しました。 「見ないで!お願い!!」 若い娘なら、お尻の傷など見られたくないのに 決まっています。 あまりにも、ひとの気持ちに無神経でした。 オトーサン、 「そうだったんだ。 占いじゃなかったんだ。 ティーダ姫が見てほしくなかったのは」 占いには、こう出ていましたっけ。 ●ティーダ姫さんのクセは 貧乏ゆすりをすることデス! オトーサン、 「考えてみれば、占いなんて 姫が信用するハズないよなー」 どう考えたって、 ミーケさん自身が運転しながら 貧乏ゆすりしていたに決まっています。 そうでなければ、事故車を買わされたのでしょう。 「ミーケさん、早いところ、 ちゃんとしたデーラーに見てもらうといいよ。 そうでないと...」 オトーサン、 ちょっと言葉に詰まりました。 その先って、言いにくじゃないですか。 オトーサン同様、 明日のことは、ホントに分からないなー そうお思いの方だけ、下記サイトをご覧ください。 ごく最近、価格comに新設されたんですよ。 http://www.kakaku.com/sougi/ ♪飾りじゃないのよ涙は HA HAN ちょっと悲しすぎるのよ涙は HO HO HO Woo Woo Woo...
58 鳥辺山の煙
オトーサン、 週に数回、温水プールへ。 松戸市のクリーンセンターが 余熱を利用して運営しているのです。 利用料、400円。 1ケ月ほど前に、係員に教わりました。 「柏にも、温水プールができますよ」 「どこに?」 「お宅は、どの辺? それなら、お宅からも高い煙突が見えるでしょう」 「えっ、そうなの? あれは清掃工場なの?」 南増尾にばか高い煙突が出来たので、 何だろうなーと思っていたのです。
オトーサン、 「あの煙突から、ダイオキシンが出るんだろう」 そこで、いろいろ調査してみました。 「ふーん、煙突の高さは75Mもあるのか。 ダイオキシンの排出量は、国の定める基準の10分の1。 世界最高水準の対策を打っているのか。 フランスからも視察団がくるのなら、ダイジョウブかも」 煙がこちらのほうにたなびくのを見はじめると、 気分悪いでしょうが、ひとまず安心しました。 オトーサン、 「ゴミの量はそう増えていないじゃないか。 この地に、第2清掃工場なんか不要では?」 柏市における 1人1日あたりのゴミ出し量の推移 平成4 961 g 5 966 6 989 7 977 8 994 9 1,002 10 1,033 11 1,038 12 1,043 13 1,026 14 1,023 15 1,030 でも、市北部の沿線開発で 人口が40万人へと増えそうなので、 ゴミ処理能力が不足する見込みだそうです。 市の収入が、年間500億円しかなく、 累積赤字が2350億円もあるなかで 400億円もかけて第2清掃工場を建設することにしたのです。
柏市の概要 面積 73平方Km 人口 32万人 県北西部の中核都市。 首都圏30kmに位置。 常磐自動車道、国道6号線、16号線、 JR常磐線、東武野田線が交わる交通の要衝。 05年常磐新線開業で北部開発(3400億円)に全力。 手賀沼、布施弁天、あけぼの山公園、 リーグ・柏レイソルのサッカー場等がある。 オトーサン、 「明日は可燃ゴミを出さなきゃ」 部屋に溜まった雑誌などを整理しました。 「これまだ見ていないな」 先日、1ケ月点検のとき、ディーラーでもらったもの。 自動車リサイクル法のパンフレットです。 「来年1月以降に新車を買うと、 リサイクル料が取られるんだよな。 早く買ってよかった」 そう思いこんでいました。 オトーサン、 「や、オレも取られるんか?車検時に」 下図のように、継続検査(車検)時に徴収されるのです。
オトーサン、 「これ以上、車に税金をかけるなよー」 取得税、重量税、自動車税、消費税、 それに自賠責保険料、ガソリン税、高い高速料金。 なまじ車検制度があるので、車検代も馬鹿になりません。 それに加えて、 定率減税が縮小され、 扶養家族控除もなくなり、 住民税だって上がります。 ほかにも上がるものはあるはず。 「こりゃ、実質、リサイクル税だよな−。 とりまくるなあー」 どこまでむしれば、気がすむのでしょうね。 要するに、 すべての自動車から徴収するわけですから、 7000万台の自動車保有台数に、 1台あたり1万円をかけると7000億円、 2万円だと1兆4000億円が、 この「自動車リサイクル促進センター」 なる特殊法人に集まるのです。 オトーサン、 「ふむ、経済産業省と環境庁から天下るのか。 腹立つなぁ 誰かが言ってたけど、天下りは賄賂だよな。 在職中に受け取らず、退職後に受け取る賄賂だよ。 ちょっとは、働けよ。 利権にカラスのようにたかるなよー」 ・経済産業省・天下リスト http://www.monjiro.org/tokusyu/amakudari/01/keizai.html ここで、柏庵登場。 「そこもとは、吉田兼好を知っとるか?」 「はい、あの"徒然草"を書いた」 柏庵、 どこかの高名な僧のように吟唱しはじめました。
♪あだし野の露消ゆる時なく、 鳥辺山の煙立ちも去らでのみ 住みはつるならひならば、 いかに物のあはれもなからむ。 世の定めなきこそいみじけれ。 命ある物を見るに、人ばかり久しきはなし。 かげろふの夕を待ち、 夏の蝉の春秋を知らぬもあるぞかし。 つくづくと一年を暮らすほどにだに、 こよなうのどけしや。 飽かず、惜しと思はば、 千年を過ぐすとも、 一夜の夢のここちこそせめ。 オトーサン、 「よく覚えておられますねえ」 柏庵、 「そこもとのように 埒ないもないことばかり覚えんからな。 頭に余裕があるんじゃ。 ...さては、意味が分からんな。 "あだし野"は、墓地のことじゃ、 "鳥辺山"は、葬地じゃな。 ワシも長いこと生きてきたが、 ほんとうに、遺骨を焼く煙が絶えないのう。 ひとの世の定めか。 まあ、短い人生、 リサイクル法とかいうつまらんことに いちいち腹を立ていては、身がもたんぞ」 オトーサンの脳裏には、 チベットの鳥葬の映像が浮かんできました。 無数の鳥がたかってきて、人体を食いつくすのです。 その鳥に、役人や解体業者や不法投棄者がだぶってきました。
オトーサン、 どうも腹の虫がおさまらないので、 調べを進めてみました。 いろいろと問題が山積しているようです。 ●自動車リサイクル法 経済産業省と環境省は、 廃車時のごみ減量化と部品の再利用促進を目指す。 (1)リサイクル費用は新車販売価格に上乗せし、ユーザーが負担する (2)料金は、メーカーが車種ごとなどに設定、公表する (3)不適切な料金は、国が是正を勧告する 欧州のように廃棄時に支払う後払い方式ではなく、 先取り方式とする。 メーカーは、当初、廃車時の徴収を求めていたが、 不法投棄の増加を恐れ、先取り方式で決着した。 ●疑問点 @年間100万台以上と推定される中古車輸出。 もし、自分のクルマがそうなったら、 預託したリサイクル料金は払い戻してくれるのか? 勿論、そんなことしてくれるハズないでしょうなー。 Aこれで不法投棄は減るのか? 法律の趣旨は、そうなっているが甘い甘い。 ナンバー・プレートを外せば分からなくなるし、 シャシーナンバーから調べられるが、事実上ムリ。 不法投棄(業)者を厳重処罰するシステムが必要なのに 解体屋やシュレッダー屋には、コワイ人が多いので、 その難問には、背を向けている。 かえって盗難車が増え、その輸出も増えるハズ。 Bリサイクル料金は、 メーカーが自主的に決めるそうですが、 メーカーやディーラーによってバラツクのではないか。 すると、安いほうへと客は流れる可能性がある。 結局、値引きのなかに含まれてしまうのではないか。 オトーサン、 「ところで、 ティーダのリサイクル料金、 いくらになるのかなあ」 読者のみなさんに代わって、 WJくんに電話してみました。 不在だったので、所長さんが回答してくれました。 もうすっかり仲良くなりました。 「ティーダは...1万4109円になりそうです」 「なりそうって、来年1月スタートでしょう。 もうすぐじゃないの」 「それが...2月にずれこむかも知れないもんで」 「間にあわない?」 役人って、何してるんでしょうねえ。 「ちょっとは働けよ」 ティーダ姫、 心細そうに、 「あたしも、鳥辺山の煙のように消えてゆくの?」 オトーサン、 「でも、寿命は、あと10年はあるよ。 オレと緒に死のうなー」 柏庵、 「たわけ! 姫に何ということを。 姫、この柏庵、全力をあげてお守り申しあげますぞ。 姫、このしょうもない男とちがって、 拙者同様、姫は、不老不死になれますぞ。 どうぞ、お心を平らかに」
59 ♪富士の高嶺に
オトーサン、 柏庵の言葉を聞きとがめて、 「不老不死になれる?」 不老不死といえば、古来からひとびとの夢。 日本人の平均寿命は、 女性は、85歳、男性は78歳、 女性は世界1位、男も2位だそうですが、 もちろん「不老不死」ではありません。 オトーサン、 古今東西の書物を渉猟いたしましたが、 これはという解決策は見つかりませんでした。 アメリカでは、20万ドル払えば、 液体窒素の中で身体を冷凍保存し、 後世、生き返らせてくれるそうですが、 やはり邪道というものでしょう。 最新の研究によれば、 脳細胞と心臓細胞が再生可能になれば、 不老不死も夢ではないといわれております。 というのも、その2つ以外の身体細胞は、 3年経つとすべて新しくなっているからです。 オトーサン、 「そうか、心臓が問題か。 心臓は酷使しているからなあ」 心臓は、一日に70×60×24=10万回 8トンもの血液を送り出しています。 問題は、血管の老化。 これは、脳も同様です。 血管が傷ついたり、 コレステロールが沈着したりしてダメになるわけ。 「研究者が専門バカになっているのがいかん。 特定の病気に焦点を当てずに、総力をあげて 不老不死の"プロジェクトX"をやるべきなんだ。 そうすれば、あと50年もあれば、 不老不死の夢が実現するかもしれないなー」 柏庵、 「たわけ! そんなこと、始皇帝がとうの昔にやっとるわ」 ●始皇帝 紀元前259-210年 統一帝国・秦の初代皇帝 13歳で即位した後、16年にして 中国大陸最初の統一王朝を築く。 「王の上の王」を意味する「皇帝」と名乗る。 封建制に代わって郡県制を敷き、 度量衡・貨幣・文字の統一を図った。 春秋・戦国時代を通じて諸国が建設した長城を連結し、 「万里の長城」の基礎を作った。 戦乱を平定した後、不老不死の秘薬探しに没頭した。
柏庵 「秦の始皇帝はなぁ、 国をあげて不老不死の妙薬を探したんじゃ。 "東方蓬莱の国の不死の霊山に不老不死の霊薬あり" そういう情報を家臣の徐福から聞きこんで、 3000人もの部隊を日本に送りこんで来たのじゃ」 オトーサン、 「なぜ、日本にあると判断したのですか?」 柏庵、 「水じゃな。 日本の大地に降った雨・雪は、 国土の70%を越える山地の地中深く浸透し 何百年もかけて浄化され、伏流水として地上に湧き出す。 じゃが、岩盤の多い中国やヨーロッパは、そうはいかん。 そこで、天に一番近い富士山の伏流水で ある原料を練ればいいと思ったんじゃ」 「なるほど、もっともらしく聞こえますね」 「わしの言うことを信じとらんな。 現にこのわしが不老不死というのになー」 「それは分かりますが...、 その妙薬、いまでも持っておられますか?」 「ああ、ここに入っとる」
オトーサン、 「それって、バイアグラじゃないですか バカバカしい、からかわないでくださいよ」 柏庵、 「はっ、はっ、はっ、 鹿革のふくさが傷んできたので、 これに入れ替えたんじゃ。 誰も、これが不老不死の妙薬とは気づかんじゃろうが。 もう残り少なくなってきたのう」 「バイアグラ、柏庵も試してみたんですか?」 「ああ、不老不死の妙薬じゃなかった」 オトーサン、 「それで...徐福は妙薬をみつけたのですか?」 「イエスでもあり、ノーでもあるな」 「?」 「ワシが妙薬づくりの原料を教えてやった。 徐福は、喜んどったなあ。 これで胸を張って國に帰れると」 「でも、徐福は日本に留まったといわれていますね」 「死んだんじゃ、ホントはなー」 「死んだ? だって...あちこちに 徐福が立ち寄ったという伝説が残っていますよ」 「伝説など、後から、いくらでもつくれるじゃろうが」 柏庵、 「実はな、ワシが殺したんじゃ」 「えっ?」 「秦の始皇帝は、危険人物じゃった。 あんな男が不老不死になってみろ。 あの広大な中国大陸を統一したんだから、 ヤマトも征服されるに決まっておる。 じゃから、何としても阻止せねばならんかった」 「どうやって、殺したんですか?」 「それはなあ。 まあ、いいか、もう時効じゃろう。 秘薬の原料のありかを教えたあと、 草薙の剣もみせてやったら、それは喜んでのう。 十五夜のお祝いに宴を設けることになった。 わしは、剣の片側に秘薬を塗り、反対側に水銀を塗った。 それで鶏を裂き乾杯して食べさせた」 「徐福は...、水銀を塗った側の鶏を食べた?」 「簡単じゃが、誰も見抜けなかったのう。 ワシが、不老長寿なのをみて、 残った家臣どもが、有難がって水銀を持ち帰って、 秦の始皇帝に献上したなー」 「それで、死んだ?」 「ああ、みるみる弱っていったなあ」 オトーサン、 「それで、不死の山には、 いまでも、その秘薬の成分があるのですか?」 「ない。はじめ宝永山の西側に隠しとったが、 別の場所に移し変えた」 「どこへ?」
柏庵、 「お座敷小唄を知っとるか?」 オトーサン、 「あの松尾和子さんが歌っていた?」 松尾和子さん、 キャバレーで歌っていましたが、 ブレイクして、"ムード歌謡の女王"に。 そのハスキー・ボイスの悩ましかったこと。 バイアイラ不要でした。 ♪富士の高嶺に 降る雪も 京都先斗町に 降る雪も 雪に変りは ないじゃなし とけて流れりゃ 皆同じ 好きで好きで 大好きで 死ぬ程好きな お方でも 妻という字にゃ 勝てやせぬ 泣いて別れた 河原町 ぼくがしばらく 来ないとて 短気おこして やけ酒を 飲んで身体を こわすなよ お前一人の 身ではない (お座敷小唄 作詞;? 作曲:陸奥明) オトーサン、 「それで? 不老不死の妙薬と小唄はどういう関係で?」 柏庵、 「その小唄、わしが作詞した」 「...作者不詳となっていますねえ」 「そうじゃ、秘薬のありかを忘れんよう 歌詞に隠しといた」 「歌詞に?」 「一番をもう一度見るかがいい。 分かるか? 手がかりをみつけたか?」 「京都先斗町?」 「あんな再開発の激しいところに隠せるか」 「うーん、分かりません」 「お前は、信用できる男か?」 「まあ、自分ではそう思っていますが...」 「その歌詞で、一番多く使われている言葉は?」 オトーサン、 じっとその歌詞をにらみます。 ♪富士の高嶺に 降る雪も 京都先斗町に 降る雪も 雪に変りは ないじゃなし とけて流れりゃ 皆同じ 「雪ですか?」 「よう分かったのう。で? じれったいのう。雪はいくつある?」 「えーと、3つありますね」 「三雪じゃ。 あとは、自分で考えろ。 ワシは、忙しいのじゃ。 秘薬を取りに行かねば... そうじゃ、姫も一緒にいかがかな?」 ティーダ姫、 もじもじして、 「でも、まだお尻の傷が...」 柏庵、 「そこから、バイキンが入るかも知らん。 おい、お前、早う手当てしてあげなさい。 では、しばし、留守にするが、 くれぐれも姫を大事にな。 頼んだぞ」 オトーサン、 柏庵と別れたその足で、 沼南のオートウェーブに行って、 若手メカニックに見てもらいました。 「そうですねー。 リアを全部塗り変えたほうがいいのですが、 米粒くらいの傷だからタッチペンで直せると思いますよ」 「タッチペンでお願いしますよ。 また擦るかもしれないし... それで、お値段と所要時間は?」 「2100円です。時間は40分くらい頂けますか?」 「そりゃ有難い。いますぐお願いします」 「塗料NOを調べたいので、 ボンネンットを開けてください」 「えっ、こんなところに書いてあるの?」 「しばらくお待ちください。 この塗料があるかどうか調べてきますから」 メカニック、 5分ほどして戻ってきて 「すみません。 新車なので、塗料がまだ入荷していません」 オトーサン、 落胆した姫とともに帰宅しました。 雨が降りそうなので、 ボディーカバーをかけてあげました。 自室にもどって、 ネットのGoogleに「三雪」と入力しました。 「これか?」
●三雪橋 1608年に鶴岡城主・最上義光公が架けた橋。 1622年酒井忠勝公が庄内藩主となって以来 250年間、城の大手の橋として威厳を誇った。 1876年三島鶴岡県令によって三雪橋と改称された. 橋の上から金峰山、鳥海山、月山を望み, 三山の白雪を頂く風光が絶景だったので そう名づけられたといわれる。
60 日産火災?
オトーサン、 「分からんなぁ」 柏庵のいう「三雪」の謎が解けません。 「三雪橋のたもとに隠したのかなあ?」 でも、そんなひとの往来の多いところに 隠すはずありません。 「橋の上からみえる3つの山のうちのひとつかなあ? そもそも、三雪橋が正解なのかなあ?」 オトーサン、 もう一度、Googleに「三雪」と入力してみます。 「橋本三雪が、やけに出てくるな。 まさか、この女性ということはあるまいな」
このひと、TVのレポーターのようです。 このたび芸名を橋本洋子から三雪に変えました。 心機一転がんばりますので、どうぞよろしく。 「見ず知らずの女性に、よろしくって言われてもなあー」 どうも、この三雪さんではなさそうです。 オトーサン、 「おっ、昔は、三日町橋だった? 名前が変わっているのか」 ●「三雪橋」の名前の由来 鶴岡を代表する風景の1つ 朱塗りの橋「三雪橋」。 昔は、三日町橋とよばれていました。 「あのきれいな山は、何だ? 金峯山か。 金峰山、鳥海山、月山の3つなら 月山かと思ったけど、ちがうのかなぁ?」 ●内川と三雪橋に霧が流れる 遥か金峯山を望むこの付近は、 庄内地方らしさを感じさせる景観である。 小説の中でしばしば登場するこの地は、 藤沢周平の最も好きな風景だった。
オトーサン、 一日中考えましたが、 どうも「三雪」の決め手がみつかりません。 「まあ、いいか。 柏庵が戻ってきたら、聞くことにするか」 自力で謎を解けないのも、 だらしない話ですが、致しかたありません。 オトーサン、 この日は、天気がよく暖かかったので、 柏市が誇る「あけぼの山農業公園」へ。 「大したことないなぁ」 長崎オランダ村(ハウステンボス)を見たし、 本場のオランダでも、本物を見たので、 まあ、お遊び程度のものでした。 オトーサン、 写真を撮りましたが、実物よりいいと思いますよ。
オトーサン 帰宅して、WJくんに電話。 「あのさー、 マウンテンバイクを乗せたときに ティーダのお尻に米粒くらいの傷が出来たんだ。 昨日、オートウェーブで聞いたら、 タッチペイントで直せるけど、塗料がないらしい。 2100円って言っていた」 WJくん 「分かりました。 オートウェーブ、2100円もするんですか? ウチなら640円ですよ。タダで塗ってあげますよ」 オトーサン、 「ありがとね」 セールスマンと仲良くなると、いいものです。 読者のみんさんも、 値引きのときの敵相手のイメージを いつまでも、引きづらないほうがいいですよ。 でも、塗料、営業所にないので、 やはり注文して入荷待ちになるようです。 オトーサン、 「今日は、どうも話が進まんなあ」 三雪のヒミツも解明できませんでしたし、 ティーダ姫のお尻の治療もできまでした。 それに、株価も思わしくありません。 12/13 1078 14 1098 15 1096 16 1093 オトーサン、 書き終わって、テレビをつけました。 「また、ドン・キホーテで、火事か」 この安売り店のドン・キホーテ。 この店名は、風車を相手に無謀な闘いを挑んだ セルバンテスの風刺小説からとったもの。 たまたま、あけぼの山農業公園に行ったら 風車に出会ったというのも、妙なめぐりあわせです。 ●ドン・キホーテ スペインの作家、 ミゲル・デ・セルバンテス(1547-1616) の小説、 または、その主人公の名前。 騎士道物語を読み過ぎて妄想に陥った下級貴族の主人公が、 自らを伝説の騎士と思い込み、 「ドン・キホーテ」と名乗り、遍歴の旅に出かける。 前編は1605年に発表され、大ヒット。 後編は1615年に出版され、贋作に対抗して、 行き先をサラゴーサからバルセロナに変更している。 この小説により、唯一神である<真理>が解体され、 人間が主人公である相対的真理を基本とする 近代世界が生まれた。 「あらゆる散文のフィクションは、 この小説のヴァリエーションである」 そう言われるほど懐の深い小説である。 オトーサン、 「ドン・キホーテの店も、奥が深いなー。 火事や地震が起きたらは危ないな」 そこで、一首。 「ドンとくりゃ 客皆殺しの 店づくり」 オトーサン、 アホな川柳をひねっているところに、 日産という文字が飛びこんできました。 ●日産自動車栃木工場で火災 16日午後2時10分ごろ、 日産自動車栃木工場から出火した。 消防車約10台が出動し消火に当たり、 午後3時すぎほぼ消えた。 従業員は避難し、けが人はいないという。 燃えているのは、鋳造工場内の自動車部品を運ぶ 樹脂製のパレット約20トン分。 鋳造工場の屋根では修理のための溶接工事をしており、 溶接の火花が引火した模様。
オトーサン、 「まあ、大したことなくてよかった」 でも、 その日の夜遅く。 価格comをチェックすると、 「えっ、ティーダがリコール?」 すぐ日産の公式報告をみました、 詳細を分かりやすくお伝えしましょう。 ●燃料蒸発ガスがホース内を通過する時の 脈動音を低減させるパージレゾネータの 製造方法が不適切なため、溶着部がはがれる。 使用を続けると、燃料蒸発ガスが漏れて、 炭化水素の排出量が規制値を超えます。 (対象車) ●ティーダ 型式:DBA-C11 車台番号:C11-014072〜C11-016993 期間:11月9日〜25日 台数:2,645台 ●ティ−ダ 型式:型式:DBA-NC11 車台番号:NC11-101753〜NC11-102115 期間:11月9日〜24日 台数:351台 (対象車) ●ティーダラティオ 型式:DBA-SC11 車台番号:SC11-003497〜SC11-006444 期間:11月9日〜24日 台数:2,383台 ●型式;DBA-SNC11 車台番号:SNC11-100403〜SNC11-100640 期間:11月12日〜24日 台数:232台 ●リコール開始日:2004年12月17日 型式や車台番号は、 車検証に印刷されています。 それを確認してから、ディーラーに連絡すればいいのです。 欠陥品のパージレゾネータを 良品と無償で交換してくれるそうです。 オトーサン、 「燃料蒸発ガスが漏れて、 炭化水素の排出量が 規制値を超えるなんて、 悠長なことを言ってるけど、 ガス漏れで火災になるのじゃないの?」 疑問・文句は後にして、 まずは車検証を見に行きました。 ドキドキします。 「型式は?」 「DBA-C11...該当するじゃん」 「車台番号は?」 「あー、よかったー」 リコール対象車よりも、幸い、若い番号でした。 「でも...こうご難続きじゃなぁー」 日産株は、確実に下るでしょうね。 なお、表題にした「日産火災」。 日産系の損害保険会社ですが、 経営不振打開のために、 安田火災と平成14年7月1日に合併し、 損保ジャパンになっています。
61 マイナス・イオン
オトーサン、 翌朝、もうひとつのリコ−ルをチェック。 ●無段式変速機において、 出力側プーリ軸に異品を組み付けたものがあるため、 スチールベルトが通常のプーリー接触部と異なる部位と干渉し、 スチールベルトが傷き、走行不能にいたる。 (対象車) ●ティーダ 型式:DBA-C11 車台番号:C11-012574〜C11-015128 期間;10月28日〜11月16日 台数:61台 ●ティーダラティオ 型式:DBA-SC11 車台番号: SC11-002265〜SC11-002967 期間:10月28日〜11月2日 台数:27台 ●リコール開始日 2004年12月17日 欠陥品の無段式変速機を良品と無料で交換する。 オトーサン、 CVTでは、ありませんが、 ATの故障で立ち往生したことが2回ありますので、 こちらのリコ−ルは、あまり気になりません。 ドキドキ感は、年賀はがきの当選番号をみる程度。 車検証を見ました。 「型式は?」 「DBA-C11...該当するな」 「車台番号は?」 「ちがう。...惜しいところだった」 リコール対象車よりも、わずかに若い番号でした。 オトーサン、 そんなことで、気分爽やかに、 その日をスタート。 風は冷たいのですが、雲ひとつない快晴。 空気が澄んでいます。 一昨日に続いて、 またもや東京へ出る奥方を駅まで送って、 高柳新田にある松戸市クリーンセンターの 温水プールを目ざします。 家のそばの交差点を通過しました。 「おっ、清掃車の出動だ!」 第2清掃工場が稼動しはじめたのでしょう。 何十台もの清掃車の列が反対レーンを占拠しています。 2信号でも渡りきれないようで、 ほかのクルマも加わって1kmほどの渋滞になっています。 オトーサン、 「臭えー」 エアコンを内気循環にし忘れました。 排気ガスの臭いが鼻をつきます。 東京・晴海に住んでいた頃は、 さほど気にならなかったのですが、 渋滞のない郊外で暮らしているうちに 鼻が敏感になったかもしれません。 「そうだったんだ。 ダイオキシンよりも排出ガス公害が問題だった」 考えてみれば、第2清掃工場は、 柏市の半分の清掃車が集まる基地になっていたのです。 「道路の拡幅工事が終われば、渋滞も緩和されるだろう。 物事は、楽観的に考えねばなあー」 オトーサン、 田舎道を走っています。 高柳新田に近づくと、あたりは農村風景。 うっそうとした森あり、竹林あり、 田圃あり、ビニールハウスあり、 梨やイチゴや野菜の直売所が点々としています。 「昔のまんまだ。わらべ歌の通りだ」 おら前の田ん中で ♪ おら前の田ん中で どじょうの祝言だ ふなが提灯もちゃ なまずが仲人で えびの腰曲がりが はさん箱かづき いもりのこのこ お供にはいだした (東葛飾郡沼南町高柳) オトーサン、 「そういえば、昔のおばあちゃん 腰が曲がっとったなあ。 ありゃ...」 高柳にぬける田舎道で、時ならぬ大渋滞。 事故現場には、パトカー、救急車、ミニバン。 白のミニバンが農家のおばあちゃんを撥ねたようです。 こんな事故も加わって、 "えびの腰曲がり"の自然淘汰が進んでしまうのです。 読者のみなさん、 「はさん箱って、何だね?」 その昔、衣服などをいれ、棒を通して従者がかついだ箱。 先頭が提灯をもって、夜道を照らし、 みんなで嫁入り衣装を運んだのでしょう。 オトーサン、 「いもりのこのこか。ほんとにそうだなあー」 引越し直後、娘の部屋で、いもり騒ぎがありましたっけ。 「キャーツ!いもりよ!何とかしてー」 「まあ、いもりがでるほど、 自然が残っているということ。 前向きに考えろよ」 「冗談じゃないわよ、早く退治してよー」
オトーサン、 「もしかしたら、柏庵の秘薬は、 いもりの黒焼きじゃないのかなあ」 でも、これは間違いのようです。 ●落語「いもりの黒焼」 米屋の美人の娘に惚れてしまった喜六は、 彼女を何とかこちらになびかせたいと思い、 惚れ薬のいもりの黒焼きを娘にふりかけようとするが、 風が吹いて薬が別のものにかかってしまい大騒ぎになる。 オトーサン、 渋滞をぬけて、 東武野田線の踏切に近づきます。 読者のみなさん、 この東武野田線、いまだに単線ですよー。 いかに東武鉄道が無気力か分かるでしょう。 まあ、不祥事の西武鉄道よりはいいかもね。 竹林のなかの道を通過しました。 窓をちょっと開けると、いい匂い。 自然が残っているって、いいもんです。
オトーサン、 「かぐや姫と何かの関係があるかもなぁ? 柏庵の不老不死の妙薬。 ウチに帰ったら調べてみようっと」 ●竹取物語(その1) むかし、むかし、あるところに 竹籠を作って暮らしている老夫婦がいました。 翁が竹薮に出かけていくと、 根元が光り輝いている竹をみつけました。 切ってみると、9センチほどの赤子が...。 その日から竹の中に金を見つける日が続いて、 老夫婦は豊かになっていったのです。 何不自由なく大事に育てた甲斐あってか、 子供はすくすくと育っていきました。 みめ麗しく、光輝くような女性になったので、 「なよ竹のかぐや姫」と名づけることにしました。
オトーサン、 600メートル泳いで、元気ハツラツ。 「若いもんには、負けないぞ」 この水泳、大病した30代後半から、 いろいろ試した結果、習慣にしたもの。 ゴルフ、テニス、ジョギング、ウォーキングのなかでは、 水泳が短時間で一番効果的な有酸素運動だと思います。 水中は抵抗が大きい為、 陸上と同じ動きをしても自然と負荷が大きくなりますし、 大きく息を吸うので、有無酸素運動になりやすいのです。 身体もさっぱりしますし、 おばさま方の麗しい肢体も拝めますしねえー。 「あんた元気だねえ、幸せもんだよ」 娘に呆れられるのは、水泳のおかげです。 オト−サン、 トヨタ本社に勤めていた頃は、 保見のスポーツセンターのプールで 豊田英二会長とよく出会ったもの。 当時、70歳を過ぎておられましたが、元気そのもの。 700メ−トルを平泳ぎでゆっくりと泳がれるのです。 「おお、君か」 決済事項で会長室に説明に上ったときなど、 裸のおつきあいが役立ちましたよー。 オトーサン、 これも健康にいいといわれる ヨーグルト・ドリンクを飲んで、 公園のおばさんたちのテニスを見学してから、 ティーダの車内で仮眠しました。 昨夜のティーダのリコール騒ぎで、ちょっと寝不足。 アイドリング状態で15分だけ。 読者のみなさん、 この「15分仮眠法」、マスターするのをおすすめします。 ・詳しくは、 http://www.nhk.or.jp/kenkotoday/2001/20010201/20010201.html このアイドリング、 厳密に言うと、千葉県条例違反ですが、 この程度なら許されるでしょう。 それにエンジンへの負荷も少ないでしょう。 エンジンをかけておくと、 マイナス・イオンが出てきて、とても気持ちがいいのです。 でも、このすばらしい効能について ティーダの取扱説明書には、全く書いてありません。 勿論、短期間の試乗しかしない 自動車評論家のレポートでは触れてもいません。 オトーサン、 そこで、調査結果をご報告しましょう。 ・プラズマクラスターイオン あるシャープのプラズマクラスターイオン。 その技術は(財)北里環境科学センターにより、 「インフルエンザウイルス」の 病原性細菌を死滅させる効果があると話題を呼んでいる。 プラズマクラスターイオンとは、 プラスとマイナスのイオン粒子を空気中に放出して その吸着効果により細菌やニオイの粒子などを分解する技術。 吸い込んだ空気を4層のフィルターで集塵したあと、 プラズマクラスターイオンの粒子を乗せて放出する。 まさに空気をごしごし洗うといった感覚の空気清浄技術である。 センサーが室内の汚れ具合を調べて、 自動的にプラスとマイナスのクラスターイオンの放出量を調整する。 空気がきれいになったら、 イオンバランスを整えるリフレッシュモードに切り替わる。 シャープのフィルターは 「プレフィルター」 「洗えるスタミナパワーカーボン」 「アパタイト抗菌フィルター」 「HEPAフィルター」の4層構造。 集塵効率99.97%で、細かいチリ・ホコリ・カビ菌の粒子も通さない。 プラズマクラスターは強力な除菌効果を持ち、 タバコの煙に含まれる一酸化炭素やニオイ成分の分解効果もある。 花粉症予防やハウスダストによるアレルギー防止にも役立つ。 オトーサン、 ネットで探しまくりましたよー。 発掘!あるある大事典の実験結果もみました。 ・http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/aruion/ion_3.html 要約すると、 @血圧変化が正常に戻り、自律神経の乱れが改善された。 A不眠が解消された。 B痛くてさわれないほどの首の張りが無くなった。 Cひどい便秘が直った。 ティーダの購入で迷っておられる方、 プラズマ・クラスターイオンがついていることを、 お忘れなく! ティーダ乗りのみなさん、 不眠症が直った、 便秘が直ったという以外に、 精力が絶倫になって夜が楽しみになったなど 貴重な体験をされましたたら、ご一報下さい。 オトーサン、 その夜、窓を開けたら、三日月がみえました。
「そうだった。 かぐや姫のことを調べ忘れた。 そういえば、柏庵、どうしているかなあ?」 マイナスイオン、 どうやら老人性痴呆症には役立たないようです。
62 月山に死す
オトーサン、 「日産の株価、いくら下ったかなあ?」 おそるおそる朝刊の株価欄をチェックしました。 「えっ、14円高の1107円? 工場火災とリコ−ルがあっても、上るのか?」 市場は、経営に大した影響がないとみたようです。 「でも、マツダは、3円安の315円。なぜだ?」 ネっトで検索しました。 ・マツダ宇品第一工場で火災 15日午後11時前、塗装B棟の2階から出火。 7時間後に鎮火したが、生産ラインはストップ 年内操業再開は難しい。、 成約済みのデミオやベリーサが納車遅れとなる。 「こりゃ、マツダは大変だなー。 ティーダには、ライバルのベリーサがこんなことになって 追い風になりそうだけど」 オトーサン、 「今日は、いい日になりそうだ。 紀宮さまと黒田さんの婚約内定発表があるもんなー」 ところが、TVをつけると、 「ありゃー、延期か。2度目だ」 ・高松宮妃喜久子さまは、18日午前4時24分、 敗血症のため東京都中央区の聖路加国際病院で亡くなられた。 92歳だった。 喜久子さまは、徳川最後の将軍、慶喜の孫にあたる。 すでに高松宮が亡くなられており、子供もいないので、 これで高松宮家は、廃止される。 紀宮清子さまと黒田慶樹さんの婚約内定発表は、延期された。 オトーサン、 昔のひとはいいことを言うなと思いました。 ・「禍福はあざなえる縄のごとし」(史記) 人生では幸福が転じて不幸となり、 不幸がいつのまにか幸せをもたらす。 禍と幸福はねじりあわせた縄のようなもの。 ものの見方によって変わる。 ならば、前向きに受けとりたいものである。 ・「月満れば すなわち欠く」(史記) 何ごとも盛んになれば、やがて衰え、 そしてまた盛んになるという波がある。 だから苦境期を耐えて送れば、おのずとそれは通りすぎていく。 少しの間、待つこと忍ぶことが苦境期には必要である。 オトーサン、 この世に定めなどないもんだなーと思いました。 「そうだ、柏庵の宿題の続きをやらなくては」 近所の本屋へ、ティ−ダで出かけ、童話集を探しました。 ●竹取物語(その2) この光輝く姫の噂は、世間に広がりました。 男たちはみな、かぐや姫と結婚したいと思いました。 つめかけた男たちのなかで、 最後まで残ったのは、5名の貴族でした。 かぐや姫は、その5名に、こう告げました。 「結婚相手は、お願いした品物を持ってきた方」 ・石作皇子:仏の御石鉢 ・車持皇子:蓬莱の玉枝 ・右大臣阿倍御主人:火鼠の裘 ・大納言大伴御行:龍首の五色の珠 ・中納言石上麻呂:南海の燕の子安貝 でも、誰一人として、 その願いを叶えることはできませんでした。 そして、この噂は、ついに帝に伝わりました。 帝も姫に会いたがったのですが、姫は拒み続けました。 時が経ち、秋になると、姫は、毎夜、泣くようになりました。 9月15日が近づくにつれて、泣き方はいっそう激しく... 「あたしは、異世界のもの。 15日には帰らねばなりませぬ」 帝は、15日の夜、軍隊を出動させ、阻止しようとしました。 15日は、中秋の名月。その午前2時過ぎ。 「おお!おお!!」 天空から人が降りてきました。 あたり一面、光の渦と化しました。 軍隊までも、金縛り状態になってひれ伏しました。 別れ際、姫は帝に「不死の薬」を贈りました。 帝は、嘆き悲しみ、臣下の者に命じました。 「この霊薬、姫がいないのに飲んでも仕方あるまい。 日本一の高山で焼いてしまえ!」 それ以降、その高山は、 「不死の山」と呼ばれるようになりましたとさ。 オトーサン、 「そうかー、 不老不死の妙薬は、焼かれてしまったんだ。 現存しないのだ。 原料も、製法もわからんのか。 弱ったなぁ」 また、悩みはじめました。 「何か、いい手がかりはないものかなー」 オトーサン、 胸のもやもやを晴らすために、 近くのスーパー銭湯に行きました。 あのアルキメデスのように、 入浴中にアイデイアがひらめくかもしれません。 ドクダミ湯につかって考えます。 「ドクダミの葉を煎じたのかなあ? ドクダミが不老不死の妙薬ということはないだろうなー」 ●どくだみの薬効 あせも、かぶれ、湿疹、はれもの、虫さされ 痔、整腸、強壮、便秘 オトーサン、 「ちがうなあ」 子供の頃、田舎でオバーチャンに ドクダミを揉んで擦り傷につけてもらったことがあります。 オトーサン、 風呂から上って、座敷でゴロン。 眠くなるだけで、アイデイアは出てきません。 外山磁比古さんが「思考の整理学」で アイディアが浮かぶのは、 「無我夢中、散歩中、入浴中」 そう書いておられます。 「入浴中は、ダメだったな。散歩でもするか」 オトーサン、 加賀のほうで、 フリーマーケットをやっているらしいので、 散歩がてら行くことにしました。 「これ下さい」 「破線のマリス」を買いました。 第43回江戸川乱歩賞受賞作とあります。 「おいくらですか?」 「50円」 「そんなに安くていいんですか?」 「まあ、読んでもらえれば、 女房がブランド買いと読書好きででね」 「そうなんですか。大変ですね」 「いや、オレもゴルフに狂ってるからね」 オトーサン、 「どうも、アイデイアの元にはなりそうもないなあ」 散歩も効き目がないようです。 玄関に入る前にふと思いつきました。 「そうだ、迷ったときはフリダシに戻れっていうなー」 先日の柏庵との会話を思い出します。 「それで、不死の山には、 いまでも、その秘薬の成分があるのですか?」 「ない。はじめ宝永山の西側に隠しとったが、 別の場所に移し変えた」 「どこへ?」
オトーサン、 「この○印は何だ?」 拡大してみました。 「何か、ひとのような形がみえるな。 人形みたいだな。それとも雪の精かなー? でも、そんなもの不老不死の妙薬にはなりそうもないし...」
オトーサン、 ふとおそろしい考えがひらめきました。 「そうか、ヒトを食うんだ!」 熱帯に住む未開民族が人肉を食べるのは、 不老不死を願ってという話を聞いたことがあります。 「でもなー」 まさか、柏庵がそこまではするとは思えません。 下手な考え休むに似たり」 さきほど買った文庫本を手にとります。 著者名をみて 「野沢尚?まさか、あの?」 ●野沢尚(のざわ・ひさし) 6月28日14時半ごろ、脚本家・野沢尚さんが 事務所で首を吊って死亡していた。 44歳。仕事は順調で、夫人は思いあたる節はないという。 野沢尚さんは、1960年5月7日、名古屋市生まれ。 日本大学芸術学部にすすみ、シナリオ作家としてデビュー。 「木曜ゴールデンドラマ」「ドラマシティー'92」などで 鶴橋康夫監督とコンビを組んで多くの作品を発表。 「手枕さげて」、愛の世界」、「性的黙示録」、「雀色時」 などで数々の賞を受賞し、連続ドラマに進出した。 フジテレビ「親愛なる者へ」、「素晴らしきかな人生」 「この愛に生きて」、「恋人よ」の恋愛ドラマを連作した。 ミステリードラマ「眠れる森」は、向田邦子賞を受賞。 佳編を次々と発表してきた。 1997年の小説「破線のマリス」では江戸川乱歩賞を受賞、 「深紅」で吉川英治文学新人賞を受賞した。 家族は、夫人と中学生の男児、小学生の女児。
オトーサン、 胸騒ぎがします。 「まさか、柏庵も?」 最後の会話を思い出します。 そういえば、頼んだぞに気持ちが入っていたなー。 「そこから、バイキンが入るかも知らん。 おい、お前、早う手当てしてあげなさい。 では、しばし、留守にするが、 くれぐれも姫を大事にな。 頼んだぞ」 オトーサン、 「柏庵から連絡が入っていないかな」 留守電をチェックしました。 低い男の声。 「こちらは、鶴岡署です。 すこしお伺いしたことがありますので、 ××××(28)0110まで、折り返しお電話ください。 連絡先は、×、×、×、×、28の0、1、1、0です。 では、よろしくお願いします」 オトーサン、 電話口で崩れ落ちそうになりました。 すぐに電話します。 「もしもし...柏庵の知人ですが」 「はいちょっとお待ちください。 係りの者に回しますから」 その後の会話の詳細は、省略しますが、 やけに詳しく柏庵との関係を聞かれました。 問題の柏庵ですが、 月山(がっさん)山頂の御室のなかに 遺体があり、その脇に遺書があったというのです。 オトーサン、 最近、オレオレ詐欺が流行しているので、 一応、チェックします。 「すみません、よければ写真をメールで 送っていただけませんか?」 「それは、ちょっと。 こちらまでお出で頂きたいのですが」 「...そう言われても、もし別人だったり、 いたづら電話だったら、無駄足になりますから」 ティーダで行ってもいいのですが、 山形県の山奥だと、もう雪があるかも知れません。 「スノータイヤ、まだ買っていないしなぁ」 オトーサン、 強硬にこちらの立場を主張しました。 押し問答の末、 ようやく先方も折れてくれました。 「では、こうしましょう。 よく似ておられる方のお写真をお送りします。 それでご判断ください。 実物では、ありませんから悪しからず それから、 お写真の扱いは慎重になさってください。 誰にもみせないように。 ほんとにお願いしますよ。 本官のクビが飛びますので」 オトーサン、 「メールで画像が送れるなんて、 便利な世の中になったもんだ」 10分後、画像がつきました。 「おーっ」 絶句しました。 柏庵そのもの。 いや、顔かたちが柏庵にそっくり。
63 オレオレ詐欺
オトーサン、 「こうしちゃおれない。姫に知らせなくては」 あくまでも平静を装って、姫に切り出します。 「いいかな、ちょっと」 「なーに?」 明るい打ち解けた様子で答えてきます。 柏庵の前では、見せない表情や仕草です。 「ついさっき連絡が入った。 柏庵が亡くなったそうだ」 ティーダ姫 「えっ...まさか」 「警察からの電話だから間違いはないと思うけれど」 みると、姫の目からは、大粒の涙が。 肩をふるわせ、うつむいて泣いています。 オトーサン、 その姿をみて、 「柏庵は、死んだんだ」 あらためて、柏庵の存在の大きさ、 死という事実の残酷さを痛感させられます。 ほんとうは、人目をはばからず号泣したいところですが、 必死になって、姫をあやそうとしました。 「...でも、まだこの目で確認したわけじゃないんだ」 そういいながら、柏庵の豪快な笑い声がよみがえってきます。 「あの独特の破顔一笑は、もう見られないんだ」 口グセだった"お前、そんなことも知らんのか” あれも、シャクに触ったものですが、 いまとなっては、許せるような気もします。 悪意があってのものではなかったのです。 オトーサン、 「柏庵が死ぬ、そんなハズはない。 そんなことが起きるはずがない。 もしかしたら、これは新手のオレオレ詐欺じゃないのか」 冷静になって考えてみれば、 送ってきたのが、ミイラ写真というのも怪しいもの。 「誰かに相談するか」 学生時代の友人が神奈川県警本部長をやっていましたが、 それは、もう十年以上も前のこと。 「Kセンセイはどうだろう」 中学時代に歴史を教わりました。 山好きですから、月山に登ったこともあるかも。 でも、センセイは、パソコンもケイタイも大キライ。 「そうだ、ヤマケイに聞こう」 アウトドアに狂っていたころ、 山と渓谷社の編集長さんと親しくなりましたっけ。 八ケ岳の山荘にも泊まってもらいました。 早速、電話をしたら、いました。 事情をお話して、画像をメールで送りました。 オトーサン、 「さすが、ヤマケイだ」 ●その画像は、 湯殿山神社の大日坊にある 即身成仏された真如海上人でしょう。 月山は、海抜1984m、 羽黒山(414m)、湯殿山(1504m)とあわせて 出羽三山といわれています。 山岳信仰・修験霊場として有名です。 湯殿山神社へは、JR鶴岡駅からバスで約2時間。 お気をつけて。
オトーサン、 「姫も行きたいだろうし、クルマで行くか。 でも、気が動転しているから、列車にするか」 そう思っていると、電話の呼び出し音。 「こちら、鶴岡署です。 さきほどの件ですが、いかがですか? 確認されましたか?」 「はい、本人に似ています」 「そうですか。 実は、その後、連絡が入ってきて、 ご遺体が山頂の御室にあるというのは、間違いでした。 月山から湯殿山に向かう途中、 ルンゼを登っておられて、滑り落ちて瀕死の重傷です。 病院に運ばなければならないのですが、 ヘリコプターを飛ばさなければならないので 至急、お金を振り込んでいただきたいのです。 300万円ほど」 オトーサン、 ピンときました。 「...失礼ですが、オレオレ詐欺じゃないの? あなたは、どなたですか?」 「あなたは、どなたって? 何度も名乗ってるでしょう。鶴岡署のものだと」 「じゃ、所属は?」 「捜査一課です、決まってるでしょ」 「それって違うんじゃないの? 友人が神奈川県警本部長をしているので、 彼のほうから、そちらの署長さんに確認を取ってもよろしいですか?」 「勿論、いいですよ。お疑いなら。 でも、こんな場合、手間取っていて、いいんですか? 月光坂に行くには、雪渓を行くべきなのに ムリヤリ岩場を登ろうして鉄鎖から手を滑らせたのです。 これだけ詳しくお話してもダメですか。 念のために、振込口座をお知らせしておきます。 最寄りの金融機関が閉まらないうちに、 お急ぎになられたほうがいいですよ」 「ちょっと。ああ、切れちゃった」 オトーサン、 ホッとしました。 どうも新手のオレオレ詐欺のようでした。 ●被害に遭わないための防止策 @自衛隊員、消防署員などの公務員が 災害支援等に関して現金の振り込みを依頼することはありません。 A相手が自衛隊員や消防署員などの公務員を名乗る場合は、 相手の所属と氏名を聞き、 一旦電話を切ってから所属先に本人かどうか確認する。 B 電話を切った後、本人やその家族等と連絡をとり、事実を確認する。 C 確認がとれない場合はお金を振り込まない。 D 不審に思ったらすぐに警察に相談する。 なんでも、オレオレ詐欺の被害総額は 今年の1月から9月末までに130億円にも上っているそうです。 ひとの不幸につけこんで、電話1本で騙しとるのですから、 その卑劣さに腹が立ちます。 新潟中越地震の被災者や義援金詐欺まで出てきたそうです。 オトーサン、 とりあえず、 姫に現状を話しておこうと思って 部屋を出ようとすると、また電話。 「オレだよ、オレオレ」 「....」 「シャリさん、何で黙ってるんだよ」 シャリさんというのは、 中学時代ガリガリに痩せていたので、 ワルガキどもが、 骸骨(しゃれこうべ)を省略してつけた愛称。 中学の同級生しか知らないでしょう。 細木数子さんなら覚えているかも。 でも、詐欺師が、このアダ名を知っているとは大したもの。 暗証番号だって、割り出される時代。 油断も隙もありません。 「あんた、誰?姓名は?」 「シャリさん、どうしたの? オレだよ、オレ。この声、分からない?」 「申し訳ありませんが、ご用件は?」 「水臭いなぁ、エラクなると、ひとが変わるのかよー。 おれ、山本譲治だよ。カエルだよ」 「カエルか。すまん、すまん。 たったいま、オレオレ詐欺にかかりそうになったもんだから。 で、何だ、用件は? あっそう、そうなのー」 級友のひとりが死んだので、お通夜の連絡でした。 「オレたち、数えで、もう67歳だもんな」 オトーサン、 弔電を打ち終わって、 今日の出来事を思い出します。 一日中、ふりまわされました。 「詐欺師野郎、タダじゃおかねえからな」 そう毒づきました。 どんなに怒っているか、 その気持ちをお伝えするために ここでひとつの民話をご紹介してましょう。 ●「しゃれこうべのあだ討ち」 http://www.h3.dion.ne.jp/~kugekuge/ms027.html むかしなぁ、あるところに腕のいい猟師と その嫁さんが住んでいたんだと。 猟師はなまじ腕がいいもんだから稼ぎはいいんだども その稼ぎを遊ぶのに使ってしまうもんでな、 嫁さんはいっつも苦労して家を支えていたんだと。 ある夜のこと、今日もまた猟師が夜遊びしてて 嫁さんがひとりぽっちで家さいると なぁ、外のほうから 「戸をあけろぅー、戸をあけろぅー」 ってこの世のものとは思えねぇおっかねえ声が聞こえたんだと。 嫁さんはぶるぶる震えて頭から布団かぶっていたんだども、 だんだん戸をたたく音は強くなるは声は大きくなるもんでな。 嫁さんは生きたここちしねかったんだと。 そしたらふっと、いつのまにかその声が聞こえなくなって 戸をたたく音もしねくなるんだと。 そんなことが猟師のいねぇ時にまいばんまいばん続くもんでなぁ、 「これこれこういうことがあってなぁ、怖いからいてけろぅ」 って訴えるんだども猟師はさっぱ耳をかさねぇでなぁ、 まいばんまいばん遊びさほっつきあるったんだと。 そしたらある夜のこと、 またいつものように嫁さんが一人でいると、 「戸をあけろぅー、戸をあけろぅー」 って聞こえてきてなぁ、 嫁さんは震えていつものように布団さ隠れていたんだと。 そしたら今日は声が大きくなって 戸をたたく音がでかくなったと思ったら、 突然戸があいて えたいのしれねぇもんが家ん中さはいってきてなぁ、 嫁さんの布団をはいでよめさんをつかんでなぁ、 首やら手やら足やらをばらばらに引きちぎってしまったんだと。 なんもしらねぇ猟師はなぁ、 夜遊びをおえて家さ帰ったんだと。 そしたら家にあかりはついてねぇんでなんだべなぁ、 って家ん中さ入ったら なんだか細長いもんにつまずいてな、 よぉくみてみっとそれは嫁さんの足だったもんだから、 猟師はたまげてしまってなぁ、 よくよく見てみっと嫁さんが八つ裂きになっていたんだと。 猟師はこんな家にはいらんねぇって家を飛び出したんだと。 そしたら家ん中から嫁さんの首が 猟師の後さついてきたんだと。 どんなに走っても山越えても首は猟師の後ろさついてくるもんでなぁ、 どしたもんべなぁ、って思っていると 目の前さ川があったもんだからな、 猟師は川の側を歩いてみっと 嫁さんの首も川の側を転がっていたんだと。 そしたら猟師は隙を見て嫁さんの首をぽーんっと蹴って ぼちゃーん、って川ん中さ首を落としたんだと。 これでほっと胸をなでおろしてなぁ、 それから元の家さもどんねぇで町さでて稼いでいたんだと。 何年経っただろうか、 そろそろほとぼりも冷めたころだべぇっておもってな、 家さ帰ることにしたんだと。 その日はとても暑い日でなぁ、 歩いているうちに汗ばんできたもんだから 近くの川さはいって水浴びを始めたんだと。 頭から水をかぶっているとなぁ、 川の底からしゃれこうべがでてきてなぁ、 猟師の足を掴んだかと思うと あっという間に猟師を深みさ引き込んだんだと。 亭主はどうにかもがいて川から出ようとしたんだども 結局、川ん中さ引き込まれてしまったんだとさ」
オトーサン、 一区切りついて、2階の自室に引き上げました。 すると、突然、戸が開いて嫁さんの首。 全身、総毛立ちました。 「あなた、電話よ。WJさんから」 おそらく、テイーダの補修用の塗料が入荷したのでしょう。 「聞こえないの?何度も大声で呼んだのに」 奥方の目つきをみると、 その昔、この男のオレオレ詐欺にかかって 結婚してしまった、大失敗したと思っているかのようです。
64 心に太陽を
オトーサン、 「心配だなー。 柏庵、どこに行ってしまったんだろう」 ケータイを持っているわけでなし、根つからの自由人。 仕事、勉学、金儲け、情事、挨拶・連絡・通信などという、 この世の些事に憂き身を費やさぬのが、柏庵のいいところ。 「まあ、便りのないのが、無事な証拠」 数百年も、いや1000年も生きてきた縄文杉のような柏庵。 その安否を僅かな寿命しか残されていない オトーサンが思いわずらっても詮無いこと。 オトーサン、 みちのくに行かなくてすんだので、 娘を成田空港へ送ります。 今年、3度目の欧州出張とは、ご苦労なことです。 朝、7時に家をスタート。 娘は、眠そうですが、どことなく元気。 先日、マネージャー昇格の内示を受けたためかも。 「お給料はちょっとしか上らないのに、仕事ばかり増えて」 そうこぼしていますが、うれしいに決まっています。 「そういえば、 オレも課長になったときが、一番うれしかった」 オトーサン、 ナビに成田空港と入力。 「アホナビ!」 このナビ、まったくの役立たず。 国道16号を東に向かい、 北千葉ICで東関東自動車道路に乗って、 空港まで高速移動というコースが一番早いのに、 このナビときたら、一般道を成田まで行けと指示するのです。 予想到着時間は、1時42分後。 「冗談じゃない、1時間で行けるはずなのに」 何度か交差点で修正しようとしましたが、 うまく行きませんでした。 絶え間なく 新しいルートをご案内しますを繰り返しましたよ−。 「ほんとに、アホだな、コイツ。 それにしても、言いえて妙だなー」 ・カーナビを使える頃には道覚え 百楽太郎 オトーサン、 そんなことを思っていて、 危うく赤信号を突っ切りそうになりました。 急ブレーキ。 助手席に乗せた鞄が床にポーン。 「ノート・パソコン、ダイジョウブかな」 娘はとみると、 助手席の背に手をかけて踏ん張っていました。 「すまん、すまん。 太陽がまぶしくて、 まったく信号が見えなかったもんだから」 冬の早朝の太陽は、水平に射しこんできます。 サンバイザーも役に立ちません。 オトーサン、 無事、娘を成田空港に送り届けて、 「さて、どうするか...、 家にトンボ帰りすれば、9時には着くが」 日曜の朝なので、魔の16号線もガラガラ。 行きは、時速80KMで流れていました。 帰りも同じでしょう。 「せっかく成田まで来たんだから、 成田山新勝寺にでも寄ってみるか」 読者のみなさん、 ひょっとして、 成田山新勝寺を馬鹿にしてませんか? 先日発表されたばかりのデータです。 ・警察庁は12月16日、 新年の正月三が日の初詣でや 行楽地1600カ所の人出予想をまとめた。 主な神社・仏閣、1360カ所で9090万人に達する見込み。 オトーサン、 「9090万人、スゴイ人数だなあ。 みんな四苦八苦しているんだ」 @生きること、 A老いること、 B病気になること、 C死にいたること D愛するものと離ればなれになること E怨み憎むものと会わねばならぬこと F求めるものが得られないこと G心と身体のコントロールできないこと 以下が、お参りする神社・仏閣のベスト10です。 1 明治神宮(東京) 290万人 2 成田山新勝寺(千葉) 260 2 伏見稲荷大社(京都) 260 4 川崎大師(神奈川) 255 5 熱田神宮(愛知) 253 6 住吉大社(大阪) 225 7 太宰府天満宮(福岡) 202 8 鶴岡八幡宮(神奈川) 190 9 大宮氷川神社(埼玉) 187 10 浅草寺(東京) 185 読者のみなさん、 「スゴイでしょう」 成田山新勝寺、何と全国で2位ですよ。 大体、千葉と聞くと、みんなが馬鹿にします。 英語でいえば、"1000 leaves" 太陽を浴びてキラキラ光る数えきれない葉を意味します。 外人なんか、そういうと感動しますよ。 「千枚もの葉ですか、いい名前ですねぇ。 ワタシ、万葉集、ヨミマシタ」 ・東京ディズニーランド(千葉県浦安) ・東京国際空港(千葉県成田市) ・東京モーターショウ(千葉県幕張) 「みんな千葉なのに、東京に乗っ取られている。 東京の石原都知事を著作権侵害で訴えなきゃなー」 こんな手鞠歌を知っていますか? 一番始めは一の宮 二は日光の東照宮 三は佐倉の宗吾さま 四つは信濃の善光寺 五つは出雲の大社 六つは村々鎮守さま 七つは成田の不動さま 八は八幡の八幡宮 九つ高野の弘法さま 十は東京二重橋 日本全国の社寺が並ぶなかで、 千葉県は何と3つも占めているのです。 @一番始めは一の宮(香取神社など) A三は佐倉の宗吾さま B七つは成田の不動さま オトーサン、 「このナビ、賢いなあ」 今度は先程どは、正反対のことを言っています。 空港で「成田山新勝寺」と入力した通りに走っていくと、 ちゃんとお寺につきました。 「へぇ、大きなお寺なんだ」 早朝なので、 お店もやってなければ、人気もありません。 お札も売っていません。 10分ほど散歩して、感じをつかみました。 「また来ようっと」 そうそう、 外人ステュワーデスの2人連れに出会ったので、 お寺の解説をしてあげましたっけ。 「はっ、はっ、感心していたなー」 ここは、"1000 leaves"の自然豊かな聖地である。 これらの古いテンプルは、ピ−スを祈って出来たのである。 適当なことを言っただけなのですが... 「知らぬが仏」 スッチーたち、いたく感心していました。
オトーサン、 やはり気がとがめたので、 帰宅して、Googleに「成田山新勝寺」と入力。 「なんで、みんなが成田くんだりまでお参りに行くんだ?」 こんなことが書いてありました。 ・私たちが一心にお祈りいたしますと、 何人たりとも救わずにはおかないとする お不動さまの大慈悲心によって、 ご霊験ご利益をお受けすることができるのです。 オトーサン、 あまり宗教心のあるほうではないので、 「どこの神社仏閣も、同じようなことを言ってるけどなー] そんな不敬なことを言ってしまった後、 「変わってるなー、この仏さん。 普通は微笑みを見せているのに、怒ってるなんて」 画像には、具体的な説明がついていました。
●お不動さまは、 真っ黒な姿をしてひどく怒っておられます。 @ 左手にはどんな人でも仏の教えに引き入れるための 索(なわ)を持っています A 右手にはあやまった行いや煩悩を断ち切るための 利剣を持っています B 岩の上に、座っておられます C 世界を焼き尽くす程の猛火を背負っておられます オトーサン、 読み進んでいって ・お不動さまは、 真言密教の根本仏である大日如来の化身である 「えっ、まだ、上があるのか」 社長のうえには、会長。 首相のうえには、大統領がいるようなもんか。 では、その偉大なる大日如来とは?」 ●大日如来は、 宇宙の中心におられる根本仏であり、 「大いに遍く照らす」大光明を放って、 すべての者を照らして下さいます。 太陽系惑星群でいえば、太陽そのものですね。 夜も昼も、そして雲に光線を邪魔されることなく 照らして下さるのです・ そこで大いなる日輪の如来=大日如来”と呼ばれるのです。
オトーサン、 「大日如来は、太陽? じゃぁ、ティ−ダ姫はその化身じゃあるまいか? ちょっと考え過ぎ、言い過ぎかなー」 でも、 ティーダ乗りのみなさん、ご安心下さい。 まったく言い過ぎなんかではないのです。 ●ご本尊は、自分を写す鏡! 皆さん、お寺で仏様を拝む時、 どんなことを心に思いますか。 「幸福でありますように...」 などのお願いをされるのでしょうね。 それでもよいのですが、 真言密教ではこういう考え方をします。 大日如来と自分とは、本来は一つである 自分も大日如来なのだ≠ニ。 ですから「ご本尊様を自分自身だと観じて瞑想せよ」というのです。 本堂の座す大日如来の前で、 しばしの間、自分自身の姿と重ね合わせ、今の自分を問い直す,,,。 仏像としてのご本尊様は、自分を見つめる鏡でもあるのです。 オトーサン、 「ティ−ダ姫はもちろん。 オレも、アンタも、あの娘も、バーサンも、 みんな大日如来なんだ、やったぁー」
読者のみなさん、 今日は、ここまでにしますが、 光輝くティーダ姫のお姿を仰ぎみて 「心に太陽を」の歌を口づさみましょう。 姫とともにある日々の有難さに感謝しつつ... ♪心に太陽を! 嵐が吹こうと 吹雪がこようと 天には黒雲、地には争いが絶えなかろうと いつも心に太陽を! 唇には歌を! 車庫にはティーダを! (ツェーザル・フライシュレンの祈り 山本有三訳をアレンジしました)
65 神通力
オトーサン、 「年末は、何かと気ぜわしいなぁ」 まずは、柏市立図書館へ。 12月27日から1月4日まで休館になるので、 その前に、借りた本を返し、新しい本を借りました。 その後、6号を松戸方面へ走って、ディ−ラーへ。 「WJくん、いますか?」 ティーダ姫のお尻のオデキ治療。 あっという間に終わりました。 「これ、どうぞ。塗っておきましたから」 見ると、スティック糊と全く大きさ、同じPIT印。 まあ、糊も塗料も、塗るのは同じだから、 同一メーカーで製造しているのでしょう。 「知らなかったなぁ」 630円なのに、立派な領収書をいただきました。
ティーダ乗りのみなさん、 ボディに小さな傷がつくこともあるでしょう。 そんなときのために、 タッチアップペイントの仕方をご案内しましょう。 ●タッチアップペイント エンジンルームやドア付近に書かれている 「COLOR NO」を参考に、ピッタリな色を買いましょう。 もちろん日産の純正品がおススメ。 基本的な手順は、次の通りです。 (1)耐水サンドぺーバーで汚れやめくれた塗料を落とします。 サンドペーパーは1000番くらいの目の細かいものを選びます。 (2)傷の周りがなめらかになったところで、 タッチアップペイントを塗装のはげた部分に塗ります。 30分程度の間隔で重ね塗りします。 目安は盛り上がるぐらいまで。 (3)完全に乾く(1週間ぐらい)まで待ち、 耐水サンドペーパーやコンパウンドで磨いて仕上げます。 出所;自分で出来る愛車メンテナンス術 ・http://mag.nissan.co.jp/CARLIFE/contents/031216/ オトーサン、 ご機嫌になった姫と一緒に21世紀の森へ。 「楽しみだなぁ」 実は、双眼鏡のいい奴を買ったのです。 いままでのは、10倍ですが、今度は何と30倍! ・"KONICA MINOLTA ACTIVA ズーム双眼鏡" 定価: 3万4000円。 実売価格:1万9900円。 読者のみなさん、 「おい、コニカなのか、ミノルタなのか、 どっちなんだ、ハッキリせい!」 お叱りを蒙りそうですが、両社は合併したのです。 知らなかったでしょう。 オトーサンも知りませんでした。 オトーサン、 21世紀の森へ行って 「やあ、遠くまでよく見えるなぁ」 水鳥に見飽きて、 前に触れた見越しの松があるお屋敷を眺めました。 「おお、うだつに"寿"と書いてあるんだ。 知らなかったなぁ」 ●うだつ 「うだつが上がらない」 いつまでたっても出世しない様子を言う言葉。 このうだつ、家の下屋の端を一段高くし、 その上に小屋根をつけた土壁を指します。 うだつが上がっている家は、裕福。 装飾としてつくられていますが、 本来は防火対策としてつくられたものです。 出所;小池康壽の現代家相学 ・http://allabout.co.jp/house/fusui/closeup/CU20020507B/
オトーサン、 「この年まで生きてきて、知らんことばかり。 このオレは、何も知らずに死んでいく存在なのかなー」 そんなことを思いながら、公園の山道を散歩。 最近、ちょっとクルマに乗ってばかりで、運動不足です。 ここは舗装されていないで木の根だらけ。 「痛ぇー」 左足の土踏まずの部分を痛めました。 びっこを引きながら、クルマに戻りました。 「風呂でも入れば、治るかも」 近所の健美の湯へ。 入湯料は600円ですが、回数券を買えば480円ですみます。 「おお、ゆず湯だ。今日は冬至だったか」 ●冬至 12月22日頃は冬至。 一年中で昼が一番短く、夜が一番長い日。 この冬至に「ゆず湯」に入る風習がある。 厳しい寒さの中でも健康に暮らせるようにと、 浴槽に柚子を浮かべてはいるお風呂のこと。 風邪を防ぎ、皮膚を強くするという効果がある。 冬至は、湯治にかけており、 柚子には、融通が利くようにという願いもある。 出所:冬至のはなし ・http://eiyougaku.hp.infoseek.co.jp/touji.htm オトーサン、 お風呂から上って、ヘアドライヤーを使います。 頭髪は勿論のこと、脇の下、ひざの回り、足の裏、 そして...アソコやお尻にも、 熱風を丹念に吹きつけるようにしています。 この夏、やっているひとがいたので、 マネしてみたら、これが実に快適。 この年になると、 金冷法を実行しているつもりはないのですが、 乾かしたほうが、気持ちいいだけのこと。 出所:男性自身の鍛錬 - 彼女に内緒で試す価値あり! ・http://www.v-miura.net/jisin.htm オトーサン、 後ろから声をかけられました。 「そこもと、妙なことをやっとるのう」 ギョツとして振りむくと、柏庵じゃありませんか。 長髪、髭ぼうぼう、ふんどし姿。 おまけに、床に脱ぎ捨ててあるのは、白装束。 「柏庵、あなたこそ、何でここに?」 「そこもとこそ、何で真昼間から風呂屋に?」 お互いに理由を聞き合うことになって、 思わず吹き出してしまいました。 オトーサン、 「公園を歩いていて、足を痛めたものですから」 「情けない奴ちゃのう。 あの軟弱な芭蕉だって、 奥の細道を2400Kmも歩いたというのに」 オトーサン、 「で、どこへ行かれました?」 「まず、酒井大阿闍梨に会うた」 「酒井大阿闍梨?」 「そこもと、ほんとうに、何も知らんのう。 千日回峰行者じゃ」 ●千日回峰行者は、 未開の蓮の葉を象った桧笠をいただき、 白装束に草鞋ばき、死出紐と宝剣を腰に、 行半ばで挫折すれば自ら生命を絶つ掟のもとに、 1年目から3年目は比叡山中255箇所を巡拝する 行程約40キロを休まず各百日間、 4年目と5年目はそれぞれ連続2百日、計7百日の回峰をする。 7百日終了の後9日間不眠・不臥・断食・断水で 不動明王と一体になる「堂入り」の行を満じる。 6年目は京都市内赤山禅院往復が加わる一日約60キロの行程を百日、 7年目は前半百日を僧坊を出て京都市内寺社を巡拝往復する 一日84キロの「京都大廻り」、後半百日を山中約30キロを行歩する。 7年間で合計一千日を回峰し「満行」とする厳しい修行である。 千日で歩く距離は約4万キロ、地球を一周するに等しい距離になる。 このうち、7百日までの行は自分自身のための「自利行」、 「堂入り」の後の8百日以降は“生きた不動明王”として加持を行い、 衆生を救済する「利他行」の行としている。 延暦寺の記録に残る千日回峰行者は、 平成15年9月満行の酒井大阿闍梨の弟子藤波源信師まで47人、 その内二千日は僅か3人である。 出所:千日回峰と比叡山の行 ・http://www.sakai-yusai.com/yougo/main.html オトーサン、 「どんなお話をされたのですか?」 「神通力で、八百比丘尼を呼び出して 不老不死の妙薬について聞いてもらった」 ●5つの超能力 @無我力 一般的な信仰で求められるもので、超能力開発に欠かせない。 A念力 精神力で超常現象を起こし、人を動かし、内面からも変える。 B遠知力 とぎすまされた不思議な力が湧くと、 未来を予知したり、遠くの物音や声を聞き分けたりできる。 C心眼力 全身を眼にすることで、人の心を読み取り、 遠方の出来事を透視し、人を金縛りにできる。 D神通力 神に通じ仏に通じる力。 死者の声を聞かせたり死者と対話したり、 神仏の力を現世の人間に与えることができる。 出所;真言密教入門 ・http://www1.plala.or.jp/eiji/sub6.htm オトーサン、 「八百比丘尼?」 「八百比丘尼も知らんのか。ワシの女房だった」 「....?」 「酒井大阿闍梨は、面白い奴じゃのう。 彦根の大うなぎの神通力の話で盛り上ったがのう じゃが、肝心の話は聞けかなかった」 「うなぎの神通力?」 「ああ」 出所:うなぎの神通力 ・http://www.pref.shiga.jp/minwa/35/35-movie.html 柏庵、 「小浜で越前蟹を食らった。うまかったのう。 旨いものを食うと、よしなしごとを忘れられる」 「小浜にも行った?」 「ああ」 頭がこんがらがってきました。 世の中、分からないことだらけ。 柏庵、 裸になって、 「じゃ、ひと風呂あびてくる。 姫にお会いするまえに、邪気を落としておかねば。 姫はお元気かな、オデキは治ったか?」 「お元気ですよ、オデキも治しました」 ようやく普通の会話ができました。
66 白比丘尼
オトーサン、 風呂から上った柏庵と座敷でお茶をのみます。 ビールくらい飲みたいところですが、 あいにく、2人とも飲みません。 「八百比丘尼とは、何者なのですか?」 「さきほど申した通り、ワシの女房だった」 「それは、お伺いしましたが...」 「そうか、八百比丘尼そのものを知らんのか? そこもと、丹生郡国見村に住んでおったのだろうが。 あのあたりじゃ、知らぬものはないはずじゃが」 「でも...」 「子供ゆえ、誰も話してくれなかったか?」 「話を聞いたような気もしますが、忘れました」 「そうか、忘れたか」 オトーサン、 柏庵の話をかいつまんでお話しましょうか。 ●八百比丘尼(やおびくに) (654年〜?) 若狭の小浜で、ある日人魚が網にかかった。 庚神神社にお供えしたが、遊びにきた小娘が その肉をつまんで食べてしまった。 娘は、すごい美人になり、しかも年をとらない。 亭主に持った男は、次々と死んでいってしまう。 それでも、娘は、17歳のまま。 数百年もたつと周囲の景色も変わってしまうし、 娘は、生きているのが空しくなって、 頭を剃って、尼さんになり、 白玉椿を持って諸国をめぐった。 高野山麓にある丹生都比売神社に詣でた折には、 池の水面に映るわが姿をみて、 800歳になったというのに、まだ若々しいのを嘆いて、 懐から鏡を取りだし、自分の水影に投げつけたりもした。 そして、故郷の若狭に戻り、空印寺の岩屋で入定した。
柏庵、 「ワシが出会ったのは、死ぬ寸前だった。 同じ不老不死の身ゆえ、不憫に思うて入籍したが、 もはや何を聞いても返事もせんだった」 「そうなんですか。 人魚を食べると不老不死になるかどうか 直接、確認できなかったのですか?」 「いまわのときに、不老不死の妙薬は、 実は、九穴の鮑と聞いたような気がしたので、 北茨城にある東西金砂神社に行って、 宮司に聞いてみたが、わからんと言っとった。 ちょうど、72年毎の大祭が開かれとったが... どうも、みつからん」 柏庵、 しばらく黙考して 「八百比丘尼は、白比丘尼とも言われた。 アレが持って歩いた白玉椿じゃが、 白は、再生の色だな。 玉は魂じゃ。 椿は木へんに春と書く。 春早くに花をさかせ、葉は常緑じゃから 古くから呪いに使われてきた聖なる木じゃ。 中国では800年に一度花を咲かせるチンという神木で、 不老不死の薬の一つといわれとったとか」 オトーサン、 「そうですか、白は再生の色ですか。 ところで、白玉椿の薬効は試されましたか?」 「効き目は、なかった。 伝説にしか過ぎんのだ。 いまとなってはのう。 八百比丘尼は、全国津々浦々を歩き回ったようだから、 あちこちに、もっともらしい話が残っとる。 上本郷の昔話にも出とるぞ」 「えっ?ウチの近所じゃないですか」 ●八百比丘尼 そのむかし風早神社の近くに六軒の農家があった。 村の長者どんが、お百姓さん六人を屋敷に招いた。 「みなさんよくお出で下さった。 さあ、今日は遠慮なく食事して下され」 みんな、ごちそうが出来るのを楽しみに待っていた。 だが、おなかをすかせたの食いしん坊が、 厠からもどるとき、台所をのぞいてみた。 「長者どん、きっとすげぇごちそうを下さるじゃろ」 そっとのぞいて見て、びっくり! 台所では人魚の肉を料理しているではありませんか。 (上本郷の七不思議) オトーサン、 「柏庵、だいじょうぶかな。 郵便局に用があるので、 あとで、また会おうと言っていたが。 ひょっとすると、あの薬、盗まれたのかなあ」 早速、ティーダを駆って風早神社へ。 自分なりに、柏庵のために 不老不死の妙薬の手がかりをつかもうと思ったのです。 ナビに「風早神社」と入力しました。 出てきません。 「廃寺になったのか?」 戦後、社寺の荒廃が進んでいます。 駐車場にしたり、幼稚園をやったり、敷地を売却したり... 明治時代の廃仏毀釈を上回る衰退ぶり。 この国は、もはや仏の国ではなくなったのです。 ●廃仏毀釈(はいぶつきしゃく) 明治政府が、国家神道を推進するために、 仏教弾圧を強行した。 仏教寺院・仏像・経巻を破毀し、 僧尼など出家者が受けていた特権を廃した。 オトーサン、 新京成電鉄「上本郷駅」に目的地をセット。 国道6号に出て、松戸方面へ。 ディーラーを通過しました。 「WJくんいるかな?昨日会ったばかりだけど。 今月に入ってから売ったティ−ダは1台だけと言ったが」 どうも、鋼材不足が響いているようです。 「やはり渋滞だ」 前後左を白いクルマに囲まれました。 「白は再生の色か。 あの白いクルマに乗っているひとたち、 おそらく無意識なんだろうが、 人生をリセットしようとしているのかもなー」 オトーサンが、 ひとづてに聞くところによると、 ティーダのボディカラーの比率は、 @ダイヤモンドシルバー 25% Aウオームシルバー 17 Bサファイヤブラック 12 Cハーベストイエロー 10 となっているそうですから、白は少ないようです。 まあ、ティーダ乗りには、幸せなひとが多いのかも。 オトーサン、 「風早神社は、どこですか?」 上本郷駅前の薬局の駐車場にティーダをとめて、 ちようど通りかったひとに聞きました。 「しまった、目の不自由な人だった」 白い杖をもっていました。 でも、ちゃんと教えてくれましたよー。 オトーサン、 風早神社をみつけてガッカリ。 民話の風景である農家などなく、 神社は、アパートに取り巻かれて、無残な姿。 鎌倉時代に、この辺り一帯、 つまり、松戸市、流山市、三郷市全部の広さの 荘園の持ち主だった風早四郎胤康の館だったそうですが、 その面影はわずかに長い荒れた参道に残っているのみです。 社務所らしきものはありましたが、 誰もいないので、取材できませんでした。
オトーサン、 がっかりして家路につきます。 「ありゃ、異音がしない」 さきほど、ガックリきて、 リアシートで一休みしただけなのですが。 「風早神社にお参りしたご利益か、 それとも白比丘尼の霊験なのか?」 でも、冷静に考えれてみれば、 異音が出た原因は、 リアシートの背もたれの角度を調整するときに、 キチンと留めていなかったせいでしょう。 これで、2度目です。 あるいは、設計不良なのかも。 オトーサン、 あの画像を思い浮かべました。
「柏庵、だいじょうぶかなー」 不老不死の妙薬、 その辺の薬局で売っているわけじゃなし、 作るにしても、時間がかかるでしょう。 柏庵、必死に探しまくっているのかも。 「冗談じゃないぞ、冗談じゃない。 どうしよう、どうしよう」
67 てぃーだの道
オトーサン、 柏庵の帰りをいまかいまかと待ち構えました。 「郵便局に行くだけなのに、 何で手間どっているのかなあ」 そこで、郵便局に行ってみました。 でも、いませんでした。 局員に聞きました。 「ええ、髭の長いお爺さんがお見えになって、 局留めの手紙を受けとって、 すぐお帰りになりました」 「...そうですか」 オトーサン、 「そうだ。柏庵を待つ間に、 ネットで不老不死の妙薬を探してみよう」 いろいろ試行錯誤している間に、 空海というキーワードが浮かびあがってきました。 柏庵が尋ねたのは、酒井大阿闍梨。 つまり、比叡山延暦寺。 その開山は、最澄。 そのライバルは空海。 「そうなると、空海。 オレのほうは、空海を調べてみるか」 日本史に残る偉人ですから、 この経歴をたどるだけでも、大仕事でした。
●空海(くうかい) 774〜835 讃岐の国(香川県)生まれ。 幼名、真魚。 幼い頃から秀才の誉れ高く 15歳で京へ上り、18歳で大学に入学。 大学を中退し、 万巻の経を読み、深山に分け入り、山岳修行に入る。 (四国88ケ所巡り) 秀才の誉高く、797年「三教指帰」を著し、 儒教、道教、仏教の中で仏教が最高の教えと宣言。 804年、留学僧として遣唐使に随行を許され、中国へ。 同じ船に最澄もいた。 最澄はすでに日本仏教界の重鎮、 空海は無名だった。 空海らの乗った船は途中で遭難し、福建に漂着、 辛酸を舐めながらも陸路、長安に入り、 青龍寺で恵果阿闍梨から真言密教の秘義を会得する。 806年帰国して密教伝道に入る。 812年から814年にかけ、最澄とともに、 奈良旧仏教から平安新仏教への転換をリード。 朝廷の空海への信任が増すにつれて、 最澄との仲は、疎遠になっていく。 816年、高野山の下賜を請い、金剛峯寺を建立、 「真言宗」の開祖となった。 821年、故郷である四国讃岐の満濃池の改修を指揮し、 日本最大の農業用溜め池をつくった。 温泉を発見し、石炭・石油の使い方も教えた。 822年、東大寺に真言院を建立。 823年、嵯峨天皇より東寺を賜り、教王護国寺と名づけ、 ここを真言密教の根本道場とする。 828年、大僧都になる。 平安左京に「綜芸種智院」を開設し、 広く門戸を解放して内典・外典を教授した。 830年、主著「秘密曼荼羅十住新論」を著し、 即身成仏の理論を完成させる。 病を得て高野山に隠棲し、 835年835年3月21日寅の刻、声明の響きの中入定。 (信徒は、いまも入定ではなく禅定だとして、 いまも高野山・奥の院で空海は生きていると信じている) 921年、醍醐天皇より弘法大師の諡号を賜わった。 また、嵯峨天皇・橘逸勢とともに、三筆のひとり。 オトーサン、 空海の略歴に目を通して 「こりゃ、天才だ! われわれ凡人とは、スケールが違う」 その遺言や教えも、すごいですねえ。 @生まれ生まれ生まれ生まれて生のはじめに暗く 死に死に死に死んで死の終わりに冥し (ひとは、何も知らずに生まれ、死んでいく) A生成流転する宇宙の真理の象徴である如来の働きは、 人や獣をはじめとし、山川草木一切が生命を燃やし、 滅して行くその姿に現れる。 牧野に遊ぶ馬や牛、空を飛ぶ小鳥たちの躰・鳴き声と 意識の働き一切の中に如来の働きがある。 この世の有情・非情なる一切衆生の身・口・意の働きの中に、 永遠の生命として大日尊が存在する。 B入定後56億年後に弥勒菩薩の御前にはべり現世に現れ、 世を救うだろう (56億年ですよ、56億年! 所さんじゃないけれど、宝クジのPRで "3億円、1億使っても、まだ2億" それをマネしていえば、 100年経っても、56億年、 1000年経っても、56億年、 10000年経っても、まだ56億年ですよー) オトーサン、 「Aで空海が述べている 永遠の生命としての大日尊は、大日如来のこと。 空海は、太陽崇拝の布教者だった」 そこでふと思いつきました。 「そうか、ひょっとすると、 空海は、太陽の研究者だったのかも」 冬至、春分、夏至、秋分、 太陽の通る道についても熟知していたのではないか」 もし、そうだとすると、 空海研究史における大発見です。 柏庵、 そこへ登場。 「はっはっは、大発見でも何でもありゃせん。 空海ならずも、古代のひとは、みんな知っとった」 「えっ?」 「黄道じゃろうが」 「黄道?」 「学校で勉強しなかったか?」 「いやぁ、物理は苦手で」 以下は、柏庵の説明の概要です。 ●黄道(こうどう) 太陽は地球から見ると、 星座の中を1日に約1度ずつ東へと移動して行くように見える。 そして一年が経つとまた同じ場所に戻ってくる。 この太陽の通り道を黄道と呼ぶ。 赤道を天球上へまっすぐ伸ばした線を天の赤道といい、 黄道と天の赤道との二つの交点のうち、 黄道が南から北へ交わる方を春分点、 もう一つの交点を秋分点という。、 これが地球に季節を作りだしている。 柏庵、 「昔のひとは、いまのひとよりも、 天文学に強かったからのう。 金融システム、ネット、利益、環境問題など、 余計なことに頭を使う必要がなかったからのう。 ま、お天道さまのことばかり気にしとったんじゃ」 オトーサン、 「ティ−ダのことばかり気にしているようなもんか。 は、は、は」 笑ったら、頭がほぐれてきました。 「そうだ、地軸が23.5度、傾いているって 高校のとき、習ったっけ」
柏庵、 「今夜は、遅うなったで、 明日の昼、会わんか。積もる話もあるでな」 「で、不老不死の妙薬は見つかったのですか?」 「ああ、メドがついた。心配をかけたようじゃが。 そうじゃ、お伊勢さんで博学な先生に出会おうた。 親切な方でな。この地図を速達で送ってくれた。 よう見といてくれんか。ま、宿題じゃな」 「えっ、伊勢神宮も行ったんですか?」 「ああ」
68 天皇誕生日
オトーサン、 柏庵の地図を凝視します。 「この彼岸の黄道線って何だ?。 "暑さ、寒さも彼岸まで"っていうけれど、 今年のお彼岸は、真夏日だった」 お彼岸にお墓参りに行くわけじゃなし、 お彼岸で思いつくのは、その程度。 仕方なしに、奥方に聞くことにしました。 「お彼岸って、祝日だったっけ?」 「あなた、お彼岸っていうのは、 春分の日と秋分の日の前3日と後3日の間の7日間をいうのよ。 あなたの言ってるのは、彼岸の中日のことでしょ」 「へえ、詳しいな」 「そんなこと常識でしょ」 「何で、お彼岸の日にお墓参りするんだ?」 「お彼岸には、ご先祖様が彼岸から この世に戻ってこられるのよ。 だから、お供えものをして、お迎えするのよ」 「ふーん」 ●彼岸(ひがん) 元々は煩悩を脱した悟りの境地をいう。 煩悩や迷いに満ちたこの世を こちらの岸を「此岸」(しがん) あちらの岸を「彼岸」という。 彼岸の仏事は、浄土思想に由来する。 極楽浄土は、西方の遙か彼方にあると考えられていた。 春分と秋分は、太陽が真東から昇り、真西に沈むので、 西方に沈む太陽を礼拝し、遙か彼方の極楽浄土に 思いをはせたのが、彼岸の始まり。 わが国に伝来後、法要を営み、祖先を祀る行事に変わった。 最初の彼岸会は806年、平城天皇が行った。 オトーサン、 奥方がその昔、 物理が得意だったことを思い出しました。 柏庵から預った地図をみせます。 「この彼岸の黄道線って何だ?」 「お彼岸が各地を移動していくんでしょ」 「えっ?」 「眠いわ、もう寝ましょうよ」 奥方、都合が悪くなると、眠くなるようです。 30分ほど、ネットで調べまくって、 こんな地図を発見しました。 「これが彼岸の黄道線かな。 これが、北緯34度36分なのかなぁ?」 またもや頭がこんがらがってきました。
オトーサン、 悩んだ割には、早く寝ついて、 翌朝は、早く目覚めました。 TVをつけると、 天皇陛下の顔がちらっと写って、 その後、延々と高野山の修行僧たちを写しています。 熊野古道でしょう。 弾けるように歩いていきます。 「大したもんだ。 あれなら千日回峰は無理としても、 1日40Kmくらい楽々歩けるだろうな」 オトーサン、 影響されやすい性質です。 お昼に柏庵に会うので、 それまでの時間は、 手賀沼ウォーキングにあてることにしました。 双眼鏡の威力も試してみたかったのです。 「痛みもとれたなぁ」 21世紀の森公園で痛めた足裏ですが、 お風呂に入った効果があったのでしょう、 はじめ2Kmくらいで引き返すつもりが、 だんだん調子づいてきて、3.6kmも歩いてしまいました。 「この前、バイクで来たところだ。 すごいすごい」 引き返せば、7.2kmにもなるでしょう。 有森裕子さんではありませんが、 自分で自分をほめてあげたい気分です。 休憩がてら、水鳥を観察。 ところが、朝日が水面に反射してキラキラ。 まぶしくて、まぶしくて、たまりません。 手賀沼の水鳥の王者として君臨している 白鳥たちも、シルエットでして見えず、 せっかくの30倍の威力が試せません。 オトーサン、 手賀沼の反対側をチェック。 「大した家も、甍もないなー」 さらに遠くにある白いビルに焦点を当てました。 小高い丘の上、山科鳥類研究所の方向でしょうか。 肉眼では、全然見えなかったものが飛び込んできました。 「へぇ、日の丸だ! なんで、旗なんか掲揚してるんだ? ...そうか、今日は祝日なんだ。 12月23日、クリスマス・イブの前日。 何の日だったっけなあ?」 オト−サン、 思い出せぬまま、 手賀沼から1Kmほど先のガソリン・スタンドへ。 「安いなぁ、106円だ」 このところ、原油価格が落ちついてきたので、 値下げするスタンドも出てきました。 「ティーダにしてよかったなぁ。 ガソリン代を気にしなくていから」 オトーサン、 帰宅して、 「今日は、なんの祝日なんだ?」 そう奥方に聞きかけて、はっと思い出しました。 「そうだ、天皇誕生日だったんだ!」 朝のTVで写っていたのですが、 例の皇太子発言にゆれる皇室という 今年を回顧しての芸能ニュースと勘違いしていました。 「天皇陛下、何歳になられたの?」 「72歳よ、年ねぇ」 「そうか、もうそんなに経ったのか」 美智子妃と結婚したときの祝賀パレードの光景が いまだに目に焼きついています。 でも、そんな程度。 祖母の時代には、祝日になると、 必ず日の丸の国旗を掲揚したものです。 部屋には、明治、大正、昭和天皇陛下の お写真が飾ってあって毎朝拝んだもの。 祖母の口グセは、 「お天道さまに見られても、 恥ずかしくないようにしなさい」 天皇は、戦後憲法で、象徴になられて、 最近では、すっかり芸能人扱い。 「ちょっと行き過ぎだよ」 オトーサン、 ちょっぴり反省して、 日の丸について調べてみました。
●日の丸 わが国は、古くは農耕民族だったので、 太陽の恵みに感謝する伝統があった。 天皇は、天照大御神(太陽神)の直系子孫と伝えられる。 そこで、日出ずる国→日のもと→日本となった。 日の丸の旗の由来は、続日本紀に出ている。 文武天皇の時時代、701年の元旦の朝賀の儀式の際に、 「日章幡旗」が使用されたのが最初である。 ただし、横長ではなく、縦長だったと伝えられている。 その後、幕末の1863年、薩英戦争の際に、 薩摩藩が「日章幡旗」を簡略化して国旗として使用。 明治政府が、1871年に正式に日本国旗とした。 その後の近隣諸国への侵略戦争中には、 神国日本の旗として、戦意高揚のために用いられた。 次の首がそれを象徴している。 ・さしのぼる朝日の本の光より 高麗唐土も春を知るらん 平賀源内 オトーサン、 替え歌を作ってみました。 ・さしのぼる ティーダの光の前にては ホンダもトヨタも陰となるらん いやはや、 先代のサニーは、 大変なことをしてくれたもの。 たかが車名というなかれ、 おそれ多くも太陽神・天皇と同じ 「太陽」を名乗ってしまったのですから、 これから先が思いやられます。 ティーダ姫の双肩にかかる責任たるや大変なものです。 WJくん、 お天道さまに見られても、 恥ずかしくないように売らなきゃ。 12月、たったの1台というのは、寂しいよ。 「12月、全国で何台売れるかなぁ?」
69 太陽の女神たち
オトーサン、 「お待ちしていましたよー。 どこに行っておられました?」 「柏市立図書館で調べものをしとった。 ところで、宿題は出来たかの?」 「難しいですねえ、彼岸の黄道線でストップです」 「そうじゃろうな。 ちょっと聞くが、伊勢神宮へ行ったことはあるか?」 「はい、3度ほど」 「何が印象に残った?」 「そうですねえ、五十鈴川の鯉、赤福餅かなぁ」 「そなた、本物の庶民じゃのう。 まあ、江戸時代に流行した お伊勢参りの連中も似たようなものじゃったが」 「そうそう、内宮の建物が簡素なので、感心しました」 「内宮にお参りしたか」 「ええ、家内安全と交通安全を」 「では聞くが、内宮の祭神はどなたじゃ?」 「?」 「最近の若いもんは、ほんとに何も知らんのう。 あまてらすおおみかみ。 伊勢神宮は、天照大神を祀る聖地なんじゃ」 「えっ? あの天の岩戸で有名な?」 「さては、天照大神もよう知らんな。 困った奴じゃのう」
●天照大神(あまてらす おおおみかみ) 黄泉の国から戻った伊邪那岐命の 光を表す左目から生まれた娘。 「天の岩戸隠れ」のエピソードが有名である。 天照大神が、弟君の暴虐に怒って、 岩戸に隠れたために、世の中は光を失い、 悪霊が満ち、災いが起こった。 太陽の女神としての大地母神的な性格と、 軍事力に象徴される男性的なパワー その両方を兼ね備えた日本の最高神。 皇室の神であり、伊勢神宮の祭神である。 オトーサン、 「そうなんですかー、道理で。 歴代の首相が伊勢神宮に参拝に行くので、 変だ変だと思っていましたが... ところで、彼岸の黄道線なるものが、 イマイチ、よく分かないのですが」 「そうじゃろなー、 その前に、ひとつ聞くが、 天照大神の妹君はどなたか知っておるか? 知らんじゃろうが」 「すみません。その方面には無知なもんで」 「ティーダ姫にお仕えしておって、 それな大事なことも知らんとはなぁ。 オーディオがこうだの、ヘッドライトがどうだの、 どうでもいいことに血道をあげておりゃ、そうなるわな」 「見捨てないで、教えてくださいよ」 「無知は、大罪なんじゃ。分かったか。 まあ、ええ。 妹君の名は、丹生都比売大神じゃ」 「にぶつ姫?」 「にぶつひめのおおかみじゃ。 丹生と書く。 この地図をもう一度よく見なさい」
●丹生都比売大神(にぶつひめのおおかみ〕 天照大神の妹神である稚日女尊 (わかひるめのみこと)とされる。 若き太陽の女神という意味である。 衣食・織物の普及に尽力された。
photo:丹生都比売神社
オトーサン、 「おっ、丹生という地名と にぶつ姫は、同じ名前なのか」 「丹砂を産出する地を丹生と言うてな。 丹砂を熱すると沸き出してくる銀色の液体が水銀。 丹生都比売大神は、いわば水銀産地の女神なのじゃ」 「えっ、本当ですか?」 「この丹生都比売大神が、 お命を終えるとき天野原に上られた。 その時の記述に、こうある。 ”朝日なす輝く宮、夕日なす光る宮に、 常世の宮として鎮り給う” ほれ、地図を見ろ。 丹生川上神社(奈良県吉野)、 丹生都比売神社(高野山麓)、 そして、天照大神の聖地・伊勢神宮も、 みんな朝日も夕日も差す黄道線上に乗っとるじゃろうが」 「そういえば、そうですね。不思議ですね。 偶然の一致というか、何というか」 柏庵、 「そこもと、本当に日本史を学んだのか?」 「古代史は好きでした。悠久のロマンがあって」 「では、こういうことは習ったか?」 「どういうことですか?」 「日本が中国の影響を受けたことは、知っとるな?」 「漢字もそうですし、 農耕も、建築も、仏教も、都市づくりも すべてにわたって、中国から学びました」 「その通り。 中国ではな。 夏の陽城に始まり、 殷の安陽、周の洛陽、秦の咸陽、漢の長安に至るまで、 首都は、すべて、この黄道上に建設されたんじゃ。 長安を除いて、みんな「陽」の字がついとるじゃろう」 「そういえば、そうですね」 「この首都のロケーションを、日本が学ばないはずがない」 「それは、ありえますね」 「神武天皇が宮殿を造った橿原、 そして高野、伊勢、 みんな同じ黄道上に建設されておる。 しかもじゃ、これが、肝心なのだが、 丹生の地名にも、ほぼ重なっておる」 オトーサン、 「そうですね、 丹生という地名は、 中央構造線と糸魚川・静岡構造線上に重なってますね」 「そこじゃよ、ワシが分からなかったのは」 「ははー、そこで、柏市立図書館で調べたのですか」 「例えば、糸魚川・静岡構造線とは何かといえば、 フォッサマグナ(Fossa Magna)、 つまり、古い地層でできた大きな溝じゃな。 溝の深さは、ヒマラヤ山脈が埋まってしまうほど。 そこに、新しい地層が積もっておる」
オトーサン、 「巨大地震の巣というわけですね」 「M8級のな。 ということは、別の見方をすれば、 溝からマグマが噴出してくるから、水銀鉱床がある」 「でも、水銀が、なぜ、そんなに大事だったのですか?」 「それも知らんのか。厄介じゃのう。 手っとり早く言えば、希少資源じゃった」 「不老不死の妙薬と思われたというのは、 お伺いしましたが、 その他、何に使われたのですか?」 「朱塗りの柱に用いたり、 金銅仏を鍍金するのにも、水銀が使われた。 きわめて重要なものだったんじゃ」 「なるほど、なるほど」 柏庵、 「わしや、また留守にする」 「今度は、どこへ行かれるんですか?」 「丹生の地名や丹生神社がある場所を あたってみようと思いたったんじゃ。 若き太陽の女神のゆかりの地を歩いてみようと...」 「よりによって、巨大地震の巣を歩かれるのですか? 気をつけてくださいよ。 中越では、まだ地震が続いていますから」 「ああ。 地震の死者の鎮魂のために、 構造線上に丹生神社ができたと思うのじゃが、 詳しく因果関係を調べたら面白かろうが、 目下の急務は、不老不死の妙薬探しじゃ」 「分かりかけてきました。 そうか、水銀の道をたどるんですね。 水銀の道沿いに不老不死の妙薬を探す。 他の場所を当たるよりもみつかる確率が高いから」 「よう分かったのう。 最近の若いもんは、無知じゃが、勘はいいのう」
70 燃費新記録!
オトーサン、 「山荘行きは、久しぶりだなあ」 前回行ったのは、 11月19日から21日でしたから、 およそ1ケ月ぶり。 もう冬になりました。 「スノータイヤ、買うか」 でも、年金生活。 余分な支出は避けたいところです。 長野県の北部はもう雪ですが、 幸い、南部は晴れ。 タイヤ・チェーンなしで、行くことにしました。 今回は、奥方も同行します。 オトーサン、 朝5時半にスタートしました。 前回は、5時ですから30分遅れ。 もう渋滞がはじまっているでしょう。 気がせくので、 カーウィングス利用は、やめました。 「最速ルートといったって、混むときは混むよ」 電話をかけている間にも、混んできそうです。 やはり国道6号線の松戸あたりで、もう渋滞。 やがて、この原因が判明。 2車線なのに、路駐しているバカがいたのです。 渋滞は、もう一度。 江戸川を越えて、金町あたり。 ここ、いつも混むのです。 オトーサン、 四つ木ICから首都高へ。 幸い、順調に流れています。 新宿を過ぎて、時計をみると、もう6時半。 「渋谷の家を売るの、やめようかなあ」 渋谷に住めば、山荘に行く時間が1時間半も短縮されます。 三鷹を過ぎて、またブツブツ。 「この辺のマンションでも買うか」 山荘にもっと近づきます。 「国立の百恵ちゃんちのそばに住むか」 口先だけなら、何とでも言えますなー。 奥方、 「あら、富士山が見えるわ。キレイねぇー」 「真っ白だなー」 そうなのです、 中央線や京王線沿いに住めば、 富士山が身近になります。 その後、順調に走って、談合坂SAで朝食。 距離計に目をやると、2000kmを超えていました。 「もう、ならし運転しなくていいんだ」
●ならし運転の目的は、 エンジン内のピストンシリンダー、ミッション、ギアなど まだ馴染んでいない金属同士の接触面をスムーズにさせること。 ならし運転の第一目標は1,000km。 この期間はそのクルマが持つパワーの半分しか使わないで。 エンジン回転数を控えめにして くれぐれもレッドゾーンに入れてはいけません。 また、路面状態の悪いでこぼこ道など、 エンジンに負担がかかるようなところは走らないこす。 第二目標は3,000km。 この期間はエンジンの回転数を 3000〜4000回転くらいまで上げて、 一定の回転数を維持しながら走ってみましょう。 ならし運転の過程で発生した金属粉を取り除くため、 3,000kmに到達したら エンジンオイルをできればオイルエレメントごと交換しましょう。 これでならし運転は終了です。 愛車の持つ性能を楽しんでください。 注意深い読者のみなさん。 「おい、お前、言ってること、おかしくないか? 2000kmを超えたら、ならし運転はしなくていい。 そう言っておきながら、一方で、 ならし運転の第一目標は1000km、第二目標は3000km そういう文章を引用しているじゃないか?」 「そうなんだよなー。 この前、WJくんは、2000kmと言ってた。 でも、取扱説明書を読むと、1600kmとある。 どうもよく分からんなー」 オトーサン、 高速道路では、 ナビ画面は意味ないので、 専ら「状態表示」画面に切り変えています。 ・平均燃費 13.5km ・航続可能距離 342 km これが、刻々と変化していくのです。 ティーダの楽しみは、これを見ていること。 これだけでも、ティーダを買う価値があるほど。
奥方、 先程から、この情報画面をじっと見ています。 はじめて長距離を乗るので、物珍しいのでしょう。 「ねぇ、増えていくわよ。航続可能距離が。 走っていけば、減るはずじゃない。 このナビ、おかしくない?」 オトーサン、 奥方をからかうことにしました。 ならし運転を継続することにしました。 さらに、エコランにも挑戦。 「あらっ、燃費が増えていくわ。 ほら、さっき13.5kmだったのが、13.7Kmになったわ。 ああ、また上った、14kmよ, 航続距離も、350kmになったわ」 以後、甲府昭和ICを越えても、どんどん増えていきます。 「このクルマ、いいわねぇ」 費えば費うほど、お金が増えていく 魔法の財布のようです。 オトーサン、 中部横断道に寄ることに。 この道、開放感がバツグン。 富士山、南アルプス連峰、八ケ岳、ニセ八ケ岳... でも、冠雪は、富士山と北岳だけ。 「今年は、雪が少ないのね」 白根ICで降りました。 「へぇ、ユニクロが出来た!」 でも、後で寄ることにして、 ディスカウント・ストアの「トライアル」へ。 この夏、一度行って、味をしめました。 奥方、 「安いわねぇ」を連発しながら みかん(5kG)1箱、コメ(5Kg)1袋、野菜の肥料をはじめ、 たくさん買い込んでいます。 重量増は、15Kgになったでしょうか。 奥方は、体重45kgなので、合計60kg増になりました。 「どのくらい燃費に悪影響するのかなー?」 オトーサンたち、 イブを静かに過ごしました。 薪ストーブの火をみて、のんびり。 まさに、♪清しこの夜でした。 山荘には、二泊三日して、帰京。 日曜の朝、9時30分に山荘を出ました。 「スキー場、雪が少なかったなー」 「あんなにひとがいないんじゃ、赤字でしょうね」 1日券が何と2000円でした。
オトーサン、 帰途も、エコランで。 中央道をキープ・レフト。 時速70km〜80km走行。 いいように抜かれていきますが、 エンジンの回転数は、1500〜2000rpm。 静かで、疲れ知らずで、 しかも、パトカ−につかまる心配もなし。 奥方、 「すごい、すごい。燃費がどんどんよくなるわ」 前回と比較してみましょう。 自宅までの平均燃費です。 前回 今回 須玉IC 34.0Km 34.9 長い下り坂 甲府昭和IC 30.0 30.9 ややアップダウン 八王子IC 23.5 24.0 アップダウン 自宅 20.9 22.6 平坦路 オトーサン、 自宅着 午後1時20分。 「平均燃費、22.6Km/L! すごいすごい!ティーダは、すごい!」 カタログ燃費18.2kmを大幅に上回りました。 「空前絶後! もう、これだけの大記録は出ないだろう」 首都高が、全然、渋滞しなかったのです。 読者のみなさん。 どなたか、この記録破りに挑戦しませんか? 215km走って、22.6Km/L。
71 TSUNAMI
オトーサン、 柏市立図書館で マザーグースの本を借りました。 英国人なら誰でも知っているお伽歌。 聖書とこの歌を読んでいないと、 かれらの心象風景を理解できないそうです。 本棚には、たくさん並んでいましたが、 その中から選んだのは、 中山克郎さんの本、 「もうひとつのマザーグース」東京布井出版 1981年 中山さんの翻訳が、実に平易で巧みなのです。 オト−サン、 子供の歌と思って馬鹿にしていましたが、 どうしてどうして...、 黙示録のような歌もあるのです。 ・世界の海が ひとつなら どんな大海 できるやら If all the seas were one sea, What a great sea that would be! (原文中略) ・すべての木々が ひとつなら どんな大木 茂るやら ・ぜんぶの斧が ひとつなら どんな大斧 できるやら ・あらゆるひとが ひとつなら どんな巨人に なるのやら ・巨人が大斧 ふりかざし 大木ばっさり 切り倒し And if the great man took the great axe And cut down the great tree, ・大海のなかに 落としたら どんな津波が 起こるやら And let it fall into the great sea, What a splish splash that would be! オトーサン、 「最近の人類は、ロクなことをしないから 神様の逆鱗に触れたのかもなー」 今年は、地震が多発したうえに、 異常気象で、台風、大雨、猛暑続きでした。 「もう、年末。 悪いことは、もう起きんだろう」 そうたかをくくっていたら、 今朝のニュースの映像に驚きました。 「津波って、怖いな。 クルマも、ぶっ飛ばされるんだ」
・スマトラ島沖でM9.0 死者1万4000人超。 インドネシアのスマトラ島沖で26日午前8時ごろ、 強い地震が発生し、巨大津波がインド洋沿岸諸国を襲った。 さらに、東アフリカのケニアなどアフリカ諸国にも及んだ。 20世紀以降の津波災害として最大級。 プーケット島などで、 日本の若者が多数死んだようです。 「若いひとは、津波の恐ろしさなんか知らないからなー」 そこで、津波のおそろしさを知っていただくために 津波に関するクイズをつくってみました。 @ 津波の到達距離は? A 津波の速度は? B 世界史上最大の津波の高さ? C 世界史上最大の津波死者数は? D 日本史上最大の津波の高さは? E 日本史上最大の津波死者数は? F 津波の英語は? 正解 @ 5000km A 時速720km B 500m C 3万6000人 D 85m E 2万2066人 F TSUNAMI 読者のみなさん 「津波が英語になってる?ほんとかよー」 日本はどうも津波被害の元祖だったようで、 1792年の島原半島・雲仙岳の地震で、 津波が起こって、死者数1万5000人だったそうです。 1498年の明応東海地震と津波では死者数4万人以上とか。 でも、若いひとなら ”TSUNAMI”といえば、 やはり、サザンオ−ルスタ−ズの歌を思い出すでしょう。 レコード大賞を受賞しましたよね。 ♪風に戸惑う 弱気な僕 通りすがる あの日の幻影 本当は見た目以上 涙もろい 過去がある 止めど流る 清か水よ 消せど燃ゆる 魔性の火よ あんなに好きな 女性に 出会う夏は 二度とない 人は誰も愛求めて 闇に彷徨う運命 そして風まかせ Oh,My destiny 涙枯れるまで 見詰め合うと 素直に お喋り出来ない 津波のような侘しさに I know.. 怯えてる,Hoo.. めぐり逢えた瞬間から 魔法が解けない 鏡のような夢の中で 思い出はいつの日も 雨 夢が終わり 目覚める時 深い闇に 夜明けが来る 本当は見た目以上 打たれ強い 僕がいる 泣き出しそうな 空眺めて 波に漂うカモメ きっと世は情け Oh,Sweet memory 旅立ちを胸に 人は涙見せずに 大人になれない ガラスのような恋だとは I know.. 気付いてる,Hoo.. 身も心も愛しい 女性しか 見えない 張り裂けそうな胸の奥で 悲しみに耐えるのは 何故? 見詰め合うと 素直に お喋り出来ない 津波のような侘しさに I know.. 怯えてる,Hoo.. めぐり逢えた瞬間から 死ぬまで好きと言って 鏡のような夢の中で 微笑をくれたのは 誰? 好きなのに 泣いたのは 何故? 思い出はいつの日も 雨 (TSUNAMI 作詞・作曲:桑田 佳祐) 奥方、 芸能通ですが、常々こう申しております。 「桑田 佳祐って、天才よね」 オトーサン、 その昔、茶化して、 「そうかい?天災のほうじゃないのか?」 その予言が、やや当たってしまいました。 オトーサン、 その日は、旅行の疲れで昼寝をしました。 夢をみました。 行方が気になっていたのでしょう。 夢のなかに柏庵が出てきました。 「わしゃ、津波にさらわれかけた」 「えっ、海外に行っていたのですか?」 「いや、三陸沖じゃ」 「スマトラ沖の地震が三陸沖まで来たのですか?」 「ああ、死者数2万2000人じゃった」 「ほんとですか? サバ読んでいませんか?」 「馬鹿を言うでない、本当の数字じゃ」 オトーサン、 そこで、ハッと目覚めて、 ネットに「三陸沖地震」と入力してみました。 ●明治三陸地震津波 1896年6月15日に発生。 死者数は、2万2066人で、 岩手県・大船渡市を襲った津波は、39.2m。 本州津波史上最大の高さだった。
オトーサン、 「こりゃ、正夢だ!」 一遍に目がさめて、 さらに「津波」と入力してみました。 「おお!」 英語で、津波のことを、 TSUNAMIのほかに、"hydraulic bore" "seismic sea wave"、 そして、"tidal wave"とも言うのです。 「おお、ティーダは、津波だったんだ」 ご存知のように、TIIDAの語源は、tideでしたよね。 オトーサン、 その後、スーパー銭湯に行ったあと、 コンビニに立ち寄りました。 「"CAR and Driver"があるなー。もう新春号か」 買う気もなく、パラパラとめくります。 「おっ、ラティオの受注台数が出ている」 ●日産ティ−ダ・ラティオが人気 ユーザーの若返りにも成功した 日産自動車は、12月1日、ラティオの受注状況を明らかにした。 それによると、発売1ケ月後の受注台数は、8012台に達した。 月間目標台数が3000台だから、2.7倍以上の受注を獲得。 グレード別には、15Mが68%。 カラ−別には、ウォーム・シルバーが35%。 年齢構成は、39歳以下が、7%(サニーは、1%) 40歳台は、 10%(サニーは、4%) オトーサン、 ティーダの発売が、津波の第1波(9.30) ラティオの発売が、津波の第2波(10.29) 1800ccモデルの発売が、津波の第3波(1.11) 波状攻撃で、カローラやフィットに勝てるといいんだがなー。 覚悟しろ、カローラ。 ティーダは、津波。怖いんだぞ。 ほんとうに怖いんだぞー。 What a TIIDA that would be!
72 変若水の湯
オトーサン、 「柏庵、どうしているかなぁ?」 その後、まったく連絡が途絶えております。 手賀沼ウォーキングをやって、 帰宅するとメールが入っていました。 最近は、迷惑メールだらけなので、 チェックもせず、全部削除したりしていますが、 この日は、どういうわけか1件だけ。 拝啓 突然のメールで驚かれたと思いますが、 私こと、山形県・上山温泉、古窯主人○○でございます。 といっても、数年前に息子に家督を譲って、 いまは、悠々自適?の日々を送っておりますが。 佐々木様、覚えておられるでしょうか? もう10年以上前のバブル華やかなりし頃、 当地にリゾート兼研修施設を建設する話がありました。 その件で、泉真也先生をはじめ、経団連の方々が 弊館に、ご宿泊いただきました。 さて、メールを差し上げることになったきっかけは、 孫がティ−ダを買ったことにはじまります。 価格コムの掲示板からみつけた面白いホームページがある そう言われて、「月山に死す」という章を読まされました。 孫に言われたときは、佐々木様が書かれておられるとは、 露知らなかったのですが、プロフィールやお写真を拝見して、 あの時のリーダー格の方ではないかと思い当たりました。 間違っていたら、ご免なさい。 さて、前置きが長くなりましたが、 不老不死の妙薬について、 詳しくお知りになりたいとお思いのようなので、 山形県の温泉組合で親しい同僚が、 不老不死の妙薬について研究しております。 先年、旅館名を「変若の湯つたや」と変えたほどです。 「変若の湯」は、「おもみずのゆ」と読みます。 ご興味がありましたら、電話してみて下さい。 電話番号は、0237(75)2222です。 ほのぼのしたオトーサンのエッセイ、楽しみにおります。 機会があれば、また弊館にお越しください。 お逢いするのを楽しみにしております。 長文、失礼しました。 古窯・○○拝 オトーサン、 「迷惑かけてしまったなぁ」 バブルに湧いた頃とはいえ、 構想倒れになった責任の一端を感じていました。 こういう形で思い出させられるのは、 やりきれない気もしますが、一方で懐かしさを覚えます。 「価格コム、全国のひとが読んでいるんだなぁ」 ほんの出来心で投書したのに、 こうした思いもかけない形で反響があるのですから。 オトーサン、 早速、ネットに上山温泉と入力し、「古窯」を発見。 「高いけど、ほんとうにいい旅館だったなー」
●日本の宿 古窯 蔵王を望む高台の宿、 花と笑顔でお出迎えする心の宿です 最高級の山形牛を使った料理が絶品! 館内300ヶ所に生花を飾り、旅人の心を和ませます。 展望大浴場からみる国定公園蔵王の風景、 上山の夜景、葉山の四季が最高です。 ISOを取得。プロが選ぶ旅館100選ベスト10に 20年連続ランクインさせていただきました。 客室数/150室 収容人員/800人 建 物/鉄筋8階建 宴 会 場/300畳ほか 浴 室/1F・8F大浴場、露天風呂有 その他/売店、カラオケルーム、クラブ パブ、コーヒーラウンジ、 駐車場/大型20台、普通300台 所在地/〒999-3242 山形県上山市葉山5番20号 Tel.023-672-5454 Fax.023-672-5459 オトーサン、 次に、「変若の湯つたや」と入力。 これも、すぐみつかりました。
●変若の湯つたや ブナの原生林で遊ぶネイチャートレイル 可憐な高山植物に出会う月山トレッキング 青空にシュプールを描くサマースキー 深雪に包まれる幻想と静謐 露天のいで湯に心を温めるひととき 山里の幸が彩るまごころの膳 尽くせぬ楽しみ、忘れ得ぬ安らぎを… JTBの契約旅館・ホテル7000軒についての 宿泊アンケートの結果、 満足度90点以上の宿、 コストパフォーマンスの良い宿に選ばれました。 オトーサン、 「これじゃ、ただの宣伝文句だ。 ん、まだあるか」 ●月山志津と「つたや」の歴史 開山1400年を数える湯殿山の詣で口として、 志津に行者宿が並びはじめたのは、 350年ほど前と思われ、つたやもその一つでした。 豪雪の地での生活の糧と言えば、 唯一宿坊をなりわいとするほかなかったのだろうと思われます。 出羽三山信仰の詣で口として、 この志津はとてもにぎわいましたが女人禁制の山であり、 女の人達はこの志津で遠く遥拝して別れ、 それを御志津参りと言いました。 今では遠い昔のことと伝え残っております。 戦中・戦後の混乱の中、参拝にいらっしゃる足も急激に減り しばらくは山菜を採ったり、炭焼で生計を立てゝいた時期もありました。 昭和26年、先々代の志田誉実、先代の志田和衛の努力が実り、 姥沢に登山者の為の避難小屋が建てられたのが、 スキー客で賑うようになった現在の幕開けであったと言えるでしょう。 それ以来、現在に至るまで夏スキーのメッカとして全国に名を馳せました。 また、月山は豊かな自然環境に恵まれ、ブナの原生林に囲まれ、 高山植物の宝庫としても名高い山であります。 平成元年、この志津に温泉が沸き、 当館も平成9年1月、月山志津温泉「変若水の湯つたや」として 生まれ変りました。 四季おりおりの風景と、郷土の風土に培われたお料理でのおもてなし、 ぬくもりのある宿として皆々様の心の宿となりますれば幸せと 思うところでございます。 変若水の湯つたや 館主 オトーサン、 「変若水って何だ? 肝心のことが書いていない」 でも、これは、カンチガイでした。 表紙ページを飛ばしていました。 ●「万葉集」に、月山神社の祭神“月読命”を詠んだ歌があります。 天橋も長くもがも 高山もたかくもがも 月読の持てる をち水い取り来て 君に奉りて 変若しめむはも 「月の中には月読命が持っている変若水(若返りの水)がある。 それを取って来て、あなたに差し上げ若返らせたいなぁー」という意味です。 月山は死と再生(若返り)の聖なる山。 その山ふところ深い当館の湯を、変若水の湯と名付けました。 今日までのお疲れをとり、新たな明日へと、 心身ともに若返って頂けることと信じております。 オトーサン、 「予備知識なしで、電話してもなぁ」 ネットで調べていると、 「奥の細道」という言葉が飛びこんでみました。 この芭蕉の句集、高校時代に受験勉強のかたわら 電車の行き帰りにむさぼるように読んだものです。 「歩いてみたいなぁ。いつかヒマになったら」 いま、こうして、ヒマになったのに、その夢を叶えていません。 「死ぬまでに間に合うかなぁ?」 よくまとまった文章なので、一気に読みました。 ●奥の細道へのいざない ・月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり 芭蕉が奥羽・北陸への「奥の細道」の旅に出たのが 1689年の春。310余年も昔の事である。 芭蕉が門弟曽良を伴い、 羽黒入りしたのは6月3日の事である。 図司左吉という者を介して別当代会覚阿闍梨、 南谷の別院に宿することになった。 心こまやかなおもてなしがありがたいと、芭蕉は記している。 南谷の別院は五重塔の参道の石段を三の坂まで登り、 約500メートルほど林の中に入ったところに建っていた。 今は建物の礎石が残るだけになってしまった。 ここに芭蕉の句碑がある。 ・有り難や雪をかほらす南谷 羽黒山に、月山、湯殿山を加えた出羽三山は 東北修験道の大本山として隆盛を極めていた。 神秘的で崇高な雰囲気が全山に満ちていたと思われる。 芭蕉は敬虔な思いでこの三山を巡礼するのである。 まず5日、羽黒権現に参詣、翌6日は月山に登って行者小屋に一泊する <強力といふものに導かれて、 雲霧山気の中に氷雪を踏みて登ること八里、 さらに日月行道の雲関に入るかと怪しまれ、 息絶え身凍えて、頂上に至れば、日没して月顕はる> 月山登山の荘厳な様子が、よく記されている。 翌7日、山頂で朝を迎えた芭蕉は、湯殿山へと下る。 湯殿山は霊場として昔から厳しい戒律があり、 山中の詳細は他言禁止であった。 芭蕉も以下のように記している。 <総じてこの山中の微細、 業者の方式として他言することを禁ず。 よって筆をとどめてしるさず> 三山巡礼の句の中に湯殿山を読んだものがある。 ・語られぬ湯殿にぬらす袂かな 神秘な御山のありがたさに、思わず感涙で袂をぬらしたと言うものだ。 湯殿山のご神体は湯の湧き出る巨大な岩。 袂をぬらすのは、この湯と感涙の両方であることは言うまでもない。 この句からだけでも、芭蕉の感激のほどが伺える。 この日の夕刻に南谷まで戻っている。 46歳の芭蕉にとってはかなりの強行軍だったらしく、 翌8日は休息。 9日に三山の句々を短冊に書いて整理している。 10日、鶴岡に出立の日、芭蕉は本坊に招かれ、 そば切り、茶、酒などが振る舞われた。 芭蕉に対する一山の人達の温い心遣いが感じられる。 ・雲の峰 いくつ崩れて 月の山 ・涼しさや ほの三か月の 羽黒山 オトーサン、 「奥の細道、読み直してみるか」 そんなことで、変若水の湯つたやの館主さんへの 電話は、どんどん、先延ばしになっています。 「奥の細道を読み終えたら、電話しよう。 でも、年末だから、いそがしいかもなぁ。 ま、年明けにするか」 オトーサン、 柏の本屋で、入手。 「へぇ、こんな本が出たんだ。 JTB紀行文学大賞受賞作か、 これも買わなきゃ」 ・嵐山光三郎「芭蕉紀行」新潮文庫 2004 オトーサン、 帰宅して、久しぶりに日産の株価をチェック。 ティーダを買った頃、 10月12日に1209円で買ったのですが、 100円損したまま、越年しそうです。 「まあ、いいか。 清原ほどダウンしてないから」 12/16 1093円 17 1107 18 - 19 - 20 1095 21 1096 22 1100 23 - 24 1115 25 - 26 - 27 1112 28 1110
最終回 語らば聞くな、聞かば語るな
オトーサン、 嵐山光三郎さんの「芭蕉紀行」を読んで、 その着眼点は、2つあると思いました。 @「奥の細道」の目的は、出羽三山詣で。 A 出羽三山信仰は、擬死体験。 羽黒山は死の入口、月山で死に、湯殿山で蘇る
PHOTO:山形美術館所蔵:与謝蕪村「奥の細道図屏風」<重文>
オトーサン、 そんなことを頭において、 奥の細道の出羽三山の記述を読み進みます。 最後は、こんな風になっていました。 (原文) ・惣而此山中の微細、 行者の法式として他言する事を禁ず。 仍て筆をとゞめて記さず。 坊に帰れば、阿闍利の需に依て、 三山順礼の句々短冊に書。 涼しさや ほの三か月の 羽黒山 雲の峯 幾つ崩て 月の山 語られぬ 湯殿にぬらす 袂かな (現代語訳) ・一般に、湯殿山の細かいことは、 修行者の決まりとして、他人に話すことが禁じられている。 従って、これ以上は記さないことにする。 南谷の宿坊に帰ったのち、 阿闍梨の求めに応じて、三山順礼の発句を短冊に書いた。 日の落ちた羽黒山に佇み、西の空を眺めれば、 はるかな山のあたりに三日月が出ている。 たちこめる山気の中に見る月は、 神々しくさえ感じられることである。 昼間の陽射しの中で、 猛々しく起立していた雲の峰はいつしか崩れ、 今は、明かりに照らされた月の山が嫋やかに横たえている。 いにしえより恋の山と聞こえた湯殿の里に分け入れば、 語らず聞かずの幽谷の奥に尊き神秘を拝し、袂を濡らした。 オトーサン、 「何で、他人に話しちゃいけないんだ?」 嵐山光三郎さんの「芭蕉紀行」のそのくだりを 何度読みかえしても、明確な記述はありません。 こう書いてあるだけ。 ・語られぬ 湯殿にぬらす 袂かな 「濡らす」は、ご神体の岩が湯で濡れていることからの連想で 再生する肉体への歓喜陶酔の情がこめられている。 オトーサン、 「どうもハッキリしないなぁ」 天性のあまのじゃくですから、 その正体を、断固、解明することにしました。 こういう調べものをするとき、最近は便利になりました。 Googleに「湯殿山」と入力すれば、 いろいろなデータが出てきます。 ●湯殿山 伊勢・熊野と並ぶ日本三大霊場のひとつ。 昔から「云わず語らずの山」と言われ、 湯殿山の御神体のことについては 「語らば聞くな、聞かば語るな」という戒律があった。 大日坊は、空海(弘法大師)の開基で、 湯殿山瀧水寺金剛院と号し、太陽神(大日如来)を安置。 明治の廃仏棄釈、火災、地辷災害と悲運に見舞われたが、 法燈を守りつづけ約一千九百九十数年を数えている。 オトーサン、 「そうか、湯殿山の御神体のことについては 人に話すなという厳しい戒律があったのか」 そこで、湯殿山に加えて、「ご神体」と入力しました。 「おっ、これだったんだ! ご神体をばらすなんて、悪い奴がいるなー」
・息を呑んだ。 …と同時に感動した。 岩の頂上からは塩酸のような温泉がこんこんと湧き、 鉄分のせいか岩が真っ赤に染まっている。 その流れが岩面を洗いながら、 丁度女陰のところで小さな滝のようになっている。 最初に発見した人がここに神を見ないはずはない。 そして戦慄にも近い感動と、 これを保守するために禁忌とした。 生命観溢れる対象に神を見る… そこに日本人のよさがある、と思いませんか。 「見た事人に語るべからず!」 オトーサン、 「こりゃ、拝みに行かねば。善は急げだ」 そのあと、あわただしく旅支度をしました。 タイヤチェーン、着替え、奥の細道の本など。 東北道を北上し、山形自動車道湯殿山ICから 国道122号・湯殿山有料道路を15km。 そこまで調べました。 オトーサン、 翌朝、窓の外をみてびっくり。 「大雪じゃないか。東北道が閉鎖? こりゃ、あかん」 止むを得ず、湯殿山行きを中止しました。 ティーダをみると、雪まみれ。 寒そうにしています。
「寒そうにしているなぁ」 暖気運転をしてあげてから、 お茶を飲みに出かけました。 オトーサン、 「あーあ、車内が雪だらけになった」 コートについた雪がシートに舞い降りました。 視界を確保すべく、 タオルで窓の曇りを拭いたあと、 窓を開けてしまったので、 ガラスについた雪も、どっと車内へ。 でも、この時に備えて、 フロント・カップホルダーの収納部分に タオルを入れておいたのが、効を奏しました。 ティーダの場合、サイドポケットにもカップホルダーがあるので、 フロント・カップホルダーには、眼鏡拭きとティッシュをいれ、 その上に、タオルを置いているのです。 いろいろ収納できる場所があるのは、助かります。 タオルで、水分を拭きとって、気づきました。 「そうなんだ。撥水シートになっているんだ。 さすが、ティーダ、よく考えてあるなぁ」 オヨーサン、 急にヒマになったので、 さきほどの女陰岩の写真をじっくりみました。 「ふーん、これが割れ目か。奥の細いのが」 そう言った後、とんでもないアイディアが浮かびました。 「奥の細道は、女陰とかけているのかも。 すると、この3句にも、隠された意味があるのかも」 ・涼しさや ほの三か月の 羽黒山 ・雲の峯 幾つ崩て 月の山 ・語られぬ 湯殿にぬらす 袂かな この3句の頭文字をみると、 「すくか」 逆に読むと、 「かくす」 オトーサン、 歌詠みのハシクレとして、芭蕉ほどのものが、 「語らば聞くな、聞かば語るな」という戒律に 素直に従うハズはないと思いました。 それは、表現者としては自殺行為。 そのあと、午後いっぱい試行錯誤しました。 この3句だけはうまく行かないので、 奥の細道の冒頭の句も動員しました。 ・行春や 鳥啼き魚の 目に涙 >ゆ と め ・涼しさや ほの三か月の 羽黒山 >す ほ は ・雲の峯 幾つ崩て 月の山 >く い つ ・語られぬ 湯殿にぬらす 袂かな >か ゆ た そして、浮かび上ってきたのは、 「たつはめ ゆいほと かくすゆ」 (龍嵌め ゆい 女陰隠す湯) 「ほと」は、古語で「女陰」を指しますよね。 ご興味のある方は、以下のサイトを。 ・http://mutugoto.tripod.com/mutu_lady.html オトーサン、 「ゆいは、あの歌の遊女の名だろう」 ・一つ家に 遊女も寝たり 萩と月 そこへ、柏庵登場。 「何を馬鹿なことを言っちょる!」 はっとして、振り向きましたが、誰もいません。 空耳だったのでしょう。 オトーサン、 誰もいないのを確認して、 もう一度、ご神体岩をじっとみました。
「岩の上にあるのは、"しめなわ"かなー。 何で、こんなところに」 そこで、また、Googleのお世話になりました。 ●しめなわ 「なわばり」争いなどと云われるように 一本の縄が境界を示し、立入禁止を表す。 天照大神が天の岩戸からお出になった後、 岩戸に縄を張り、再び中に入れぬようにした。 この縄は「尻久米縄」と古事記に記され、 しめなわの始まりとされている。 しめなわは、清浄・神聖な場所を区画し、 神社、寺院、巨大岩や大樹、清浄な井戸、瀧にも掲げられる。 正月、門松とともに戸口にしめなわを飾るのも、 家の中に悪霊を入れず、穢れをさり、 無病息災・家内安全を願ってのことである。
PHOTO: 出雲大社 拝殿 オトーサン、 突然、狐つきが落ちたようになりました。 「このエッセイ、もうシメにするか」 いつまでも、バカやってられませんよねー。 ・time and tide wait for no man 歳月人を待たず 長らくご愛読いただいた この「15Mをめぐるエッセイ」、 ひとまず、しめさせていただきます。 ティーダ姫の行く末、 そして、柏庵の行方が気になりますが... ご縁があったら、またお目にかかりましょう。 では、いいお年を! 奥方&交通安全を願って...
photo:ティーダ姫・御来光之図 (完)